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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する F16L 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する F16L |
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管理番号 | 1211611 |
審判番号 | 訂正2009-390097 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2009-08-07 |
確定日 | 2010-02-05 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3396128号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3396128号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3396128号の出願についての手続の概要は、以下のとおりである。 平成 8年 5月17日 特許出願。 平成15年 2月 7日 特許権の設定登録(請求項の数5)。 平成18年 7月27日 訂正審判請求(訂正2006-39128号)。平成18年 9月 1日 訂正審決(訂正認容)。 平成18年 9月20日 訂正審決確定登録。 平成18年12月15日 無効審判(無効2006-80261号)請求。平成19年 3月28日 答弁書提出。 平成19年 7月20日 第1回口頭審理。無効理由通知。 平成19年 8月20日 訂正請求書、意見書提出。 平成19年10月10日 弁駁書提出。 平成20年 2月 8日 訂正拒絶理由通知。 平成20年 3月 4日 意見書、手続補正書(訂正請求書)提出。 平成20年 4月30日 審決(請求項1ないし5に係る発明についての特 許を無効とする。) 平成20年 5月31日 知的財産高等裁判所出訴(平成20年(行ケ)第 10208号)。 平成20年 6月30日 訂正審判請求(訂正2008-390072号) 。 平成20年 8月28日 知的財産高等裁判所決定(審決を取り消す。)。平成20年11月 7日 弁駁書(第2回)提出。 平成20年12月25日 訂正拒絶理由通知。 平成21年 2月 2日 意見書提出。 平成21年 5月25日 審決(請求項1ないし5に係る発明についての特 許を無効とする。) 平成21年 7月 3日 知的財産高等裁判所出訴(平成21年(行ケ)第 10181号)。 平成21年 8月 7日 訂正審判請求(訂正2009-390097号) 。 平成21年10月16日 上申書提出。 2.請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は、特許第3396128号発明の明細書及び図面を、審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおりに訂正しようとするものであり、その内容は、次のとおりのものである。 訂正事項A 特許請求の範囲請求項1の「内壁に被係合部が設けられ、」を「内壁に背向して形成される2つの縦溝が設けられ、」に訂正する。 訂正事項B 同上請求項1の「他端に前記被係合部に係合する係合部が設けられた複数の固定具と、」を「他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた2つのの固定具と、」に訂正する。 訂正事項C 同上請求項1の「前記開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から、前記被係合部に前記係合部を係合させた前記複数の固定具を有する前記内筒の一端部を挿入して、前記複数の固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させて前記フランジと前記本管とを締結させる分岐管の接続装置において、前記係合部は、前記内筒の軸方向を向いた係合面を有する係合凹所を備え、 前記被係合部は、前記係合凹所内を前記内筒の軸方向に摺動する係合部材を備え、 前記係合部材を前記係合凹所に嵌め込み、前記締め付け輪の回動により、前記係合面に対し前記係合部材を前記軸方向に摺動させ、前記被係合部に前記係合部を係合させることを特徴とする」を「前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、前記引っ掛け部を前記本管の内周面の下方に設定し、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする」に訂正する。 訂正事項D 同上請求項2の「内壁に被係合部が設けられ、」を「内壁に縦溝が設けられ、」に訂正する。 訂正事項E 同上請求項2の「他端に前記被係合部に係合する係合部が設けられた固定具と、」を「他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた固定具と、」に訂正する。 訂正事項F 同上請求項2の「前記開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から、前記被係合部に前記係合部を係合させた前記複数の固定具を有する前記内筒の一端部を挿入して、まず前記固定引っ掛け部を本管の内周面に引っ掛け、つぎに前記固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させて前記フランジと前記本管とを締結させる分岐管の接続装置において、前記係合部は、前記内筒の軸方向を向いた係合面を有する係合凹所を備え、前記被係合部は、前記係合凹所内を前記内筒の軸方向に摺動する係合部材を備え、前記係合部材を前記係合凹所に嵌め込み、前記締め付け輪の回動により、前記係合面に対し前記係合部材を前記軸方向に摺動させ、前記被係合部に前記係合部を係合させることを特徴とする」を「前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、まず前記固定引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、つぎに前記固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする」に訂正する。 訂正事項G 同上請求項3?5を削除する。 訂正事項H 特許明細書段落【0004】の「また、一対の固定具を内筒の他端から挿入して被係合部に係合部を係合させる際に、本管内に固定具を落下させやすい不具合が生じ易い。」を削除する。 訂正事項I 同上段落【0005】の「請求項5に記載の発明の目的は、固定具の取り付け作業が簡単にできる分岐管の接続装置の提供にある。請求項6に記載の発明の目的は、固定具が不要で、部品数の低減と、作業の単純化が可能になる分岐管の接続装置の提供にある。」を削除する。 訂正事項J 同上段落【0006】の「この発明は、本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続装置であって、支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、内壁に被係合部が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記被係合部に係合する係合部が設けられた一対の固定具と、前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、前記開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から、前記被係合部に前記係合部を係合させた前記一対の固定具を有する前記内筒の一端部を挿入して、前記一対の固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させて前記フランジと前記本管とを締結させる分岐管の接続装置において、前記係合部は、前記内筒の軸方向を向いた係合面を有する係合凹所を備え、前記被係合部は、前記係合凹所内を前記内筒の軸方向に摺動する係合部材を備え、前記係合部材を前記係合凹所に嵌め込み、前記締め付け輪の回動により、前記係合面に対し前記係合部材を前記軸方向に摺動させ、前記被係合部に前記係合部を係合させることを特徴とする。」を「この発明は、本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続するための接続装置であって、支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、内壁に背向して形成される2つの縦溝が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた2つの固定具と、前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、前記引っ掛け部を前記本管の内周面の下方に設定し、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする。」に訂正する。 訂正事項K 同上段落【0007】の「この発明では、締め付け輪を回動させると、係合凹所に嵌め込まれた係合部材が、係合面上を内筒の軸方向に摺動して、被係合部に係合部が係合されるため、略L字形の固定具が拡開するように変形しても、被係合部と係合部の係合が外れることを確実に防止できる。被係合部と係合部とは、内筒の軸方向に2段に形成すると、さらに有効である。なお、3段以上であってもよい。」を「この発明では、締め付け輪を回動させると、係合凹所に嵌め込まれたピンが、係合面上を内筒の軸方向に摺動して、縦溝に縦板部が係合されるため、略L字形の固定具が拡開するように変形しても、被係合部と係合部の係合が外れることを確実に防止できる。」に訂正する。 訂正事項L 同上段落【0008】、【0009】を削除する。 訂正事項M 同上段落【0014】の「係合部材として、該縦溝51の側壁に対向して突設した水平方向で周方向の上下2対のピン52、52」を「該縦溝51の側壁に対向して突設した水平方向で周方向の上下2対のピン52、52」に訂正する。 訂正事項N 同上段落【0016】の「係合部たる縦板部61の両側面63、63」を「縦板部61の両側面63、63」に訂正する。 訂正事項O 同上段落【0016】の「両端面63、63」を「両側面63、63」に訂正する。 訂正事項P 同上段落【0020】の「第2実施例」を「参考例1」に訂正する。 訂正事項Q 同上段落【0020】の「係合部材たる2対のピン52、52」を「係合部材たる2対のピン52、52」を「2対のピン52、52」とし、「係合部たる縦板部61」を「縦板部61」に訂正する。 訂正事項R 同上段落【0021】の「第3実施例」を「参考例2」に訂正する。 訂正事項S 同上段落【0021】の「係合部たる縦板部61」を「縦板部61」に、「ピン52を係合部材として列設」を「ピン52を列設」に訂正する。 訂正事項T 同上段落【0022】の「第4実施例」を「参考例3」に訂正する。 訂正事項U 同上段落【0022】の「係合部たる縦板部61」を「縦板部61」に、「係合条68を係合部材として設けている」を「係合条68を設けている」に訂正する。 訂正事項V 同上段落【0023】の「第5実施例」を「第2実施例」に訂正する。 訂正事項W 同上【図面の簡単な説明】において、「第2実施例」を「参考例1」に、「第3実施例」を「参考例2」に、「第4実施例」を「参考例3」に、「第5実施例」を「第2実施例」に、訂正する。 訂正事項X 同上【符号の説明】において、「51 縦溝、61 縦板部、 64 係合凹所」を追加し、「52 ピン(係合部)」を「52 ピン」に訂正する。 訂正事項Y 【図9】において、符号を追加する。 3.当審の判断 そこで、上記訂正事項について検討する。 (1)訂正の目的の適否 [訂正事項Aについて] 訂正事項Aは、特許明細書段落【0014】の「内筒3の内周壁には、背向して被係合部5、5が形成されている。被係合部5は、図2に示す如く、本管10の軸方向に位置する幅の広い縦(筒部の軸方向)溝51、・・・からなる。」との記載に基づいて、「被係合部」の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 [訂正事項Bについて] 訂正事項Bは、同上段落【0015】の「固定具6は、係合部であって縦溝51に嵌まり込む縦板部61と、」の記載、及び【図1】、【図2】の記載に基づいて係合部の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 [訂正事項Cについて] 訂正事項Cの「前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、」は、同上段落【0016】の「係合部たる縦板部61の両側面63、63には、中間部および下端部に、内筒3の軸方向に摺動する係合部材である2対のピン52、52に対応して、」の記載及び【図2】の記載に基づいて、 また、同上「前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、」は、同上段落【0018】の「内筒3の下端部31を支管部21に差し込むとともに、係合凹所64、64の入口部65、65に、2対のピン52、52を嵌め込む。」との記載、及び【図2】の記載に基づいて、 そして、同上「前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、前記引っ掛け部を前記本管の内周面の下方に設定し、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込む」は、同上段落【0018】の「この際に、引っ掛け部62、62は、本管10の内周面15の下方に設定される。(ニ)締め付け輪4を回転させて、締め付ける。これにより、2対のピン52、52は、係合凹所64、64のスライド部66、66に嵌まり込む。」の記載に基づいて、それぞれ、接続部材の構成を限定しようとするものである。 また、訂正事項Cにおいて、「係合部材」を同上段落【0014】の「係合部材として、・・・ピン52、52からなる」との記載に基づいて「ピン」に、「係合凹所」を、同上段落【0016】の「係合凹所64は、縦板部61の外壁面に連通した入口部65および上方に延長し係合面を有するスライド部66からなる逆L字断面形状を呈する。」の記載及び【図2】の記載に基づいて、「前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口」する構造に限定するものである。 このように、訂正事項Cは、特許明細書の記載及び図面の記載に基づいて、接続部材の構造を限定しようとするものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 [訂正事項Dについて] 訂正事項Dは、同上段落【0014】、【0023】及び【図9】の記載に基づき、「被係合部」の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 [訂正事項Eについて] 訂正事項Eは、同上段落【0015】の「固定具6は、係合部であって縦溝51に嵌まり込む縦板部61と、」の記載、及び【図2】、【図9】の記載に基づいて係合部の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである [訂正事項Fについて] 訂正事項Fの「前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、」は、同上段落【0016】の「係合部たる縦板部61の両側面63、63には、中間部および下端部に、内筒3の軸方向に摺動する係合部材である2対のピン52、52に対応して、」の記載及び【図2】、【図9】の記載に基づいて、 また、同上「前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、」は、同上段落【0018】の「内筒3の下端部31を支管部21に差し込むとともに、係合凹所64、64の入口部65、65に、2対のピン52、52を嵌め込む。」との記載、段落【0023】の「図9は第5実施例を示す。」及び【図2】、【図9】の記載に基づいて、 さらに、同上「前記本管の開口(の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき)、前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、(まず前記固定引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、つぎに前記固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させる)ことで、前記係合面に対し前記ピンを前記スライド部に嵌め込む」は、段落【0018】、【0023】の記載に基づいて、接続構造を限定するものである。 このように、訂正事項Fは、特許明細書の記載及び図面の記載に基づき、接続部材の構成並びに関連構成を限定しようとするものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項H?訂正事項Yは、特許請求の範囲に係る訂正である訂正事項A?Gの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載との整合を図るためにするものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無、拡張・変更の存否 上記のとおり、訂正事項A?Gは、特許明細書又は図面の記載に基づき、それらの範囲内において、特許請求の範囲の減縮を目的とし、訂正事項H?Xは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項A?F、H?Yにより、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもない。 (3)独立特許要件 そこで、訂正後の請求項1、2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか検討する。 A 訂正発明 本件訂正により、特許請求の範囲の請求項1、2に係る発明は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるものである(以下「訂正発明1」、「訂正発明2」という。)。 訂正発明1 「本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続装置であって、 支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、内壁に背向して形成される2つの縦溝が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、 一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた2つの固定具と、 前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、 前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、 前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、 それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、 前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、 前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、 前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、前記引っ掛け部を前記本管の内周面の下方に設定し、 前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特ちょいとする分岐管の接続装置。」 訂正発明2 「本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続装置であって、 支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、内壁に縦溝が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、 該内筒の一端部に形成され、前記本管の内周面に引っ掛かる固定引っ掛け部と、 一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた2つの固定具と、 前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、 前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、 前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、 それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、 前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、 前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、 前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、まず前記固定引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、つぎに前記固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、 前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする分岐管の接続装置。」 B 容易想到性についての判断 本件特許に係る無効審判(無効2006-80261号)において提示された刊行物は、以下のとおりである。 a 特開平8-14467号公報 b 実願平4-75951号(実開平6-40578号)のCD-ROM まず、訂正発明1についてみると、訂正発明1の発明特定事項の内、少なくとも、 「縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、 前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され」、及び「それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し」との事項について、刊行物a、bのいずれにも記載はなく、示唆もない。 そして、訂正発明1は、前記発明特定事項を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 そうすると、訂正発明1は、刊行物a又はbに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 次に、訂正発明2についてみると、訂正発明2の発明特定事項の内、少なくとも 「縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、」及び 「前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、 それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入り口部と、この入り口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、」との事項につき、刊行物a、bのいずれにも記載はなく、示唆もない。 そして、訂正発明2は、前記発明特定事項を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 そうすると、訂正発明2は、刊行物a又はbに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 以上のとおり、訂正発明1、訂正発明2は、刊行物a、刊行物bの記載から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 C 明細書の記載不備について a 同様に、無効事件において、請求人が、明細書段落【0014】?【0018】の記載において、特許発明が、当業者が実施できる程度に記載されておらず特許法第36条第4項の規定に違反しているとの主張について検討する。 上記主張は、「支軸67」を「軸溝53」に引っ掛けておくことを前提とした主張となっているところ、本件訂正により、訂正発明1、訂正発明2は、前記事項を具備しないものとなったことから、当該発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載しなければならないとする特許法第36条第4項の規定する要件に違反しないものとなった。 b 同上、本件訂正前の請求項1の「前記被係合部に前記係合部を係合させた前記複数の固定具を有する」および本件訂正前の請求項2の「前記被係合部に前記係合部を係合させた前記固定具を有する」の記載は、「係合」の状態が不明確であり、特許を受けようとする発明は、不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に違反する旨の主張について検討する。 上記主張については、「被係合部」、「係合部」の内容が特定されておらず、全体構成が不明瞭となっていたところ、本件訂正により、これらについての限定がなされ、明りょうとなったものであるから、上記違反は、解消されるものとなった。 c さらに、当審において通知した無効理由である「係合部」の構成についても、本件訂正により、限定が付されたことから、関連構成は、明りょうなものとなった。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、訂正発明1、訂正発明2は、特許出願の際独立して特許を受けることができないということはできない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、第4項及び第5項に規定する要件に適合するので、当該訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 分岐管の接続装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続装置であって、 支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、 内壁に背向して形成される2つの縦溝が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、 一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた2つの固定具と、 前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、 前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、 前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、 それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入口部と、この入口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、 前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、 前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、 前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、前記引っ掛け部を前記本管の内周面の下方に設定し、 前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする分岐管の接続装置。 【請求項2】 本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続装置であって、 支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、 内壁に縦溝が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、 該内筒の一端部に形成され、前記本管の内周面に引っ掛かる固定引っ掛け部と、 一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた固定具と、 前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、 前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、 前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、 それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入口部と、この入口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、 前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、 前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、 前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、まず前記固定引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、つぎに前記固定具の引っ掛け部を前記本管の内周面に引っ掛け、 前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする分岐管の接続装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、本管に分岐管を接続するための接続装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 下水などの本管に分岐管を接続する場合に、特公平6-6999号公報に示す如く、支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、一端に本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に被係合部に係合する係合部が設けられた一対の固定具と、内筒の外周に螺合され、回動により内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備えた接続装置が使用される。固定具は、略L字形を呈し、一端が内筒の内周面に係合し、他端が本管の内周面に引っ掛かる。 【0003】 この接続装置は、つぎの作業でフランジおよび内筒を本管に固定する。 (1)本管の開口の外周縁部にフランジの鍔部を当接させる。 (2)支管部の他端側から、内筒の一端部を差し込む。 (3)一対の固定具を内筒の他端から挿入して被係合部に係合部を係合させる。 (4)一対の固定具の引っ掛け部を本管の内周面に引っ掛ける。 (5)締め付け輪を回動させて内筒を他端側に変位させると、引っ掛け部が本管の内周面に圧接して、フランジおよび内筒が本管に締結される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかるに、上記略L字形の固定具は、締め付けを強く行うと、固定具にかかる曲げ力で固定具が変形し、内筒の内壁面に設けた被係合部と固定具の一端に設けた係合部との係合が外れ、固定具が本管内に脱落する場合があった。 【0005】 この発明の目的は、締め付け輪による締め付けを強く行った場合にも、固定具の変形により固定具の一端と内筒の内周面との係合が外れて固定具が本管内へ脱落することを確実に防止できる分岐管の接続装置の提供にある。請求項2に記載の発明の目的は、固定具が1つで済むため、部品数の低減と、作業の単純化が可能になる分岐管の接続装置の提供にある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 この発明は、本管に形成された開口に分岐管を接続するための接続装置であって、支管部および該支管部の一端部の外周に形成された鍔部からなるフランジと、内壁に背向して形成される2つの縦溝が設けられ、一端部が前記支管部に差し込まれる内筒と、一端に前記本管の内周面に引っ掛かる引っ掛け部が形成され、他端に前記縦溝に嵌まり込む縦板部が設けられた2つの固定具と、前記内筒の外周に螺合され、回動により前記内筒を他端側に変位させる締め付け輪とを備え、前記縦溝の両側壁には、それぞれ、前記内筒の軸方向に並ぶように2本のピンが周方向に突設され、一方の側壁に突設されたピンと他方の側壁に突設されたピンとが互いに対向して、前記軸方向に2段の対をなし、前記縦板部の両側面には、それぞれ、前記2本のピンの位置に対応するように2つの係合凹所が形成され、それぞれの係合凹所は、前記縦板部の外壁面及び側面に開口する入口部と、この入口部から他端側に延びるとともに、前記縦板部の側面に開口するスライド部とからなり、前記縦板部の側面にL字状に開口し、前記スライド部は、前記軸方向を向いた係合面を有し、前記本管の開口の外周縁部に前記フランジの鍔部を当接させておき、前記支管部の他端側から前記内筒の一端部を差し込むとともに、前記固定具の前記入口部に前記内筒の前記ピンを嵌め込んで、前記引っ掛け部を前記本管の内周面の下方に設定し、前記締め付け輪を回動させて前記内筒を他端側に変位させることで、前記係合面に対し前記ピンを前記軸方向に摺動させ、前記ピンを前記スライド部に嵌め込むことを特徴とする。 【0007】 【発明の作用・効果】 この発明では、締め付け輪を回動させると、係合凹所に嵌め込まれたピンが、係合面上を内筒の軸方向に摺動して、縦溝に縦板部が係合されるため、略L字形の固定具が拡開するように変形しても、縦溝と縦板部の係合が外れることを確実に防止できる。 【0010】 【発明の実施の形態】 図1?図3は、第1実施例を示す。地面を切削して形成した排水管埋設用の溝に、下水道用の本管10が配設されている。本管10には、略円形の開口11が形成され、この開口11に、この発明の分岐管の接続装置1が締結される。 【0011】 接続装置1は、支管部21および該支管部21の一端(図示下端、以下同じ)の外周に形成された鍔部22からなるフランジ2と、下端部31が支管部21に差し込まれる内筒3とを有する。フランジ2の鍔部22は、略矩形の平面形状を有し、本管10の外周面に対応した円弧状の断面を有し、支管部21の下端には環状シール部材23が嵌め込まれている。 【0012】 内筒3の中間部の外周にはネジ32が形成されており、ネジ32には回動により内筒3を上端側に変位させる締め付け輪4が螺合されている。内筒3の上端部33には、ゴム製のブーツ12および締結バンド13、13によって径小の分岐管14が接続される。 【0013】 締め付け輪4は、内周にネジ41が形成され、外周に半径方向の把手42、42が背向して設けられている。締め付け輪4は、内筒3の外周に螺合されて内筒3の下端部31が支管部21に差し込まれたとき、締め付け輪4の下面が支管部21の上面に当接してストッパーとして作用している。 【0014】 内筒3の内周壁には、背向して被係合部5、5が形成されている。被係合部5は、図2に示す如く、本管10の軸方向に位置する幅の広い縦(筒部の軸方向)溝51、該縦溝51の側壁に対向して突設した水平方向で周方向の上下2対のピン52、52からなる。また、内筒3の上端部33には、後記する固定具6の支軸を支持するための軸溝53、53が縦溝51の両側壁に臨んで対向して形成されている。 【0015】 被係合部5、5には、内筒3と本管10とを固定するための固定具6、6が係合されている。固定具6は、係合部であって縦溝51に嵌まり込む縦板部61と、該縦板部61の下端から横方向に延設され、本管10の内周面15に引っ掛かる引っ掛け部62からなる略L字形を呈する。縦板部61は円弧断面を有し、引っ掛け部62は本管10の内周直径に合う円弧断面を有する。 【0016】 縦板部61の両側面63、63には、中間部および下端部に、内筒3の軸方向に摺動する2対のピン52、52に対応して、内筒3の軸方向を向いた係合面を有する係合凹所64、64が上下に形成されている。係合凹所64は、縦板部61の外壁面に連通した入口部65および上方に延長し係合面を有するスライド部66からなる逆L字断面形状を呈する。また、両側面63、63の上端部には、軸溝53、53に軸支される支軸67、67が突設されている。 【0017】 接続装置1を用いた分岐管14の接続作業を説明する。 (イ)本管10の開口11に環状シール部材23を取り付けたフランジ2の鍔部22を当てがう。 (ロ)固定具6は、締め付け輪4を内筒3のネジ32に螺合させ、且つ、図2に示す如く、支軸67、67を内筒3の軸溝53、53に引っ掛けて吊るしておく。 【0018】 (ハ)内筒3の下端部31を支管部21に差し込むとともに、係合凹所64、64の入口部65、65に、2対のピン52、52を嵌め込む。この際に、引っ掛け部62、62は、本管10の内周面15の下方に設定される。 (ニ)締め付け輪4を回転させて、締め付ける。これにより、2対のピン52、52は、係合凹所64、64のスライド部66、66に嵌まり込む。 (ホ)締め付け輪4をさらに回転させると、引っ掛け部62、62は、本管10の内周面15に引っ掛かり、つづいて内筒3と本管10との間にフランジ2が締結される。 【0019】 これによりつぎの効果がある。 (a)組み付け作業において、固定具6、6が本管10内に脱落することを防止できるので、作業効率がよい。 (b)締め付け輪4の締結により、2対のピン52、52は、スライド部66、66に嵌まり込むため、略L字形の固定具6を拡開する方向に曲げ応力が加わっても、ピン52、52と、係合凹所64、64との係合が外れることが確実に防止できる。 【0020】 図4?図6は参考例1を示す。参考例1では、2対のピン52、52を固定具6の縦板部61の両側面に上下2段に設け、逆L字断面形状を呈する係合凹所64を縦溝51の両溝縁に設けている。この場合は、図5に二点鎖線で示す如く上側の一対のピン52、52を、上側の一対の係合凹所64、64に引っ掛けておき、固定具6、6の脱落を防止しながら上記締結作業を実行する。 【0021】 図7は参考例2を示す。参考例2では、固定具6の縦板部61の外側面に多数の下方向きピン52を列設している。この場合は、縦溝51の底壁面に対応する上下方向の係合穴を設ける。 【0022】 図8は参考例3を示す。参考例3では、固定具6の縦板部61の外側面に逆L字形断面を有する係合条68を設けている。この場合は、縦溝51の底壁面に対応したL字形断面を有する係合条を設ける。これら参考例1?3においても、第1実施例と同様の作用、効果を有する。 【0023】 図9は第2実施例を示す。この実施例では、内筒3の下端に固定引っ掛け部35を設け、固定具6と1つとしている。この実施例では、図9の(イ)に示す如く、まず内筒3を傾斜させて固定引っ掛け部35を本管10の内周面15に引っ掛け、つぎに図9の(ロ)に示す如く、内筒3を立てて固定具6の引っ掛け部62を本管10の内周面15に引っ掛ける。 【0024】 【図面の簡単な説明】 【図1】 第1実施例にかかる分岐管の接続装置の組付図である。 【図2】 第1実施例にかかる内筒および固定具の斜視図である。 【図3】 第1実施例にかかる分岐管の接続装置の斜視図である。 【図4】 参考例1にかかる固定具の斜視図である。 【図5】 参考例1にかかる分岐管の接続装置の正面断面図である。 【図6】 参考例1にかかる分岐管の接続装置の正面断面図である。 【図7】 参考例2にかかる固定具の斜視図である。 【図8】 参考例3にかかる固定具の斜視図である。 【図9】 第2実施例にかかる固定具の断面図である。 【符号の説明】 1 分岐管の接続装置 2 フランジ 3 内筒 4 締め付け輪 5 被係合部 6 固定具 10 本管 11 開口 14 分岐管 15 内周面 21 支管部 22 鍔部 35 固定引っ掛け部 36 長い固定引っ掛け部 37 短い固定引っ掛け部 51 縦溝 52 ピン 61 縦板部 62 引っ掛け部 64 係合凹所 【図面】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2010-01-26 |
出願番号 | 特願平8-123669 |
審決分類 |
P
1
41・
856-
Y
(F16L)
P 1 41・ 851- Y (F16L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 秀明 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
佐野 遵 長浜 義憲 |
登録日 | 2003-02-07 |
登録番号 | 特許第3396128号(P3396128) |
発明の名称 | 分岐管の接続装置 |
代理人 | 長谷 真司 |
代理人 | 長谷 真司 |
代理人 | 石黒 健二 |
代理人 | 石黒 健二 |