ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
不服20056282 | 審決 | 特許 |
無効2009800085 | 審決 | 特許 |
不服200627219 | 審決 | 特許 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07C |
---|---|
管理番号 | 1212134 |
審判番号 | 不服2007-6053 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-02-28 |
確定日 | 2010-02-19 |
事件の表示 | 平成8年特許願第345164号「1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年7月7日出願公開、特開平10-182514〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この出願は、平成8年12月25日の出願であって、平成18年10月27日付けで拒絶理由が通知され、同年12月28日に意見書が提出されたが、平成19年1月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同年3月29日に手続補正書が提出され、その後、平成21年5月19日付けで審尋がされ、同年7月17日に回答書が提出されたものである。 第2 平成19年3月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成19年3月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成19年3月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に 「アリルフルオライドに臭化水素を付加させることを特徴とする1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法。」 とあるのを、 「アリルフルオライドに臭化水素を付加させる際に、空気、光、およびラジカル開始剤から選ばれる少なくとも1種の存在下で行うことを特徴とする1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法。」 と、また、請求項2に 「空気、光、およびラジカル開始剤から選ばれる少なくとも1種の存在下で行う、請求項1記載の製造法。」 とあるのを、 「空気の存在下で行う、請求項1記載の製造法。」 と補正するものである。 2 新規事項の追加の有無及び補正の目的の適否 上記請求項1に係る補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0007】における「本反応は、空気の存在下で行うこともできる。また光を照射しても良く、さらにラジカル開始剤を添加しても良い。」との記載に基づくものであり、また、請求項2に係る補正は、当該記載における「空気の存在下で行う」に基づくものであるから、本件補正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。 また、上記請求項1に係る補正は、アリルフルオライドに臭化水素を付加させる反応において、オレフィンへの臭化水素の付加反応で採用される反応条件に限定するものであり、また、請求項2に係る補正は、補正前に記載された3種の条件を一つに限定するものであるから、いずれも特許請求の範囲を減縮するものであって、その補正前の請求項1及び2に係る発明とその補正後の請求項1及び2に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年法改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号における特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(すなわち、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであるか)否かについて検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、以下のとおりのものである。 「アリルフルオライドに臭化水素を付加させる際に、空気、光、およびラジカル開始剤から選ばれる少なくとも1種の存在下で行うことを特徴とする1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法。」 (2) 引用文献について 本願出願前に頒布された刊行物である、特開平7-242665号公報、中西香爾ほか訳「モリソン ボイド 有機化学(上) 第6版」(1994年3月18日 東京化学同人発行)、415頁、455?459頁、及び、特開平7-206732号公報(原査定の拒絶理由に引用文献1、2、3としてそれぞれ引用されたものである。以下、それぞれ、「引用文献1」、「引用文献2」、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 引用文献1(特開平7-242665号公報) a-1 「2-イミノ-3-フルオロプロピルチアゾリン(3)の合成スキームを反応式10に示す。 [反応式10] 【0044】 【化16】 」(段落【0043】から【0044】) イ 引用文献2(「モリソン ボイド 有機化学(上) 第6版」) b-1 「9・21 ラジカル付加反応.過酸化物で反応が開始するHBr付加反応の機構 過酸化物が存在しないと臭化水素はMarkovnikov則に従ってアルケンに付加するが,過酸化物が存在すると付加の方向は完全に逆となる(§9・6参照). この過酸化物効果を説明するために,KharashとMayoはこれらの付加反応が全く異なる機構で進行するとし,つぎの2種の機構を提唱した.すなわち,Markovnikov付加はいま述べた求電子機構で進行し,逆Markovnikov付加はラジカル機構で進行するとするものである.過酸化物はラジカル反応を開始させるので,過酸化物が存在しないと(あるいは抑制剤(p.66)を加えると)付加反応は普通の求電子過程に従って進むようになる.」(455頁8?16行) b-2 「9・22 ラジカル付加反応の配向性 さて,臭化水素のラジカル付加反応の配向性は求電子付加反応と逆であるが,この事実をどのように説明すればよいのであろうか.ここではプロピレンを用いて,この2種類の付加反応を比較検討してみよう. 求電子付加反応では臭化イソプロピルが生成する.これはイソプロピルカチオンがn-プロピルカチオンよりもより速く生成するからである.この点についてはすでに説明した.つまり,イソプロピルカチオンがより安定なカチオンで,このカチオンを安定化する因子がまたその生成に至る遷移状態を同じく安定化している(§9・11). ラジカル付加反応では臭化n-プロピルが生成する.これは第二級遊離基が第一級遊離基よりもより速く生成するからである.」(457頁1行?下から8行) ウ 引用文献3(特開平7-206732号公報) c-1 「【請求項1】一般式(1) (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシル基を表わし、nは1から8までの整数を表わす。)で示されるフェニルアルケン誘導体と臭化水素とを非極性溶媒の存在下反応させることを特徴とする一般式(2) (式中、Rは前記と同じ意味を有する。)で示される1-ブロモアルキルベンゼン誘導体の高選択的製造法。 【請求項2】ラジカル開始剤の存在下に反応を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造法。」(請求項1、2) c-2 「以下本発明について詳細に説明する。まず、フェニルアルケン誘導体(1)と臭化水素とを反応させ1-ブロモアルキルベンゼン誘導体(2)を得る反応に於いて、一般式(1)または(2)で示される置換基Rとしては、例えば、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基が挙げられる。」(段落【0005】) c-3 「また本反応には、ラジカル開始剤を用いることができ、例えば、過酸化ベンゾイル,AIBN,t-ブチルヒドロペルオキシド等の各種過酸化物、光、酸素等が挙げられる。」(段落【0007】) c-4 「【発明の効果】本発明による1-ブロモアルキルベンゼン誘導体(2)の製造法は、容易に入手可能な出発物質から、高純度、高収率、高選択的に目的物を得ることができる。」(段落【0018】) (3) 引用文献に記載された発明 ア 引用文献1の摘記a-1には、2-イミノ-チアゾリンに、1-ブロモ-3-フルオロプロパンを反応させることが記載されていると認められる。 イ 引用文献2には、「過酸化物が存在しないと臭化水素はMarkovnikov則に従ってアルケンに付加するが,過酸化物が存在すると付加の方向は完全に逆となる」(摘記b-1)こと、「過酸化物はラジカル反応を開始させ」(同)、「逆Markovnikov付加はラジカル機構で進行するとするものである」(同)こと、さらには、プロピレンへの臭化水素のラジカル付加反応により臭化n-プロピルが生成すること(摘記b-2)が記載されている。 要するに、引用文献2には、プロピレンへの臭化水素の付加反応において、過酸化物を存在させることにより、ラジカル反応が開始されてラジカル付加反応が進行し、臭化n-プロピル、すなわち、1-ブロモプロパンが生成することが記載されている。 そうすると、引用文献2には、 「プロピレンに臭化水素を付加させる際に、過酸化物の存在によりラジカル付加反応を行う1-ブロモプロパンの製造方法」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (4) 対比 引用発明における「過酸化物」は、ラジカル反応を開始させるもので、本件補正発明の「ラジカル開始剤」であるといえる。そして、引用発明の「プロピレン」は、「二重結合をもつC3の化合物」である点で本件補正発明の「アリルフルオライド」と同じであり、引用発明の「1-ブロモプロパン」も「1位に臭素が結合した化合物」(1-ブロモ体)である点で本件補正発明の「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」と同じであるから、両者は、 「二重結合をもつC3の化合物に、臭化水素を付加させる際に、ラジカル開始剤の存在下で行うことによる、1位に臭素が結合した化合物の製造法」 である点で一致し、以下の点Aでのみ相違している。 A 原料である「二重結合をもつC3の化合物」が、本件補正発明では、「アリルフルオライド」であるのに対し、引用発明では、「プロピレン」であり、生成物である「1位に臭素が結合した化合物」が、それぞれ、それらの原料化合物に対応した化合物である「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」であるのに対し、「1-ブロモプロパン」である点(以下、「相違点A」という。) (5) 相違点Aについての判断 上記(3)イのとおり、その出願前において教科書的な一般文献ともいえる引用文献2に、引用発明の製造方法、すなわち、ラジカル開始剤の存在下、プロピレンに臭化水素をラジカル付加反応させる方法、によって1-ブロモ体である1-ブロモプロパンが製造できることが記載されているのであり、上記方法において、その原料をプロピレンに代えてその3位をフッ素で置換した化合物としたときに、ラジカル開始剤を用いた臭化水素のラジカル付加反応が起こらないとする事情もないのであるから、引用文献1に記載されたプロピレンの3位をフッ素で置換した化合物である「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」を製造するために、引用発明の製造方法において、その原料をプロピレンに代えて、目的化合物に対応する3位をフッ素で置換した化合物である「アリルフルオライド」とすること、その結果「1-ブロモプロパン」に代えて、「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」を製造することは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。 (6) 効果について 本件補正発明における、高収率で目的化合物が製造することができるという効果も予測を超える顕著なものであると認めることはできない。 すなわち、この点に関し、引用文献3には、プロピレンの3位を置換した化合物を包含する、フェニルアルケン誘導体(審決注:一般式(1)のフェニルアルケン誘導体でn=1の化合物は、プロピレンの3位をフェニルで置換した化合物である。その化合物にはベンゼン環にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が置換したものも含まれる(摘記c-1、c-2))のラジカル開始剤を用いた臭化水素の付加反応によって、1-ブロモアルキルベンゼン誘導体(1-ブロモ体)を製造する方法(摘記c-1)について記載され、この方法により「高純度、高収率、高選択的に目的化合物を得ることができる。」(摘記c-4)ことが示されている。そうすると、プロピレンの3位を置換した化合物である「アリルフルオライド」をラジカル開始剤を用いた臭化水素の付加反応によって、1-ブロモ体である「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」を製造する方法においても、収率よく反応が進行することが予測される。 そうすると、本件補正発明における、高収率で目的化合物が製造することができるという効果は、予測される範囲内のことであり、格別のものということができない。 (7) 審判請求人の主張 ア 審判請求人は、参考資料として、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ,Vol.73,p.5527-5528(1951)を提出し、この参考資料には、3,3,3-トリフルオロプロペンへの臭化水素の付加は、光照射無しでは全く進行しない、と書かれおり、また、実験パートでも、室温において照射無しで168時間反応させたところ、付加生成物は全く得られなかった、と書かれていることから、「これより、フッ素が置換したプロペンが、本願のように光照射無しで反応するとは、必ずしもいえないということが示唆されます。」(審判請求書 請求の理由(3)(b))と主張する。 イ しかし、本件補正発明は、「空気、光、およびラジカル開始剤から選ばれる少なくとも1種の存在下」で反応を行う方法であって、「光照射無しで反応する」等ラジカル反応を開始させるものの不存在下で行う方法ではないから、「光照射無しで反応する」ものについての審判請求人の上記主張は、採用することはできない。 なお、上記参考資料には、3,3,3-トリフルオロプロペンへの臭化水素の付加はラジカル付加反応であること(5527頁左欄反応式)、紫外光により付加反応が定量的に完了すること(5527頁左欄14?16行)及び1-ブロモ体が90%の収率で得られること(5528頁左欄実験の部21?22行)が記載されている。これら記載によれば、3位を3つのフッ素で置換したプロピレンである3,3,3-トリフルオロプロペンを原料としたときに、臭化水素のラジカル付加反応という、引用発明と同じ反応が起こり、1-ブロモ体を高収率で製造することができることが示されているといえる。 このことは、3位を3つのフッ素で置換したプロピレン(3,3,3-トリフルオロプロペン)と、引用発明に係る3位のフッ素置換がないものであるところのプロピレンとの間の反応性を有すると認められる、3位を1つのフッ素で置換したプロピレンである、本件補正発明の「アリルフルオライド」を原料としたときに、臭化水素のラジカル付加反応により1-ブロモ体を製造することができ、そして、高収率で目的化合物を製造することができる、という上記(5)、(6)の認定・判断を裏付けるものであるといえる。 (8) まとめ 以上のとおり、本件補正発明は、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、その余について検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 平成19年3月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、この出願の発明は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】アリルフルオライドに臭化水素を付加させることを特徴とする1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法。 【請求項2】空気、光、およびラジカル開始剤から選ばれる少なくとも1種の存在下で行う、請求項1記載の製造法。」 この【請求項2】に係る発明を、請求項1を引用しない形式で記載すると、以下のとおりとなる。 「空気、光、およびラジカル開始剤から選ばれる少なくとも1種の存在下で行う、アリルフルオライドに臭化水素を付加させることを特徴とする1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法。」(この発明を、「本願発明」という。) 本願発明は、第2 3(1)に示した本件補正発明と同じ発明といえる。 第4 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。そして、上記「下記の刊行物」とは、 1 特開平7-242665号公報 2 中西香爾ほか訳「モリソン ボイド 有機化学(上) 第6版」(1944年3月18日 東京化学同人発行)、415頁、455?459頁 3 特開平7-206732号公報 である。 これらの刊行物は、第2 3(2)に示した引用文献1ないし3と同じものである(同様に「引用文献1」、「引用文献2」、「引用文献3」という。)。 第5 当審の判断 当審は、以下のとおり、本願発明は原査定の拒絶の理由によって特許を受けることができない、と判断する。 1 引用文献について 原査定の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である引用文献1ないし3の記載事項は、第2 3(2)に記載したとおりである。 2 引用文献に記載された発明 引用文献2には、第2 3(3)で述べたのと同様の理由により、 「プロピレンに臭化水素を付加させる際に、過酸化物の存在によりラジカル付加反応を行う1-ブロモプロパンの製造方法」 の発明が記載されていると認められる(同様に「引用発明」という。)。 3 対比 本願発明は本件補正発明と同じ発明であるから、第2 3(4)において述べたのと同様に、本願発明と引用発明とは、 「二重結合をもつC3の化合物に、臭化水素を付加させる際に、ラジカル開始剤の存在下で行うことによる、1位に臭素が結合した化合物の製造法」 である点で一致し、以下の点A’でのみ相違しているといえる。 A’ 原料である「二重結合をもつC3の化合物」が、本件発明では、「アリルフルオライド」であるのに対し、引用発明では、「プロピレン」であり、生成物である「1位に臭素が結合した化合物」が、それぞれ、それらの原料化合物に対応した化合物である「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」であるのに対し、「1-ブロモプロパン」である点(以下、「相違点A’」という。) 4 相違点A’についての判断 先に第2 3(5)において記載したのと同様の理由により、引用発明の製造方法において、引用文献1に記載されたプロピレンの3位をフッ素で置換した化合物である「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」製造するために、その原料をプロピレンに代えて目的化合物に対応する3位をフッ素で置換した化合物の「アリルフルオライド」とし、その結果「1-ブロモ-3-フルオロプロパン」を製造することは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。 そして、本願発明における、高収率で目的化合物が製造することができるという効果も、第2 3(6)に記載したように、予測される範囲内のことであり、格別のものということができない。 5 まとめ したがって、本件発明は、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明は特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-14 |
結審通知日 | 2009-12-16 |
審決日 | 2010-01-04 |
出願番号 | 特願平8-345164 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C07C)
P 1 8・ 575- Z (C07C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 穴吹 智子、木村 敏康 |
特許庁審判長 |
柳 和子 |
特許庁審判官 |
坂崎 恵美子 西川 和子 |
発明の名称 | 1-ブロモ-3-フルオロプロパンの製造法 |