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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E03D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03D
管理番号 1210631
審判番号 不服2008-9679  
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-17 
確定日 2010-01-21 
事件の表示 特願2002- 35143「衛生洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月27日出願公開、特開2003-239354〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年2月13日の出願であって、平成20年3月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月19日受付の手続補正がなされたものである。
その後、平成21年4月27日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、平成21年6月25日に回答書が提出された。

第2 平成20年5月19日受付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成20年5月19日受付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容、補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を次のとおりに補正しようとする補正事項を含むものである。
「洗浄水を被洗浄面に噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから噴出される洗浄噴流の物理量を可変する洗浄形態可変手段と、前記洗浄形態可変手段を操作して前記物理量を可変させる遠隔操作手段とを備えた衛生洗浄装置であって、前記洗浄形態可変手段が可変とする物理量は洗浄水水量であり、前記遠隔操作手段は壁面に設置されて前記壁面にフラットに設けた操作パネルを有し、その操作パネル面より前面方向に突出して前記操作パネル面に平行な方向に回転操作によって物理量を可変するようにした物理量操作部を設け、前記物理量操作部は、操作パネル面に平行に操作する周面を有することを特徴とする衛生洗浄装置。」

上記補正は、補正前の請求項1に係る発明の「物理量操作部」について、「操作パネル面に平行に操作する周面を有する」ものに限定するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

2.刊行物及びその記載内容
刊行物1:実願昭56-146286号(実開昭58-50179号)のマイクロフィルム
刊行物2:特開平10-317462号公報
刊行物3:特開2000-144847号公報

本願出願前に頒布された上記刊行物1には、次の事項が記載されている。
(1a)「本考案は、洋風便器に取り付けて使用され、洗浄ノズル、湯水タンク、ポンプおよびポンプ駆動用のモータからなり、洗浄ノズルからの噴出湯量をポンプ駆動用のモータの回転数の電気制御で調節しうるようにするとともに、上記調節用の可変抵抗器の任意の位置で操作しうるように配設した温水洗浄装置に関する。
本考案に用いるポンプ駆動モータとしては通常低速回転から高速回転まで任意に無段変速できる速度制御型を用いた。すなわちこの場合にはモータの回転速度の調整は電気回路に接続される可変抵抗器のつまみを回すだけでよく、回転数を変化させることによって洗浄ノズルから噴出する温水量を回転数とほぼ比例的に調節することができる。したがって可変抵抗器は任意長さのリード線を用い駆動モータから離して取付けることができる。」(明細書3頁3?19行)、
(1b)「以下第3図により本考案の実施例につき説明すると、6aはポンプ7の駆動用のモータであり該駆動用のモータ6aによりポンプ7を稼働し給水口17から流入した水が温水タンク8で加熱され温水となり洗浄ノズル9から噴出する。
12は駆動用のモータ6aに接続されたトライアックの位相制御方式による制御ユニットであり15は制御ユニット12に適宜長さのリード線16に連結された可変抵抗器13と可変抵抗器13の調整用つまみ14を有する操作盤である。なおリード線16としてはカールコードなどが便利である。
本考案は上記のように構成されるので、第4図に示すように使用者が便座に腰掛けた姿勢のまま手元の操作盤における調整用のつまみを回転することにより洗浄温水量を調節することができる。」(同3頁20行?4頁16行)。
(1c)第3図、第4図には、つまみ14は、操作盤面より前面方向に突出して前記操作盤面に平行な方向に回転操作されるものであること、操作パネル面に平行に回転操作するための周面を有していることが記載されている。
上記記載事項によれば、刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
「洗浄水を被洗浄面に噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから噴出される噴出湯量を可変に調整するポンプ駆動モータの制御ユニットと、前記制御ユニットを操作して前記噴出湯量を可変させる可変抵抗器を有する操作盤とを備えた衛生洗浄装置であって、前記操作盤は、その操作盤面より前面方向に突出して前記操作盤面に平行な方向に回転操作によって可変抵抗器を操作し、噴出湯量を可変するようにした調整用のつまみ部を設け、前記つまみ部は、操作パネル面に平行に操作する周面を有する衛生洗浄装置。」

同じく上記刊行物2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(2a)「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るリモコン装置を図1乃至図5に示す実施の形態に基づいて説明する。本実施の形態のリモコン装置1は、便所に備えられるリモコンであり、図1に示すように別個独立に形成したリモコン本体2と機能ボツクス3,4と蓋5とを、図2に示すように連結して一体化したものである。一体化したリモコン装置1は、・・・図示は省略したが、便所壁面等に取付板を介し又は介することなく取り付けられる。」、
(2b)「【0015】前記リモコン本体2は、便器本体(図示略)に併設した局部洗浄設備等の基本操作を行う操作スイツチが備えられる。操作スイツチとは、図1に示す如く、おしり洗浄起動用の「シヤワー」と表示されたスイツチ、女性ビデ洗浄起動用の「チヤーム」と表示されたスイツチ、乾燥起動用の「ドライ」と表示されたスイツチ、シヤワー等の停止用の「ストツプ」と表示されたスイツチ、洗浄水吐出用ノズルを操作する「ワイド洗浄」及び「洗浄位置」と表示されたスイツチ、便器本体に洗浄水を吐出するための「流す」と表示されたスイツチがある。機能ボツクス3は、便座及び便蓋の開閉操作を行う操作スイツチが備えられている。機能ボツクス4は、高齢者対応の便座昇降操作を行う操作スイツチが備えられている。」

同じく刊行物3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(3a)「【請求項1】 洗浄水で人体局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、
給水を受けた洗浄水を人体局部に吐水する洗浄機構と、
前記人体局部における洗浄位置を任意方向に移動させるために使用者に操作され、その操作状況に応じた任意方向への洗浄位置の移動指示を出力する少なくとも1つの操作手段と、
前記操作手段による洗浄位置の移動指示に基づいて、前記洗浄機構を移動する移動機構とを有することを特徴とする衛生洗浄装置。」、
(3b)「【0014】また、前記操作手段を、前記洗浄機構を有する本体部又は該本体部とは別体の遠隔操作部の少なくとも一方に有するものとすることができる。・・・特に、遠隔操作部の操作手段では、この遠隔操作部自体が使用者の操作の便が高い位置に設置されていることから、洗浄位置移動のための操作が容易となる。」、
(3c)「【0048】・・・図9は洗浄位置の移動のための操作機器を遠隔操作装置59に設けた変形例を説明する説明図、図10は遠隔操作装置或いは本体袖部に設ける表示パネルを説明する説明図である。
【0049】図9に示すように、変形例の遠隔操作装置59は、その正面の操作面に、お尻洗浄ボタン、ビデ洗浄ボタン、停止ボタンに加え、水勢等を表示する表示部と、ジョイスティック18に替わるトラックボール61とを有する。・・・トラックボール61は、上下・左右に正逆回転自在に保持されており、その操作方向と操作量は、遠隔操作装置内の図示しないセンシングデバイスで検知される。そして、このトラックボール操作方向と操作量は、遠隔操作装置内の図示しない電子制御装置により光信号に変換され、装置上端の発信部59aから衛生洗浄装置に出力されるようにされている。このトラックボール操作に基づく光信号を受けた衛生洗浄装置では、その制御ユニット58が、トラックボールの操作方向と操作量に応じてノズル駆動ユニット54あるいはサブ駆動ユニット40を駆動制御し、局部洗浄位置をノズル前後方向あるいは左右方向に調整する。つまり、ジョイスティック18の傾斜操作に替わって、遠隔操作装置におけるトラックボールの回転操作により洗浄位置調整がなされる。よって、このようにジョイスティック18に代替可能な操作機器(トラックボール)を遠隔操作装置に設ければ、使用者は無理な姿勢を採ることなくこの遠隔操作装置におけるトラックボール操作で、容易かつ簡便に洗浄位置を前後・左右に調整できる。」。

3.対比・判断
補正発明と刊行物1記載の発明とを対比する。
刊行物1記載の発明の「噴出湯量」は、補正発明の「洗浄噴流の物理量」及び「洗浄水水量」に相当し、また、刊行物1記載の発明の「ポンプ駆動モータの制御ユニット」、「操作盤」、「操作盤面」、「つまみ部」は、それぞれ補正発明の「洗浄形態可変手段」、「遠隔操作手段」、「操作パネル」、「物理量操作部」に相当する。
したがって、両者は、
「洗浄水を被洗浄面に噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから噴出される洗浄噴流の物理量を可変する洗浄形態可変手段と、前記洗浄形態可変手段を操作して前記物理量を可変させる遠隔操作手段とを備えた衛生洗浄装置であって、前記洗浄形態可変手段が可変とする物理量は洗浄水水量であり、前記遠隔操作手段は操作パネルを有し、その操作パネル面より前面方向に突出して前記操作パネル面に平行な方向に回転操作によって物理量を可変するようにした物理量操作部を設け、前記物理量操作部は、操作パネル面に平行に操作する周面を有する衛生洗浄装置」である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
遠隔操作手段が、補正発明では、壁面に設置されるものであって、壁面にフラットに設けた操作パネルを有しているのに対し、刊行物1記載の発明では、使用者が手元の持って操作するものであって、壁面に設置されるものではない点。

上記相違点について検討すると、衛生洗浄装置において、遠隔操作手段を壁面に設置し、壁面にフラットに設けた操作パネルを有するものとすることは刊行物2に記載されているように本願出願前周知であり、刊行物3には、遠隔操作手段に設けた操作面に、操作面に平行な方向に回転操作することによって物理量を可変するようにした物理量操作部(刊行物3におけるトラックボール)を設けること、それにより無理なく操作可能であることが記載されており、この遠隔操作手段は、「使用者の操作の便が高い位置に設置されていることから、・・・操作が容易となる。」(記載事項(3b))の記載からみて、壁面等に設置することを意図したものであることは明らかである。
そうすると、刊行物1記載の発明において、遠隔操作手段を壁面に設置し、壁面にフラットに設けた操作パネルに物理量操作部を設けたものとすることは、刊行物2、3記載の発明に基いて当業者が容易になし得ることである。

なお、本願明細書には、物理量操作部の例として、ホイールスイッチを用いたものも記載されているが、当該スイッチは、つまみ(ダイヤル)と同様に、ラジオや音楽機器の音量調節部等、可変量の操作部として周知のものであり、また、マウスコントローラの表面に設けられるホイールスイッチにも見られるとおり広く使用されているものであるから、刊行物1記載の発明において、つまみに代えてホイールスイッチを用いることも適宜なしうることである。

そして、補正発明の作用効果は全体として、刊行物1ないし3記載の発明から予測できる程度のものであり、格別顕著な効果を奏するとは認められない。

したがって、補正発明は、刊行物1ないし3記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成20年5月19日受付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成20年2月25日受付の手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち請求項1に係る発明は次のとおりである。
「洗浄水を被洗浄面に噴出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから噴出される洗浄噴流の物理量を可変する洗浄形態可変手段と、前記洗浄形態可変手段を操作して前記物理量を可変させる遠隔操作手段とを備えた衛生洗浄装置であって、前記洗浄形態可変手段が可変とする物理量は洗浄水水量であり、前記遠隔操作手段は壁面に設置されて前記壁面にフラットに設けた操作パネルを有し、その操作パネル面より前面方向に突出して前記操作パネル面に平行な方向に回転操作によって物理量を可変するようにした物理量操作部を設けたことを特徴とする衛生洗浄装置。」

2.刊行物の記載内容
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物1ないし3及びその記載内容は、前記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明は、前記「第2」で検討した補正発明から、「物理量操作部」について、「操作パネル面に平行に操作する周面を有する」との特定事項を省略したものである。
そうすると、本願の請求項1に係る発明の特定事項を全て含み、さらに限定事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 3.」に記載したとおり、刊行物1ないし3記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明も、同様の理由により、刊行物1ないし3記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

なお、回答書には補正案が提示されているが、補正案によっても上記拒絶の理由は解消されない。

3.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-11-17 
結審通知日 2009-11-24 
審決日 2009-12-09 
出願番号 特願2002-35143(P2002-35143)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E03D)
P 1 8・ 121- Z (E03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦七字 ひろみ  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 関根 裕
宮崎 恭
発明の名称 衛生洗浄装置  
代理人 宮井 暎夫  
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