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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1212063
審判番号 不服2008-5587  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-06 
確定日 2010-02-18 
事件の表示 特願2004-130825「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月 5日出願公開、特開2004-216188〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

特許出願 平成16年4月27日(特願2002-185047号(出願日:平成14年6月25日)の分割出願)
審査請求 平成16年4月27日
拒絶理由 平成19年9月10日
手続補正 平成19年11月13日
拒絶査定 平成20年1月31日
審判請求 平成20年3月6日
手続補正 平成20年4月1日

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成20年4月1日付の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.本件補正前後の請求項の記載

本件補正前(平成19年11月13日付の手続補正書)の請求項1と、本件補正後(平成20年4月1日付の手続補正書)の請求項1は、それぞれ次のとおりである。

[本件補正前の請求項1]
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果と前記操作手段の操作とに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
前記停止制御手段によって停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段と、
前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る前側表示手段と、
を具備する遊技機において、
前記前側表示手段はバックライトを備えるとともに、同バックライトを前記前側表示手段の下端部に臨設して、当該バックライトの光を、前記変動表示手段の図柄に対して下方から照射すべく構成したことを特徴とする遊技機。」

[本件補正後の請求項1]
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段と、
前記内部当選役決定手段の決定結果と前記操作手段の操作とに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
前記停止制御手段によって停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段と、
前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る前側表示手段と、
を具備する遊技機において、
前記前側表示手段はバックライトを備えるとともに、同バックライトの一部を構成する冷陰極管を前記前側表示手段の下端部に臨設して、当該冷陰極管の光の一部を、前記変動表示手段の図柄に対して下方から直接照射すべく構成した遊技機。」

2.本件補正の検討

本件補正は、特許請求の範囲を補正することを含んでおり、請求項1については具体的には以下の点で変更するものである。
(a)「同バックライト」を「同バックライトの一部を構成する冷陰極管」に変更
(b)「当該バックライトの光」を「当該冷陰極管の光の一部」に変更
(c)「照射」を「直接照射」に変更

そして、上記いずれの補正事項も、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について独立特許要件の判断を行う。

3.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-124290号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。

「複数の回転リールを横方向に並列し、各回転リールの外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、各回転リールの外周の表面の一部をフロントパネルに開設した表示窓に臨ませるとともに、各回転リールを回転させてシンボルマークを移動表示するスロットマシンにおいて、
上記フロントパネルには、前記表示窓の位置に少なくとも液晶表示装置を配置し、ゲームの開始前には液晶を遮光状態とするとともに、その遮光面にインフォメーションを液晶表示し、ゲーム中は液晶を透光状態としたことを特徴するスロットマシン。」(【請求項1】)
「前記センターパネル21の裏側には、図1に示すように、液晶表示装置を構成する液晶パネル40が、センターパネル21の裏面のほぼ全体にわたって配置されている。」(段落【0018】)
「前記液晶パネル40の裏側には、図1に示すように、液晶パネル40をその裏側から照明するためのバックライトユニット50が配置されている。」(段落【0019】)
「上記バックライトユニット50は、図1に示すように、各表示窓22?24の位置を除き、液晶パネル40の裏面のほぼ全体にわたって配置された面発光板51と、この乱反射板51の端面に配置された蛍光灯52とから構成されている。なお、面発光板51を、各表示窓22?24の位置を除いて配置したことから、液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができる。」(段落【0020】)
「スロットマシン10の前面の図2に示すスタートスイッチ12が操作されると、3個の回転リール30?32がほぼ同時に回転を開始する。そして、全回転リール30?32が回転を開始すると、図7に示すように、各表示窓22?24の下側に、「STOP」の文字が付された計3個のストップ表示部80?82が液晶表示される。3個のストップ表示部80?82は、スロットマシン10の前面の図2に示す3個のストップスイッチ13?15にそれぞれ対応し、各ストップスイッチ13?15の操作が可能であることを示す。」(段落【0027】)
「3個のストップスイッチ13?15を全て操作し、全ての回転リール30?32を停止させる。その結果、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが形成されると、特別の賞態様、例えば、図7に示す右下がりの斜めライン63上に「7」の文字から成る図柄が3個揃うと、いわゆる「ビッグボーナス」の役が成立し、15枚のメダルが遊技者に払い出される。」(段落【0028】)

段落【0020】において「…面発光板51と、この乱反射板51の…」とあるが、同じ符号51で「面発光板」と「乱反射板」という異なる表記が用いられており不明瞭となっているが、引用文献1の【符号の説明】欄においても「51 面発光板」とあるから、「面発光板」との表記で統一することとする。
また引用文献1の図1を参照すれば、蛍光灯52は面発光板51の上側端面と下側端面に配されていると云える。
したがって、引用文献1には次のような発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。
「複数の回転リールを横方向に並列し、各回転リールの外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、各回転リールの外周の表面の一部を表示窓に臨ませるとともに、各回転リールを回転させてシンボルマークを移動表示するスロットマシンにおいて、
スタートスイッチが操作されると、3個の回転リールが回転を開始し、3個のストップスイッチを全て操作すると全ての回転リールが停止され、その結果有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが形成されるとメダルが遊技者に払い出され、
液晶パネルが、センターパネルの裏面のほぼ全体にわたって配置され、液晶パネルの裏側には、液晶パネルをその裏側から照明するためのバックライトユニットが配置され、バックライトユニットは、各表示窓の位置を除き液晶パネルの裏面のほぼ全体にわたって配置された面発光板と、この面発光板の上側端面と下側端面に配置された蛍光灯とから構成され、
面発光板を、各表示窓の位置を除いて配置したことから、液晶パネルの透光状態では、各回転リールのシンボルマークを、センターパネルを透して前面より見ることができるスロットマシン。」

4.対比

引用発明の「スロットマシン」は本願補正発明の「遊技機」に相当するものであり、以下同様に「シンボルマーク」は「図柄」に、「移動表示」は「変動表示」に、「メダル」は「遊技媒体」に、それぞれ相当する。また引用発明の「バックライトユニット」は本願補正発明の「バックライト」に相当し、よって引用発明の『「液晶パネル」及び「バックライトユニット」』は本願補正発明の「前側表示手段」に相当する。
引用発明においても「各回転リールを回転させてシンボルマークを移動表示する」ものであるから、その手段(本願補正発明の「変動表示手段」に相当する。)を当然備えている。
引用発明における「全ての回転リールが停止され」る点は本願補正発明の「変動表示手段の変動表示を停止させる」点に相当するから、引用発明の「3個のストップスイッチ」とは本願補正発明の「前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段」に相当する。また引用発明が「回転リールが停止」とするための手段を備えることは明らかであり、当該手段は本願補正発明の「操作手段の操作に基づいて変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段」に相当する。
引用発明における「全ての回転リールが停止され、その結果有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが形成され」た場合とは、本願補正発明における「停止制御手段によって停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合」に相当し、引用発明において「メダルが遊技者に払い出」すため手段は本願補正発明の「遊技媒体払出手段」に相当する。
引用発明においても「各回転リールのシンボルマークを、センターパネルを透して前面より見ることができる」とあるから、引用発明の液晶パネルが本願補正発明の「変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る」との構成を具備することは明らかである。
引用発明における「蛍光灯」は「発光源」である点で本願補正発明の「冷陰極管」と共通し、また「蛍光灯」と「面発光板」とで「バックライトユニット」を構成するから、本願補正発明の「同バックライトの一部を構成する」という点も満たしている。さらに引用発明では蛍光灯が「面発光板の上側端面と下側端面に配置」されており、引用発明の「面発光板の下側端面に配置」とはすなわち本願補正発明の「前側表示手段の下端部に臨設」に相当すると判断できる。

したがって、本願補正発明と引用発明は、
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、
前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段と、
前記操作手段の操作に基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、
前記停止制御手段によって停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段と、
前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る前側表示手段と、
を具備する遊技機において、
前記前側表示手段はバックライトを備えるとともに、同バックライトの一部を構成する発光源を前記前側表示手段の下端部に臨設した遊技機。」
である点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明が「内部当選役を決定する内部当選役決定手段」を備え、「停止制御手段」が「内部当選役決定手段の決定結果と前記操作手段の操作」とに基づいて停止制御しているのに対し、引用発明がかかる構成を備えるかどうか不明である点。

[相違点2]
上記一致点における「発光源」が、本願補正発明は「冷陰極管」であるのに対し、引用発明は「蛍光灯」であり、また本願補正発明は「冷陰極管の光の一部を、変動表示手段の図柄に対して下方から直接照射」しているのに対して、引用発明はかかる構成を備えていない点。

5.相違点の判断

上記相違点について検討する。

[相違点1について]
引用発明はスロットマシンであって、スロットマシンが「内部当選役を決定する内部当選役決定手段」を備え、「前記内部当選役決定手段の決定結果技術常識と前記操作手段の操作」とに基づいて変動表示動作の停止制御を行う点は、例を挙げるまでもなく従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)に過ぎないから、相違点1にかかる本願補正発明の構成とすることは当業者の設計事項に過ぎない。

[相違点2について]
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-11725号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「各導光板41,42それぞれの一方の光入射面41c,42cに沿って、光源としての冷陰極ランプ44が配置されている。」(段落【0019】)
「この冷陰極ランプ44は、導光板41,42の光入射面41c,42c側を除き、ランプリフレクタ46で覆われている。また、ランプリフレクタ46の両端は、各導光板41,42の光入射面41c,42cの光放射面41e,42e側の周縁に接着されている。このランプリフレクタ46は、冷陰極ランプ44から放射された光のうち、導光板41,42の光入射面41c,42cに直接入射しなかった光を、光入射面41c,42cに反射するものである。」(段落【0020】)
「図7を用いて面状発光装置40の動作を説明する。冷陰極ランプ44から放射された光は、一部が各導光板41,42の光入射面41c,42cに直接入射され、残りはランプリフレクタ46により乱反射されて各導光板41,42の光入射面41c,42cに入射される。」(段落【0023】)
「導光板41の光入射面41cから導入された光は、導光板41の内部を透過して、直接又は反射シート43により乱反射され、光放射面41eから放出される。…導光板41の光放射面41eから拡散シート48に導入された光は、…面方向に均一な光となって、中央パネル31のリール表示窓31a及び表示部31bを除く印刷面31cを照らす。」(段落【0024】)
「導光板42の光入射面42cから導入された光は、導光板42の内部を透過して、直接又は反射シート43により乱反射され、光放射面42eから放出される。導光板42の光放射面42eから放出された光は、リール34の周面を照らす。」(段落【0025】)

ここで、「冷陰極ランプ44」は本願補正発明の「冷陰極管」に相当し、また「中央パネル31」、「リール34」とは本願補正発明の「前側表示手段」、「変動表示手段」にそれぞれ相当するものである。そして、上記の記載と図7を参照すれば、導光板41,42は冷陰極ランプ44と相俟って中央パネル31及びリール34の周面に対する照明として機能しているものであり、ここで中央パネル31への照明とは「バックライト」に他ならないから、すなわち引用文献2には「バックライトの一部を構成する冷陰極ランプ44の光の一部を、リール34の周面に対して照射する」という技術(以下「引用文献2記載の技術」という。)が開示されている。

ところで、引用文献2においては、リール34の周面に対する照射は「導光板42の内部を透過して…導光板42の光放射面42eから放出され…リール34の周面を照らす」ものであって、「直接」照射しているものではない。しかし、特開2001-252394号公報における蛍光灯9から背後側表示器2へ対する照明や、特開2001-170244号公報における蛍光灯34からリール8への照明のように、回転リールの前面側の表示窓の端部近傍に位置させた発光源から直接回転リールを照らすようにすることは従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)に過ぎない。
そして、遊技機の回転リールを照明するに際して、周知技術2のように直接照射する方法、引用文献2のように間接的に照射する方法のいずれを採用するかは当業者が選択的に設計できることであり、引用発明においても、センターパネル及び液晶パネルを通して回転リールのシンボルマークを視認するに当たり、回転リールを照射する光が無ければシンボルマークを良好に視認できないことは常識といえるから、引用発明に引用文献2記載の技術を適用するに際して、冷陰極ランプ44からの光を導光板42を介してリール34へ照射するものに代えて、冷陰極ランプ44からの光の一部をリールへ直接照射させるようにして、相違点2にかかる本願補正発明の構成とすることは当業者にとって容易に想到できたことである。

[本願補正発明の独立特許要件の判断]

よって、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2に基づいて、本願補正発明の上記相違点にかかる構成とすることは、当業者にとって容易に想到できることである。
また、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

6.補正の却下の決定のむすび

よって、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反しており、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断

1.本願発明の認定

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1にかかる発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1.に[本件補正前の請求項1]として記載されたとおりのものである。

2.引用例

引用文献1及びその記載事項は、上記第2[理由]3.に記載したとおりのものである。

3.対比・判断

上記第2[理由]2.及び5.において検討したように、本願発明に限定的減縮を加えたと認められる本願補正発明が、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。
とすれば、本願補正発明から限定を解除した本願発明も同様に、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。

したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび

以上のとおり、本件補正は却下され、そして、本願発明は原査定の拒絶の理由に基づいて特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-15 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-01-07 
出願番号 特願2004-130825(P2004-130825)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 池谷 香次郎
吉村 尚
発明の名称 遊技機  
代理人 松尾 憲一郎  

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