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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1213959
審判番号 不服2008-2274  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-01 
確定日 2010-03-25 
事件の表示 特願2003-373848「印刷システム、及び印刷方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月13日出願公開、特開2004-136686〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1.手続の経緯
本願は、平成9年10月20日に出願した特願平9-286309号の一部を平成15年11月4日に新たな特許出願としたものであって、平成20年1月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月1日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで明細書に係る手続補正がなされたものである。
さらに、審査官により作成された前置報告書について審尋がなされたところ、審判請求人から平成21年8月17日付けで回答書が提出されたものである。


第2.平成20年2月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年2月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「 印刷に際して指定された印刷媒体が封筒であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行する発行手段と、
前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像、及び前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする印刷システム。」
から
「 印刷に際して指定された印刷媒体が封筒であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、厚紙モード定着コマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、通常モード定着コマンドを発行する発行手段と、
前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段と、
前記発行手段により発行された厚紙モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像を印刷し、前記発行手段により発行された通常モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする印刷システム。」
に補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「発行手段」及び「印刷手段」に関して、「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、・・・厚紙モード定着コマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、・・・通常モード定着コマンドを発行する」点、及び、「前記発行手段により発行された厚紙モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像を印刷し、前記発行手段により発行された通常モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する」点を限定したものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.独立特許要件について
(1)刊行物に記載された発明
(刊行物1について)
原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-6124号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。(下線は当審にて付与した。)

(1-a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転写材を挟持搬送し、画像を転写材に定着する互いに圧接された定着ローラ対を備えた定着装置を有し、転写材としての封筒の画像記録部に画像をプリント可能な封筒モードを具備する画像形成装置に関する。」

(1-b)「【0016】図4は、図1のレーザープリンタの制御ブロック図である。コントローラ20は、外部機器21から受信した印字データをビデオデータに変換する。さらに、CPU,ROM、RAMからなる制御手段としての本体制御装置22にはプリント命令を送り、記録紙2の搬送タイミングにあわせて上記ビデオデータを送出する。この場合、本体制御装置22はコントローラからのプリント命令を受けて各種駆動回路をタイミングをとって駆動し、記録紙の搬送および画像形成動作を行なう。そして、本体制御装置22は封筒モードが選択されたときに次のように制御を行なう。その封筒モード時の制御を図5および図6を用いて説明する。
【0017】図5において、プリント命令があると、給紙制御される。この給紙制御はまず給紙装置1の選択された給紙カセットによって紙サイズや普通紙か封筒か等の記録紙の種類が検出される。具体的には、図7に示すように給紙カセット23に設けられ、検知用フィラー24によってONするスイッチ25から紙サイズと普通紙か封筒26かが検知される。
【0018】封筒を載置した給紙カセット23を選択した場合、封筒モードが選択されたことになる。このとき、封筒26は図7に示す如く予めフラップ部26aを後方へ拡げて給紙カセット23に載置している。そして、上記した給紙制御によって一枚の封筒26が矢印A方向へ給紙される。給紙された封筒は、レジストローラ対3に突き当てられ、その後、感光体4に形成される画像と同期してレジストローラ対3のクラッチ(図示せず)がONする。クラッチONによって封筒26が転写部へ搬送されるとともに0にリセットされている図示していないタイマーがONする。
【0019】封筒26の画像記録部26bに宛名などの可視像が転写され、封筒26の先端が定着装置9に達すると、加熱ローラ14と加圧ローラ15に挟持搬送される。・・・(以下、省略)」

(1-c)「【0023】図9は、本発明の別の実施例を示すレーザープリンタであり、本例では図1に示すレーザープリンタに両面プリント機能を付加しており、まずその説明をする。定着装置9から排出された記録紙2は、回動可能な両面入り口ガイド27により適当数の両面搬送ローラ対28が配置された両面搬送路32へ導かれる。両面搬送ローラ対28により記録紙1は時計方向に回転している反転ローラ対29に搬送され、反転センサー30を通過する。記録紙2が反転センサー30を通過し所定時間後、反転ローラ対29は反時計方向に回転可能に変え、回動可能な反転ガイド31により、記録紙2をレジストローラ対3方向搬送させる。再びレジスイトローラ対3に搬送された記録紙2は、レジストローラ対3によってタイミングが取られて感光体4へ搬送され、上記と同様の手順を経てトナーが記録紙に定着される。このとき、給紙装置1から搬送された場合と反対面が感光体4と接するので記録紙2に両面記録がなされる。両面記録がなされた記録紙2は定着装置9を通過後、両面入り口ガイド27により排紙部11に排出され収納される。
【0024】図9および図10において、本実施例におけるレーザープリンタは感光体4と定着装置9との間の搬送経路中に上記両面搬送路32へ連通する封筒路33が形成され、封筒路33には適当数の封筒搬送ローラ対34が設けられている。そして、封筒路33の分岐位置には切り換え手段としての切り換え爪35が設けられ、切り換え爪35は図10における実線で示す逆送された封筒26を封筒路33に導く位置と、鎖線で示す転写後の記録紙2を定着装置9へ搬送可能な位置との間で選択的に移動可能に構成されている。
【0025】また、本例の定着装置9はその加熱ローラ14が図示していない可逆転モータに駆動連結され、定着ローラ対14,15を記録紙2を排出部へ導く方向の正転と感光体4側へ戻す方向の逆転とに制御手段(図示せず)によって選択的に駆動される。
【0026】かく構成のレーザープリンタは、前記実施例と同様にして封筒モードが選択されると、封筒26はフラップ部26aを後方へ拡げた状態で給紙される。このとき、切り換え爪35は鎖線の位置に保持され、定着ローラ対は正転している。そして、封筒26がレジストローラ対3のクラッチがONすると、タイマーが作動し図11に示す封筒26の画像記録部26bの先端が定着位置に達する時間T_(0)と、図12に示す画像記録部26bが定着位置を通過する時間T_(1)をカウントする。タイマーがT_(0)+T_(1)をカウントすると、可逆転モータに逆転信号が与えられ定着ローラ対14,15が逆転し始める。そして、この逆転と同時に切り換え爪35が鎖線の位置から実線の位置に変位される。従って、封筒26は図13に示すように定着ローラ対14,15によって再び定着作用を受けると共に矢印C方向へ搬送され、封筒路33に導かれる。そして、封筒26は封筒搬送ローラ対34により搬送され、両面搬送路32を介して反転ローラ対29に挟持され、さらに図9に示すように反転部に設けた封筒排出ローラ対36を介して封筒トレイ37に排出される。
【0027】かくして、封筒26はその画像記録部26bが定着位置を通過すると、定着ローラ対14,15が逆転するので、フラップ部26aの糊が加圧ローラ15を介して定着ローラ対を汚すことを確実に防止できる。更に、反転部に封筒排出ローラ対36と、その出口に封筒トレイ37を設けたので、図14の矢印Dで示すように排出された封筒26が給紙カセットに入り、再度の給紙作用を受けてジャムする等の不具合を防止できる。
【0028】さらに、上記実施例では封筒26の画像記録部26bが定着ローラ対の正転時と逆転時とで2度定着作用を受ける。従って、封筒等の紙を重ねた転写材は、定着不良を生ず易いという問題が有ったが、定着ローラ対の往復動による重ね定着作用でこのような問題を防止できる。なお、特に厚紙の封筒等では画像記録部の範囲で往復動作を繰返し行なうようにしても良い。」

(1-d)図7として、





(1-e)図9として、





(1-f)図10として、






上記の事項をまとめると、刊行物1には、以下の発明が開示されていると認められる。(以下、「刊行物1発明」という。)

「転写材としての封筒の画像記録部に画像をプリント可能な封筒モードを具備する画像形成装置であって、
プリント命令に基づく給紙制御で選択された給紙カセットによって紙サイズや普通紙か封筒か等の記録紙の種類が検出され、
フラップ部26aを後方へ拡げて封筒26が載置された、給紙カセット23が選択されると、封筒モードとなり、
封筒26の画像記録部26bに宛名などの可視像が転写された後、
定着装置9において、封筒26の画像記録部26bが定着ローラ対の正転時と逆転時とで2度定着作用を受ける、画像形成装置。」

(刊行物2について)
また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-92841号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審にて付与した。)

(2-a)「【0002】
【従来の技術】最近プリンタ等の記録装置で封筒に直接宛名等をプリントする要求が高まってきている。一般にプリンタや複写機等の記録装置の制御は図9に示す如く、給紙する紙のサイズや種類を手動もしくは自動設定し、その情報により給紙、搬送のタイミングや書込み領域の制限等の制御を行なう方式が採用されている。紙のサイズの検知は、例えば特開昭60-61425号公報に示す如く、給紙トレイのサイドフェンスの移動位置より検知できる。
【0003】しかし、封筒は通常の記録シートと異り、表裏及び天地左右の方向があり、給紙部に間違ってセットした場合は、これを検知することができずに封筒の裏面に宛名をプリントしてしまったり、郵便番号枠と反対側の端部に郵便番号をプリントする等のミスプリントを犯すことになる。」

(2-b)「【0007】
【作用】本発明の封筒類給紙制御装置は上記の如く構成されているので、給紙部に積載された封筒束の封筒のフラップの封筒面内位置及び封筒の上側と下側のどちら側にあるかの上下位置がその検知手段により検知され、その検知信号より封筒の表裏及び向きがその判断手段により判断される。判断された封筒の表裏及び向きが記録モードに対して適正であるか否かより記録の可否が判断される。
【0008】上記の記録の可否を判断する手段により記録不可と判断された場合は記録動作を禁止するとともに警告する手段を設けたならばミスプリントの防止に役立つ。
【0009】上記の記録の可否を判断する手段により記録不可と判断された場合であって、封筒の表裏判定手段により封筒の表裏は正しいと判断された場合、封筒の向きに合せて記録部での書込み方向を変更するように制御を行なうようにすれば、封筒の向きを正しく置き直す必要がなく、手数が省ける。」

(2-c)「【0013】図2に示すフローチャートは、請求項3の発明による給紙制御装置のフローチャートの1例であって、封筒の表裏が正しく、方向が正常な場合はプリント制御されることは図1のフローと同様であるが、方向が正しくない場合は、方向情報がコントローラに入力され、その方向に合せた画像作成を行なうようにプリント制御される。しかし、入力された情報より、あらかじめ規定しておいた封筒の種類( 具体的にはプリント可能な封筒種 )と異る場合には、プリント動作を停止し、警告表示を行なうようになっている。このように制御することにより、正しい封筒種を単に方向だけを誤ってセットした場合は、操作者が置き直すことなくプリントされ、作業能率が向上する。」

(2-d)図2として、





(2)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。
まず、刊行物1発明における
「転写材」、
「封筒26の画像記録部26bに宛名などの可視像が転写され」る構成、
「プリント命令」、
「(転写材としての封筒の画像記録部に画像をプリント可能な封筒モードを具備する)画像形成装置」は、それぞれ、
本願補正発明における
「印刷媒体」、
「(給紙方向に沿った)画像を印刷する」構成(印刷手段)、
「(給紙方向に沿った)画像を印刷させるコマンド」、
「印刷システム」に相当する。
そして、刊行物1発明における「プリント命令に基づく給紙制御で選択された給紙カセットによって紙サイズや普通紙か封筒か等の記録紙の種類が検出され、フラップ部26aを後方へ拡げて封筒26が載置された、給紙カセット23が選択されると、封筒モードとなり」との構成は、すなわち、本願補正発明における「印刷に際して指定された印刷媒体が封筒であるか否かを判別する」構成(判別手段)及び「判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合」に相当し、刊行物1発明における「封筒モードとなり、封筒26の画像記録部26bに宛名などの可視像が転写された後、定着装置9において、封筒26の画像記録部26bが定着ローラ対の正転時と逆転時とで2度定着作用を受ける」との構成は、すなわち、本願補正発明における「厚紙モード定着」に相当するから、刊行物1発明においても、判別手段の判別結果によって「厚紙モード定着コマンド」が発行されていることは明らかである。
また、刊行物1発明においても、「(給紙方向に沿った)画像を生成する生成手段」、及び、「コマンドを発行する発行手段」に相当する手段を有することも明らかである。
さらに、刊行物1発明において、「封筒モード」でない場合には、「定着ローラ対の正転時と逆転時とで2度定着」は行われないのであるから、「コマンドを発行する発行手段」によって、「通常モード定着コマンド」が発行されているといえる。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「 印刷に際して指定された印刷媒体が封筒であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、厚紙モード定着コマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、通常モード定着コマンドを発行する発行手段と、
前記画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する印刷手段とを有する、印刷システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]:「前記画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段」に関して、
本願補正発明は、「前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する」のに対し、
刊行物1発明には、そのような特定がない点。

[相違点2]:「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、厚紙モード定着コマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、通常モード定着コマンドを発行する発行手段」に関して、
本願補正発明は、「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、厚紙モード定着コマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、通常モード定着コマンドを発行する」のに対し、
刊行物1発明には、「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行し」との特定がない点。

[相違点3]:「前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する印刷手段」に関して、
本願補正発明は、「前記発行手段により発行された厚紙モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像を印刷し、前記発行手段により発行された通常モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する」のに対し、
刊行物1発明には、そのような特定がない点。


(3)判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
刊行物1には、「給紙方向に対し逆向きの画像を生成」する点についての記載はないものの、刊行物2には、「封筒の向きに合せて記録部での書込み方向を変更するように制御を行なう」構成が記載されているように、逆向きに封筒を給紙する場合において、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させることは、公知の技術である。
そして、刊行物1発明と、刊行物2に記載のものとは、ともに、封筒類に対して適切にプリントを行うことを目的とするものであるから、刊行物1発明に刊行物2に記載の技術を適用することに格別の技術的困難性は見出せない。
したがって、刊行物1発明における「前記画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段」に代えて、「前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段」を採用することは、当業者が容易に為し得たことである。

(相違点2について)
上記相違点1につき検討したように、「前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段」を採用すれば、「発行手段」が、「前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンド」、または、「前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンド」を発行することは、当然採用すべき自明の事項である。
また、刊行物1発明において、封筒の給紙方向は、本願補正発明と同じであるから、「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行し」となることも、明らかな事項である。
してみると、相違点2は、相違点1に係る構成の変更に伴って採用されるべき自明の事項に過ぎない。

(相違点3について)
上記相違点2で検討したのと同様に、「前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段」を採用すれば、「印刷手段」が、「前記発行手段により発行されたコマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像を印刷し、前記発行手段により発行されたコマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する」ことも、当然採用すべき自明の事項といえる。
そして、画像を印刷する契機となるコマンドを、どのように設定するかは、当業者が適宜決定できる設計的事項に過ぎない。
したがって、相違点3は、当業者が適宜なし得た設計的事項である。

(本願補正発明が奏する効果について)
そして、上記相違点1?3によって、本願補正発明が奏する「使用者が印刷媒体として封筒を指定するだけで、封筒に応じたリバース給紙印刷処理が自動的に実行され、リバース給紙印刷処理に関する操作を著しく簡単にでき、装置の利便性を高めることができる。また、使用者がリバース給紙印刷処理を指定する操作をする必要がないため、その指定のミスが発生することがなく、その指定ミスに起因する印刷の失敗による印刷媒体の無駄などの問題を未然に防止できる。」、「封筒印刷が実行されると判別された場合に、封筒をその開口部が手前に、袋側がプリンタ側になるようにセットする旨を表示するようにしたので、封筒のセットの向きの間違いによるジャムの発生を未然に防止でき、印刷機構部の故障防止と長寿命化が図れる」といった効果は、刊行物1?2に記載された事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

(4)まとめ
以上のように、本願補正発明は、刊行物1?2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明
平成20年2月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成19年12月12日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるものであり、特に、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 印刷に際して指定された印刷媒体が封筒であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行する発行手段と、
前記給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に対し逆向きの画像を生成し、前記給紙方向に沿った画像を印刷させるコマンドに基づき給紙方向に沿った画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像、及び前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする印刷システム。」

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用された刊行物1?2、及び、その記載事項は、前記第2.2.(1-a)?(2-d)で示したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記第2.2.で検討した本願補正発明から、「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、給紙方向に対し逆向きの画像を印刷させるコマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、給紙方向に沿った向きの画像を印刷させるコマンドを発行する発行手段」及び「前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像、及び前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する印刷手段」に関して、「前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒であると判別された場合、・・・厚紙モード定着コマンドを発行し、前記判別手段により指定された印刷媒体が封筒でないと判別された場合、・・・通常モード定着コマンドを発行する」点、及び、「前記発行手段により発行された厚紙モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に対し逆向きの画像を印刷し、前記発行手段により発行された通常モード定着コマンドに基づき前記生成手段により生成された給紙方向に沿った画像を印刷する」と限定した点を削除したものに相当する。

そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2.2.に記載したとおり、刊行物1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1?2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1?2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-12 
結審通知日 2010-01-19 
審決日 2010-02-03 
出願番号 特願2003-373848(P2003-373848)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
P 1 8・ 575- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石原 徹弥  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 柏崎 康司
大森 伸一
発明の名称 印刷システム、及び印刷方法  
代理人 内尾 裕一  

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