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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1213314
審判番号 不服2007-34285  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-20 
確定日 2010-03-11 
事件の表示 平成10年特許願第124206号「多層プリント配線板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月5日出願公開、特開平11-307937〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成10年4月18日の出願であって、平成19年7月10日付け拒絶理由通知に対して、同年9月14日付けで手続補正がされたが、同年11月8日付けで拒絶査定され、これに対し、同年12月20日に拒絶査定不服の審判請求がされると共に、平成20年1月21日付けで手続補正がされたものである。

第2 平成20年1月21日付けの手続補正書についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年1月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。
[理由]
1.本件補正前及び補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項1に「樹脂の上部及び下部を研磨して」とあったところを、「樹脂の上部を研磨して前記導電柱を露出させると共に、下部を研磨して前記導電体を剥離し」と限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という)について検討する。
本願補正発明は、次のとおりのものである。
「以下の(a)?(g)の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
(a)導電体の上に開口を有するレジストを形成する工程、
(b)前記開口に電解めっきを施し導電柱を形成する工程、
(c)前記レジストを除去する工程、
(d)前記導電柱間に樹脂を充填する工程、
(e)前記充填した樹脂の上部を研磨して前記導電柱を露出させると共に、下部を研磨して前記導電体を剥離し前記導電柱を露出させる工程、
(f)前記樹脂の両面にめっき銅膜を形成し、エッチングにより導体回路を形成してコア基板を完成する工程
(g)前記コア基板の両面に層間樹脂絶縁層とバイアホール及び導体回路を交互に積層する工程。」

2.引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された実願昭59-129697号(実開昭61-44881号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という)には、第1図及び第2図と共に、以下の技術事項が記載されている。
「以下に、本考案の一実施例を図により説明する。第1図、第2図に示すように、絶縁基板1に細径の導電体2,3を規則的に配列し、該導電体2,3を基板1に貫通させて埋設し、基板1の両面に臨む導電体2,3の両端を開口可能な絶縁層4,5でそれぞれ被覆する。第2図に示すように基板1に予じめ設けた導電体2,3を被覆する絶縁層4,5に孔4a、5aを穿ってその導電体2,3の両端を外部に露出させる。そして、露出させた導電体2,3の両端周辺部にランド部7,7を形成し、該ランド部7,7及び導電体2,3によって上下面の配線パターン6a、6bを基板1の板厚方向に電気的に接続する。」(第3頁14行?第4頁6行)
この記載より、引用例1には、次の発明(以下「引用例1発明」という)が記載されているとすることができる。
「細径の導電体が絶縁基板の貫通孔に埋め込まれ、その両面を開口可能な絶縁層で被覆された基板を準備し、当該導電体を被覆する絶縁層に孔を穿ってその導電体の両端を外部に露出させ、その導電体の両端周辺部に配線パターンを基板の板厚方向に電気的に接続する方法。」

3.対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較する。
まず、引用例1発明は、貫通する導電柱を有する絶縁基板を使用する点で、本願補正発明とは共通する。
そして、引用例1発明において、当該絶縁基板表面の被覆膜を除去し、配線パターンを形成する工程は、本願補正発明の(e)(f)の工程に対応するものである。但し、除去する被覆膜の材質が、下記するように相違する。また、引用例1発明において(e)(f)の工程を経て製造された基板は、その後に、両面に層間樹脂絶縁層とバイアホール及び導体回路を交互に積層して多層プリント配線板を製造することを予定しているといえるので、(g)の工程を当然に備えているものである。
したがって、引用例1発明は、絶縁基板中に導電柱を形成する工程を明記していない点で、本願補正発明と相違するといえるので、両者の一致点と相違点は次のとおりとなる。
〈一致点〉
以下の(e’)?(g)の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
(e’)前記充填した樹脂の上部を除去して前記導電柱を露出させると共に、下部を除去して前記導体柱を露出させる工程、
(f)前記樹脂の両面にめっき銅膜を形成し、エッチングにより導体回路を形成してコア基板を完成する工程
(g)前記コア基板の両面に層間樹脂絶縁層とバイアホール及び導体回路を交互に積層する工程。
〈相違点〉
1.本願補正発明では、次の(a)?(d)からなる導電体柱を有する絶縁基板の製造方法を採用するが、引用例1発明では、その製造方法が明らかではない点。
(a)導電体の上に開口を有するレジストを形成する工程
(b)前記開口に電解めっきを施し導電柱を形成する工程
(c)前記レジストを除去する工程
(d)前記導電柱間に樹脂を充填する工程
2.絶縁基板中の導電柱を露出するに当たり((e)工程)、本願補正発明では、上部を研磨すると共に、下部を研磨して導電体を剥離するのに対し、引用例1発明では、絶縁基板の上面及び下面を覆っている絶縁膜に孔を穿って剥離することとしている点。

4.判断
(1)相違点1について
以下の周知例1及び周知例2に示すように、本願補正発明に係る製造方法における工程(a)?(d)からなる絶縁基板の製造方法は、本願の出願時においては当業者には周知の技術である。このため、引用例1発明において、当該周知の方法を採用して導電体柱を有する絶縁基板を製造することは当業者であれば容易になしうるものである。

周知例1 特開平6-350258号公報に記載された技術
(ア)記載事項
(i)「本発明に係る第2の印刷配線板の製造方法は、所定位置に導体バンプ群を形設した導電性金属箔の主面に、合成樹脂系シート主面を対接させて積層配置する工程と、前記積層体を加圧し、前記合成樹脂系シートの厚さ方向に、前記バンプ群をそれぞれ貫挿させて貫通型の導体配線部を形成する工程と、前記貫通型の導体配線部を形成した積層体の導電性金属箔に、エッチング処理を施して、前記貫通型の導体配線部に接続する配線パターンを形成する工程とを具備して成ることを特徴とする。」【0005】
(ii)「導電性金属でバンプ群を形成する手段としては、・・・(b)銅箔などを支持基体とした場合は、メッキレジストを印刷・パターニングして、銅,錫,金,銀,半田などメッキして選択的に微小な金属柱(バンプ)群の形成、・・・などが挙げられる。」【0008】
(イ)記載された技術
周知例1に記載された印刷配線板の製造方法は、摘記事項(i)によれば、支持基板シートとなる導電性金属箔上に導体バンプを形成し、合成樹脂シートに当該バンプを貫挿させて貫通型の導体配線部を形成し、導電性金属箔をエッチングにより除去することからなる。
ここにおいて、導体バンプは合成樹脂を貫通して電気的に接続しているので、本願発明における導電柱に対応するものである。そして、摘記事項(i)の工程は、導体バンプ間に樹脂を充填しているので、本願発明における製造方法の(d)に相当する。
一方、摘記事項(ii)は導体バンプの製造方法を示すもので、パターニングしたメッキレジストに微小な金属柱をメッキにより形成しており、メッキは電解メッキを含むし、金属柱形成後のメッキレジストは当然に除去されるので、本願補正発明における製造方法の(a)?(c)に相当する。
したがって、本件周知例1には、本願補正発明における製造方法の(a)?(d)に相当する印刷配線板の製造方法が記載されている。

周知例2 特開平8-139450号公報に記載された技術
(ア)記載事項
(i)「本発明に係る第1の印刷配線板の製造方法は、第1の導電性金属層の主面に、電気絶縁性のネガパターンニングする工程と、前記ネガパターンニングした第1の導電性金属層を一方の電極とし、第1の導電性金属層の露出面に導電性金属から成る所要のポジパターンを形成する工程と、前記ポジパターン面の所定位置に円錐型もしくは角錐型の導体バンプを形設する工程と、前記導体バンプ形設面に合成樹脂系シートを介して、所要のポジパターンが主面に形成された第2の導電性金属層を、ポジパターン面を対向させて位置決め積層・配置する工程と、前記積層体を加圧して各導体バンプ先端部を合成樹脂系シートの厚さ方向に挿入,貫通させ、対向するポシパターンと電気的に接続する工程と、前記第1および第2の各導電性金属層をそれぞれ除去してポジパターンを露出させる工程とを具備して成ることを特徴とする。」【0008】
(ii)「導電性金属でバンプ群を形成する手段としては、・・・(b)ポジパターン面にメッキレジストの塗布,パターニングを行って化学メッキ処理した後、半田浴に浸漬して選択的に微小な金属柱(バンプ)群を形成する手段などが挙げられる。」【0015】
(イ)記載された技術
記載事項(i)には、本願補正発明における製造方法の(d)が記載されている。なぜなら、導電性金属層上に形成された導体バンプを合成樹脂シートに挿入、貫通させて対応する導電性金属層と電気的に接続させているので、導電柱間に樹脂を充填しているといえるからである。
また、記載事項(ii)は、本願補正発明における(a)?(c)工程に相当する。なぜなら、パタ-ニングしたメッキレジストに化学メッキ等により微小な金属柱を形成しているからである。
したがって、本願補正発明における製造方法の(a)?(d)に相当する印刷配線板の製造方法は、周知例2にも記載されているとすることができる。

(2)相違点2について
絶縁基板中の導電柱を露出するに当たり、本願補正発明では上部を研磨すると共に下部を研磨して導電体を剥離するのに対し、引用例1発明では絶縁基板の上面及び下面を覆っている絶縁膜に孔を穿って剥離することとしている(製造工程(e))。
しかし、両者とも、絶縁基板中の導電柱を露出するために絶縁基板表面の被覆層を除去しているという点で共通しており、除去する被覆層の材質や除去手段の相違は格別の技術的意義を持たない。
以上の通りであるから、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になしえたものである。

5.本件補正についての結び
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成20年1月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成19年9月14日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりのものである。
「以下の(a)?(g)の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
(a)導電体の上に開口を有するレジストを形成する工程、
(b)前記開口に電解めっきを施し導電柱を形成する工程、
(c)前記レジストを除去する工程、
(d)前記導電柱間に樹脂を充填する工程、
(e)前記充填した樹脂の上部及び下部を研磨して前記導体柱を露出させる工程、
(f)前記樹脂の両面にめっき銅膜を形成し、エッチングにより導体回路を形成してコア基板を完成する工程
(g)前記コア基板の両面に層間樹脂絶縁層とバイアホール及び導体回路を交互に積層する工程。」

2.進歩性欠如
本願発明は、上記第2[理由]で検討した本願補正発明で「樹脂の上部を研磨して前記導電柱を露出させると共に、下部を研磨して前記導電体を剥離し」とあったところを、「樹脂の上部及び下部を研磨して」と限定を解除したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 [理由]4.」に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
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4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-28 
結審通知日 2010-01-05 
審決日 2010-01-22 
出願番号 特願平10-124206
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森林 克郎  
特許庁審判長 真々田 忠博
特許庁審判官 國方 康伸
鈴木 正紀

発明の名称 多層プリント配線板の製造方法  
代理人 田下 明人  
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