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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F27B
管理番号 1212392
審判番号 不服2008-5379  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-05 
確定日 2010-02-25 
事件の表示 平成11年特許願第182470号「熱処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月19日出願公開、特開2001- 12856〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年6月28日の出願であって、平成17年3月17日付け、及び、平成19年5月18日付けで手続補正がなされ、平成20年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年3月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年3月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定

【補正の却下の決定の結論】
平成20年3月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

【決定の理由】
[1]本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、次の(1-1)とあるのを次の(1-2)とする補正事項を有するものである。

(1-1)
「【請求項1】 平板状被加熱物を加熱するための熱処理装置であって、外部から熱的に遮断するための保温体で囲まれた保温室と、保温室内に被加熱物を両面から加熱できるように平行に設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体と、被加熱物を加熱面と対向して保持できるように加熱体の加熱面上に設けられた複数のピン状の支持体と、支持体上に被加熱物を搬入出するための駆動機構を有する長尺の腕とを有し、被加熱物が加熱体により両面から同時に加熱され、被加熱物の中間に位置する加熱体が、支持体で支持された上側の被加熱物下面と下側に配された被加熱物の上面を加熱するように構成された熱処理装置。」

(1-2)
「【請求項1】 平板状被加熱物を加熱するための熱処理装置であって、外部から熱的に遮断するための保温体で囲まれた保温室と、保温室内に被加熱物を両面から加熱できるように平行に設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体であって、温度センサによって熱処理に必要な温度に制御され、かつ、加熱体の上下両面あるいは片面は必ず加熱体に保温されている加熱体と、被加熱物を加熱面と対向して間隔をあけて保持できるように加熱体の加熱面上に設けられた複数のピン状の支持体と、支持体上に被加熱物を搬入出するための駆動機構を有する長尺の腕とを有し、被加熱物が加熱体により両面から同時に加熱され、被加熱物の中間に位置する加熱体が、支持体で支持された上側の被加熱物下面と下側に配された被加熱物の上面を加熱するように構成された熱処理装置。」

[2]本件補正の適否

前記補正事項は、補正前の請求項1に、1)「温度センサによって熱処理に必要な温度に制御され、」という記載事項を新たに追加し、「加熱体」において、具体的な温度制御が行われることを新たに特定し、また、2)「加熱体の上下両面あるいは片面は必ず加熱体に保温されている加熱体」という事項を新たに特定するものである。
そして、1)について、補正前の請求項1では、温度制御が行われることは、発明を特定するために必要な事項とされていないから、特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)、すなわち、いわゆる、限定的減縮を目的とするものには該当しない。また、前記補正事項が、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものにも該当しない。
また、2)について、前記特定事項は、発明の詳細な説明の【0029】「加熱体は、上下両面あるいは片面は必ず同一の加熱体に保温されて、温度分布は均一となっている。」とあるのをその補正の根拠とするものと認められるが、「加熱体」が同一の「加熱体」により保温されるとは具体的にどのような状態をいい、どのように行うのかが不明であり、限定的減縮、請求項の削除、誤記の訂正、または、明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものとすることはできない。

[3]まとめ
したがって、前記補正事項を有する本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明についての審決

[1]本願発明
平成20年3月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成19年5月18日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 平板状被加熱物を加熱するための熱処理装置であって、外部から熱的に遮断するための保温体で囲まれた保温室と、保温室内に被加熱物を両面から加熱できるように平行に設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体と、被加熱物を加熱面と対向して保持できるように加熱体の加熱面上に設けられた複数のピン状の支持体と、支持体上に被加熱物を搬入出するための駆動機構を有する長尺の腕とを有し、被加熱物が加熱体により両面から同時に加熱され、被加熱物の中間に位置する加熱体が、支持体で支持された上側の被加熱物下面と下側に配された被加熱物の上面を加熱するように構成された熱処理装置。」

[2]原査定の理由の概要
原審における拒絶査定の理由の概要は、本願の請求項1?6に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された次の刊行物1?7に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

刊行物1.特開平11-063838号公報
刊行物2.特開平10-172435号公報
刊行物3.特開平10-281651号公報
刊行物4.特開平 9-033905号公報
刊行物5.特開平 9-033873号公報
刊行物6.特開平 9-179084号公報
刊行物7.特開平10-081546号公報

[3]刊行物の主な記載事項
刊行物1及び刊行物3には、次の事項が記載されている。

(1)刊行物1の記載事項

(1a)「【請求項1】 平板状の物品を熱処理室で熱処理するための熱処理装置において、
前記物品を加熱できる加熱面を備え前記熱処理室内に設けられた加熱体と、前記物品が前記加熱面に対向するように前記物品を前記加熱面から間隔を隔てて支持すると共に前記間隔を調整可能にする支持調整手段と、
気体を送る送風機と気体を加熱する加熱器と加熱された気体を前記物品に供給すると共に循環させるための風路とを備えた加熱気体循環手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置。」

(1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LCD基板に代表される平板状のワークを熱処理する熱処理装置に関し、特に大サイズLDCの熱処理や、ハードディスクのオーバーコート、プラズマディスプレーパネル(PDP)等の特殊なワークの焼成に効果的に利用される。」

(1c)「【0009】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明を適用した熱処理装置の全体構成の一例を示し、図3及び図4はその昇降機構の構造例を示す。熱処理装置は、平板状の物品であるLCD基板等のワークWを熱処理室1で熱処理するための装置であり、ワークWを加熱できる加熱面21を備え熱処理室1内に設けられた加熱体としてのホットプレート2、ワークWが加熱面2に対向するようにこれを加熱面2から間隔を隔てて支持すると共に間隔を調整可能にする支持調整手段としての昇降機構3、気体として通常空気を送る送風機51と空気を加熱する加熱器52と加熱された空気をワークWに供給すると共に循環させるための風路53a、53b、53c等とを備えた加熱気体循環手段としての矢印で示す空気流れを形成させる空気循環系5、等によって構成されている。」及び図2

(1d)「【0011】熱処理室1は断熱壁11及び断熱扉12で囲われていて、その中には上記の他、高性能フィルター13、ホットプレート2の支持構造体14等が配設される。支持構造体14としては、必要に応じて熱膨脹を考慮した特殊な構造を用いることができる。断熱扉12にはワーク通過用の開口12aが明けられていて、これに図2に示す上下方向であるZ方向にスライド移動可能な移動戸12bが装着されている。開口12aに対向するように、本例ではハンド101でワークを搬入/搬出するロボット100が配置されている。ロボット100は、図に示す中心線位置を中心とした回転や昇降及び走行が可能で、熱処理装置へのワークの搬入/搬出及び他のワーク搬送ラインや設備との間におけるワークのやり取りを行うことができる。」

(1e)「【0013】昇降機構3としてはシリンダ装置やカム機構等の種々の機構を用いることができるが、本例のものは、リンク機構とボールネジによる水平移動機構との組合せで構成されている。即ち、昇降機構3は、主として図3及び図4に示す如く、ワークWを支持する複数の支持体としてのピン31、これを支持し加熱面21に直角な方向である上下のZ方向に移動可能にフレームの側壁15aに沿って動くガイドローラ32aで案内される昇降部材としての従動プレート32、これに一端側を回転自在に結合されたリンク33、その他端側が回転自在に結合され駆動プレートLMガイド34aで加熱面21に平行な方向であるY方向に移動可能に支持される移動部材としての駆動プレート34、これに結合され熱処理室1の外にある機械室6まで延設され駆動プレート34を移動可能にする駆動軸35、この軸を駆動する駆動手段としてサーボモータやスピコンモータから成るモータ36、タイミングベルト37及びボールネジ38、その回転で進退するナット38a、これが結合され駆動軸35の駆動方向をY方向に案内する軸LMガイド39、これらを支持するフローティングベース40、等によって構成されている。」

(1f)「【0018】工場設備として設けられる熱処理ラインから供給されるワークWは、ロボット100のハンド101によって開口12aから搬入/搬出される。このときには、断熱扉12のスライド移動戸12bが開かれる。又ワークWは、搬入時にはハンド101からピン31上に移載され、搬出時にはピン31からハンド101上に取り上げられる。このようなときには、ピン31はホットプレートの加熱面21から十分離れた位置まで上昇していて、ハンド101はX方向に6列に配設されたピン31の列間の位置でピンとの間でワーク支持換えを行う。」

(2)刊行物3の記載事項

(2a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数のワークが載置されたトレーを複数段に積み重ねて焼結炉内に収容し、ワークを焼結温度まで加熱するようにした加熱装置であって、
前記複数段に積み重ねたトレー自体を、少なくとも1段おきにヒータ材により形成して発熱させるようにするとともに、各トレーの周囲に、複数の板状のヒータを設けたことを特徴とする焼結炉内ワークの加熱装置。」

(2b)「【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、トレー上のワークを、載置位置に関係なくほぼ均一に加熱することにより、寸法精度を大幅に向上しうるようにした、焼結炉内ワークの加熱装置を提供することを目的としている。」

(2c)「【0012】本発明は、上記実施例に限定されるものではない。上記実施例では、全てのトレー(4)をカーボンヒータとして通電させているが、例えば1段おきとしてもよい。この際、非通電トレー(4)に載置されたワーク(7)は、その上方の通電トレー(4)により加熱されるので、加熱効率がそれ程低下することはない。」

[4]対比・判断

(1)刊行物1発明

イ)刊行物1の(1a)の記載によれば、刊行物1には、「平板状の物品を熱処理室で熱処理するための熱処理装置において、前記物品を加熱できる加熱面を備え前記熱処理室内に設けられた加熱体と、前記物品が前記加熱面に対向するように前記物品を前記加熱面から間隔を隔てて支持すると共に前記間隔を調整可能にする支持調整手段とを有する、熱処理装置。」が記載されているといえる。

ロ)刊行物1の(1c)の「平板状の物品であるLCD基板等のワークW」との記載によれば、前記「平板状の物品」は、「平板状のワーク」ということができる。
また、刊行物1の(1d)の「熱処理室1は断熱壁11及び断熱扉12で囲われていて」との記載によれば、前記熱処理装置の前記熱処理室は、断熱壁及び断熱扉で囲われているものといえる。

ハ)刊行物1の(1c)の「ワークWを加熱できる加熱面21を備え熱処理室1内に設けられた加熱体としてのホットプレート2」との記載、及び、図2の「ほぼ平行に設置された4枚のホットプレート」の図示によれば、前記加熱体は、「熱処理室内にワークを加熱できるように平行に設置された4枚のホットプレートからなる加熱体」ということができる。また、前記加熱体において、複数のホットプレートを平行に設置することは、それぞれのホットプレートの間に配置される平面状の被加熱物を均一に加熱するために自明の事項ということもできる。

ニ)刊行物1の(1c)の「ワークWが加熱面2に対向するようにこれを加熱面2から間隔を隔てて支持する」との記載、及び、(1e)の「ワークWを支持する複数の支持体としてのピン31」との記載によれば、前記「前記物品が前記加熱面に対向するように前記物品を前記加熱面から間隔を隔てて支持すると共に前記間隔を調整可能にする支持調整手段」は、「ワークが加熱面に対向するようにこれを加熱面から間隔を隔てて支持する複数のピン」ということができ、前記複数のピンがワークを支持する位置は、加熱体の加熱面の上部であることは明らかであるから、前記複数のピンは、「ワークが加熱面に対向するようにこれを加熱面から間隔を隔てた上部位置にて支持する、複数のピン」ということができる。

ホ)刊行物1の(1d)の「本例ではハンド101でワークを搬入/搬出するロボット100が配置されている。ロボット100は、図に示す中心線位置を中心とした回転や昇降及び走行が可能で、熱処理装置へのワークの搬入/搬出及び他のワーク搬送ラインや設備との間におけるワークのやり取りを行うことができる。」との記載、及び、(1f)の「ワークWは、搬入時にはハンド101からピン31上に移載され、搬出時にはピン31からハンド101上に取り上げられる。」との記載によれば、刊行物1には、「前記ピン上にワークを搬入/搬出するための、回転や昇降及び走向可能なロボットが有するハンド」が記載されているといえ、そして、前記ハンドは、熱処理装置の構成の一部を成すものということができる。

以上の記載事項及び認定事項を、本願発明1の記載ぶりに則り整理すると、刊行物1には、次の発明が記載されているといえる。

「平板状のワークを熱処理室で熱処理するための熱処理装置において、断熱壁及び断熱扉で囲われている熱処理室と、熱処理室内にワークを加熱できるように平行に設置された4枚のホットプレートからなる加熱体と、ワークが加熱面に対向するようにワークを加熱面から間隔を隔てた上部位置にて支持する複数のピンと、前記ピン上にワークを搬入/搬出するための、回転や昇降及び走向可能なロボットが有するハンドとを有する、熱処理装置。」

(2)本願発明1と刊行物1発明との対比
本願発明1と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「ワーク」、「4枚のホットプレートからなる加熱体」、「ピン」は、それぞれ、本願発明1の「被加熱物」、「少なくとも3枚のホットプレート」、「ピン状の支持体」に相当する。
また、刊行物1発明の「断熱壁及び断熱扉で囲われている熱処理室」は、外部から熱的に遮断するために断熱壁及び断熱扉を用いるものであるから、本願発明1の「外部から熱的に遮断するための保温体で囲まれた保温室」に相当する。
また、本願発明1の「支持体上に被加熱物を搬出入するための駆動機構を有する長尺の腕とを有し」に関し、本願の明細書の発明の詳細な説明の【0010】には、「ワーク3の搬出入には、ハンド8を持ったロボット9が設置されている。ロボット9は、図に示す中心線位置を中心として回転や、昇降及び走行が可能であって、熱処理装置へのワーク3の搬出入及び他の設備とのワークのやり取りを行うことができる。」と記載されているから、刊行物1発明の「前記ピン上にワークを搬入/搬出するための、回転や昇降及び走向可能なロボットが有するハンド」は、本願発明1の「支持体上に被加熱物を搬出入するための駆動機構を有する腕」に相当するものといえる。
そして、本願の明細書の発明の詳細な説明の【0021】の「ハンド8長さは、ワークサイズと搬送装置により決定する。」との記載によれば、腕の長さは、ワークサイズにより定まるものといえるところ、本願発明1と刊行物1発明は、いずれも、LCD用ガラス基板に代表される平板状の被加熱物の熱処理、特に大型サイズLDCの熱処理に用いられる熱処理装置に関するものであり(本願明細書の【0001】、そのハンドの長さも同程度であるということができるから、刊行物1発明の「ハンド」は、本願発明1の「長尺の腕」に相当する。

そうすると、本願発明1と刊行物1発明とは、
「平板状被加熱物を加熱するための熱処理装置であって、外部から熱的に遮断するための保温体で囲まれた保温室と、保温室内に被加熱物を加熱できるように設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体と、被加熱物を加熱面と対向して保持できるように設けられた複数のピン状の支持体と、支持体上に被加熱物を搬入出するための駆動機構を有する長尺の腕とを有するように構成された熱処理装置。」である点において一致し、以下の点において相違する。

相違点1;本願発明1は、複数のピン状の支持体が、加熱体の加熱面上に設けられているのに対し、刊行物1発明は、複数のピンが、ワークを加熱面から間隔を隔てた上部位置にて支持するものではあるものの、加熱体の加熱面上に設けられているかは不明である点。

相違点2;本願発明1は、平行に設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体は、被加熱物を両面から加熱できるようにするためのものであり、被加熱物が加熱体により両面から同時に加熱され、被加熱物の中間に位置する加熱体が、支持体に支持された上側の被加熱物下面と下側に配された被加熱物の上面を加熱するのに対し、刊行物1発明は、平行に設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体を有するものの、そのような目的を有し、そのような加熱を行うかは不明である点。

(3)相違点についての判断

(3-1)相違点1について
熱処理装置において、被加熱物であるガラス基板を、加熱体であるホットプレートの加熱面上に設けられたピンにより支持することは、周知技術であるから(要すれば、刊行物6の図2、図7、図8、刊行物4の図2、図4等参照。)、刊行物1発明において、ワークを加熱面から間隔を隔てた上部位置にて支持するピンを、加熱体の加熱面上に固定して設けることは、当業者が適宜なし得る事項である。
よって、相違点1は、当業者が容易に想到し得る事項である。

(3-2)相違点2について
刊行物3の(2a)?(2c)には、多数のワークが載置されたトレーを複数段に積み重ねて焼結炉内に収容し、ワークを焼結温度まで加熱するようにした加熱装置において、前記複数段に積み重ねたトレー自体を1段おきにヒータ材により形成し発熱させることにより、非通電トレーに載置されたワークは、その上方の通電トレーにより上部から加熱され、トレー上のワークの載置位置に関係なくほぼ均一に加熱されることが記載されており、その際に、前記通電トレーに載置されたワーク、すなわち、前記通電トレーの直上のワークは前記通電トレーによって加熱されることは自明であるから、前記通電トレーは、その上に載置されたワークと下側に配置されたワークの間に位置する加熱体であって、その上に配置されたワークの下面と下側に配置されたワークの上面を加熱する加熱体ということができる。
また、刊行物3の(2c)には、「上記実施例では、全てのトレー(4)をカーボンヒータとして通電させている」として、複数段のトレーの全てを通電させることも記載されており、その場合には、前記のとおり、各通電トレーは、その上に載置されたワークの下面と下側に配置されたワークの上面を加熱することとなるから、各段のワークは、上段の通電トレーからその上面を加熱され、当該ワークが載置されている通電トレーからその下面を加熱され、したがって、上下両面から同時に加熱されるワークということができる。
そうすると、熱処理装置の分野において、ワークが加熱体により両面から同時に加熱され、上下の被加熱物の間に位置する加熱体が、上側の被加熱物下面と下側に配された被加熱物の上面を加熱するように構成することは本願出願時において公知技術であったということができるから、かかる公知技術を刊行物1発明に適用し、平行に設置された少なくとも3枚のホットプレートからなる加熱体を、被加熱物を両面から加熱できるように用い、相違点2を解消することは当業者が容易になし得るものである。

[5]むすび
以上のとおり、本願発明1は、刊行物1発明及び刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その余の発明について検討するまでもなく、本願は、原査定の理由により拒絶すべきでものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-15 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-01-08 
出願番号 特願平11-182470
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F27B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米田 健志  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 植前 充司
山本 一正
発明の名称 熱処理装置  
代理人 穂高 哲夫  
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