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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B
管理番号 1212102
審判番号 不服2007-29913  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-02 
確定日 2010-02-15 
事件の表示 特願2003-19874号「冷却機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年8月19日出願公開、特開2004-232908号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年1月29日の出願であって、平成19年10月3日付けで拒絶査定がなされ(平成19年10月5日発送)、これに対し、平成19年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年11月30日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成19年11月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年11月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

[理由]

(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「室外機と室内機とを循環導管で接続して冷媒を循環させ、室内機によって雰囲気の温度を制御し、室外機の熱交換器で冷媒と大気とを熱交換させるようにした冷却機において、
室外機の熱交換器の大気取入れ面側には地面に対して実質的に垂直な面内において冷却水を平面状に噴霧する噴霧ノズルが設けられており、上記大気取入れ面の前方には噴霧水のカーテンが上記大気取入れ面に対して実質的に平行に形成され、上記噴霧水のカーテンを通過して降温された大気が室外機の熱交換器に取り込まれるとともに、上記噴霧水に残留塩素があるときには上記噴霧水と大気との接触によって上記残留塩素が気中分解蒸発され、
上記噴霧水のカーテンの最頂点に達して自然落下する霧状水滴が上記室外機の熱交換器に取り込まれて熱交換器のフィンを湿らせるようになっていることを特徴とする冷却機。」(下線部は補正個所を示す)

(2)補正の目的
前記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である噴霧水について、「上記噴霧水に残留塩素があるときには上記噴霧水と大気との接触によって上記残留塩素が気中分解蒸発され、」と限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3-1)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭63-134906号(実開平2-55027号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1-ア)「少なくとも、コンプレッサ、高温側熱交換器、高温側熱交換器を冷却するための送風機、低温側熱交換器、低温側熱交換器から冷気を取り出すための送風機、高温側熱交換器と低温側熱交換器との間に設けられた圧力弁、これらを連結して冷却系を構成するための配管、及びこの系内に封入された冷媒よりなる空冷式の冷却装置であって、高温側熱交換器の外面の少なくとも一部に、水を供給する機構を設けたことを特徴とする冷却装置。」(実用新案登録請求の範囲)

(1-イ)「家庭用ルームエアコンに代表される空冷式の冷却装置の従来の構成例を図1に示す。
図1で、10はコンプレッサ、11は高温側熱交換器、12は圧力弁、13は低温側熱交換器、14はこれらを連結するための配管である。15は高温側熱交換器を冷却するための送風機、16は低温側熱交換器に室内の空気を送風し、室内の空気温度を低下させるための送風機である。コンプレッサ10により圧縮された冷媒は、高温となり高温側熱交換器11の温度を上昇させる。圧縮された冷媒は次いで圧力弁12を通して低圧側の低温側熱交換器13に放出され、温度が低下して低温側熱交換器を冷却する。低温側熱交換器13には室内の空気が、送風機16により吹き付けられ、室内を冷却する。高温になった高温側熱交換器11は室外に配置されており、送風機15により外気を吹き付けられ、放熱する。」(第2頁第6行-第3頁第2行)

(1-ウ)「図2は本案の一具体例の要部側面図であり、図中、図1と同じ番号のものは、図1と同一又は相当するものを示す。20は霧吹き装置であり、21は水タンク、22は水を吸い上げる細管、23は霧形成用ノズル、24はノズル23から上方に吹き出した霧である。霧24は送風機15からの風(矢印25は風の向きを示す)によって下流に流され、高温側熱交換器11に付着する。高温側熱交換器11は高温になっており、かつ送風機から風が次次に送られてくるので、熱交換器11に付着した霧は、容易に蒸発する。」(第4頁第7-17行)

(1-エ)「図3は本案の他の具体例の要部側面を示すもので、送風機15が熱交換器11の下流に配置されていることが、図2と違っている。矢印30は送風機の風の向きを示す。霧は送風機の上流に発生するように、霧吹き20が配置されている。」(第5頁第7-11行)

(1-オ)「熱交換器のフィン」(第8頁第5-6行)

上記記載事項について検討すると、記載(1-ア)、記載(1-エ)及び図3によれば、冷媒を循環させ、高温側熱交換器11で冷媒と空気とを熱交換させるようにした冷却装置において、
高温側熱交換器11の外面の前方には霧24が形成されるようになっている冷却装置が示されている。

記載(1-イ)には「低温側熱交換器13には室内の空気が、送風機16により吹き付けられ、室内を冷却する。高温になった高温側熱交換器11は室外に配置されており、送風機15により外気を吹き付けられ、放熱する。」と記載されており、家庭用ルームエアコンは一般に室内機に低温側熱交換器を備え、室外機に高温側熱交換器を備えている。そのため、記載(1-イ)及び図1によれば、室外機と室内機とを配管14で接続して冷媒を循環させ、室内機によって室内を冷却し、室外機の高温側熱交換器11で冷媒と空気とを熱交換させるようにした冷却装置が示されている。

記載(1-ウ)には「熱交換器11に付着した霧は、容易に蒸発する。」と記載されており、この程度の熱交換器11への水の供給は「湿らせる」といえる。そのため、記載(1-ウ)及び図2によれば、高温側熱交換器11の大気取入れ面側には水を噴霧する霧形成用ノズル23が設けられており、霧24が形成され、空気が高温側熱交換器11に取り込まれるとともに、
霧24が高温側熱交換器11に取り込まれて高温側熱交換器11を湿らせるようになっていることが示されている。

また、記載(1-イ)及び図1は従来の構成例に関する記載、記載(1-ウ)及び図2は一具体例に関する記載であり、記載(1-エ)及び図3に記載された具体例とは異なる例について記載されているが、明細書において複数の例を記載する際、前記した例と重複する部分の記載を省略することは一般的である(例えば、記載(1-ウ)には「図2は本案の一具体例の要部側面図であり、図中、図1と同じ番号のものは、図1と同一又は相当するものを示す。」と記載されている。)ので、記載(1-エ)及び図3に記載された具体例における冷却装置は、記載(1-ウ)及び図2に記載された霧吹き装置20と同様の霧吹き20が配置されており、記載(1-イ)及び図1に記載された高温側熱交換器11、低温側熱交換器13、配管14と同様の高温側熱交換器11、低温側熱交換器13、配管14を備えているといえる。

さらに、記載(1-オ)も、記載(1-エ)及び図3に記載された具体例とは異なる例についての記載であるが、熱交換器にフィンを設けることは一般的であり、記載(1-エ)及び図3に記載された具体例において高温側熱交換器11にフィンを設けない特段の理由もないので、記載(1-エ)及び図3に記載された具体例においても高温側熱交換器11にフィンを設けているものといえる。

したがって、上記記載(1-ア)?(1-オ)の記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。

「室外機と室内機とを配管14で接続して冷媒を循環させ、室内機によって室内を冷却し、室外機の高温側熱交換器11で冷媒と空気とを熱交換させるようにした冷却装置において、
室外機の高温側熱交換器11の大気取入れ面側には上方に水を噴霧する霧形成用ノズル23が設けられており、上記大気取入れ面の前方には霧24が形成され、空気が室外機の高温側熱交換器11に取り込まれるとともに、
霧24が上記室外機の高温側熱交換器11に取り込まれて高温側熱交換器11のフィンを湿らせるようになっている冷却装置。」

同じく原査定の拒絶の理由に引用された、特開平2-4181号公報(以下「引用例2」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(2-ア)「間欠的に少量の水を噴霧状で空気と同伴させて放熱部に供給し、」(第3頁左上欄第9-10行)

(2-イ)「また、空気と同伴させることによっては、凝縮器に入る前に水が空気中で蒸発し、それによって空気の温度を低下させることができる」(第3頁右上欄第20行-同頁左下欄第2行)

上記記載(2-ア)?(2-イ)の記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例2には、「噴霧状の水を通過して降温された空気が凝縮器に取り込まれること。」が記載されているといえる。

同じく原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭58-74306号(実開昭59-180125号)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(3-ア)「この低温の水が噴霧ノズル9から蒸発器1に入る前の空気に噴霧されることによって、この空気は低温の噴霧水と顕熱交換するのみならず水の蒸発潜熱によって大きく冷却される。従って、蒸発器1に入る空気についてみれば湿分は高くなっているがその温度は第1図の従来品より相当低くなっている。
噴霧ノズル9より噴霧された水のうち落下するものは水槽8に溜り、これは常温程度の温度となっているので、これをポンプ10によって空気対水熱交換器3に戻すようにすればよい。」(第5頁第2行-12行)

(3-イ)「しかし、噴霧落水と凝縮水は廃棄し、空気対水熱交換器3に水道水等の新鮮水を供給してドライ空気の品質を高めることもできる。」(第5頁第15-18行)

第2図によると、噴霧ノズル9が噴霧する噴霧水は、噴霧する角度や蒸発器1との距離より、噴霧水が最頂点に達して自然落下する霧状水滴が蒸発器1に取り込まれることを示している。

上記記載(3-ア)?(3-イ)の記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例3には、「水道水の噴霧水と空気とが接触し、上記噴霧水が最頂点に達して自然落下する霧状水滴が蒸発器1に取り込まれること。」が記載されているといえる。

(3-2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「配管14」は、本願補正発明の「循環導管」に相当し、以下同様に、「室内を冷却し、」は「雰囲気の温度を制御し、」に、「高温側熱交換器11」は「熱交換器」に、「空気」は「大気」に、「冷却装置」は「冷却機」に、「水」は「冷却水」に、「霧形成用ノズル23」は「噴霧ノズル」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「霧24」は、本願補正発明の「噴霧水」や「霧状水滴」に相当する。

そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。

(一致点)
「室外機と室内機とを循環導管で接続して冷媒を循環させ、室内機によって雰囲気の温度を制御し、室外機の熱交換器で冷媒と大気とを熱交換させるようにした冷却機において、
室外機の熱交換器の大気取入れ面側には冷却水を噴霧する噴霧ノズルが設けられており、上記大気取入れ面の前方には噴霧水が形成され、大気が室外機の熱交換器に取り込まれるとともに、
霧状水滴が上記室外機の熱交換器に取り込まれて熱交換器のフィンを湿らせるようになっている冷却機。」

そして、両者は次の点で相違する(対応する引用発明の用語を( )内に示す)。

(相違点1)
本願補正発明では、地面に対して実質的に垂直な面内において冷却水を平面状に噴霧し、噴霧水のカーテンが大気取入れ面に対して実質的に平行に形成されているのに対して、引用発明では、冷却水(水)を上方に噴霧しているものの、地面に対して実質的に垂直な面内において冷却水(水)を平面状に噴霧し、噴霧水(霧24)のカーテンが大気取入れ面に対して実質的に平行に形成されているか否かが不明である点。

(相違点2)
本願補正発明では、大気が噴霧水を通過して降温されているのに対して、引用発明では、大気が噴霧水(霧24)を通過して降温しているか否かが不明である点。

(相違点3)
本願補正発明では、噴霧水に残留塩素があるときには上記噴霧水と大気との接触によって上記残留塩素が気中分解蒸発されるのに対して、引用発明では、残留塩素について不明である点。

(相違点4)
本願補正発明では、噴霧水の最頂点に達して自然落下する霧状水滴が熱交換器に取り込まれるのに対して、引用発明では、自然落下する霧状水滴(霧24)について不明である点。

(3-3)相違点の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1について)
凝縮器(熱交換器)に送られる空気を冷却するために、地面に対して実質的に垂直な面内において冷却水を平面状に供給し、冷却水のカーテンが大気取入れ面に対して実質的に平行に形成されていることは、例えば、特開昭49-12641号公報の第2頁左上欄第12行-同頁右上欄第3行及び第1図に記載されているように本願出願前周知の技術事項である。

引用発明では、冷却水の供給は冷却水の噴霧によって行っているので、上記周知の技術事項を適用することによって、地面に対して実質的に垂直な面内において冷却水を平面状に噴霧し、噴霧水のカーテンが大気取入れ面に対して実質的に平行に形成するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点2について)
本願補正発明と引用例2に記載された技術事項とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用例2に記載された技術事項の「噴霧状の水」は、本願補正発明の「噴霧水」に相当し、以下同様に、「空気」は「大気」に、「凝縮器」は「熱交換器」に、それぞれ相当する。

したがって、引用例2には、「噴霧水を通過して降温された大気が熱交換器に取り込まれること。」が記載されていると言い換えることができる。

そして、引用発明と引用例2に記載された技術事項とは、共に冷却効率を高めることを技術課題としているので、引用発明において、冷却効率を高めるために、引用例2に記載された技術事項を適用して、噴霧水を通過して降温された大気が熱交換器に取り込まれるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点3について)
本願補正発明と引用例3に記載された技術事項とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用例3に記載された技術事項の「空気」は、本願補正発明の「大気」に相当し、以下同様に、「蒸発器1」は「熱交換器」に、相当する。

したがって、引用例3には、「水道水の噴霧水と大気とが接触し、上記噴霧水が最頂点に達して自然落下する霧状水滴が熱交換器に取り込まれること。」が記載されていると言い換えることができる。

本願補正発明では、噴霧水と大気との接触によって残留塩素が気中分解蒸発されるとしており、残留塩素が気中分解蒸発しやすい理由として「水分が空気に触れる時間が長くなるので」(本願の出願当初の明細書における段落【0038】)としているが、一般に水道水の残留塩素の除去は水を沸騰させたり長時間日光を当てたりすることによって行われており、噴霧ノズルから噴霧されてから熱交換器に取り込まれるまでの短時間で噴霧水と大気とを接触させても、きわめて微量の残留塩素しか除去できない。

そして、引用発明と引用例3に記載された技術事項とは、熱交換器の大気取入れ面側に冷却水を噴霧する噴霧ノズルが設けられており、大気取入れ面の前方に噴霧水が形成され、大気が熱交換器に取り込まれる点で共通しているので、引用発明において、引用例3に記載された技術事項を適用して、噴霧水を水道水とし、霧形成用ノズル23から噴霧されてから高温側熱交換器11に取り込まれるまでの間で霧24と大気を接触させ、本願発明と同じ程度の残留塩素の除去を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

なお、引用例1には「水タンクの替わりに水道から水を供給するのでは、装置が大掛かりになってしまい好ましくない。本案の特徴は、水道水とか循環水を用いて冷却する、いわゆる水冷式ではなく、空冷式であるとこである。」(第6頁第1-5行)と記載されているが、これは水道の装置についての記載であり、噴霧水として水道水を採用することを妨げる記載ではない。

(相違点4について)
引用発明において、引用例3に記載された技術事項を適用して、噴霧水の最頂点に達して自然落下する霧状水滴が熱交換器に取り込まれるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明、引用例2、3に記載された技術事項及び周知の技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2、3に記載された技術事項及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3-4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成19年8月7日付けの手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「室外機と室内機とを循環導管で接続して冷媒を循環させ、室内機によって雰囲気の温度を制御し、室外機の熱交換器で冷媒と大気とを熱交換させるようにした冷却機において、
室外機の熱交換器の大気取入れ面側には地面に対して実質的に垂直な面内において冷却水を平面状に噴霧する噴霧ノズルが設けられており、上記大気取入れ面の前方には噴霧水のカーテンが上記大気取入れ面に対して実質的に平行に形成され、上記噴霧水のカーテンを通過して降温された大気が室外機の熱交換器に取り込まれるとともに、
上記噴霧水のカーテンの最頂点に達して自然落下する霧状水滴が上記室外機の熱交換器に取り込まれて熱交換器のフィンを湿らせるようになっていることを特徴とする冷却機。」

4.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(3-1)」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」の本願補正発明から、「上記噴霧水に残留塩素があるときには上記噴霧水と大気との接触によって上記残留塩素が気中分解蒸発され、」との特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3-3)」に示したとおり、引用発明、引用例2、3に記載された技術事項及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明、引用例2、3に記載された技術事項及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2、3に記載された技術事項及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

そうすると、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-18 
結審通知日 2009-12-21 
審決日 2010-01-05 
出願番号 特願2003-19874(P2003-19874)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F25B)
P 1 8・ 121- Z (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 秀政神崎 孝之  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 稲垣 浩司
会田 博行
発明の名称 冷却機  
代理人 手島 孝美  

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