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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1212012
審判番号 不服2007-4046  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-08 
確定日 2010-02-18 
事件の表示 特願2001- 633「半導体基板」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月21日出願公開、特開2001-257139〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年1月5日(特許法第41条に基づく優先権主張平成12年1月7日)の出願であって、平成18年9月29日付けで手続補正がなされ、同年12月18日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成19年2月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月8日付けで手続補正がなされ、その後当審において平成21年8月7日付けで審尋がなされ、同年10月16日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成19年3月8日付けの手続補正について
【補正の却下の決定の結論】
平成19年3月8日付けの手続補正を却下する。

【理由】
(1)補正の内容
平成19年3月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2を補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に補正するとともに、補正前の発明の詳細な説明を補正後の発明の詳細な説明に補正するものであり、請求項1及び2についての補正は、以下のとおりである。

(補正事項a)補正前の請求項1を、補正後の請求項1の
「【請求項1】 支持基板の上方に貼り合せによって設けられた半導体層を有する半導体基板において、
前記支持基板の周辺領域は、
ボンディングエッジより外側に設けられた微小な勾配により前記半導体層とは貼り合っておらず、かつ、ベベリングによる傾斜面とは異なる平滑な第1の傾斜面と、
該第1の傾斜面よりもさらに外側であって、かつ、該第1の傾斜面よりも傾斜したベベリングによる第2の傾斜面と、
を有し、
前記第1の傾斜面に、基板識別用のマークが形成されていることを特徴とする半導体基板。」
と補正すること。

(補正事項b)補正前の請求項2を、補正後の請求項2の
「【請求項2】 前記マークが形成された部分の前記ボンディングエッジは、前記マークが形成されていない部分のボンディングエッジの位置よりも局所的に内方に後退していることを特徴とする請求項1に記載の半導体基板。」
と補正すること。

(2)補正の目的の適否および新規事項の追加の有無についての検討
(2-1)補正事項aについて
補正事項aは、3つの部分からなるものであるから、各々について検討する。
(2-1-1)補正事項aのうち、補正前の請求項1における「ボンディングエッジより外側に設けられた第1の傾斜面と、」を、補正後の請求項1における「ボンディングエッジより外側に設けられた微小な勾配により前記半導体層とは貼り合っておらず、かつ、ベベリングによる傾斜面とは異なる平滑な第1の傾斜面と、」とする補正については、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下「特許法第17条の2第4項」という。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「微小な勾配により前記半導体層とは貼り合っておらず、かつ、ベベリングによる傾斜面とは異なる平滑な」は、本願の願書に最初に添付した明細書の【発明の詳細な説明】の【0049】段落の記載に基づく補正である。
(2-1-2)補正事項aのうち、補正前の請求項1における「該第1の傾斜面よりも傾斜した第2の傾斜面と、」を、補正後の請求項1における「該第1の傾斜面よりも傾斜したベベリングによる第2の傾斜面と、」とする補正については、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「ベベリングによる」は、本願の願書に最初に添付した明細書の【発明の詳細な説明】の【0049】段落の記載に基づく補正である。
(2-1-3)補正事項aのうち、補正前の請求項1における「前記第1の傾斜面に、マークが形成されている」を、補正後の請求項1における「前記第1の傾斜面に、基板識別用のマークが形成されている」とする補正については、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「基板識別用の」は、本願の願書に最初に添付した明細書の【発明の詳細な説明】の【0006】段落及び【0049】段落の記載に基づく補正である。

(2-2)補正事項bについて
補正前の請求項2における「前記マークが形成された前記第1の傾斜面の前記ボンディングエッジは局所的に内方に後退している」を、補正後の請求項2における「前記マークが形成された部分の前記ボンディングエッジは、前記マークが形成されていない部分のボンディングエッジの位置よりも局所的に内方に後退している」とする補正については、特許法第17条の2第4項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、「前記マークが形成された部分の前記ボンディングエッジは、前記マークが形成されていない部分のボンディングエッジの位置よりも局所的に内方に後退している」は、本願の願書に最初に添付した明細書の【発明の詳細な説明】の【0054】段落及び【0055】段落の記載に基づく補正である。

(2-3)したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(以下「特許法第17条の2第3項」という。)に規定された新規事項の追加禁止の要件を満たしており、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮及び同法同条同項第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(3)独立特許要件について
(3-1)検討の前提
上記(2)において検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項(以下「特許法第17条の2第5項」という。)において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて検討する。

(3-2)補正後の請求項1に係る発明
本件補正による補正後の請求項1に係る発明(以下「補正後の発明」という。)は、平成19年3月8日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記2.(1)の補正後の請求項1として記載したとおりのものである。

(3-3)引用刊行物に記載された発明
(3-3-1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成9年6月10日に頒布された刊行物である特開平9-153603号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図6とともに、以下の事項が記載されている。(なお、下線「 」は、当審において、特に強調する点に付与したものである。以下同様。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体多層構造基板に関し、特に貼り合わせSOI基板における基板構造およびその製造方法、およびその目合わせ方法に関する。」
「【0024】[実施例1]図1は本発明の一実施例によるSOI基板およびその目合わせ方法を説明するための断面構造模式図である。また、図2はこのSOI基板の平面図である。第1のシリコン基板100の一方の主表面上には酸化膜パターン1が部分的に複数個形成されている。そのうち酸化膜パターン1bは、接合された第2のシリコン基板200(図1では、すでに研削、研磨により薄膜化され、SOI層200aとなっている)の下層に埋め込まれている。この酸化膜パターン1bは上部のSOI層に形成される素子の分離絶縁膜として機能し、その形状は任意である。一方、第1のシリコン基板100において酸化膜パターン1bの形成されている表面のうち、第2のシリコン基板200の接合されていない部分には目合わせ用酸化膜パターン1aが形成されている。この目合わせ用酸化膜パターン1aは、図2に示すようにウェーハ周縁部に配置されている。なお、酸化膜パターン1aの大きさは、通常のフォトリソグラフィ法で用いられる目合わせ用パターンと同程度に微細であるが、ここでは基板上の位置を示すために強調して描かれている。」
「【0032】第2、第3のオリエンテーションフラット10b、10cを、第1のシリコン基板100上に形成された目合わせ用酸化膜パターン1aに被らないよう位置合わせし、目合わせ用酸化膜パターン1aを露出させて貼り合わせる(図2参照)。これより、第1のシリコン基板上の酸化膜パターン1bは第2のシリコン基板200との接合界面に埋め込まれる(図4(c))。
【0033】貼り合わされ、一体化した基板に対して、酸化性雰囲気で1100℃?1200℃、2時間の熱処理を行い、接合を強固なものとする。
【0034】次に3箇所のオリエンテーションフラット10および第2のシリコン基板200の周縁部を研削で除去する(図4(d))。さらに第2のシリコン基板200の接合されていない側の主表面を研削・研磨によって薄膜化し、約10μmのSOI層200aを形成する。SOI層厚さは素子動作上必要な厚さを選択する。最後に熱処理工程で形成された酸化膜3を希弗酸でエッチング除去し、貼り合わせSOI基板を得る(図4(e))。」
「【0035】[実施例2]図5は、本発明のSOI基板の第2の実施例を示す平面図である。目合わせ用酸化膜パターン1aは、第1のシリコン基板の周縁部に配置され、第2のシリコン基板200の周縁部を研削加工およびエッチングして除去することにより露出させる。
【0036】次にこの基板の製造方法について説明する。図6(a)は、第1のシリコン基板100において目合わせ用酸化膜パターン1aの存在する位置の断面構造模式図である。酸化膜パターン1の形成方法は第1の実施例と同じである。次に第2のシリコン基板200を用意し、第1のシリコン基板100の酸化膜パターン1の形成された面と対向させて貼り合わせる(図6(b))。熱処理条件は第1の実施例と同じである。次に、第2のシリコン基板200のウェーハエッジから約1mmの幅の周縁部を、約50μmの厚さになるまで研削し(図6(c))、続いて図6(d)に示すように水酸化カリウム溶液などのアルカリ性の異方性エッチング溶液に浸漬し、研削で露出した単結晶シリコンを除去する。エッチング時間や液温などは、目合わせ用酸化膜パターン1aが露出するように決定する。最後に第1の実施例で説明したようにSOI層200aを形成し、酸化膜3を除去してSOI基板を得る(図6(e))。
【0037】本実施例によれば、第1の実施例で示したような目合わせパターンを露出させるためのオリエンテーションフラットを形成する必要がなく、従来の単結晶シリコン基板をそのまま用いることができる。また、第2のシリコン基板200の周縁部が除去されるので、周縁部に残る未接合部分や弱接合部分も同時に除去できる。これにより、基板周縁部の割れや欠けを防止することができるという利点がある。」

(3-3-2)したがって、引用刊行物には、以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。

「第2のシリコン基板200と第1のシリコン基板100の酸化膜パターン1の形成された面とを対向させて貼り合わせ、研削、研磨により薄膜化されたSOI層200aを有するSOI基板であって、
第1のシリコン基板の周縁部に配置され、第2のシリコン基板200の周縁部を研削加工およびエッチングして除去することにより露出された目合わせ用酸化膜パターン1aが形成されているSOI基板。」

(3-4)対比
(3-4-1)刊行物発明における「第1のシリコン基板100」、「SOI層200a」及び「第1のシリコン基板の周縁部」は、各々補正後の発明における「支持基板」、「半導体層」及び「支持基板の周辺領域」に相当する。

(3-4-2)刊行物発明の「目合わせ用酸化膜パターン1a」と補正後の発明の「基板識別用のマーク」は、「マーク(しるし)」という点で共通する。

(3-4-3)以上を勘案すると、補正後の発明と刊行物発明とは、
「支持基板の上方に貼り合せによって設けられた半導体層を有する半導体基板において、
前記支持基板の周辺領域に、マークが形成されていることを特徴とする半導体基板。」
である点で一致し、以下の2点で相違する。

(相違点1)
補正後の発明では、「前記支持基板の周辺領域は、ボンディングエッジより外側に設けられた微小な勾配により前記半導体層とは貼り合っておらず、かつ、ベベリングによる傾斜面とは異なる平滑な第1の傾斜面と、該第1の傾斜面よりもさらに外側であって、かつ、該第1の傾斜面よりも傾斜したベベリングによる第2の傾斜面と、を有し」ているの対し、刊行物発明では、「第1のシリコン基板の周縁部」の形状について、特定されていない点。

(相違点2)
補正後の発明では、「前記第1の傾斜面に、基板識別用のマークが形成されている」のに対し、刊行物発明では、「第1のシリコン基板の周縁部」に形成されているのが「目合わせ酸化膜パターン1a」であり、「第1のシリコン基板の周縁部」のどこに形成されているかが特定されていない点。

(3-5)判断
(3-5-1)相違点1について
SOI基板の支持基板(ベースウエハ)であるSiウェハの周縁部に面取り(べべリング)が施されること、そして、この周縁部には、微小な勾配によりSOI層(ボンドウエハ)とは貼り合っておらず、かつ、べべリングによる傾斜面とは異なる平滑な第1の傾斜面(厚さの僅かに薄い部分)と、該第1の傾斜面よりもさらに外側であって、かつ、該第1の傾斜面よりも傾斜したベベリングによる第2の傾斜面(面取り部)が形成されることは、例えば、以下の周知例1に記載されるように従来周知である。
また、支持基板の周縁部のこのような第1の傾斜面、第2の傾斜面(ウエハ周縁部における、いわゆる「ダレ」)によって、支持基板(ベースウエハ)とSOI層(ボンドウエハ)の間に未接着部分が生じること、すなわち、支持基板とSOI層との接着端(ボンディングエッジ)の外側に、第1の傾斜面が形成されていることも、例えば、以下の周知例2に記載されるように従来周知である。

(ア)周知例1:特開平11-87203号公報には、図2、3とともに、以下の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】例えばSOI構造の半導体装置を製造するための一つの方法として、第1の半導体ウェハの表面上に絶縁膜と平坦化加工膜とを順次に形成し、平坦化加工膜を介して第1の半導体ウェハに第2の半導体ウェハを貼り合わせ、第1の半導体ウェハを裏面側から研削して、絶縁膜のうちで第2の半導体ウェハとは反対側の面に第1の半導体ウェハから形成された半導体薄膜を有する貼り合わせSOIウェハを形成する方法がある。
【0003】図2は、一対のSiウェハ同士を貼り合わせるための一般的な方法を示している。この方法では、図2(a)に示す様に、絶縁膜としてのSiO_(2 )膜(図示せず)と平坦化加工膜としての多結晶Si膜(図示せず)とが表面上に順次に形成されていてボンドウェハと称されているSiウェハ11と、ベースウェハと称されていてSiウェハ11に貼り合わされるべきSiウェハ12とを用意する。」
「【0007】そこで、図2(b)に示す様に、押し棒15でSiウェハ12の中心部に圧力を加えて、Siウェハ11、12の中心部同士を接触させる。すると、この接触部同士が上述の水素結合力で接着し、更に、図2(c)に示す様に、水素結合力による接着がSiウェハ11、12の周辺部へ進行する自己接着が生じる。この結果、図3(a)に示す様に、Siウェハ11、12同士が貼り合わされた貼り合わせSiウェハ16が形成される。
【0008】ところで、インゴットから切断されて形成されたSiウェハ11、12には研磨や面取り等が施されるが、この研磨等のために、図3(b)に示す様に、Siウェハ11、12の周辺部に、0.15?0.5mm程度の幅Aを有する面取り部以外に、厚さの僅かに薄い部分が1.0?2.0mm程度の幅Bで形成されてしまう。」

(イ)周知例2:特開平9-213593号公報には、図6、8とともに、以下の事項が記載されている。
「【0005】このような従来の接着法によるSOI基板は、例えば、図6(1)?(9)に示すような順序で形成される。
【0006】すなわち、まず、図6(1)に示した第1の半導体ウエーハ2と第2の半導体ウエーハ1は、図5に示す工程により加工された一般に製造市販されているシリコンウエーハを使用する。尚、図5に示す工程は、シリコンインゴットをスライスし、面取りを行い、ラッピング、エッチング及び鏡面研磨を施すものである。
【0007】一般に製造市販されているシリコンウエーハの厚みは規格化されており、例えば6インチで675μm又は625μm,8インチで725μmの厚みに仕上げられている。
【0008】次に、前記シリコンウエーハ用いて、図6(2)に示すように、第2の半導体ウエーハ1の表面に誘導体層となる酸化膜5を形成する。その後第1の半導体ウエーハ2と第2の半導体ウエーハ1の双方の接着表面の清浄化処理を行い、図6(3)に示すように、半導体ウエーハ1,2を室温で密着する。
【0009】次に、図6(4)に示すように、温度800℃以上で熱処理することにより接着強度を増す。6は、酸化膜である。
【0010】次に、図6(5)に示すように、第2の半導体ウエーハ1の未接着部分を幅3mm程度研削し、図6(6)に示すようにエッチングによって研削部7を除去する。8はエッチング後の研削部である。
【0011】半導体ウエーハ1,2には研磨時に、ウエーハ周辺にダレが発生しており、図8に示すように、双方を接着すると未接着部分1a,2a(幅w1)が生じる。【0012】接着ウエーハ3を洗浄又は研磨する際、前記未接着部分が剥がれて飛散すると発塵源となり、ウエーハ表面がパーティクルで汚染されたり、その一部が表面に付着して加工時にウエーハ表面が傷つけられたりする。このため、未接着部1aの幅w1よりも広い幅w2(w2>w1)で予め除去しておく必要がある。
【0013】その後、図6(7)に示すように酸化膜6を除去し、図6(8)に示すように第2の半導体ウエーハ1を裏面より研削し、図6(9)に示すようにSOI層を所望の厚みになるように研磨を行う。」

よって、刊行物発明において「第2のシリコン基板200と第1のシリコン基板100の酸化膜パターン1の形成された面とを対向させて貼り合わせ、研削、研磨により薄膜化されたSOI層200aを有するSOI基板」を製造するに際して、周知の技術を勘案して、補正後の発明のように、「支持基板の周辺領域は、ボンディングエッジより外側に設けられた微小な勾配により」「半導体層とは貼り合っておらず、かつ、ベベリングによる傾斜面とは異なる平滑な第1の傾斜面と、該第1の傾斜面よりもさらに外側であって、かつ、該第1の傾斜面よりも傾斜したベベリングによる第2の傾斜面と、を有」するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。
よって、相違点1は、当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものである。

(3-5-2)相違点2について
SOI基板、ウエーハの周縁部に基板識別用のマークを形成することは、例えば、以下の周知例3、4に記載されるように従来周知である。

(ウ)周知例3:特開平8-37137号公報には、図5とともに、以下の事項が記載されている。
「【0044】第2実施例
図5は、本実施例に係わる半導体基板管理方法を用いたウェハーの製造過程を説明するための図である。図5(A)に示すように、シリコン基板21を用意する。次に、図5(A)に示すシリコン基板21に、その表面からO_(2 )イオンを所定のエネルギーで打ち込み、図5(B)に示すように、当該エネルギーに応じた深さに絶縁層としてのSiO_(2 )層22を形成し、SiO_(2) 層の上にシリコン層が残存したSIMOX型のSOI構造基板とする。
【0045】次に、図5(C)に示すように、例えば、ウェハーの周縁部において、SiO_(2 )層22に対して表面側に位置するシリコン基板21aとSiO_(2 )層22とを、例えば、ドライエッチングなどで除去し、SiO_(2 )層22に対して裏面側に位置するシリコン基板21bを表面に露出させる。このとき、ドライエッチングとしては、例えば、HBrやHCl系のガスを用いたRIEなどが用いられる。
【0046】次に、図5(D)に示すように、露出したシリコン基板21bの表面の所定の印字領域に、レーザーなどを用いて非接触方式で、当該ウェハーのIDを印字23する。」

(エ)周知例4:特開平10-256105号公報には、図1とともに、以下の事項が記載されている。
「【0005】
【実施の形態】本発明に従ったウェーハ1は、図1に示すように、周縁が鏡面仕上げされた面取り部2になっている。この面取り部2に、結晶方位判定用マーク3やウェーハ識別用マーク4を刻印している。マーク3,4は、たとえばハードレーザマークやソフトレーザマーク等としてレーザマーキングで設けることができる。ハードレーザマークは面取り後の表面に高レーザ出力で形成された後、鏡面仕上げが施され、最終状態では10μm以上の深さで残る。ソフトレーザマークは鏡面取り後の表面に低レーザ出力で形成され、約3μm以下の深さで残る。マーク3,4は、長さ200?500μm,細線の太さ10?100μm程度に設定される。また、ウェーハ識別用マーク4をバーコードとするとき、ウェーハの履歴を管理するためのID,品種,工程日付,引当て等の種々の情報が面取り部2に書き込まれる。ウェーハ識別用マーク4は、結晶方位判定用マーク3との混同を避けるため、2?10mm程度結晶方位判定用マーク3から離すことが好ましい。
【0006】面取り部2は、ウェーハ1からチップを切り出すときに製品チップから除外される箇所であり、マーキングによってウェーハ1の有効面積が少なくなることはない。しかも、レーザマーキングでは、ウェーハ1に熱影響を与える虞れがない極く僅かな入熱量でマーク3,4を刻印できる。・・・」

よって、刊行物発明においても、「目合わせ用酸化膜パターン1a」に加えて、補正後の発明のように、「支持基板の周辺領域」に「基板識別用のマーク」を「形成」することは、当業者が必要に応じて、適宜なし得たことである。
ところで、面取り(べべリング)が施されたSiウエハの周縁部に、べべリングによる傾斜面とは異なる平滑な第1の傾斜面(厚さの僅かに薄い部分)と、該第1の傾斜面よりもさらに外側であって、かつ、該第1の傾斜面よりも傾斜したベベリングによる第2の傾斜面(面取り部)が形成されることは、上で述べたように周知の技術であるが、面取りを施した後には、面取り処理による基板周縁部の荒れ等を除去するために、Siウエハの表面をエッチング処理等をするのが通常であり、該第1の傾斜面は、このようなエッチング処理等において形成されるものと考えられる。そして、「支持基板の周辺領域」に「基板識別用のマーク」を「形成」するに際して、当該「支持基板の周辺領域」のどの部分に「基板識別用のマーク」を「形成」するかということは、当業者が適宜選定し得る、単なる設計事項ともいうべきものであるが、読み取り精度を考慮して、なるべく傾斜の少ない部分である「第1の傾斜面」に「基板識別用のマーク」を形成することは、当業者が容易になし得たことと認められる。
よって、相違点2は、当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものである。

(3-6)独立特許要件についてのまとめ
以上、検討したとおり、補正後の発明と刊行物発明との相違点は、いずれも、当業者が、周知技術を勘案することにより容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものにすぎず、補正後の発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、補正後の発明が、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものである。

(4)補正の却下についてのむすび
本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものであるが、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成19年3月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成18年9月29日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】 支持基板の上方に貼り合せによって設けられた半導体層を有する半導体基板において、前記支持基板の周辺領域は、ボンディングエッジより外側に設けられた第1の傾斜面と、該第1の傾斜面よりもさらに外側であって、かつ、該第1の傾斜面よりも傾斜した第2の傾斜面と、
を有し、
前記第1の傾斜面に、マークが形成されていることを特徴とする半導体基板。」

4.引用刊行物に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、引用刊行物には、上において検討したとおり、上記2.(3-3-1)に記載したとおりの事項及び上記2.(3-3-2)に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。

5.判断
上記2.(2)において検討したとおり、補正後の発明は、本願発明を限定的に減縮したものであるところ、上記2.(3)において検討したように、補正後の発明が、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、当然に引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-21 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-01-05 
出願番号 特願2001-633(P2001-633)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩原 周治  
特許庁審判長 北島 健次
特許庁審判官 加藤 俊哉
小野田 誠
発明の名称 半導体基板  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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