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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1214314
審判番号 不服2007-17971  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-28 
確定日 2010-04-01 
事件の表示 特願2002-125447「データのバックアップ方法及びそのプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月 7日出願公開、特開2003-316635〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年4月26日の出願であって、平成19年2月8日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月6日付けで手続補正がなされたが、同年5月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年7月18日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成19年7月18日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年7月18日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ユーザ側計算機環境とストレージ・サービス側計算機環境との間に介入してストレージ・サービスを支援する計算機手段によるユーザデータのバックアップ方法であって、
前記ストレージ・サービス側計算機環境が保持する空き領域を有する複数の記憶装置の中からストレージ・サービスの利用時にユーザが提示した所要の記憶容量を含むユーザ側条件に合致する少なくとも1つの記憶装置を選択し、前記ユーザ側計算機環境からユーザデータを受信し、前記ユーザデータが選択された前記少なくとも1つの記憶装置のそれぞれの空き領域に分散して格納されるように前記ユーザデータを前記空き領域に応じて分割して前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信することを特徴とするデータのバックアップ方法。」
と補正された。

上記補正は、補正前の請求項1における「前記ユーザデータを選択された前記少なくとも1つの記憶装置のそれぞれに分割して格納すべく前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」を「前記ユーザデータが選択された前記少なくとも1つの記憶装置のそれぞれの空き領域に分散して格納されるように前記ユーザデータを前記空き領域に応じて分割して前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-24846号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンピュータで扱うデータを記録するバックアップシステムに関するものである。」

B.「【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためコンピュータで扱うデータを記録するバックアップ装置と、前記バックアップ装置(12?14)で使用される個々の記録媒体の履歴情報をデータベースとして記録する補助記憶装置を有するサーバ(15?17)から成る第1のネットワーク(1)と、前記第1のネットワークと等価な第2、第3、……第nのネットワーク(2,3)と、前記n個全てのネットワークに対してデータ転送可能に1対1で接続された第1の通信用ネットワーク(10)を有するホストコンピュータ(9)と、前記ホストコンピュータに対して複数のクライアント(4?8)からデータ転送可能に1対1で接続された第2の通信用ネットワーク(11)から構成されるネットワークを利用したバックアップシステムとする。
【0008】第2にホストコンピュータ(9)は前記クライアント(4?8)からのバックアップ要求を受けると、前記第1から第nのネットワーク(1?3)のサーバ(15?17)が管理する前記履歴情報データベースを参照するネットワークを利用したバックアップシステムとする。
【0009】第3にホストコンピュータ(9)は前記履歴情報データベースを参照した結果により、前記第1から第nのネットワーク(1?3)が有するバックアップ装置(12?14)を選択し、選択したバックアップ装置に対してバックアップ命令を送出するネットワークを利用したバックアップシステムとする。」

C.「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施例について図面を用いて説明する。図1は本発明のバックアップ装置をネットワーク環境で使用する場合の接続例を示している。1は第1のネットワークで履歴情報データベースが記録された補助記憶装置15、バックアップ装置12、サーバ18、複数のクライアントから構成され、サーバ18を中心に複数のクライアント、バックアップ装置12が接続されている。
【0014】前記バックアップ装置12は前記サーバ15の命令によりデータの記録及び再生を行う。個々の記録媒体の履歴情報は補助記憶装置15から読み出されサーバ18のメモリ内で更新され記録媒体をバックアップ装置からの取り出す時に、前記メモリ内の履歴情報を情報を補助記憶装置に書き出すことで行う。新規に使用する記録媒体に関しては履歴情報をメモリ内で生成し、記録媒体の取り出し時に同様に補助記憶装置に書き出される。
【0015】2,3は第1のネットワークと同様の構成となっている第2、第3のネットワークである。
【0016】4,5,6はバックアップ装置を持たない第4、第5、第6のネットワークである。それぞれがサーバ21,22,23を中心に複数のクライアントに対してネットワークが構成されている。7,8はバックアップ装置を持たないコンピュータである。
【0017】9はホストコンピュータ、10,11はそれぞれ第1の通信用手段、第2の通信用手段である。前記ホストコンピュータ9は前記第1の通信用手段10で第1から第3のネットワーク1,2,3、前記第2の通信用ネットワーク11で第4から第6のネットワーク4,5,6とコンピュータ7,8とデータ通信可能に接続されている。
【0018】また、ホストコンピュータ9から見て4?8のネットワーク、コンピュータはバックアップ要求側でありクライアントとなる存在で、1?3のネットワークはクライアントのバックアップ要求に対するバックアップ側である。
【0019】図ではバックアップ装置を持たない第4のネットワークがホストコンピュータ9に対してバックアップ要求を送出し、その要求を受けたホストコンピュータ9がバックアップ装置を持つ第3のネットワークを選択し、第3のネットワークのサーバ20に対してバックアップ装置を用いて第4のネットワークのデータをバックアップするところを示している。」

D.「【0025】次に図3を用いてバックアップ形態の違いによるバックアップ装置選択を行うため処理を流れ図を用いて説明したものである。
【0026】バックアップ装置を持たないネットワーク、コンピュータ等からバックアップ要求がホストコンピュータ9に対して発生(処理1)すると、ホストコンピュータ9は要求発生元に対してバックアップの形態を問い合わせることでバックアップ形態を決定する(処理2)。
【0027】その後、バックアップ形態による定数値を決定する(処理3)。次にホストコンピュータ9は1個目のバックアップ装置を持つネットワークに接続し(処理4)、履歴情報を参照する(処理5)。管理されている履歴情報データベースを参照する。
【0028】履歴情報から容量、信頼性を確認する(判断2)。判断結果が満足していれば、現在参照中の履歴情報を持つバックアップ装置を認識し(処理6)、満足しない場合は次のバックアップ装置を持つネットワークに説属する(処理7)。バックアップ形態に即したバックアップ装置を認識したら、該当バックアップ装置を持つサーバに対してバックアップ命令を送出する(処理8)。その後、バックアップ要求元に対して、バックアップデータの転送許可を送出する(処理9)。
【0029】図4は図3で示した(判断2)の詳細を示した流れ図である。(処理1)は記録媒体検索の開始で履歴情報データベースを読み込むためのバックアップ装置を有するネットワークへのアクセスである。
【0030】前記履歴情報データベースは個々の記録媒体に関する履歴情報がまとめられてサーバの補助記憶装置に記録されているため、前記履歴情報データベースを構成する最後の履歴情報でないこを確認後(判断1)、最初の履歴情報をホストコンピュータのメモリに読み込む(処理2)。読み込まれた前記履歴情報からローディング回数、累積ライトフレーム数、累積リードフレーム数、累積ライトエラーブロック数、累積リードブロック数を示す情報を抽出する(処理3)。抽出された前記情報を用いてライトエラーレート、リードエラーレートを算出し、双方の平均を前記履歴情報を持つ記録媒体のエラーレートとする(処理4)。
【0031】次に記録媒体の信頼性を検証するため前記エラーレートと前記ローディング回数が設定閾値を満足することを確認する(判断2)。ここで前記設定閾値は信頼性の余裕度を確保するためのもので、記録媒体の仕様値を上回るものであれば、ホストコンピュータの管理者が任意に設定できるものである。ローディング回数、エラーレート値が満足していたら前記記録媒体の記録容量を確認するため、クライアントから要求されたバックアップデータと累積ライトフレーム数の合計が、記録媒体の全記録容量にエラーレートを乗じた容量以下であることを確認する(判断3)。ここで全記録容量にエラーレートを乗じたのは未記録部分のエラーレートを見越してのためである。
【0032】読み込まれた前記履歴情報は(判断1、2)を満足したときに、この履歴情報を持つ記録媒体はバックアップのために使用可能であると認識される。一方(判断1)もしくは(判断2)を満足できない履歴情報を持つ記録媒体はバックアップのために使用不可能と判断し、ホストコンピュータは、次の履歴情報を履歴情報データベースから読み込む(処理5)。前記履歴情報データベースを構成する履歴情報が最後になれば処理を終了する。ここで1個の記録媒体で記録しきれない容量の場合は、記録媒体の最大記録容量でバックアップを除算して使用記録媒体の個数をあらかじめ算出後、その個数を満足するだけの記録媒体を選択する。」

上記Dの段落【0028】における「履歴情報から容量、信頼性を確認する(判断2)」(図3の流れ図においては、「判断2」として示されている「バックアップデータを記録できる容量、信頼性があるか?」の部分)の具体的内容は、図4の流れ図及び段落【0029】?【0032】に示されており、特に、段落【0031】の「クライアントから要求されたバックアップデータと累積ライトフレーム数の合計が、記録媒体の全記録容量にエラーレートを乗じた容量以下であることを確認する」との記載を参酌すると、クライアントからの要求には、「バックアップデータ量」が含まれるものと解される。
また、上記バックアップデータは、上記Dの段落【0031】の「・・・前記記録媒体の記録容量を確認するため、クライアントから要求されたバックアップデータと累積ライトフレーム数の合計が、記録媒体の全記録容量にエラーレートを乗じた容量以下であることを確認する(判断3)。ここで全記録容量にエラーレートを乗じたのは未記録部分のエラーレートを見越してのためである。」との記載から明らかなように、記録媒体の「未記録部分」すなわち「空き領域」に記録されるものである。
してみれば、引用例のものにおいては、「サーバ15?17が保持する空き領域を有する複数の記録媒体の中から、クライアントが要求したバックアップ量を含むクライアント側条件に合致する少なくとも1つの記録媒体を選択する」ことが行われているものと解される。

よって、上記A?Dの記載及び関連する図面を参照すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例記載の発明」という。)
「サーバ(21?23)を中心に複数のクライアントに対して構成されている第4、第5、第6のネットワーク(4?6)とバックアップ装置(12?14)で使用される個々の記録媒体の履歴情報をデータベースとして記録する補助記憶装置を有するサーバ(15?17)から成る第1、第2、第3のネットワーク(1?3)との間に接続されたホストコンピュータ(9)によるデータのバックアップ方法であって、
前記第1、第2、第3のネットワーク(1?3)内の前記サーバ(15?17)が保持する空き領域を有する複数の記録媒体の中から、クライアントが要求したバックアップ量を含むクライアント側条件に合致する少なくとも1つの記録媒体を選択し、前記第4、第5、第6のネットワーク(4?6)からデータを受信し、前記データが選択された前記少なくとも1つの記録媒体の空き領域に格納されるように前記データを前記第1、第2、第3のネットワーク(1?3)へ送信することを特徴とするデータのバックアップ方法。」

(3)対比
本願補正発明と引用例記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(あ)引用例記載の発明における「クライアント」、「サーバ(21?23)を中心に複数のクライアントに対して構成されている第4、第5、第6のネットワーク(4?6)」は、それぞれ、本願補正発明における「ユーザ」、「ユーザ側計算機環境」に相当する。

(い)引用例記載の発明における「バックアップ装置(12?14)で使用される個々の記録媒体の履歴情報をデータベースとして記録する補助記憶装置を有するサーバ(15?17)から成る第1、第2、第3のネットワーク(1?3)」は、本願補正発明における「ストレージ・サービス側計算機環境」に相当する。

(う)引用例記載の発明における「ホストコンピュータ(9)」は、「第4、第5、第6のネットワーク(4?6)」と「第1、第2、第3のネットワーク(1?3)」との間に接続されて、バックアップ装置を持たない「第4、第5、第6のネットワーク(4?6)」のデータを「第1、第2、第3のネットワーク(1?3)」のバックアップ装置にバックアップさせる支援を行うものであるということができ、本願補正発明における「ユーザ側計算機環境とストレージ・サービス側計算機環境との間に介入してストレージ・サービスを支援する計算機手段」に相当するものであるといえる。

(え)引用例記載の発明における「記録媒体」と本願補正発明における「記憶装置」とは、「記憶手段」である点で共通するものである。
また、引用例記載の発明における「クライアントが要求したバックアップ量を含むクライアント側条件」は、実際にバックアップを行う際、すなわち、ストレージ・サービスの利用時にクライアントが提示するものであり、かつ、上記「バックアップ量」は、バックアップデータが蓄積される記録媒体の所要の記憶容量と等価である。
さらに、バックアップされるデータは、クライアント側から送られるデータであり、「ユーザデータ」と称することができるものである。
よって、本願補正発明と引用例記載の発明とは、「ストレージ・サービス側計算機環境が保持する空き領域を有する複数の記憶手段の中からストレージ・サービスの利用時にユーザが提示した所要の記憶容量を含むユーザ側条件に合致する少なくとも1つの記憶手段を選択し、ユーザ側計算機環境からユーザデータを受信」するものである点で共通するものである。

(お)本願補正発明と引用例記載の発明とは、「ユーザデータが選択された少なくとも1つの記憶手段の空き領域に格納されるように前記ユーザデータを前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」ものである点で共通するものである。

上記(あ)?(お)の事項を踏まえると、本願補正発明と引用例記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願補正発明と引用例記載の発明とは、ともに、
「ユーザ側計算機環境とストレージ・サービス側計算機環境との間に介入してストレージ・サービスを支援する計算機手段によるユーザデータのバックアップ方法であって、
前記ストレージ・サービス側計算機環境が保持する空き領域を有する複数の記憶手段の中からストレージ・サービスの利用時にユーザが提示した所要の記憶容量を含むユーザ側条件に合致する少なくとも1つの記憶手段を選択し、前記ユーザ側計算機環境からユーザデータを受信し、前記ユーザデータが選択された前記少なくとも1つの記憶手段に格納されるように前記ユーザデータを前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信するデータのバックアップ方法。」
である点。

(相違点)
相違点1:「記憶手段」が、本願補正発明においては「記憶装置」であるのに対し、引用例記載の発明においては「記録媒体」である点。

相違点2:本願補正発明においては、「ユーザデータが選択された少なくとも1つの記憶装置のそれぞれの空き領域に分散して格納されるように前記ユーザデータを前記空き領域に応じて分割してストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」ようにしているのに対し、引用例記載の発明においては、そのようにしていない点。

(4)判断
そこで、上記相違点1,2について検討する。

(相違点1について)
当該技術分野において、バックアップ対象データを、複数の「記憶装置」に格納するようにすることは、以下に例示するように、周知技術にすぎない。
例えば、特開2000-353118号公報の第2頁左欄(第1欄)第34行?右欄(第2欄)第5行の【従来の技術】の項には、データを複数のテープ媒体にバックアップする場合、バックアップ対象データを複数のドライブ装置に対して並列に転送し、もって複数のテープ媒体に書き込む技術が記載されており、ここで、上記「テープ媒体」を挿入した「ドライブ装置」は、「記憶装置」と称することができるものであることは、当業者にとって明らかである。
よって、上記周知技術を参酌し、「記憶手段」を「記憶装置」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点2について)
上記特開2000-353118号公報の【従来の技術】の項に記載されているものは、第2頁左欄(第1欄)第43?48行に、「例えば,数十ギガバイトの磁気ディスク上のデータを,テープ・ドライブ装置4台を搭載したライブラリ装置に対してバックアップする場合,ライブラリ装置の性能を最大限に活かすために,独立した領域に存在するデータを,ドライブ装置1からドライブ装置4に対して並列に転送して,テープ媒体に書き込む。」と記載されているように、バックアップ対象データを複数の記憶装置に分割して格納するものである。
また、バックアップ対象データを複数の記憶装置に分割して格納することは、特開平9-146812号公報の段落【0011】?【0012】にも記載されており、これらの記載を参酌すると、該技術事項は、周知技術であるといえる。
そして、バックアップ対象データを複数の記憶装置に分割して格納する場合に記憶装置のどのような領域に格納するかというと、そもそも、バックアップ対象データは、引用例の上記Dの段落【0031】の「・・・前記記録媒体の記録容量を確認するため、クライアントから要求されたバックアップデータと累積ライトフレーム数の合計が、記録媒体の全記録容量にエラーレートを乗じた容量以下であることを確認する(判断3)。ここで全記録容量にエラーレートを乗じたのは未記録部分のエラーレートを見越してのためである。」との記載からも明らかなように、記憶手段の「未記録部分」すなわち「空き領域」に記憶するものである。また、引用例の上記Dの段落【0032】には、「・・・ここで1個の記録媒体で記録しきれない容量の場合は、記録媒体の最大記録容量でバックアップを除算して使用記録媒体の個数をあらかじめ算出後、その個数を満足するだけの記録媒体を選択する。」とも記載されており、この箇所の記載は、未記録の記録媒体を複数使用する場合、すなわち、記録媒体の全体が「未記録部分」のものを複数使用することを想定していると解されるが、このようにバックアップ対象データを複数の記憶手段に分割して記憶する場合でも、それぞれの「空き領域」に記憶するようにしていることには変わりない。
してみれば、バックアップ対象データを複数の記憶装置に分割して格納する場合に、記憶装置の「空き領域」に記憶するようにすることは当然のことであり、また、その際に、分割した一つ分のバックアップ対象データ量と記憶装置の「空き領域」の容量とを比較して、「空き領域」の容量が分割した一つ分のバックアップ対象データ量を上回るような記憶装置は用い、下回るような記憶装置は用いないようにすること、すなわち、記憶装置の空き領域に応じて一つ分の分割したバックアップ対象データを送るか送らないかを決めるようにすることは、当業者が当然考慮すべき事項にすぎない。
したがって、上記周知技術を参酌し、「ユーザデータが選択された少なくとも1つの記憶装置のそれぞれの空き領域に分散して格納されるように前記ユーザデータを前記空き領域に応じて分割してストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(本願補正発明の作用効果について)
そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用例記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成19年7月18日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成19年4月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「ユーザ側計算機環境とストレージ・サービス側計算機環境との間に介入してストレージ・サービスを支援する計算機手段によるユーザデータのバックアップ方法であって、
前記ストレージ・サービス側計算機環境が保持する空き領域を有する複数の記憶装置の中からストレージ・サービスの利用時にユーザが提示した所要の記憶容量を含むユーザ側条件に合致する少なくとも1つの記憶装置を選択し、前記ユーザデータを選択された前記少なくとも1つの記憶装置のそれぞれに分割して格納すべく前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信することを特徴とするデータのバックアップ方法。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「前記ユーザデータが選択された前記少なくとも1つの記憶装置のそれぞれの空き領域に分散して格納されるように前記ユーザデータを前記空き領域に応じて分割して前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」の限定を省いて「前記ユーザデータを選択された前記少なくとも1つの記憶装置のそれぞれに分割して格納すべく前記ストレージ・サービス側計算機環境へ送信する」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明は、同様に、引用例記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-28 
結審通知日 2010-02-02 
審決日 2010-02-15 
出願番号 特願2002-125447(P2002-125447)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高瀬 勤桜井 茂行  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 田口 英雄
真木 健彦
発明の名称 データのバックアップ方法及びそのプログラム  
代理人 ポレール特許業務法人  
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