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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) F24F
管理番号 1212837
判定請求番号 判定2009-600037  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2010-04-30 
種別 判定 
判定請求日 2009-09-14 
確定日 2010-03-05 
事件の表示 上記当事者間の特許第4279711号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びイ号物件説明書に示す「換気部材」は、特許第4279711号の請求項2記載の発明の技術的範囲に属しない。 
理由
第1 請求の趣旨

請求人であるバクマ工業株式会社が求める本件判定請求の趣旨は、イ号図面(写真)及びイ号物件説明書に示す、被請求人である宇佐美工業株式会社が製造した、商品名:U型寒冷地用U型フードDタイプ(品番:UK-UEVK100RB、UK-UEVK125RB、UK-UEVK150RB)なる「換気部材」(以下「イ号物件」という。)が、特許第4279711号の請求項2記載の発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。



第2 本件特許発明

特許第4279711号の請求項2に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものであり、請求人は下記のように(ア)、(イ-1)?(イ-4)、(ウ)、及び(エ)に分説している。(以下、それぞれ本件特許発明の構成要件(ア)?(エ)等という。)

(ア)[フード部材]
室内外を連通する換気路における外壁側端部の外壁より所定長さ突出する換気管の突出部分を覆う薄金属板製のフード部材と、

(イ)[外壁取付部材]
(イ-1)前記フード部材の取付部と外壁固定部を備え、
(イ-2)且つ中央に換気管の挿通孔を設け、
(イ-3)上方及び側方を背面に折曲して封止脚部を設けると共に、
(イ-4)下方に前記封止脚部の短縁(「端縁」の誤記と認める。)と一致す
る背面を有し、且つ下縁を前方に跳ね上げた水樋部を設けた
薄金属板製の外壁取付板部材とからなり、

(ウ)[断熱部]
且つ前記外壁取付板部材に、挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲に密嵌される発泡樹脂製の断熱部、

(エ)[筒状舌部]
及び先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる筒状舌部を備えてなる

ことを特徴とする換気部材。



第3 イ号物件

請求人であるバクマ工業株式会社(以下「請求人」という。)が提出したイ号図面(写真)及びイ号物件説明書からみて、イ号物件は、次のとおり特定されるものと認められる。

(あ)[フード部材A]
室内外を連通する換気路における外壁側端部の外壁より所定長さ突出する換気管の突出部分を覆う薄金属板製のフード部材Aと、

(い)[外壁取付部材(ベース部材)B]
(い-1)前記フード部材Aを装着する透孔35及び螺孔とベース部材止着用
透孔36を備え、
(い-2)且つ中央に換気管を貫通する挿通孔31を設け、
(い-3)背面板6上方及び側方を背面に折曲して後方突縁61を設けると共
に、
(い-4)下方に前記後方突縁61と一致する背面を有し、且つ下縁を前方に
跳ね上げた水切り部34を設けた
薄金属板製の外壁取付板部材Bとからなり、

(う)[発泡樹脂製板7]
且つ前記外壁取付板部材Bにおける挿通孔31部分を除いた後方突縁61と水切り部34で囲まれた範囲に密嵌される発泡樹脂製板7、

(え)[ゴム質製パッキン5]
及び先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔31に位置する換気管の外周を保持してなるゴム質製パッキン5を備えてなる

換気部材。

なお、(あ)、(い-1)?(い-4)、(う)、及び(え)は、請求人がした分説であり、以下、それぞれイ号物件の構成(あ)?(え)等という。



第4 本件特許発明及びイ号物件についての当事者の主張

イ号物件が上記構成(あ)、(い-1)?(い-4)、(う)、及び(え)を備えたものであることについて、請求人と被請求人との間に争いはない。

また、イ号物件が本件特許発明の構成要件(ア)[フード部材]及び構成要件(イ)[外壁取付部材]を充足していることについて、請求人及び被請求人の間に争いはない。

請求人と被請求人との間に争いのある、本件特許発明の構成要件(ウ)[断熱部]とイ号物件の構成(う)との対比(以下「争点1」という。)、及び、本件特許発明の構成要件(エ)[筒状舌部]とイ号物件の構成(え)との対比(以下「争点2」という。)についての、請求人及び被請求人の主張は、以下のとおりである。

1.争点1(構成要件(ウ)[断熱部])について

(1)答弁書による被請求人の主張
本件特許発明は「囲まれた範囲に密嵌される発泡樹脂製の断熱部を備える」としているのに対し、イ号物件は囲まれた範囲に密嵌している部材は「発泡樹脂製板」であり、この材料は「嫌水性スポンジ材による密封部」であり、断熱部ではないから、両部材の設置目的は異なるものであり、したがってその作用効果は異なり、イ号物件には断熱効果まではない。(判定請求答弁書第14頁第19?24行)

(2)弁駁書による請求人の主張
本件発明の「断熱部」は、…断熱作用(外部から冷却遮断)による結露防止と共に、結露の原因となる空気が存在する空間をできるだけ無くして(空間充満作用)、結露の発生を防止するものである。
イ号物件の「発泡樹脂板7」も、発泡ポリエチレン樹脂の2.5mm厚の板材であり、当然前記の断熱作用を充足する。更に当該空間を満たしている空間充満作用も充足している。
被請求人は、「発泡樹脂板7」は、「雨水の吸収阻止により結露水の迅速な流出を促進する」と主張しているが、…発泡樹脂板7の個所に雨水が進入する虞が無いこと、また仮に被請求人の主張のように発泡樹脂板の断熱効果が小さいと仮定しても、本件発明は、断熱の程度は特定されておらず、また発泡樹脂板7は、挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲と対応する空間を、発泡樹脂板7で満たすことで、内部結露の原因となる空気が存在するための空間を無くしているので、本件特許のいう「断熱部」を満たすものである。被請求人も「発泡樹脂板7」を「当該空間を満たす密封部」と認めている。(判定請求弁駁書第2頁第2行?第3頁第1行)


2.争点2(構成要件(エ)[筒状舌部])について

(1)答弁書による被請求人の主張
本件特許発明は樹脂成形された硬質の「筒状舌部」であるのに対し、イ号物件は厚さ1mm未満の超柔軟質樹脂材である。(判定請求答弁書第14頁第25?27行)

(2)弁駁書による請求人の主張
本件発明の「筒状舌片」の目的は、…換気管の管径の多少の変化に対しても、筒状舌片で換気管の外周を保持するようにしたものである。
即ち換気管の外形寸法に多少の相違があっても、柔軟性を備えた筒状舌片の開口径が押し拡げられ、筒状舌片が換気管の外周面に密着して、換気管を保持するようにしたものである。
イ号物件のパッキン5も、「UK-UEVK100R」では、パッキンの内径がφ95mmで、これにφ102?114mmの換気管を挿通すると、パッキンは大きく開拡して換気管の外周に密着して保持するものである。
パッキン5は、超柔軟質樹脂材と言えるような極薄ゴムとはいえず、建築配管のシール材として多用されている厚さ1mmのゴム質材で形成されており、貫通装着された換気管は、前記パッキンでしっかりと保持されるもので、本件発明と同様の作用を奏するものであり、本件発明の筒状舌片の要件を満たすものである。
尚筒状舌片が硬質であるとの解釈は、実施形態や請求項3記載の発明における「管径調整部材(特にフランジ脚部)」が所定の保形性を備える必要がある点からの推測と思われるが、筒状舌片は当然薄く形成され相応の柔軟性を備えるものである。硬質の筒状舌片では、換気管を挿通した際の開拡機能を備えることが無いので、被請求人の主張は根拠が無い。(判定請求弁駁書第3頁第6行?第4頁第2行)



第5 当審の判断

1.当事者間に争いのない点について

請求人と被請求人との間に争いのない、本件特許発明の構成要件(ア)、(イ)に対するイ号物件の充足性について判断する。

(1)本件特許発明の構成要件(ア)[フード部材]について

イ号物件の構成(あ)の「フード部材A」は、本件特許発明の構成要件(ア)の「フード部材」に相当している。
したがって、本件特許発明の構成要件(ア)とイ号物件の構成(あ)は一致しており、イ号物件は、構成(あ)を有する点で本件特許発明の構成要件(ア)を充足する。


(2)本件特許発明の構成要件(イ)[外壁取付部材]について

イ号物件の構成(い-1)の「フード部材Aを装着する透孔35及び螺孔」は、本件特許発明の構成要件(イ-1)の「フード部材の取付部」に相当し、同様に、前者の「ベース部材止着用透孔36」は後者の「外壁固定部」に相当する。
イ号物件の構成(い-2)の「換気管を貫通する挿通孔31」は、本件特許発明の構成要件(イ-2)の「換気管の挿通孔」に相当する。
イ号物件の構成(い-3)の「後方突縁61」は、本件特許発明の構成要件(イ-3)の「封止脚部」に相当する。
イ号物件の構成(い-4)の「水切り部34」は、本件特許発明の構成要件(イ-4)の「水樋部」に相当する。

したがって、本件特許発明の構成要件(イ-1)?(イ-4)と、イ号物件の構成(い-1)?(い-4)とはそれぞれ一致しているから、イ号物件の構成(い)の「外壁取付板部材B」は本件特許発明の構成要件(イ)の「外壁取付板部材」に相当するものであって、イ号物件は、構成(い)を有する点で本件特許発明の構成要件(イ)を充足する。


2.争点1及び争点2について

(1)構成要件(ウ)[断熱部]及び構成要件(エ)[筒状舌部]の分説について

まず、争点1及び争点2となっている、本件特許発明の構成要件(ウ)[断熱部]及び構成要件(エ)[筒状舌部]の分説について検討する。

構成要件(ウ)[断熱部]及び構成要件(エ)[筒状舌部]は、請求人がした分説によれば、
「(ウ)[断熱部]
且つ前記外壁取付板部材に、挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲に密嵌される発泡樹脂製の断熱部、」
「(エ)[筒状舌部]
及び先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる筒状舌部を備えてなる」
である。

ところで、本件特許第4279711号の請求項2は、「外壁取付板部材に、…断熱部、及び…筒状舌部を備えてなる」と記載されているから、構成要件(ウ)[断熱部]及び構成要件(エ)[筒状舌部]は、
「(ウ’)[断熱部]
前記外壁取付板部材に、挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲に密嵌される発泡樹脂製の断熱部を備えてなるとともに、」
「(エ’)[筒状舌部]
前記外壁取付板部材に、先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる筒状舌部を備えてなる」
と言い換えることができるので、以下、このように言い換えて分説した、構成要件(ウ’)[断熱部]及び構成要件(エ’)[筒状舌部]に基づいて判断する。


(2)争点1(構成要件(ウ’)[断熱部])について

イ号物件の構成(う)が本件特許発明の構成要件(ウ’)を充足するかどうかについて判断する。

まず、イ号物件の構成(う)の「外壁取付板部材Bにおける挿通孔31部分を除いた後方突縁61と水切り部34で囲まれた範囲」は、本件特許発明の構成(ウ’)の「挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲」に相当する。(この点については当事者間に争いがない。)
そして、イ号物件の構成(う)の「発泡樹脂製板7」は、外壁取付板部材Bにおける、挿通孔31部分を除いた後方突縁61と水切り部34で囲まれた範囲(本件特許発明の「挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲」に相当)に「密嵌される」ものである(この点についても、当事者間に争いはない。)から、イ号物件は、「外壁取付板部材B」に、挿通孔31部分を除いた後方突縁61と水切り部34で囲まれた範囲(挿通孔部分を除いた封止脚部と水樋部で囲まれた範囲)に密嵌される「発泡樹脂製板7」を「備えてなる」ものであると言える。

次に、イ号物件の「発泡樹脂製板7」が本件特許発明の「発泡樹脂製の断熱部」に相当するものであるか否かについて検討する。
被請求人は、イ号物件の「発泡樹脂製板」は「嫌水性スポンジ材による密封部」であり、断熱部ではないから、両部材の設置目的は異なるものであり、したがってその作用効果は異なり、イ号物件には断熱効果まではない旨主張している。
しかしながら、イ号物件の「発泡樹脂製板」は、発泡ポリエチレン樹脂で形成されており(イ号物件説明書の第3頁第8?9行)、このような材料からなるイ号物件の「発泡樹脂製板」は、その設置目的が「断熱」のためではなかったとしても、当然にその材質から断熱効果を奏することは、当業者にとって明らかである。

よって、前者の「発泡樹脂製板7」は、後者の「発泡樹脂製の断熱部」に相当するものであるから、本件特許発明の構成要件(ウ’)とイ号物件の構成(う)は一致しており、イ号物件は、構成(う)を有する点で本件特許発明の構成要件(ウ’)を充足する。


(3)争点2(構成要件(エ’)[筒状舌部])について

まず、本件特許発明の構成要件(エ’)の、「前記外壁取付板部材に、先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる筒状舌部を備えてなる」とは、具体的にどのような構成を指すものであるのかについて検討する。

本件特許第4279711号の請求項2は、平成21年1月9日付け手続補正により補正されたものであって、構成要件(エ’)の上記「前記外壁取付板部材に、…筒状舌部を備えてなる」との記載も、該補正によって挿入されたものである。
そこで、上記「前記外壁取付板部材に、…筒状舌部を備えてなる」との構成は具体的にどのようなものであるかについて明らかにするために、上記平成21年1月9日付け手続補正がなされる前の、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)を参照すると、当初明細書等には、「筒状舌部」は、樹脂製の「管径調整材」の内周面に設けられることが記載され、該「管径調整材」は、「筒状舌部」の他、外壁取付板部の挿通孔に密挿される「嵌合筒部」と(外壁取付板部の)封止脚部と対応する厚みを備えた「フランジ脚部」とを備えており、該「管径調整材」の「嵌合筒部」を、「外壁取付板部材」の挿通孔12に密挿して「外壁取付板部材」に該「管径調整材」を装着することによって、「外壁取付板部材」に「筒状舌部を備えてなる」構成が実施例として記載されている。(当初の特許請求の範囲の請求項3及び請求項6、当初明細書の段落【0014】?【0017】、【0025】、【0032】?【0034】、第3図及び第6図参照。)そして、該実施例以外には、「外壁取付板部材に筒状舌部を備えてなる」構成について、記載も示唆もされていない。
したがって、本件特許発明の構成要件(エ’)における「筒状舌部」とは、当初明細書等の記載を参酌すれば「管径調整材」の内周面に設けられたものであり、「前記外壁取付板部材に、…備えてなる」とは、同じく当初明細書等に開示された、「筒状舌部を設けた管径調整材の嵌合筒部を外壁取付板部材の挿通孔に密挿する」ことによって「前記外壁取付板部材に備えてなる」構成を指すものであると限定して解釈せざるを得ない。

よって、本件特許発明の構成要件(エ’)は、
「(エ’’)[筒状舌部]
前記外壁取付板部材に、先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる筒状舌部を、筒状舌部を設けた管径調整材の嵌合筒部を外壁取付板部材の挿通孔に密挿することによって備えてなる」
と言い換えることができるので、以下、このように解釈した構成要件(エ’’)に基づいて、イ号物件の構成(え)が本件特許発明の構成要件(エ’’)を充足するかどうかについて判断する。

まず、イ号物件が、本件特許発明の構成要件(エ’’)における、「先端を窄めると共に適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる筒状舌部」を有しているか否かについて判断する。

イ号物件の構成(え)の「ゴム質製パッキン5」は、「伸縮性を備えたゴム質製で、…パイプ挿通孔31の内周に延出されており、内縁部が外周方向に伸長しやすいように撓んでいる」(イ号物件説明書の第3頁第1?3行)のであるから、適宜な弾性を有していることは明らかである。そして、イ号物件の使用状態において、壁面から突出している通気パイプに対してゴムパッキン5が押し込まれる旨記載されている(イ号物件説明書の第3頁第10?12行参照)ことより、該ゴムパッキン5の延出された内縁部が、通気パイプの外周を保持することも明らかである。
すると、イ号物件の構成(え)の「ゴム質製パッキン5」は、「適宜な弾性を有し、挿通孔に位置する換気管の外周を保持してなる」点において、本件特許発明の構成要件(エ’’)における「筒状舌部」と共通している。

続いて、イ号物件の構成(え)の「ゴム質製パッキン5」が、「先端を窄め」た「筒状舌部」であると言えるか否かについて検討する。
イ号図面の図1、5、6を参照すると、「ゴム質製パッキン5」の「パイプ挿通孔31の内周に延出された内縁部」は、外側すなわち先端に向けてやや傾斜した状態、すなわち「先端を窄めた」状態であることが示されている。
しかしながら、イ号物件の「ゴム質製パッキン5」の「内縁部」は、上記のように「外周方向に伸長しやすいように撓んでいる」構成とされているため、通気パイプに押し込まれることによって、上記イ号図面に示されるように先端に向けて傾くように変形し、先端を窄めたような状態とされるに過ぎず、通気パイプに押し込まれていないときには、「ゴム質製パッキン5」の「内縁部」は、単に略平面状に垂直に延出されているものと解される。(このことは、請求人が判定請求弁駁書に添付して提出した「イ号物件の取付方法の説明書面写(資料5)」の、「1 パイプの周辺と外壁のコーキング」及び「2 ベースの取り付け」にも図示されている。)
よって、イ号物件の構成(え)の「ゴム質製パッキン5」は、略平板状に構成されたものであると解され、「筒状」とは言えない。

したがって、イ号物件の構成(え)における「ゴム質製パッキン5」は、「筒状」ではない点で本件特許発明の構成要件(エ’’)の「筒状舌部」に相当せず、イ号物件の構成(え)は本件特許発明の構成要件(エ’’)を充足しない。
(なお、この点については、限定解釈する前の本件特許発明の構成要件(エ)または(エ’)に基づいて判断しても同様である。)

さらに、イ号物件が、本件特許発明の構成要件(エ’’)における、「前記外壁取付板部材に、…筒状舌部を、筒状舌部を設けた管径調整材の嵌合筒部を外壁取付板部材の挿通孔に密挿することによって備えてなる」構成を有しているか否かについて検討する。

イ号物件の構成(え)の「ゴム質製パッキン5」は、上記のように略平板状であって、「ベース板3と背面板6の間で試着(「止着」の誤記と認める。)」(イ号物件説明書の第3頁第1?2行)されているのであるから、本件特許発明の「筒状舌部」のように、「筒状舌部を設けた管径調整材の嵌合筒部を外壁取付板部材の挿通孔に密挿する」ことによって、外壁取付板部材に備えられたものではない。

したがって、イ号物件の構成(え)は、 本件特許発明の構成要件(エ’’)における、「筒状舌部を設けた管径調整材の嵌合筒部を外壁取付板部材の挿通孔に密挿する」構成を有していない点においても、本件特許発明の構成要件(エ’’)を充足しない。



第6 結び

以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2010-02-23 
出願番号 特願2004-84214(P2004-84214)
審決分類 P 1 2・ 9- ZB (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 礒部 賢  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 渋谷 知子
長浜 義憲
登録日 2009-03-19 
登録番号 特許第4279711号(P4279711)
発明の名称 換気構造及び換気部材  
代理人 牛木 理一  
代理人 近藤 彰  

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