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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1210708 |
審判番号 | 不服2007-28032 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-11 |
確定日 | 2010-01-18 |
事件の表示 | 特願2003-525417「2Dおよび3Dモデリングデータの同時使用法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月13日国際公開、WO03/21394、平成17年 1月20日国内公表、特表2005-502111〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯 本願は、平成14年8月30日(パリ条約による優先権主張西暦2001年8月31日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成18年11月1日付けの拒絶理由通知に対して平成19年4月24日付けで手続補正がなされたが、平成19年7月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成19年10月11日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに平成19年11月12日に手続補正がなされたものである。 第2 平成19年11月12日の手続補正についての補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年11月12日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 平成19年11月12日付けの手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「現実オブジェクトのモデリングのためにコンピュータで実施される方法であって、 3次元オブジェクトの複数の2次元表現をモデリングシステムにインポートするステップであって、前記複数の2次元表現は、3次元空間に配置された、異なる平面上で見られる前記3次元オブジェクトの投影を含むステップと、 ユーザから入力を受け取り、3次元モデリング空間内に配置されている複数の仮想表面上に前記複数の2次元表現を空間的に構成するステップであって、前記仮想表面が、ユーザによって構築中の3次元モデルの投影がレンダリングされる表面に対応するよう配置されているステップと、 ユーザ選択および前記2次元表現のエンティティの操作に基づいて前記3次元オブジェクトの前記3次元モデルを対話によって構築するステップであって、前記エンティティは、前記仮想表面上に表示される前記2次元表現の構成要素であるステップと、 前記複数の2次元表現と前記3次元モデルを前記3次元モデリング空間内に同時に表示するステップであって、前記2次元表現又は前記3次元モデルのいずれか一方の表現との対話又はその修正を他方の表現に反映させるステップと を含むことを特徴とする方法。」 と補正された。 2.補正の適否について この補正の適否について判断するに、補正前の特許請求の範囲の各請求項1?18のいずれにも、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記2次元表現又は前記3次元モデルのいずれか一方の表現との対話又はその修正を他方の表現に反映させるステップ」は、記載されていない。 しかも、このステップは、請求項1に新たな発明特定事項を追加するものであって、請求項1に記載の発明特定事項である各ステップのいずれをも限定するステップではない。 それゆえ、この補正は、請求項1に記載のいずれの発明特定事項をも限定的に減縮するものとすることはできない。 また、この補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 したがって、この補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定するいずれの要件をも満たしていないから、平成18年改正前の特許法17条の2第4項の規定に違反するものであり、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 平成19年11月12日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたから、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年4月24日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「現実オブジェクトのモデリングのためにコンピュータで実施される方法であって、 3次元オブジェクトの複数の2次元表現をモデリングシステムにインポートするステップであって、前記複数の2次元表現は、3次元空間に配置された、異なる平面上で見られる前記3次元オブジェクトの投影を含むステップと、 ユーザから入力を受け取り、3次元モデリング空間内に配置されている複数の仮想表面上に前記複数の2次元表現を空間的に構成するステップであって、前記仮想表面が、ユーザによって構築中の3次元モデルの投影がレンダリングされる表面に対応するよう配置されているステップと、 ユーザ選択および前記2次元表現のエンティティの操作に基づいて前記3次元オブジェクトの前記3次元モデルを対話によって構築するステップであって、前記エンティティは、前記仮想表面上に表示される前記2次元表現の構成要素であるステップと、 前記複数の2次元表現と前記3次元モデルを前記3次元モデリング空間内に同時に表示するステップと を含むことを特徴とする方法。」 1.引用刊行物 原審が拒絶の理由に引用した特開平11-66113号公報(平成11年3月9日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。 (1) 「【0004】本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、立体物を表示する三つの二次元データ、例えば正面図、左側面図及び平面図に基づいて、容易に立体図である三次元データを作成することができる三次元データ作成システム及び三次元データ作成方法を提供することを目的とするものである。」 (2) 「【0010】また、イメージスキャナ11から読み取る紙図面としては、各対象物についての、正面図と背面図のうちの少なくとも一方と、両側面図のうちの少なくとも一方と、平面図と底面図のうちの少なくとも一方との、少なくとも合計三つの紙図面を用いる。この読み取られた少なくとも三つの紙図面は、ハードディスク装置12に記録される。 【0011】三次元データ処理手段15は、本来的なCAD機能を備えるものであり、図1に示すように、割付け手段15aと、算出手段15bとを有する。割付け手段15aは、ハードディスク装置12に記録された一の対象物についての少なくとも三つの二次元データを、CRT表示装置13の画面上に表示される三次元座標系上の各平面に対応付けると共に、その各二次元データを三次元座標系上の対応する各平面に配置してCRT表示装置13の画面上に表示するものである。 【0012】CRT表示装置13は、三次元データ処理手段15で処理された結果を表示するものである。位置入力装置14は、CRT表示装置13の画面上で所定の位置を指示するためのものであり、キーボードやマウス等が用いられる。具体的には、例えば、割付け手段15aによりCRT表示装置13の画面上に表示された二次元データ上で、少なくとも二つの二次元データにおいて共通する点の位置を指示したり、また、直線、自由曲線、円、楕円、円弧、円筒、直方体、球等を含む図形要素を指定したりする。 【0013】三次元データ処理手段15の算出手段15bは、位置入力手段14により少なくとも二つの二次元データにおいて共通する点の位置が指示されたときに、その指示された少なくとも二つの点の情報に基づいて、かかる共通する点に対応する三次元座標系上の位置を算出して、CRT表示装置13の画面上に表示するものである。また、算出手段15bは、位置入力手段14により指定された図面要素をCRT表示装置13の画面上に表示する。 【0014】位置合わせ手段16は、三次元座標系上の所定の一点(基準点)と、その基準点に対応する各二次元データ上の点とが位置入力装置14から指示されたときに、各二次元データを、割付け手段15aにより三次元座標系上に配置された平面上で移動させることにより、各二次元データ上の基準点に対応する点を、基準点に一致させる処理を行うものである。」 (3) 「【0020】次に、本実施形態の三次元データ作成システムを用いて三次元データを作成する処理手順について具体的に説明する。ここでは、図3に示すような対象物Mについての立体斜視図を作成する場合を考える。図4(a)にその対象物Mの平面図を、図4(b)にその対象物Mの正面図を、そして、図4(c)にその対象物Mの左側面図を示す。 【0021】最初に、図4に示す対象物Mについての平面図、正面図、左側面図の三つの図面についての二次元データを作成する。図5は紙図面をイメージスキャナ11から読み取り、二次元データ(ラスターデータ)を得る処理のフローチャートである。まず、紙図面をイメージスキャナ11で読み取り(step11)、ラスターデータを生成する(step12)。次に、かかるラスターデータを圧縮した後(step13)、これをハードディスク装置12に格納する(step14)。この二次元データの読み取り作業は、平面図、正面図、左側面図の各紙図面について行われる。これにより、ハードディスク装置12には、図4に示す平面図、正面図、左側面図の三つの図面が記録される。 【0022】次に、ハードディスク装置12に記録された二次元データを用いて、三次元データを作成する。図6は二次元データを用いて三次元データを作成する処理のフローチャートである。まず、オペレータが、図4に示す平面図、正面図、左側面図についての三つの二次元データを位置入力装置14により指定すると、三次元データ処理手段15は、その指定された三つの二次元データをハードディスク装置12から読み出す(step21)。次に、オペレータは、二次元データをCRT表示装置13に表示させるときの三次元空間における視線方向に関する情報や、各二次元データを三次元座標系(xyz座標系)上に配置する平面に関する情報を入力する。かかる平面に関する情報としては、例えば、図4(a)に示す平面図についてはxy平面を、図4(b)に示す正面図についてはyz平面を、図4(c)に示す左側面図についてはzx平面を指定する。また、オペレータは、CRT表示装置13に表示する際の縮尺情報も入力する。すると、割付け手段15aは、かかる情報に基づいて三つの二次元データを所望の座標系にマッピングする(step22)。マッピング処理は、具体的には、まず、各二次元データを三次元座標系上に配置する平面に関する情報に基づいて、各二次元データを三次元座標系上に張り付ける。 【0023】その後、割付け手段15aは、マッピング処理の結果に基づいて、各二次元データをそれぞれ、CRT表示装置13の画面上に表示される三次元座標上の対応する平面に配置し、その三次元座標系上に張り付けられた二次元データを、視線方向から見て、その視線方向に垂直な平面(二次元座標系)に射影することによって、二次元データをその二次元座標系にマッピングすることにより、その三次元空間を所定の視線方向から見た図がディスプレイ装置13の画面上に表示される(step23)。 【0024】図7にマッピング処理後におけるCRT表示装置13の画面上に表示された各二次元データを示す。ここでは、対象物Mの平面図をxy平面に配置し、その正面図をyz平面に配置し、その左側面図をzx平面に配置している。また、平面図、正面図、左側面図の三つの二次元データと共に、三次元データである三次元座標系の各座標軸(x軸、y軸、z軸)を表示している。」 ここには、 (A)紙図面をイメージスキャナ11から読み取ることにより、対象物Mについての平面図、正面図、左側面図の三つの図面についての二次元データをハードディスク装置12に格納する点(【0021】)、 (B)各二次元データを三次元座標系(xyz座標系)上に配置する点(【0022】)、 (C)各二次元データをそれぞれ、CRT表示装置13の画面上に表示される三次元座標上の対応する平面に配置する点(【0023】)、 (D)対象物Mの平面図をxy平面に配置し、その正面図をyz平面に配置し、その左側面図をzx平面に配置する点(【0024】)、 (E)CRT表示装置13の画面上に、平面図、正面図、左側面図の三つの二次元データと共に、三次元データである三次元座標系の各座標軸(x軸、y軸、z軸)を表示する点(【0024】)が記載されている。 (4) 「【0028】次に、対象物Mについての三次元データの作成を行う(step26)。まず、オペレータは、位置入力装置14を用いて、三つの二次元データのうちの少なくとも二つの二次元データにおいて共通する点の位置をCRT表示装置13の画面上に表示された二次元データ上で指示する。例えば、図8において、平面図についてはAxy点を、左側面図についてはAzx点を指定する。ここで、三次元座標系におけるAxy点の座標は(Ax ,Ay ,0)であり、また、Azx点の座標は(Ax ,0,Az )であるとする。すると、算出手段15bは、その指示されたAxy点及びAzx点の情報に基づいて、Axy点及びAzx点に対応する三次元座標系上の位置A=(Ax ,Ay ,Az )を算出し、CRT表示装置13の画面上に表示する。同様に、平面図についてはBxy点を、左側面図についてはBzx点を指定すると、算出手段15bは、Bxy点及びBzx点に対応する三次元座標系上の位置Bを算出し、CRT表示装置13の画面上に表示する。また、オペレータは、位置入力装置14を用いて、図形要素として直線を指示すると共に、その始点(A点)と終点(B点)とを指定することにより、算出手段15bは、CRT表示装置13の画面上でA点とB点とを結ぶ線分Sを表示する。このようにして、オペレータは、対象物Mの平面図、正面図及び左側面図を用いて、対象物Mの図3に示すような立体斜視図を容易に作成することができる。」 ここには、 (F)オペレータが、「位置入力装置14を用いて、三つの二次元データのうちの少なくとも二つの二次元データにおいて共通する点の位置をCRT表示装置13の画面上に表示された二次元データ上で指示」し、同じくオペレータが、「位置入力装置14を用いて、図形要素として直線を指示すると共に、その始点(A点)と終点(B点)とを指定することにより、算出手段15bは、CRT表示装置13の画面上でA点とB点とを結ぶ線分Sを表示する」点、(線分Sは、対象物Mの立体斜視図の一部の線分である。) (G)「このようにして、オペレータは、対象物Mの平面図、正面図及び左側面図を用いて、対象物Mの図3に示すような立体斜視図を容易に作成することができる」点が記載されている。 (5) 「【0031】また、上記の実施形態では、二次元データとしてラスターデータを用いた場合について説明したが、二次元データとしては、CADデータであってもよい。この場合、二次元CADデータは補正手段で歪み補正をする必要はない。」 (6)図7、図8及び図3を上記段落【0028】と共に参照すると、xy平面、yz平面、zx平面に描かれた平面図等に囲まれて三次元モデルの一部である「線分S」が配置されており、このことから、前記xy平面、yz平面、zx平面は、構築中の対象物Mの三次元データの投影がレンダリングされる表面に対応するよう配置されており、引用文献1に記載された発明は、そのような配置をするステップを当然に備えているものと認められる。 以上を総合すると、引用文献1には、 「対象物Mのモデリングのためにコンピュータで実施される方法であって、 対象物Mについての平面図、正面図、左側面図についての二次元データを三次元データ作成システムに入力するステップと、 三次元座標系(xyz座標系)上のxy平面、yz平面、zx平面に対象物Mの二次元データを配置するステップと、前記xy平面、yz平面、zx平面が、ユーザによって構築中の対象物Mの三次元データの投影がレンダリングされる表面に対応するよう配置されるステップと、 表示装置に表示された二次元データ上でのオペレータによる指示に基づき、二次元データに基づいて三次元モデルである立体斜視図を構築するステップと を含む方法」が記載されているものと認める。以下、これを「引用発明」という。 2.対比 本願発明と引用例1に記載された発明を対比する。 (1)引用発明の「対象物M」は、本願発明の「3次元オブジェクト」に相当する。 (2)引用発明の「二次元データ」は、本願発明の「2次元表現」に相当する。 (3)引用発明の「三次元座標系(xyz座標系)上のxy平面、yz平面、zx平面」は、本願発明の「仮想表面」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「現実オブジェクトのモデリングのためにコンピュータで実施される方法であって、 3次元オブジェクトの複数の2次元表現をモデリングシステムにインポートするステップであって、前記複数の2次元表現は、3次元空間に配置された、異なる平面上で見られる前記3次元オブジェクトの投影を含むステップと、 ユーザから入力を受け取り、3次元モデリング空間内に配置されている複数の仮想表面上に前記複数の2次元表現を空間的に構成するステップであって、前記仮想表面が、ユーザによって構築中の3次元モデルの投影がレンダリングされる表面に対応するよう配置されているステップと、 ユーザ選択に基づいて2次元表現から3次元モデルを対話によって構築するステップと を含む方法」である点。 (相違点1) 本願発明は、「2次元表現のエンティティの操作に基づいて前記3次元オブジェクトの前記3次元モデルを対話によって構築するステップであって、前記エンティティは、前記仮想表面上に表示される前記2次元表現の構成要素であるステップ」を備えるのに対して、 引用発明は、仮想表面上に表示される2次元表現から3次元モデルを対話によって構築するものの、2次元表現のエンティティの操作に基づいて前記3次元モデルを構築するステップは備えていない点。 (相違点2) 本願発明は、「複数の2次元表現と3次元モデルを前記3次元モデリング空間内に同時に表示するステップ」を備えるのに対して、 引用発明は、そのようなステップを備えていない点。 3.判断 (相違点1に対して) 原審が引用した特開2000-148832号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の点が記載されている。 立体図形FBのXY図面、FB1、YZ図面FB2、ZX図面FB3および透視図FB4を表示装置に表示させる点(段落【0018】)。 「図4に示すように表示装置15に表示された少なくとも立体図形FB1?FB3のうちYZ平面図FB2において、図中右下の制御点2MにポインタMPを合わせ、図5に示すようにマウスを所望の方向(図ではY方向)にドラッグしてその制御点2Mを移動させ、立体図形のYZ平面図FB2を所望の形に変形させる。すると、このマウスによる入力操作を受けて、表示装置15の画面上の立体図形のXY平面図FB1、ZX平面図FB3および透視図FB4上の全てにおいて連動して対応する制御点2m,2m…が対応位置に移動し、これに応じて立体図形のXY面図FB1、ZX面図FB3および透視図FB4が連動して変形する(通過点が移動する)。」(【0025】)点。 ここで、引用文献2における「透視図」は、本願発明の「3次元モデル」に相当する。 すなわち、引用文献2には、XY図面等に表示された2次元表現を対話的に操作することにより、3次元モデルである透視図FB4を連動して変形させる点が記載されている。 引用発明は、本願発明の「仮想表面」に相当する「三次元座標系(xyz座標系)上のxy平面、yz平面、zx平面」に表示された対象物Mの2次元表現から3次元モデルである立体斜視図を構築するものであるから、引用発明において、同じく、2次元表現との対話的な操作に基づいて3次元モデルを変形させる引用文献2に記載の技術を用いることによって、「三次元座標系(xyz座標系)上のxy平面、yz平面、zx平面」に表示された対象物Mの2次元表現のエンティティの操作に基づいて3次元モデルを構築するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 (相違点2に対して) 2次元の平面図形と3次元形状の図形とを同時に図示または表示して対象物に対する理解を深めるという技術思想は、本件出願前から行われていた当業者の周知な技術常識である。のみならず、通常の人にとっても良く知られた事項である。 例えば、原審が拒絶の理由に引用した特開平7-334534号公報には、立体と立体を投影面に投影した平面図形とを同時に表示した概念図が開示されている(段落【0076】、【0080】の記載、及び図12(c)と図15(c)を参照。)。 また、審判合議体が審尋の際に周知例として提示した特開平4-275680号公報には、2次元画像と3次元形状の関係を3次元的に同時に表現した図が開示されている(段落【0028】の記載及び図2(a)を参照。)。 更にまた、審判合議体が審尋の際に周知例として提示した特開平8-161366号公報には、2次元図形データと3次元データを同時に図示し両者の関連を図解することが開示されている(段落【0015】の記載及び図3を参照。)。 以上に示した周知な技術思想に鑑みると、上記周知技術思想を引用発明に適用して本願発明の如く「複数の2次元表現と3次元モデルを3次元モデリング空間内に同時に表示する」ことは、当業者が適宜なし得ることである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-08-26 |
結審通知日 | 2009-08-28 |
審決日 | 2009-09-08 |
出願番号 | 特願2003-525417(P2003-525417) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加舎 理紅子 |
特許庁審判長 |
吉村 博之 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 板橋 通孝 |
発明の名称 | 2Dおよび3Dモデリングデータの同時使用法 |
復代理人 | 宮下 元志 |
代理人 | 谷 義一 |
代理人 | 阿部 和夫 |