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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21V 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F21V |
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管理番号 | 1210466 |
審判番号 | 不服2008-32696 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-12-25 |
確定日 | 2010-01-14 |
事件の表示 | 特願2004- 56904号「面板発光装置及びフィルタ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月15日出願公開、特開2005-251438号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件出願は、平成16年 3月 1日の出願であって、平成20年11月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月25日に本件審判請求がなされるとともに、平成21年 1月26日付けで手続補正(前置補正)がなされたものである。 2 平成21年 1月26日付けでした手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 【補正却下の決定の結論】 本件補正を却下する。 【理由】 2.1 本件補正 本件補正は、本願の請求項1に係る発明の面板発光装置において、面板本体の後端と発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させることについて、「前記面板本体の後端と前記発光体との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記発光体とに接した状態で着脱可能に介在させる」と限定しようとするものである。 この補正は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて新規事項を追加するものでなく、しかも、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か)について、以下に検討する。 2.2 本願補正発明 本件補正後の本件出願の請求項1に係る発明は、上記本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 導光板を有した面板本体と、この面板本体の後端に沿って設けた長尺部材と、この長尺部材に配置されて前記面板本体に当該面板本体の後端のみから光を導入する発光体とを具備してなるものにおいて、 前記面板本体の後端と前記発光体との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記発光体とに接した状態で着脱可能に介在させるとともに、 前記導光板に、面板本体の後端から前端へ向けて延びるV字溝を所定間隔で設けたことを特徴とする面板発光装置。」 (以下「本願補正発明」という。) 2.3 引用刊行物とその記載事項 (1)刊行物1の記載内容 (1-1)刊行物1に記載された事項 原査定の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である実願平4-74105号(実開平6-38117号)のCD-ROM(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに次のように記載されている。 (ア)「【0008】 【実施例】 この考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図1はこの考案の一実施例の照明器具付棚板の断面図である。図1において、1はランプ、2は安定器、3は透明アクリル板等からなる導光板、4はシルクスクリーン印刷により形成した光反射層、5は棚仕上材、6はカラーフィルタ、10は照明器具付棚板である。 【0009】 この照明器具付棚板10は、導光板3の端面にランプ1を設け、ランプ光を導光板3の端面から入射させるようにしている。導光板3の上面には光反射層4を形成し、導光板3の端面から入射した光を導光板3の下面から均一な光として照射するようにしている。導光板3の下面にはカラーフィルタ6を設けてあり、カラーフィルタ6を通して導光板3の下方が照射される。そして、光反射層4を形成している導光板3の上面に棚仕上材5を取り付けている。」 (1-2)刊行物1の記載より、刊行物1に記載されていることが明らかな事項 (a)【図1】及び【図2】より、導光板3の端面には、ランプ1が配設される長尺の部材を有することが明らかである。 (b)上記摘記事項(ア)には、「導光板3の端面にランプ1を設け、ランプ光を導光板3の端面から入射させるようにしている。」と記載されているが、当該記載及び【図2】より、ランプ1が導光板3の4つの端面のうち導光板3の後端のみに設けられていること、すなわち、導光板3に当該導光板3の後端のみから光を導入するランプ1を有することが明らかである。 (1-3)引用発明 すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているということができる。 「導光板3と、この導光板3の後端に沿って設けた長尺の部材と、この長尺の部材に配置されて前記導光板3に当該導光板3の後端のみから光を導入するランプ1とを具備してなる照明器具付棚板10。」 (2)刊行物2の記載内容 原査定の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-75424号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに次のように記載されている。 (イ)「【0032】図1及び図2は本発明の第1の実施形態を表わす。白色発光体である蛍光管5はケース3に納められているが、このケース3の一部に透明窓30が設けられ、この透明窓30に透光性を有する板材としての透明ガラス板2がその一側面部で取り付けられている。そしてケース3の透明窓30と透明ガラス板2との境に、透光性を有する着色体としての着色透明板4を挿脱するためのスリット31が設けられている。」 (ウ)「【0034】ここで、ネガフィルムやポジフィルムの色補正を行ないたいとする。もう少し黄色味が欲しいとするならば、前記スリット31に黄色の着色透明板4を挿入して行く。この挿入度合により透明ガラス板2がごく弱く黄色味掛かった状態から強く黄色味掛かった状態まで、自由に調節することが出来る。色補正をしたくないならスリット31から着色透明板4を抜き出せばよい。即ち、このような着色透明板4の挿脱により色補正を行ない得るように構成したことは、着色透明板4の透光度が可変であるように設けたことを意味する。」 (3)刊行物3の記載内容 本願出願前に頒布された刊行物である特開昭59-143202号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに次のように記載されている。 (エ)「第2図は、螢光管として、アパーチヤー型螢光管を使用した場合の見取図である。アパーチヤー型螢光管「4」(当審注:「4」は○内に4)は、第3図(a)の断面図に示すようにガラス壁「8」(当審注:「8」は○内に8)に反射膜「9」(当審注:「9」は○内に9),螢光体層「10」(当審注:「10」は○内に10)を塗布し、アパーチヤー部「5」(当審注:「5」は○内に5)には何も塗布しない構造、もしくは類似の構造を有している。したがつてアパーチヤー部「5」(当審注:「5」は○内に5)は通常の螢光管の数倍の光束発散度を得ている。言い換えると、螢光管の光束を集め、アパーチヤー部から放射していることに他ならない。このように集光された光束は、くさび状の導光系「6」(当審注:「6」は○内に6)に導びかれる。導光系「6」(当審注:「6」は○内に6)の入射端面はアパーチヤー部に近接して設置され、光束を無駄なく導ける構造になつている。この例では、そのために透明樹脂「11」(当審注:「11」は○内に11)で密着させている。」 2.4 対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「導光板3」は、本願補正発明の「導光板」に相当する。そして、本願補正発明では「導光板を有した面状本体」なる構成を有するが、本願明細書の【0024】段落及び【図1】?【図3】より明らかなとおり、面状本体は導光板からなることが明らかである。したがって、引用発明の「導光板3」は、本願補正発明の「導光板を有した面板本体」に対応する。 また、引用発明の「ランプ1」、「長尺の部材」及び「照明器具付棚板10」は、それぞれ、本願補正発明の「発光体」、「長尺部材」及び「面板発光装置」に相当する。 してみると、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「導光板を有した面板本体と、この面板本体の後端に沿って設けた長尺部材と、この長尺部材に配置されて前記面板本体に当該面板本体の後端のみから光を導入する発光体とを具備してなる面板発光装置。」 <相違点1> 本願補正発明では、「面板本体の後端と発光体との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記発光体とに接した状態で着脱可能に介在させ」ているのに対して、引用発明ではこのような構成を有しない点。 <相違点2> 本願補正発明では、「導光板に、面板本体の後端から前端へ向けて延びるV字溝を所定間隔で設けた」のに対して、引用発明ではこのような構成を有しない点。 2.5 相違点についての検討(容易想到性の判断) (1)上記各相違点について検討する。 <相違点1>について 刊行物2には、上記摘記事項(イ)及び(ウ)より、導光板と発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させる技術が記載されている。また、刊行物3には、発光体の光束を無駄なく導光板に導くために発光体と導光板とを近接して配置する技術が記載されている。 したがって、引用発明の面板発光装置に刊行物2及び3に記載の技術を適用し、面板本体の後端と発光体との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記発光体とに接した状態で着脱可能に介在させる程度のことは、当業者であれば容易に想到し得る。 <相違点2>について 導光板の後端に光源を配置したものにおいて、導光板の後端から前端へ向けて延びるV字溝を所定間隔で設けることは、周知の技術である(例えば特開2002-50219号公報の【0022】及び【0030】段落並びに【図2】及び【図3】、特開2001-236809号公報の【0027】及び【0028】段落並びに【図3】、登録実用新案第3038669号公報の【0005】及び【0006】段落並びに【図1】参照。)。 したがって、引用発明の面板発光装置に当該周知技術を適用し、上記相違点2に記載したような構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得る。 (2)効果について 本願補正発明の作用効果は、引用発明、刊行物2及び3に記載の技術及び上記周知技術から、当業者であれば予測できる範囲のものにすぎない。 (3)総合判断 本願補正発明は、引用発明、刊行物2及び3に記載の技術及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2.6 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 2.7 回答書にて提示の補正案について なお、請求人は、平成21年6月29日付けの審尋に対する、平成21年 8月26日付けの回答書において、 「出願人において、本願明細書の段落0031、0039の記載並びに図6(b)の記載に基づき、「発光体」との記載を、「アパーチャ管」とし、「前記面板本体の後端と前記アパーチャ管との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記アパーチャ管とに接した状態で着脱可能に介在させる」という記載に補正する所存がございます 」 と記載し、「発光体」を「アパーチャ管」と補正する補正案を提示している。 しかしながら、上記2[理由]2.3 引用刊行物とその記載事項の(3)にも記載したとおり、刊行物3にはアパーチヤー型螢光管が記載されており、引用発明の面板発光装置に刊行物2及び刊行物3に記載の技術を適用し、「面板本体の後端とアパーチャ管との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記アパーチャ管とに接した状態で着脱可能に介在させる」構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得る。 したがって、仮に当該補正案に基づいて補正がされたとしても、補正却下は免れない。 3 本願発明について 平成21年 1月26日付けでした手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は平成20年 8月25日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 導光板を有した面板本体と、この面板本体の後端に沿って設けた長尺部材と、この長尺部材に配置されて前記面板本体に当該面板本体の後端のみから光を導入する発光体とを具備してなるものにおいて、 前記面板本体の後端と前記発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させるとともに、 前記導光板に、面板本体の後端から前端へ向けて延びるV字溝を所定間隔で設けたことを特徴とする面板発光装置。」 (以下「本願発明」という。) 4 引用刊行物 原査定の拒絶の理由で引用された引用刊行物、その記載事項及び引用発明は上記2【理由】の「2.3 引用刊行物とその記載事項」に記載したとおりである。 5 対比 上記2【理由】の「2.1 本件補正」での検討によれば、本願補正発明においては、本願の請求項1に係る発明の面板発光装置において、面板本体の後端と発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させることについて、「前記面板本体の後端と前記発光体との隙間に、所定の色光を得るためのフィルタを前記面板本体の後端と前記発光体とに接した状態で着脱可能に介在させる」と限定されていたのに対し、本願発明では当該限定がなされてはいないものである。 そうすると、本願発明と引用発明を対比すると、両者の一致点は【理由】「2.4 対比」で検討したとおりであり、相違点は、以下のとおりである。 <相違点1’> 本願発明では、「面板本体の後端と発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させ」ているのに対して、引用発明ではこのような構成を有しない点。 <相違点2> 【理由】「2.4 対比」で示した「<相違点2>」に同じ。 6 相違点についての検討(容易想到性の判断) <相違点1’>について 刊行物2には、上記摘記事項(イ)及び(ウ)より、導光板と発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させる技術が記載されている。 したがって、引用発明の面板発光装置に刊行物2に記載の技術を適用し、面板本体の後端と発光体との間に、所定の色光を得るためのフィルタを着脱可能に介在させる程度のことは、当業者であれば容易に想到し得る。 <相違点2>について 【理由】「2.5 相違点についての検討(容易想到性の判断)」の(1)「<相違点2>について」で検討したとおり。 よって、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載の技術及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-10 |
結審通知日 | 2009-11-17 |
審決日 | 2009-12-01 |
出願番号 | 特願2004-56904(P2004-56904) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F21V)
P 1 8・ 121- Z (F21V) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土屋 正志 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
金丸 治之 藤井 昇 |
発明の名称 | 面板発光装置及びフィルタ |
代理人 | 赤澤 一博 |