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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200520859 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1213262 |
審判番号 | 不服2006-17324 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-08-09 |
確定日 | 2010-03-11 |
事件の表示 | 特願2002-298380「香料組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月30日出願公開、特開2004-131436〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成14年10月11日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成17年12月12日受付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。) 「【請求項1】4-メトキシスチレンからなる副交感神経活性剤。」 2.引用例の記載の概要 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平9-31487号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 引用例; (a)「ビニルアニソールを含有することを特徴とする香料組成物。」(特許請求の範囲、2頁1欄2?3行) (b)「本発明の属する技術分野は、鎮静効果を与える香料組成物である。」(段落【0001】、2頁1欄5?6行) (c)「本発明におけるビニルアニソールにはオルト、メタ、パラの異性体が存在するが、そのいずれでも、それらの混合物でも本発明の香料組成物に配合できる。中でも特に好ましいのはパラ体である。」(段落【0007】、2頁1欄37?40行) (d)「【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳説するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。なお、実施例に記載した鎮静効果の官能評価試験を下記の通りに行った。 (官能評価試験)試料を0.05g匂い紙(6×150mm)に取り出し、10分後、30分後、90分後の香りの鎮静効果について評価した。 ・・・なお、ここで言う鎮静効果とは、具体的には香りを与えたことにより気分が落ち着いてくることを指し、表1の鎮静効果判断基準にしたがって20名の被験者によって評価し、その結果を20名の評価点の平均値で示した。 ・・・ 【表1】 ┌─────────────────────────┬─────┐ │ 鎮静効果の判定基準 │ 評価点 │ ├─────────────────────────┼─────┤ │ とても気分が静まり、落ち着いた。 │ 2 │ │ 気分が落ち着いた。 │ 1 │ │ 特に変化は感じなかった。 │ 0 │ │ 気分が落ち着かなくなった。 │ -1 │ │ 気分が落ち着かず、イライラするようになった。 │ -2 │ └─────────────────────────┴─────┘ 実施例1?3、比較例1?2 実施例1には、本発明のビニルアニソール100重量%、実施例2には、1重量%(フタル酸ジエチル溶液)、実施例3には10重量%(フタル酸ジエチル溶液)、比較例1にはジャスミン油100重量%、比較例2にはペパーミント油100重量%を用いた。 ・・・これらについて前述の官能評価試験を行った。その結果を表2に示した。 ・・・ 【表2】 ┌─────┬──────────────────────────┐ │ │ 官 能 評 価 試 験 │ │ ├────────┬────────┬────────┤ │ │ 10分後 │ 30分後 │ 90分後 │ ├─────┼────────┼────────┼────────┤ │実施例1 │ +1.80 │ +1.75 │ +1.55 │ │実施例2 │ +1.60 │ +1.55 │ +1.40 │ │実施例3 │ +1.65 │ +1.60 │ +1.40 │ │比較例1 │ -1.70 │ -1.35 │ -1.30 │ │比較例2 │ -1.85 │ -1.80 │ -1.65 │ └─────┴────────┴────────┴────────┘ ・・・この結果、ビニルアニソールに鎮静効果があることが明らかである。」(段落【0012】?【0019】、2頁2欄26行?3頁3欄16行) 3.対比判断 引用例には、「ビニルアニソールを含有することを特徴とする香料組成物」(摘記事項(a))が記載されている。そして、その成分であるビニルアニソールに鎮静効果があることが官能評価試験例とともに記載されている(摘記事項(d))。 そうすると、引用例には、「ビニルアニソールからなる鎮静剤」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 本願発明と引用発明とを対比すると、ビニルアニソールはメトキシスチレンの別名であるから、両者は、「メトキシスチレンからなる剤」である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 剤が、本願発明では、「副交感神経活性剤」であるのに対して、引用発明では、「鎮静剤」である点。 (相違点2) メトキシスチレンが、本願発明では、「4-メトキシスチレン」であるのに対して、引用発明では、メトキシ基が4位に特定されていない点。 以下、これらの相違点について検討する。 (相違点1)について 一般に、香料組成物において、鎮静作用を有する成分は副交感神経を刺激する作用を示すと考えられることが本願の出願前に周知の技術事項である。(例えば、特開平4-149136号公報、10頁右下欄10?13行参照) してみれば、香料組成物の成分として、鎮静効果があるメトキシスチレンについて、副交感神経を刺激する作用を有することは当業者が容易に予測し得ることであり、その効果を確認し、副交感神経活性剤とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 (相違点2)について 引用例には、「本発明におけるビニルアニソールにはオルト、メタ、パラの異性体が存在するが、そのいずれでも、それらの混合物でも本発明の香料組成物に配合できる。中でも特に好ましいのはパラ体である。」(摘記事項(c))と記載されている。 そうすると、引用発明において、ビニルアニソールを、そのパラ体である、「パラ-ビニルアニソール」、すなわち「4-メトキシスチレン」とすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 また、本願発明の効果も当業者が予測し得る範囲内のものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 |
審理終結日 | 2010-01-06 |
結審通知日 | 2010-01-12 |
審決日 | 2010-01-25 |
出願番号 | 特願2002-298380(P2002-298380) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 保倉 行雄、福井 美穂 |
特許庁審判長 |
塚中 哲雄 |
特許庁審判官 |
弘實 謙二 伊藤 幸司 |
発明の名称 | 香料組成物 |
代理人 | 伊藤 健 |