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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F27D
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F27D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F27D
管理番号 1211694
審判番号 不服2008-2625  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-06 
確定日 2010-02-12 
事件の表示 特願2004-380579「転炉内壁解体機および転炉内壁の解体方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月13日出願公開、特開2006-183971〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一 手続の経緯
本件審判に係る出願は、平成16年12月28日に出願されたものであって、平成19年 9月18日付けで拒絶理由通知がなされ、その願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面について、
平成19年11月26日に手続補正(以下「補正1」という。)がなされ、
平成19年12月18日付けで拒絶査定がなされ、この拒絶査定を不服として、
平成20年 2月 6日付けで本件審判請求がなされ、
平成20年 3月 5日に手続補正(以下「補正2」という。)がなされ、
平成20年 4月14日付けで、前置審査において(最後の)拒絶理由通知がなされ、
平成20年 6月23日に手続補正(以下「補正3」という。)がなされたものである。

第二 平成20年 6月23日付けの手続補正(補正3)についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成20年 6月23日付けの手続補正を却下する。
[決定の理由]
1.平成20年 6月23日付けの手続補正(補正3)の内容
補正3は、以下の補正事項aを有するものと認める(以下、補正部分に下線を引いた。)。
補正事項a;補正2により補正された【特許請求の範囲】の【請求項1】(以下、「補正2の請求項1」という。)の記載、
「【請求項1】
後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを伸縮して転炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカを回動させるとともに、
前記ブーム内にブームの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体内を通して前記ブレーカ用シリンダの外周を冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側から排出させ、且つ、該ブームの中心軸を同心として回転可能にした転炉内壁の解体方法において、
転炉内壁の解体を該転炉使用完了後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なうことを特徴とする転炉内壁の解体方法。」を、
「【請求項1】
転炉内壁解体機の上部旋回体を旋回させることにより水平方向に向きを変えることができ、且つ、後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを筒体に内蔵された油圧シリンダで伸縮して転炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカを回動させるとともに、
前記ブーム内にブームの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体内を通して前記ブレーカ用シリンダの外周を冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側から排出させ、且つ、該ブームの中心軸を同心として回転可能にした転炉内壁の解体方法において、
転炉内壁の解体を該転炉使用完了後の最終出鋼後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なうことを特徴とする転炉内壁の解体方法。」と補正する。

2.補正3の適否についての判断
2-1.補正3の目的について
補正事項aは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1?4号に掲げるいずれかの事項を目的とするものとはいえない。以下に補足する。

補正事項aは、補正2の請求項1に、上記下線部の「転炉内壁解体機の上部旋回体を旋回させることにより水平方向に向きを変えることができ、且つ、」という特定事項を、新たに付加し、転炉内壁解体機の上部旋回体について向きの変更方向を新たに特定するものである。
しかしながら、補正2の請求項1には、「転炉内壁解体機」を用いること、さらには該解体機が「上部旋回体」を有することは発明を特定するために必要な事項として、何ら特定されていないから、補正事項aは、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものとはいえない。

また、補正事項aは、請求項の削除、誤記の訂正、または明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しないことが明らかである。

したがって、補正事項aを含む補正3は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

2-2.独立特許要件についての検討
また、仮に、上記補正事項aが限定的減縮であるとしても、補正3により補正された請求項1に係る発明(以下「補正3発明」という。)は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、補正3は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反し、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
以下、詳述する。

(1)刊行物に記載された事項
前置審査で通知した(最後の)拒絶の理由に引用文献1?3として引用された刊行物1?3には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は、引用箇所のうち特に強調する部分に付加した。以下同様。)
(ア)刊行物1:特開平11-230680号公報
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】掘削機には、作業者が乗りこむことになるが、出鋼直後の炉内は非常に高温であり、約500?1000℃もある。しかも冷め難く、水を注入して4時間経過しても、80℃もあり、作業者が耐えられる温度に下がるまで待つ時間が、非能率化の主因となっていた。」

「【0017】
・・・図1は本発明の一実施形態である溶融炉解体装置1を用いて電気炉3の耐火レンガ5を破砕している様子を示す正面図である。本図に示すように溶融炉解体装置1は、電気炉3の上方において略水平に設置された桁部7と、桁部7の下において軸Pの回りに360°旋回可能に設けられた旋回体9と、旋回体9に軸Qの回りに揺動可能に設けられたアウターブーム11と、アウターブーム11に内嵌されたインナーブーム13と、インナーブーム13の先端に設けられたフロントアタッチメント(図示しない)に取り付けられたブレーカ15とを主要部として構成されている。
・・・

【0019】アウターブーム11の揺動は、油圧によってロッド31が伸縮することによって行なわれる。インナーブーム13は、アウターブーム11の内部に設けられた破線で示す油圧シリンダ33によって伸縮される。また、フロントアタッチメントは点Rを軸として傾動可能にされており、ロッド35が油圧によって伸縮されることによって傾動される。これら3軸の動きに軸P回りの旋回を加えた4軸の動きにより、ブレーカ15の先端を、電気炉3内の任意の箇所に位置させることができる。・・・」

「【0022】・・・次にブレーカ15の周辺について図4に示す。本図に示すように、ブレーカ15にはインナーブーム13からノズル61が伸びており、ここから噴出されるエアーにより、ブレーカ15の先端部63を冷却する。これにより、先端部63の温度を下げ、耐火レンガから受ける熱による磨耗の促進を抑制する。つまりノズル61は、本発明の先端冷却部に相当する。なお、ノズル65はピン・ブッシュを冷やすためのものであり、これにより熱によってピン・ブッシュが受けるトラブルの防止をしている。」

「【0024】そして電気炉3の中に人が入る必要が無いため、作業者が入れないほどの高温であっても、ブレーカ15やマニピュレータが熱による異常を来さない程度の温度であれば、作業を開始することができる。」

(イ)刊行物2:特開昭62-20814号公報
「(実施例)
・・・1は機台、Aはこの機台1に装着したブーム装置である。機台1は、油圧ショベル等のベースマシンと同様、クローラ式の下部走行体1aと、この下部走行体1a上に旋回軸受1bを介して搭載された上部旋回体1cとから成っている。」(2頁右下欄下から4行?3頁左上欄1行)

「両ブーム体2a、2bがブーム軸心まわりに一体回転する。」(3頁右下欄下から5?4行)

(ウ)刊行物3:実願昭63-130104号(実開平02-052096号)のマイクロフイルム
「第1図は本考案の炉壁付着物の熱間破砕装置の一例・・・支持用ロッド(31)、(32)、(33)、(34)は冷却媒体の通路を有する形状・・・」(6頁6?13行)

「第3図は破砕部の一例の構成を示す説明図で・・・(イ)図において、支持用ロッド(31)の排出口(9)と破砕機(6)とを結ぶ連結管(13)は、冷却媒体の通路を通過させた圧縮空気を動力源として破砕機(6)に導入するための管で、その排気により破砕機(6)を冷却し、矢印で示したように取付具(7)の穴(12)から排出させる。」(7頁下から4行?8頁13行)

「転炉・・・において使用可能」(10頁2?4行)

(2)引用発明の認定
刊行物1の図1と共に、段落0017、0019、0022の記載を整理すると、溶融炉解体装置1について、以下の事項が把握できる。
溶融炉解体装置1は、一端側の垂直な軸Pの回りに360°旋回可能に設けられた旋回体9を備え、旋回体9の他端側には、水平な軸Qの回りを揺動可能なアウターブーム11、及びそれに内嵌されたインナーブーム13が下方に設けられているから(段落0017、図1)、これらは、上部の旋回体9を旋回させることにより水平方向に向きを変えることができる。

アウターブーム11と、それに内嵌されたインナーブーム13は、アウターブーム11の内部に設けられた破線で示す油圧シリンダ33によって伸縮されるから(段落0019)、後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブーム11、13を筒体に内蔵された油圧シリンダで伸縮している。また、これらのブームは、炉内に進入させられている。

ブレーカ15を取り付けたフロントアタッチメントは点Rを軸として傾動可能にされており、ブーム内部の上記油圧シリンダ33のように、その内部で油圧によってロッド35が伸縮されることによって傾動されると解されるから(段落0017、0019、図1)、ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカ15を回動させていると言える。

インナーブーム13からノズル61、65が伸びており、ここから噴出されるエアーにより、ブレーカ15の先端部63、ピン・ブッシュを冷却して排出しているから(段落0022、図1)、インナーブームから伸びたノズルから冷却用エアーを吹き込み、前記ブレーカの先端部、ピン・ブッシュを冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側付近から排出させていると言える。

そして、上記溶融炉解体装置1の動作により、溶融炉内壁を解体することが記載されているから、上記溶融炉解体装置を用いた溶融炉内壁の解体方法が記載されていると言える。

したがって、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「溶融炉解体装置の旋回体を旋回させることにより水平方向に向きを変えることができ、且つ、後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを筒体に内蔵された油圧シリンダで伸縮して炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカ15を回動させるとともに、
インナーブームから伸びたノズルから冷却用エアーを吹き込み、前記ブレーカの先端部、ピン・ブッシュを冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側付近から排出させる溶融炉内壁の解体方法。」(以下「引用発明」という。)

(3)補正3発明と引用発明との対比
補正3発明と、上記引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
一致点
「炉内壁解体機の旋回体を旋回させることにより水平方向に向きを変えることができ、且つ、後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを筒体に内蔵された油圧シリンダで伸縮して炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカを回動させるとともに、
冷却用のエアを吹き込み、前記ブレーカに関する構造部分を冷却するようにし、排出させる炉内壁の解体方法。」

相違点1
補正3発明は、「転炉内壁解体機の上部旋回体を旋回させる」のに対して、
引用発明は、「溶融炉解体装置の旋回体を旋回させる」点。

相違点2
補正3発明は、「ブーム内にブームの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体内を通して前記ブレーカ用シリンダの外周を冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側から排出させ」るのに対して、
引用発明は、「インナーブームから伸びたノズルから冷却用エアーを吹き込み、前記ブレーカの先端部、ピン・ブッシュを冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側付近から排出させる」点、
すなわち、
補正3発明は、ブームの筒体全体を冷却用エアの通路として、エアを吹き込み、排出しブームも冷却しているのに対して、
引用発明は、ブーム内に、冷却用エアー用の通路としてホース状のものを備えノズルから冷却用エアーを吹き込み、排出している点(図4)。

相違点3
補正3発明は、ブームを「ブームの中心軸を同心として回転可能にした」のに対して、
引用発明は、この点につき不明である点。

相違点4
補正3発明は、「転炉内壁の解体を該転炉使用完了後の最終出鋼後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なう」のに対して、
引用発明は、この点につき不明である点。

(4)当審の判断
以下、相違点について検討する。
相違点1について
溶融炉の一種として転炉は周知であるから、引用発明の「溶融炉解体装置」を、「転炉内壁解体機」とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

さらに、引用発明は、炉内壁を解体するブレーカ15、ブーム11、13からなる溶融炉内壁解体機の主要構造部分の、上部の、旋回体9を旋回させることにより、該ブームを水平方向に向きを変えているから、相違点1の記載に相当し、「上部の旋回体」の点については、実質的な相違点ではない。

仮に、本願発明の「転炉内壁解体機の上部旋回体を旋回させる」意味として、本願明細書図2のように「転炉内壁解体機の(下部走行体12)の上部にある旋回体(14)を旋回させる」意味であるとしても、刊行物2には、油圧ショベル等のベースマシンと同様のクローラ式の下部走行体1aの上部に設けた旋回体1cを旋回させることにより水平方向に向きを変えるブーム装置が記載されており、このように、上部旋回体を旋回させることにより水平方向に向きを変えるブームは、解体機、油圧ショベル機、クレーン等の、重機において周知である。
したがって、引用発明において、旋回体9に備えられた、ブーム11、13等からなる解体機の主要構造部分を、刊行物2のような、ブーム装置に設け、溶融炉解体装置の上部旋回体として旋回させることは、解体する溶融炉の向き、位置、大きさ等の必要に応じて、当業者が適宜設計し得ることである。

相違点2について
刊行物3には、転炉に用いる炉壁付着物の熱間破砕装置の、支持用ロッド(31)、(32)、(33)、(34)は冷却媒体の通路を有する形状であり、冷却媒体の通路を通過させた圧縮空気の排気により破砕機(6)を冷却し、矢印(第3図)で示したように取付具(7)の穴(12)から排出させることが記載されている。
すなわち、支持用ロッド内に支持用ロッドの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体の支持用ロッド内を通して、前記破砕機 (6)を冷却するようにし、エアを前記支持用ロッドの先端側から排出させることが記載されている。

引用発明においても、ブーム及びブレーカ用シリンダの外周を冷却する必要に応じ、ノズルから冷却用エアーを吹き込むことに代えて、刊行物3の支持用ロッドのように、ブーム内にブームの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体内を通してブレーカ用シリンダの外周を冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側から排出させるようにすることは、当業者が適宜設計し得ることである。

相違点3について
刊行物2には、「両ブーム体2a、2bがブーム軸心まわりに一体回転する。」ことが記載されている。
引用発明のブームにおいて、「ブームの中心軸を同心として回転可能」とすることは、当業者が適宜設計し得ることである。

相違点4について
刊行物1には、以下の記載がある。
「【0004】・・・出鋼直後の炉内は非常に高温であり、約500?1000℃もある。しかも冷め難く、水を注入して4時間経過しても、80℃もあり、作業者が耐えられる温度に下がるまで待つ時間が、非能率化の主因となっていた。」、

「【0024】・・・ブレーカ15やマニピュレータが熱による異常を来さない程度の温度であれば、作業を開始することができる。」

引用発明において、最終出鋼直後、冷却されるブレーカ15用シリンダ等が熱による異常を来さない炉内温度に下がるまで待つ時間を要することは、当然であり、「最終出鋼後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なう」ようにすることは、当業者が適宜定め得ることである。

したがって、補正3発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

第三 本願発明について
1.本願発明
平成20年 6月23日付けの手続補正(補正3)は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1係る発明は、平成20年 3月 5日付け手続補正(補正2)により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを伸縮して転炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカを回動させるとともに、
前記ブーム内にブームの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体内を通して前記ブレーカ用シリンダの外周を冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側から排出させ、且つ、該ブームの中心軸を同心として回転可能にした転炉内壁の解体方法において、
転炉内壁の解体を該転炉使用完了後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なうことを特徴とする転炉内壁の解体方法。」

2.最後の拒絶理由の概要
最後の拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
この出願の下記の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1?3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開平11-230680号公報
2.特開昭62-020814号公報
3.実願昭63-130104号(実開平02-052096号)のマイクロフィルム

3.刊行物1?3に記載された事項
上記第二の2-2.(1)のとおりである。

4.引用発明の認定
上記第二の2-2.(2)のとおり、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「溶融炉解体装置の旋回体を旋回させることにより水平方向に向きを変えることができ、且つ、後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを筒体に内蔵された油圧シリンダで伸縮して炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカ15を回動させるとともに、
インナーブームから伸びたノズルから冷却用エアーを吹き込み、前記ブレーカの先端部、ピン・ブッシュを冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側付近から排出させる溶融炉内壁の解体方法。」(以下「引用発明」という。)

5.当審の判断
本願発明と、引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
一致点
「後端から先端側に向かって内径が順次小さくなるように入れ子式に繋いだテレスコ構造に形成された複数の筒体からなるブームを筒体に内蔵された油圧シリンダで伸縮して炉内に進入させ、
該ブームに内蔵されたブレーカ用シリンダを駆動して先端に取り付けたブレーカを回動させるとともに、
冷却用のエアを吹き込み、前記ブレーカに関する構造部分を冷却するようにし、排出させる炉内壁の解体方法。」

相違点1
本願発明は、「転炉内壁の解体方法」であるのに対して、
引用発明は、「溶融炉内壁の解体方法」である点。

相違点2
本願発明は、「ブーム内にブームの後端側から先端側に向かって冷却用のエアを吹き込み、前記複数の筒体内を通して前記ブレーカ用シリンダの外周を冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側から排出させ」るのに対して、
引用発明は、「インナーブームから伸びたノズルから冷却用エアーを吹き込み、前記ブレーカの先端部、ピン・ブッシュを冷却するようにし、エアを前記ブームの先端側付近から排出させる」点。

相違点3
本願発明は、ブームを「ブームの中心軸を同心として回転可能にした」のに対して、
引用発明は、この点につき不明である点。

相違点4
本願発明は、「転炉内壁の解体を該転炉使用完了後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なう」のに対して、
引用発明は、この点につき不明である点。

以下相違点について検討する。
相違点1について
溶融炉の一種として転炉は周知であるから、引用発明の「溶融炉内壁の解体方法」を、「転炉内壁の解体方法」として用いることは、当業者が適宜なし得たことである。

相違点2?3について
上記第二の2-2.(4)の相違点2?3について、のとおりである。

相違点4について
上記第二の2-2.(4)の相違点4について、のとおりであり「転炉使用完了後8時間以上、40時間以内の間に解体を行なう」ようにすることは、当業者が適宜定め得ることである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1?3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-11-05 
結審通知日 2009-11-10 
審決日 2009-12-14 
出願番号 特願2004-380579(P2004-380579)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F27D)
P 1 8・ 575- Z (F27D)
P 1 8・ 572- Z (F27D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 國島 明弘  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 植前 充司
山本 一正
発明の名称 転炉内壁解体機および転炉内壁の解体方法  
代理人 林 孝吉  
代理人 林 孝吉  
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