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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1210181
審判番号 不服2007-34676  
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-25 
確定日 2010-01-25 
事件の表示 特許権存続期間延長登録願2005-700041(以下、「本件出願」という。)拒絶査定不服審判事件についてした平成20年11月25日付けの審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成21年(行ケ)第10092号、平成21年12月3日判決言渡)があったので、更に審理の結果、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本件出願については、特許権の存続期間の延長登録をすべきものとする。 特許番号 特許第2960039号 延長の期間05年00月00日 特許法第67条第2項の政令で定める処分の内容 平成19年1月11日付手続補正書により補正された願書に記載の とおり 
理由 1.本件出願
本件出願は、平成17年4月18日に出願されたものであり、特許第2960039号の特許発明の実施について特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとして、5年0月0日の特許権存続期間の延長を求めるものであり、当該政令で定める処分の内容は、平成19年1月11日付け手続補正書で補正された願書に記載されたとおりのものである。

2.原査定の理由
原査定の理由は、エタネルセプトは、特許第2960039号の特許明細書の請求項1に記載の「TNF-Rタンパク質」に相当しないので、本件出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないというものである。

3.平成20年11月25日付けの審決(前審決)の概要
前審決は、審判の請求は成り立たないというものである。エタネルセプトと本件特許明細書の請求項1に記載の「TNF-Rタンパク質」とを対比し、第2A-2B図のアミノ酸配列番号1は、請求項1記載のアミノ酸配列番号の1に対応するものであり、請求項1記載の配列におけるアミノ酸配列番号55のアミノ酸が「セリン」であるのに対して、エタネルセプトのそれに対応するアミノ酸配列番号77のアミノ酸は「アラニン」である点(以下、相違点1という。)、エタネルセプトのヒト免疫グロブリンG1のFc領域に対応するポリペプチドに相当するアミノ酸配列番号258?489のペプチドが請求項1に明示的に記載されていない点(以下、相違点2という。)、エタネルセプトのアミノ酸配列番号186?257のペプチドが請求項1に明示的に記載されていない点(以下、相違点3という。)において、エタネルセプトと本件特許の請求項1記載のタンパク質とは相違するとした。
そして、相違点1をもって直ちにエタネルセプトが請求項1に記載のペプチドに対応するものではないとすることはできないとし、次いで相違点2について、「・・・本発明の範囲内のTNF-R誘導体として記載されているものは、いずれも、TNF-RタンパクまたはTNF-R活性を有するその断片ペプチドを所望の構造形態(酸性、塩基性塩あるいは中性の形)としたり、TNF-Rポリペプチド自体の精製、同定やアッセイを容易にするために標識となるTNF-Rポリペプチドに比して相対的に低分子量の化学成分(グリコシル基、脂質、ホスフェート、アセチル基、ポリ-His、ペプチドAsp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys等)を付加する、あるいはTNF-Rポリペプチドをイムノアッセイ用の試薬やアフィニティ精製用の結合剤として使用するために、TNF-Rポリペプチドに支持体との架橋のための低分子量の化学成分(M-マレイミドベンゾイルスクシンイミドエステル等)を付加するものである。
そうすると、TNF-Rポリペプチドと、232のアミノ酸からなり、TNF-Rポリペプチドと同程度の大きさであるヒト免疫グロブリンG1のFc領域に対応するポリペプチドとの複合体であって、医薬の有効成分として機能するエタネルセプトが、上記の「本発明の範囲内のTNF-R誘導体」として開示されているものということはできない。」との判断を示した。相違点3については判断を示していない。

4.判示事項の概要
これに対し、知的財産高等裁判所において、審決取消の判決があり、判決は、相違点2に対する上記の前審決の判断は是認することができず、「エタネルセプト」は、相違点2において本件特許に係る発明と相違するものということはできないと、判示した。

5.当審の判断
上記の判示に従い,さらに検討する。
前審決では上記相違点3について判断をしていないので、以下、検討する。エタネルセプトのアミノ酸配列番号186?257のペプチドは、成熟全長ヒトTNF-Rタンパク質の一部であり、そして、本件特許明細書の実施例3「可溶性huTNF-RΔ235をコードするcDNAの構築」には、請求項1に明示的に記載されたペプチドにエタネルセプトのアミノ酸配列番号186?257のペプチドが付加されたペプチドがTNFと結合することが記載されているので、相違点3をもってエタネルセプトが請求項1に記載の「TNF-Rタンパク質」に含まれないとすることはできない。
そうすると、相違点2に対する前審決の判断は誤りとされ、それ以外に、エタネルセプトが請求項1に記載の「TNF-Rタンパク質」に相当しないとする理由は見当たらない。

6.むすび
したがって、本件出願については、原査定の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-21 
結審通知日 2008-10-22 
審決日 2008-11-25 
出願番号 特願2005-700041(P2005-700041)
審決分類 P 1 8・ 71- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小堀 麻子  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 穴吹 智子
星野 紹英
発明の名称 腫瘍壊死因子?αおよび?βレセプター  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  
代理人 安村 高明  

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