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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A61B |
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管理番号 | 1211702 |
審判番号 | 不服2008-8113 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-04-03 |
確定日 | 2010-02-12 |
事件の表示 | 特願2001-332302「画像診断用寝台装置の付属品」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月13日出願公開、特開2003-135446〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成13年10月30日の出願であって、拒絶理由通知に応答して平成18年10月23日付けで手続補正(以下、「本件補正1」という。)がなされたが、平成19年6月14日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月20日付けで手続補正(以下、「本件補正2」という。)がなされたが、平成20年2月22日付けで本件補正2について補正却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月3日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同年4月30日付けにて手続補正(以下、「本件補正3」という。)がなされたものである。さらに、平成21年8月13日付けで審尋がなされ、回答書が同年10月15日付けで請求人より提出されたものである。 第2 本件補正3についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成20年4月30日付け手続補正を却下する。 [理由] 1 補正後の本願発明 本件補正3により、特許請求の範囲の請求項1は、 「 【請求項1】 画像診断用寝台装置における被検体を載置するための天板に接続される画像診断用寝台装置の付属品において、 前記付属品は、ヘッドレストであって、 被検体頭部を載置するための載置部と、 前記天板に設けられた接続穴に差し込むための接続部と、 前記接続部に設けられ、前記天板に設けられた固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備えた固定用板バネとを備え、これら全体がX線透過材で構成され、 前記ヘッドレストは、前記固定用板バネを下方に押下げることにより前記天板から取り外し可能に構成されたことを特徴とする画像診断用寝台装置の付属品。」 と補正された。(下線は補正箇所を示す。) 上記本件補正3は、補正前の請求項1に記載された発明の特定事項である 「 前記付属品は、全体がX線透過材で構成されたヘッドレストであって、 被検体頭部を載置するための載置部と、 前記天板に設けられた接続穴に差し込むための接続部と、 前記接続部に設けられ、前記天板に設けられた固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備えた固定用板バネとを備え、」を 「 前記付属品は、ヘッドレストであって、 被検体頭部を載置するための載置部と、 前記天板に設けられた接続穴に差し込むための接続部と、 前記接続部に設けられ、前記天板に設けられた固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備えた固定用板バネとを備え、これら全体がX線透過材で構成され、」とする補正を含むものであるが、該補正は、ヘッドレストについて限定する「全体がX線透過材で構成された」との修飾語を同一請求項内で後方に移動させ「これら全体がX線透過材で構成され、」としたものであり、実質的な補正ではないので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 また、誤記の訂正でも明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 したがって、本件補正3は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正3は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、本件補正1により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明は、次のとおりであると認める。 「画像診断用寝台装置における被検体を載置するための天板に接続される画像診断用寝台装置の付属品において、 前記付属品は、全体がX線透過材で構成されたヘッドレストであって、 被検体頭部を載置するための載置部と、 前記天板に設けられた接続穴に差し込むための接続部と、 前記接続部に設けられ、前記天板に設けられた固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備えた固定用板バネとを備え、 前記ヘッドレストは、前記固定用板バネを下方に押下げることにより前記天板から取り外し可能に構成されたことを特徴とする画像診断用寝台装置の付属品。」(以下、「本願発明」という。) 2 引用刊行物およびその記載事項 本願出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭62-201141号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「医用診断装置用被検体支持装置」について、図面とともに次の事項が記載されている。 (1-ア) 「2.特許請求の範囲 被検体の胴体部を支持する体部支持部と、この体部支持部に着脱自在に取付けられる頭部支持部とから成り、セラミックスを、材料としたことを特徴とする医用診断装置用被検体支持装置。」(1頁左下欄4?8行) (1-イ) 「 X線CT装置においては、被検体の体型に応じて被検体に無用の負担を与えることなく断層撮影を行うため、被検体を載置する部材は被検体の胴体を載せる部分(天板という)と頭部を載せる部分(ヘッドレストという)とから構成され、ヘッドレストは適宜交換使用されており、かつ天板とヘッドレストはアーチファクトの発生を防止するため樹脂材が使用されているが天板とヘッドレストとの連結部分には強度を補強するため金属が使用されている。」(1頁右下欄16行?2頁左上欄5行) (1-ウ) 「(発明が解決しようとする問題点) 上記した如くX線CT装置で用いられている天板ではヘッドレストを被検体の体型に合せて適宜交換使用できるが、樹脂材を採用しているため天板とヘッドレストの連結部分に強度の補強部材として高密度部材である金属等を用いる結果、特に頭部の断層撮影において十分な診断画像を得ることができず、」(2頁左上欄16行?右上欄3行) (1-エ) 「(問題点を解決するための手段) 本発明の医用診断装置用の被検体支持装置では、被検体を載置する寝台の上部に支持された天板と、これに対して着脱自在のヘッドレストとから成りセラミックスを材料とすることを特徴とする。」(2頁右上欄14?19行) (1-オ) 「第1図(b)は本発明のCT装置用被検体支持装置のヘッドレスト端部と天板端部の構造の一実施例を示すものである。 ヘッドレスト1と天板2はセラミックス材料からできている。ヘッドレスト1は頭部を支持する頭部支持部1Aと、これに連設された係合部1Bを有し、係合部1Bの先端には、係合突起1C、1Cが左右対象的に設けられている。一方、天板2の一方の端部方向には前記係合部1Bを嵌合できる大きさの係合凹部2Aが設けられている。係合凹部の奥方向には前記係合突起 1Cを挿入しうる大きさの案内用切欠部2Bが対称的に設けられている。案内用切欠部のさらに奥方向には袋状となっている係合用袋部2Cが左右対称に形成されている。 このように構成されたヘッドレスト1と天板2を組立てるにはまずヘッドレスト1の係合突起1Cを天板2における案内用切欠部2Aを介して上から下に押し込むように挿入し、つぎに奥方向に水平に押圧する。そうすると係合突起1Cが係合用袋部2Cに位置し、ヘッドレスト1の動きを規制するように働き、これによって第1図(a)のごとき被検体支持装置を組立てることができる。 逆にヘッドレスト1を天板2から取外すときはヘッドレスト1の先端部を軽く上部へ持ち上げて引き出せば良い。 なお、X線CT装置に本発明である支持装置を用いて実験した結果X線吸収率はほとんど従来の樹脂やカーボンのものと大差がなく、画像に与える影響はないことが明確となった。」(2頁右下欄8行?3頁左上欄17行) そうすると、これらの記載と図面を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。 「X線CT装置用の被検体支持装置の被検体を載置する寝台の上部に支持された天板2に対して着脱自在のセラミックスを材料とするヘッドレスト1であって 頭部を支持する頭部支持部1Aと、 前記天板2の係合凹部2Aに嵌合できる、先端に係合突起1C、1Cが設けられている係合部1Bを有し、 先端部を軽く上部へ持ち上げて引き出せば、天板2から取外すことができるヘッドレスト1。」(以下、「引用発明」という。) 本願出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平8-10297号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (2-ア) 「【0069】図35に示す第7の実施例は、図34のものと同様に、外装体70に取り付けられた帯97の両端部に係合孔100aを有する雌側連結具100を取り付け、帯90a、90bの他端部に弾性係合部101aを有する雄側連結具101を取り付けたものである。 【0070】この構成において、雄側連結具101の弾性掛合部101aを雌側連結具100内に挿入すると、該弾性係合部101aの凸部101bが雌側連結具100の係合孔100aに係合し、両連結具100、101が連結状態となる。この連結状態において、弾性掛合部101aの突片101cを押圧すると、該弾性掛合部101aが弾性的に撓んで係合孔100aから抜け出るので、その連結を解除することができる。これら第6、第7の各実施例のように構成しても第5の実施例と同様の効果を得ることができる。」 本願出願日前に頒布され、最初の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平9-75333号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (3-ア) 「【0023】頭部受板1は、円形または楕円形の外周と外周とほぼ同じ形の内周を有する円環状の板部1-1と、板部1-1の下端部に接合して設けられた第1の回転軸となる軸部材1-2より構成され、X線透過性の材質、例えばカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)で一体成型されている。」 3 当審の判断 (1)対比 1 引用発明と補正発明とを対比すると、その構造・機能からみて、引用発明の「頭部支持部1A」、「天板2」および「ヘッドレスト1」は、それぞれ、補正発明の「載置部」、「天板」および「ヘッドレスト」に相当することが明らかである。 引用発明の「ヘッドレスト」は、「X線CT装置用の被検体支持装置の被検体を載置する寝台の上部に支持された天板に対して着脱自在」であり、X線CT装置は画像診断装置であるから、補正発明の「画像診断用寝台装置の付属品」であることも明らかである。 引用発明の「セラミックスを材料とするヘッドレスト」は、(1-オ)「X線CT装置に本発明である支持装置を用いて実験した結果X線吸収率はほとんど従来の樹脂やカーボンのものと大差がなく、画像に与える影響はないことが明確となった。」との記載より、「全体がX線透過材で構成されたヘッドレスト」に相当する。 引用発明の「前記天板2の係合凹部2Aに嵌合できる、先端に係合突起1C、1Cが設けられている係合部1Bを有し、 先端部を軽く上部へ持ち上げて引き出せば、天板2から取外すことができるヘッドレスト1」と 補正発明の「前記天板に設けられた接続穴に差し込むための接続部と、 前記接続部に設けられ、前記天板に設けられた固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備えた固定用板バネとを備え、 前記ヘッドレストは、前記固定用板バネを下方に押下げることにより前記天板から取り外し可能に構成された」とは、 「前記天板に設けられた嵌合保持部に嵌合する嵌合接続部を備え、 前記ヘッドレストは、前記天板から取り外し可能に構成された」点で共通する。 そうすると、両者は、 (一致点) 「画像診断用寝台装置における被検体を載置するための天板に接続される画像診断用寝台装置の付属品において、 前記付属品は、全体がX線透過材で構成されたヘッドレストであって、 被検体頭部を載置するための載置部と、 前記天板に設けられた嵌合保持部に嵌合する嵌合接続部を備え、 前記ヘッドレストは、前記天板から取り外し可能に構成された画像診断用寝台装置の付属品。」 である点で一致し、以下の点で相違するといえる。 (相違点) ヘッドレストの天板への嵌合保持のための構成について、 補正発明では、「天板に設けられた接続穴に差し込むための接続部と、 前記接続部に設けられ、前記天板に設けられた固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備えた固定用板バネとを備え、 前記ヘッドレストは、前記固定用板バネを下方に押下げることにより前記天板から取り外し可能」に構成されているのに対して、 引用発明では、「天板2の係合凹部2Aに嵌合できる、先端に係合突起1C、1Cが設けられている係合部1Bを有し、 先端部を軽く上部へ持ち上げて引き出せば、天板2から取外すことができる」点。 (2)相違点についての判断 刊行物2には「【0070】・・・雄側連結具101の弾性掛合部101aを雌側連結具100内に挿入すると、該弾性係合部101aの凸部101bが雌側連結具100の係合孔100aに係合し、両連結具100、101が連結状態となる。この連結状態において、弾性掛合部101aの突片101cを押圧すると、該弾性掛合部101aが弾性的に撓んで係合孔100aから抜け出るので、その連結を解除することができる。」と記載されており、また、本願出願日前に頒布された刊行物である特開平8-296621号公報に、図面とともに記載されているように、「接続穴に差し込むための接続部と、前記接続部に設けられ、固定用穴に対して嵌合される固定用突起を備え、 前記固定用板バネを下方に押下げることにより取り外し可能」に構成されているものは、種々の分野において従来周知の接続構造である。 したがって、引用発明において、上記周知の事項を適用して、相違点における本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものというべきである。 そして、本願明細書に記載された効果も、引用発明および上記周知の事項から、当業者が予測し得る範囲のものであり、格別顕著なものといえない。 なお、審判請求人は、審尋に対する回答書において、ヘッドレスト(請求項3ではフットレスト)全体がX線透過材であるカーボンFRPで一体成形により構成されたものに限定した補正案を提示し、刊行物1及び2に記載された発明から当業者が容易に想到するものではない旨主張しているが、ヘッドレスト全体がX線透過材であるカーボンFRPで一体成形により構成されたものは、最初の拒絶理由で通知した刊行物3に記載されているので、仮に補正案に補正されたとしても、本願発明は刊行物1、3に記載された発明と周知技術から当業者が容易に想到するものであり、上記主張は採用できない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、本願出願日前に頒布された刊行物1に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その他の請求項について言及するまでもなく、本願出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-08 |
結審通知日 | 2009-12-15 |
審決日 | 2009-12-28 |
出願番号 | 特願2001-332302(P2001-332302) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61B)
P 1 8・ 57- Z (A61B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松谷 洋平、右▲高▼ 孝幸 |
特許庁審判長 |
岡田 孝博 |
特許庁審判官 |
小島 寛史 信田 昌男 |
発明の名称 | 画像診断用寝台装置の付属品 |
代理人 | 三澤 正義 |
代理人 | 特許業務法人三澤特許事務所 |