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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1214232
審判番号 不服2008-3770  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-18 
確定日 2010-03-30 
事件の表示 特願2002- 80463「反射鏡と偏向要素を組み合わせた自動車用のヘッドライト、および、その反射鏡と偏向要素の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月11日出願公開、特開2002-298623〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2002(平成14)年3月22日(パリ条約による優先権主張、2001年3月21日、フランス国)の出願であって、平成19年11月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成20年2月18日に拒絶査定に対する不服の審判請求がされるとともに、平成20年3月18日付けで手続補正(前置補正)がされたものである。

2.平成20年3月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年3月18日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 光源(10)と、前記光源と協働して、上部境界線によって画定されたビームを発生させることのできる反射鏡(20)と、鉛直方向の配光をほぼ変更することなく光の概ね水平方向の広がりを提供できる、前記反射鏡の前方に配置された透明な光学偏向要素(30)とを備える自動車用のヘッドライトであって、前記偏向要素が、光点を投射するレンズのものと同様な外観を呈するように、全長にわたって途切れない光入力面(31)と光出力面(32)を有し、前記反射鏡(20)は、前記偏向要素(30)の近くに位置付けられた横断基準線(y=y1)上への反射光線の衝突位置の、ヘッドライトの光軸(y-y)からの第2の側方距離(χ)を、水平母線(21)上への前記反射光線の反射位置の、同一光軸(y-y)からの第1の側方距離(x)の関数として表現した所定の法則を満たす前記水平母線を有し、更に前記第1の側方距離(x)が、ゼロから前記第1の側方距離の最大値(D/2)まで変化するときに、前記第2の側方距離(χ)が、ゼロから前記第2の側方距離の最大値(D/2)まで、非直線的に変化することを特徴とするヘッドライト。」と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「反射鏡(20)」について、「偏向要素(30)の近くに位置付けられた横断基準線(y=y1)上への反射光線の衝突位置の、ヘッドライトの光軸(y-y)からの第2の側方距離(χ)を、水平母線(21)上への前記反射光線の反射位置の、同一光軸(y-y)からの第1の側方距離(x)の関数として表現した所定の法則を満たす前記水平母線を有し、更に前記第1の側方距離(x)が、ゼロから前記第1の側方距離の最大値(D/2)まで変化するときに、前記第2の側方距離(χ)が、ゼロから前記第2の側方距離の最大値(D/2)まで、非直線的に変化する」との限定を付すものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(ア)原査定の拒絶の理由に引用され本願の優先日前に頒布された刊行物である、実願昭57-75514号(実開昭58-178201号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
「本考案は新規な車輌用前照灯のレンズに関し、特に、そのレンズステップを改良することによって照射光の指向性が正確に得られると共に、配光において不必要なホットゾーンや光度ムラが生ずるのを防止して良好な配光が得られ、しかも所望する配光パターンの設計が容易にできる新規な車輌用前照灯のレンズを提供しようとするものである。」(明細書第1頁13行目?第2頁1行目)
「上述のようなレンズステップ6、6、・・・を形成したレンズ5を用いると、反射鏡1によって光軸X-Xと平行な方向に進んだ光源2からの光は、該レンズステップ6、6、・・・による屈折、拡散作用により制御され、第6図に示すような配光20が得られる。すなわち、上弦は水平線Hに沿って左右に略真直ぐ広がり、下弦はその両側部が下方へ湾曲し中央部にホットゾーン21が形成された配光パターンとなる。」(明細書第9頁15行目?第10頁3行目)
「レンズステップ6、6、・・・における各セグメントの曲面の上下方向の曲率が異なる為、このレンズステップに入射した光はその入射した箇所の上下の相異によって左右への屈折拡散度が異なるから、配光における光度の密度の分布は均一となる。」(明細書第10頁11行?第10頁16行目)
また、上記記載事項及び図面の記載から次の事項が明らかである。
・反射鏡1は光源2と協働して、ビームを発生させるている。
・鉛直方向の配光をほぼ変更することなく光の概ね水平方向の広がりを提供している。
・レンズステップは透明であること。

以上の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が実質的に記載されていると認められる。
「光源2と、前記光源2と協働して、ビームを発生させることのできる反射鏡1と、鉛直方向の配光をほぼ変更することなく光の概ね水平方向の広がりを提供できる、前記反射鏡1の前方に配置された透明なレンズステップ6とを備える車輌用前照灯。」

(イ)周知例としての特開平10-228805号公報や特開2000-57823号公報には、車輌用標識灯に関し、特にその図面には以下の周知事項が記載されている。
・上部境界線によって画定されたビームを発生させることのできる反射鏡であること。(以下「周知事項1」という。)
・リフレクタにおいて、レンズの近くに位置付けられた横断基準線上への反射光線の衝突位置の、リフレクタの光軸からの第2の側方距離を、水平母線上への前記反射光線の反射位置の、同一光軸からの第1の側方距離の関数として表現した所定の法則を満たす前記水平母線を有し、更に前記第1の側方距離が、ゼロから前記第1の側方距離の最大値まで変化するときに、前記第2の側方距離が、ゼロから前記第2の側方距離の最大値まで、非直線的に変化すること。(以下「周知事項2」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「車輌用前照灯」が、本願補正発明の「自動車用のヘッドライト」に相当する。同様に「光源2」が「光源」に、「反射鏡1」が「反射鏡」、「レンズステップ6」が「光学偏向要素」にそれぞれ相当する。

すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)
「光源と、前記光源と協働して、ビームを発生させることのできる反射鏡と、鉛直方向の配光をほぼ変更することなく光の概ね水平方向の広がりを提供できる、前記反射鏡の前方に配置された透明な光学偏向要素とを備える自動車用のヘッドライト。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
(相違点)
相違点(ア)光入力面と光出力面において、本願補正発明が「全長にわたって途切れない」構成としたのに対し、引用発明は、必ずしも全長にわたって途切れない構成であるとはいえない点。

相違点(イ)反射鏡において、本願補正発明が「上部境界線によって画定されたビームを発生させることのできる反射鏡」であり、「偏向要素(30)の近くに位置付けられた横断基準線(y=y1)上への反射光線の衝突位置の、ヘッドライトの光軸(y-y)からの第2の側方距離(χ)を、水平母線(21)上への前記反射光線の反射位置の、同一光軸(y-y)からの第1の側方距離(x)の関数として表現した所定の法則を満たす前記水平母線を有し、更に前記第1の側方距離(x)が、ゼロから前記第1の側方距離の最大値(D/2)まで変化するときに、前記第2の側方距離(χ)が、ゼロから前記第2の側方距離の最大値(D/2)まで、非直線的に変化する」のに対して、引用発明ではそのような限定について言及がない点。

(4)相違点についての判断
・相違点(ア)について
一般に、ヘッドライトの技術分野において、連続的な線で凹凸を形成したレンズは、例えば、実願平5-73039号(実開平7-41814号)のCD-ROM、特開平7-296609号公報、特開平3-122902号公報等により、周知の技術である。
すると、引用発明の光入力面と光出力面において、上記周知の技術を施して、本願補正発明の相違点(ア)に係る構成とすることは格別のことではない。

・相違点(イ)について
上記周知事項1および周知事項2において、「リフレクタ」、「レンズ」、「リフレクタの光軸」は本願補正発明の「反射鏡」、「偏向要素(30)」、「ヘッドライトの光軸」に相当するものであるから、 「上部境界線によって画定されたビームを発生させることのできる反射鏡」であって、「反射鏡は、偏向要素の近くに位置付けられた横断基準線上への反射光線の衝突位置の、ヘッドライトの光軸からの第2の側方距離を、水平母線上への前記反射光線の反射位置の、同一光軸からの第1の側方距離の関数として表現した所定の法則を満たす前記水平母線を有し、更に前記第1の側方距離が、ゼロから前記第1の側方距離の最大値まで変化するときに、前記第2の側方距離が、ゼロから前記第2の側方距離の最大値まで、非直線的に変化する」点は、本願出願前周知の技術であるといえる。

すると、引用発明の反射鏡において、上記の周知の技術を適用して、本願補正発明の相違点(イ)に係る構成とすることは当業者にとって容易想到の範囲ということができる。

そして、本願補正発明により得られる作用効果も、引用発明及び周知の技術から当業者であれば予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成20年3月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 光源(10)と、前記光源と協働して、上部境界線によって画定されたビームを発生させることのできる反射鏡(20)と、鉛直方向の配光をほぼ変更することなく光の概ね水平方向の広がりを提供できる、前記反射鏡の前方に配置された透明な光学偏向要素(30)とを備える自動車用のヘッドライトであって、前記偏向要素が、光点を投射するレンズのものと同様な外観を呈するように、全長にわたって途切れない光入力面(31)と光出力面(32)を有することを特徴とするヘッドライト。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、前記限定事項を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-20 
結審通知日 2009-10-27 
審決日 2009-11-09 
出願番号 特願2002-80463(P2002-80463)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21S)
P 1 8・ 575- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和泉 等  
特許庁審判長 川向 和実
特許庁審判官 藤井 昇
小関 峰夫
発明の名称 反射鏡と偏向要素を組み合わせた自動車用のヘッドライト、および、その反射鏡と偏向要素の製造方法  
代理人 竹沢 荘一  

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