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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1213371
審判番号 不服2007-26073  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-25 
確定日 2010-03-10 
事件の表示 特願2002-564578「膜堆積の間における金属の厚さの自動制御」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月22日国際公開、WO02/65109、平成16年10月14日国内公表、特表2004-531702〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・原査定の拒絶の理由
本願は、2001年12月3日の国際出願(パリ条約による優先権主張 2001年2月12日、米国)であって、特許請求の範囲、明細書又は図面について、平成15年10月7日付け翻訳文提出書により補正がなされ(以下、「補正1」という。)、平成19年2月28日付け手続補正書により補正がなされたところ(以下、「補正2」という。)、平成19年6月16日付け(送達:同年6月26日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月25日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
そして、原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平7-153692号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を受けることができない、というものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、補正1及び補正2によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
成膜室でウエハに金属膜を堆積している間に前記金属膜に向けて照射されるX線ビームを生成するステップと、
前記金属膜のX線蛍光を検出して、前記金属膜のパラメータを求めるステップと、
求めたパラメータと設定値とを自動的に比較し、前記求めたパラメータが前記設定値と異なる場合に前記金属膜の堆積を自動的に継続するステップと、
を含む、半導体ウエハに堆積中の金属膜のパラメータを監視する方法。」

そして、本願発明の特徴について検討するに、補正1及び補正2によって補正された明細書の発明の詳細な説明には次の記載がある。
「【背景技術】
・・・通常、スパッタ成膜はマグネトロンとして知られるダイオードプラズマシステムで行われる。・・・
現在、金属や合金、化合物の高速堆積に用いられる最も重要なタイプのシステムはマグネトロンカソードシステムと呼ばれるものである。・・・
【発明が解決しようとする課題】
スパッタ成膜は堆積時間で管理される。時間を基準に速度を較正した後、一定の時間で膜を堆積させる。しかしながら、プロセスにはムラがあるため、特定のウエハまたはロットの堆積膜厚を膜堆積の間に制御するのは困難である。一般に、金属膜の厚さについてはいくつかの試作ウエハに堆積させたものを測定している。
しかしながら、金属膜の厚さ次第で製造後の半導体デバイスの機械特性や電気特性が大きく変わり、厚さのムラはデバイスの性能に大きく影響する。したがって、膜堆積の間に各ウエハの金属膜の厚さを制御することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体デバイスの製造時にウエハに堆積中の金属膜のパラメータを監視する新規な方法を提供するものである。この方法では、成膜室でウエハに金属膜を堆積している間に金属膜に向けて照射されるX線ビームを生成し、金属膜のX線蛍光を検出して膜に必要なパラメータを求める。」(段落【0002】?【0009】)
上記記載によれば、従来、ウエハに堆積する膜の厚さの管理は堆積時間で管理していたところ、プロセスにはムラがありその制御が困難であることから、本願発明では、ウエハに膜を堆積しながら、膜に対してX線ビームを照射し、膜から放射される蛍光X線を検出することで膜厚に関連したパラメータを監視するようにして、所望な膜厚となるよう、膜の堆積の制御を行うようにした点に、その技術的特徴があるものと認められる。

第3 引用例記載の発明・事項
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された特開平7-153692号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(a)「【請求項1】半導体基板の表面に半導体の薄膜を成長させる膜成長工程と、前記成長させつつある薄膜にX線を入射させるX線入射工程と、前記X線の入射に伴って前記成長中の薄膜から放出される螢光X線を計測する計測工程と、前記計測工程における計測値に基づいて前記薄膜の成長条件を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする、半導体基板上に薄膜を成長させる方法。」(特許請求の範囲の【請求項1】)
(b)「図1は本発明の一実施例に係る製造装置の概略構成図であり、特にGaAs系HEMT構造エピタキシャル成長を行わせる場合を例示するものである。図において示すように、真空チャンバー1はコントローラ17により制御される排気系2により10-11 torr台のレベルまで真空引きが可能とされる。」(段落【0026】)
(c)「X線源7からのX線はコリメータ8、モノクロメータ9からBe製の窓部10を介してウェーハ6の表面に導入される。」(段落【0026】)
(d)「SSD12は、X線の入射に伴いウェーハ6の表面から放射される蛍光X線を計測するための固体撮像素子等の半導体検出器であり、ディテクタ11と共に、コントローラ13に接続される。」(段落【0026】)
(e)「メインコントローラ18は、コントローラ13、14、15、16、17を制御し、ウェーハ6上の薄膜の成長を自動制御する。」(段落【0026】)
(f)「そして、アンドープAl0.3 Ga0.7 Asの薄膜21を30オングストローム程度成長させる。この成長と共にAlKαのスペクトル(1.49eV)が見えてくる。このスペクトル強度が例えば5CPS(counts per second)になるまで成長を行なう。」(段落【0034】)
(g)「・・・図3は、AlGaAs膜厚と蛍光X線(AlKα線)の相関関係を示す断面TEMによる膜厚特性図である。図3からも明らかなように、両者の相関係数は、0.998と非常によい一致を見ることがわかった。」(段落【0034】)
(h)「以上述べたように、各層の成長毎に主要構成元素の蛍光X線をモニタすることによって、成長膜厚に比例した強度および強度変化が得られる。したがって、この量を目安に成長の停止制御を行なえば、高精度な膜厚制御が可能になる。」(段落【0037】)
・前記記載(a)、(b)、(c)及び(f)から、
(1)「真空チャンバー1でウェーハ6にAlGaAs薄膜21を成長させつつあるときに前記AlGaAs薄膜21に向けてX線を入射させる工程。」との技術事項が読みとれる。
・前記記載(a)、(d)、(f)、(g)及び(h)から、
(2)「AlGaAs薄膜21から放射される蛍光X線をモニタして膜厚に比例したスペクトル強度を求める工程。」との技術事項が読みとれる。
・前記記載(f)において、「5CPS」を「所定値」と呼ぶことにすると、前記記載(e)、(f)、(g)及び(h)から、
(3)「求めた膜厚に比例したスペクトル強度と所定値とを自動的に比較し、求めた膜厚に比例したスペクトル強度が所定値になるまでAlGaAs薄膜21の成長を自動的に行わせる工程。」との技術事項が読みとれる。
・前記記載(a)、(e)、(f)、(g)及び(h)から、
(4)「ウェーハ6に成長中のAlGaAs薄膜21の膜厚に比例したスペクトル強度をモニタする方法。」との技術事項が読みとれる。

以上の技術事項(1)ないし(4)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されていると認められる。
(引用発明)
「真空チャンバー1でウェーハ6にAlGaAs薄膜21を成長させつつあるときに前記AlGaAs薄膜21に向けてX線を入射させる工程と、
前記AlGaAs薄膜21から放射される蛍光X線をモニタして、前記AlGaAs薄膜21の膜厚に比例したスペクトル強度を求める工程と、
求めた膜厚に比例したスペクトル強度と所定値とを自動的に比較し、前記求めた膜厚に比例したスペクトル強度が前記所定値になるまで前記AlGaAs薄膜21の成長を自動的に行わせる工程と、
を含む、ウェーハ6に成長中のAlGaAs薄膜21の膜厚に比例したスペクトル強度をモニタする方法。」(以下、「引用発明」という。)

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明における、
「真空チャンバー1」、「ウェーハ6」、「成長させつつあるときに」、「X線を入射させる」、「工程」、「放射される蛍光X線をモニタして」、「膜厚に比例したスペクトル強度」、「所定値」、及び「モニタする方法」は、
本願発明における、
「成膜室」、「ウエハ」、「堆積している間に」、「照射されるX線ビームを生成する」、「ステップ」、「X線蛍光を検出して」、「パラメータ」、「設定値」、及び「監視する方法」にそれぞれ相当する。
また、引用発明における「前記所定値になるまで・・・成長を自動的に行わせる」は、
本願発明における「前記設定値と異なる場合に・・・堆積を自動的に継続する」に相当する。
そして、本願発明における「金属膜」も、引用発明における「AlGaAs薄膜21」も、共に、「薄膜」である点で共通する。

してみると、両者は、「第2 本願発明」で説示した、本願発明の技術的特徴点を含む以下の点で一致し、その他の点で相違する。
(一致点)
「成膜室でウエハに薄膜を堆積している間に前記薄膜に向けて照射されるX線ビームを生成するステップと、
前記薄膜のX線蛍光を検出して、前記薄膜のパラメータを求めるステップと、
求めたパラメータと設定値とを自動的に比較し、前記求めたパラメータが前記設定値と異なる場合に前記薄膜の堆積を自動的に継続するステップと、
を含む、半導体ウエハに堆積中の薄膜のパラメータを監視する方法。」
(相違点)
半導体ウエハ上に堆積中の監視対象である薄膜が、
本願発明は「金属膜」であるのに対し、引用発明は、「AlGaAs薄膜21」である点。

第5 当審の判断
前記相違点について検討する。
一般に、物質にX線を照射し、物質中の元素に固有の蛍光X線を検出することにより物質の性状を調べる手法を蛍光X線法という。
そして、監視対象である本願発明に係る金属膜も、引用発明に係るAlGaAs薄膜21も、いずれも、X線照射により蛍光X線を放出する物質から成る薄膜である。
しかも、このような蛍光X線法を用いて、半導体ウェハ上に設けられた金属膜のパラメータ(膜厚)を監視することは周知な技術事項である(例えば、特開平3-94444号公報(特に、4頁右下欄11行?5頁右上欄下から4行の記載、及び第3図、第4図には、Si基板22上に堆積されたAl膜の膜厚を蛍光X線を検出することにより測定している点が示されている。)や、特開平4-223210号公報(特に、「【従来の技術】一般にレチクルマスクやウェーハ上に形成される金属膜(例えばクロム膜)の膜厚測定として、蛍光X線を用いた蛍光X線法が知られている。この蛍光X線法による膜厚測定は、励起用一次X線を被測定膜に照射し、これにより発生する蛍光X線が膜厚に対応して変化することを応用して膜厚を測定する方法である。」(段落【0005】)の記載を参照のこと。)。
してみると、引用発明における監視対象である薄膜を、「AlGaAs薄膜21」に代えて、同様にX線照射により蛍光X線を放出する「金属膜」とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。

そして、本願発明において、監視対象を金属膜とした点に、格別顕著な作用効果があるものとも認められない。

第6 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-09 
結審通知日 2009-10-13 
審決日 2009-10-26 
出願番号 特願2002-564578(P2002-564578)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 下中 義之
松下 公一
発明の名称 膜堆積の間における金属の厚さの自動制御  
代理人 鈴木 正剛  
代理人 村松 義人  
代理人 佐野 良太  
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