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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1213952
審判番号 不服2007-29818  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-01 
確定日 2010-03-25 
事件の表示 特願2006-256158「データ再生方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 1日出願公開、特開2007- 26462〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成8年5月21日に出願した特願平8-149933号の一部を平成18年9月21日に新たな特許出願としたものであって、平成19年9月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年11月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年12月3日付けで手続補正がなされたものである。




第2 平成19年12月3日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成19年12月3日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容

平成19年12月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、
方法の発明を規定した、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1乃至8、すなわち、

「 【請求項1】
データと前記データに関連するイメージデータとを記憶手段に記憶させ、
前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ、
前記一の表示形態で表示された前記一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板に対応するデータを再生手段に再生させる
データ再生方法。
【請求項2】
前記他の板の内の所定の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の表示形態から前記他の表示形態とし、前記所定の板を前記他の表示形態から前記一の表示形態として前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項3】
前記複数のデータにそれぞれ付随する付随情報を前記記憶手段に記憶させ、
前記他の板には、前記他の板に対応するデータに付随する付随情報の少なくとも一部を表示させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項4】
前記付随情報は、アルバムタイトル、アーチスト、曲名の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項3記載のデータ再生方法。
【請求項5】
少なくとも前記アルバムタイトル、アーチスト、曲名の何れかに基づいて、前記複数の板を並べて、前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載のデータ再生方法。
【請求項6】
所定の操作入力に基づいて、前記一の板に隣接する板から順に、前記一の表示形態で表示する板を連続的に切り替えて前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項7】
コンパクトディスクに記憶されている音楽データを読み出し手段に読み出させ、
前記読み出した音楽データを圧縮手段に圧縮させ、
前記圧縮した音楽データを上記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項8】
通信手段に前記データを受信させ、
受信した前記データを前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。」

を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至7、すなわち、

「 【請求項1】
オーディオ信号を生成するためのデータと前記データに関連するイメージデータとを記憶手段に記憶させ、
複数の前記データにそれぞれ対応する複数の板のうち、一の板を対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で、他の板をそれぞれ前記一の表示形態よりも表示領域の小さい前記一の表示形態以外の表示形態で、前記表示手段に表示させ、
前記他の板のうち所定の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の表示形態から前記一の表示形態以外の表示形態とし、前記所定の板を前記一の表示形態以外の表示形態から前記一の表示形態として、前記表示手段に表示させ、
前記一の表示形態で表示された前記所定の板に対する操作入力に基づいて、前記所定の板に対応するデータを再生手段に再生させる
データ再生方法。
【請求項2】
前記複数のデータにそれぞれ付随する付随情報を前記記憶手段に記憶させ、
前記表示手段が前記一の表示形態以外の表示形態で表示する板には、それぞれの板に対応するデータに付随する付随情報の少なくとも一部を表示させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項3】
前記付随情報は、アルバムタイトル、アーチスト、曲名の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項2記載のデータ再生方法。
【請求項4】
少なくとも前記アルバムタイトル、アーチスト、曲名の何れかに基づいて、前記複数の板を並べて、前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項3記載のデータ再生方法。
【請求項5】
所定の操作入力に基づいて、前記一の板に隣接する板から順に、前記一の表示形態で表示する板を連続的に切り替えて前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項6】
コンパクトディスクに記憶されている音楽データを読み出し手段に読み出させ、
前記読み出した音楽データを圧縮手段に圧縮させ、
前記圧縮した音楽データを前記データとして上記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
【請求項7】
通信手段に前記データを受信させ、
受信した前記データを前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。」

に変更する補正を含む。つまり、本件補正は、

(本件補正事項1)
本件補正前の請求項1を削除する補正、

(本件補正事項2)
本件補正前の請求項2を請求項1に組み込み、本件補正後の請求項1とする際に、本件補正前の請求項1の
「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ」るという記載を、
「複数の前記データにそれぞれ対応する複数の板のうち、一の板を対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で、他の板をそれぞれ前記一の表示形態よりも表示領域の小さい前記一の表示形態以外の表示形態で、前記表示手段に表示させ」るという記載に変更する補正、
すなわち、「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて」という限定を解除する補正、
(本願の図面でたとえると、本件補正前の請求項1乃至2は、【図4】の状態から【図5】の状態への移行する処理を規定しているが、本件補正後の請求項1は、【図4】の状態から【図5】の状態への移行する処理を規定していない。)

(本件補正事項3)
本件補正前の請求項2を請求項1に組み込み、本件補正後の請求項1とすることに伴い、
本件補正前の請求項3,6,7,8が引用する請求項を、本件補正前の請求項1から本件補正後の請求項1(本件補正前の請求項2)に変更する補正、
すなわち、本件補正前の請求項3,6,7,8に対して、当該請求項を引用していない請求項2に規定された発明特定事項を追加する補正、

を含むものである。



2.本件補正の検討

本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下、単に「特許法第17条の2第4項」という。)各号に規定された要件を満たしているのか否かについて検討する。


(1)本件補正事項1について

本件補正事項1は、請求項を削除するものであるから、特許法第17条の2第4項第1号に規定された「請求項の削除」に該当する。


(2)本件補正事項2について

本件補正事項2は、請求項を削除するものではないので、特許法第17条の2第4項第1号に規定された「請求項の削除」に該当しない。

また、本件補正事項2は、「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて」という限定を解除する補正なのであるから、
特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。

更に、本件補正前の「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて」という記載には誤記はないのであるから、
本件補正事項2は、特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」に該当しない。

しかも、本件補正前の「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて」という記載に不明りょうな記載はなく、
本件補正前の当該記載に対して、明りようでない記載に関する拒絶理由通知は通知されていないのであるから、
本件補正事項2は、特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。

〔参考〕平成19年(行ケ)第10159号(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080326111316.pdf)
「(3)さらに,原告は,新規事項の追加状態を解消する補正は,記載不備状態を解消するためのものであり,第三者に不測の不利益を与えることもないから,特許請求の範囲の不明りょうな記載を明りょうな記載に補正するものとして取り扱うべきであると主張する。
しかし,特許法17条の2第4項4号は,「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」と規定しているから,「明りょうでない記載の釈明」を目的とする補正は,法律上,審査官が拒絶理由中で特許請求の範囲が明りょうでない旨を指摘した事項について,その記載を明りょうにする補正を行う場合に限られており,原告の主張する「新規事項の追加状態を解消する」目的の補正が特許法17条の2第4項4号に該当する余地はない。」(第13頁第6乃至16行)


(3)本件補正事項3について

本件補正事項3は、請求項を削除するものではないので、特許法第17条の2第4項第1号に規定された「請求項の削除」に該当しない。

また、本件補正事項3は、
本件補正前の請求項3,6,7,8が引用している請求項1の「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて」という限定を解除する補正であり、
かつ、本件補正前の請求項3,6,7,8に対して、当該請求項を引用していない請求項2に規定された発明特定事項を追加する補正であるから、
特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。

更に、本件補正前の請求項3,6,7,8が引用する請求項の番号について誤記があった、という事情はないのであるから、
本件補正事項3は、特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」に該当しない。

しかも、本件補正前の請求項3,6,7,8が引用する請求項の番号について不明りょうな記載があった、という事情はなく、
請求項の引用関係について、明りようでない記載に関する拒絶理由通知は通知されていないのであるから、
本件補正事項3は、特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。



3.まとめ

したがって、本件補正事項2及び本件補正事項3を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定、及び特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。




第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成19年12月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年8月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
データと前記データに関連するイメージデータとを記憶手段に記憶させ、
前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ、
前記一の表示形態で表示された前記一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板に対応するデータを再生手段に再生させる
データ再生方法。」



2.引用例の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、特開平3-134883号公報(以下、「引用例」という)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「A 産業上の利用分野
この発明は画像検索装置に関する。」
(第1頁右欄第14乃至15行)

(イ)
「B 発明の概要
この発明は、画像検索装置において、文字・記号などを静止画や動画のキーワードとすることにより、例えば音楽の曲名からその曲に関係する静止画や動画を表示できるようにしたものである。」
(第1頁右欄第16行から第2頁左上欄第3行)

(ウ)
「C 従来の技術
静止画や音声の場合には、その信号をデジタル化しても、データの量はそれほど多くないので、それらのデータをCD-ROMやハードディスクにストアしておき、必要なとき検索して取り出すことができる。」
(第2頁左上欄第4乃至9行)

(エ)
「D 発明が解決しようとする課題
ところが、動画の場合には、その情報量が非常に多いので、動画のデータをコンピュータの内部にストアして利用することは困難である。
このため、動画のデータは、レーザーディスクやビデオテープなど外部の記憶媒体に記憶して使用せざるをえない。
この発明は、そのような静止画や動画を自由に検索して取り出すことができるようにしようとするものである。」
(第2頁左上欄第10行から同頁右上欄第1行)

(オ)
「G 実施例
以下に述べる例においては、対象とするデータが、CDのアルバム名、その歌手名、及びそのCDに収録されている曲名であり、これらのデータがCD-ROMに書き込まれている場合である。また、動画を記憶しているメディア及びその再生装置が、レーザーディスク及びレーザーディスクプレーヤの場合である。」
(第2頁左下欄第4乃至11行)

(カ)
「第1図において、(10)はCPU、(11)は各種のプログラムが書き込まれているROM、(12)はワークエリア用のRAM、(13)はハードディスク装置、(14)はハードディスクコントローラを示し、ハードディスク装置(13)には、例えば第2図に示すフローチャートの画像検索ルーチン(40)がインストールされている。
また、(15)はCD-ROMプレーヤ、(16)は例えばSCSI規格のCD-ROM用インターフェイス、(17)はCD-ROM(またはCDI)、(18)はマウス、(19)はマウス用インターフェイスである。」
(第2頁左下欄第12行から同頁右下欄第3行)

(キ)
「この場合、CD-ROM(17)は、プレーヤ(18)及びインターフェイス(16)を通じて読み出し(再生)が行われるが、このCD-ROM(17)には、リスト情報として、例えば第3図に示すようなデータテーブルNART、ALBM、TITL、NAST、ALST(詳細は後述する)などが書き込まれているとともに、いくつかの曲のデジタルオーディオデータDaと、CDのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データDsとが記録されている。
ただし、このデータDa及びDsとして記録されている曲及びジャケットの数は、CD-ROM(17)の容量(最大で540Mバイト)で決まり、CD-ROM(17)が対象としている音楽データのすべてについて、対応するデータDa、DSが記録されているわけではない。」
(第2頁右下欄第4乃至18行)

(ク)
「さらに、(21)はフルキーボード、(22)はキーボード用インターフェイス、(24)はD/Aコンパー夕、(25)はステレオアンプ、(26)はスピーカであり、所定のモードのとき、CD-ROM(19)からのオーディオデータDaがスイッチ回路(23)を通じてコンバータ(24)に供給される。」
(第2頁右下欄第19行から第3頁左上欄第4行)

(ケ)
「また、テーブルNART?ALSTは、例えば、次のようなものである。すなわち、テーブルNARTは、歌手(演奏家)の名前Niと、その歌手ごとに割り当てられた固有の歌手コードniとの歌手名テーブルであり、例えば、歌手「渡辺満里奈」に歌手コードniとして「123」が割り当てられている。
さらに、テーブルALBMは、アルバムの名前(CDの名前)Ajと、そのアルバムのCD番号Cjと、そのアルバムの発売日Bjと、そのアルバムごとに割り当てられた固有のアルバムコードajとを有するテーブルであり、例えば、アルバム「MARINA」のCD番号及び発売日が「32・8H105」及び「1987年2月26日」であり、このアルバムにアルバムコードajとして「234」が割り当てられている。
さらに、テーブルTITLは、曲の名前Tkと、その曲ごとに割り当てられた固有の曲コードtkとの曲名テーブルであり、例えば、曲「ホリディ・ビジター」に曲コードtkとして「3456」が割り当てられている。
また、テーブルNASTは、歌手ごとに用意されている歌手別検索用テーブルであり、その歌手Niの出しているアルバムAjのアルバムコードajと、ジャケットアドレスJjとのテーブルである。図の例においては、n i=123である「渡辺満里奈」のテーブルNAST(ni=123)の場合である。
そして、このテーブルNASTにおいて、Jj≠0ときには、そのコードajの割り当てられているアルバムAjのジャケットの静止画のデジタル画像データDsが、CD-ROM(17)に記録されているとともに、そのアドレスがJjであることを示し、Jj=0のときには、そのような記録のないことを示す。
さらに、テーブルALSTは、アルバムごとに用意されているアルバム別検索用テーブルであり、そのアルバムAjに収録されている曲Tkの曲名コードtkと、デジタルオーディオデータDaのアドレスSkと、ビデオ信号SyのアドレスVkとを有するテーブルである。図の例においては、aj=234であるアルバム「MARINA」のテーブルALST(aj=234)の場合である。
そして、このテーブルALSTにおいて、Sk≠0のときには、そのコードtkの割り当てられている曲TkのデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)に記録されているとともに、そのアドレスがSkであることを示し、Sk=0のときには、そのような記録のないことを示す。また、アドレスVkも同様で、Vk≠0のときには、そのコードtkの割り当てられている曲Tkのビデオ信号Sy及びデジタルオーディオ信号Saがレーザーディスク(38)に記録されているとともに、そのアドレスがVkであることを示し、Vk=0のときには、そのような記録のないことを示す。
なお、以上のテーブルNART?ALST以外にも検索に必要な各種のテーブルがCD-ROM(17)に記録されているが、ここでは説明を省略する。また、これらテーブルNAST?ALSTのデータ量は、レコード会社の1社分を集めてもCD-ROM(17)の全容量の1%程度である。
したがって、CD-ROM(17)の容量のほぼ全部を、曲TkのデジタルオーディオデータDaあるいはCDのジャケットの静止画のデジタル画像データDsに割り当てることができる。そして、データDaと、データDsとに対してどのような比率で割り当てるかは、任意である。」
(第3頁右上欄第12行から第4頁左上欄第16行)

(コ)
「そして、データの検索は、CPU(10)がルーチン(40)を実行することにより、次のように行われる。なお、以下の説明においては、検索項目が「歌手名」であり、そのキーワードが「渡辺満里奈」の場合である。
・・・(中略)・・・
この初期画面には、「歌手名」、「アルバム名」など検索の対象となる項目名などが表示され、このステップ(43)において、どの項目で検索を行うかなどの指示待ちとなる。
そこで、マウス(18)により検索項目として「歌手名」のアイコンをクリックすると、処理はステップ(43)からステップ(44)に進み、このステップ(44〉においてキーワードの入力待ちとなり、ここで、キーボード(21)からキーワードとして「渡辺満里奈」を入力すると、処理はステップ(44)がらステップ(45)に進む。
そして、このステップ(45)においては、次のようなテーブル処理が行われる。
・・・(中略)・・・
以上の処理が行われると、処理はステップ(45)からステップ(46)に進み、このステップ(46)において、ステップ(45)で取り出されたデータにしたがった表示データが形成されてRAM(31)に供給される。」
(第4頁右上欄第5行から第5頁左上欄第4行)

(サ)
「したがって、表示装置(34)には、ステップ(45)において取り出されたデータにしたがって例えば第4図Aに示すように、「渡辺満里奈」のアルバム「MARINA」のCD番号及び発売日と、このアルバムに収録されている曲の曲名が、リスト形式で表示される。
また、このとき、ステップ(45)において取り出されたアドレスJj、Sk、VkにしたがってインデックスマークMiが、同時に表示される。すなわち、Jj≠0のときには、そのCDのジャケットの静止画の画像データDsが、CD-ROM(17)のアドレスJjに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、表示画面の一部にインデックスマークMiとして「ジャケット」の文字が表示され、Jj=0のときには表示されない。
さらに、Sk≠0のときには、対応する曲のデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)のアドレスSkに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、対応する曲の曲名の例えば前に、インデックスマークMiとして「音符」マークが表示され、Sk=0のときには表示されない。」
(第5頁左上欄第5行から同頁右上欄第7行)

(シ)
「なお、同図Aの場合には、このアルバム「MARINA」のジャケットの静止画の画像データDsがあり、第1番目の曲「ホリディ・ビジター」についてCD-ROM(17)にデジタルオーディオデータDaがあるとともに、第3番目の曲「裸のクレヨン」についてレーザーディスク(38)に動画及びその音声があることを示している。
さらに、表示画面の下には、「前」、「次」、「再度」、「終了」の文字Mcが表示される。
そして、以上のような表示が行われると、処理はステップ(46)からステップ(47)に進み、このステップ(47)において、マウス(18)による入力待ちとなる。」
(第5頁右上欄第15行から同頁左下欄第7行)

(ス)
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「音符」マークをマウス(18)で指定すると、その「音符」マークの付けられている曲名の曲がCD-ROM(17)から再生される。また、このとき、表示装置(34)には、同図への画像がそのまま表示されている。」
(第5頁右下欄第14乃至19行)

(セ)
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「ジャケット」のマークをマウス(18)で指定すると、同図Cに示すように、そのCDのジャケットの静止画が表示される。また、このとき、CD-ROM(17)あるいはレーザーディスク(38)の再生が行われていれば、その音声については再生が続行される。」
(第6頁右下欄第20行から第7頁左上欄第6行)

(ソ)
「さらに、ステップ(47)においてマウス(18)による入力待ちとなっているとき、マウス(18)によりマークMcのうちの「次」のマークをクリックすると、処理はステップ(47)からステップ(50)に進み、このステップ(50)においてクリックされた文字あるいは記号がどれであるかが判別され、今の場合は、「次」のマークなので、処理はステップ(50)からステップ(81)に進む。
そして、このステップ(81)において、今の場合、テーブルNASTのうちのテーブルNAST(Ni=123)が選択されているとともに、このテーブルのうちのaj=234のアルバムについて第4図Aに示すように、表示が行われていたので、アルバムコードajはaj=234から次のaj=423にインクリメントされ、続いて処理はステップ(81)からステップ(45)に戻る。
したがって、以後、aj=423のアルバムコードのアルバムについて、第4図Aと同様にその各データがリスト形式で表示され、その後、ステップ(47)においてマウス(18)による入力待ちとなる。
また、ステップ(47)において、マウス(18)による人力待ちとなっているとき、マウス(18)によりマークMcのうちの「前」のマークをクリックすると、ステップ(82)において、「次」のマークのときとは逆に、アルバムコードajは、現在のアルバムコードから前のアルバムコードにディクリメントされ、その後、処理はステップ(82)からステップ(45)に戻る。
したがって、以後、1つ前のアルバムコードajのアルバムについて、第4図へと同様にその各データがリスト形式で表示され、その後、ステップ(47)においてマウス(18)による人力待ちとなる。」
(第7頁左上欄第9行から同頁左下欄第1行)

(タ)
「さらに、ステップ(47)においてマウス(18)による入力待ちとなっているとき、マウス(18)によりマークMcのうちの「再度」のマークをクリックすると、処理はステップ(47)からステップ(50)に進み、このステップ(50)においてクリックされた文字あるいは記号がどれであるかが判別され、今の場合は、「再度」のマークなので、処理はステップ(50)からステップ(83)に進む。
そして、このステップ(83)において、RAM(31)の内容がクリアされて表示装置(34)の表示画面がクリアされ、次に処理はステップ(43)に戻る。
したがって、以後、例えば別の歌手について同様にリスト、動画あるいはジャケットの表示や曲の再生を行うことができる。」
(第7頁左下欄第2乃至15行)

(チ)
「こうして、この発明によれば、CD-ROM(17)に例えば歌手名、アルバム名、曲名などのリストを登録しておくとき、その登録した曲名の曲のデジタルオーディオデータDaを記録しておいたり、登録したCDのジャケットの静止画のデジタル画像データDsを記録しておいたり、あるいは登録した曲名と、レーザーディスクの対応する動画や音声とを関連させておいたりすることができ、リストを表示したとき、対応する曲をCD-ROM(17)から再生したり、CDのジャケットの静止画を表示したり、あるいは対応する曲の動画及び音声をレーザーディスクから再生できるので、CD-ROM(17)を単なるテキストのデータベースとしてだけではなく、CDやレーザーディスクを有機的に、かつ、効果的に結合してより高度なデータベースとして使用することができる。」
(第7頁右下欄第1乃至16行)

(ツ)
「また、デジタルオーディオデータDa、デジタル画像データDsや、ビデオ信号Sy及びデジタルオーディオ信号Saは、それぞれ複数のCDやレーザーディスクに分割されていてもよく、その場合には、アドレスSk、VkにCDやレーザーディスクを識別するコードを含ませればよい。あるいは、データDa、Dsは、ハードディスク(13)に例えばコピーしておき、これを使用することもできる。」
(第8頁左上欄第6乃至14行)


以上の引用例の記載によれば、引用例には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例の上記(キ)の
「この場合、CD-ROM(17)は、プレーヤ(18)及びインターフェイス(16)を通じて読み出し(再生)が行われるが、このCD-ROM(17)には、リスト情報として、例えば第3図に示すようなデータテーブルNART、ALBM、TITL、NAST、ALST(詳細は後述する)などが書き込まれているとともに、いくつかの曲のデジタルオーディオデータDaと、CDのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データDsとが記録されている。
ただし、このデータDa及びDsとして記録されている曲及びジャケットの数は、CD-ROM(17)の容量(最大で540Mバイト)で決まり、CD-ROM(17)が対象としている音楽データのすべてについて、対応するデータDa、DSが記録されているわけではない。」

引用例の上記(ケ)の
「また、テーブルNART?ALSTは、例えば、次のようなものである。すなわち、テーブルNARTは、歌手(演奏家)の名前Niと、その歌手ごとに割り当てられた固有の歌手コードniとの歌手名テーブルであり、例えば、歌手「渡辺満里奈」に歌手コードniとして「123」が割り当てられている。
・・・(中略)・・・
また、テーブルNASTは、歌手ごとに用意されている歌手別検索用テーブルであり、その歌手Niの出しているアルバムAjのアルバムコードajと、ジャケットアドレスJjとのテーブルである。図の例においては、n i=123である「渡辺満里奈」のテーブルNAST(ni=123)の場合である。
・・・(中略)・・・
さらに、テーブルALSTは、アルバムごとに用意されているアルバム別検索用テーブルであり、そのアルバムAjに収録されている曲Tkの曲名コードtkと、デジタルオーディオデータDaのアドレスSkと、ビデオ信号SyのアドレスVkとを有するテーブルである。図の例においては、aj=234であるアルバム「MARINA」のテーブルALST(aj=234)の場合である。
・・・(後略)・・・ 」
という記載から、

引用例には、
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶手段に記憶させ」ること、
が開示されていると認められる。


(b)
上記(a)の
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶手段に記憶させ」ること、
という開示、

引用例の上記(サ)の
「したがって、表示装置(34)には、ステップ(45)において取り出されたデータにしたがって例えば第4図Aに示すように、「渡辺満里奈」のアルバム「MARINA」のCD番号及び発売日と、このアルバムに収録されている曲の曲名が、リスト形式で表示される。
また、このとき、ステップ(45)において取り出されたアドレスJj、Sk、VkにしたがってインデックスマークMiが、同時に表示される。すなわち、Jj≠0のときには、そのCDのジャケットの静止画の画像データDsが、CD-ROM(17)のアドレスJjに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、表示画面の一部にインデックスマークMiとして「ジャケット」の文字が表示され、Jj=0のときには表示されない。
さらに、Sk≠0のときには、対応する曲のデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)のアドレスSkに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、対応する曲の曲名の例えば前に、インデックスマークMiとして「音符」マークが表示され、Sk=0のときには表示されない。」
という記載、

引用例の上記(セ)の
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「ジャケット」のマークをマウス(18)で指定すると、同図Cに示すように、そのCDのジャケットの静止画が表示される。また、このとき、CD-ROM(17)あるいはレーザーディスク(38)の再生が行われていれば、その音声については再生が続行される。」
という記載から、

引用例には、
「「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ」ること、
が開示されていると認められる。


(c)
上記(a)の
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶手段に記憶させ」ること、
という開示、

引用例の上記(ク)の
「さらに、(21)はフルキーボード、(22)はキーボード用インターフェイス、(24)はD/Aコンパー夕、(25)はステレオアンプ、(26)はスピーカであり、所定のモードのとき、CD-ROM(19)からのオーディオデータDaがスイッチ回路(23)を通じてコンバータ(24)に供給される。」
という記載、

引用例の上記(サ)の
「したがって、表示装置(34)には、ステップ(45)において取り出されたデータにしたがって例えば第4図Aに示すように、「渡辺満里奈」のアルバム「MARINA」のCD番号及び発売日と、このアルバムに収録されている曲の曲名が、リスト形式で表示される。
また、このとき、ステップ(45)において取り出されたアドレスJj、Sk、VkにしたがってインデックスマークMiが、同時に表示される。すなわち、Jj≠0のときには、そのCDのジャケットの静止画の画像データDsが、CD-ROM(17)のアドレスJjに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、表示画面の一部にインデックスマークMiとして「ジャケット」の文字が表示され、Jj=0のときには表示されない。
さらに、Sk≠0のときには、対応する曲のデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)のアドレスSkに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、対応する曲の曲名の例えば前に、インデックスマークMiとして「音符」マークが表示され、Sk=0のときには表示されない。」
という記載、

引用例の上記(ス)の
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「音符」マークをマウス(18)で指定すると、その「音符」マークの付けられている曲名の曲がCD-ROM(17)から再生される。また、このとき、表示装置(34)には、同図への画像がそのまま表示されている。」
という記載から、

引用例には、
「「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる
データ再生方法」
が開示されていると認められる。


以上の引用例の記載によれば、引用例には下記の発明(以下、「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。

「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶手段に記憶させ、
「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ、
「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる
データ再生方法。」



3.対比

本願発明と引用例発明とを対比する。

(1)
引用例発明の
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータ」、
「CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データ」は、それぞれ、

本願発明の
「データ」、
「イメージデータ」に相当する。


(2)
引用例発明の
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶手段に記憶させ」ることは、

本願発明の
「データと前記データに関連するイメージデータとを記憶手段に記憶させ」ることに相当する。


(3)
引用例発明の
「「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ」ることと、

本願発明の
「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ」ることとは、

「操作入力に基づいて、データのイメージデータが表示された表示形態で表示手段に表示させ」るという点で一致し、

本願発明では、具体的には、
「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ」ているのに対し、
引用例発明では、そのようなことを行っていない点、
で相違する。


(4)
引用例発明の
「「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる
データ再生方法。」と、

本願発明の
「前記一の表示形態で表示された前記一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板に対応するデータを再生手段に再生させる
データ再生方法。」こととは、

「操作入力に基づいて、データを再生手段に再生させる
データ再生方法。」
という点で一致し、

本願発明では、具体的には、
「前記一の表示形態で表示された前記一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板に対応するデータ」を再生するのに対し、
引用例発明では、そのようなことを行っていない点、
で相違する。


(5)
以上のことから、本願発明と引用例発明とは、

「データと前記データに関連するイメージデータとを記憶手段に記憶させ、
操作入力に基づいて、データのイメージデータが表示された表示形態で表示手段に表示させ、
操作入力に基づいて、データを再生手段に再生させる
データ再生方法。」

という点で一致し、

(相違点1)
本願発明では、具体的には、
「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ」ているのに対し、
引用例発明では、そのようなことを行っていない点、

(相違点2)
本願発明では、具体的には、
「前記一の表示形態で表示された前記一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板に対応するデータ」を再生するのに対し、
引用例発明では、そのようなことを行っていない点、

で相違する。



4.相違点に対する判断

(1)相違点1について

CDケースに格納されたCDアルバムが背を向けて棚に並んでいて、その中からジャッケットを確認しながら聴きたいCDアルバムを探し出すということは現実世界で普通に行われていることである。

そして、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、特開平7-271814号公報に、
「【0009】
【作用】本発明は、上記構造により、画像情報に対応するバインダアイコンを画面上に形成し、これをマウス等のポインターで指定することで、検索すべき文書を指定するものである。これにより、従来のように、検索用のタイトル値、キーワード等の付加データを登録したり、タイトル構造を設計したりする必要がなくなる。又、このような画面を設けることで、通常の紙ファイルの世界により近い文書管理と検索が可能となる。
【0010】
【実施例】電子ファイリング装置を用いて画像情報の登録業務の負担を軽減し、電子ファイル化を推進させるためには、キーワードの付与を行わなくても検索が可能になる手段を提供する必要がある。そのためには検索の手掛かりとなるものがタイトル値やキーワードといったキーボード入力を必要とする文字列ではなく、画面上のアイコンにあることが望ましい。
【0011】通常の紙ファイルの世界では「バインダのまん中あたりに入れた書類である」とか、「付箋紙を貼って目印をつけたページである」というような方法で書類の検索を行う。本発明は、その概念を電子ファイルの世界にも取り入れ、画面上のアイコンの視覚的な位置及び形状から検索を行う手段を提案する。」
と記載されているように、
電子データを検索キーなどを入力して検索する代わりに、あたかも画面に現実世界の物があるかのように表示してマウス操作により所望の電子データを取り扱う技術(「バーチャルリアリティ」又はそれに類する技術)は周知技術である。

したがって、解り易いユーザ・インターフェイスを提供するために、引用例発明に対して、当該周知技術を適用するべく、

・棚から取り出された状態(すなわち、ジャケットが見えるように、表面が向いた状態。)のCDケースを「一の表示形態」の「板」で表現したり、

・棚に並んでいる状態(すなわち、背面を向いた状態。そのため、表面が向いた状態より表示領域は小さくなる。)のCDケースそれぞれを「一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態」で表現したりすることにより、

・全てのCDケースが棚に並んでいる状態や、棚から一のCDケースが取り出されてCDのジャケットを見ている状態(ただし、棚から取り出された一のCDケース以外のCDケースは、一旦は棚から取り出されたもの棚にしまわれたCDケースを含めて、棚に並んでいる状態のままとする。)を表現すること、

すなわち、
「前記複数のデータにそれぞれ対応する複数の板を前記表示手段に表示させ、
前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、他の板を前記一の表示形態よりも表示領域の小さい他の表示形態で前記表示手段に表示させ」ることは、
当業者が容易に想到し得ることである。


(2)相違点2について

現実世界において、所望のCDアルバムに収録された音楽を聴くために、棚に並んでいるCDケースを取り出してジャッケットを確認しながら聴きたいCDアルバムを探し出すということは、
CDアルバムのジャケットが、聴きたい音楽に関連付けられていることを当然の前提としている。

一方、上記「相違点1について」で検討したように、あたかも画面に現実世界の物があるかのように表示してマウス操作により所望の電子データを取り扱う技術(「バーチャルリアリティ」又はそれに類する技術)は周知技術である。

しかも、画像に関するオブジェクトに、音に関するオブジェクトを関連づけておき、当該画像に関するオブジェクトに対する操作入力(例:マウスによって当該オブジェクトがダブルクリックがされる操作入力)に基づいて、当該音に関するオブジェクトを再生させることによって、関連する情報を容易に取得することも、情報処理分野における周知技術である。

したがって、上記「相違点1」で検討した「・・・、前記複数の板のうち一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板を前記一の板に対応するデータのイメージデータが表示された一の表示形態で前記表示手段に表示させ、・・・」ることによって提供された、「イメージデータ」が対応付けられている「一の板」に対応する情報、すなわち、(オーディオ信号を生成する)データを容易に取得するべく、
引用例発明に対して、当該周知技術を適用し、
「前記一の表示形態で表示された前記一の板に対する操作入力に基づいて、前記一の板に対応するデータ」を再生させることは、当業者が容易に想到し得ることである。


(3)付記

なお、本願発明では、「イメージデータ」(実施例では、CDジャケットのイメージデータ)に対応付けられる(オーディオ信号を生成する)「データ」(又は「一の板に対応するデータ」)が、CDジャケットに対応するCDアルバムに収録された曲目の全てのデータを前提としているのか否かは特定されていない。
しかしながら、本願補正発明の「オーディオ信号を生成するデータ」(又は「板に対応するデータ」)が、CDジャケットに対応するCDアルバムに収録された曲目の全てのデータを指している可能性があることを考慮して、念のために検討する。

引用例発明の「記憶手段」に記憶される「オーディオ信号を生成するデータ」は、「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータ」であって、CDアルバムに収録される曲目の全ての曲のデジタルオーディオデータではない。

しかしながら、引用例の上記(ツ)に、
「また、デジタルオーディオデータDa、デジタル画像データDsや、ビデオ信号Sy及びデジタルオーディオ信号Saは、それぞれ複数のCDやレーザーディスクに分割されていてもよく、その場合には、アドレスSk、VkにCDやレーザーディスクを識別するコードを含ませればよい。あるいは、データDa、Dsは、ハードディスク(13)に例えばコピーしておき、これを使用することもできる。」
と記載されているように、デジタルオーディオデータを、CD-ROMより大容量のハードディスクに格納しても良いことが示唆されており、しかも、記憶容量の問題さえなければ、CDアルバムに収録された全ての曲を記憶することよって、任意の曲を聞けるようにしておくことが好ましいことは明らかである。

しかも、CDアルバムを再生する再生装置では、(「再生ボタン」を設けることによって)CDアルバムに収録された曲目を最初から最後まで再生することが可能となっていることは世間常識である。

したがって、引用例発明の「記憶手段」に、CDアルバムに収録される曲目の全ての曲のデジタルオーディオデータを記憶させておき、選択されたCDアルバムに収録された曲目を最初から最後まで再生させるように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。



5.むすび

したがって、本願発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって結論の通り審決する。
 
審理終結日 2010-01-21 
結審通知日 2010-01-26 
審決日 2010-02-08 
出願番号 特願2006-256158(P2006-256158)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高瀬 勤桜井 茂行  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 小曳 満昭
和田 財太
発明の名称 データ再生方法及び装置  
代理人 杉浦 正知  
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