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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47L
管理番号 1210204
審判番号 不服2007-34023  
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-17 
確定日 2010-01-13 
事件の表示 特願2004-246941「サイクロン集塵装置及びこれを用いた真空掃除機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年11月 4日出願公開、特開2005-305111〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成16年8月26日(パリ条約による優先権主張2004年4月16日、大韓民国)の特許出願であって、同19年5月23日付で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同19年8月6日に意見書と共に特許請求の範囲、明細書について手続補正書が提出されたが、同19年9月10日付で拒絶をすべき旨の査定がされ、同19年12月17日に本件審判の請求がされると共に特許請求の範囲、明細書について再度手続補正書が提出されたものである。

第2 平成19年12月17日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年12月17日付の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲について補正をすると共にそれに関連して明細書の一部について補正をするものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(1)補正前
「吸込口と、
該吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃を捕集する第1集塵筒部と、
該第1集塵筒部を通過した小さい塵埃を捕集する第2集塵筒部と、
前記第1及び第2集塵筒部それぞれと連通されているサイクロン形成部と、
該サイクロン形成部に設けられ前記吸込口を介して吸い込まれる塵埃と衝突し、前記第2集塵筒部に旋回気流を形成する塵埃分離ユニットと、
該塵埃分離ユニットと離隔するよう前記サイクロン形成部の内部に配置される排気管とを含み、
前記塵埃分離ユニットは、前記サイクロン形成部及び前記排気口の中心軸と同軸上に配置され、前記吸込口側に突出して形成された突起部と、前記突起部に一端が連結され、他端は前記サイクロン形成部の内周面上に連結され前記サイクロン形成部の内部に旋回気流を形成する複数のブレードとを含む、ことを特徴とするサイクロン集塵装置。」

(2)補正後
「吸込口と、
該吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃を捕集する第1集塵筒部と、
該第1集塵筒部を通過した小さい塵埃を捕集する第2集塵筒部と、
前記第1及び第2集塵筒部それぞれと連通されているサイクロン形成部と、
該サイクロン形成部に設けられ前記吸込口を介して吸い込まれる塵埃と衝突し、前記第2集塵筒部に旋回気流を形成する塵埃分離ユニットと、
該塵埃分離ユニットと離隔するよう前記サイクロン形成部の内部に配置される排気管と、
前記塵埃分離ユニットは、前記サイクロン形成部及び前記排気口の中心軸と同軸上に配置され、前記吸込口側に突出して形成された突起部と、前記突起部に一端が連結され、他端は前記サイクロン形成部の内周面上に連結され前記サイクロン形成部の内部に旋回気流を形成する複数のブレードとを含み、
前記吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、前記突起部及び前記複数のブレードに衝突して前記第1集塵筒部に捕集され、前記サイクロン形成部で形成された旋回気流によって遠心分離された小さい塵埃は第2集塵筒部に捕集され、
前記第1及び第2集塵筒部は、その底面がヒンジ回動するドア部材によって開閉されることを特徴とするサイクロン集塵装置。」

2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、「前記吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、前記突起部及び前記複数のブレードに衝突して前記第1集塵筒部に捕集され、前記サイクロン形成部で形成された旋回気流によって遠心分離された小さい塵埃は第2集塵筒部に捕集され」という事項及び「前記第1及び第2集塵筒部は、その底面がヒンジ回動するドア部材によって開閉される」という事項を付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とすることが明らかであるので、さらに、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(1)補正発明
補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、上記1(2)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「サイクロン集塵装置」であると認める。

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願の優先権主張日前に日本国内において頒布された刊行物である特公昭44-26236号公報(以下「引用例」という。)の記載内容は以下のとおりである。

ア 引用例記載の事項
引用例には以下の事項が記載されている。

(ア)第1欄第19?21行
「本発明は塵埃の大きさの種類に応じ集塵する場所を別個に設けるようにした電気掃除機に関するものである。」

(イ)第1欄第27?35行
「すなわち従来電気掃除機の対象となる塵埃は、
(1)比較的大きな固形物
(紙片、木片、金属片等)
(2)比較的大きな粒状塵埃
(数10μ以上の土埃等)
(3)比較的小さな粒状塵埃
(数10μ以下の土埃等)
(4)短繊維状塵埃
の4種類に分けられる」

(ウ)第2欄第3?33行
「本発明を以下、一実施例図面に基づき詳細に説明する。図面において1は電気掃除機本体(以下本体と称す)2は蝶番3により本体1に開閉自在に取付けられる前蓋で、止金具4により本体1に固定される。5は1?2mm程度の篩目を有する金網、サラシネット等をバスケット状に成形してなる篩分集塵器で、前蓋2を開いた時、取り出せるように本体1に嵌挿されている。6は遠心集塵装置で,ラツパ状の吸込口7を有する外筒8と、この外筒8内にスクリュー状に複数個設けられる案内翼9と、一端は外筒8に挿入され、かつ他端はラッパ状に形成してなる内筒10と、外筒8と内筒10との間隙を通り外筒8の外に飛び出た塵埃を溜めるバンカー11とよりなっている。12は外筒8の支持装置で、この支持装置12により外筒8の中心と本体1の中心とを一致させる。外筒8の開放部8’は本体1の内側に密着している。13は布紙等からなる集塵袋で、縁14を形成している。15は電動機16および排風機17を内設した後蓋で、蝶番18にて本体1に開閉自在に取り付けられ、止金具19にて本体1に固定される内管10は集塵袋13と一緒に本体1と後蓋15との間に挟持されるもので、後蓋15を開くと簡単に取り外すことができるようになっている。20は後蓋15の上面に設けられた空気吐出口、21,21’は車輪、22は電源スイッチ、23は送風機17の支持具、24は内筒10に設けられた突起で、この突起24によりバンカー11を支持装置12に圧着させる。25は弾性体、26はハンドル、27は前蓋2に設けられた吸込口である。」

(エ)第2欄第37行?第3欄第18行
「以上の構成により作用を説明する。まず電源スイッチ22を入れて電動機16を作動させ排風機17を回転させると前蓋2の吸込口27より塵埃と空気が一緒に吸入される。吸入されてきた塵埃のうち、上記(1)および(4)の種類の塵埃は篩分集塵器5にて捕捉される。
次に残りの塵埃と空気は篩分集塵器5を通過し、遠心集塵装置6の外筒8にはいり、ここで案内翼9により旋回され、上記(2)の種類の塵埃は遠心分離され、外筒8の内側を伝わつて端部よりバンカー11に落下して蓄積される。
最後に篩分集塵器5および遠心集塵装置6にて取り除かれなかつた上記(3)の種類の塵埃と空気は内筒10を通つて集塵袋13にはいり、ここにて塵埃は完全に捕捉され空気のみが集塵袋13を通過して吐出口20より外部に排出される。
このようにして捕捉された塵埃を捨てるには、まず前蓋2を開いて篩分集塵器5を取り出し、次に後蓋15を開いて集塵袋13を取り出すと共に内筒10を外しバンカー11を引き出せばよい。」

(オ)図面
上記(ウ)中の「外筒8内にスクリュー状に複数個設けられる案内翼9」なる記載から、複数個の案内翼9は、その中央部(中心部)に配置された部材に設けられていることは明らかである。図面を参照すると、スクリュー状に複数個設けられる案内翼9は、遠心集塵装置6の外筒8及び内筒10の中心軸と同軸上に配置され、吸込口7ないし27側に突出して形成された突起状部材(図面の→に対向している部材)に一端が連結され、他端は外筒8の内周面上に連結されていると解される。

イ 引用例記載の発明
引用例記載の事項を補正発明に照らして整理すると引用例には以下の発明が記載されていると認める。

「吸込口27と、
該吸込口27を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された比較的大きな固形物等を捕捉する金網、サラシネット等からなる篩分集塵器5が設けられた電気掃除機本体1の前側筒部と、
該前側筒部を通過した比較的大きな粒状塵埃を捕集するバンカー11を設けた電気掃除機本体1の後側筒部と、
前記前側及び後側筒部それぞれと連通されている遠心集塵装置6の外筒8と、
該外筒8に設けられ、前記後側筒部に旋回気流を形成するスクリュー状に複数個設けられる案内翼9と、
該案内翼9と離隔するよう前記外筒8の内部に配置される内筒10と、
前記スクリュー状に複数個設けられる案内翼9は、遠心集塵装置6の外筒8及び内筒10の中心軸と同軸上に配置され、吸込口7ないし27側に突出して形成された突起状部材に一端が連結され、他端は外筒8の内周面上に連結されており、
前記吸込口27を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された比較的大きな固形物等は、前記前側筒部に設けられた金網、サラシネット等からなる篩分集塵器5によって捕捉され、前記遠心集塵装置6の外筒8で形成された旋回気流によって遠心分離された比較的大きな粒状塵埃は前記後側筒部に設けられたバンカー11に捕集され、
前記前側及び後側筒部は、それぞれその端面が蝶番3及び蝶番18によって回動する前蓋2及び後蓋15によって開閉される電気掃除機。」

(3)対比
補正発明と引用例記載の発明とを対比すると以下のとおりである。
引用例記載の発明の「電気掃除機本体1の前側筒部」は、上記(2)ア(イ)における塵埃の4区分からみて、空気中に含有された比較的大きな固形物等、すなわち、大きい塵埃を捕集する部分であるという限りで、補正発明の「第1集塵筒部」と共通している。
そして、引用例記載の発明において、前側筒部を通過した「比較的大きな粒状塵埃」は、比較的大きな固形物等、すなわち、大きい塵埃に較べれば「小さな塵埃」ということができるものであり、引用例記載の発明の「前側筒部を通過した比較的大きな粒状塵埃を捕集するバンカー11を設けた電気掃除機本体1の後側筒部」は、補正発明の「第1集塵筒部を通過した小さい塵埃を捕集する第2集塵筒部」に相当する。
また、引用例記載の発明の「前側及び後側筒部それぞれと連通されている遠心集塵装置6の外筒8」は、補正発明の「第1及び第2集塵筒部それぞれと連通されているサイクロン形成部」に相当し、引用例記載の発明の「内筒10」は、補正発明の「排気管」ないし「排気口」に相当し、引用例記載の発明の「突起状部材」は、補正発明の「突起部」に相当する。
また、引用例記載の発明の「案内翼9」は、サイクロン形成部に設けられ、第2集塵筒部に旋回気流を形成するユニットであって、サイクロン形成部及び排気口の中心軸と同軸上に配置され、吸込口側に突出して形成された突起部と、前記突起部に一端が連結され、他端は前記サイクロン形成部の内周面上に連結され前記サイクロン形成部の内部に旋回気流を形成する複数のブレードとを含むユニットであるという限りで、補正発明の「塵埃分離ユニット」と共通している。
そして、引用例記載の発明において「吸込口27を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された比較的大きな固形物等は、前記前側筒部に設けられた金網、サラシネット等からなる篩分集塵器5によって捕捉され、前記遠心集塵装置6の外筒8で形成された旋回気流によって遠心分離された比較的大きな粒状塵埃は前記後側筒部に設けられたバンカー11に捕集され」ることは、吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、前記第1集塵筒部に捕集され、前記サイクロン形成部で形成された旋回気流によって遠心分離された小さい塵埃は第2集塵筒部に捕集されるという限りで、補正発明において「吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、前記突起部及び前記複数のブレードに衝突して前記第1集塵筒部に捕集され、前記サイクロン形成部で形成された旋回気流によって遠心分離された小さい塵埃は第2集塵筒部に捕集され」ることと共通している。
また、引用例記載の発明において「前側及び後側筒部は、それぞれその端面が蝶番3及び蝶番18によって回動する前蓋2及び後蓋15によって開閉される」ことは、第1及び第2集塵筒部は、蝶番、すなわち、ヒンジ回動する部材によって開放されるという限りで、補正発明において「第1及び第2集塵筒部は、その底面がヒンジ回動するドア部材によって開閉される」ことと共通している。
さらに、引用例記載の発明は「電気掃除機」として表現されているが、サイクロンにより集塵する点に注目して、補正発明と同様に「サイクロン集塵装置」としても表現できるものである。

したがって、補正発明と引用例記載の発明とは、以下の点で一致しているということができる。
「吸込口と、
該吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃を捕集する第1集塵筒部と、
該第1集塵筒部を通過した小さい塵埃を捕集する第2集塵筒部と、
前記第1及び第2集塵筒部それぞれと連通されているサイクロン形成部と、
該サイクロン形成部に設けられ、前記第2集塵筒部に旋回気流を形成するユニットと、
該ユニットと離隔するよう前記サイクロン形成部の内部に配置される排気管と、
前記ユニットは、前記サイクロン形成部及び前記排気口の中心軸と同軸上に配置され、前記吸込口側に突出して形成された突起部と、前記突起部に一端が連結され、他端は前記サイクロン形成部の内周面上に連結され前記サイクロン形成部の内部に旋回気流を形成する複数のブレードとを含み、
前記吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、前記第1集塵筒部に捕集され、前記サイクロン形成部で形成された旋回気流によって遠心分離された小さい塵埃は第2集塵筒部に捕集され、
前記第1及び第2集塵筒部は、ヒンジ回動する部材によって開放されるサイクロン集塵装置。」

そして、補正発明と引用例記載の発明とは、以下の2点で相違している。
ア 相違点1
吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、補正発明では、第2集塵筒部に旋回気流を形成するユニットの突起部及び複数のブレードに衝突して第1集塵筒部に捕集されるのに対して、引用例記載の発明では、第1集塵筒部に設けられた金網、サラシネット等からなる篩分集塵器で捕捉されるものであり、案内翼が設けられた突起状部材及び複数の案内翼に衝突して捕集されるものか不明である点。

イ 相違点2
補正発明では、第1及び第2集塵筒部は、その底面がヒンジ回動するドア部材によって開閉されるのに対して、引用例記載の発明では、そのようになっていない点。

(4)相違点の検討
ア 相違点1について
電気掃除機の集塵装置に限らず、一般に、粒子を含有するガスまたは蒸気の流を衝突板に衝突させると、ガスまたは蒸気から当該粒子が分離されることは、特に例示するまでもなく従来周知であり、引用例記載の発明の突起部と複数のブレードとを含むユニットも、その構造からみて、空気の流れに対する障害物となりうるものであり、空気中に含有された塵埃を空気から分離する機能を有するものであることは明らかである。
そして、電気・機械装置を設計・製作するに当たって、その機能を損なわない限り部品点数をできるだけ少なくすることは、当然に求められている事項であることを考慮すると、引用例記載の発明において、塵埃径及びそれらの割合(構成比)にあわせて、篩分集塵器を排除し、上記ユニットによって空気中に含有された大きい塵埃を分離するよう構成することに格別の困難性は見当たらない。

請求人は、回答書で、「引用文献1(当審注、「引用例」に同じ。)記載の発明においては、大きなゴミ(比較的大きな固形物)は、金網(5)で捕捉されますので、金網を通過したゴミを衝突分離手段で分離する必要性は、全くありません。仮に、多数のゴミの粒子の一つが引用文献1の突起部あるいはブレードに衝突して、空気流から分離したとしても、当該突起部あるいはブレードを、衝突による分離手段とは言いません(単なるこじつけに過ぎません)」と主張する。
しかし、上記のとおり、「複数のブレードとを含むユニット」は、その構造上、「塵埃を空気から分離する機能を有するもの」となりうるものである。
そして、篩によるゴミ分離技術においては、ゴミの状態に応じて、篩の目の大きさを変えること、目の異なる篩を何段設けるかを考慮することは、設計的事項であり、同様に、「複数のブレードとを含むユニット」によるゴミ分離をどの程度寄与させるかは設計的事項である。
よって、「複数のブレードとを含むユニット」のみで十分な状況においては、上記のとおり、部品点数削減の観点から、篩分集塵器を排除することに格別の困難性は認められないから、請求人の主張は根拠がない。

イ 相違点2について
電気掃除機において、集塵部の底面をヒンジ回動するドア部材によって開閉可能にすることは、例えば、実願昭56-37723号(実開昭57-149853号)のマイクロフィルムに示されているように従来周知であり、この従来周知の事項を引用例記載の発明に適用して補正発明のように構成することに格別の困難性はない。

ウ 補正発明の効果について
また、補正発明によってもたらされる効果も、引用例記載の発明及び上記従来周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。

エ したがって、補正発明は、引用例記載の発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件出願の発明について
1 本件出願の発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、平成19年8月6日付手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本件出願の発明」という。)は、上記第2の1(1)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「サイクロン集塵装置」である。

2 引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容は、上記第2の2(2)に示したとおりである。

3 対比・検討
本件出願の発明は、上記第2の2で検討した補正発明から「前記吸込口を介して吸い込まれる塵埃が含まれた空気中に含有された大きい塵埃は、前記突起部及び前記複数のブレードに衝突して前記第1集塵筒部に捕集され、前記サイクロン形成部で形成された旋回気流によって遠心分離された小さい塵埃は第2集塵筒部に捕集され」という事項及び「前記第1及び第2集塵筒部は、その底面がヒンジ回動するドア部材によって開閉される」という事項を削除したものである。
そうすると、本件出願の発明を構成する事項のすべてを含み、さらに他の事項を付加する補正発明が上記第2の2(4)エで示したとおり、引用例記載の発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件出願の発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
したがって、本件出願の発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件出願の請求項2ないし請求項6に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-12 
結審通知日 2009-08-18 
審決日 2009-08-31 
出願番号 特願2004-246941(P2004-246941)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A47L)
P 1 8・ 121- Z (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五十嵐 康弘中川 隆司栗山 卓也  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 豊原 邦雄
今村 亘
発明の名称 サイクロン集塵装置及びこれを用いた真空掃除機  
代理人 伊東 忠彦  

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