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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B62J
管理番号 1212476
審判番号 不服2008-22569  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-03 
確定日 2010-02-26 
事件の表示 特願2005- 50716号「雨具内臓または雨具取り付け可能自転車、スクーター、二輪車用防雨、防風カバー」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 7日出願公開、特開2006-232131号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯

本件出願は、平成17年 2月25日の出願であって、平成20年 8月 7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年 9月 3日に本件審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正(前置補正)がなされ、当審合議体による平成21年 9月 2日付けの拒絶理由通知に応答して、平成21年 9月24日付けで手続補正がなされたものである。


2 本願発明

本件出願の請求項1?4に係る発明は、平成21年 9月24日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1は次のとおり記載されている。
「【請求項1】
自転車の前部、ハンドルの下の部分に固定するカバー(6)とカバー(6)に固定した、あるいはカバー(6)に固定できるようにした折りたたみ収納できる雨具(14)とで構成し、前記カバー(6)は人体の幅35cmより広くしたもので、カバー高さは運転者の大腿部から足首を覆うことができる流線型のカバーからなり、カバー前部にはスリット(20)とハンドルフレーム挿通孔(11)を形成し、ハンドルフレームを貫通した状態で取り付け、カバーに配したハンドルフレーム(トップチューブ),斜めフレーム(Wチューブ)取り付け板(1)(2)(3)で固定することを特徴とした自転車用の防雨・防風カバー。」
(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)


3 引用刊行物とその記載事項

(1)刊行物1の記載内容

(1-1)刊行物1に記載された事項

当審の拒絶理由に引用した、本願の出願日よりも前に頒布された刊行物である実願昭51-147840号(実開昭53-64455号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。

(ア)「本案は取り付け曲杆1を枢着した支杆2_(1)の上部を若干部、外方に彎曲せしめて不正形のワ字形3となし先端部に取付用環4を枢着した支杆2_(1)、2_(2)を形成、前記ワ字形3部を横支杆5で取着固定せしめ、別に設けた防水性のカバー兼用コート6を支杆2_(1)、ワ字形3等に内側より掛け止め7して成形する自転車、単車などに着脱自在に出来る雨降り用カバーである。
その他8は自転車の前車輪軸杆、9はハンドル10は後車輪泥除けである。」(明細書第1頁第15行?同第2頁第4行)

(イ)「本案に使用するカバー兼用コート6は乗車人の全身を被覆するように第1図示の様に帽冠してもよいが、必要によつて乗車人の上半身の部即ちカバー6のA?Bを取り外して使用しない様に収納してもよい。こうした切断部はホツク、ボタンなとで継接部を止持しておるので、使用者が使用に当つて任意採択することが出来る。カバー、コートを支杆2_(1)、2_(2)に取り付け、取り外しすることもホツク・ボタン・ハトメ・編束紐などで内側から掛け止め7して緊切せしめる。横支杆5は、支杆2_(1)、2_(2)を頑丈にハンドル9に定着せしめて極めて安定性に富み、ハンドル操作をより円滑にならしめる。」(明細書第2頁第11行?同第3頁第4行)

(ウ)「更に本案は・・・・・ペダル部迄車体の全体を完全に帽冠被覆することが出来るので、ゆつたりと運転操作できる利点を有し所期の作用効果を期待出来、価格も比較的安値で実用的価値は大きい。」(明細書第3頁第11行?同第18行)


(1-2)刊行物1の記載及び図面より、刊行物1に記載されていることが明らかな事項

(a)上記摘記事項(イ)並びに第1図及び第2図より、カバー兼用コート6は、カバー及びコートからなることは明らかである。

(b)上記摘記事項(イ)及び第2?第4図より、カバー兼用コート6のカバーはハンドル9より広いことが明らかである。

(c)上記摘記事項(ウ)及び第2図より、カバー兼用コート6のカバー部分の高さは運転者の大腿部から足首を覆うことができるものであることは明らかである。

(d)上記摘記事項(ア)の「本案は取り付け曲杆1を枢着した支杆2_(1)の上部を若干部、外方に彎曲せしめて不正形のワ字形3となし」という記載及び第2?第4図より、カバー兼用コート6のカバー部分は、流線型であることが明らかである。


(1-3)引用発明

すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているということができる。

「自転車のハンドル9に固定するカバー兼用コート6のカバーとカバー兼用コート6のカバーに固定できるようにした折りたたみ収納できるカバー兼用コート6のコートとで構成し、前記カバー兼用コート6のカバーはハンドル9より広くしたもので、カバー兼用コート6のカバー高さは運転者の大腿部から足首を覆うことができる流線型のカバー兼用コート6のカバーからなる自転車用の雨降り用カバー」
が記載されているものと認める。


(2)刊行物2の記載内容

(2-1)刊行物2に記載された事項

当審の拒絶理由に引用した、本願の出願日よりも前に頒布された刊行物である実願昭58-33276号(実開昭59-137882号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。

(エ)「二輪車に座つた状態での下半身を被うもので乗降およびカバーの脱着が容易にできる二輪車用下半身カバー。」(明細書第1頁第5行?同第7行)

(オ)「考案の目的
現在、二輪車の下半身専用の雨,風.寒.温を防ぐ、又は減少させるカバーが存在しないので、それを解決することにあり、形状を車種に合わせて作る事により全ての二輪車(スクーター類の二輪車.三輪車も含む)に利用できる。」(明細書第1頁第9行?同第14行)

(カ)「(4)万一の場合に、運転者が車体から離脱しやすいように、カバーと車体との固定箇所を最小限にし、脱着しやすい止め具(例えばクリツプ.マジツクテープなど)を使用する。」(明細書第2頁第5行?同第8行)

(キ)「考案の効果
(1)下半身の防風.防水.防寒となるため上着を着用するだけで、現在の二輪車使用時の欠点を補う。」(明細書第2頁第9行?同第12行)

(ク)「4 図面の簡単な説明
第1図はこの考案の正面図 第2図は側面図
第3図は平面図 第4図は斜視図
第5図はこの考案の実施例を示す図
・・・・・
2...前方フレームを被う部分
・・・・・」(明細書第3頁第8行?同第20行)


4 対比

本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ハンドル9」、「カバー兼用コート6のカバー」及び「カバー兼用コート6のコート」は、本願発明の「ハンドル」、「カバー」及び「雨具」に相当する。
また、引用発明の「雨降り用カバー」は、その構成からみて、自転車進行方向前方からの風を除け得ることは明らかであり、本願発明の「防雨・防風カバー」に対応する。
さらに、本願発明の「カバーに固定した、あるいはカバーに固定できるようにした折りたたみ収納できる雨具」とは、「カバーに固定した」ことと「カバーに固定できるようにした」こととのうち任意の一方を択一的に構成要件として備えるものであるから、引用発明の「カバー(カバー兼用コート6のカバー)に固定できるようにした折りたたみ収納できる雨具(カバー兼用コート6のコート)」は、「カバーに固定した、あるいはカバーに固定できるようにした折りたたみ収納できる雨具」にほかならない。
一方、引用発明の「自転車のハンドル9に固定する」という構成と、本願発明の「自転車の前部、ハンドルの下の部分に固定する」という構成とは、「自転車に固定する」という限りにおいては共通している。

してみると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は以下の通りである。


<一致点>
「自転車に固定するカバーとカバーに固定した、あるいはカバーに固定できるようにした折りたたみ収納できる雨具とで構成し、カバー高さは運転者の大腿部から足首を覆うことができる流線型のカバーからなる自転車用の防雨・防風カバー」


<相違点1>
本願発明は、カバーを「自転車の前部、ハンドルの下の部分に固定する」のに対して、引用発明は、カバー(カバー兼用コート6のカバー)を自転車のハンドル9に固定している点。

<相違点2>
本願発明では、「前記カバー(6)は人体の幅35cmより広くしたもの」であるのに対して、引用発明では、カバー(カバー兼用コート6のカバー)はハンドル(ハンドル9)よりも広いものの、人体の幅35cmより広くしたものとは特定していない点。

<相違点3>
本願発明では、「カバー前部にはスリット(20)とハンドルフレーム挿通孔(11)を形成し、ハンドルフレームを貫通した状態で取り付け、カバーに配したハンドルフレーム(トップチューブ),斜めフレーム(Wチューブ)取り付け板(1)(2)(3)で固定する」のに対して、引用発明では当該構成は有しない点。

5 相違点についての検討(容易想到性の判断)

上記各相違点について検討する。

(1)上記<相違点1>について

カバーを固定するにあたり、自転車のどの部分に固定するかについては、当業者であれば適宜決定し得る程度の事項であるところ、刊行物2には、上記摘記事項(ク)及び第1?第5図から明らかなように、カバーを、二輪車のハンドルの下の前方フレームに固定する技術が記載されている。
よって、引用発明の自転車用の防雨・防風カバーに刊行物2に記載の技術を適用し、カバーを「自転車の前部、ハンドルの下の部分に固定する」ことは当業者であれば容易に想到し得る。


(2)上記<相違点2>について

引用発明では、運転者を覆うために、カバー(カバー兼用コート6のカバー)はハンドル(ハンドル9)よりも広いものである。「人体の幅35cmより広く」という限定は、運転者を覆うという構成を備えるための要件以上のものではなく、数値範囲に臨界的意義が存在するわけでもないことから、引用発明に基づいて、「前記カバー(6)は人体の幅35cmより広くしたもの」とする程度のことは、当業者であれば適宜なし得る程度の事項にすぎない。


(3)上記<相違点3>について

カバーを固定するにあたり、いかなる構成または部材にて取り付けるかについては、当業者であれば適宜決定し得る程度の事項であるところ、刊行物2には、上記摘記事項(ク)及び第1図?第5図から明らかなように、カバーを、カバーに設けた溝(部材番号2で示される「前方フレームを被う部分」)にて前方フレームに固定する技術が記載されている。また、カバーを、カバーに配した取り付け板で固定することは周知の技術である(実願平4-21309号(実開平5-72687号)のCD-ROMの【0011】段落及び【図1】?【図3】、実願昭62-197616号(実開平1-102084号)のマイクロフィルムの明細書第5頁第5行?第10行及び第5図参照。以下「周知技術」という)。
そして、刊行物2の摘記事項(オ)に「形状を車種に合わせて作る事により全ての二輪車(スクーター類の二輪車.三輪車も含む)に利用できる。」と記載されているとおり、種々の形態の二輪車に対応するようにカバーの構成を考慮することが当業者にとって設計的事項であることを鑑みると、引用発明の自転車用の防雨・防風カバーに刊行物2に記載の技術及び周知技術を適用し、「カバー前部にはスリット(20)とハンドルフレーム挿通孔(11)を形成し、ハンドルフレームを貫通した状態で取り付け、カバーに配したハンドルフレーム(トップチューブ),斜めフレーム(Wチューブ)取り付け板(1)(2)(3)で固定する」ことは当業者であれば適宜なし得る。


(4)効果について

本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2に記載された発明及び周知技術から、当業者であれば予測できる範囲のものにすぎない。


(5)総合判断

本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-15 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-01-07 
出願番号 特願2005-50716(P2005-50716)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B62J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 友也  
特許庁審判長 川向 和実
特許庁審判官 金丸 治之
藤井 昇
発明の名称 雨具内臓または雨具取り付け可能自転車、スクーター、二輪車用防雨、防風カバー  
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