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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16C
管理番号 1213221
審判番号 不服2009-1907  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-23 
確定日 2010-03-11 
事件の表示 特願2003-280823「固体潤滑転がり軸受」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 2月24日出願公開、特開2005- 48852〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年7月28日の出願であって、平成20年12月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年1月23日に審判請求がなされるとともに、当審において平成21年10月9日付けで拒絶理由が通知されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成20年9月16日付け手続補正、及び平成21年12月14日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、平成21年2月23日付け手続補正は、平成21年10月9日付けで当審において決定をもって却下されている。
「【請求項1】
内輪と、外輪と、転動体と、前記転動体を円周方向で所定の間隔に保つ保持器とを有するJIS規格による標準転がり軸受において、前記転動体の1個を、固体潤滑複合材からバレル加工により球形に加工した前記転動体より小径の固体潤滑複合材ボールとし、前記固体潤滑複合材が、二硫化タングステンをタングステン合金中に分散させた焼結材であり、かつ、二硫化タングステンの体積%を80%以上としたことを特徴とする固体潤滑転がり軸受。」

3.本願発明1についての検討
(1)本願発明1
本願発明1は、上記2.のとおりである。
(2)引用例
(2-1)引用例1
特開平7-145820号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(あ)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 転がり軸受の少なくとも転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面に結晶性のPTFEからなる潤滑被膜を形成したものであって、軸受荷重を負荷する複数の負荷転動体と、軸受荷重を負荷しない1乃至複数の非負荷転動体とを内・外輪間に介在させ、かつ、非負荷転動体を自己潤滑性を有するPTFE系高分子材で形成したことを特徴とする真空機器用転がり軸受。
【請求項2】 負荷転動体をセラミック材で形成したことを特徴とする請求項1の真空機器用転がり軸受。」
(い)「【0009】
【作用】結晶性のPTFEからなる潤滑被膜は、転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面において潤滑作用をなすと同時に、反応性ガスなどから母材表面を保護する作用をなす。また、PTFEからなる潤滑被膜は、真空・大気両雰囲気下で良好な耐久性を示す。しかも、潤滑被膜が摩耗等によって減少をきたすような場合でも、非負荷転動体から供給されるPTFE潤滑粉の転着が期待できるので、軸受の耐食性、耐久性が長期にわたって維持される。さらに、軸受にコーナ腐食が生じた場合でも、負荷転動体の個数が通常の軸受よりも少ないので(非負荷転動体を組み込んであるため)、起動トルクの増大、起動不能といった弊害が生じにくい。負荷転動体をセラミック材で形成することにより、耐食性がより一層向上する。また、潤滑被膜が摩耗した場合でも、負荷転動体と軸受軌道輪とがセラミック・金属接触となるので凝着現象が生じず、回転不能に陥る懸念がない。
【0010】
【実施例】以下、本発明を深溝玉軸受に適用した実施例について説明する。
【0011】図1に示す深溝玉軸受は、半導体製造設備におけるエッチング処理装置やCVD被膜処理装置等に使用するのに適したもので、内輪1および外輪2、内・外輪1、2間に介在する複数(例えば8個)のボール3、ボール3を円周等間隔に保持する保持器4で構成されている。
【0012】複数のボール3のうち、例えば半数(4個)は軸受荷重を負荷する負荷ボール31、残りの半数(4個)は軸受荷重を負荷しない非負荷ボール32であり、負荷ボール31と非負荷ボール32とが交互に配されている。負荷ボール31は金属材、非負荷ボール32はPTFE系の高分子材(ポリイミドベースにPTFEを添加したものも含む)で形成されたものであり、この実施例では、非負荷ボール32を負荷ボール31よりも僅かに小径にしてある。尚、図1では、負荷ボール31と非負荷ボール32の径差を実際よりもかなり誇張して示してある。
【0013】そして、この実施例では、内・外輪1、2の軌道面、および負荷ボール31の表面にそれぞれ結晶性のPTFEからなる潤滑被膜1a、2a、3aを形成してある。ここで、「結晶性のPTFEからなる潤滑被膜」とは、いわゆるスパッタリング被膜のようにPTFEの結晶構造(分子構造)が細分化されていないものをいい、例えば、PTFEの処理液を被処理物にスプレーすることにより、あるいは、被処理物を処理液中に浸漬することにより形成することができる。
【0014】上記のような潤滑被膜1a、2a、3aは、PTFE本来の優れた潤滑性能を発揮し、軸受の耐久性を高めると同時に、腐食性雰囲気から母材表面を保護し、軸受の耐食性を高める。また、これら潤滑被膜1a、2a、3aが摩耗等によって減少をきたすような場合でも、非負荷ボール32から供給されるPTFE潤滑粉(内・外輪1、2の軌道面や保持器4との接触によって非負荷ボール32の表面から削りとられて生成される)の転着によって膜厚の減少分が補われるので、上記効果が長期にわたって維持される。さらに、軸受にコーナ腐食が生じた場合でも、負荷ボール31の個数が通常の軸受(8個)よりも少ないので(4個)、起動トルクの増大、起動不能といった弊害が生じにくい。しかも、この実施例では、非負荷ボール32を負荷ボール31よりも小径にしてあるので、コーナ腐食による弊害は一層抑制される。尚、軸受の耐食性を確保する手段としては、軸受をオールセラミック製としたり、あるいは、耐食材で形成したりすることも考えられるが、コスト的に高くなりすぎるという問題がある。この点、この実施例の構成は、コスト的にも有利である。
【0015】図1では、内・外輪1、2の外表面全体に潤滑被膜が形成されているが、図2に示すように、嵌合面等の潤滑被膜が不要な部分は、マスキング等によって当初から被膜形成を行なわない、あるいは、被膜形成後に除去しても良い。」
上記の記載事項及び図面からみて、引用例1には次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「内輪1と、外輪2と、ボール3と、ボール3を円周等間隔に保持する保持器4を有し、少なくとも転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面に結晶性のPTFEからなる潤滑被膜を形成した転がり軸受であって、複数のボール3は、軸受荷重を負荷する負荷ボール31と、負荷ボール31よりも僅かに小径の軸受荷重を負荷しない1乃至複数の非負荷ボール32とからなり、非負荷ボール32が自己潤滑性を有するPTFE系高分子材で形成されている真空機用転がり軸受。」
(2-2)引用例2
特開平8-311467号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(か)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動部材として使用される固体潤滑剤を含む複合材料に関するものである。」
(き)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のような問題点を解決したもので、摩擦係数が低く、比摩耗量が小さく、あらゆる雰囲気中で使用できる固体潤滑剤を含む複合材料の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】本発明では、固体潤滑剤のWS2と金属及び合金との反応性について検討した結果、WS_(2)とタングステンとの焼結体が潤滑特性に優れていること、およびタングステンの焼結性を高め、強度を上げるために、ボロン、コバルト、ニッケルおよび銅の少量添加が効果があることを見出して発明を完成するに至ったものである。
【0006】本発明は二硫化タングステン(WS_(2))を15重量%以上、85重量%と0.05重量%以上、1.0重量%以下のボロン(B)、0.30重量%以上、2.0重量%以下のコバルト(Co)、1.0重量%以上、7.0重量%以下のニッケル(Ni)、1.0重量%以上、7.0重量%以下の銅(Cu)を含み、残りがタングステン(W)および不可避の不純物元素からなる潤滑性に優れた自己潤滑性複合材料であることを特徴とする。
【0007】WS_(2)量が15重量%未満であると、潤滑性がない材料になり、85重量%超では材料強度が低く、使用に耐えられないため、15重量%以上、85重量%以下が望ましい。」
(く)「【0014】複合材料はWS_(2)を15重量%以上、85重量%以下と0.05重量%以上、1.0重量%以下のボロン(B)、0.30重量%以上、2.0重量%以下のコバルト(Co)、1.0重量%以上、7.0重量%以下のニッケル(Ni)、1.0重量%以上、7.0重量%以下の銅(Cu)を含み、残りがタングステン(W)の粉末を混合し、1?10 ton/cm^(2)の成形圧力で成形したのち、1000?1300℃の温度で真空ないし不活性雰囲気中で焼結すること及びホットプレス法、HIP法などの製造方法によって得られる。」
(2-3)引用例3
特開平8-134489号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(さ)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は耐熱性及び強度の面で優れた自己潤滑複合材料に関する。」
(し)「【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の自己潤滑複合材料は、固体潤滑剤と結合材と補強材とから成るものである。但し、負荷が軽度のものには補強材を用いない場合もある。
【0008】固体潤滑剤としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化カルシウムなどの金属酸化物や、窒化ホウ素、黒鉛、タルク、雲母、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、セレン化タングステンなどの層状無機化合物の群から選ばれる1種以上の金属酸化物が好適である。含有量としては、5?90vol%が好ましい。5vol%未満では潤滑性が不足であり、90vol%より多いと短寿命である。」
(3)対比
本願発明1と引用例1発明とを比較すると、後者の「ボール3」は前者の「転動体」に相当し、以下同様に、「負荷ボール31」は前者の「転動体」に相当し、同様に、「非負荷ボール32」は「固体潤滑複合材ボール」に、「真空機用転がり軸受」は「固体潤滑転がり軸受」にそれぞれ相当する。また、後者の「複数のボール3は、軸受荷重を負荷する負荷ボール31と、負荷ボール31よりも僅かに小径の軸受荷重を負荷しない1乃至複数の非負荷ボール32とからなり、」という事項は、前者の「前記転動体の1個」を「前記転動体より小径の固体潤滑複合材ボールとし、」という事項を充足している。
したがって、両者は、
「内輪と、外輪と、転動体と、前記転動体を円周方向で所定の間隔に保つ保持器とを有する転がり軸受において、前記転動体の1個を、前記転動体より小径の固体潤滑複合材ボールとした固体潤滑転がり軸受。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願発明1の「固体潤滑複合材ボール」は「固体潤滑複合材からバレル加工により球形に加工した前記転動体より小径の固体潤滑複合材ボール」であって、その「固体潤滑複合材」は「二硫化タングステンをタングステン合金中に分散させた焼結材であり、かつ、二硫化タングステンの体積%を80%以上とした」ものであるのに対し、引用例1発明の「非負荷ボール32」は「自己潤滑性を有するPTFE系高分子材で形成されている」ものであって、そのような加工によるかどうか不明である点。
[相違点2]
本願発明1の「転がり軸受」は「JIS規格による標準転がり軸受」であるのに対し、引用例1発明の「転がり軸受」はそのようなものかどうか不明である点。
(4)判断
[相違点1]について
引用例1発明の「転がり軸受」は「少なくとも転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面に結晶性のPTFEからなる潤滑被膜を形成」しているとともに、「自己潤滑性を有するPTFE系高分子材で形成されている」「非負荷ボール32」を設けているが、潤滑被膜、及び潤滑剤供給源としての「非負荷ボール32」の材質・組成・製法等をどのようなものにするかは、用途、使用条件、所要の潤滑性能・耐久性等に応じて適宜設計する事項にすぎない。また、予め潤滑被膜を形成しておくかどうかは、転がり軸受の所要の潤滑性能、潤滑剤供給源としての「非負荷ボール32」の性能等に鑑みて適宜選択する事項にすぎない。
ここで、上記に摘記したとおり、引用例2には二硫化タングステンとタングステンを含み、二硫化タングステンを15重量%以上、85重量%以下含有する自己潤滑性焼結体複合材料が示されており、引用例3には、固体潤滑剤として二硫化タングステンを5?90vol%含有する自己潤滑複合材料が示されている。引用例1発明の潤滑のための構成として引用例2、3の上記事項を適用することは、上記のような適宜の設計の一例にすぎない。
ただ、引用例2の複合材料は85重量%を上限としており、「体積%」が「80%以上」かどうかは必ずしも明らかではない。しかし、85重量%を上限とする理由について引用例2には「【0007】…85重量%超では材料強度が低く、使用に耐えられないため、…」と、また、「【0020】…比較例5は二硫化タングステンが多すぎるため、潤滑性が良いが強度が低く、使用に耐えない。」とするものの、引用例2の複合材料は「摺動材料」として使用されるものであり(段落【0001】)、また、上記の段落【0020】の試験結果は圧縮試験と摩擦摩耗試験によるものであるのに対し、引用例1発明の「非負荷ボール32」は負荷ボール31より僅かに小径であって、さらに、その表面が削りとられることが予定されているものである。したがって、例えば作用する荷重の点で、引用例1発明の「非負荷ボール32」は引用例2が想定する「摺動材料」とは相当に異なり、引用例1発明に引用例2の複合材料を採用する場合に、85重量%を上限とする上記の理由がそのまま直ちに妥当するものではない。そして、引用例1発明に引用例2の複合材料を採用する場合に二硫化タングステンをどの程度の含有量とするかは、上記のとおり、用途、使用条件、所要性能等にかんがみて実験等により適宜設計する事項にすぎないから、「体積%」を「80%以上」の値とすることは、適宜の設計として当業者が容易に想到し得た程度のものといわざるを得ない。
また、一般に、バレル加工による球体の製造は、例えば特開昭63-57204号公報(特に第1頁左下欄第1?12行)に記載されているように周知であり、上記のような「非負荷ボール32」をバレル加工により球形に加工することは当業者が容易に想到し得たものと認められる。
[相違点2]について
予め潤滑被膜を形成しておくかどうかは適宜選択する事項にすぎないこと、引用例1発明の潤滑のための構成として引用例2、3の上記事項を適用することは適宜の設計の一例にすぎないことは、上述のとおりである。
その場合、「転がり軸受」を「JIS規格による標準転がり軸受」とすることは普通の設計である、ないし、少なくとも適宜の設計的事項にすぎないということができる。
本願発明1の効果についても、本願の図3の試験結果はその段落【0017】、【0023】等に記載されているような特定の寸法・構造・試験条件についてのものであって、そのような寸法・構造・試験条件にかかわらず、「80%」という下限値に格別顕著な技術的意義があるとは到底認められないことを勘案すると、本願発明1の作用効果は、引用例1?3に記載された発明に基づいて当業者が予測し得た程度のものである。

なお、平成21年12月14日付け意見書において、
「3-1)
引用文献1(特開平7-145820号公報)に記載された発明は、非負荷PTFEボールの組み込みに関するもので、コーナー腐食を防止するために、軸受構成部品に予めPTFE系被膜を形成させるものにおいて、使用中に摩耗して効果が薄れるのを防止するために、PTFEボールを耐摩耗性被膜の補充目的で挿入する技術であり、軸受に付与したPTFE系被膜とPTFEボールの併用が前提であり、本願発明とは課題も解決手段も相違しています。
また、PTFEは基本的に連続使用温度250℃程度とされており、そもそも融点自体が330℃程度でそれ以上の温度では腐食性の高い分解ガスが発生することは当業者には広く知られています。また、300℃の条件では樹脂が軟化しており、運転中に圧縮力の掛かる構成では、軸受の運転により潤滑剤ボールは顕著に摩耗・変形するため、当業者であれば本願発明の試験条件での評価試験を実施しないものです。
したがって、引用例1のものは、本願発明の課題「300℃?400℃を越える真空高温での使用に耐える固体潤滑転がり軸受を提供する」(段落0003)を解決するものではなく、「真空中で800℃まで使用可能であり、300℃?400℃の高温での使用は問題ない」(段落0006)といった効果を期待できません。」と主張している。
しかし、引用例1発明の潤滑被膜、及び潤滑剤供給源としての「非負荷ボール32」の材質・組成・製法等をどのようなものにするかは用途、使用条件、所要の潤滑性能・耐久性等に応じて適宜設計する事項にすぎないこと、予め潤滑被膜を形成しておくかどうかは適宜選択する事項にすぎないことは上述のとおりである。
同じく、
「3-3)
引用文献3(特開平8-134489号公報)に記載された発明は自己潤滑性複合材料に関するものですが、10×10×10mmの試料を2線式トライボメータで摩擦摩耗評価をしたことが記載されているに過ぎず、本願発明のようにバレル加工によって球形に加工した固体潤滑複合材ボールを軸受内に組み込んで、問題なく軸受が運転できるということを示唆するような記載は一切見受けられません。
むしろ引用文献3のものは、その段落0007の記載「この発明の自己潤滑複合材料は、固体潤滑材と結合材と補強材とから成るものである」、段落0009の記載「固体潤滑剤の種類は、本発明材料を利用する機械部品の摺動条件によって選択する。一般に、乾燥雰囲気では二硫化物を、高湿度雰囲気では黒鉛を、高温では窒化ホウ素を選択することが多い」、段落0024の記載「結合材が本願発明のようにA物質とB物質の両方を含んだものでないと良好な潤滑性は得られない」、段落0027の記載「この発明に係る自己潤滑複合材料は…固体潤滑剤及び補強材を結合材と反応させて結合組織とするので、固体潤滑剤と結合材との間に隙間が生ぜず十分な強度が得られる」等に照らし、いわゆる阻害要因にこそなれ、当業者をして本願発明の構成に想到せしめるものではないと思量します。」と主張している。
しかし、引用例3に、自己潤滑材料の固体潤滑剤として二硫化タングステンを5?90vol%含有するという技術的事項が示されていることは、上記のとおりである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用例1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-13 
結審通知日 2010-01-14 
審決日 2010-01-28 
出願番号 特願2003-280823(P2003-280823)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔山崎 勝司  
特許庁審判長 山岸 利治
特許庁審判官 大山 健
川上 益喜
発明の名称 固体潤滑転がり軸受  
代理人 熊野 剛  
代理人 城村 邦彦  
代理人 白石 吉之  
代理人 田中 秀佳  

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