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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1211029 |
審判番号 | 不服2006-8471 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-04-28 |
確定日 | 2010-02-04 |
事件の表示 | 特願2002-24646「保険に基づく保障処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年8月8日出願公開,特開2003-223563〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成14年1月31日の出願であって,平成16年11月24日付けの拒絶理由に対して,平成17年1月31日付けで意見書が提出されるとともに同日付で手続補正がなされたが,平成18年3月20日付けで拒絶査定がなされ,この拒絶の査定を不服として,同年4月28日に審判請求がなされるとともに同年5月26日付けで手続補正がなされ,当審による平成20年12月8日付けの審尋に対して,平成21年1月23日付けで回答書が提出されたものである。 第2 平成18年5月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年5月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正 審判平成18年5月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は,本件補正前の 「【請求項1】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていて, 前記処理システムで,前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され, さらに前記処理システムで,前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され, 前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され, 保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され, さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ, 前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示されることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項2】 請求項1に記載の保障処理システムにおいて, 前記携帯端末の表示手段に表示される契約済保険の保障の種類別保障額の表示は,死亡と入院と通院のそれぞれの保障の種類を表す各項目を列として配置し,行として保険の種類を配置した表で表示し,前記表に計算された契約済保険の保障額が表示され, さらに前記グラフと共に表示される,保障額の改善の操作を行う表示は保障の種類を表す各項目を列とし保険の種類を行とする表で表示され,前記保障額の改善の操作を行う表示への入力操作に基づき表示されるグラフは,前記入力された保険の種類から計算された,保障の種類別のそれぞれの各種要因を単位とするグラフであることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項3】 請求項1に記載の保障処理システムにおいて, 前記記憶装置は相談員の相談結果を収納するデータベースを保持し, 前記相談結果を収納するデータベースは,前記携帯端末の前記保障額の改善の操作を行う表示に基づく操作で入力された値を,保持することを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項4】 請求項1に記載の保障処理システムにおいて, 前記携帯端末の表示手段に表示される契約済の保障額の表示は,画面の上部に表示内容を表すタイトルが表示され,前記タイトルの下部に表が表示され, 前記表を構成する列に対応して前記保障の種類である死亡,入院,通院の項目がそれぞれ表示され, 計算されたそれぞれの保障の種類に対応する保障額が行方向に,前記各項目に対応して表示され, さらに前記携帯端末の表示手段に表示される前記保障額の改善の操作を行う表示には,表が表示され, 前記表を構成する行には,保険の種類を表す項目が表示され,前記行方向の保険の種類に対応して,入力欄が設けられていることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項5】 請求項4に記載の保障処理システムにおいて, 前記契約済の保障額を表示する表は,その行方向に保険の種類が表示され, 前記契約済の保障額を表示する表の行方向の保険の種類に対する列方向の保障の種類に対応して計算された保障額が表示されることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項6】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていて, 前記処理システムで,前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され, さらに前記処理システムで,前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され, 前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され, 保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記端末8の表示手段に表示され, さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ, 前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力による保障とを対比したグラフが表示され, 前記グラフの表示と同一の表示面にコメント欄の表示が設けられていることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項7】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていて, 前記処理システムで,前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され, さらに前記処理システムで,前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され, 前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され, 保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され, さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示が表示され, さらに前記保障額の改善の操作を行う表示に従った新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力による保障とを対比したグラフが保障の種類別に表示され, 前記保障の種類別の表示は,表示面に重ねて表示され,前記保障の種類別のボタンを選択することで,選択された前記グラフが表示されることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項8】 請求項1乃至7に記載の保険に基づく保障処理システムにおいて, 前記グラフは,予め定められた年齢に対応した計算値で描かれていることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。」 から,本件補正後の 「【請求項1】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,保険サービス管理会社を介して各種保険に加入した保険加入者,前記保険サービス管理会社を介さないで各種保険に加入している他社加入の保険加入者が加入している保険に関する情報である保険の種類,有効期間,保障の内容,保険料が記憶されている保険契約内容データベースと,他社加入の保険の種類,有効期間,保障の内容,保険料が記憶されている他社保険契約データベースと,顧客が保険相談員に相談して得られた相談結果(必要保障額,受取保障額,適正なお勧め保険,改善提案内容)をデータベース化して収納された保険相談情報データベースからなる保険契約のデータベースと,顧客個人の氏名,住所,業種,電話番号からなる顧客データと,本人の生年月日,配偶者の生年月日,第1子の生年月日,第2子の生年月日,第3子の生年月日で示される家族構成と,年金,年収,退職金からなる社会保障等の収入を含む個人情報に関する顧客情報データベースとが顧客個人の氏名によって対応づけられて保持されていて, 前記処理システムで,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の顧客データと家族構成とからなる個人情報に基づき,当該特定の顧客本人が死亡した後,遺族が生活していく上に必要な世間一般の平均値からなる生活費である死亡保障と,本人又は配偶者が入院したときに入院に必要になる必要経費等の支出(日額)である入院保障と,本人又は配偶者が通院したときに通院に必要になる必要経費等の支出(日額)である通院保障との各必要保障額が保障の種類別に計算され, 前記処理システムで,前記保険契約のデータベースに記憶されている前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて,当該特定の顧客本人が死亡したときに支払われる死亡保障額と,本人又は配偶者が入院したときに入院に必要になる必要経費等の支出(日額)である入院保障額と,本人又は配偶者が通院したときに通院に必要になる必要経費等の支出(日額)である通院保障額との各支払保障額が保障の種類別に計算され, 前記携帯端末の操作に基づいて,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額,又は前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を,前記携帯端末の表示手段に金額を数字又はグラフで表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額,又は前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を,前記携帯端末の表示手段に金額を数字又はグラフで表示し, 前記特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の表示にあたって,前記保障の種類としての死亡保障と入院保障と通院保障の各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡保障と入院保障と通院保障を表す項目に対応して,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された各項目に対応する各必要保障額の金額を数字で表示するとともに該各必要保障額に並べて前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された各保障の種類別の支払保障額の金額を数字又はグラフで,前記携帯端末の表示手段に表示し, 前記携帯端末の表示手段に,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の金額を数字又はグラフで表示し,該表示された各支払保障額の金額の数字及び又はグラフを増減することによって前記各支払保障額を改善できる改善表示部を設け, 前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示されることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項2】 前記記憶装置の前記相談結果を収納するデータベースは, 前記携帯端末の前記保障額の改善の操作を行う表示に基づく操作で入力された値を保持することを特徴とする請求項1に記載の保険に基づく保障処理システム。 【請求項3】 前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を前記携帯端末の表示手段に金額を数字で表示する表は, 前記保障の種類としての死亡保障と入院保障と通院保障の各項目をそれぞれ横方向に並べて配置し,前記特定の顧客の契約済の全保険を種類別に対する縦方向に並べて配置して,各保障の種類に対応して計算された保障額を表示するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の保険に基づく保障処理システム。 【請求項4】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,保険サービス管理会社を介して各種保険に加入した保険加入者,前記保険サービス管理会社を介さないで各種保険に加入している他社加入の保険加入者が加入している保険に関する情報である保険の種類,有効期間,保障の内容,保険料が記憶されている保険契約内容データベースと,他社加入の保険の種類,有効期間,保障の内容,保険料が記憶されている他社保険契約データベースと,顧客が保険相談員に相談して得られた相談結果(必要保障額,受取保障額,適正なお勧め保険,改善提案内容)をデータベース化して収納された保険相談情報データベースからなる保険契約のデータベースと,顧客個人の氏名,住所,業種,電話番号からなる顧客データと,本人の生年月日,配偶者の生年月日,第1子の生年月日,第2子の生年月日,第3子の生年月日で示される家族構成と,年金,年収,退職金からなる社会保障等の収入を含む個人情報に関する顧客情報データベースとが顧客個人の氏名によって対応づけられて保持されていて, 前記処理システムで,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の顧客データと家族構成とからなる個人情報に基づき,当該特定の顧客本人が死亡した後,遺族が生活していく上に必要な世間一般の平均値からなる生活費である死亡保障と,本人又は配偶者が入院したときに入院に必要になる必要経費等の支出(日額)である入院保障と,本人又は配偶者が通院したときに通院に必要になる必要経費等の支出(日額)である通院保障との各必要保障額が保障の種類別に計算され, 前記処理システムで,前記保険契約のデータベースに記憶されている前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて,当該特定の顧客本人が死亡したときに支払われる死亡保障額と,本人又は配偶者が入院したときに入院に必要になる必要経費等の支出(日額)である入院保障額と,本人又は配偶者が通院したときに通院に必要になる必要経費等の支出(日額)である通院保障額との各支払保障額が保障の種類別に計算され, 前記携帯端末の操作に基づいて,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額,又は前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を,前記携帯端末の表示手段に金額を数字又はグラフで表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額,又は前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を前記携帯端末の表示手段に金額を数字又はグラフで表示し, 前記特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の表示にあたって,前記保障の種類としての死亡保障と入院保障と通院保障の各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡保障と入院保障と通院保障を表す項目に対応して,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された各項目に対応する各必要保障額の金額を数字で表示するとともに該各必要保障額に並べて前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された各保障の種類別の支払保障額の金額を数字又はグラフで,前記携帯端末の表示手段に表示し, 前記携帯端末の表示手段に,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の金額を数字又はグラフで表示し,該表示された各支払保障額の金額の数字及び又はグラフを増減することによって前記各支払保障額を改善できる改善表示部を設け, 前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示され, 前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額と,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を,並べて前記携帯端末の表示手段にグラフで表示した表示面にコメント欄の表示が設けられていることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項5】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,保険サービス管理会社を介して各種保険に加入した保険加入者,前記保険サービス管理会社を介さないで各種保険に加入している他社加入の保険加入者が加入している保険に関する情報である保険の種類,有効期間,保障の内容,保険料が記憶されている保険契約内容データベースと,他社加入の保険の種類,有効期間,保障の内容,保険料が記憶されている他社保険契約データベースと,顧客が保険相談員に相談して得られた相談結果(必要保障額,受取保障額,適正なお勧め保険,改善提案内容)をデータベース化して収納された保険相談情報データベースからなる保険契約のデータベースと,顧客個人の氏名,住所,業種,電話番号からなる顧客データと,本人の生年月日,配偶者の生年月日,第1子の生年月日,第2子の生年月日,第3子の生年月日で示される家族構成と,年金,年収,退職金からなる社会保障等の収入を含む個人情報に関する顧客情報データベースとが顧客個人の氏名によって対応づけられて保持されていて, 前記処理システムで,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の顧客データと家族構成とからなる個人情報に基づき,当該特定の顧客本人が死亡した後,遺族が生活していく上に必要な世間一般の平均値からなる生活費である死亡保障と,本人又は配偶者が入院したときに入院に必要になる必要経費等の支出(日額)である入院保障と,本人又は配偶者が通院したときに通院に必要になる必要経費等の支出(日額)である通院保障との各必要保障額が保障の種類別に計算され, 前記処理システムで,前記保険契約のデータベースに記憶されている前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて,当該特定の顧客本人が死亡したときに支払われる死亡保障額と,本人又は配偶者が入院したときに入院に必要になる必要経費等の支出(日額)である入院保障額と,本人又は配偶者が通院したときに通院に必要になる必要経費等の支出(日額)である通院保障額との各支払保障額が保障の種類別に計算され, 前記携帯端末の操作に基づいて,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額,又は前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を前記携帯端末の表示手段に金額をグラフで表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額,又は前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額を前記携帯端末の表示手段に金額をグラフで表示し, 前記特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の表示にあたって,前記保障の種類としての死亡保障と入院保障と通院保障の各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡保障と入院保障と通院保障を表す項目に対応して,前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された各項目に対応する各必要保障額の金額を数字で表示するとともに該各必要保障額に並べて前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された各保障の種類別の支払保障額の金額をグラフで,前記携帯端末の表示手段に表示し, 前記携帯端末の表示手段に,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の金額をグラフで表示し,該表示された各支払保障額の金額の数字及び又はグラフを増減することによって前記各支払保障額を改善できる改善表示部を設け, 前記改善表示部に前記各支払保障額の改善の操作に従った新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比したグラフが表示され, 前記特定の顧客の顧客情報データベースに記憶される前記個人情報に基づいて計算された保障の種類別の各必要保障額と,前記顧客情報データベースに記憶されている特定の顧客の契約済の全保険に基づいて計算された保障の種類別の各支払保障額の前記保障の種類別の表示は,既に表示されている前記グラフの表示面に重ねて表示され,前記保障の種類別のボタンを選択することで,選択された前記グラフが表示されることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。 【請求項6】 前記グラフは,予め定められた年齢に対応した計算値で描かれていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の保険に基づく保障処理システム。」 に補正された。 2 補正の適否 本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の各請求項の記載からみて,審判請求人が「本件審判請求人は,手続補正書によりまして,平成17年1月31日付け手続補正書において補正した請求項2,請求項4に該当する請求項を削除しました」(審判請求書の請求の理由を補正する平成18年5月26日付け手続補正書9頁5-6行)旨を主張するように,本件補正により本件補正前の請求項2,4は削除されており,本件補正後の請求項1,2,3,4,5,6は本件補正前の請求項1,3,5,6,7,8に対応し,本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項1を補正したものと認められる。 そこで,特許請求の範囲についてする本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1とする補正(以下「請求項1の補正」という。)が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるのか否か検討する。 本件補正前の請求項1が,「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」と記載して,グラフが表示されると特定しているのに対して,本件補正後の請求項1は,「前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示される」と記載して,グラフではなく数字が表示されるものも含むように特定している。いうまでもなく,数字はグラフと同義でも下位概念でもない。 そうすると,発明特定事項である「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」を「前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示される」に補正する請求項1の補正は,発明特定事項に含まれる概念を拡張するものであり,特許請求の範囲を減縮するものとはいえず,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 また,原査定は,備考において,『例えば,請求項1の記載をみるに…「前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され,保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し,さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され,さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ,前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示」との記載も,表示の内容,表示のさせ方を取り決めた程度の記載にすぎず,そもそも表示対象となっている情報を具体的にどのような情報処理によって取得するのか何ら特定されていないため,ソフトウエアによる情報処理がコンピュータのハードウエア資源を用いて具体的に記載されているとはいえない。』と指摘するものではあるが,本件補正前の請求項1に記載されたシステムの「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」点について何が表示されるのか明りょうでないとか発明の詳細な説明に記載された実施例と対応しないとか指摘するものではなく,また,「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」を「前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示される」に補正することにより,システムの構成が明りょうになるとも認められないから,発明特定事項である「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」を「前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示される」に補正する請求項1の補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に掲げる事項である明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものとはいえない。 さらに,発明特定事項である「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」を「前記改善表示部に新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく改善支払保障額とを対比した数字及び又はグラフが表示される」に補正する請求項1の補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項の削除,同項第3号に掲げる事項である誤記の訂正を目的とするものではないことは明らかである。 3 むすび 以上のとおり,請求項1の補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。 したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成18年5月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成17年1月31日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており, 前記処理システムの記憶装置には,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていて, 前記処理システムで,前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され, さらに前記処理システムで,前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され, 前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され, 保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し, さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され, さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ, 前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示されることを特徴とする保険に基づく保障処理システム。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,平成16年11月24日付け拒絶理由通知書に記載された理由Aであり,該理由Aは次のとおりのものである。 「A.この出願の下記の請求項に記載されたものは,下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。 記 請求項1乃至22に記載されたものは,コンピュータが行う動作機能を単に特定したにすぎず,どのようなコンピュータのハードウエア資源を有し,該ハードウエア用いて具体的にどのような情報処理を行っているのか記載されていない(ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有のシステムが構築されていない。)。 よって,この請求項には,ソフトウエアによる情報処理がコンピュータのハードウエア資源を用いて具体的に記載されておらず,自然法則を利用した技術的思想の創作にあたらない。」 そして,原査定の備考において,次の旨を指摘している。 『本願請求項1-8に記載されたものは,依然としてソフトウエアによる情報処理がコンピュータのハードウエア資源を用いて具体的に記載されておらず,自然法則を利用した技術的思想の創作にあたらない。(例えば,請求項1の記載をみるに「前記処理システムの記憶装置には,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていて,前記処理システムで,前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され,さらに前記処理システムで,前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され,」との記載からでは,必要補償額,種類別の契約済の保障額を計算するための情報処理が具体的でなく(「顧客の家族状況を含む個人情報」,「顧客が加入している保険に関する情報」が具体的にどのような情報項目からなり,また,どのように対応付けられてデータベース上に記憶管理され,該記憶管理された情報を具体的にどのように抽出,演算処理を行うことにより,「特定顧客の必要保障額」,「特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額」を算出するのか何ら具体的に記載されておらず),また,「前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され,保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し,さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され,さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ,前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示」との記載も,表示の内容,表示のさせ方を取り決めた程度の記載にすぎず,そもそも表示対象となっている情報を具体的にどのような情報処理によって取得するのか何ら特定されていないため,ソフトウエアによる情報処理がコンピュータのハードウエア資源を用いて具体的に記載されているとはいえない。)』 3 審判請求人の主張 これに対して,審判請求人は,審判請求書の請求の理由を補正する平成18年5月26日付け手続補正書において,「今回の特許請求の範囲の補正によって,補正後の請求項1?6に記載の発明は,平成16年11月24日付け拒絶理由通知書に記載した理由Aは解消し,拒絶すべき理由は存在しない」(7頁39-42行)旨主張し,また,平成17年1月31日付け意見書において,「補正後の特許請求の範囲の請求項1?8に記載の発明は,特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしている」(1頁41-43行)旨主張している。 4 当審の判断 本願発明は,「顧客が死亡時及び入通院時に必要とする必要保障額に対し,顧客の死亡要因毎に支給される死亡保障額及び顧客が疾病,傷害等によって入通院する際に入通院要因毎に支給される入通院保障額がどのような状態になっているか表示することのできる保険に基づく保障処理システム」(本願明細書段落【0001】)に関し,「従来の保障額の算出や保障額の表示は,保険相談員が保険の勧誘の際,保険による支払保障額が充分かを確かめるために使用されるもので,保険加入者を対象として算出,表示するものでないため分かり難いものとなっている。さらに,保険加入者が自分が加入している保険で死亡,入通院の保障が充分であるかを確認することが容易でなく,保険加入者には判断し難いものとなっていた。」(同段落【0003】)という従来の技術の課題を解決するように「利用し易い表示を行うことのできる保険に基づく保障処理システムを提供する」(同段落【0004】)ことを目的とするものであり,機器等に対する制御又は該制御に伴う処理を具体的に行うものではなく,また,対象の物理的性質又は技術的性質に基づく処理を具体的に行うものでもない。 そして,本願発明の「保障処理システム」は実質的にコンピュータ・システムであると認められるので,本願発明は,その実施にソフトウエアを必要とする発明,すなわち,コンピュータ・コンピュータ・ソフトウェア関連発明である。 このコンピュータ・ソフトウェア関連発明が,特許法第2条第1項で特許法での「発明」の定義としていうところの「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのは,発明がそもそも一定の技術的課題を達成できる具体的なものになっていなければならないことから,ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合であり,そのためには,ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることが提示されている必要がある。 そこで,本願発明が「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されたもの」であるのか否かについて検討する。 本願発明の「CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有する処理システムであって,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられており」は,保障処理システムが,CPUおよび記憶装置を備えた処理装置と,前記処理装置と通信回線を介して接続される携帯端末とを有し,前記携帯端末には入力手段と表示手段とが設けられていることを記載するものであり,情報処理を具体的に提示するものではない。 本願発明の「前記処理システムの記憶装置には,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていて」は,保障処理システムの記憶装置に,顧客が加入している保険に関する情報である保険契約のデータベースと顧客の家族状況を含む個人情報に関するデータベースとが保持されていることを記載するにとどまる。 本願発明の「前記処理システムで,前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され」は,保障処理システムが行う情報処理を記載している。しかしながら,「前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され」という情報処理は,本願発明の他の発明特定事項をあわせみても,「個人情報」を基にどのように情報処理して「特定顧客の必要保障額」を計算して得るのか提示しておらず,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「さらに前記処理システムで,前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され」は,保障処理システムが行う情報処理を記載している。しかしながら,「前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され」という情報処理は,本願発明の他の発明特定事項をあわせみても,「保険契約の情報」を基にどのように情報処理して「特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額」を計算して得るのか提示しておらず,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され,保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し」は,情報処理として表示手段の同一表示面に複数の項目をそれぞれ並べて配置し各項目に対応して各項目についての値を表示する処理が慣用手段であることを考えると,情報表示処理として具体的に把握される。 本願発明の「さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され」は,情報処理として表示手段の表示面にグラフを表示する処理が慣用手段であることを考えると,情報表示処理として具体的に把握される。 本願発明の「さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ」は,情報処理として表示手段の同一表示面に情報の表示と該情報に関係する入力操作を行うための表示をする処理が慣用手段であることを考えると、情報表示処理として具体的に把握される。 本願発明の「前記保障額の改善の操作を行う表示に基づいて新たな入力がなされると,前記携帯端末の表示手段には前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」は,保障処理システムが「保障額の改善の操作を行う表示に基づいた新たな入力に基づく保障」の情報を得る情報処理を行うものと把握される。しかしながら,「保障額の改善の操作を行う表示に基づいた新たな入力に基づく保障」の情報を得る情報処理は,本願発明の他の発明特定事項をあわせみても,「保障額の改善の操作を行う表示に基づいた新たな入力」を基にどのように情報処理して「保障」の情報を得るのか提示しておらず,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 すなわち,本願発明の保障処理システムが行う「前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され」という情報処理及び「前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され」という情報処理及び「保障額の改善の操作を行う表示に基づいた新たな入力に基づく保障」の情報を得る情報処理は,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 そして,本願発明の保障処理システムが行う「前記個人情報に基づき特定顧客の必要保障額が計算され」という情報処理及び「前記保険契約の情報に基づき前記特定顧客の保障の種類別の契約済の保障額が計算され」という情報処理及び「保障額の改善の操作を行う表示に基づいた新たな入力に基づく保障」の情報を得る情報処理は,携帯端末の表示手段に表示させる情報を得るための情報処理の主要な情報処理であり,本願発明の「前記携帯端末の表示手段に,計算された前記保障の種類別の契約済の保障額が表示され,保障の種類別の前記契約済保障額の表示は,前記携帯端末の表示手段の同一表示内に保障の種類としての死亡と入院と通院を表す各項目をそれぞれ並べて配置し,前記配置された死亡と入院と通院を表す項目に対応して,前記計算された契約済の保障額を表示し」という情報表示処理及び「さらに前記携帯端末の操作に基づいて,前記計算された必要保障額と契約済保障額とが対比された保障の種類別のグラフが前記携帯端末の表示手段に表示され」という情報表示処理及び「さらに前記グラフの表示と同一の表示面に,保障の種類別の保障額の改善の操作を行う表示がされ」という情報表示処理及び「前記必要保障額と新たな入力に基づく保障とを対比したグラフが表示される」という情報表示処理が,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものであるとしても,それらの情報表示処理は,本願発明がその目的を達成するために行う情報処理の一部分の情報処理にしかすぎず,本願発明は,全体として,その目的を達成するための情報処理が,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 したがって,本願発明は,全体として,ソフトウェアによる情報処理が,ハードウェア資源を用いて具体的に実現されたものとは認められない。 5 むすび 以上のとおりであるから,本願発明は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず,特許法第2条第1項に定義された発明に該当せず,同法第29条柱書に規定する要件を満たしていないので,特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-26 |
結審通知日 | 2009-12-01 |
審決日 | 2009-12-14 |
出願番号 | 特願2002-24646(P2002-24646) |
審決分類 |
P
1
8・
574-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 1- Z (G06Q) P 1 8・ 572- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小山 和俊 |
特許庁審判長 |
赤穂 隆雄 |
特許庁審判官 |
松田 直也 山本 穂積 |
発明の名称 | 保険に基づく保障処理システム |
代理人 | 小林 保 |