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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21M
管理番号 1212112
審判番号 不服2008-16000  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-24 
確定日 2010-02-16 
事件の表示 特願2002-182472号「自動車用の照明及び表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月21日出願公開、特開2003- 51206号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯

本件出願は、平成14年 6月24日(パリ条約による優先権主張2001年 6月26日、フランス共和国)の出願であって、平成20年 3月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年 6月24日に本件審判請求がなされるとともに、同年 7月23日付けで手続補正(前置補正)がなされたものである(当該平成20年 7月23日付け手続補正書は、平成20年 8月14日付けで手続補正(方式)がなされた。)。


2 平成20年 7月23日付けでした手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

【補正却下の決定の結論】

本件補正を却下する。

【理由】

2.1 本件補正

本件補正は、平成20年 1月30日付け手続補正書によって補正された請求項1の、
「【請求項1】 光軸(X-X’)に沿って、ガラス面(16)を通過する所定光度のビームを発生するようになっている、リフレクタ(14)を備えた、少なくとも1つの主光源(12)を備える自動車の照明及び表示装置において、
光軸(X-X’)からずれて配置された少なくとも1つの副光源(18)と、 副光源(18)から発生したビームを、光軸(X-X’)とおおむね平行に反射する反射手段(20)とを備えている自動車用の照明及び表示装置において、 反射手段(20)が、照明及び表示装置内で、光軸(X-X’)に沿った水平面の近くに、副光源(18)の虚像(26)を発生させるようになっていることを特徴とする自動車用の照明及び表示装置において、記載の照明及び表示装置。」
という記載を、
「【請求項1】少なくとも1個の主光源(12)と、
主光源(12)の背部に配設されていて、光軸(X-X’)に沿ってガラス面(16)を通過する所定光度のビームを発生するようになっているリフレクタ(14)と、
光軸(X-X’)からずれて配置された少なくとも1つの副光源(18)と、副光源(18)から発生したビームを、光軸(X-X’)と平行に反射する反射手段(20)とを備えている自動車用の照明及び表示装置において、
副光源(18)の背部にはリフレクタが配設されていないこと、
反射手段(20)が、照明及び表示装置内で、光軸(X-X’)に沿った水平面の近くに、副光源(18)の虚像(26)を発生させるようになっていることを特徴とする自動車用の照明及び表示装置。」
と補正しようとするものである。
すなわち実質的に当該補正は、本願の請求項1に係る発明の発明特定事項である、副光源(18)について、「副光源(18)の背部にはリフレクタが配設されていないこと、」と限定しようとするものである。

この補正は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて新規事項を追加するものでなく、しかも、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か)について、以下に検討する。


2.2 本願補正発明

本件補正後の本件出願の請求項1に係る発明は、上記本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】少なくとも1個の主光源(12)と、
主光源(12)の背部に配設されていて、光軸(X-X’)に沿ってガラス面(16)を通過する所定光度のビームを発生するようになっているリフレクタ(14)と、
光軸(X-X’)からずれて配置された少なくとも1つの副光源(18)と、副光源(18)から発生したビームを、光軸(X-X’)と平行に反射する反射手段(20)とを備えている自動車用の照明及び表示装置において、
副光源(18)の背部にはリフレクタが配設されていないこと、
反射手段(20)が、照明及び表示装置内で、光軸(X-X’)に沿った水平面の近くに、副光源(18)の虚像(26)を発生させるようになっていることを特徴とする自動車用の照明及び表示装置。」
(以下「本願補正発明」という。)


2.3 引用刊行物とその記載事項

(1)引用刊行物に記載された事項

原査定の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である実願昭58-9387号(実開昭59-115509号)のマイクロフィルム(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに次のように記載されている。

(ア)「本考案は、主として自動車等の車両、その他信号標識灯等に用いられる、単一のランプから2種の色の光または強弱2種の光を発し得るランプ構造に関するものである。
例えば、車両の走行状態等2種類の状態を表示する場合、異なる色を表示する2つのランプを設けるよりも1つのランプから2種の色を選択的に切換えて発するようにしたほうが、車両のスペース上、デザイン上、コスト面などで有利であることから、ランプ内に2つのバルブを内蔵させ、一方のバルブを点灯したとき或る色の光を発し、他方のバルブを点灯したとき別の色を発するようにしたものが提案されている。」(明細書第1頁第18行?同第2頁第10行)

(イ)「この従来のランプは、具体的には第1図に示すように、各焦点位置にバルブ1、2を配置した回転放物面をなす2つのハウジング3、4内のリフレクタ3’、4’をその光軸中心が互いに直交するように配接し、この直交位置に光反射部と光透過部を有する透過・反射部材5を光軸に対して45°傾斜して設けることからなる。」(明細書第2頁第11行?同第17行)

(ウ)「上記、透過・反射部材5は、第2図A?Cに示すように透過部Tと反射部Lとを円形状にしたり、正方形状にしたり、また長方形状の孔を数段設けるようにするとか、種々の形状にすることにより光の透過と反射との量を調整できるとされており、また上記透過・反射部材の代りにマジックミラーのような半透過・半反射部材を用いてもよいとされている。」(明細書第2頁第18行?同第3頁第5行)

(エ)「この従来のランプでは、透過・反射部材5と各リフレクタ3’、4’との間に、互いに異なる色のガラス板またはプラスチック板からなる発色部材6、7を介在させておくことにより、例えばバルブ1を点灯すると透過・反射部材5の裏面に重合接着してある発色部材6と透過・反射部材5の透過部Tを光が通過し、前面レンズ8から着色された光を発する。バルブ2を点灯したときは発色部材7を通り、透過・反射部材5の反射部Lで反射し、発色部材7の色に着色された光が前面レンズ8より発せられる。」(明細書第3頁第6行?同第16行)


(2)引用刊行物の記載より、引用刊行物に記載されていることが明らかな事項

(a)上記摘記事項(エ)及び第1図より、バルブ1の背部に配設されていて、光軸に沿って前面レンズ8を通過する所定光度のビームを発生するようになっているリフレクタ3’を有することは、明らかである。

(b)上記摘記事項(イ)及び第1図より、バルブ2が光軸からずれて配置されていることは明らかである。
(c)上記摘記事項(エ)及び第1図より、バルブ2から発生したビームは、半透過・半反射部材によって光軸と平行に反射することは明らかである。

(d)上記摘記事項(エ)及び第1図より、バルブ2の背部にリフレクタ4’が配設されていることは明らかである。


(3)引用発明

すると、引用刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているということができる。

「少なくとも1個のバルブ1と、
バルブ1の背部に配設されていて、光軸に沿って前面レンズ8を通過する所定光度のビームを発生するようになっているリフレクタ3’と、
光軸からずれて配置された少なくとも1つのバルブ2と、バルブ2から発生したビームを、光軸と平行に反射する半透過・半反射部材とを備え、
バルブ2の背部にリフレクタ4’が配設されている、
自動車用のランプ構造。」


2.4 対比

本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「前面レンズ8」及び「リフレクタ3’」は、それぞれ、本願補正発明の「ガラス面」及び「リフレクタ」に相当する。

引用発明の「バルブ1」は、背部に、光軸に沿ってガラス面(前面レンズ8)を通過するビームを発生するリフレクタ(リフレクタ3’)を有するものであり、本願補正発明の「主光源」に対応する。
引用発明の「半透過・半反射部材」は、上記摘記事項(ウ)に記載されているようにマジックミラーであり、本願補正発明の「反射手段」に対応する。
引用発明の「バルブ2」は、光軸からずれて配置され、ビームは、反射手段(半透過・半反射部材)によって光軸と平行に反射するするものであり、本願補正発明の「副光源」に対応する。
引用発明の「自動車用のランプ構造」は、一般的に自動車に適用されるランプ構造が照明及び表示の機能を有することが明らかであるから、本願補正発明の「自動車用の照明及び表示装置」に対応する。

してみると、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。


<一致点>

「少なくとも1個の主光源と、
主光源の背部に配設されていて、光軸に沿ってガラス面を通過する所定光度のビームを発生するようになっているリフレクタと、
光軸からずれて配置された少なくとも1つの副光源と、副光源から発生したビームを、光軸と平行に反射する反射手段とを備えている自動車用の照明及び表示装置。」


<相違点1>

本願補正発明では、副光源(バルブ2)の背部にはリフレクタが配設されていないのに対して、引用発明では副光源(バルブ2)の背部にリフレクタ(リフレクタ4’)を配設している点。


<相違点2>

本願補正発明では、反射手段が、照明及び表示装置内で、光軸に沿った水平面の近くに、副光源の虚像を発生させるようになっているのに対して、引用発明では、虚像の発生については言及していない点。


2.5 相違点についての検討(容易想到性の判断)

(1)上記各相違点について検討する。

<相違点1>について

光軸上に配置され光軸に沿ってガラス面を通過する光源と、光軸からずれて配置されビームが反射手段によって光軸と平行に反射される光源とを有するものにおいて、光軸からずれて配置されビームが反射手段によって光軸と平行に反射される光源に、光源としてLEDを採用し、当該LED光源にリフレクタを配設しないことは周知の技術である(例えば特開平11-306810号公報の【0022】?【0028】段落及び【図2】、実願平5-10294号(実開平6-64303号)のCD-ROMの【0007】?【0011】段落及び【図1】?【図2】参照。)。
引用発明の自動車用の照明及び表示装置(バルブ構造)に、当該周知技術を適用し、上記相違点1で記載した本願補正発明のような構成とすることは当業者であれば容易に想到し得る。


<相違点2>について

引用発明では、虚像の発生については言及していない。しかしながら、引用発明では、副光源から発生したビームは、反射手段によって光軸と平行に反射しているものであり、すなわち、当該反射手段によって、照明及び表示装置内で、光軸に沿った水平面の近くに、副光源の虚像が発生していることは明らかな事項である。したがって、上記相違点2として指摘した事項は、実質的な相違点ではない。


(2)効果について

本願補正発明の作用効果は、引用発明及び上記周知技術から、当業者であれば予測できる範囲のものにすぎない。


(3)総合判断

本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


2.6 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


3 本願発明について

平成20年 7月23日付けでした手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明は平成20年 1月30日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】 光軸(X-X’)に沿って、ガラス面(16)を通過する所定光度のビームを発生するようになっている、リフレクタ(14)を備えた、少なくとも1つの主光源(12)を備える自動車の照明及び表示装置において、
光軸(X-X’)からずれて配置された少なくとも1つの副光源(18)と、 副光源(18)から発生したビームを、光軸(X-X’)とおおむね平行に反射する反射手段(20)とを備えている自動車用の照明及び表示装置において、 反射手段(20)が、照明及び表示装置内で、光軸(X-X’)に沿った水平面の近くに、副光源(18)の虚像(26)を発生させるようになっていることを特徴とする自動車用の照明及び表示装置において、記載の照明及び表示装置。」
(以下「本願発明」という。)


4 引用刊行物

原査定の拒絶の理由で引用された引用刊行物、その記載事項及び引用発明は上記2【理由】の「2.3 引用刊行物とその記載事項」に記載したとおりである。


5 対比・判断

上記2【理由】の「2.1 本件補正」での検討によれば、本願補正発明においては、発明特定事項である、副光源(18)について、「副光源(18)の背部にはリフレクタが配設されていないこと、」と限定されていたのに対し、本願発明では背部のリフレクタの有無について限定されてはいないものである。

そうすると、本願発明を特定する事項をすべて含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2【理由】「2.4 対比」及び「2.5 相違点についての検討(容易想到性の判断)」で検討したように、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明の上位概念発明である本願発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-08 
結審通知日 2009-09-15 
審決日 2009-09-28 
出願番号 特願2002-182472(P2002-182472)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塚本 英隆  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 金丸 治之
小関 峰夫
発明の名称 自動車用の照明及び表示装置  
代理人 竹沢 荘一  

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