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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1213636
審判番号 不服2008-21813  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-26 
確定日 2010-03-16 
事件の表示 特願2002-256976号「自動車用照明および表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 9日出願公開、特開2003-132713号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1 手続の経緯

本件出願は、平成14年 9月 2日(パリ条約による優先権主張2001年 8月31日、フランス国)の出願であって、平成20年 5月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年 8月26日に本件審判請求がなされるとともに、同年 9月24日付けで手続補正(前置補正)がなされたものである。


2 平成20年 9月24日付けでした手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

【補正却下の決定の結論】

本件補正を却下する。

【理由】

2.1 本件補正

本件補正は、平成20年 3月 4日付け手続補正書によって補正された請求項1の、
「【請求項1】 光源(18)から発せられた光線を入力面(12)を通して光ガイド(10)まで伝え、これに進入させ、光線を伝えるための中間部分(16)を介して光ガイドの出力面(14)まで送るための、少なくとも2つの光源(18)に関連した少なくとも1つの光ガイド(10)を備えた、自動車用の照明または表示装置において、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に光ガイド(10)の出力面(14)が構成されており、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面(12)が構成され、前記中間部分(16)が前記出力面(14)に向けて外向き傾斜していることを特徴とする照明または表示装置。」
という記載を、
「【請求項1】
光源(18)から発せられた光線を入力面(12)を通して光ガイド(10)まで伝え、これに進入させ、光線を伝えるための中間部分(16)を介して光ガイドの出力面(14)まで送るための、少なくとも2つの光源(18)に関連した少なくとも1つの光ガイド(10)を備えた、自動車用の照明または表示装置において、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に光ガイド(10)の出力面(14)が構成されており、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面(12)が構成され、前記中間部分(16)が前記出力面(14)に向けて外向き傾斜し、前記入力面(12)通過後で前記出力面(14)通過前の全ての光線が、基本的に平行光線から成るビームを構成していることを特徴とする照明または表示装置。」
と補正しようとするものである。
すなわち当該補正は、本願の請求項1に係る発明の照明または表示装置について、「前記入力面(12)通過後で前記出力面(14)通過前の全ての光線が、基本的に平行光線から成るビームを構成している」と限定しようとするものである。

この補正は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて新規事項を追加するものでなく、しかも、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か)について、以下に検討する。


2.2 本願補正発明

本件補正後の本件出願の請求項1に係る発明は、上記本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
光源(18)から発せられた光線を入力面(12)を通して光ガイド(10)まで伝え、これに進入させ、光線を伝えるための中間部分(16)を介して光ガイドの出力面(14)まで送るための、少なくとも2つの光源(18)に関連した少なくとも1つの光ガイド(10)を備えた、自動車用の照明または表示装置において、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に光ガイド(10)の出力面(14)が構成されており、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面(12)が構成され、前記中間部分(16)が前記出力面(14)に向けて外向き傾斜し、前記入力面(12)通過後で前記出力面(14)通過前の全ての光線が、基本的に平行光線から成るビームを構成していることを特徴とする照明または表示装置。」
(以下「本願補正発明」という。)


2.3 引用刊行物とその記載事項

(1)引用刊行物に記載された事項

原査定の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である実願昭49-85977号(実開昭51-14573号)のマイクロフィルム(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに次のように記載されている。

(ア)「本案は車輌用方向指示灯や尾灯等の改良に関する。以下本案の一実施例について図を用いて説明する。
(1)は尾灯の指示部で、該指示部(1)の前面には円形窓(2)とその周縁部のリング窓(3)とから成る表示窓(4)を設けてある。(5)は反射鏡(6)を備え前記円形窓(2)に対向して設けた第1の電球、(7)は該電球(5)の後方に設置された第2の電球である。(8)は前記反射鏡(6)を裏側から包囲する肉厚腕状の透光性樹脂体で、底面の中心部に前記第2の電球(7)を収納する空間部(9)を有し底部(10)の外側面には第2の電球(7)の光を前方へ反射する錐面状の反射面(11)が形成してあり、上面で前記リング窓(3)と連結している。」(明細書第1頁第16行?同第2頁第9行)

(イ)「前記反射面(11)は第2の電球(7)光のうち上記底部(10)中を透過したものが該反射面(11)で反射された後電球(5)の中心軸に平行な方向に沿って前進せしめられる如く反射されるような傾角を有している。」(明細書第2頁第11行?同第15行)


(2)引用刊行物の記載より、引用刊行物に記載されていることが明らかな事項

(a)上記摘記事項(ア)及び第1図より、透光性樹脂体(8)は入力面、中間部分及び出力面を有するもので、光線は、入力面を通して透光性樹脂体(8)まで伝え、これに進入させ、光線を伝えるための中間部分を介して透光性樹脂体(8)の出力面まで送ることは明らかな事項である。

(b)上記摘記事項(ア)及び第1図より、透光性樹脂体が肉厚腕状であること、すなわち、境界を定める2本の閉じたラインにて連続する輪郭の境界を定めていることは明らかである。

(c)上記摘記事項(ア)及び第1図より、肉厚腕状の透光性樹脂体の出力面は、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に構成されることは明らかである。

(d)上記摘記事項(ア)及び第1図より、肉厚腕状の透光性樹脂体の入力面は、出力面に隣接する内側輪郭および外側輪郭に接続された連続する輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に構成されることは明らかである。

(e)上記摘記事項(ア)及び第1図より、出力面が入力面の外側に位置していることは明らかである。


(3)引用発明

すると、引用刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているということができる。

「第2の電球(7)から発せられた光線を入力面を通して透光性樹脂体(8)まで伝え、これに進入させ、光を伝えるための中間部分を介して透光性樹脂体(8)の出力面まで送るための、少なくとも1つの透光性樹脂体(8)を備えた、車輌用方向指示灯や尾灯等において、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に透光性樹脂体(8)の出力面が構成されており、出力面に隣接する内側輪郭および外側輪郭に接続された連続する輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され、出力面が入力面の外側に位置し、前記入力面通過後で前記出力面通過前の全ての光が、基本的に平行光線から成る光を構成している車輌用方向指示灯や尾灯等。」


2.4 対比

本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「第2の電球(7)」、「透光性樹脂体(8)」及び「光」は、それぞれ、本願補正発明の「光源」、「光ガイド」及び「光線又はビーム」に相当する。
また、引用発明の「車輌用方向指示灯や尾灯等」は、本願補正発明の「自動車用の照明または表示装置」に対応するものである。

引用発明の「出力面に隣接する内側輪郭および外側輪郭に接続された連続する輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され、」と本願補正発明の「連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され、」は、本願補正発明では、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に出力面も構成されるものであり、「出力面に隣接する内側輪郭および外側輪郭に接続された連続する輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され」ている限りにおいて共通している。
また、引用発明の「出力面が入力面の外側に位置し、」と本願補正発明の「前記中間部分が前記出力面に向けて外向き傾斜し、」は、本願補正発明の中間部分は入力面に連続しており、「出力面が入力面の外側に位置し」ている限りにおいて共通している。

してみると、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。


<一致点>

「光源から発せられた光線を入力面を通して光ガイドまで伝え、これに進入させ、光を伝えるための中間部分を介して光ガイドの出力面まで送るための、少なくとも1つの光ガイドを備えた、自動車用の照明または表示装置において、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に光ガイドの出力面が構成されており、出力面に隣接する内側輪郭および外側輪郭に接続された連続する輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され、出力面が入力面の外側に位置し、前記入力面通過後で前記出力面通過前の全ての光線が、基本的に平行光線から成るビームを構成している自動車用の照明または表示装置。」


<相違点>

本願補正発明では、光源は少なくとも2つであり、光ガイドは、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され中間部分が出力面に向けて外向き傾斜しているのに対して、引用発明では光源は1つであり、光ガイドについては、出力面が入力面の外側に位置してはいるものの、内側輪郭および外側輪郭の間に入力面が構成されてはおらず、中間部分が出力面に向けて外向き傾斜していない点。


2.5 相違点についての検討(容易想到性の判断)

(1)上記相違点について検討する。

<相違点>について

円筒形の光ガイドにおいて、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され、入力面に少なくとも2つの光源を配設することは周知の技術であり(例えば、実願昭59-160979号(実開昭61-76610号)のマイクロフィルムの第3頁第1行?同第4頁第12行及び第1図、特開平11-213730号公報の【0010】段落及び【図1】?【図3】、特開平5-298534号公報の【0012】段落及び【図1】参照。以下「周知技術1」という。)、また、自動車用の照明または表示装置において、少なくとも2つの光源を配設して円環状の照明または表示を行うことも周知の技術である(例えば、特開平11-321438号公報の【0003】?【0004】段落及び【図1】?【図2】、特開平2001-60405号公報の【0025】段落及び【図1】参照。以下「周知技術2」という。)。
ここで、光ガイドの入力面の形成の態様及び中間部分の構成は、平行光線から成るビームを構成し得るという範囲内において、当業者であれば適宜設計し得るものである。そして、引用発明の光ガイドは本願補正発明の光ガイドと同じく、入力面通過後で出力面通過前の全ての光線が基本的に平行光線から成るビームを構成し得るものであるから、引用発明の、出力面に隣接する内側輪郭および外側輪郭から連続する輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され出力面が入力面の外側に位置する光ガイドに、上記周知技術1及び2を適用し、光ガイドを、本願補正発明のように、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面が構成され中間部分が出力面に向けて外向き傾斜するものとし、光源は少なくとも2つとする程度のことは当業者であれば容易に想到し得る。


(2)効果について

本願補正発明の作用効果は、引用発明及び上記周知技術1及び2から、当業者であれば予測できる範囲のものにすぎない。


(3)総合判断

本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


2.6 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


3 本願発明について

平成20年 9月24日付けでした手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1?12に係る発明は平成20年 3月 4日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】 光源(18)から発せられた光線を入力面(12)を通して光ガイド(10)まで伝え、これに進入させ、光線を伝えるための中間部分(16)を介して光ガイドの出力面(14)まで送るための、少なくとも2つの光源(18)に関連した少なくとも1つの光ガイド(10)を備えた、自動車用の照明または表示装置において、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に光ガイド(10)の出力面(14)が構成されており、連続する内側輪郭および連続する外側輪郭の境界を定める2本の閉じたラインの間に入力面(12)が構成され、前記中間部分(16)が前記出力面(14)に向けて外向き傾斜していることを特徴とする照明または表示装置。」
(以下「本願発明」という。)


4 引用刊行物

原査定の拒絶の理由で引用された引用刊行物、その記載事項及び引用発明は上記2【理由】の「2.3 引用刊行物とその記載事項」に記載したとおりである。


5 対比・判断

上記2【理由】の「2.1 本件補正」での検討によれば、本願補正発明においては、本願の請求項1に係る発明の照明または表示装置について、「前記入力面(12)通過後で前記出力面(14)通過前の全ての光線が、基本的に平行光線から成るビームを構成している」と限定されていたのに対し、本願発明では当該限定がなされてはいないものである。

そうすると、本願発明を特定する事項をすべて含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2【理由】「2.4 対比」及び「2.5 相違点についての検討(容易想到性の判断)」で検討したように、引用発明及び上記周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明の上位概念発明である本願発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-07 
結審通知日 2009-10-13 
審決日 2009-10-26 
出願番号 特願2002-256976(P2002-256976)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平田 信勝  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 金丸 治之
小関 峰夫
発明の名称 自動車用照明および表示装置  
代理人 竹沢 荘一  

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