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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1211073 |
審判番号 | 不服2007-28412 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-18 |
確定日 | 2010-02-04 |
事件の表示 | 特願2004- 68666「ドライエッチング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月22日出願公開、特開2004-207756〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
[1]手続の経緯 本願は、平成8年7月23日に出願した特願平8-193116号を分割して新たな出願としたものであり、平成19年3月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月15日に手続補正書が提出されたものである。 [2]平成19年11月15日付け手続補正についての補正の却下の決定 <結論> 平成19年11月15日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 <理由> (2-1)補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】 上部電極と下部電極とを設け、該上部電極及び該下部電極間にプラズマを発生させることにより、該下部電極上に設けた被エッチング材をエッチングする真空処理室を有し、前記真空処理室の側壁はアルミ材を用いて構成され、 前記側壁を介して伝導された該真空処理室内の温度を検出するセンサと、 前記検出に基づいて前記真空処理室内を加熱するヒータとを備えており、 前記センサは、前記真空処理室の前記側壁の内部に埋め込まれ、かつ、前記ヒータと前記被エッチング材との距離よりも前記センサと前記被エッチング材との距離が短くなるように配置されていることを特徴とするドライエッチング装置。」と補正するものである。 (2-2)補正の目的 上記補正は、補正前の「前記センサは、前記真空処理室の前記側壁の内部に埋め込まれている」を「前記センサは、前記真空処理室の前記側壁の内部に埋め込まれ、かつ、前記ヒータと前記被エッチング材との距離よりも前記センサと前記被エッチング材との距離が短くなるように配置されている」とするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2-3)独立特許要件 そこで、上記補正後の本願請求項1に係る発明が、特許出願の際、独立して特許を受けられるものかどうかを検討する。 (1)補正後の本願発明 補正後の本願請求項1に係る発明は、上記(2-1)に記載された事項により特定されるとおりのものと認める(以下、「補正後の本願発明」という。)。 (2)引用刊行物の記載事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の原出願日(平成8年7月23日)前に頒布された特開平5-275385号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「…プラズマ処理装置は、気密性の処理室内に対向配置された一対のプラズマ発生用電極を備えており、これら両電極間における放電によってプラズマを発生させ、それにより被処理体の処理を行うものである。 …ここで上記一対のプラズマ電極のいずれか一方側には、被処理体を保持するクランプリング等の保持手段が設けられており、…他方側の電極には、両電極間に発生したプラズマを被処理体に集中させるための集中手段がしばしば設けられる。この集中手段としては、…フォーカスリングがあり、上記電極の端縁部分に装着されている。」(【0002】-【0003】) (イ)「一方このようなプラズマ処理装置においては、プラズマ処理によって所定の反応生成物が生じており、その反応生成物は、処理室から排気管経路を通って外部に排出されている。ところがこの反応生成物は、上記排気経路中の特に低温部分に付着する傾向がある、特に上述した保持手段及び集中手段は、プラズマ処理部に近接配置されているため反応生成物の付着を生じ易く、プラズマ処理の継続によって上記保持手段及び集中手段の表面に反応生成物が次第に積層していく。 …そしてこのように…積層した反応生成物は、付着後に保持手段及び集中手段から剥がれ落ちることがあり、それがパーティクルとなって被処理体表面に付着するおそれがある。」(【0004】-【0005】) (ウ)「【実施例】…まずプラズマ処理装置の一例としてエッチング装置の構成を説明する。…中空箱形状の処理室…は、内部を気密に保持することが可能な構成を有しており、当該処理室…の壁部は、…例えば表面にアルマイト処理を施したアルミニウムから形成されている。」(【0009】) (エ)「次に、上述したエッチング装置の動作・作用及び半導体ウエハのエッチング方法を説明する。 …このようにして半導体ウエハ…を下部電極…の表面に支持した後、上記処理室…の内部を気密に設定して内部を所望の真空状態に設定する。… 上部電極…と下部電極…との間に高周波電力を印加して放電を発生させる。この放電により上記エッチングガスをプラズマ化させて…上記半導体ウエハ…のエッチング処理を行う。」(【0026】-【0028】) また、同様の特開平6-188220号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (オ)「従来のマイクロ波プラズマ処理装置では、…プラズマ処理室を加熱することで、処理に伴う反応生成物が処理室内壁に付着する量を低減させていた。」(【0002】) (カ)「エッチング装置は、プラズマ処理室…から構成されている。… プラズマ処理室の外壁には電熱ヒータ…が周方向に巻き付けられ、…電力(「電熱」の誤記)ヒータ…の発熱によりプラズマ処理室…の壁面が加熱される。…又、プラズマ処理室…の壁内に温度検出センサー…が設けられている。」(【0010】-【0012】) 上記記載事項(ウ)、(エ)によれば、引用例1には、 「上部電極と下部電極とを設け、該上部電極及び該下部電極間にプラズマを発生させることにより、該下部電極上に設けた被エッチング材をエッチングする真空処理室を有し、前記真空処理室の壁部は、表面にアルマイト処理を施したアルミニウムを用いて構成されていることを特徴とするプラズマエッチング装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 (3)対比・判断 補正後の本願発明と引用発明とを対比すると、 引用発明における「壁部」、「アルマイト処理を施したアルミニウム」、「プラズマエッチング」は、補正後の本願発明における「側壁」、「アルミ材」、「ドライエッチング」に相当することは明らかである。 よって、両者は、「上部電極と下部電極とを設け、該上部電極及び該下部電極間にプラズマを発生させることにより、該下部電極上に設けた被エッチング材をエッチングする真空処理室を有し、前記真空処理室の側壁はアルミ材を用いて構成されるドライエッチング装置。」である点で一致し、 補正後の本願発明では、「前記側壁を介して伝導された該真空処理室内の温度を検出するセンサと、前記検出に基づいて前記真空処理室内を加熱するヒータとを備えており、前記センサは、前記真空処理室の前記側壁の内部に埋め込まれ、かつ、前記ヒータと前記被エッチング材との距離よりも前記センサと前記被エッチング材との距離が短くなるように配置されている」のに対して、引用発明では、そのようではない点で相違する。 そこで、上記相違点について検討すると、 上記引用例1の記載事項(ア)、(イ)によれば、プラズマ処理(プラズマエッチング)装置において、所定の反応生成物が生じ、排気経路中の、プラズマ処理部に近接する部分(特に、保持手段及び集中手段)に付着、積層しやすいこと、また、該保持手段及び集中手段に加熱手段を設けることによりそれを防止することが示されている。 そして、処理室の側壁部については、具体的に例示されていないものの、プラズマエッチング装置において、処理室内の電極部のみならず、内壁面にもプラズマ重合物(反応生成物)が付着し、それが剥落して塵埃となり、試料の歩留まりが低減すること、そして、それを防止するために内壁を加熱する手段を設けることは周知の事項であり(例えば、特開平4-256316号公報:「…プラズマによりエッチング処理する工程と、該エッチング処理時に前記プラズマに晒される部材を加温する工程とを有することを特徴とするプラズマエッチング方法。」(【請求項1】)、「プラズマ発生室の内壁面へのプラズマ重合物の付着を抑制できるので、プラズマ発生室の内壁面に付着したプラズマ重合物の該内壁面からの剥落による塵埃の発生を抑制でき該塵埃による上記試料の歩留まり低下を防止できる。」(【0022】)、「プラズマ発生室…の温度を検出する端子…と熱媒体供給装置…が設けられた」(【0024】)、「この他に、例えば、平行平板型のプラズマエッチング装置を用いて上記試料をエッチング処理する場合にも適用可能である。 この場合、処理室の内壁面、該処理室に内設された電極等がプラズマに曝される部材である。」(【0029】))、引用発明において、内壁への反応生成物の付着防止を図ることは当然考慮すべき事項であるから、そのために、上記引用例2に記載される、プラズマ処理室壁部への反応生成物の付着量低減のための加熱ヒータ及び壁内温度センサーを適用することに格別の困難性は認められず、その際、センサーを壁内のどこに設けるかは設計的な事項にすぎない。 そして、本願発明が引用例1、2の記載事項及び周知事項からは予想できない効果を奏するものとも認められない。 なお、審判請求人は、「前記ヒータと前記被エッチング材との距離よりも前記センサと前記被エッチング材との距離が短くなるように配置されている 」ことにより、「センサーはヒータの熱の影響をあまり受けずに被エッチング材の温度変動を精度よく測定することができるという顕著な効果を奏する」旨の主張をしているが、該作用効果は明細書及び図面に記載ないし示唆されているものとは認められず、採用することはできない。 よって、補正後の本願発明は、引用例1、2の記載事項および周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび したがって、補正後の本願請求項2-5に係る発明について検討するまでもなく、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [3]本願発明 平成19年11月15日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1-5に係る発明は、平成19年6月4日付け手続補正書によって 補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】上部電極と下部電極とを設け、該上部電極及び該下部電極間にプラズマを発生させることにより、該下部電極上に設けた被エッチング材をエッチングする真空処理室を有し、前記真空処理室の側壁はアルミ材を用いて構成され、 前記側壁を介して伝導された該真空処理室内の温度を検出するセンサと、 前記検出に基づいて前記真空処理室内を加熱するヒータとを備えており、 前記センサは、前記真空処理室の前記側壁の内部に埋め込まれていることを特徴とするドライエッチング装置。」 [4]引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平5-275385号公報)、2(特開平6-188220号公報)には、上記[2](2-3)(2)のとおりの記載がある。 [5]対比・判断 上記[2](2-2)のとおり、補正後の本願発明は、本願発明にさらに「かつ、前記ヒータと前記被エッチング材との距離よりも前記センサと前記被エッチング材との距離が短くなるように配置され」なる限定を付加したものである。 そして、上記[2](2-3)のとおり、補正後の本願発明が、引用刊行物1、2の記載事項及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであることから、本願発明についても、引用刊行物1、2の記載事項及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 [6]むすび 以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そのため、本願請求項2-5に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、上記結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-19 |
結審通知日 | 2009-11-24 |
審決日 | 2009-12-11 |
出願番号 | 特願2004-68666(P2004-68666) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今井 淳一 |
特許庁審判長 |
徳永 英男 |
特許庁審判官 |
國方 康伸 鈴木 正紀 |
発明の名称 | ドライエッチング装置 |
代理人 | 鈴木 弘一 |