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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 F24H 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 F24H 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24H 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 F24H 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F24H |
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管理番号 | 1210705 |
審判番号 | 不服2007-21900 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-08-08 |
確定日 | 2010-01-18 |
事件の表示 | 特願2002-149232号「電気温水器」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月3日出願公開、特開2003-343917号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年5月23日の出願であって、平成19年7月3日付けで拒絶査定がなされ(平成19年7月10日発送)、これに対し、平成19年8月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年8月23日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。 2.平成19年8月23日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年8月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。 [理由] 本件補正により、特許請求の範囲は、次のように補正された。 「【請求項1】 タンク内に所定量の水を供給し、その水を加熱ヒータで所定温度に加熱して取り出し可能な状態で貯留する電気温水器において、 前記タンクの底面形状と、前記加熱ヒータの平面形状を異なる形状にするとともに、前記加熱ヒータを、前記タンクの底面中央部分を加熱するように取り付けて、同底面の外周部分に非加熱面を設けるようにし、前記非加熱面に前記タンク内で発生するスケールを堆積させるようにしたことを特徴とする電気温水器。 【請求項2】 前記タンクの底面形状を四角形にし、前記加熱ヒータの平面形状を円形にした請求項1に記載の電気温水器。」(下線部は、補正箇所を示す。) この補正は特許請求の範囲の補正前の請求項1に、請求項2が新たに追加され、請求項の数は一つ増加して2とするものであり、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものとは認められない。 また、この補正は、請求項の削除、誤記の訂正、あるいは明りょうでない記載の釈明のいずれを目的としたものとも認められない。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成19年6月6日付けの手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「タンク内に所定量の水を供給し、その水を加熱ヒータで所定温度に加熱して取り出し可能な状態で貯留する電気温水器において、 前記タンクの底面形状と、前記加熱ヒータの平面形状を異なる形状にするとともに、前記加熱ヒータを、前記タンクの底面中央部分を加熱するように取り付けて、同底面の外周部分に非加熱面を設けるようにし、前記非加熱面に前記タンク内で発生するスケールを堆積させるようにしたことを特徴とする電気温水器。」 4.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭55-21435号(実開昭56-123942号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア)「タンク本体と、このタンク本体内を上下方向に仕切り下方に温水室を形成するとともに上方に上記温水室より大きい容積の給水室を形成する仕切壁と、この仕切壁に設けられ前記給水室と前記温水室とを連通させる連通路と、前記温水室内に配置され上記温水室内の液位が所定レベル以上のときの浮上力を受けて前記連通路を閉塞する浮力式弁と、前記温水室内を一定温度に加温する電気加熱機構と、前記温水室内の温水を選択的に外部へ排出可能とする排出機構とを具備してなることを特徴とする温水タンク装置。」(実用新案登録請求の範囲) (イ)「また、容器本体1の底壁外面には、この底壁を介して温水室3内を加温する電気ヒータ8が絶縁材で被覆された状態で取り付けられており、この電気ヒータ8は、温水室3内に設けられた温度センサ9の出力を基にして温水室3内が予め設定された温度となるように付勢される。」(第4頁第4-10行) (ウ)「このような構成であると、今、タンク本体1内に水を導入すると、この導入に伴なって温水室3内の液位が徐々に上昇し、この上昇に伴なって弁板7も上昇する。そして、温水室3の深さ以上に水を導入すると弁板7は仕切壁5の下面に係止され、以後、弁板7は導入された水の量とは無関係に上述した係止状態に保持される。」(第4頁第16行-第5頁第2行) (エ)第1図から、電気ヒータ8が、温水室3の底面の全面ではなく底面の中央部分を加熱するように取り付けられていることが読み取れる。 上記記載事項について検討すると、記載(ア)によれば、温水室3内の水を電気ヒータ8で一定温度に加熱して取り出し可能な状態で貯留する温水タンク装置が示されている。 記載(イ)、(エ)によれば、仮に温水室3の底面形状と電気ヒータ8の平面形状が共に円形であるとしても両者の直径は異なるので、両者は異なる形状であるといえる。そのため、記載(イ)、(エ)によれば、前記温水室3の底面形状と、前記電気ヒータ8の平面形状を異なる形状にするとともに、前記電気ヒータ8を、前記温水室3の底面中央部分を加熱するように取り付けて、同底面の外周部分に非加熱面を設けるようにしたことが示されている。 記載(ウ)によれば、温水室3内に所定量の水を供給することが示されている。 上記記載(ア)?(エ)の記載事項を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。 「温水室3内に所定量の水を供給し、その水を電気ヒータ8で一定温度に加熱して取り出し可能な状態で貯留する温水タンク装置において、 前記温水室3の底面形状と、前記電気ヒータ8の平面形状を異なる形状にするとともに、前記電気ヒータ8を、前記温水室3の底面中央部分を加熱するように取り付けて、同底面の外周部分に非加熱面を設けるようにした温水タンク装置。」 5.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「温水室3」は、本願発明の「タンク」に相当し、以下同様に、「電気ヒータ8」は「加熱ヒータ」に、「一定温度」は「所定温度」に、「温水タンク装置」は「電気温水器」に、それぞれ相当する。 そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。 (一致点) 「タンク内に所定量の水を供給し、その水を加熱ヒータで所定温度に加熱して取り出し可能な状態で貯留する電気温水器において、 前記タンクの底面形状と、前記加熱ヒータの平面形状を異なる形状にするとともに、前記加熱ヒータを、前記タンクの底面中央部分を加熱するように取り付けて、同底面の外周部分に非加熱面を設けるようにした電気温水器。」 そして、両者は次の点で相違する(対応する引用発明の用語を( )内に示す)。 (相違点) 本願発明では、非加熱面にタンク内で発生するスケールを堆積させるようにしたのに対して、引用発明では、非加熱面にタンク(温水室3)内で発生するスケールを堆積させるようにしているか否かが明確でない点。 上記相違点について検討する。 加熱手段を容器底部中央に設けて容器内の液体を加熱した場合に、加熱面から上昇し非加熱面に下降する対流が生じることは、例えば前審において提示した登録実用新案第3068181公報に記載されているように本願出願前技術常識である。また、湯を沸かす容器においてスケール(水垢)が容器内に付着することは、例えば特開平6-237861号公報及び特開平9-12938号公報に記載されているように本願出願前周知の技術事項である。 そのため、引用発明においても、タンク(温水室3)内で加熱面から上昇し非加熱面に下降する対流が生じ、その結果、タンク(温水室3)内で発生したスケールが下降した対流に乗って非加熱面に付着し堆積することは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明による効果も、引用発明、技術常識及び周知の技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、技術常識及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-09 |
結審通知日 | 2009-11-17 |
審決日 | 2009-11-30 |
出願番号 | 特願2002-149232(P2002-149232) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F24H)
P 1 8・ 574- Z (F24H) P 1 8・ 571- Z (F24H) P 1 8・ 572- Z (F24H) P 1 8・ 573- Z (F24H) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大屋 静男 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
稲垣 浩司 清水 富夫 |
発明の名称 | 電気温水器 |