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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1209521
審判番号 不服2005-20986  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-31 
確定日 2010-01-04 
事件の表示 特願2002-508386「化粧品組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月17日国際公開、WO02/03931、平成16年 3月 4日国内公表、特表2004-506614〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成13年7月9日(パリ条約による優先権主張 2000年7月10日 (US)米国)を国際出願日とする出願であって,平成17年7月29日付で拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年11月30日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年11月30日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成17年11月30日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は次のとおりに補正された。
「油中水型エマルション組成物であって,前記組成物が,
A)以下を含む連続相:
i)0.1?15%の,部分的に又は完全に架橋されかつ1以上のオキシアルキレン化した基を含有する乳化架橋シロキサンエラストマー;及び
ii)少なくとも,前記乳化架橋シロキサンエラストマーを膨潤して,弾性の,ゲル様網状構造又はマトリックスを提供するのに十分な量の乳化架橋シロキサンエラストマー用の溶媒;
B)1?95%の以下を含む不連続相:
i)1%?20%の固形粒子;及び
ii)水
ここで,前記組成物が,
(1)前記溶媒で前記乳化架橋シロキサンエラストマーが膨潤されて連続相を提供する工程,
(2)工程(1)とは別に,前記固形粒子を水と混合し,不連続相を提供する工程,及び
(3)前記連続相と前記不連続相を混合する工程,
により製造される,前記組成物。」

上記補正は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「0.01?30%の固形粒子」を「1?20%の固形粒子」とし,固形粒子の配合割合を限定するものであって,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされている同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に頒布された次の刊行物には,以下の事項が記載されている。

・特開平6-40847号公報(以下,「引用例A」という。)

(A-1)「本発明は,油中水型化粧料に関し,さらに詳しくは優れた使用感をもたらすとともに経時安定性の著しく向上した油中水型化粧料に関する。」(【0001】)
(A-2)「このようにして得られたシリコーン重合体100重量部に,低粘度シリコーン油5?1,000重量部,好ましくは20?500重量部っを分散混合したのち,剪断力下で混練処理するとペースト状の均一なシリコーン組成物が得られる。
シリコーン重合体の量が上記範囲よりも少ないと安定で良好なゲル構造を維持できず,逆に上記範囲を超えると肌上で重さを感じ,使用性,使用感等が悪化するため好ましくない。」(【0020】,【0021】)
(A-3)「本発明の油中水型化粧料には,前記必須成分のほか,通常用いられる水性成分や油性成分,例えば保湿剤,防腐剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,美容成分,香料,水溶性高分子,体質顔料,着色顔料,光輝性顔料,有機粉体,疎水化処理顔料,タール色素などを,本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。」(【0029】)
(A-4)「【発明の効果】本発明の油中水型化粧料は,優れた使用感(さっぱり感,べたつきのなさ,のびのよさ等)を損なうことなく顕著に向上した経時安定性を有するものである。」(【0031】)
(A-5)「…平均組成式が CH_(2)=CHCH_(2)O-(C_(2)H_(4)O)_(10)-CH_(2)CH=CH_(2) (7)で示されるポリオキシアルキレン…」(【0043】)
(A-6)「参考例4
反応器中に,平均組成式(8)


で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g,エタノール57g,参考例2で使用した平均組成式(7)で表わされるポリオキシアルキレン13.5g及び塩化白金酸3重量%のエタノール溶液0.3gを仕込み,内温を70?80℃に維持して2時間攪拌した後,減圧下で溶媒を除去し,粒状の重合体を得た。
この重合体20重量部とジメチルポリシロキサン(粘度6cS)80重量部とを分散混合した後,三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し,膨潤させてシリコーン組成物を作製した。この組成物は,滑らかな感触を有し,粘度が22,800cPの均一なペースト状であった。」(【0047】?【0050】)
(A-7)「実施例1?2及び比較例1(油中水型クリーム)
下記表1にその組成を示す油中水型クリームを以下に示す方法により製造した。
(製造方法)以下の工程A,B及びCによる。
A:(1)?(4)を混合する。
B:(5)?(8)を加熱し,均一に混合する。
C:AにBを攪拌しながら添加し,冷却する。
得られた油中水型クリームの経時安定性(40℃,1ケ月後及び3ケ月後)及び使用感(さっぱり感及びのびのよさ)について下記評価基準により評価した。結果を併せて表1に示す。
(経時安定性評価基準)
◎:変化なく良好。
○:少しゲル化が認められる。
△:少し排液が認められる。
×:排液又は分離が認められる。
(使用感評価基準)
◎:非常に良い。
○:良い。
△:どちらともいえない。
×:悪い。
【表1】


表1に示す結果から明らかなように,本発明品は,経時安定性が顕著に改良されたものであり,しかもペースト状シリコーン組成物配合により向上した使用感を損なうことのないものであった。」(【0069】?【0075】)

・特開平11-21227号公報(以下,「引用例B」という。)

(B-1)「…部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は,下記一般式(1)
【化1】
R^(1)_(a)R^(2)_(b)H_(c)SiO_((4-a-b-c)/2) ・・ (1)
[式中,R^(1)は同種又は異種の炭素数1?18の非置換,又は置換のアルキル基,アリール基,アラルキル基又はハロゲン化炭化水素基,R^(2)は一般式C_(n)H_(2n)O(C_(2)H_(4)O)_(d)(C_(3)H_(6)O)_(e)R^(3){ここにR^(3)は水素原子又は炭素数1?10の飽和脂肪族炭化水素基もしくは-(CO)-R^(4)(R^(4)は炭素数1?5の飽和脂肪族炭化水素基)で示される基,dは2?200の整数,eは0?200の整数,d+eは3?200の整数,nは2?6をそれぞれ示す}で示されるポリオキシアルキレン基,aは1.0≦a≦2.5,bは0.001≦b≦1.0,cは0.001≦c≦1.0をそれぞれ示す]で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び/又は一般式(2)
【化2】
R^(1)_(f)H_(g)SiO_((4-f-g)/2) ・・ (2)
[式中,R^(1)は上記と同じ,fは1.0≦f≦3.0,gは0.001≦g≦1.5をそれぞれ示す]で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと一般式(A)
【化3】
C_(m)H_(2m-1)O(C_(2)H_(4)O)_(h)(C_(3)H_(6)O)_(i)C_(m)H_(2m-1) ・・(A)
[式中,hは2?200の整数,iは0?200の整数,h+iは3?200の整数,mは2?6をそれぞれ示す]で表わされるポリオキシアルキレン及び/又は一般式(B)
【化4】
R^(1)_(j)R^(5)_(k)SiO_((4-j-k)/2) ・・ (B)
[式中,R^(1)は前記に同じ,R^(5)は末端に脂肪族不飽和基を有する炭素数2?10の1価炭化水素基,jは1.0≦j≦3.0,kは0.001≦k≦1.5をそれぞれ示す]で表わされるオルガノポリシロキサンとの組合せにおいて,上記一般式(1)及び/又は一般式(A)で表わされる成分を必須成分とする重合物である。」(【0005】?【0013】)
(B-2)「実施例4 リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.製造例2の部分架橋型ポリエーテル変性 1.2
オルガノポリシロキサン重合物
2.スクワラン 3.8
3.トリオクタン酸グリセリル 2.0
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 8.0
5.酸化チタン 6.0
6.タルク 2.0
7.マイカ 3.0
8.酸化鉄 適量
9.グリセリン 3.0
10.1,3ブチレングリコール 8.0
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.4
12.大豆リン脂質 0.2
13.セピゲル305 1.0
14.防腐剤 適量
15.精製水 残量

(製法)
A:成分5?12を3本ロールにて混合する。
B:成分1?4を3本ロールにて混合する。
C:成分13?15にAを加えよく混合する。
D:CとBを混合乳化した後,脱泡,充填しリキッドファンデーションを得た。
実施例4は,塗布しやすく,しっとり感を有しながらべたつきのないリキッドファンデーションであった。」(【0035】,【0036】)

(3)対比
引用例Aの実施例1には,(1)10重量%のペースト状シリコーン組成物,(2)5重量%のジメチルポリシロキサン(6cS),(3)0.2重量%の無水ケイ酸,(5)10重量%の1,3-ブチレングリコール,(6)2重量%のエタノール,(7)適量の防腐剤,及び(8)残量の精製水を含む,油中水型クリームであって,前記クリームが,(A)(1)?(3)を混合する工程,(B)(5)?(8)を加熱し,均一に混合する工程,(C)(A)を(B)に攪拌しながら添加し,冷却する工程,により製造されることが記載されている(摘記事項(A-7))。ここで,クリームがエマルション組成物であり,また,油中水型のエマルション組成物は水性の不連続相が油性の連続相中に分散した状態の組成物であることは当分野において技術常識であることに鑑みると,油性の成分である(1),(2)を含む工程(A)の混合物は連続相を,水性の成分である(6),(8)を含む工程(B)の混合物は不連続相を形成するものといえる。以下,引用例Aの実施例1に記載された上記発明を「引用発明」という。

そこで,本件補正発明と引用発明とを以下に対比する。

(i)引用発明の「ペースト状シリコーン組成物」は,引用例Aの参考例4の製法により製造されたものである(摘記事項(A-5),(A-6),(A-7))。一方,本願明細書の【0015】には,「…本発明のオルガノポリシロキサンは,特に,欧州特許出願第545002号(又は米国特許第5,412,004号)の明細書の実施例3,4及び8…に従って得られる。」との記載があるが,上記参考例4の製法は上記米国特許第5,412,004号の実施例4と同一である。してみると,引用発明の「ペースト状シリコーン組成物」は,本件補正発明の「部分的に又は完全に架橋されかつ1以上のオキシアルキレン化された基を含有する乳化架橋シロキサンエラストマー」に相当する。
(ii)引用発明の「ジメチルポリシロキサン(6cS)」は,本件補正発明の「乳化架橋シロキサンエラストマー用の溶媒」である「約1?約100,000センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサン」(本願明細書の【0025】)に相当する。また,引用発明のジメチルポリシロキサン(6cS)(低粘度シリコーン油)はペースト状シリコーン組成物(シリコーン重合体)10重量%に対し5重量%使用されているから,ペースト状シリコーン組成物の安定で良好なゲル構造を維持できる配合量である(摘記事項(A-2))。
(iii)引用発明においては連続相中に無水ケイ酸が含まれているが,この成分は油中水型化粧料に良好な使用感と経時的安定性をもたらすものである(引用例Aの【0005】,【0025】参照。)。一方,本件補正発明は,連続相が,「i)0.1?15%の,部分的に又は完全に架橋されかつ1以上のオキシアルキレン化した基を含有する乳化架橋シロキサンエラストマー」及び「ii)少なくとも,前記乳化架橋シロキサンエラストマーを膨潤して,弾性の,ゲル様網状構造又はマトリックスを提供するのに十分な量の乳化架橋シロキサンエラストマー用の溶媒」を「含む」というものであり,「含む」との用語について,本願明細書の【0012】に「…本明細書で使用されるとき,「含む」という用語は,組成物に適合し,好ましくは本発明の組成物を実質的に乱さないその他の成分を,組成物が含有できることを意味する。…」と定義されている。そうすると,本件補正発明は,連続相が上記2成分以外に無水ケイ酸を含有することを排除するものではないから,引用発明の連続相は本件補正発明の連続相に相当する。
(iv)引用発明の不連続相は,(5)10重量%の1,3-ブチレングリコール,(6)2重量%のエタノール,(7)適量の防腐剤,及び(8)残量の精製水を含む。これに対し,本件補正発明の不連続相は,「i)1%?20%の固形粒子」,「ii)水」を「含む」というものであるが,「(iii)」で検討したとおり,本件補正発明における「含む」との用語の意味を考慮すると,本件補正発明は,不連続相が上記2成分以外の成分を含有するものを排除するものではない。そして,1,3-ブチレングリコールについては,本願明細書の【0028】に不連続相に配合できる成分として例示もされている。してみると,引用発明の(5)?(8)は本件補正発明の不連続相に相当し,その量は少なくとも12重量%を超えている。

以上を踏まえると,両者は「油中水型エマルション組成物であって,前記組成物が,A)i)10%の部分的に又は完全に架橋されかつ1以上のオキシアルキレン化された基を含有する乳化架橋シロキサンエラストマー;及びii)少なくとも,前記乳化架橋シロキサンエラストマーを膨潤して,弾性の,ゲル様網状構造又はマトリックスを提供するのに十分な量の乳化架橋シロキサンエラストマー用の溶媒を含む連続相,及びB)少なくとも12%である,水を含む不連続相からなり,ここで,前記組成物が,(1)前記溶媒で前記乳化架橋シロキサンエラストマーが膨潤されて連続相を提供する工程,(2)工程(1)とは別に不連続相を提供する工程,及び(3)前記連続相と前記不連続相を混合する工程,により製造される前記組成物。」である点で一致し,不連続相について,本件補正発明では固形粒子を水と混合し不連続相を提供しており,油中水型エマルション組成物の不連続相に1?20%の固形粒子が含まれるのに対し,引用発明では不連続相に固形粒子を含まない点(以下,「相違点」という。)で相違する。

(4)相違点についての判断
引用例Aには,不連続相に顔料や粉末(固形粒子)を配合することについて具体的な言及はなされていない。しかしながら,引用例Aでは,そこに開示された油中水型化粧料に通常用いられる顔料や粉末(固形粒子)をその発明の効果を損なわない範囲で配合できるとされている(摘記事項(A-3))。また,引用例Aには,「本発明の油中水型化粧料は,ペースト状シリコーン組成物(a)を予め調製して用いる以外は,通常の方法に従って乳化することにより製造でき,化粧料基材等として好適に使用することができる。」(【0030】)と記載されており,実施例3にはクリーム状アイシャドウの調製にあたり15重量%の固形粒子(雲母チタン(5重量%),酸化鉄雲母チタン(5重量%),マイカ(3重量%),着色顔料(2重量%))を油相に添加した例が開示されている(【0076】?【0078】)。一方,引用例Bには,引用発明のペースト状シリコーン組成物と同種の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合体を含む油相と,汎用の固形粒子(酸化チタン,タルク,マイカ,酸化鉄等)を水と混合した水性相を混合することでリキッドファンデーションを調製する例も記載されている(摘記事項(B-1),(B-2))。してみると,引用発明の油中水型クリーム状基材を用いて各種化粧料を調製するにあたり,固形粒子の種類や配合量については化粧料の種類に応じて当業者が適宜設定することであり,また,固形粒子を水性相,油性相のいずれに配合するかについても当業者が適宜選択し得ることであるから,本件補正発明において,固形粒子の配合量を1?20%とする点,これらを水性相(不連続相)に配合する点に格別の創意を要したものということはできない。

そして,化粧料組成物を皮膚に適用する際に顔料の粒塊形成又は凝集を制御するという本件補正発明の効果は,具体的には皮膚の良好な覆いを提供し,並びに皮膚の自然な外観を保持するという使用感を付与することを意味するものであるが(本願明細書の【0007】,【0008】),引用例Aには,引用発明が皮膚への優れた使用感(さっぱり感,べたつきのなさ,のびのよさ等)を付与するものであることが記載されており(摘記事項(A-1,(A-4)),引用発明も化粧料組成物の皮膚の覆いや外観を改善する効果を奏するものであるから,本件補正発明の効果が,当業者にとって予測困難な格別顕著なものであると認めることはできない。

なお,請求人は,平成18年1月12日付け審判請求理由補充書において追加実験により得られた参考資料1?3を提示するとともに,本件補正発明の製造方法により調製したエマルションを適用した場合には,他の製造方法により調製した場合に比べ,固形粒子の凝塊形成(凝集)をできるだけ抑え,皮膚への沈着抑制を改善することができるのであって,このような効果は当業者が予測し得ない顕著な効果である旨主張する。
しかし,審判請求理由補充書には追加実験における組成物の混合条件(攪拌条件)について何ら記載されておらず,どのように調製された組成物に関する実験データであるのか不明であるし,また,追加試験における組成物の一成分である固形粒子として,本件補正発明の製造方法(Process 1)では二酸化チタンが,比較例1(Process 2)及び比較例2(Process 3)では表面を疎水化処理した二酸化チタンが使用されていること,本件補正発明は固体粒子として二酸化チタンに限らず本願明細書の【0030】?【0032】に記載の多種類の固体粒子の使用を前提としていることを考慮すると,追加実験の結果を本件補正発明の効果の顕著性を立証するものとして参酌することはできない。

したがって,本件補正発明は,引用例A及びBに記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成17年11月30日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?4に記載された発明は,平成17年4月25日付け手続補正書の特許請求の範囲請求項1?4に記載された事項により特定されるものであって,そのうち請求項1に係る発明は,以下のとおりのものである(以下,「本願発明」という。)。
「油中水型エマルション組成物であって,前記組成物が,
A)以下を含む連続相:
i)0.1?15%の,部分的に又は完全に架橋されかつ1以上のオキシアルキレン化した基を含有する乳化架橋シロキサンエラストマー;及び
ii)少なくとも,前記乳化架橋シロキサンエラストマーを膨潤して,弾性の,ゲル様網状構造又はマトリックスを提供するのに十分な量の乳化架橋シロキサンエラストマー用の溶媒;
B)1?95%の以下を含む不連続相:
i)0.01%?30%の固形粒子;及び
ii)水
ここで,前記組成物が,
(1)前記溶媒で前記乳化架橋シロキサンエラストマーが膨潤されて連続相を提供する工程,
(2)工程(1)とは別に,前記固形粒子を水と混合し,不連続相を提供する工程,及び
(3)前記連続相と前記不連続相を混合する工程,
により製造される,前記組成物。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりのものである。

(2)対比・判断
本願発明は,前記2.で検討した本件補正発明の固形粒子の配合割合である「1?20%」を包含する「0.01?30%」とするものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「2.(4)」に記載したとおり,引用例A及びBに記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用例A及びBに記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例A及びBに記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-31 
結審通知日 2009-08-04 
審決日 2009-08-17 
出願番号 特願2002-508386(P2002-508386)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大宅 郁治福井 悟福井 美穂  
特許庁審判長 森田 ひとみ
特許庁審判官 内田 淳子
伊藤 幸司
発明の名称 化粧品組成物  
代理人 曾我 道治  
代理人 梶並 順  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 古川 秀利  

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