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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1211646
審判番号 不服2007-8659  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-26 
確定日 2010-02-12 
事件の表示 特願2002-222025「情報処理装置及びその方法とプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月17日出願公開、特開2003-296312〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
本願は、平成14年7月30日(優先権主張平成13年9月14日、平成14年2月1日)の出願であって、
平成19年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年3月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年4月25日付けで手続補正がなされたものである。




第2 平成19年4月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成19年4月25日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.平成19年4月25日付けの手続補正の補正内容

平成19年4月25日付けの手続補正(以下、「本件第2補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を、本件第2補正後の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】
アプリケーションと、当該アプリケーションにより作成された文書に基づく文書情報の描画出力を実行する印刷設定アプリケーションと、印刷装置が解釈可能な印刷データを生成するプリンタドライバとを備え、当該印刷データを印刷装置へ送信する情報処理装置であって、
任意のアプリケーションにより作成された文書の描画出力をオペレーティングシステムを介して受け取り、文書情報を生成する文書情報生成手段と、
前記印刷設定アプリケーションによって提供される設定画面を介して指示された設定内容に従って、前記文書情報の印刷データが印刷される複数枚の印刷用紙の間に、タブ部を有する挿入用紙を挿入し、該挿入用紙のタブ部に文字列を印刷することを設定する処理を前記印刷設定アプリケーションに実現させるタブ設定手段と、
前記タブ設定手段により前記挿入用紙のタブ部に文字列を印刷することが設定される場合に、書式設定画面を介して入力されるユーザ指示に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷する文字列のフォント種別と文字揃えを登録する書式設定登録手段と、
前記書式設定登録手段により登録される書式に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷させるように前記文字列の描画出力用のデータを作成し、かつ、前記印刷用紙に印刷させるように前記文書情報の描画出力用のデータを作成し、プリンタドライバを動作させることで、印刷装置が解釈可能な印刷データを前記タブ部に印刷される文字列の描画出力用のデータと前記印刷用紙に印刷される文書情報の描画出力用のデータとに基づいて生成させる印刷データ生成手段とを有し、
前記書式設定登録手段は、前記挿入用紙のタブ部に印刷する文字列のフォント種別が複数のフォント種別から選択されると、選択されたフォント種別に従った前記挿入用紙のタブ部に印刷する文字列の文字揃えを選択するための選択肢を変更して、前記書式設定画面を表示し、
前記印刷データ生成手段は、前記書式設定登録手段により登録される書式に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷させるように前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記印刷データを生成させるべく前記文字列の描画出力用のデータを作成し、かつ、前記印刷用紙に印刷させるように前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記印刷データを生成させるべく前記文書情報の描画出力用のデータを作成し、該プリンタドライバを動作させることにより前記印刷装置が解釈可能な印刷データを生成させることを特徴とする情報処理装置。」
(下線は当審にて付加。なお、「前記印刷データ生成手段は、・・・を生成させること」という記載に対しては、当該記載の前にある「印刷データ生成手段」に関する記載と表現が異なるところに下線を付加している。)

に変更する補正を含む。

この本件第2補正によって、請求項1の「印刷データ生成手段」は、
「前記書式設定登録手段により登録される書式に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷させるように前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記印刷データを生成させるべく前記文字列の描画出力用のデータを作成し、かつ、前記印刷用紙に印刷させるように前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記印刷データを生成させるべく前記文書情報の描画出力用のデータを作成」する処理と、
「該プリンタドライバを動作させることで、印刷装置が解釈可能な印刷データを前記タブ部に印刷される文字列の描画出力用のデータと前記印刷用紙に印刷される文書情報の描画出力用のデータとに基づいて生成させる」処理、
を含むものとなった。



2.本件第2補正の検討

本出願に最初に添付した明細書又は図面(以下、「本出願当初明細書等」という。)には、

「 【0109】
まずステップS2701で、電子原稿デスプーラ105は、図19に示す文書情報のうち文書の詳細設定情報702を読取り、次にステップS2702で、それに含まれるインデックス紙の情報805(図20)を取り出す。この情報805(図21)を基に、現在の章にインデックス紙の情報が設定されているかどうかをみる。設定されているときはステップS2704に進み、電子原稿デスプーラ105は、その章のインデックス紙の情報を取り出して、インデックス紙を印刷する。次にステップS2705に進み、そのインデックス紙のタブに章の名称を印刷するように指示されているかどうかを判定する。印刷が指示されている場合はステップS2706に進み、その章に対応する章の名称を対応する章の詳細設定情報から読み出し、ステップS2707で電子原稿デスプーラは、対応するインデックス紙情報として記憶されている、指定されたフォント、文字サイズや文字揃え等に応じて、そのインデックス紙のタブに印刷させるようGDI関数をOSの描画手段であるグラフィックエンジン(GDI)に出力する。これにより、グラフィックエンジンでプリンタドライバ106が解釈可能な描画関数(DDI関数)に変換され、前述したように、プリンタドライバ106は、グラフィックエンジンから渡された描画関数に応じて、プリンタ107が解釈可能なプリンタ制御言語の印刷データを生成することにより、タブ紙印刷処理が実行される。」(下線は当審において付加)

と記載されているように、
「前記書式設定登録手段により登録される書式に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷させるように『前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記印刷データを生成させるべく』前記文字列の描画出力用のデータを作成し、かつ、前記印刷用紙に印刷させるように『前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記印刷データを生成させるべく』前記文書情報の描画出力用のデータを作成」する処理を行うのは、(OSの手段とは異なる)「電子原稿デスプーラ」であり、
「プリンタドライバを動作させることで、印刷装置が解釈可能な印刷データを前記タブ部に印刷される文字列の描画出力用のデータと前記印刷用紙に印刷される文書情報の描画出力用のデータとに基づいて生成させる」処理を行うのは、(OSの描画手段である)「グラフィックエンジン(GDI)」であって、
「電子原稿デスプーラ」を「グラフィックエンジン(GDI)」を備えるOSに組み込む、又は、OSから 「グラフィックエンジン(GDI)」を抽出して「電子原稿デスプーラ」に組み込むことによって、請求項1に規定された「印刷データ生成手段」という一つの手段とすることは開示されていない。

また、情報処理装置に組み込まれる手段は、当該手段が有する技術的な機能又は性質等に基づき、OS側に組み込まれれるべきか、アプリケーション側又はツール側に組み込まれるべきか、ということが決定されるのであるから、
OS側に組み込まれる手段を抽出してアプリケーション側又はツール側に組み込んだり、アプリケーション側又はツール側に組み込まれている手段をOS側に組み込んだりすることは、本出願当初明細書等に明示するまでも無いような自明な事項とはいえない。

以上のことから、本件第2補正は、本出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。



3.むすび

したがって、本件第2補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。




第3 平成18年7月7日付けの手続補正について

本件第2補正は上記のとおり却下されたので、つぎに、平成18年7月7日付けの手続補正(以下、「本件第1補正」という。)について検討する。

なお、平成18年12月18日付けの手続補正は、平成19年2月19日付けの補正の却下の決定によって、却下されている。



1.平成18年10月19日付けの拒絶理由通知書

平成18年7月7日付けの手続補正に対して通知された、平成18年10月19日付けの拒絶理由通知書(最後)では、以下の拒絶の理由1が指摘されている。

「平成18年7月7日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。



請求項4に記載された「前記アプリケーションにより生成された複数の文書の描画出力を、それぞれ複数の章として文書情報を生成し、1つの文書ファイルとして生成する」ことについては、出願当初の明細書及び図面には記載されていないし自明でもない。(請求項9,14についても同様である)
なお、本願明細書の【0046】-【0050】段落には、アプリケーションデータを電子原稿データに変換して、現在開かれているブックファイルのブックに新たな章として追加する旨の記載はあるものの、当該記載から上記請求項に記載の事項が自明なこととはいえない。
よって、上記補正は新規事項を追加するものである。

なお、当該補正がなされた明細書又は図面における請求項4,9,14に記載した事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内にないことが明らかであるから、当該請求項に係る発明については新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。」



2.本件第1補正の補正内容

本件第1補正は、特許請求の範囲の請求項1乃至5を、本件第1補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至5、すなわち、

「 【請求項1】
任意のアプリケーションにより作成された文書の描画出力をオペレーティングシステムを介して受け取り、文書情報を生成する文書情報生成手段と、
文書情報の印刷データが印刷される印刷用紙の間に、タブ部を有する挿入用紙を挿入し、該挿入用紙のタブ部に文字列を印刷することを設定するタブ設定手段と、
前記タブ設定手段により前記挿入用紙のタブ部に文字列を印刷することが設定される場合に、書式設定画面を介して入力されるユーザ指示に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷する文字列のフォント種別と文字揃えを登録する書式設定登録手段と、
前記書式設定登録手段により設定される書式に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷させるように前記文字列の描画出力を行い、かつ、前記印刷用紙に印刷させるように前記文書情報の描画出力を行うことで、印刷装置が解釈可能な印刷データを生成する印刷データ生成手段とを有し、
前記書式設定登録手段は、前記挿入用紙のタブ部に印刷する文字列のフォント種別が複数のフォント種別から選択されると、選択されたフォント種別に従った前記挿入用紙のタブ部に印刷する文字列の文字揃えを選択するための選択肢を変更して、前記書式設定画面を表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記文書情報生成手段は、前記アプリケーションにより生成された複数ページの文書の描画出力を1つの章として前記文書情報を生成し、
前記タブ設定手段により前記挿入用紙のタブ部に文字列を印刷することが設定される場合に、前記印刷データ生成手段は、前記文書情報の章の先頭で、前記挿入用紙のタブ部に印刷させる文字列の描画出力を行うことにより印刷データを生成することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文書情報は、各章毎に章の名称が与えられており、前記挿入用紙のタブ部に印刷される文字列は、この章の名称が用いられることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記文書情報生成手段は、前記アプリケーションにより生成された複数の文書の描画出力を、それぞれ複数の章として文書情報を生成し、1つの文書ファイルとして生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記印刷データ生成手段は、前記書式設定登録手段により設定される書式に従って、前記挿入用紙のタブ部に印刷させるように前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記文字列の描画出力を行い、かつ、前記印刷用紙に印刷させるように前記オペレーティングシステムを介してプリンタドライバに前記文書情報の描画出力を行い、該プリンタドライバを動作することにより前記印刷装置が解釈可能な印刷データを生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。」

に変更する補正を含む。

この本件第1補正によって、請求項4の「文書情報生成手段」は、「前記アプリケーションにより生成された複数の文書の描画出力を、それぞれ複数の章として文書情報を生成し、1つの文書ファイルとして生成すること」を特徴とするものとなった。


なお、出願人(審判請求人)は、平成18年7月7日付けの意見書において、
「(4) 請求項4の「前記文書情報生成手段は、前記アプリケーションにより生成された複数の文書の描画出力を、それぞれ複数の章として文書情報を生成し、1つの文書ファイルとして生成する」ことは、明細書の段落[0019],[0026]?[0029],[0050]及び図3,図8に記載されております。」
と主張している。



3.本件第1補正の検討

本出願当初明細書等には、

「 【0019】
電子原稿ライタ102は、前述のデバイスドライバを改良したものであり、この文書処理システム実現のために提供されるソフトウェアモジュールである。但し、この電子原稿ライタ102は、特定の出力デバイスを目的としておらず、後述の製本アプリケーション104やプリンタドライバ106により処理可能な形式に出力コマンドを変換することにより電子原稿ファイル103を生成する。この電子原稿ライタ102による変換後の形式(以後、「電子原稿形式」と呼ぶ)は、ページ単位の原稿を詳細な書式をもって表現可能であれば特に問わない。実質的な標準形式のうちでは、例えばアドビシステムズによるPDF形式や、SGML形式などが電子原稿形式として採用できる。アプリケーション101により電子原稿ライタ102を利用させる場合には、出力に使用するデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してから印刷を実行させる。但し、電子原稿ライタ102によって作成されたままの電子原稿ファイルは、電子原稿ファイルとして完全な形式を備えていない。そのため、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定するのは製本アプリケーション104であり、その管理下でアプリケーションデータの電子原稿ファイルへの変換が実行される。製本アプリケーション104は、電子原稿ライタ102が生成した新規の不完全な電子原稿ファイルを、後述する形式を備えた電子原稿ファイルとして完成させる。以下では、この点を明瞭に識別する必要がある際には、電子原稿ライタ102によって作成されたファイルを「電子原稿ファイル」と呼び、製本アプリケーション104によって構造を与えられた電子原稿ファイルを「ブックファイル」と呼ぶ。また、特に区別する必要がない場合は、アプリケーションにより生成されるドキュメントファイル、電子原稿ファイル、及びブックファイルをいずれも文書ファイル(または文書データ)と呼ぶ。」
(下線は当審において付加)

「 【0025】
<電子原稿データの形式>
編集アプリケーション104の詳細に言及する前に、上述した「ブックファイル」のデータ形式を説明する。
【0026】
このブックファイルは、紙媒体の書物を模した3層の層構造を有する。上位層は「ブック」と呼ばれ、1冊の本を模しており、その本全般に係る属性が定義されている。その下の中間層は、本でいう章に相当し、やはり「章」と呼ばれる。各「章」についても、章ごとの属性が定義できる。下位層は「ページ」であり、アプリケーションプログラムで定義された各ページに相当する。各「ページ」ついてもページごとの属性が定義できる。尚、一つの「ブック」は複数の「章」を含んでいてよく、また一つの「章」は複数の「ページ」を含むことができる。
【0027】
図3(A)は、ブックファイルの形式の一例を模式的に示す図である。この例のブックファイルにおける、「ブック」、「章」、「ページ」は、それぞれに相当するノードにより示されている。一つのブックファイルは一つの「ブック」を含む。「ブック」、「章」は、「ブック」としての構造を定義するための概念であるから、この定義された属性値と下位層へのリンクとをその実体として含む。「ページ」は、アプリケーションプログラムによって出力された「ページ」ごとのデータを実体として有する。そのため「ページ」は、その属性値の他、原稿ページの実体(原稿ページデータ)と各原稿ページデータへのリンクを含む。尚、紙媒体等に出力する際の印刷ページは、複数の原稿ページを含む場合がある。この構造に関してはリンクによって表示されず、「ブック」、「章」、「ページ」の各階層における属性として表示される。
【0028】
図3(A)において、ブック301には、ブック属性が定義されているとともに、2つの章302A,302Bがリンクされている。このリンクにより、章302A,302Bがブック301に包含されていることが表示される。更に章302Aには、ページ303A,303Bがリンクされ、これらページが含まれることが示されている。各ページ303A,303Bには、それぞれそのページの属性値が定義され、その実体である原稿ページデータ(1)、(2)へのリンクが含まれる。これらリンクは、図3(B)に示す原稿ページデータ304の原稿データ(1),(2)を指示しており、ページ303A、303Bの実体が、原稿ページデータ(1)、(2)であることを表示する。
【0029】
同様に、章302Bにはページ303C,303Dが含まれ、その実体である原稿ページデータ(3)、(4)へのリンクが含まれている。これらリンクは、図3(B)に示す原稿ページデータ304の原稿データ(3),(4)を指示しており、ページ303C、303Dの実体が、原稿ページデータ(3)、(4)であることが表示される。」

「 【0045】
図10は、この表示されたUI画面の一例を示す図である。
【0046】
このUI画面1100は、ブックの構造を示すツリー部1101と、印刷された状態を表示するプレビュー部1102とを含む。ツリー部1101には、そのブックに含まれる章、各章に含まれるページが、前述の図3(A)のような木構造で表示される。ツリー部1101にはページ番号が表示されており、このページ番号は原稿ページの番号を示している。またプレビュー部1102には、印刷ページの内容が縮小されて表示される。その表示順序は、ブックの構造を反映したものとなっている。
【0047】
さて、このオープンされたブックファイルには、電子原稿ライタ102によって、電子原稿ファイルに変換されたアプリケーションデータを、新たな章として追加することができる。この機能を「電子原稿インポート機能」と呼ぶ。前述の図7のフローチャートで示す手順に沿って新規に作成されたブックファイルに、この電子原稿インポートすることで、そのブックファイルに実体が与えられる。この機能は、図10の画面において、アプリケーションデータをドラッグアンドドロップ操作することで起動される。
【0048】
図8は、本実施の形態に係る電子原稿インポートの手順を示すフローチャートである。
【0049】
まず、指定されたアプリケーションデータを生成したアプリケーションプログラムを起動し、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してアプリケーションデータを印刷させることにより電子原稿データに変換する(ステップS801)。この電子原稿データへの変換を終えるとステップS802に進み、その変換されたデータが画像データであるか否かを判定する。この判定は、ウインドウズOSの下であれば、アプリケーションデータのファイル拡張子に基づいて行うことができる。例えば、拡張子が「bmp」であればウインドウズビットマップデータであり、「jpg」であればJPEG圧縮された画像データ、「tiff」であればtiff形式の画像データであると判定できる。また、このような画像データの場合はステップS801のようにアプリケーションを起動せずに、画像データから直接電子原稿ファイルを生成することが可能であるため、ステップS801の処理を省略することも可能である。
【0050】
ステップS802で、画像データでなかった場合はステップS803に進み、ステップS801で生成された電子原稿ファイルを、現在開かれているブックファイルのブックに、新たな章として追加する。この場合、章属性としては、ブック属性と共通するものについてはブック属性の値がコピーされ、そうでないものについては、予め用意された規定値に設定される。」
(下線は当審において付加)

と記載されているように、「前記アプリケーションにより生成された各文書の描画出力を、それぞれ別の章として文書情報を生成し、ブックファイルにインポートすること」という「電子原稿インポート機能」は開示されているとはいえても、
「前記アプリケーションにより生成された・・・文書の描画出力」のそれぞれが「複数の章」を有するように生成することや、当該「描画出力」同士を結合して1つの文書を生成すること、すなわち、請求項4の「文書情報生成手段」が「前記アプリケーションにより生成された複数の文書の描画出力を、それぞれ複数の章として文書情報を生成し、1つの文書ファイルとして生成すること」(なお、「文書ファイル」は上述の段落【0019】にあるように「ブックファイル」のみを指す用語ではない。)は開示されていない。

以上のことから、本件第1補正は、本出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。



4.むすび

以上のとおり、本件第1補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-10 
結審通知日 2009-12-14 
審決日 2009-12-25 
出願番号 特願2002-222025(P2002-222025)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 匡浜岸 広明  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 和田 財太
小曳 満昭
発明の名称 情報処理装置及びその方法とプログラム  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 大塚 康徳  

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