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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A61B
管理番号 1213130
審判番号 無効2008-800257  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-11-19 
確定日 2010-02-08 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4017363号発明「表面検査装置及び方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4017363号の請求項1?9に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4017363号に係る出願の手続の経緯は以下のとおりである。

平成12年 6月23日:パリ条約による優先権主張
外国庁受理 フランス国
平成13年 6月25日:出願
平成19年 9月28日:特許権の設定登録
平成20年11月19日:特許無効の審判の請求(請求人)
平成21年 4月30日:答弁書および訂正請求書の提出(被請求人)
6月19日:弁駁書の提出(請求人)
8月18日:答弁書の提出(被請求人)
9月11日:口頭審理陳述要領書の提出(請求人、被請求人)
9月11日:口頭審理
9月11日:審理終結


第2 訂正の可否に対する判断
1 訂正後の請求項1?9に係る発明
平成21年4月30日付けの訂正請求書は、特許請求の範囲を下記のとおり訂正することを求めている。(以下、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?9に係る発明を、それぞれ「本件訂正発明1」?「本件訂正発明9」という。)
「【請求項1】 表面を検査するための装置であって、
検査されるべき前記表面に入射するビームを放出できる偏光源を有し、この偏光源は、固定偏光子を有し、
前記表面で反射された光ビームの経路中に配置された、配向可能な偏光解析素子を有し、この偏光解析素子は、直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段を有し、前記伝送手段は、交互に働く状態になり、前記配向可能な偏光解析素子は、電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有し、
更に、前記表面によって偏光解析素子の下流側に反射されたビームの経路中に配置されたディジタル画像の撮像手段と、前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の、前記表面の2つのディジタル画像の画素から前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を計算できる処理ユニットとを有し、前記装置は前記表面に接触しない、ことを特徴とする装置。
【請求項2】 前記偏光源の光源から出た光は、実質的に等方性であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】 前記偏光源からでた光は、実質的に白色であることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】 前記偏光源から出た光のスペクトルは、太陽スペクトルと実質的に同一であることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項5】 表面の遠隔検査方法であって、
前記表面で反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光を、前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介して伝送して解析し、
前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光の2つのディジタル画像を撮像し、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像の画素から計算することを特徴とする方法。
【請求項6】 単色のディジタル画像を撮像することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】 多色のディジタル画像を撮像することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】 処理ユニット及びカメラを有する表面の遠隔検査のために設計された装置のためのコンピュータプログラムであって、
表面によって反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介した、表面によって反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光の2つの画像を交互に伝送し、
前記カメラによって、前記反射ビームの前記直交偏光及び前記平行偏光の2つのディジタル画像を撮像し、前記処理ユニットによって、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像の画素から計算する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】 請求項8に記載のコンピュータプログラムが格納されている記憶媒体。」

2 訂正事項の認定
上記訂正は、以下の訂正事項を含んでいる。

[訂正事項a]登録時の請求項1、6、7、及び9を削除し、登録時の請求項1を引用する請求項2を請求項1とし、登録時の請求項2を引用する請求項3を請求項2とし、登録時の請求項2又は3を引用する請求項4を請求項3とし、登録時の請求項2又は3を引用する請求項5を請求項4とし、登録時の請求項8を請求項5とし、登録時の請求項8又は9を引用する請求項10を請求項6とし、登録時の請求項8又は9を引用する請求項11を請求項7とし、登録時の請求項12を請求項8とし、登録時の請求項12を引用する請求項13を請求項9とする訂正事項。

[訂正事項b]登録時の請求項2に記載の「偏光源を有し」を「偏光源を有し、この偏光源は、固定偏光子を有し、」とする訂正事項。

[訂正事項c]登録時の請求項2に記載の「この偏光解析素子は、直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段を有し、前記伝送手段は、交互に働く状態になり、」を「この偏光解析素子は、直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段を有し、前記伝送手段は、交互に働く状態になり、前記配向可能な偏光解析素子は、電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有し、」とする訂正事項。

[訂正事項d]登録時の請求項3に記載の「前記偏光源から出た光は、」を「前記偏光源の光源から出た光は、」とする訂正事項。

[訂正事項e]登録時の請求項8に記載の「前記表面で反射された光ビーム」を「前記表面で反射された偏光ビーム」とする訂正事項。

[訂正事項f]登録時の請求項8に記載の「直交偏光及び平行偏光を解析し」を「直交偏光及び平行偏光を、前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介して伝送して解析し」とする訂正事項。

[訂正事項g]登録時の請求項8に記載の「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光のディジタル画像」を「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光の2つのディジタル画像」とする訂正事項。

[訂正事項h]登録時の請求項12に記載の「表面によって反射された光ビームの直交偏光及び平行偏光」を「表面によって反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介した、直交偏光及び平行偏光」とする訂正事項。

[訂正事項i]登録時の請求項12に記載の「直交偏光及び平行偏光」を「直交偏光及び平行偏光の2つの画像」とする訂正事項。

[訂正事項j]登録時の請求項12に記載の「前記直交偏光及び前記平行偏光のディジタル画像」を「前記直交偏光及び前記平行偏光の2つのディジタル画像」とする訂正事項。

3 訂正事項の検討
(1)[訂正事項a]について
訂正事項aは、登録時の請求項1、6、7、及び9を削除し、請求項の番号を連続するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであることは明らかである。

(2)[訂正事項b]について
訂正事項bは、偏光源を固定偏光子を有するものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、本件特許明細書の段落【0012】に「固定偏光子12は、光源11によって放出された入射光ビーム16の経路中に、換言すると、光源11と表面9との間に配置される。光は、入射光ビーム16の伝搬方向に固定偏光子12の下流側へ偏光される。」と記載されていることから、光源11および固定偏光子12が偏光源として機能することが記載されていたといえるから、訂正事項bは願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

(3)[訂正事項c]について
訂正事項cは、偏光解析素子を「電気光学的配向方式」の偏光解析素子または「偏光スプリッターキューブを有」する偏光解析素子に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、本件特許明細書の段落【0015】に「配向可能な偏光子は、電気光学的配向方式、例えばディスプレイテック(Displaytech )社の『偏光回転子』又は例えばモータ及びモータによって駆動される車輪に取り付けられた複数のフィルタを備えた機械的配向方式を備えた型式のものであるのがよい。変形例として、偏光スプリッターキューブ、例えばオリエル(Oriel )社の『ビームスプリッター』を提供することもできるが、これは、2つの測定カメラを用いる必要がある。」と記載されていることから、偏光解析素子として「電気光学的配向方式」の偏光解析素子または「偏光スプリッターキューブを有」する偏光解析素子を用いることは、願書に最初に添付した明細書に記載されていたといえる。そして、「偏光スプリッターキューブ」を用いて「直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段」が「交互に働く状態」とすることは直接記載されているとはいえないものの、例えば特開平7-323013号公報(甲第11号証)の段落【0026】に記載されているように、ハーフミラー10、第1の受光用偏光フィルター12、および、第2の受光用偏光用フィルター16により構成される偏光スプリッターキューブが可動型ミラー18により交互に働く状態とされることは本件特許に係る出願の優先権主張日前に当業者に知られていたことであり、2つの測定カメラを用いた場合にも伝送手段が交互に働く状態とするための構成は当業者が適宜設計しうることであるといえるから、偏光スプリッターを交互に働く状態とすることは当業者にとって自明であったといえる。
したがって、訂正事項cは、実質的に願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

(4)[訂正事項d]について
訂正事項dは、光の出所が偏光源の光源であることを明らかとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえる。
また、本件特許明細書の段落【0011】には、「光源11は、表面9を照明するように配置されている。放出された光は、できるだけ等方性である。」と記載されているから、実質的に等方性であるとされる光が光源から出た光であることは、願書に最初に添付した明細書に記載した事項であるといえる。

(5)[訂正事項e]について
訂正事項eは、光ビームを偏光ビームと限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、本件特許明細書の段落【0012】には、「光は、入射光ビーム16の伝搬方向に固定偏光子12の下流側へ偏光される。」と記載されており、光ビームが偏光ビームであることは、願書に最初に添付した明細書に記載した事項であるといえるから、訂正事項eは、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものといえる。

(6)[訂正事項f]について
訂正事項fは、解析の対象となる偏光を「前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介して伝送」されるものと限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
そして、本件特許明細書の段落【0015】に「配向可能な偏光子は、電気光学的配向方式、例えばディスプレイテック(Displaytech )社の『偏光回転子』又は例えばモータ及びモータによって駆動される車輪に取り付けられた複数のフィルタを備えた機械的配向方式を備えた型式のものであるのがよい。変形例として、偏光スプリッターキューブ、例えばオリエル(Oriel )社の『ビームスプリッター』を提供することもできるが、これは、2つの測定カメラを用いる必要がある。」と記載されているから、訂正事項fは願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

(7)[訂正事項g]について
訂正事項gは、偏光のディジタル画像を偏光の2つのディジタル画像と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
そして、本件特許明細書の段落【0009】には、「ディジタル画像を、例えばマトリックスカメラによって検光子の下流側で撮像する。その目的は、各画像の画素の偏光の度合いを計算することにある。これから、画像のブライトネスに関する情報をディジタル処理によって推論する。この目的のため、特に回転中の検光子及び平坦ではない表面について少なくとも2つ、好ましくは3つの画像を撮像する。」と記載されているから、訂正事項gは願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

(8)[訂正事項h]について
訂正事項hは、光ビームの直交偏光及び平行偏光を、「経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介」すると限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、本件特許明細書の段落【0015】に「配向可能な偏光子は、電気光学的配向方式、例えばディスプレイテック(Displaytech )社の『偏光回転子』又は例えばモータ及びモータによって駆動される車輪に取り付けられた複数のフィルタを備えた機械的配向方式を備えた型式のものであるのがよい。変形例として、偏光スプリッターキューブ、例えばオリエル(Oriel )社の『ビームスプリッター』を提供することもできるが、これは、2つの測定カメラを用いる必要がある。」と記載されていることから、偏光解析素子として「電気光学的配向方式」の偏光解析素子または「偏光スプリッターキューブを有」する偏光解析素子を用いることは、願書に最初に添付した明細書に記載されていたといえる。そして、前記「(3)[訂正事項c]について」において検討したとおり、偏光スプリッターを交互に働く状態とすることは自明であったといえるから、訂正事項hは、実質的に願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

(9)[訂正事項i]について
訂正事項iは、直交偏光及び平行偏光を、直交偏光及び平行偏光の2つのディジタル画像と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
そして、、本件特許明細書の段落【0009】には、「ディジタル画像を、例えばマトリックスカメラによって検光子の下流側で撮像する。その目的は、各画像の画素の偏光の度合いを計算することにある。これから、画像のブライトネスに関する情報をディジタル処理によって推論する。この目的のため、特に回転中の検光子及び平坦ではない表面について少なくとも2つ、好ましくは3つの画像を撮像する。」と記載されており、また、同明細書の段落【0017】には、「平行偏光及び直交偏光の2つの画像の収集は、数百ミリ秒で行われる。」と記載されているから、訂正事項iは願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

(10)[訂正事項j]について
訂正事項jは、前記直交偏光及び前記平行偏光のディジタル画像を、前記直交偏光及び前記平行偏光の2つのディジタル画像と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
そして、本件特許明細書の段落【0009】には、「ディジタル画像を、例えばマトリックスカメラによって検光子の下流側で撮像する。その目的は、各画像の画素の偏光の度合いを計算することにある。これから、画像のブライトネスに関する情報をディジタル処理によって推論する。この目的のため、特に回転中の検光子及び平坦ではない表面について少なくとも2つ、好ましくは3つの画像を撮像する。」と記載されているから、訂正事項jは願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされたものであるといえる。

そして、訂正事項a?jが実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものであるとはいえない。

なお、特許の無効の審判は、全ての請求項について請求されているため、特許法第134条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第4項に規定される要件についての検討を要する請求項はない。

4 まとめ
以上のとおり、訂正事項a?jの何れも特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、何れも願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲においてされていたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
したがって、平成21年4月30日付けの訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書きに適合し、同条第5項の規定によって準用する特許法第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3 請求人の主張
請求人は、「特許第4017363号の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、審判請求書の請求の理由、弁駁書および口頭審理陳述要領書によれば、次の理由および証拠に基づいて、本件特許は無効とされるべきであると主張する。

[理由]
本件訂正発明1,5,8に記載された発明は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証および周知・慣用技術に基づいて当業者がその特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
本件訂正発明2?4,6,7,9は、甲第1号証、甲第5号証、甲第10号証、甲第11号証および周知・慣用技術に基づいて当業者がその特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
本件訂正発明1,8の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから特許法第36条第6項第1号の規定に違反し、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当するから無効とすべきものである。また、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、訂正後の請求項1および請求項8に関し、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号の規定に違反し、同法第123条第1項第4項に該当するから無効とすべきものである。

[証拠]
甲第1号証 特開平 7- 75429号公報
甲第2号証 特開平 7-131721号公報
甲第3号証 特開平 7-320688号公報
甲第4号証 特開平 8-308943号公報
甲第5号証 特公平 6- 95996号公報
甲第6号証 特開平 8-159956号公報
甲第7号証 特開平 5-306995号公報
甲第8号証 仏国特許発明第2810737号明細書
甲第9号証 米国特許出願公報第2002/087085号明細書
甲第10号証 特開平 7-323014号公報
甲第11号証 特開平 7-323013号公報
甲第12号証 特開平11- 95206号公報
甲第13号証 特開平 7-101893号公報
甲第14号証 特開平 8- 24228号公報
甲第15号証 特開平 6-324329号公報
甲第16号証 特開平 3-282527号公報
甲第17号証 特開平 8-292488号公報
甲第18号証 田村秀行,「コンピュータ画像処理入門」,総研出版株式
会社,昭和60年3月10日発行第14?21頁,第2
9?51頁,第148?151頁
甲第19号証 特開平 4-231848号公報
甲第20号証 液晶便覧編集委員会,「液晶便覧」,丸善株式会社,平成
12年10月30日発行,第512?514頁
甲第21号証 特開平10-267832号公報
甲第22号証 特開平10-288741号公報
甲第23号証 特開平 5-293083号公報
甲第24号証 特開平11-326182号公報


第4 被請求人の主張
被請求人は、「本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、平成21年4月30日付けの答弁書、平成21年8月18日付けの答弁書および口頭審理陳述要領書によれば、次の理由および証拠に基づいて、請求人が主張する理由及び証拠によっては、本件特許を無効とすることはできないと主張する。

[理由]
本件訂正発明1,5,8に記載の発明と甲第1号証に記載された発明との相違点は、甲第12号証?甲第17号証には記載されておらず、周知・慣用技術ではない。したがって、本件訂正発明1,5,8は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証および周知・慣用技術に基づいて、当業者がその特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから、特許法第123条第1項第2号に該当しない。
本件訂正発明2?4が引用する本件訂正発明1、本件訂正発明6,7が引用する本件訂正発明5、および本件訂正発明9が引用する本件訂正発明8は、無効理由を有するものではなく、本件訂正発明1,5,8の構成要件に更に加えた構成要件も、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証に記載はなく、また周知・慣用技術でもないから、当業者がその特許出願前に容易に発明をすることができたものではなく、特許法第123条第1項第2号に該当しない。
本件訂正発明1,8は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、更に、本件訂正発明1,8は、発明の詳細な説明に、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているから、特許法第123条第1項第4号に該当しない。

[証拠]
乙第1号証 ディスプレイテック社のウエブサイト「偏光回転子」
乙第2号証 ディスプレイテック社のウエブサイト「偏光回転子」


第5 本件発明
本件特許の請求項1?9に係る発明は、平成21年4月30日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。


第6 甲号証
(1)甲第1号証
本件特許に係る出願の優先権主張日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平7-75629号公報)には、以下の記載がある。
[1a]「【0010】即ち、この発明は、皮膚表面にS偏光とP偏光とをそれぞれ入射させ、S偏光を入射させた場合の反射光のS偏光成分とP偏光成分、及びP偏光を入射させた場合の反射光のS偏光成分とP偏光成分とをそれぞれ受光し、それらの受光強度に基づいて、皮膚に自然光を入射させた場合の表面反射光成分又は内部反射光成分を独立的に求め、表面反射光画像又は内部反射光画像を得ることを特徴とする皮膚表面観察方法を提供する。」
[1b]「【0013】また、この発明の皮膚表面観察方法を実施する皮膚表面観察装置として、照射光源と偏光フィルターからなり、皮膚表面にS偏光とP偏光とをそれぞれ入射させることのできる照射手段、該照射手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光による反射光のS偏光成分又はP偏光成分を透過させる偏光フィルター、該偏光フィルターを透過したS偏光成分又はP偏光成分を受光する撮像装置、撮像装置からの信号に基づき表面反射光画像又は内部反射光画像をモニターに出力させる制御演算装置、及びモニターを有することを特徴とする皮膚表面観察装置を提供する。」
[1c]「【0029】ところで、自然光は非偏光であり、P偏光とS偏光の強度は等しいから、自然光を皮膚に入射させた場合の表面反射光L_(S) の強度I(S) は、皮膚にP偏光を入射させた場合の表面反射光L_(Sp)の強度I(Sp)とS偏光を入射させた場合の表面反射光L_(Ss)との強度I(Ss)との和に等しく、また、自然光を皮膚に入射させた場合の内部反射光L_(D) の強度I(D) は、皮膚にP偏光を入射させた場合の内部反射光L_(Dp)の強度とS偏光を入射させた場合の内部反射光L_(Ds)の強度との和に等しいとおくことができる。
【0030】したがって、上記式(5)?(8)から、次式(9)、(10)のように
【0031】
【数9】
I(S) = I(Sp) + I(Ss)
=(I(pp)-I(ps))+(I(ss)-I(sp)) 式(9)
【0032】
【数10】
I(D) = 2・I(ps) + 2・I(sp) 式(10)
と表すことができる。よって、皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)とS偏光成分の強度I(ps)、及び皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)とS偏光成分の強度I(ss)とをそれぞれ測定することにより、式(9)から皮膚に自然光を入射させた場合の表面反射光成分の強度I(S) を算出でき、式(10)から内部反射光成分の強度I(D) を算出できることとなる。
【0033】この発明の皮膚表面観察方法において、こうして自然光を入射させた場合の表面反射光成分の強度と内部反射光成分の強度を得た後は、これらに基づいて、常法により表面反射光画像と内部反射光画像を形成する。そして、表面反射光画像から小じわや毛穴等の状態を解析し評価する。また、内部反射光画像からしみやそばかす等の色むらを解析し、評価する。」
[1d]「【0037】この発明の皮膚表面観察方法を実施する装置としては、図1に示した概略構成図のように、皮膚SにP偏光とS偏光をそれぞれ入射させられるようにする照射手段として、照射光源1と偏光フィルター2を有するものとする。この場合、偏光フィルター2としては、P偏光用フィルター2pとS偏光用フィルター2sとを別個に設けてもよく、偏光フィルターの設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルターを設けてもよい。
【0038】また、この発明の装置には、皮膚Sからの反射光の受光手段として、反射光のS偏光成分とP偏光成分とを独立的にを受光できるようにする偏光フィルター3を有するものとする。この受光用の偏光フィルター3としても、P偏光用フィルター3pとS偏光用フィルター3sとを別個に設けてもよく、偏光フィルターの設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルターを設けてもよい。
【0039】偏光フィルター3の後段には、偏光フィルター3を通して得られた反射光のS偏光成分とP偏光成分を受光する撮像装置4を有し、この撮像装置からの信号(I(pp)、I(ps)、I(sp)、I(ss))に基づき、前述のこの発明の原理にしたがって表面反射光画像G_(S )及び内部反射光画像G_(D )を算出し、モニター6に出力する制御演算装置5、及びこの結果を表示するモニター6を有するものとする。
【0040】この場合、この装置を構成する照射光源1、偏光フィルター2、3、撮像装置4、モニター6自体は従来の皮膚表面観察装置に使用されているものを使用することができ、また、制御演算装置5もその制御内容として前述のこの発明の原理に従った演算を組み込んでいる限り、一般的なコンピュータ等を使用することができる。」
[1e]「【0045】図3は、この発明の皮膚表面観察方法を実施するに際して使用した皮膚の撮影システムの説明図である。
【0046】同図のようにこのシステムは、被験者7の皮膚Sに所定の偏光を照射できるように、光源1とその前面に偏光板8aを有している。この場合、光源1としては1200Wのメタルハライド光源(色温度5700℃)2灯を1000mmの間隔で並べて使用し、偏光板8aとしてはポラロイド社製のHN32を使用し、光源1と被験者7の皮膚Sとの距離d1 を1600mmとし、光源1の設置高さh1 は床面から1700mmとした。
【0047】また、皮膚Sからの反射光の受光系として、偏光板8bを前面に設けた静止画用ハイビジョンカメラ(ニコン社製、CF1000)9を使用した。このカメラ9と被験者7の皮膚Sとの距離d2 は770mmとし、カメラ9の設置高さh2は床面から1100mmとした。また、偏光板8bとしては、光源1の前面に設けた偏光板8aと同様のもの使用した。」
[1f]「【0048】この静止画用ハイビジョンカメラ9で撮影した画像の情報量は、従来のビデオ画像(NTSC)に比較して約6倍と多いので、制御演算装置としてはワークステーションを使用し、画像情報をデジタル画像として保存し、解析処理した。」
[1g]「【0049】なお、皮膚Sからの反射光は光源1と同じ分光成分からなるので、皮膚の表面反射光画像は無彩色となり、画像を構成するR成分、G成分、B成分は同一情報を有することとなる。そこで、皮膚の表面反射光の解析にあたっては、G成分のみを使用した。」
[1h]「【0063】
【発明の効果】この発明によれば、皮膚の表面状態を画像に撮り、小じわや毛穴等の皮膚表面状態としみやそばかす等の皮膚内部状態とを分離して解析し評価するにあたり、実際の皮膚の質感に即した画像に基づいて、皮膚を適確に評価することが可能となる。さらに、皮膚の表面反射光画像を高い鮮鋭度で得、皮膚の表面状態を定量化することも可能となる。」
上記[1a]?[1d]の記載によれば、甲第1号証には、
「照射光源と偏光フィルターからなり、皮膚表面にS偏光とP偏光とをそれぞれ入射させることのできる照射手段、該照射手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光による反射光のS偏光成分又はP偏光成分を透過させる偏光フィルターの設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター、該偏光フィルターを透過したS偏光成分又はP偏光成分を受光する撮像装置、撮像装置からの信号(皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss))に基づき表面反射光画像_( )及び内部反射光画像をモニターに出力させる一般的なコンピュータからなる制御演算装置、及びモニターを有し、皮膚に自然光を入射させた場合の表面反射光成分又は内部反射光成分を独立的に求め、小じわや毛穴等の状態を解析し評価する表面反射光画像_( )及びしみやそばかす等の色むらを解析し評価する内部反射光画像を得る皮膚表面観察方法を実施する皮膚表面観察装置。」の発明(以下、「甲第1号証発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)甲第2号証
本件特許に係る出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平7-131721号公報)には、以下の記載がある。
[2a]「【請求項1】 被写体を撮像する撮像光学系と、
該撮像光学系からの光画像を電気信号に変換する撮像素子と、
該撮像素子を駆動するタイミングを発生する撮像素子駆動手段と、
前記撮像素子の出力をディジタル画像データに変換するA/D変換器と、
該A/D変換器により変換されたディジタル画像データを記憶する記憶媒体と、
全体の動作を制御する制御手段を具備したディジタルスチルカメラにおいて、
前記撮像素子駆動手段のタイミングを使用状況に応じて可変するタイミング変更手段を具備したことを特徴とするディジタルスチルカメラ。」

(3)甲第5号証
本件特許に係る出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第5号証(特公平6-95996号公報)には、以下の記載がある。
[3a]「〔産業上の利用分野〕
本発明は、皮膚表面色調解析方法及び装置、詳しくは、人体、動物等の皮膚表面の色調、特に人体の皮膚表面の色調及びシミ、ソバカス等、即ち、皮膚表面の状態の解析評価を行う皮膚表面色調解析方法及び装置に関する。従って、本明細書で「色調解析」という場合、「皮膚の色調」のみならず「皮膚の表面状態」の種々の解析を意味することもある。」(第3欄第1?8行)
[3b]「また、第2図に示す如く、筒状本体部21の先端部近傍の中央には、拡大対物レンズ系11がビデオカメラ10の光軸に中心を一致させて配設してあり、該拡大対物レンズ系11の前方には第二の偏光フィルター13が配設してあり、観察孔部24内において、第一の偏光フィルター12を通過した照射光により照射された皮膚表面像は、必ず第二の偏光フィルター13を通過してから拡大対物レンズ系11を経て本体部21内に装備された撮像装置によりカラー撮影され、撮影された皮膚表面像はカラー画像信号として信号ケーブルWからテレビモニター5に送られるようになしてある。」(第6欄第44行?第7欄第4行)

(4)甲第10号証
本件特許に係る出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第10号証(特開平7-323014号公報)には、以下の記載がある。
[4a]「【0008】これに対して、本発明者は、偏光を使用して皮膚表面を観察する方法として、皮膚へ入射させる光としてS偏光とP偏光の双方を使用し、それぞれの入射光に対する反射光をS偏光成分とP偏光成分の双方について別個に受光する方法を提案した(特願平5-247523号明細書、特許請求の範囲)。この方法によれば、自然光を入射光とした場合の皮膚の表面反射光成分と内部反射光成分とを算出でき、これにより実際の質感と等しい皮膚の表面反射光画像と内部反射光画像とを得られ、皮膚表面の特徴をより適格に解析評価することが可能となる。
【0009】しかしながら、この方法においては、皮膚への入射光として2種の偏光を使用し、皮膚からの反射光として、各入射光のそれぞれについて2種の偏光成分を受光するので、合計4通りの入射光と反射光の組み合わせについて受光データを得ることが必要となる。そのために、図6に示した従来の装置でこの方法を実施する場合には、各受光データを得るたびに投光用偏光フィルター又は受光用偏光フィルターを付け替えるか向きを変えるといった機械的操作をしなくてはならない。よって、観察操作が非常に繁雑となるという問題があった。
【0010】本発明はこのような従来技術の課題を解決しようとするものであり、皮膚表面の小じわや毛穴等の表面反射光画像としみやそばかす等の皮膚内部の反射光画像とを別個に得られるように皮膚表面を観察する方法として、皮膚にS偏光とP偏光を別個に入射させ、各入射光に対する皮膚からの反射光としてもS偏光成分とP偏光成分を別個に受光する場合に、一つの偏光方向を有する入射光に対する反射光のS偏光成分とP偏光成分とを、偏光フィルターの機械的操作をすることなく、それぞれ受光できるようにし、このような皮膚表面の観察方法を簡便に実施できるようにする皮膚表面観察装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、皮膚表面にS偏光又はP偏光を入射させた場合の反射光を受光するにあたり、電圧の印加によりの透過光の偏光方向が変わる液晶セルとS偏光成分又はP偏光成分の一方を透過させる液晶素子を使用すると上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】即ち、本発明は、皮膚表面にS偏光又はP偏光を入射させることのできる照射手段、該照射手段から皮膚に入射させた光の反射光を受光し、電圧の印加により透過光の偏光方向が変わる液晶セル、該液晶セルを透過した光を受光し、S偏光又はP偏光を透過させる偏光フィルター及び該偏光フィルターを透過した偏光成分を受光する撮像装置を有することを特徴とする皮膚表面観察装置を提供する。」
[4b]「【0026】なお、以上の実施例においては、皮膚表面の小じわや毛穴等の表面反射光画像としみやそばかす等の皮膚内部の反射光画像とを別個に得るための皮膚表面観察に本発明の装置を適用する場合を説明したが、本発明の装置はこれに限られず種々の皮膚の表面観察に使用することができる。特に、被観察物が動きやすいために、4種の受光データI(ss) 、I(sp) 、I(ps) 、I(pp) を個別に測定することが困難な場合の観察装置として好適に使用することができ、例えば胃カメラなどの医療用カメラとして使用することができる。」
[4c]「【0027】
【発明の効果】本発明によれば、皮膚表面反射光画像と皮膚内部の反射光画像とを別個に得られるように、皮膚にS偏光とP偏光を別個に入射させ、各入射光に対する皮膚からの反射光としてもS偏光成分とP偏光成分の双方を受光し、皮膚表面を観察する場合の観察操作を簡便化することが可能となる。」

(5)甲第11号証
本件特許に係る出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第11号証(特開平7-323013号公報)には、以下の記載がある。
[5a]「【0008】これに対して、本発明者は、偏光を使用して皮膚表面を観察する方法として、皮膚へ入射させる光としてS偏光とP偏光の双方を使用し、それぞれの入射光に対する反射光をS偏光成分とP偏光成分の双方について別個に受光する方法を提案した(特願平5-247523号明細書、特許請求の範囲)。この方法によれば、自然光を入射光とした場合の皮膚の表面反射光成分と内部反射光成分とを算出でき、これにより実際の質感と等しい皮膚の表面反射光画像と内部反射光画像とを得られ、皮膚表面の特徴をより適格に解析評価することが可能となる。
【0009】しかしながら、この方法においては、皮膚への入射光として2種の偏光を使用し、皮膚からの反射光として、各入射光のそれぞれについて2種の偏光成分を受光するので、合計4通りの入射光と反射光の組み合わせについて受光データを得ることが必要となる。そのために、図7に示した従来の装置でこの方法を実施する場合には、各受光データを得るたびに投光用偏光フィルター又は受光用偏光フィルターを付け替えるか向きを変えるといった機械的操作をしなくてはならない。よって、観察操作が非常に繁雑となるという問題があった。
【0010】本発明はこのような従来技術の課題を解決しようとするものであり、皮膚表面の小じわや毛穴等の表面反射光画像としみやそばかす等の皮膚内部の反射光画像とを別個に得られるように皮膚表面を観察する方法として、皮膚にS偏光とP偏光を別個に入射させ、各入射光に対する皮膚からの反射光としてもS偏光成分とP偏光成分を別個に受光する場合に、一つの偏光方向を有する入射光に対して受光すべき反射光のS偏光成分とP偏光成分とをそれぞれ同時に形成し、このような皮膚表面の観察方法を簡便に実施できるようにする皮膚表面観察装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、皮膚表面での反射光を2つの光路に分岐し、分岐した一方の反射光に対して第1の受光用偏光フィルターを設け、分岐した他方の反射光に対して第1の受光用フィルターと偏光方向が異なる第2の受光用フィルターを設け、第1の受光用フィルターと第2の受光用フィルターから異なる偏光成分の反射光を同時に受光できるようにすると上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。」
[5b]「【0026】図3の実施例の装置IIは、照射手段として光源9から光ファイバー2により導光した光を射出するリング状照明装置3を有し、また、リング状照明装置3の先端前面には、投光用偏光フィルター4が設けられている点では図1の実施例と同様であり、また、反射光をハーフミラー10で2つの光路に分岐し、分岐した反射光がそれぞれ第1の受光用偏光フィルター12又は第2の受光用偏光フィルター16を透過するようにしている点でも図1の実施例と同様である。しかし、この図3の装置では、第1の受光用偏光フィルター12又は第2の受光用偏光フィルターを透過した光が別個の拡大対物レンズ系を通して別個のCCDカメラで受光されるのではなく、一つの拡大対物レンズ系7を通して一つのCCDカメラ13で受光されるようにしている点が異なっている。即ち、第2の受光用偏光フィルター16の後段には、ミラー17及び可動型ミラー18が設けられている。この可動型ミラー18は、信号ケ-ブル8cを介して可動型ミラー制御部19により制御され、第1の受光用偏光フィルター12を透過した光の光軸と平行(第2の受光用偏光フィルター16を透過し、ミラー17で反射された光の光軸と垂直)な向きとなるか、あるいは第2の受光用偏光フィルター16を透過し、ミラ-17で反射された光の光軸に対して所定の角度に回転した向きとなる。前者の向きとなったときには、第2の受光用偏光フィルター16を透過した光はCCDカメラ13に受光されることなく、第1の受光用偏光フィルター12を透過した光がCCDカメラ13で受光されるようになる。また、後者の向きとなったときには、第1の受光用偏光フィルター12を透過した光はCCDカメラ13に受光されることなく、第2の受光用偏光フィルター16を透過した光がCCDカメラ13で受光されるようになる。」
[5c]「【0030】なお、以上の実施例においては、皮膚表面の小じわや毛穴等の表面反射光画像としみやそばかす等の皮膚内部の反射光画像とを別個に得るための皮膚表面観察に本発明の装置を適用する場合を説明したが、本発明の装置はこれに限られず種々の皮膚の表面観察に使用することができる。特に、被観察物が動きやすいために、4種の受光データI(ss) 、I(sp) 、I(ps) 、I(pp) を個別に測定することが困難な場合の観察装置として好適に使用することができ、例えば胃カメラなどの医療用カメラとして使用することができる。」
[5d]「【0031】
【発明の効果】本発明によれば、皮膚表面反射光画像と皮膚内部の反射光画像とを別個に得られるように、皮膚にS偏光とP偏光を別個に入射させ、各入射光に対する皮膚からの反射光としてもS偏光成分とP偏光成分の双方を受光し、皮膚表面を観察する場合の観察操作を簡便化することが可能となる。」


第7 対比・判断
1 本件訂正発明1について
(1)対比
本件訂正発明1と甲第1号証発明とを対比する。

ア 甲第1号証発明の「表面反射光画像又は内部反射光画像を得る皮膚表面観察方法を実施する皮膚表面観察装置」は、本件訂正発明1の「表面を検査するための装置」に相当する。

イ 甲第1号証発明の照射手段を構成する「偏光フィルター」は、本件訂正発明1の「固定偏光子」に相当する。そして、甲第1号証発明の「皮膚表面にS偏光とP偏光とをそれぞれ入射させることのできる照射手段」は、本件訂正発明1の「検査されるべき前記表面に入射するビームを放出できる偏光源」に相当する。

ウ 甲第1号証発明の「該照射手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光による反射光のS偏光成分又はP偏光成分を透過させる偏光フィルターの設置角度を適宜変更できるように」する機構および「P偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」は、本件訂正発明1の「配向可能な偏光解析素子」および「直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段」に相当する。

エ 甲第1号証発明の「P偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」は、設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにしたものである。
一方、被請求人は、口頭審理陳述要領書の第2頁第8?10行において、「訂正発明1においては、電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する偏光解析素子を用いて伝送手段を交互に働く状態としているが、甲第1号証には、このような伝送手段は開示も示唆もない。」と主張している。確かに、甲第1号証発明は電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する偏光解析素子を用いるものではないが、甲第1号証発明の「P偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」は上述したように「直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段」を有するものであり、それぞれの手段は設置角度を変更することにより交互に働くものであるといえる。
したがって、甲第1号証発明の「P偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」は、本件訂正発明1の「伝送手段」と同様に「交互に働く状態」になるものといえる。

オ 甲第1号証発明の「該偏光フィルターを透過したS偏光成分又はP偏光成分を受光する撮像装置」と、本件訂正発明1の「前記表面によって偏光解析素子の下流側に反射されたビームの経路中に配置されたディジタル画像の撮像手段」とは、「前記表面によって偏光解析素子の下流側に反射されたビームの経路中に配置された画像の撮像手段」である点で共通する。

カ 本件訂正発明1の「ブライトネス」は、本件特許明細書の段落【0010】の「この種の反射は正反射と呼ばれ、ブライトネス(明るさ)とも呼ばれる。ブライトレスに起因する光は、入射光の正反射特性を有している。反射光線7の輝度線図の形態は、表面2の粗さで決まる。」という記載によれば、表面の粗さで決まるものであるから、甲第1号証発明の「小じわや毛穴等の状態を解析し評価する表面反射光画像」は、本件訂正発明1の表面の「ブライトネス」を計算したものに相当する。また、甲第1号証発明の「しみやそばかす等の色むらを解析し評価する内部反射光画像」は、本件訂正発明1の表面の「色」を計算したものに相当する。

キ 被請求人は、口頭審理陳述要領書の第2頁第15行?第3頁第18行において、構成要件の「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の、前記表面の2つのディジタル画像の画素から前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を計算できる処理ユニット」(以下、「構成要件F」という。)は、構成要件「前記伝送手段は、交互に働く状態となり」(以下、「構成要件D」という。)および「配向可能な偏光解析素子は、電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有し」(以下、「構成要件D’」という。)と作用上密接に関連しているので、構成要件DおよびD’と別にして構成要件Fが甲第1号証に記載されているか否かを議論することはできず、「甲第1発明では、S偏光成分とP偏光成分の画像が、互いに対応する同じ表面のものでないのに対して、訂正発明1のディジタル画像では互いに対応する同じ表面のものである点で、甲第1号発明とは相違する。」と主張している。しかし、撮像された画像が異なるものであるかどうかは、構成要件D、D’、Fを組み合わせて用いたことによる作用効果に関するものであり、甲第1号証発明が構成要件Fを有するか否かの判断と関連するものではない。
そして、甲第1号証発明の「皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss)」は、照明手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光それぞれに対する、直交偏光および平行偏光の2つの強度であるから、甲第1号証発明の「撮像装置からの信号(皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss))に基づき表面反射光画像_( )及び内部反射光画像をモニターに出力させる一般的なコンピュータからなる制御演算装置」と、本件訂正発明1の「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の、前記表面の2つのディジタル画像の画素から前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を計算できる処理ユニット」とは、「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の、前記表面の2つの画像から前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を計算できる処理ユニット」である点で共通する。

したがって、両者は、
「表面を検査するための装置であって、検査されるべき前記表面に入射するビームを放出できる偏光源を有し、この偏光源は、固定偏光子を有し、前記表面で反射された光ビームの経路中に配置された、配向可能な偏光解析素子を有し、この偏光解析素子は、直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段を有し、前記伝送手段は、交互に働く状態になり、更に、前記表面によって偏光解析素子の下流側に反射されたビームの経路中に配置された画像の撮像手段と、前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の、前記表面の2つの画像から前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を計算できる処理ユニットとを有する装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]配向可能な偏光解析素子が、本件訂正発明1では「電気光学的配向方式」の偏光解析素子または「偏光スプリッターキューブ」であるのに対し、甲第1号証発明では「設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」である点。
[相違点1-2]本件訂正発明1では、撮像手段で「ディジタル」画像を撮像し、処理ユニットでディジタル画像の「画素」から計算を行うのに対し、甲第1号証発明では、撮像装置が「ディジタル」画像を撮像するものであるか不明であり、制御演算装置で画像の強度から計算を行うものであり、反射光の各成分の強度から表面反射画像および内部反射画像を計算するものであるから、皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度画像、S偏光成分の強度強度画像、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度画像、S偏光成分の強度画像のそれぞれの一部分毎の強度から表面反射光画像および内部反射光画像の画素を計算しているといえるが、画像のそれぞれの一部分としてどのような単位で強度を得ているのかが不明である点。
[相違点1-3]本件訂正発明1は表面に接触しないのに対し、甲第1号証発明は表面に接触しないとの限定がされていない点。

(2)当審の判断
ア [相違点1-1]について
甲第1号証の[1d]には、「偏光フィルター2、3、撮像装置4、モニター6自体は従来の皮膚表面観察装置に使用されているものを使用することができ」ると記載されている。
一方、甲第10号証の[4a]には、特願平5-247523号明細書(甲第1号証の出願明細書)の方法を、従来の装置で実施する場合には、各受光データを得るたびに投光用偏光フィルター又は受光用偏光フィルターを付け替えるか向きを変えるといった機械的操作をしなくてはならず、観察操作が非常に繁雑となるという問題があったと記載されており、この課題を解決する手段として、皮膚表面観察装置において「皮膚表面にS偏光又はP偏光を入射させた場合の反射光を受光するにあたり、電圧の印加によりの透過光の偏光方向が変わる液晶セルとS偏光成分又はP偏光成分の一方を透過させる液晶素子を使用する」ことが記載されている。上記液晶素子は、電気光学的に配向を変化させるものであるから電気光学的配向方式の偏光解析素子であるといえる。
また、甲第11号証の[5a]にも、特願平5-247523号明細書(甲第1号証の出願明細書)の方法を、従来の装置で実施する場合には、各受光データを得るたびに投光用偏光フィルター又は受光用偏光フィルターを付け替えるか向きを変えるといった機械的操作をしなくてはならず、観察操作が非常に繁雑となるという問題があったと記載されており、この課題を解決する手段として、皮膚表面観察装置において「皮膚表面での反射光を2つの光路に分岐し、分岐した一方の反射光に対して第1の受光用偏光フィルターを設け、分岐した他方の反射光に対して第1の受光用フィルターと偏光方向が異なる第2の受光用フィルターを設け、第1の受光用フィルターと第2の受光用フィルターから異なる偏光成分の反射光を同時に受光できるようにする」ことが記載されている。そして、[5b]には、実施例として、反射光をハーフミラー10で2つの光路に分岐し、分岐した反射光がそれぞれ第1の受光用偏光フィルター12又は第2の受光用偏光フィルター16を透過するようにしている点に加え、さらに可動型ミラー制御部19により制御される可動型ミラー18が設けられていて、第2の受光用偏光フィルター16を透過した光はCCDカメラ13に受光されることなく、第1の受光用偏光フィルター12を透過した光がCCDカメラ13で受光されるようになるか、第1の受光用偏光フィルター12を透過した光はCCDカメラ13に受光されることなく、第2の受光用偏光フィルター16を透過した光がCCDカメラ13で受光されるようになるように構成された装置IIが記載されている。上記実施例に記載された装置は、ハーフミラー10、第1の受光用偏光フィルター12、および、第2の受光用偏光フィルター16により構成される偏光スプリッターキューブが、可動型ミラー18により交互に働く状態になっているといえる。
したがって、甲第1号証発明の設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルターを、従来の皮膚表面観察装置に使用されているものを使用することができるという示唆に基づいて、甲第10号証および甲第11号証に記載されているように従来皮膚表面観察装置に使用されていた電気光学的配向方式の偏光解析素子または偏光スプリッターキューブに置き換えて用いることは、当業者が容易に想到しうることである。

イ [相違点1-2]について
画像を撮像するに際し、ディジタルデータとして撮像することは周知である。例えば、甲第2号証の[2a]には、ディジタルスチルカメラが記載されている。そして、甲第1号証の実施例の記載である[1f]には「画像情報をデジタル画像として保存し、解析処理した。」と記載されており、解析処理を行う画像の形式に合致する撮像装置を採用することは当業者が通常考慮することである。
また、画像を解析するに際し、強度を得る単位をどのように設定するかは、当業者が適宜なし得ることであり、最小の単位である画素を単位として採用し、強度を得ることも当業者が通常行うことである。
したがって、甲第1号証発明において、撮像装置として、周知のディジタル画像を撮像する撮像装置を採用し、反射光画像の強度を画素毎に得て計算に用いることは、当業者が適宜なし得ることである。

ウ [相違点1-3]について
甲第1号証の[1e]には、実施例として「光源1と被験者7の皮膚Sとの距離d1を1600mmとし、」および「皮膚Sからの反射光の受光系として、偏光板8bを前面に設けた静止画用ハイビジョンカメラ9を使用した。」と記載されており、皮膚表面に接触しない装置が実施例として記載されているといえる。
したがって、甲第1号証発明についても、実施例に記載されるように、皮膚表面に接触しないよう構成することは、当業者が容易に想到しうることである。

エ 作用効果について
本件訂正発明1の効果は、本件特許明細書の段落【0024】の記載によれば、「表面検査装置により、あらゆるタイプの表面、特に、角質性表面、例えば毛、唇、爪、皮膚等のブライトネス及び相対ブライトネスを測定することができる。」というものであるが、甲第1号証の[1h]には「皮膚の表面状態を画像に撮り、小じわや毛穴等の皮膚表面状態としみやそばかす等の皮膚内部状態とを分離して解析し評価するにあたり、実際の皮膚の質感に即した画像に基づいて、皮膚を適確に評価することが可能となる。」と記載されており、同様の作用効果を奏するものといえる。
一方、被請求人は、口頭審理陳述要領書の第3頁第2?18行において、「甲第1発明では、S偏光成分とP偏光成分の画像が、互いに対応する同じ表面のものでないのに対して、訂正発明1のディジタル画像では互いに対応する同じ表面のものである点で、甲第1号発明と相違する。」と主張している。しかし、甲第1号証の[1c]の記載によれば、表面反射光画像と内部反射光画像を、表面反射光成分の強度と内部反射光成分の強度に基づいて形成しており、表面反射光成分の強度I(S) および内部反射光成分の強度I(D) は、皮膚にP偏光を入射させた場合の内部反射光L_(Dp)の強度とS偏光を入射させた場合の内部反射光L_(Ds)の強度から算出されることから、皮膚にP偏光を入射させた場合の内部反射光L_(Dp)の強度の取得位置とS偏光を入射させた場合の内部反射光L_(Ds)の強度の取得位置は同一であることが前提となっているといえる。そうすると、甲第1号証発明と本件訂正発明1とは、本件訂正発明1について被請求人が主張するのと同様に、互いに対応する同じ表面のS偏光成分とP偏光成分の画像を撮像することを前提とする点で共通している。
また、被請求人は、口頭審理陳述要領書の第11頁第17?24行に記載されるように「訂正発明1によれば、…、人が動かないうちに上記の2つの画像を収集することができ」るという作用効果を奏すると主張しているが、人が動かないうちに2つの画像を収集するという課題や作用効果は、本件の明細書に直接記載されたものとはいえず、構成D、D’、F等の組み合わせから自明の作用効果であるとするならば、上記作用効果は甲第1号証発明と甲第10号証または甲第11号証に記載された発明から、当業者が予測できる範囲のものであるといえる。
また、本件訂正発明1は切り換え速度を特定しておらず、本件の明細書のいずれにも切り換え速度がどの程度であるかは開示されていない。そして、本件訂正発明1において、「偏光スプリッターキューブ」を用いて「直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段」が「交互に働く状態」とする場合は、機械的手段により伝送手段を交互に働くよう構成する態様も包含するものであるから、甲第1号証等に比べて本件訂正発明1が格別な効果を奏するとはいえない。
以上のとおり、本件訂正発明1の作用効果は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものであって、格別なものであるとはいえない。

オ 阻害要因について
被請求人は、阻害要因として、口頭審理陳述要領書の第9頁第17行?第10頁第16行に記載されるように、当業者が、訂正発明1または甲第1号証における解決課題の異なる文献を参考にすることはないと主張している。しかしながら、解決しようとする課題が一致するかどうかは、動機付けの一つとして検討すべき問題であり、阻害要因とはいえない。そして、甲第1号証と甲第10号証または甲第11号証との組み合わせにおいて、他に阻害する要因となるものはない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件訂正発明1は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証、および、上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1の「偏光源」について、「偏光源の光源から出た光は、実質的に等方性である」と限定したものである。
本件訂正発明2と甲第1号証発明とを対比すると、本件訂正発明1において検討した事項に加え、偏光源の光源から出た光が、本件訂正発明2では実質的に等方性であるのに対し、甲第1号証発明では実質的に等方性であると限定されていない点で相違する。
上記相違点について検討すると、甲第1号証発明は照射光源と偏光フィルターを用いてS偏光又はP偏光を照射していることから、偏光フィルターを通過する前の照射光源から出た光は偏光されていない光であるといえる。また、甲第1号証の実施例についての記載である[1e]には、光源として「メタルハライド光源」を用いることが記載されており、メタルハライド光源は出射する光が実質的に等方性であるといえる。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点であるとはいえないものであり、実質的な相違点であるとしても、甲第1号証発明の光源として実質的に等方性である光源を用いることは当業者が適宜なし得ることである。
そして、偏光源の光源から出た光が実質的に等方性であるとすることにより、格別の効果の差異が生じるともいえない。

3 本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の「偏光源」について、「偏光源から出た光は、実質的に白色である」と限定したものである。
本件訂正発明3と甲第1号証発明とを対比すると、本件訂正発明1において検討した事項に加え、偏光源から出た光が、本件訂正発明3では実質的に白色であるのに対し、甲第1号証発明では白色と限定されていない点で相違する。
上記相違点について検討すると、甲第1号証発明は「皮膚に自然光を入射させた場合の表面反射成分又は内部反射成分を独立的に求め」るものであるから、光源として実質的に自然光といえる白色光を用いるものといえる。また、甲第1号証の実施例についての記載である[1e]には、光源として「1200Wのメタルハライド光源(色温度5700℃)」を用いることが記載されており、また[1g]には、「皮膚Sからの反射光は光源1と同じ分光成分からなるので、皮膚の表面反射光画像は無彩色となり、画像を構成するR成分、G成分、B成分は同一情報を有することとなる。」と記載されていることから、上記実施例にて用いられる光源から出た光は実質的に白色であるといえる。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点であるとはいえないものであり、実質的な相違点であるとしても、甲第1号証発明の光源として実質的に白色である光源を用いることは当業者が適宜なし得ることである。
そして、偏光源から出た光が実施的に白色であるとすることにより、格別の効果の差異が生じるともいえない。

4 本件訂正発明4について
本件訂正発明4は、本件訂正発明1の「偏光源」について、「偏光源から出た光のスペクトルは、太陽スペクトルと実質的に同一である」と限定したものである。
本件訂正発明4と甲第1号証発明とを対比すると、本件訂正発明1において検討した事項に加え、偏光源から出た光のスペクトルが、本件訂正発明4では太陽スペクトルと実質的に同一であるのに対し、甲第1号証発明では太陽スペクトルと実質的に同一と限定されていない点で相違する。
上記相違点について検討すると、甲第1号証発明は「皮膚に自然光を入射させた場合の表面反射成分又は内部反射成分を独立的に求め」るものであるから、光源として光のスペクトルが太陽スペクトルと実質的に同一といえる光源を用いるものといえる。また、甲第1号証の実施例についての記載である[1e]には、光源として「1200Wのメタルハライド光源(色温度5700℃)」を用いることが記載されており、上記実施例にて用いられる光源から出た光のスペクトルは太陽スペクトルと実質的に同一であるといえる。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点であるとはいえないものであり、実質的な相違点であるとしても、甲第1号証発明の光源として太陽スペクトルと実質的に同一のスペクトルを放出する光源を用いることは、当業者が適宜なし得ることである。
そして、偏光源から出た光のスペクトルが太陽スペクトルと実質的に同一とすることにより格別の効果の差異が生じるともいえない。

5 本件訂正発明5について
(1)対比
本件訂正発明5と甲第1号証発明とを対比する。

ア 甲第1号証発明の「照射手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光による反射光のS偏光成分又はP偏光成分」は、本件訂正発明5の「表面で反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光」に相当する。

イ 甲第1号証発明の「反射光のS偏光成分又はP偏光成分を透過させる偏光フィルターの設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」と本件訂正発明5の「前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子」とは、「前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、配向可能な偏光解析素子」である点で共通する。

ウ 甲第1号証発明の「撮像装置からの信号(皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss))」は、照明手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光それぞれに対する、直交偏光および平行偏光の2つの強度を用い、それぞれの強度を画像として得るものであるから、甲第1号証発明の「撮像装置からの信号(皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss))」と、本件訂正発明5の「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光の2つのディジタル画像」とは、「前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光の2つの画像」である点で共通する。

エ 本件訂正発明5の「ブライトネス」は、本件特許明細書の段落【0010】の記載によれば、表面の粗さで決まるものであるから、甲第1号証発明の「小じわや毛穴等の状態を解析し評価する表面反射光画像」は、本件訂正発明5の表面の「ブライトネス」を「2つの画像」から「計算」したものに相当する。また、甲第1号証発明の「しみやそばかす等の色むらを解析し評価する内部反射光画像」は、本件訂正発明5の表面の「色」を「2つの画像」から「計算」したものに相当する。

オ そして、甲第1号証発明の「皮膚に自然光を入射させた場合の表面反射光成分又は内部反射光成分を独立的に求め、小じわや毛穴等の状態を解析し評価する表面反射光画像_( )及びしみやそばかす等の色むらを解析し評価する内部反射光画像を得る皮膚表面観察方法」は、本件訂正発明5の「直交偏光及び平行偏光」を「解析し」、「画像」を「撮像し」、「ブライトネス及び色」を「計算する」方法であるといえる。

したがって、両者は、
「表面で反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光を、前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、配向可能な偏光解析素子を介して伝送して解析し、前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光の2つの画像を撮像し、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像から計算する方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点5-1]本件訂正発明5は、遠隔検査方法であるのに対し、甲第1号証発明は遠隔検査方法であるか不明である点。
[相違点5-2]配向可能な偏光解析素子が、本件訂正発明5では「電気光学的配向方式」の偏光解析素子または「偏光スプリッターキューブ」であるのに対し、甲第1号証発明では「設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」である点。
[相違点5-3]本件訂正発明5では、「ディジタル」画像を撮像し、「画素」から計算を行うのに対し、甲第1号証発明では、「ディジタル」画像を撮像するものであるか不明であり、皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度画像、S偏光成分の強度強度画像、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度画像、S偏光成分の強度画像のそれぞれの一部分毎の強度から表面反射光画像および内部反射光画像の画素を計算しているといえるが、画像のそれぞれの一部分としてどのような単位で強度を得ているのかが不明である点。

(2)当審の判断
ア [相違点5-1]について
甲第1号証の[1e]には、実施例として「光源1と被験者7の皮膚Sとの距離d1を1600mmとし、」および「皮膚Sからの反射光の受光系として、偏光板8bを前面に設けた静止画用ハイビジョンカメラ9を使用した。」と記載されており、遠隔検査を行う方法が実施例として記載されているといえる。
したがって、甲第1号証発明についても、実施例に記載されるように、遠隔検査に適用することは、当業者が容易に想到しうることである。

イ [相違点5-2]について
[相違点5-2]は、[相違点1-1]と実質的に同じ相違点であり、前記「1 (2)ア [相違点1-1]について」に記載したとおり、甲第1号証発明の設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルターを、従来皮膚表面観察装置に使用されていた電気光学的配向方式の偏光解析素子または偏光スプリッターキューブに置き換えて用いることは、当業者が容易に想到しうることである。

ウ [相違点5-3]について
[相違点5-3]は、[相違点1-2]と実質的に同じ相違点であり、前記「1 (2)イ [相違点1-2]について」に記載したとおり、甲第1号証発明において、撮像装置として、周知のディジタル画像を撮像する撮像装置を採用し、反射光画像の強度を画素毎に得て計算に用いることは、当業者が適宜なし得ることである。

エ 作用効果および阻害要因について
すでに、「第7 1 (2)エ 作用効果について」において検討したとおり、本件訂正発明5の作用効果は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものであって、格別なものであるとはいえない。
また、「第7 1 (2)オ 阻害要因について」において検討したとおり、甲第1号証と甲第10号証または甲第11号証との組み合わせにおいて、阻害する要因となるものはない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件訂正発明5は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証、および、上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 本件訂正発明6について
本件訂正発明6は、本件訂正発明5の撮像するディジタル画像を「単色」と限定したものである。
本件訂正発明6と甲第1号証発明とを対比すると、本件訂正発明5において検討した事項に加え、撮像する画像が、本件訂正発明6では単色であるのに対し甲第1号証発明では単色に限定されていない点で相違する。
上記相違点について検討すると、甲第1号証の実施例の記載である[1g]には、「皮膚の表面反射光の解析にあたっては、G成分のみを使用した。」と記載されており、単色の画像を用いているといえる。そして、使用する画像に合わせて画像を撮像することは当業者が通常考慮することであるから、甲第1号証発明において、撮像する画像を単色の画像とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
そして、撮像する画像を単色の画像とすることにより、格別の効果の差異が生じるとはいえない。

7 本件訂正発明7について
本件訂正発明7は、本件訂正発明5の撮像するディジタル画像を「多色」と限定したものである。
本件訂正発明7と甲第1号証発明とを対比すると、本件訂正発明5において検討した事項に加え、撮像する画像が、本件訂正発明7では多色であるのに対し甲第1号証発明では多色に限定されていない点で相違する。
上記相違点について検討すると、甲第5号証の[3a]および[3b]には、皮膚表面色調解析方法において、撮像装置によりカラー撮影を行うことが記載されており、撮像する画像が多色であるといえる。
したがって、甲第1号証発明において、撮像する画像を、従来皮膚表面の解析において行われていたように多色の画像とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
そして、撮像する画像を多色の画像とすることにより、格別の効果の差異が生じるとはいえない。

8 本件訂正発明8について
(1)対比
本件訂正発明8と甲第1号証発明とを対比する。

ア 甲第1号証発明の「制御演算装置」は、本件訂正発明8の「処理ユニット」に相当する。
そして、甲第1号証発明の「撮像装置からの信号(皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss))」は、照明手段から皮膚に入射させたS偏光又はP偏光それぞれに対する、直交偏光および平行偏光の2つの強度を用い、それぞれの強度を画像として得るものであるから、甲第1号証発明の「制御演算装置」により「撮像装置からの信号(皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(pp)、S偏光成分の強度I(ps)、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度I(sp)、S偏光成分の強度I(ss))に基づき表面反射光画像_( )及び内部反射光画像をモニターに出力させる」ことと本件訂正発明8の「前記処理ユニットによって、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像の画素から計算する」とは、「前記処理ユニットによって、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像から計算する」点で共通する。

イ 甲第1号証発明の「撮像装置」は、本件訂正発明8の「カメラ」に相当する。
そして、甲第1号証発明の「撮像装置」により「偏光フィルターを透過したS偏光成分又はP偏光成分を受光する」ことと本件訂正発明8の「前記カメラによって、前記反射ビームの前記直交偏光及び前記平行偏光の2つのディジタル画像を撮像」することとは、「前記カメラによって、前記反射ビームの前記直交偏光及び前記平行偏光の2つの画像を撮像」する点で共通する。

ウ 甲第1号証発明の「皮膚表面観察装置」と本件訂正発明8の「表面の遠隔検査のために設計された装置」とは、「表面の検査のために設計された装置」である点で共通する。そして、甲第1号証発明の「制御演算装置」は、「一般的なコンピュータからなる」ものであるから、甲第1号証発明の「皮膚表面観察装置」は、当該装置のためのコンピュータを有しているといえる。

エ 甲第1号証発明の「反射光のS偏光成分又はP偏光成分を透過させる偏光フィルターの設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」と本件訂正発明8の「表面によって反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子」とは、「表面によって反射された偏光ビームの経路中に配置される、配向可能な偏光解析素子」である点で共通する。
そして、甲第1号証発明の「P偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」は、設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにしたものであるから、本件訂正発明8と同様に「表面によって反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光の2つの画像を交互に伝送」するものといえる。

したがって、両者は、
「処理ユニット及びカメラを有する表面の検査のために設計された装置のためのコンピュータであって、表面によって反射された偏光ビームの経路中に配置される、配向可能な偏光解析素子を介した、表面によって反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光の2つの画像を交互に伝送し、前記カメラによって、前記反射ビームの前記直交偏光及び前記平行偏光の2つの画像を撮像し、前記処理ユニットによって、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像から計算するコンピュータ。」に関する点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点8-1]本件訂正発明8はコンピュータプログラムであるのに対し、甲第1号証発明はコンピュータを有し特定の方法を実施するもののコンピュータプログラムについて特定されていない点。
[相違点8-2]本件訂正発明8は遠隔検査のために設計された装置であるのに対し、甲第1号証発明は遠隔検査のために設計された装置であるか不明である点。
[相違点8-3]配向可能な偏光解析素子が、本件訂正発明8では「電気光学的配向方式」の偏光解析素子または「偏光スプリッターキューブ」であるのに対し、甲第1号証発明では「設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルター」である点。
[相違点8-4]本件訂正発明8では、「ディジタル」画像を撮像し、「画素」から計算を行うのに対し、甲第1号証発明では、「ディジタル」画像を撮像するものであるか不明であり、皮膚にP偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度画像、S偏光成分の強度強度画像、皮膚にS偏光を入射させた場合の反射光のP偏光成分の強度画像、S偏光成分の強度画像のそれぞれの一部分毎の強度から表面反射光画像および内部反射光画像の画素を計算しているといえるが、画像のそれぞれの一部分としてどのような単位で強度を得ているのかが不明である点。

(2)当審の判断
ア [相違点8-1]について
コンピュータを有し特定の方法を実施する装置において、特定の方法を実施させるためのコンピュータプログラムを備えることは自明である。
したがって、甲第1号証発明においても、皮膚表面観察装置に皮膚表面観察方法を実施させるためのコンピュータプログラムを設けることは当業者が容易に想到しうることである。

イ [相違点8-2]について
[相違点8-2]は、[相違点5-1]と実質的に同じ相違点であり、前記「5 (2)ア [相違点5-1]について」に記載したとおり、甲第1号証発明を、遠隔検査に適用することは、当業者が容易に想到しうることである。

ウ [相違点8-3]について
[相違点8-3]は、[相違点1-1]と実質的に同じ相違点であり、前記「1 (2)ア [相違点1-1]について」に記載したとおり、甲第1号証発明の設置角度を適宜変更できるようにしてP偏光用フィルターとS偏光用フィルターの双方の機能をはたすようにした一つの偏光フィルターを、従来皮膚表面観察装置に使用されていた電気光学的配向方式の偏光解析素子または偏光スプリッターキューブに置き換えて用いることは、当業者が容易に想到しうることである。

エ [相違点8-4]について
[相違点8-4]は、[相違点1-2]と実質的に同じ相違点であり、前記「1 (2)イ [相違点1-2]について」に記載したとおり、甲第1号証発明において、撮像装置として、周知のディジタル画像を撮像する撮像装置を採用し、反射光画像の強度を画素毎に得て計算に用いることは、当業者が適宜なし得ることである。

オ 作用効果および阻害要因について
すでに、「第7 1 (2)エ 作用効果について」において検討したとおり、本件訂正発明8の作用効果は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものであって、格別なものであるとはいえない。
また、「第7 1 (2)オ 阻害要因について」において検討したとおり、甲第1号証と甲第10号証または甲第11号証との組み合わせにおいて、阻害する要因となるものはない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件訂正発明8は、甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証、および、上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

9.本件訂正発明9について
本件訂正発明9は、本件訂正発明8のコンピュータプログラムを記憶媒体に格納したものである。
本件訂正発明9と甲第1号証発明とを対比すると、本件訂正発明8において検討した事項に加え、本件訂正発明9はコンピュータプログラムが格納されている記憶媒体であるのに対し、甲第1号証発明はコンピュータにより特定の方法を実施させるもののコンピュータプログラムが格納されている記憶媒体が特定されていない点で相違する。
上記相違点について検討すると、コンピュータを作動させるためのプログラムを記憶媒体に格納することは周知技術といえる。
したがって、甲第1号証発明のコンピュータにおいて、特定の方法を実施させるためのプログラムを記憶媒体に格納することは、当業者が適宜なし得ることである。
そして、コンピュータを駆動するためのプログラムを記憶媒体に格納したことにより格別の効果の差異が生じるとはいえない。


第8 むすび
したがって、本件訂正発明1?9は、本件特許に係る出願の優先権主張日前に頒布された刊行物である甲第1号証、甲第10号証、甲第11号証、甲第2号証、甲第5号証に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、特許法第123条第1項第4号の無効理由について言及するまでもなく、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
表面検査装置及び方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】表面を検査するための装置であって、
検査されるべき前記表面に入射するビームを放出できる偏光源を有し、この偏光源は、固定偏光子を有し、
前記表面で反射された光ビームの経路中に配置された、配向可能な偏光解析素子を有し、この偏光解析素子は、直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段を有し、前記伝送手段は、交互に働く状態になり、前記配向可能な偏光解析素子は、電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有し、
更に、前記表面によって偏光解析素子の下流側に反射されたビームの経路中に配置されたディジタル画像の撮像手段と、前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の、前記表面の2つのディジタル画像の画素から前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を計算できる処理ユニットとを有し、前記装置は前記表面に接触しない、ことを特徴とする装置。
【請求項2】前記偏光源の光源から出た光は、実質的に等方性であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】前記偏光源から出た光は、実質的に白色であることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】前記偏光源から出た光のスペクトルは、太陽スペクトルと実質的に同一であることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項5】表面の遠隔検査方法であって、
前記表面で反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光を、前記表面で反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介して伝送して解析し、
前記反射ビームの前記直交偏光及び平行偏光の偏光の2つのディジタル画像を撮像し、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像の画素から計算することを特徴とする方法。
【請求項6】単色のディジタル画像を撮像することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】多色のディジタル画像を撮像することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】処理ユニット及びカメラを有する表面の遠隔検査のために設計された装置のためのコンピュータプログラムであって、
表面によって反射された偏光ビームの経路中に配置され、且つ電気光学的配向方式であり又は偏光スプリッターキューブを有する、配向可能な偏光解析素子を介した、表面によって反射された偏光ビームの直交偏光及び平行偏光の2つの画像を交互に伝送し、
前記カメラによって、前記反射ビームの前記直交偏光及び前記平行偏光の2つのディジタル画像を撮像し、前記処理ユニットによって、前記表面の複数の箇所のブライトネス及び色を前記表面の2つの画像の画素から計算する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】請求項8に記載のコンピュータプログラムが格納されている記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面の特性、特に例えば皮膚又は一般に全ての角質性表面のブライトネス(明るさ)を評価できるよう設計された装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
この装置は、検査されるべき表面に差し向けられる光源と、表面で反射された光に敏感な光検出器手段と、表面からの正反射及び拡散反射を測定する手段と、正反射及び拡散反射の測定結果からブライトネスを求める手段とを有する形式のものである。この技術に関し、フランス国特許出願公開第2,650,890号明細書を挙げることができる。行った検査の示すところによれば、かかる装置は、満足の行く結果をもたらすか、感度及び弁別力が比較的低い。
【0003】
欧州特許第475,803号明細書も又、表面を検査するよう設計された装置を示しており、この装置は、検査されるべき表面に入射するビームを放出することができる光源と、偏光子から成る手段と、少なくとも1つの検光子とを有し、かかる検光子は、偏光子の方向と検光子の方向を互いに平行又は直角にした状態で反射を測定することができ、偏光子は、光源と表面との間に配置され、検光子は、反射ビームの経路中に配置され、更に、表面で反射された光に敏感な光検出器手段が設けられている。光源は指向性があり、偏光された入射ビームは、検査されるべき表面に、0°?90°(0°と90°は含まない)の入射角度で当たり、入射ビームの偏光方向は、入射平面に垂直である。この装置は、少なくとも2つの互いに異なる反射方向に沿って反射を測定するよう構成されており、反射方向の一つは、表面の法線に関して入射方向と実質的に対称の関係をなしている。この装置は、各反射方向について、平行偏光及び解析方向の反射と、垂直偏光及び解析方向の反射とを区別できる手段を有し、このようにして得られた差は、いわゆる正反射ブライトネスの尺度及びいわゆる拡散反射ブライトネスの尺度となる。
【0004】
かかる装置は正常に機能するが、単位表面又は或る特定の時点における一箇所の検査を可能にするに過ぎない。
本発明の目的は、或る特定の時点において表面の全ての箇所に関するブライトネスのデータを提供することにある。
本発明の目的は、改良型表面検査装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の一特徴によれば、表面を検査するよう設計された装置が、この表面で反射された光ビームの経路中に配置された偏光解析素子又は検光子と、上記表面によって検光子の下流側に反射されたビームの経路中に配置されたディジタル画像撮像手段と、上記表面の少なくとも2つの画像の画素から表面の複数の箇所のブライトネス及び強度を計算できる処理ユニットと有する。
検査を、皮膚から或る距離を置いたところで実施できる。かくして、測定が望まれる特性の変更の恐れが無くなる。
上述した2つの画像は、種々の偏光状態について撮像されることになる。
【0006】
好ましくは、本装置は、検査されるべき表面に入射するビームを放出できる偏光源を有する。
好ましくは、偏光源から出た光は、実質的に等方性である。
本発明の一実施形態では、偏光源から出た光は、実質的に白色である。
本発明の一実施形態では、偏光源から出た光のスペクトルは、太陽スペクトルと実質的に同一である。
本発明の一実施形態では、検光子は、直交偏光を伝送する手段及び平行偏光を伝送する手段を有し、これら伝送手段は、交互に活性状態になる。
本発明の一実施形態では、検光子は、回転式のものである。
本発明の別の実施形態では、検光子は、電気的切替え手段を有している。
ディジタル画像を撮像する手段は、色に敏感であるのがよい。
有利には、処理ユニットは、マイクロプロセッサと、記憶手段と、記憶手段内に記憶されたソフトウエアとを有する。
【0007】
本発明は又、表面の遠隔検査方法であって、この表面で反射された光ビームの偏光を解析し、前記反射ビームの特定の偏光のディジタル画像を撮像し、上記表面の複数の箇所のブライトネス及び強度を上記表面の少なくとも2つの画像の画素から計算することを特徴とする方法に関する。
本発明の一実施形態では、上記表面は、平らではない。
本発明の一実施形態では、単色のディジタル画像を撮像する。
本発明の一実施形態では、多色のディジタル画像を撮像する。
本発明は又、コンピュータ上での実行時、上記装置の配備段階を実行するプログラムコード手段を有する。
【0008】
本発明は又、記憶されていて、コンピュータ上での実行時、上記装置の配備段階を実行することができるプログラムコード手段の読取り装置によって読み取り可能な記憶媒体を提供する。
本明細書において「点」又は「箇所」とは、画像を撮像する手段によって得られた画像の1画素に相当する寸法の検査対象表面の単位部分を指している。
換言すると、人の爪又は爪の一部、顔面又は顔面の一部であるのがよい検査されるべき表面を照明する。照明は、できるだけ等方性になるように光源又は複数の光源によって行われる。照明手段から出た光は、例えば固定偏光子によって偏光される。検査されるべき表面で反射された光の偏光を解析して、偏光が保存されている光の部分と偏光が変化した光の部分を分離し、検査されるべき表面全体ついてこのようにする。
【0009】
ディジタル画像を、例えばマトリックスカメラによって検光子の下流側で撮像する。その目的は、各画像の画素の偏光の度合いを計算することにある。これから、画像のブライトネスに関する情報をディジタル処理によって推論する。この目的のため、特に回転中の検光子及び平坦ではない表面について少なくとも2つ、好ましくは3つの画像を撮像する。検査は非接触で行わないで行われる。その目的は、一表面が検査される人の快適さを増すこと、接触に起因する表面の凹又は凸形状の交互配置に関連した不正確さ又は誤差の発生の恐れを無くすこと、特に、接触により表面分布状態が変更する場合のあるメーキャップ、染色又はケアタイプのトリートメント製品があらかじめ塗布されている表面について、ブライトネスを変える恐れを無くし、したがって測定誤差の発生の恐れを無くすことにある。
本発明の内容及び他の利点は、添付の図面に非限定例として示された幾つかの実施形態に関する詳細な説明を読むと明らかになろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、光によって照明される表面2を備えた物体1を示しており、光の2つの入射光線3,4が示されている。光線3は、表面2を通り、経路5に沿って物体1に入り、次に、拡散反射光線6の形となって出る。この拡散又は「色」反射は、物体に入り、この内側で反射され、再び外方へ放出される光に相当している。反射光線6の特性は、物体1で決まる。入射光線4は、反射光線7の形態で表面2上で反射される。この種の反射は正反射と呼ばれ、ブライトネス(明るさ)とも呼ばれる。ブライトレスに起因する光は、入射光の正反射特性を有している。反射光線7の輝度線図の形態は、表面2の粗さで決まる。
【0011】
図2で分かるように、人の顔面8、特に、顔面8の表面9を検査することが望ましい。この目的のため、光源11、固定偏光子12、マトリックスカメラ13、検光子14及び処理ユニット15を有する検査装置10が提供される。
光源11は、表面9を照明するように配置されている。放出された光は、できるだけ等方性である。というのは、測定は、表面9に当たった光線の入射角度の影響を受ける場合のあることが判明しているからである。いずれの場合においても、光源11は、太陽スペクトルをできるだけ厳密に再現すること、すなわち白色光を放出することが必要となろう。
【0012】
具体的に説明すると、光源11は、キセノン又は蛍光管タイプの拡張スペクトルを備えたフラッシュランプ又は連続ランプ、或いは多色発光ダイオードから成る。光源11は、光を表面9にマッチした所定の角度で差し向けるために、レフレクタ又は反射鏡、ミラー、対物レンズ、光コンデンサ及び光ファイバータイプの光学系11aを更に有している。
固定偏光子12は、光源11によって放出された入射光ビーム16の経路中に、換言すると、光源11と表面9との間に配置される。光は、入射光ビーム16の伝搬方向に固定偏光子12の下流側へ偏光される。
マトリックスカメラ13は、CCDタイプのものであるのがよく、光源11が働いているときに表面9から出た反射光ビーム17を受け取るよう構成されている。マトリックスカメラ13は、調節可能な対物レンズ18を備えるのがよい。
【0013】
検光子14は、反射ビーム17の経路中に、換言すると、表面9とマトリックスカメラ13との間に配置される。検光子14は、例えば90°の角度だけずれた少なくとも2つの位置の間で反射ビーム17の軸線に平行な軸線に関して配向させることができる。このようにすると、正反射で出射した光ビーム17の部分と、拡散反射で出射した部分を分離することができ、これら2つの位置のうち一方では、検光子14は、固定偏光子12と同一の偏光結果をもたらすものである。もしそうでない場合、後で行うディジタル処理により一定の出力が得られる。
検光子14は、配向可能な偏光子であってもよく、これは有利には、これを回転させることができるモータ19を備えている。モータ19は、正確な偏光もたらすために、もし可能ならば解像度の高いステッピングモータタイプのものであるのがよい。
【0014】
光源11、カメラ13及び配向可能な偏光子14のモータ19は、処理ユニット15に接続されており、この処理ユニット15は、少なくとも1つの記憶装置、少なくとも1つのマイクロプロセッサ及び記憶装置内に記憶されていて、1又は複数のマイクロプロセッサで実行可能な少なくとも1つの制御プログラムを有する形式のものである。処理ユニット15は、光源11のオンオフ、カメラ13による画像の撮像及び所望ならば対物レンズ18及び検光子14の適当な向きの調節を行うことができる。
処理ユニット15を、検査装置10の外部に設けられた装置、例えば表面9又は行った検査の結果、すなわち処理ユニット15によって処理されたデータを表すことができる画像の表示が可能なスクリーン21を備えたモニタ20にも接続するのがよい。また、処理ユニット15を、オペレータが情報又はコマンドを入力できるようにするキーボード22に接続するのがよい。
【0015】
配向可能な偏光子は、電気光学的配向方式、例えばディスプレイテック(Displaytech)社の「偏光回転子」又は例えばモータ及びモータによって駆動される車輪に取り付けられた複数のフィルタを備えた機械的配向方式を備えた型式のものであるのがよい。変形例として、偏光スプリッターキューブ、例えばオリエル(Oriel)社の「ビームスプリッター」を提供することもできるが、これは、2つの測定カメラを用いる必要がある。好ましくは、検光子14は、リアルタイムで切り替わり、制御ユニット15に接続された外部チャンネルによって同期可能な電気光学システムである。検光子が、マトリックスカメラ13の前に配置されている場合、検光子14により、表面9で正反射された光の成分であるブライトネスと、表面9によって後方散乱された光の成分である色とを互いに分離することができる。検光子14が、入射光ビーム16と同一の偏光方向にある場合、カメラ13は、無偏光成分の半分と共に表面9によって反射された光をピックアップする。検光子14が、入射光ビーム16に直角な偏光方向にある場合、カメラ13は、無偏光成分の半分だけをピックアップする。処理ユニット15は、ブライトネスに関連付けられた光成分を得るために代数的減算操作及び色に関連付けられた光成分を得るために代数的乗算操作を行う。
【0016】
好ましくは、そして良好な精度を得るため、検光子14の任意の位置につき十分な数の画像が収集される。処理ユニット15によって実行される測定信号のフーリエ解析により、反射光ビーム17の偏光の度合いを計算すると共にこれから表面9の色成分と一緒にブライトネス成分を抽出することができる。
【0017】
カメラ13の対物レンズ18により、反射光ビームを、或る立体角度で感光性素子、例えばCCDセルのマトリックス上に合焦させることができる。検光子14の各位置につき、処理ユニット15又はカメラ13と関連した画像収集ボード、例えばイメージング・テクノロジー(Imaging Technology)社の「IC-PCI」ボードを介して画像が収集される。画像は、検光子が回転後に固定位置にあるときに収集される。平行偏光及び直交偏光の2つの画像の収集は、数百ミリ秒で行われる。
CCDセルのマトリックスは、放射計の機能を実行する。反射光ビーム17の分光分布、例えば、正反射成分についてブライトネスの分光濃度及び後方散乱成分についての色の分光濃度が関心の対象である場合、分光計を用いるのがよい。放射計の機能と分光計の機能を、同一の装置、例えば分光放射計内に合わせ持たせることができる。
【0018】
図3は、X軸にとった検光子の角度の関数としてY軸にとった画素強度の曲線を示している。このように、検査されるべき表面が、偏光状態の光ビームで照明されると、色に相当する放射線の偏光が解消されている間、ブライトネスに相当する放射線は、偏光状態のままである。検光子の回転により、画像の各点のところにおけるブライトネスの貢献度及び色の貢献度を求めることができる。検光子を回転させると、所与の箇所のところの画素の強度は、実質的に正弦波の状態で変化する。検査対象の表面から反射すると、ブライトネスに相当する光ビームの反射部分の偏光の向きは、入射ビームとこの箇所で検査される表面の法線とのなす角度に関連した量だけ回転する。
【0019】
検査されるべき表面が平らであれば、偏光回転角度は、各点について同一である。この場合、画像の各点のところおける色に起因する部分及びブライトネスの部分を求めるためには、検光子の2つの互いに異なる角度で2つの画像を得るだけで足り、一方の画像は図3の曲線の最大値、他方の画像はその最小値に相当するものである。検光子の角度位置を自動的に容易に求めることができる。というのは、これらは、画像のだいたいの最小値及び最大値に相当しているからである。
検査されるべき表面が平坦でなければ、位相シフトが画像の各点で現れ、検光子の少なくとも3つの互いに異なる位置を用いることが必要である。各点のところの強度は次式のように表すことができる。
【0020】
I=I_(a)+I_(b)cos(2θ)
ここでθは、検光子と垂直線との間の角度、I_(a)は、信号Iの平均値、I_(b)は、信号Iの最大値と最小値との差の半分である。
もし例えば45°だけ一定の角度間隔を置いた3つの位置を用いる場合、画像の各点のところでは以下のことが得られる。
表面9を検査する方法の種々の段階が、図4に示されている。
【0021】
I_(0)=I_(a)+I_(b)cos(2θ_(0))
I_(45)=I_(a)+I_(b)cos(2(θ_(0)+π/4))
=I_(a)+I_(b)cos(2θ_(0)+π/2)=I_(a)-I_(b)sin(2θ_(0))
I_(90)=I_(a)+I_(b)cos(2(θ_(0)+π/2))
=I_(a)+I_(b)cos(2θ_(0)+π)=I_(a)-I_(b)cos(2θ_(0))
従って、
I_(a)=(I_(0)+I_(90))/2
I_(b)=〔(I_(90)-I_(a))^(2)+(I_(45)-I_(a))^(2)〕^(1/2)
=1/2〔(I_(90)-I_(0))^(2)+(I_(45)-I_(0)-I_(90))^(2)〕^(1/2)
しかしながら、I_(brightness)=2I_(b)及びI_(colour)=2(I_(a)-I_(b))
従って、
I_(brightness)=〔(I_(90)-I_(0))^(2)+(I_(45)-I_(0)-I_(90))^(2)〕^(1/2)
I_(colour)=I_(0)+I_(90)-〔(I_(90)-I_(0))^(2)+(I_(45)-I_(0)-I_(90))^(2)〕^(1/2)
【0022】
段階30では、オペレータ又はユーザは、例えばキーボード22を用いて検査の開始を制御する。
段階31では、開始コマンドを受け取った処理ユニット15は、起動順序を光源11に送り、光源11は、入射光ビーム16の放出を開始する。
段階32では、カメラ13は、検光子14の角度が0°の場合に画像を撮像する。
段階33では、カメラ13は、検光子14の角度が45°の場合に画像を撮像し、段階34では、カメラ13は、検光子14の角度が90°の場合に画像を撮像する。
オペレータは、検査されるべき表面9が平らであると考えた場合、特に、これが非常に小さな表面である場合、段階33を省いてもよい。
段階35では、処理ユニット15は、反射光ビーム17中のブライトネス成分と色成分を分離し、換言するとブライトネス画像及び色画像を得ることができる数値計算を行う。
段階36では、処理の結果は、最も適当な形で現れる形態、例えば曲線、グラフ、線図等の形態でスクリーン21上に表示される。
段階35,36の実施中、検光子14は、別の表面の検査をいつでも開始できるようにするために、0°の角度に戻るよう設計されている。
【0023】
本発明の別の実施形態では、検光子は、連続回転を行い、この連続回転中、数個の画像をカメラ13で撮像する。検査されるべき所与の表面の場合、多くの画像を撮像すればするほどそれだけ一層ブライトネスの評価精度が高くなる。
処理ユニット15による処理段階35の実施中、人間の目が、ブライトネスだけよりもブライトネスと色のコントラストに敏感であるということを考慮に入れる。一例を挙げると、所与のレベルのブライトネスの黒色は、ブライトネスのレベルが同一の場合の白色よりも明るいように思われる。したがって、処理ユニット15は、一方において、ブライトネスをマップできる計算を行うとともに他方において、色と比較したブライトネスの計算を行う。好ましくは、人間の目によって知覚された印象に関して最も妥当な色と比較したブライトネスに関する情報が表示されることになろう。
【0024】
かくして、表面検査装置により、あらゆるタイプの表面、特に、角質性表面、例えば毛、唇、爪、皮膚等のブライトネス及び相対ブライトネスを測定することができる。
これら種々の表面は、あらかじめ種々のタイプのトリートメント製品、例えば毛や製品、染色、メーキャップ製品等が塗布されたものであってもよい。メーキャップの場合、表面検査装置により、メーキャップが施された表面、特に皮膚の無光沢度を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
2つの光線の反射状態の略図である。
【図2】
本発明の一実施形態としての装置の略図である。
【図3】
検光子の角度の関数としての画素の強度の変化を示すグラフ図である。
【図4】
検査方法の種々の段階の流れ図である。
【符号の説明】
8 顔面
9 表面
10 検査装置
11 光源
12 固定偏光子
13 マトリックスカメラ
14 検光子
15 処理ユニット
18 対物レンズ
19 モータ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2009-09-29 
出願番号 特願2001-191761(P2001-191761)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樋口 宗彦西村 仁志荒巻 慎哉  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 宮澤 浩
岡田 孝博
登録日 2007-09-28 
登録番号 特許第4017363号(P4017363)
発明の名称 表面検査装置及び方法  
代理人 弟子丸 健  
代理人 鈴木 博子  
代理人 渡邊 誠  
代理人 渡邊 誠  
代理人 右田 俊介  
代理人 井野 砂里  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 速水 進治  
代理人 井野 砂里  
代理人 弟子丸 健  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 鈴木 博子  
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