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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1209776 |
審判番号 | 不服2008-4383 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-02-22 |
確定日 | 2010-01-06 |
事件の表示 | 特願2006-308327「複数の機器を支援するDRM技術のライセンス方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 8日出願公開、特開2007- 35077〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年3月30日に出願した特願2004-101514号(パリ条約による優先権主張2003年9月18日)の一部を平成18年11月14日に新たな特許出願としたものであって、平成19年8月31日付けで拒絶理由が通知され、同年12月4日付けで手続補正がなされたものの、同年12月18日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、平成20年2月22日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに手続補正がなされ、前置審査における平成20年8月21日付け最後の拒絶理由通知に対し、何らの応答もなかったものである。 2.本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成20年2月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 DRM環境において、 コンテンツの再生可能な2つ以上の機器が属する論理領域を管理するサーバがコンテンツや該コンテンツに対するライセンス情報を受信するステップ1と、 前記各機器から前記コンテンツが要求されると、前記サーバが前記ステップ1で受信したライセンス情報を確認するステップ2と、 前記ステップ2から正当なライセンスであると確認されると、前記サーバは、前記機器に要求されたコンテンツを提供し、自分のライセンス情報の状態値を更新するステップ3と を含むことを特徴とするDRM技術のライセンス方法。 【請求項2】 前記ライセンス情報は、前記コンテンツを再生する回数を示す再生回数情報であることを特徴とする請求項1に記載のDRM技術のライセンス方法。 【請求項3】 前記ライセンス情報は、コンテンツの再生可能な機器の数を示す機器数情報であることを特徴とする請求項1に記載のDRM技術のライセンス方法。 【請求項4】 前記ライセンス情報は、コンテンツの再生可能な総時間を示すコンテンツ再生時間情報であることを特徴とする請求項1に記載のDRM技術のライセンス方法。」 3.前置審査における拒絶理由通知 前置審査における平成20年8月21日付けの最後の拒絶理由通知は、以下の通りのものである。 「 理 由 この出願の請求項1乃至4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 先行技術文献1:特開平10-63364号公報 先行技術文献2:特開2003-233535号公報 備考 請求項1について; 先行技術文献1には、その請求項10に、以下の記載がある。 「コンテンツを利用するための複数の計算機と、該複数の計算機とローカルネットワークを介して接続されるとともに、所定のネットワークを介してセンタ計算機に接続され、センタ計算機からの提供される各コンテンツを利用する権利の購入額に応じた利用条件に基づいて上記各計算機でのコンテンツの利用を管理するコンテンツ利用管理装置とを有し、該コンテンツ利用管理装置は、 コンテンツを利用する権利の購入額に応じて設定された利用条件をコンテンツ毎に保持するための利用条件保持手段と、 各コンテンツを利用するための複数の計算機と結合し、計算機からのコンテンツの利用要求に対して、上記利用条件保持定手段に保持された当該利用要求に係るコンテンツの利用条件に基づいてそのコンテンツの利用が可能か否かを判定する利用可能判定手段と、 利用判定手段が利用可能と判断したときに、該利用要求のあった計算機に対して、当該コンテンツの利用許可を与える利用許可手段とを有したコンテンツ利用システム。」 また、該先行技術文献1の明細書第0046段落には、以下の記載がある。 「利用条件更新部212bは、利用条件チェック部212aが利用要求に係るコンテンツの利用が可能であると判定したときに、今回の利用量分を利用条件で定めた利用許容量から減ずるように格納部250に格納された利用条件を更新する。例えば、利用条件が許容利用回数で定められている場合、その許容利用回数を1回分減ずる。」 そして、上記記載における「コンテンツを利用するための複数の計算機」、「利用条件」、「コンテンツ利用管理装置」は、それぞれ本願の請求項1における「コンテンツの再生可能な2つ以上の機器」、「コンテンツに対するライセンス情報」、「サーバ」に相当する。 さらに、先行技術文献1に記載された発明における「コンテンツ利用管理装置」は、ローカルネットワークにより接続されて構成される論理領域を管理するものといえ、先行技術文献1に記載された発明における利用管理技術は、本願でいう「DRM技術のライセンス」技術に他ならない。 したがって、先行技術文献1には、以下の発明が記載されていると認められる 。 DRM環境において、 コンテンツの再生可能な2つ以上の機器が属する論理領域を管理するサーバがコンテンツに対するライセンス情報を受信するステップ1と、 前記各機器から前記コンテンツが要求されると、前記サーバが前記ステップ1で受信したライセンス情報を確認するステップ2と、 前記ステップ2から正当なライセンスであると確認されると、前記サーバは、前記機器に要求されたコンテンツの利用許可を与え、自分のライセンス情報の状態値を更新するステップ3と を含むことを特徴とするDRM技術のライセンス方法。 そして、本願の請求項1に係る発明と、該先行技術文献1に記載された発明とを対比すると、以下の点が相違し、その余の点は一致する。 相違点:本願の請求項1に係る発明は、サーバが、ステップ1においてライセンス情報と共にコンテンツを受信すると共に、機器からのコンテンツの要求に応答してコンテンツ自体を提供しているのに対し、先行技術文献1に記載された発明におけるサーバは、ライセンス情報と共にコンテンツを受信してはおらず、機器からのコンテンツの要求に応答して当該コンテンツ自体を提供するものではない点 上記相違点について検討する。 先行技術文献2には、その請求項1に、メイン端末がホスト装置よりコンテンツの利用条件を定めた利用権情報をコンテンツと共に受信して管理し、当該メイン端末から送信されるコンテンツを利用するサブ端末からコンテンツの利用要求を受け付けた際に当該利用権情報に基づき、利用条件が満たす場合においてのみサブ端末に対してコンテンツを利用することを許可することが記載され、また、その明細書第0029段落には、サブ端末におけるコンテンツの再生・実行処理は、メイン端末のアクセス制御部42がサブ端末22の再生実行部56に対してコンテンツを出力することにより行われることも記載されているから、当該先行技術文献2には メイン端末が、利用権情報をコンテンツと共にホスト装置より受信すると共に、サブ端末からのコンテンツの利用要求に応答して当該サブ端末にコンテンツ自体を送信する発明が記載されているものと認められる。 そして、先行技術文献1に記載された発明におけるサーバ(コンテンツ利用管理装置)と、先行技術文献2に記載された発明におけるメイン端末とは、共にコンテンツのライセンス情報をホストから受信し、下位の複数の装置についてコンテンツの利用管理を行う装置である点で共通するから、先行技術文献1に記載された発明におけるサーバに対して先行技術文献2に記載された技術を適用し、サーバを、ライセンス情報とコンテンツとをホスト装置より受信すると共に、機器からのコンテンツの利用要求に応答してコンテンツ自体を提供する装置とすることで本願の請求項1に係る発明とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。 請求項2乃至4について; DRM技術におけるライセンス情報として (a)コンテンツの再生回数を用いることは、例えば先行技術文献1の明細書第0046段落及び図面図6(利用条件として、「あと10回利用可能」と記載されている)並びに先行技術文献2の図面図2(利用条件として、「5回まで」等の回数が設定されている)に記載されているように (b)コンテンツの再生可能な機器の数を用いることは、例えば先行技術文献2の図面図2(利用条件として、「3端末まで」という条件が記載されている)にに記載されているように (c)コンテンツの再生可能な総時間を用いることは、例えば先行技術文献1の図面図6(利用条件として、「あと10時間分利用可能」と記載されている)に記載されているようにいずれも周知であるから、本願の請求項2乃至4に係る発明も、先行技術文献1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。」 4.当審の判断 前置審査における上記の平成20年8月21日付け拒絶理由通知は妥当なものであるから、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-08-05 |
結審通知日 | 2009-08-11 |
審決日 | 2009-08-24 |
出願番号 | 特願2006-308327(P2006-308327) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮司 卓佳、鳥居 稔 |
特許庁審判長 |
吉岡 浩 |
特許庁審判官 |
石田 信行 冨吉 伸弥 |
発明の名称 | 複数の機器を支援するDRM技術のライセンス方法 |
代理人 | 村山 靖彦 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 渡邊 隆 |