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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E06B
管理番号 1213452
審判番号 不服2008-12598  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-22 
確定日 2010-03-08 
事件の表示 特願2004-245992「障子紙だけで障子貼りが完了する障子戸」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月 9日出願公開、特開2006- 37701〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成16年7月28日の出願であって、平成20年3月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月23日(受付日)に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、平成18年9月15日付け手続補正(平成18年9月19日受付)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「障子の格子を2枚用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側全面に、障子紙がずれるのを防ぐ為に弾力性のあるシリコンを付け、その間に障子紙を挟み、4隅をネジで固定する。安全の為、障子戸の落下を防ぐ為に、さらに外枠を設けて、その中にこの一対の格子を入れる方法。」(以下、この発明を「本願発明」という。)

2.刊行物及びその記載内容
(1)刊行物1:特開平7-279545号公報
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された上記刊行物1には、図面とともに、次のことが記載されている。
(1a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、障子紙を簡単に張り替えられる障子戸に関するものである。」
(1b)「【0006】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明する。本体(1)の縁に桟(3)の大きさにコの字形の溝を付け、本体(1)と桟(3)の間に障子紙(2)を挟み付けネジ(5)でしめつける、なを桟(3)には取り外しのための回動式取手(4)を装着する。本発明は以上のような構造で、これを使用するときは本体(1)と桟(3)の間に障子紙(2)を挟み付けネジ(5)で締めるだけで、障子紙(2)を簡単に張り替えが出来る、本体(1)の縁にコの字形の溝とさん(3)のL形の凸が障子紙(2)を挟んでかみ合うため障子紙をピーンとはる事が出来る、ゆがんだりしてもノリを水で薄めてきりふきすればピーンとはる事が出来る、なを障子紙を防風防水シートにすれば、丈夫で水洗いすることが出来る。」

(2)刊行物2:実願昭58-197849号(実開昭60-104581号)のマイクロフィルム
同じく、上記刊行物2には、図面とともに、次のことが記載されている。
(2a)「この実用新案は、分割する一対の障子格子の格子間に障子紙を入れ接着糊を使用せず、障子紙の張り替えが出来る2分割格子障子に関するものである。」(明細書1頁8?11行)
(2b)「本案は、その欠点を除く為に考案されたものでこれを図面について説明すると、
イ 障子戸(1)と一体に組まれた障子格子(2)と分割できる障子格子(2’)とその格子間に入る障子紙(3)。
ロ 障子紙(3)を両側から圧着する格子ゴム(4)。
ハ 格子障子(2)(2’)と格子紙(3)とを分割、および合体させるビス(5)、格子障子(2’)(2)にあけられた孔(6)。」(同2頁7?15行)。
(2c)「本案は、以上の様な構造であるから、これを使用する時は、
従来の障子紙の張り替えで必要とした接着糊、ハケ等を全く使用せずに、障子格子(2)(2’)と障子紙(3)とを固定しているビス(5)をゆるめて取り去り2分割にして、格子間にある障子紙(3)を取つて同寸法にカットした新しい障子紙(3)を再び格子間に入れて障子格子(2)(2’)と障子紙(3)とを密着させてビス(5)を締つけて合体させる、格子間に入つた障子紙(3)は対面する障子格子(2)(2’)の内側にある格子ゴム(4)によつて均一に圧着されるので、従来の様な張り残し、張りズレもないこれは接着糊を使用しないからです。また障子紙(3)をぬらす事もないので張り替え作業が終了すれば障子戸(1)を入れることも交差する開閉をしても障子紙(3)はシワ、剥れも発生しません。」(同2頁16行?3頁11行)

(3)刊行物3:実公昭12-5591号公報
同じく、上記刊行物3には、図面とともに、次のことが記載されている。なお、旧字体は新字体に変換した。
(3a)「本案ハ和洋共用張替自在障子ニ関ス。」(1頁本文3行)
(3b)「本案ニ於テハ障子外枠(1)ノ一側面ニ於テ其内側四辺ニ亙リテ凹入部ヲ設ケ之ニ内枠(2)ヲ嵌換自在に嵌合シ内枠(2)ニハ冬期ニ紙ヲ又夏期ニ適当荒目ノ布類(3)ヲ後記ノ如ク取換ヘ装着シ得ヘクナシ且全然糊類ヲ使用スルコトナク内外枠骨間ニテ緊張状態ニ紙又ハ布ヲ挟持シ斯クテ障子ノ表裏何レヨリ見ルモ同一外観ヲ呈セシム内枠(2)ニハ第三図乃至第五図ニ詳細ニ示ス如ク外枠(1)ノ凹所ニ嵌着セラルル部分ニ切欠ヲ設ケ此切欠部分ニ護謨條帯(4)ヲ嵌装シ其嵌装前ニ張替エヘキ紙又ハ布類ノ縁部ヲ護謨條帯(4)ニヨリ内方ニ折曲ケタル儘内側及側方ノ両側面に於テ緊張圧迫シ次ニ該護謨條帯(4)ヲ釘類(5)ニテ内枠(2)ニ締着ス斯クテ條帯(4)ノ装備ニヨリ荒目ノ布類ト雖モ内枠(2)上ニ充分ニ緊張シテ締着シ得ヘカラシムルノミナラス其弾性ニヨリ内枠(2)ヲ外枠(1)ノ凹所ニ外観ヲ損スルコトナク緊密ニ嵌合スルコトヲ得シム」(1頁本文4?10行)。

(4)刊行物4:実願昭48-93253号(実開昭50-39221号)のマイクロフィルム
同じく、上記刊行物4には、図面とともに、次のことが記載されている。
(4a)「この考案は、組子の取付けに工夫を施した障子戸の改良に関するものであつて、その構造を図面により説明すると、障子(1)を構成する召合框(2)と戸当框(3)の内側面に、夫々中央部が全長に亘つて開口する嵌合部(12)(13)を相対向し設け、組子(5)の竪枠(6)に竪枠の凹部(16)に嵌挿する凵状の胴部(17)と、その胴部(17)の両端より竪枠(6)外部の両側に折返す係止部(18)を設けた固定ピース(7)を嵌め込み、該ピース(7)を組子(5)の横桟(8)に固定用ビス(9)にて固定し、組子(5)に取付けたピース(7)の係止部(18)を、前記框(2)(3)の嵌合部(12)(13)に挿入して組子(5)を嵌合固定するものであって、…」(明細書1頁14行?2頁8行)
(4b)「本案障子戸は上記構造であるから、組子(5)と竪枠(6)を組み立てる際、竪枠(6)の凹部(16)にピース(7)の胴部(17)を嵌め込み、胴部(17)の挿入孔(19)より竪枠(6)を貫通して組子(5)の横桟(8)にビス(9)を螺入し、組子(5)と竪枠(6)を一体に組立てると共に、竪枠(6)の所々にピース(7)を固定し、竪枠(6)の外部両側にピース(7)の係止部(18)を突出せしめ、その係止部(18)を前記召合框(2)と戸当框(3)の嵌合部(12)(13)に挿入し、組子(5)を嵌合固定するものである。・・・」(同2頁16行?3頁8行)
(4c)「従つて本案障子戸は、組子の竪枠に取付けた固定ピースの係止部を、召合框と戸当框に設けた嵌合部に挿入して組立てられるものであるため、その組立操作が実に簡単であるは勿論、一旦組立てた組子は、上框か下框を取外さないかぎり、乱雑に障子戸を開閉しても離脱しないものである。・・・」(同3頁14行?4頁3行)。

(5)公知発明
上記刊行物1には、障子の格子を2枚(障子戸本体(a),桟本体(c)。以下、括弧内は各刊行物の部材名。)用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側全面に、障子紙がずれるのを防ぐ為にすべり止め(コの字形の溝とさん(3)のL形の凸)を付け、その間に障子紙(障子紙2)を挟み、4隅をネジ(ネジ5)で固定することが記載されている。
上記刊行物2には、障子の格子を2枚(障子格子2,2’)用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側全面に、障子紙がずれるのを防ぐ為にすべり止め(格子ゴム4)を付け、その間に障子紙を挟み、4隅をネジで固定することが記載されている。
上記刊行物3には、障子の格子を2枚(外枠1,内枠2)用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側に、障子紙がずれるのを防ぐ為にすべり止め(護謨状帯4)を付け、その間に障子紙(紙又は布類3)を挟み、固定することが記載されている。
以上のことからみて、本願の出願時において「障子の格子を2枚用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側全面に、障子紙がずれるのを防ぐ為にすべり止めを設け、その間に障子紙を挟み、4隅をネジで固定する方法」は、よく知られている公知技術であると認められる。また、刊行物2及び3に見られるとおり、すべり止めとして弾力性のあるゴムを用いることも、よく知られていたことが判る。
したがって、本願の出願時で、「障子の格子を2枚用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側全面に、障子紙がずれるのを防ぐ為にすべり止めのゴムを設け、その間に障子紙を挟み、4隅をネジで固定する方法」の発明(以下、この発明を「公知発明」という。)は、よく知られた発明であると認められる。

3.対比・判断

そこで、本願発明と公知発明とを比較すると、公知発明の「ゴム」と本願発明の「シリコン」とは弾力性のあるすべり止めである点で一致するから、両者は、
「障子の格子を2枚用意し、これを一対とし、この2枚の格子の内側全面に、障子紙がずれるのを防ぐ為に弾力性のあるすべり止めを付け、その間に障子紙を挟み、4隅をネジで固定する方法」で一致し、次の各点で相違する。
(相違点1)
弾力性のあるすべり止めとして、本願発明が「シリコン」を用いたのに対し、公知発明がゴムを用いている点。
(相違点2)
本願発明が「障子戸の落下を防ぐ為に、さらに外枠を設けて、その中にこの一対の格子を入れる」のに対し、公知発明はこのような構成を有しない点。

(相違点1について)
相違点1を検討すると、弾力性のあるすべり止めとして、シリコンは、ゴムと同様にごく普通に用いられる周知・慣用手段であるから、公知発明のゴムに替えてシリコンを採用することは当業者であれば容易になし得ることである。

(相違点2について)
相違点2を検討すると、上記刊行物4には、障子戸の格子(組子5)が離脱しないように、外枠(召合框2,戸当框3等)を設けて、その中に格子(組子5)を入れることが記載されている。
公知発明も刊行物4に記載の上記の発明も、ともに、障子戸において広く用いられている技術であり、両者を組み合わせることに特段の阻害要因も見あたらないことから、公知発明に、刊行物4に記載の上記の発明を用いることにより、公知発明の「一対の格子」を「外枠の中に入れる」構成を採用することは、当業者であれば、容易になし得ることである。
また、本願発明の「安全の為、障子戸の落下を防ぐ」という事項は、刊行物4記載の発明を採用することにより、当然得られる事項である。

そして、本願発明の効果も、公知発明及び刊行物4記載の発明から当業者が予測しうる範囲のものであって、格別のものではない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、公知発明及び刊行物4記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-18 
結審通知日 2010-01-05 
審決日 2010-01-19 
出願番号 特願2004-245992(P2004-245992)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 江成 克己横井 巨人  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 山本 忠博
宮崎 恭
発明の名称 障子紙だけで障子貼りが完了する障子戸  
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