• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1213600
審判番号 不服2006-22353  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-04 
確定日 2010-03-17 
事件の表示 特願2003-560757「コンテンツ配信装置およびコンテンツ作成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月24日国際公開、WO2003/60731〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2003年1月14日(優先権主張2002年1月16日,日本国)を国際出願とする出願であって,平成17年5月31日付けで拒絶理由通知がなされ,同年8月4日付けで手続補正がなされたが,平成18年8月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月4日に拒絶査定不服審判が請求され,同年10月25日付けで手続補正がなされ,平成21年6月26日付けで審尋がなされ,同年8月28日に回答書が提出され,同年12月8日に面接がなされ,同年12月18日に上申書が提出されたものである。

第2 平成18年10月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕平成18年10月25日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
その理由は以下のとおり。

〔理由〕

1.補正内容

平成18年10月25日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,平成17年8月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲(以下,「補正前の特許請求の範囲」という。)の記載事項を,以下のとおりの特許請求の範囲(以下,「補正後の特許請求の範囲」という。)の記載事項に補正することを含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)

「【請求項1】
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置は,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたこと,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

【請求項2】
コンピュータをネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置として機能させるための,コンピュータ可読なプログラムであって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記プログラムは,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたコンテンツ配信装置として機能させることを特徴とするプログラム。

【請求項3】
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置のCPUは,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録し,
前記コンテンツを配信し,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録し,
配信履歴の要求を受け付け,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

【請求項4】
ネットワークを通じて配信されるコンテンツの配信履歴を記録するコンテンツ配信履歴記録装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成され,さらに,前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,記録されており,
前記コンテンツ配信履歴記録装置は,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたこと,
を特徴とするコンテンツ配信履歴記録装置。

【請求項5】
コンピュータを,ネットワークを通じて配信されるコンテンツの配信履歴を記録するコンテンツ配信履歴記録装置として機能させるための,コンピュータ可読なプログラムであって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成され,さらに,前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,記録されており,
前記プログラムは,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段を備えたコンテンツ配信履歴記録装置,として機能させることを特徴とするプログラム。

【請求項6】
ネットワークを通じて配信されるコンテンツの配信履歴を記録するコンテンツ配信履歴記録装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成され,さらに,前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,記録されており,
前記コンテンツ配信履歴記録装置のCPUは,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録し,
配信履歴の要求を受け付け,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信履歴記録装置。

【請求項7】
コンピュータを利用することにより,ネットワークを通じてコンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されたコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録し,
前記コンテンツを配信し,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録し,
配信履歴の要求を受け付け,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信方法。

【請求項8】
請求項1から請求項3に記載のコンテンツ配信装置において,
前記コンテンツ配信履歴制御手段は,前記配信履歴記録手段に記録された,同一のコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

【請求項9】
請求項4から請求項6に記載のコンテンツ配信履歴記録装置において,
前記コンテンツ配信履歴制御手段は,前記配信履歴記録手段に記録された,同一のコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

【請求項10】
請求項7に記載のコンテンツ配信方法において,
前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力する工程に代えて,
前記配信履歴記録手段に記録された,同一のコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信方法。」

(補正後の特許請求の範囲)

「【請求項1】
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置は,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたこと,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

【請求項2】
コンピュータを,ネットワークを通じてコンテンツを配信する,コンテンツ配信装置として機能させるためのコンピュータ可読なプログラムであって,
前記コンテンツは,
コンテンツと広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記プログラムは,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたコンテンツ配信装置として機能させるプログラム。

【請求項3】
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置のCPUは,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,前記コンテンツを記録し,
前記コンテンツを配信し,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録し,
配信履歴の要求を受け付け,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

【請求項4】
ネットワークを通じて配信されるコンテンツの配信履歴を記録するコンテンツ配信履歴記録装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成され,さらに,前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,記録されており,
前記コンテンツ配信履歴記録装置は,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録する配信履歴手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信履歴記録装置。

【請求項5】
コンピュータを,ネットワークを通じて配信されるコンテンツの配信履歴を記録するコンテンツ配信履歴装置として機能させるための,コンピュータ可読なプログラムであって,
前記コンテンツは,
コンテンツと広告部分とを含むデータによって構成され,さらに,前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,記録されており,
前記プログラムは,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたコンテンツ配信履歴装置として機能させること,
を特徴とするコンピュータ可読なプログラム。

【請求項6】
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信履歴記録装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成され,さらに,前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,記録されており,
前記コンテンツ配信履歴記録装置のCPUは,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録し,
配信履歴の要求を受け付け,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴記録装置。

【請求項7】
コンピュータを利用することにより,ネットワークを通じてコンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されたコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報をを示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録し,
前記コンテンツを配信し,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を配信履歴データとして記録し,
配信履歴の要求を受け付け,
前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごと
に集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信方法。

【請求項8】
請求項1から請求項3に記載のコンテンツ配信装置,プログラムにおいて,
前記配信履歴データの集計の際,所定の時間帯における前記コンテンツへのアクセス数を集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信装置,プログラム。

【請求項9】
請求項4から請求項6に記載のコンテンツ配信履歴記録装置,プログラムにおいて,
前記配信履歴データの集計の際,所定の時間帯における前記コンテンツへのアクセス数を集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信履歴記録装置,プログラム。

【請求項10】
請求項7に記載のコンテンツ配信方法において,
前記配信履歴データの集計の際,所定の時間帯における前記コンテンツへのアクセス数を集計して出力すること,
を特徴とするコンテンツ配信方法。」

2.本件補正の適否

2.1 補正の目的について

本件補正による特許請求の範囲の補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下,単に「特許法第17条の2第4項」という。)各号に掲げる事項を目的とするものであるかを以下検討する。

(1)本件補正後の請求項1についての補正

本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下,「補正後の請求項1」という。)についての補正は,補正前の特許請求の範囲の記載と補正後の特許請求の範囲の記載とを対比すると,補正前の特許請求の範囲の請求項1,8のうちのいずれかを基礎としてなされたことが明らかである。

(1-1)補正前の特許請求の範囲の請求項1を基礎とした場合

補正前の特許請求の範囲の請求項1(以下,「補正前の請求項1」という。)と補正後の請求項1とを対比すると,補正後の請求項1についての補正は,少なくとも,補正前の請求項1の「前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段」という記載を,補正後の請求項1の「前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段」と変更する補正を含むものである。

(A)この変更する補正を検討すると,補正前の請求項1に記載された「前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出」す処理と,補正後の請求項1に記載された「前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出」する処理は,本件補正により「広告部分指示情報」から「同一の」という限定が省かれたことで明らかに処理が変更されており(本願明細書の「--2.装置等の構成--」,「--3.特許請求の範囲に記載した用語と実施形態との対応--」,及び関連する図面を参照すると,「広告部分指示情報」はad-IDに対応し,ad-IDの親番号(データ301では「CC」)が広告主を特定する識別子(広告部分提供元指示情報)を意味している。すると補正前の請求項1に記載された「前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出」す処理は,「同一」のad-IDを含む配信履歴データを選び出すのに対し,補正後の請求項1に記載された「前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出」する処理は,例えば広告主を特定する識別子(ad-IDの親番号)までが一致すれば,ad-IDが「同一」である必要はない。),「コンテンツ配信履歴制御手段」の構成を変更するものである。

(B)補正後の請求項1に記載された「あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出する」処理は,補正前の請求項1には「当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力する」前に,「前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データ」に対して処理を行う記載がないので,補正前の請求項1における発明特定事項を,概念的により下位の発明特定事項に限定する補正とはいえず,むしろ,補正前の請求項1における発明特定事項に「前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出する」処理を新たに追加したものである。

したがって,上記補正後の請求項1についての補正は,特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものとはいえない。
また,上記補正後の請求項1についての補正が,特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項(請求項の削除),同項第3号に掲げる事項(誤記の訂正)及び同項第4号に掲げる事項(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))のいずれを目的とするものでないことも明らかである。

(1-2)補正前の特許請求の範囲の請求項8を基礎とした場合

(A)補正後の請求項1についての補正が補正前の特許請求の範囲の請求項8(以下,「補正前の請求項8」という。)を基礎としてなされたものであると仮定しても,補正後の請求項1に記載された「前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出」する処理は,上記「(1-1)(A)」における検討と同様に,「広告部分指示情報」から「同一の」という限定が省かれたことで明らかに処理が変更されており,「コンテンツ配信履歴制御手段」の構成を変更するものである。

(B)補正後の請求項1に記載された「前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段」は,
(a)「前記配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,」「当該配信履歴データを,」「広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力する」ことが記載されていると読みとれるから,「当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一」「のものごとに集計して出力」しない処理,
(b)「前記配信履歴要求の要求元に応じて,」「前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一」「のものごとに集計して出力する」ことが読みとれるから,「当該配信履歴データを,」「広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力」しない処理,
を含むものであるが,これらの処理は補正前の請求項8に記載のない処理であるから,「コンテンツ配信履歴制御手段」の構成が変更されている。

したがって,上記補正後の請求項1についての補正は,特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものとはいえない。
また,上記補正後の請求項1についての補正が,特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項(請求項の削除),同項第3号に掲げる事項(誤記の訂正)及び同項第4号に掲げる事項(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))のいずれを目的とするものでないことも明らかである。

(2)本件補正後の請求項8についての補正

本件補正後の特許請求の範囲の請求項8(以下,「補正後の請求項8」という。)についての補正は,補正前の特許請求の範囲の記載と補正後の特許請求の範囲の記載とを対比すると,補正後の請求項8は,補正前の請求項8に対応するものである。

上記した補正前の請求項8と補正後の請求項8とを対比すると,補正後の請求項8についての補正は,少なくとも,補正前の請求項8の「コンテンツ配信装置」という記載を,補正後の請求項8の「コンテンツ配信装置,プログラム」と変更する補正,及び「前記配信履歴データの集計の際,所定の時間帯における前記コンテンツへのアクセス数を集計して出力する」ことを追加する補正を含むものである。

上記補正を検討すると,補正前の請求項8が引用する請求項2には「プログラム」の記載があるが,補正前の請求項8は請求項2に記載の「コンテンツ配信装置」を引用し,「コンテンツ配信装置」の発明とされているのに対して,「コンテンツ配信装置,プログラム」の発明とされている補正後の請求項8が補正前の請求項8をさらに限定するものでないことは明らかであって,特許請求の範囲を変更するものである。
また,補正後の請求項8は,補正前の請求項8に記載された「コンテンツ配信履歴制御手段」が実行する処理として,「前記配信履歴データの集計の際,所定の時間帯における前記コンテンツへのアクセス数を集計して出力する」ことを直列的に付加するものであり,特許請求の範囲の減縮といえるが,当該補正により,補正前の発明の課題が「コンテンツと広告の組合せ効果を測定する」ことであったのに対し,「時間帯別アクセス数を取得できる」という新たな課題が加わっているから,この補正は発明の解決しようとする課題を変更するものである。

したがって,上記補正後の請求項8についての補正は,特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものとはいえない。
また,上記補正後の請求項8についての補正が,特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項(請求項の削除),同項第3号に掲げる事項(誤記の訂正)及び同項第4号に掲げる事項(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))のいずれを目的とするものでないことも明らかである。

(3)補正の目的についてのまとめ

よって,本件補正後の請求項1,8についての補正は,特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから,適法でない請求項1,8についての補正を含む本件補正は,同項の規定に違反するものである。

したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

2.2 独立特許要件についての確認

上述のとおり,本件補正が,特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた事項を目的とするものに該当しないことは明らかであるが,請求人は請求の理由において,本件補正は限定的減縮を目的としている旨の主張をしているので,仮に,請求人が主張するように,本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-6863号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(A)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,データ配信元はリソース提供元から提供された音楽などのディジタル情報に,広告元の広告データを挿入し,ユーザ端末装置に対してインターネットなどの通信回線を通して無料で配信し,データ配信元はリソース提供元に対し著作権料を支払い,広告元からは広告料を徴収するようにした通信手段を利用したディジタル情報の無料配信方法に関する。」(第2?3頁)

(B)「【0017】
【発明の実施の形態】次に,この発明の通信手段を利用したディジタル情報の無料配信方法の実施の形態について図面に基づき説明する。図1はこの発明によるディジタル情報の無料配信方法の第1実施の形態が適用されるディジタル情報の無料配信システムの原理的システム構成を示すブロック図である。
【0018】この図1により,まず,この発明による第1実施の形態の特徴から説明する。図1において,リソース提供元10から提供される音楽などのディジタル情報がデータ配信元30に入力され,このデータ配信元30には,広告元20から広告データ(デジタルデータ)が入力される。データ配信元30では,リソース提供元10から提供される音楽などのディジタル情報に広告元20から提供される広告データを挿入して通信回線としてのインターネット40(以下の説明では,通信回線としてインターネットを提供した場日で説明を進める)を通して,ユーザ端末装置50に無料で配信する。データ配信元30は,ディジタル情報をユーザ端末装置50に配信した後には,リソース提供元102対して著作権を支払い,広告元20に対しては,広告料を徴収する。」(第4?5頁)

(C)「【0020】この図2においては,データ配信元300のリソースインタフェース部301に音楽などのディジタル情報を提供しするリソース提供元100と,データ配信元300のリソースインタフェース部301に対して広告データを提供する広告元200と,通信回線としてのインターネット400と,ユーザ端末装置500と,ユーザ端末装置500で受信したディジタル情報を再生するユーザ再生装置600とから構成されている。上記リソース提供元100は,販売するための音楽などのディジタル情報を一括して大量に保有,管理している。また,上記広告元200は広告データを保有,管理している。この広告元200は,データ配信元300のリソースインタフェース部301に対して広告データを提供する。
【0021】上記データ配信元300は,リソースインタフェース部301と,リソース加工部302と,記憶部303と,ユーザインターフェース部304とから構成されている。このうち,リソースインタフェース部301がリソース提供元100から音楽などのディジタル情報を受け取るとともに,広告元200から広告データを受け取り,リソース加工部302に送る。また,リソースインタフェース部301は,配信数情報から広告料を広告元200へ請求し,この広告料を広告元200から受け取るとともに,リソースインタフェース部301は著作権料をリソース提供元100に支払う。リソース提供元100と,広告元200と,リソースインタフェース部301の間は,インターネットによる接続のほかに,光ディスク,磁気ディスク,書面のやり取りなどが考えられる。」(第5頁)

(D)「【0026】次に,この図2に示すディジタル情報の無料配信システムに適用したこの発明による通信手段を利用したディジタル情報の無料配信方法の第1実施の形態の動作について,図3に示すシーケンス説明図に沿って説明する。リソース提供元100よりデータ配信元300のリソースインタフェース部301に対して音楽などのディジタル情報のデータを提供する(ステップA1)。この場合のディジタル情報のデータの提供方法は光ディスク・磁気ディスクなどのメディアの使用や,インターネットなどの通信ネットワークの使用が考えられる。
【0027】次に,広告元200よりデータ配信元300のリソースインタフェース部301に対して広告データを提供する(ステップA2)。この場合の広告データの提供方法は光ディスク・磁気ディスクなどのメディアの使用やインターネットなどの通信ネットワークの使用が考えられる。
【0028】次に,リソースインタフェース部301で受け付けた音楽などのディジタル情報と広告データをリソース加工部302に転送する(ステップA3)。リソース加工部302において,音楽などのディジタル情報への広告データの挿入・合成が,行われ,データをインターネット400で配信可能なファイル形式(MP3など)に圧縮し,配信用ディジタル情報として記憶部303に転送し,蓄積する(ステップA4)。
【0029】この状態で,ユーザ端末装置500より,インターネット400を通じ,ユーザインタフェース部304にアクセスして,ユーザ端末装置500からデータ配信元300に対して,音楽などのディジタル情報の配信要求を行う(ステップA5)。これにより,ユーザインタフェース部304から記憶部303に対して,データ読み出し要求を行う(ステップA6)。この要求を受けて,記憶部303からユーザインタフェース部304に対してデータの転送を行う(ステップA7)。
【0030】このデータの転送を受けたユーザインタフェース部304は,ユーザ端末装置500に対して,音楽などのディジタル情報を配信する(ステップA8)。ユーザ端末装置500への配信が終了したことを確認し,ユーザ端末装置500からユーザインタフェース部304に対し,配信終了を通知すると,ユーザインタフェース部304はユーザ端末装置500への配信数をカウントし,加算する(ステップA9)。
【0031】次いで,ユーザインタフェース部304はユーザ端末装置500への配信数を記憶部303に転送し,記憶部303では配信数を蓄積する(ステップA10)。記憶部303に蓄積された配信数はリソースインタフェース部301に転送される(ステップA11)。リソースインタフェース部301で配信数が集計され,データ配信元300より配信数に応じて広告元200に広告料を請求する(ステップA12)。広告元200はデータ配信元300に対して広告料を支払う(ステップA13)。引き続き,データ配信元300はリソース提供元100に対し,著作権料を支払う(ステップA14)。」(第5?6頁)

(E)「【0038】なお,上記第1実施の形態では,配信するディジタル情報としては音楽情報を例に説明したが,その他,画像情報,ニュース(文字情報)などが考えられる。
【0039】
【発明の効果】以上のように,この発明によれば,データ配信元はリソース提供元から提供されたディジタル情報に,広告元の広告データを挿入し,ユーザ端末装置に対して通信回線を通じ無料で配信するとともに,データ配信元はリソース提供元に対し著作権料を支払い,広告元からは広告料を徴収するようにしたので,ディジタル情報の無料配信を可能にし,広告元の広告料の節約を可能とし,ユーザにとって何度もディジタル情報の受信が可能で,セキュリティ上の問題,著作権侵害発生の問題を抑制することができる。
【0040】また,この発明によれば,リソース提供元からディジタル情報と広告元からの広告データを広告データ配信元のリソースインタフェース部で受け取って,リソース加工部ディジタル情報に広告データを挿入して通信回線で配信可能なファイル形式に圧縮して,配信用ディジタル情報を記憶部に記憶し,ユーザ端末装置から通信回線を通してユーザインタフェース部にアクセスして配信用ディジタル情報の配信要求を行うと,ユーザインタフェース部により記憶部から配信用ディジタル情報を読み出してユーザ端末装置に無料配信し,ユーザ端末装置が配信用ディジタル情報の配信終了を確認すると,ユーザインタフェース部に対して配信終了を通知することにより,リソースインタフェース部で配信数を集計して,データ配信元より広告元に対して配信数に応じて広告料を請求し,かつ広告料を領収するとともに,リソース提供元に対して著作権料を支払うようにしたので,記録媒体を無駄にしなくなるとともに,多種のディジタル情報を入手することができ,データ配信元側で広告収入と著作権料支払が可能となり,それに伴うユーザ無料配信可能を実現でき,ユーザにとっては,支払時に問題になるクレジットカード番号のやり取りなどのリスクが無くなり,かつSDMIとは違って著作権保護のため他のパソコンで使用できないといった課題を解消することができる。また,無料配信サービスににより,ユーザは何度も配信を受けることができ,広告元としては,広告の効果を高めることができるとともに,広告元にとっては,ダウンロード数に応じ広告料の支払が可能となり,広告の効果に応じた負担をすることができる。」(第6?7頁)

これらの記載によれば引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「リソース提供元から提供される音楽などのディジタル情報に,広告元の広告データを挿入して通信回線としてのインターネットを通して,ユーザ端末装置に無料で配信するディジタル情報の無料配信方法であって,
インターネットを通してディジタル情報を配信するデータ配信元300は,リソースインタフェース部301と,リソース加工部302と,記憶部303と,ユーザインタフェース部304とから構成されており,
リソース加工部302において,前記音楽などのディジタル情報に広告データの挿入・合成が行われ,データをインターネット400で配信可能なファイル形式(MP3など)に圧縮して,配信用ディジタル情報として記憶部303に蓄積し,
ユーザインタフェース部304は,ユーザ端末装置500に対して,前記記憶部303に蓄積された配信用ディジタル情報を配信し,ユーザ端末装置500への配信が終了したことを確認すると,ユーザインタフェース部304はユーザ端末装置500への配信数をカウントし,加算し,次いで,ユーザインタフェース部304はユーザ端末装置500への配信数を記憶部303に転送し,記憶部303では配信数を蓄積し,
前記記憶部303に蓄積された配信数はリソースインタフェース部301で配信数が集計され,
データ配信元300より配信数に応じて広告元200に広告料を請求し,広告元200はデータ配信元300に対して広告料を支払い,引き続き,データ配信元300はリソース提供元100に対し,著作権料を支払う
ことを含むディジタル情報の無料配信方法。」

(2)対比

本件補正発明と引用発明とを対比すると,引用発明の「配信用ディジタル情報」は,「リソース提供元から提供される音楽などのディジタル情報」に「広告データ」を挿入・合成したものであるから,コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されているといえ,引用発明の「配信用ディジタル情報」,「リソース提供元から提供される音楽などのディジタル情報」,「広告データ」は本件補正発明の「コンテンツ」,「コンテンツ部分」,「広告部分」にそれぞれ相当する。

引用発明においてコンテンツ(配信用ディジタル情報)を配信する「データ配信元300」,データ配信元300を構成しコンテンツを蓄積する「記憶部303」,及びコンテンツを配信する「ユーザインタフェース部304」は本件補正発明の「コンテンツ配信装置」,「コンテンツ記録手段」,及び「コンテンツ配信手段」にそれぞれ相当する。

引用発明の「配信数」と本件補正発明の「配信履歴」はともに,配信したことを示すデータである点で共通である。そして引用発明は,配信したことを示すデータ(配信数)を配信履歴データとして記憶部303に記録しているといえ,引用発明の「記憶部303」は本件補正発明の「配信履歴記録手段」に相当する。
引用発明の「リソースインタフェース部301」は配信履歴記録手段(記憶部303)に記録された,配信履歴データ(配信数)を,集計して出力するといえ,本件補正発明の「コンテンツ配信履歴制御手段」に相当する。

したがって,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。

[一致点]
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置は,
前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,配信したことを示すデータを
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
前記配信履歴記録手段に記録された,配信履歴データを,集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたこと,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

[相違点1]
コンテンツ記録手段に関して,本件補正発明のコンテンツ記録手段は,「前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,前記コンテンツを記録」するのに対して,
引用発明の記録部303はそのような「コンテンツ部分指示情報」及び「広告部分指示情報」と対応づけて,配信用ディジタル情報を記録する記載がない点。

[相違点2]
本件補正発明の配信履歴記録手段は「当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録」し,
またコンテンツ配信履歴制御手段は「配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力する」するのに対して,
引用発明の記憶部303はユーザ端末装置500への配信数を蓄積し,
またリソースインタフェース部301は配信数を集計する際に,そのような「広告部分指示情報」及び「コンテンツ部分指示情報」を用いた集計を行っていない点。

[相違点3]
本件補正発明のコンテンツ配信装置は「配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段」を備えるのに対して,
引用発明のデータ配信元300は「配信履歴要求受付手段」を備えていない点。

(3)判断

上記相違点について検討する。

[相違点1]について
特開2001-273405号公報の【0031】,及び関連する図面(特に図6(A)の曲データ),特開平9-83991号公報の【0044】,及び関連する図面,特開2001-357300号公報の【0045】,【0061】?【0067】,及び関連する図面に記載があるように,コンテンツに広告情報を含めて配信し,広告主に課金を行うシステムにおいて,コンテンツを構成するコンテンツ部分及び広告部分のそれぞれにID(本件補正発明における「コンテンツ部分指示情報」及び「広告部分指示情報」に相当)を付与し,コンテンツ部分と広告部分の組合せを管理することは,本願出願前に周知(以下,「周知技術1」という。)である。
引用発明のコンテンツ配信装置(データ配信元300)においても,リソース提供元が複数あって複数のコンテンツ部分(音楽などのディジタル情報)が提供されたり,あるいは広告元が複数あって複数の広告部分(広告データ)が提供されたときに,配信するコンテンツ(配信用ディジタル情報)のコンテンツ部分と広告部分の組合せを管理することは自明な課題であるから,周知技術1を適用して,「前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,前記コンテンツを記録」するように構成することは当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]について
コンテンツの配信が行われる際に,ログ情報(本件補正発明における「配信履歴」に相当)を記録することは通常に行われているから,引用発明のコンテンツ配信装置(データ送信元300)がコンテンツ(配信用ディジタル情報)を配信した際に,配信数だけでなく,配信履歴(ログ情報)を配信履歴データとして記録することに格別の困難性はない。
また特開2001-249927号公報の【0046】,【0051】?【0052】,及び関連する図面,特開2001-357300号公報の【0063】?【0067】,【0117】?【0019】,及び関連する図面に記載があるように,コンテンツに広告情報を含めて配信するシステムにおいて,どの広告情報がどのコンテンツ情報と関係して配信されたかがわかるように配信履歴(ログ情報)を記録し,集計をとることは本願出願前に周知(以下,「周知技術2」という。)である。
そうすると上記「[相違点1]について」において述べたように,引用発明のコンテンツ配信装置に周知技術1を適用して「前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応づけて,前記コンテンツを記録」したときに,当該記録したコンテンツを配信するコンテンツ配信装置が周知技術2のように,どの広告情報がどのコンテンツ情報と関係して配信されたかがわかるべく「当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連づけて,配信履歴を配信履歴データとして記録」し,集計をとることに格別の困難性はない。
また記録した配信履歴データの集計方法として,誰がどのような手順で,何をキーとして集計するのかは当業者が適宜設計し得る事項であるから,配信履歴データを,「配信履歴要求の要求元に応じて,前記配信履歴記録手段に記録された広告部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出し,あるいは,前記配信履歴記録手段に記録されたコンテンツ部分指示情報を含む配信履歴データを選択的に抽出するとともに,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一又は広告部分指示情報が同一のものごとに集計して出力する」ことは当業者が適宜なし得たことである。

[相違点3]について
ユーザに情報を提供する際に,ユーザから要求を受け付け,当該受け付けた要求の要求元(ユーザ)に応じて,提供可能な情報を処理することは通常に行われており,引用発明のコンテンツ配信装置(データ送信元300)に「配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段」を設け,当該受け付けた配信履歴要求の要求元に応じて配信履歴データを処理させることに格別の困難性はない。
そして,本件補正発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予想できる程度のものであって,格別のものではない。

したがって,本件補正発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)独立特許要件についてのまとめ

以上のとおり,仮に,本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても,本件補正発明は,引用発明に記載された事項,及び周知事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり,特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本件補正についてのむすび

上記2.1のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するのものであり,仮にそうでないとしても,上記2.2のとおり,本件補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであるから,いずれにしても,本件補正は,特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明

平成18年10月25日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成17年8月4日付けの手続補正書の請求項1に記載された,以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置は,
前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段,
前記配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたこと,
を特徴とするコンテンツ配信装置。」

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び発明は,上記「第2 2.2(1)」に記載したとおりである。

3.対比

本願発明と引用発明とを対比すると,引用発明の「配信用ディジタル情報」は,「リソース提供元から提供される音楽などのディジタル情報」に「広告データ」を挿入・合成したものであるから,コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されているといえ,引用発明の「配信用ディジタル情報」,「リソース提供元から提供される音楽などのディジタル情報」,「広告データ」は本願発明の「コンテンツ」,「コンテンツ部分」,「広告部分」にそれぞれ相当する。

引用発明においてコンテンツ(配信用ディジタル情報)を配信する「データ配信元300」,データ配信元300を構成しコンテンツを蓄積する「記憶部303」,及びコンテンツを配信する「ユーザインタフェース部304」は本願発明の「コンテンツ配信装置」,「コンテンツ記録手段」,及び「コンテンツ配信手段」にそれぞれ相当する。

引用発明の「配信数」と本願発明の「配信履歴」はともに,配信したことを示すデータである点で共通である。そして引用発明は,配信したことを示すデータ(配信数)を配信履歴データとして記憶部303に記録しているといえ,引用発明の「記憶部303」は本願発明の「配信履歴記録手段」に相当する。
引用発明の「リソースインタフェース部301」は配信履歴記録手段(記憶部303)に記録された,配信履歴データ(配信数)を,集計して出力するといえ,本願発明の「コンテンツ配信履歴制御手段」に相当する。

したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。

[一致点]
ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって,
前記コンテンツは,
コンテンツ部分と広告部分とを含むデータによって構成されており,
前記コンテンツ配信装置は,
前記コンテンツを記録するコンテンツ記録手段,
前記コンテンツを配信するコンテンツ配信手段,
前記コンテンツの配信が行われる際,配信したことを示すデータを
配信履歴データとして記録する配信履歴記録手段,
前記配信履歴記録手段に記録された,配信履歴データを,集計して出力するコンテンツ配信履歴制御手段,を備えたこと,
を特徴とするコンテンツ配信装置。

[相違点1]
コンテンツ記録手段に関して,本願発明のコンテンツ記録手段は,「前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録」するのに対して,
引用発明の記録部303はそのような「コンテンツ部分指示情報」及び「広告部分指示情報」と対応付けて,配信用ディジタル情報を記録する記載がない点。

[相違点2]
本願発明の配信履歴記録手段は「当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を配信履歴データとして記録」し,
またコンテンツ配信履歴制御手段は「配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力」するのに対して,
引用発明の記憶部303はユーザ端末装置500への配信数を蓄積し,
またリソースインタフェース部301は配信数を集計する際に,そのような「広告部分指示情報」及び「コンテンツ部分指示情報」を用いた集計を行っていない点。

[相違点3]
本願発明のコンテンツ配信装置は「配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段」を備えるのに対して,
引用発明のデータ配信元300は「配信履歴要求受付手段」を備えていない点。

4.判断

上記相違点について検討する。

[相違点1]について
特開2001-273405号公報の【0031】,及び関連する図面(特に図6(A)の曲データ),特開平9-83991号公報の【0044】,及び関連する図面,特開2001-357300号公報の【0045】,【0061】?【0067】,及び関連する図面に記載があるように,コンテンツに広告情報を含めて配信し,広告主に課金を行うシステムにおいて,コンテンツを構成するコンテンツ部分及び広告部分のそれぞれにID(本願発明における「コンテンツ部分指示情報」及び「広告部分指示情報」に相当)を付与し,コンテンツ部分と広告部分の組合せを管理することは,本願出願前に周知(以下,「周知技術1」という。)である。
引用発明のコンテンツ配信装置(データ配信元300)においても,リソース提供元が複数あって複数のコンテンツ部分(音楽などのディジタル情報)が提供されたり,あるいは広告元が複数あって複数の広告部分(広告データ)が提供されたときに,配信するコンテンツ(配信用ディジタル情報)のコンテンツ部分と広告部分の組合せを管理することは自明な課題であるから,周知技術1を適用して,「前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録」するように構成することは当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]について
コンテンツの配信が行われる際に,ログ情報(本願発明における「配信履歴」に相当)を記録することは通常に行われているから,引用発明のコンテンツ配信装置(データ送信元300)がコンテンツ(配信用ディジタル情報)を配信した際に,配信数だけでなく,配信履歴(ログ情報)を配信履歴データとして記録することに格別の困難性はない。
また特開2001-249927号公報の【0046】,【0051】?【0052】,及び関連する図面,特開2001-357300号公報の【0063】?【0067】,【0117】?【0019】,及び関連する図面に記載があるように,コンテンツに広告情報を含めて配信するシステムにおいて,どの広告情報がどのコンテンツ情報と関係して配信されたかがわかるように配信履歴(ログ情報)を記録し,集計をとることは本願出願前に周知(以下,「周知技術2」という。)である。
そうすると上記「[相違点1]について」において述べたように,引用発明のコンテンツ配信装置に周知技術1を適用して「前記コンテンツ部分に関する情報を示すコンテンツ部分指示情報および前記広告部分に関する情報を示す広告部分指示情報と対応付けて,前記コンテンツを記録」したときに,当該記録したコンテンツを配信するコンテンツ配信装置が周知技術2のように,どの広告情報がどのコンテンツ情報と関係して配信されたかがわかるべく「当該コンテンツに対応づけて記録されているコンテンツ部分指示情報および広告部分指示情報に関連付けて,配信履歴を配信履歴データとして記録」し,集計をとることに格別の困難性はない。
また記録した配信履歴データの集計方法として,どのような手順で,何をキーとして集計するのかは当業者が適宜設計し得る事項であるから,配信履歴データを,「配信履歴要求に基づいて,前記配信履歴記録手段に記録された,同一の広告部分指示情報を含む配信履歴データを選び出し,当該配信履歴データを,コンテンツ部分指示情報が同一のものごとに集計して出力」することは当業者が適宜なし得たことである。

[相違点3]について
データ処理の要求を受け付け,当該受け付けた要求に基づいてデータを処理することは通常に行われており,引用発明のコンテンツ配信装置(データ送信元300)に「配信履歴の要求を受け付ける配信履歴要求受付手段」を設け,当該受け付けた配信履歴の要求に基づいて配信履歴データを処理させることに格別の困難性はない。
そして,本願発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予想できる程度のものであって,格別のものではない。

したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお,請求人は,平成21年12月18日付け提出の上申書において,本願発明と引用発明の相違点として,
「しかし,引用文献1のものは,コンテンツと広告の組合せの有効性を測定しようとするものではない。確かに,コンテンツと広告の組合せをしているが,それは送信の都度自動的になされるものであり,ユーザが再度同じ組合せのコンテンツの送信を希望しても,それはかなえられない。つまり,コンテンツと広告の組合せが好ましいものであってユーザに対する訴求力があったとしても,閲覧数が増えることにはならない。つまり,引用文献1のものにおいては,閲覧数は,単に広告料の請求に用いられるにすぎず,コンテンツと広告が自動的に組み合わされて送信されるのであるから,これをコンテンツと広告の組合せの適合性の計測資料として用いることはできない。」,
「「コンテンツ部分と広告部分とを含むデータ」は,実施形態(図8A参照)においても,コンテンツと広告が一体となったものだけを示しており,そのように解釈されるべきものであると確信する。」
と主張しているが,
本願発明では,「コンテンツ部分と広告部分とを含むデータ」がどのように生成されたデータであるのかを明確に特定しておらず,「コンテンツ部分と広告部分とを含むデータ」について,本願明細書中の実施形態が示すプロモーション映像のような形式でコンテンツと広告が一体となったものだけを使用することに限定して解することはできないから,上記請求人の主張は請求項に記載された事項に基づかないものである。
仮に,本願発明における「コンテンツ部分と広告部分とを含むデータ」が請求人が主張するように,本願明細書中の実施形態が示すコンテンツと広告が一体となったものだけであったとしても,本願出願前に公知であった特開2001-308857号公報(特に【0093】,及び図6)には,情報配信システムにおいて,コンテンツと広告が一体となったもの(俳優が所定の商品を使用するドラマの場面)を情報配信することが開示されており,周知技術1,2を適用して配信履歴を記録し,集計を行う対象を上記特開2001-308857号公報が開示するコンテンツと広告が一体となったものにすることで,上記請求人が主張する相違点に係る構成を導くことは当業者にとって適宜変更し得ることである。


第4 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-14 
結審通知日 2010-01-18 
審決日 2010-02-02 
出願番号 特願2003-560757(P2003-560757)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 義晴  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 近藤 聡
五十嵐 努
発明の名称 コンテンツ配信装置およびコンテンツ作成方法  
代理人 鶴本 祥文  
代理人 古谷 栄男  
代理人 松下 正  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ