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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03B
管理番号 1214779
審判番号 無効2009-800077  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-04-13 
確定日 2010-03-01 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4157908号発明「可搬式スクリーン装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4157908号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 I 手続の経緯
本件特許第4157908号(以下、「本件特許」という。)は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴った平成16年4月22日(優先日、平成15年10月31日)を国際出願日とする特願2005-515086号の一部を新たな特許出願とした特願2007-174146号の一部をさらに新たな特許出願とした特願2007-314668号に係り、平成20年7月18日にその請求項1ないし12に係る発明について特許権の設定登録が行われた。
本件無効審判は、平成21年4月13日に、無効審判請求人 株式会社キクチ科学研究所(以下、「請求人」という。)により、「本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」として請求がなされたものであって、被請求人 泉株式会社(以下、「被請求人」という。)から平成21年6月30日付けで訂正請求書とともに答弁書が提出され、請求人から平成21年8月28日付けで弁駁書が提出された。
その後、平成21年9月25日に行われた第1回口頭審理において、請求人は、前記平成21年4月13日付けで提出した審判請求書、前記弁駁書及び平成21年9月11日付けで提出した口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述を行い、被請求人は、前記答弁書及び平成21年9月10日付けで提出した口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述を行った。なお、請求人の提出した前記平成21年9月11日付け口頭審理陳述要領書については、第1回口頭審理調書に記載のとおり訂正が行われている。
上記第1回口頭審理の後、請求人からは平成21年10月14日付けで、被請求人からは平成21年10月19日付けで、それぞれ上申書が提出されている。

II 訂正請求について
平成21年6月30日付けでなされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の訂正の適否について以下に検討する。
II-1 本件訂正請求の内容
本件訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書において、【発明の効果】として記載されている段落【0019】を、平成21年6月30日付け訂正請求書に添付した明細書のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正事項は以下のとおりである。
〈訂正事項〉
本件特許の願書に添付した明細書に
「【0019】
本発明によれば、ケーシングが分離可能な2個のケース部材から構成されているので、スプリングロールを取付けた第1のケース部材に第2のケース部材を連結してケーシングを組み立てることができる。これにより、スクリーン装置の組立て時にスプリングロールやケーシングを損傷させることなく、スプリングロールの位置決めを正確に行うことができる。また、2個のケース部材を連結して一体化することにより、ケーシングの強度を低下させることなく、ケース部材の厚さを薄くすることができるので、スクリーン装置をより軽量化することができ、取り扱いも容易である。また、スクリーンの取替え等のメインテナンスを容易に行うことができる。また、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねているので、蓋体が不要となり、スクリーン装置をより軽量化することができる。」とあったものを、
「【0019】
本発明によれば、小型軽量の可搬式スクリーン装置を提供することができる。」と訂正する。

II-2 本件訂正の目的
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0005】ないし【0006】の記載事項から、家庭用可搬式スクリーン装置において、本件特許に係る発明が解決しようとする課題として、次の(a)ないし(d)の課題を把握することができる。
(a)小型軽量化。
(b)スクリーンの収納ケースへの収納及び取出しの容易化。
(c)スプリングロールをケーシングに挿入・取付けを行う際の正確な位置決めと損傷防止。
(d)ケーシングの重量軽減。
そして、本件訂正請求前の前記段落【0019】の「本発明によれば、ケーシングが分離可能な2個のケース部材から構成されているので、スプリングロールを取付けた第1のケース部材に第2のケース部材を連結してケーシングを組み立てることができる。これにより、スクリーン装置の組立て時にスプリングロールやケーシングを損傷させることなく、スプリングロールの位置決めを正確に行うことができる。」という記載から、「ケーシングが分離可能な2個のケース部材から構成され」ることにより、前記(b),(c)の課題が解決されると認められ、そして、本件訂正請求前の前記段落【0019】の「また、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねているので、蓋体が不要となり、スクリーン装置をより軽量化することができる。」という記載から、「トップバーがケーシングの蓋体を兼ね」ることにより、前記(a)の課題が解決されると認められる。また、同じく本件訂正請求前の前記段落【0019】の「また、2個のケース部材を連結して一体化することにより、ケーシングの強度を低下させることなく、ケース部材の厚さを薄くすることができるので、スクリーン装置をより軽量化することができ、取り扱いも容易である。」という記載、ならびに、段落【0042】の「ケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにしたので、スクリーン装置をより軽量化することができる。」という記載から、「ケース部材の厚さを薄くする」ことにより、前記(a)及び(d)の課題が解決されると認められる。
そうすると、本件特許の願書に添付した明細書の段落【0007】の「本発明は、このような要望及び問題に鑑みてなされたものであり、小型軽量、取り扱いが容易で、かつ簡易な構成の可搬式スクリーン装置を提供することを目的とした。」という記載から、本件特許に係る発明が解決しようとする課題が、前記(a)ないし(d)のすべてであるかのように解することができるとしても、本件特許の願書に添付した明細書の前記段落【0019】ならびに【0042】の記載からして、少なくとも、前記(a)及び(d)の課題と、前記(b),(c)の課題は、解決するための技術的事項が異なる別個独立した課題として把握できるといえる。
そして、本件特許の請求項1に係る発明は、
「長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、
該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、
収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、
該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、
該ケーシングの側面中央部に一端が支持され、巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有する可搬式スクリーン装置であって、
上記トップバーの中央部にハンドル部を備えた係合部を設ける一方、
ケーシングの前面中央部に保護部材を設けてケーシングの中央部を補強し、
収納時には、上記ケーシングの中央部に設けた被係合部と上記係合部とを係合させてなる可搬式スクリーン装置。」
というものであって、前記(c)の課題を解決するための技術的事項に対応する「ケーシングが分離可能な2個のケース部材から構成され」ることを発明特定事項とせず、前記(a)の課題を解決するための技術的事項に対応する「(ケーシングの)開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバー」を発明特定事項とするものである。
とすると、本件特許の請求項1に係る発明の効果は、前記(a)の課題に対応した効果であるということができる。
したがって、上記訂正事項は、本件特許の請求項1に係る発明に対応していない効果に関する記載を削除し、前記請求項1に係る発明に対応する効果に関する記載に訂正することにより、前記請求項1に係る発明と整合させるための訂正であると認められるので、上記訂正事項は、特許法第134条の2第1項第3号に掲げる明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

II-3 本件訂正の特許法第134条の2第5項で準用する同法第126条第3,4項適合性について
訂正後の記載事項である「(本発明が)小型軽量の可搬式スクリーン装置を提供する」ものであることは、本件特許の願書に添付した明細書に、例えば、「本発明は、このような要望及び問題に鑑みてなされたものであり、小型軽量、取り扱いが容易で、かつ簡易な構成の可搬式スクリーン装置を提供することを目的とした。」(段落【0007】)、「本発明によれば、……ケーシングの強度を低下させることなく、ケース部材の厚さを薄くすることができるので、スクリーン装置をより軽量化することができ、取り扱いも容易である。……また、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねているので、蓋体が不要となり、スクリーン装置をより軽量化することができる。」(段落【0019】)、「本実施の形態によれば、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねるようにするとともに、……ケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにしたので、スクリーン装置をより軽量化することができる。」(段落【0042】)と記載され、また、上記II-2で検討したとおり、小型軽量化という課題は、スプリングロールをケーシングに挿入・取付けを行う際の正確な位置決めと損傷防止という課題とは、解決するための技術的事項が異なる別個独立した課題として把握できるといえるから、本件特許に係る発明の効果として小型軽量化のみを記載するよう訂正することは、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。また、上記II-2で検討したとおり、上記訂正事項が単に記載を整合させるための訂正である以上、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
したがって、上記訂正事項は、特許法第134条の2第5項で準用する同法第126条第3,4項に規定する要件に適合する。

II-4 本件訂正請求についてのむすび
本件訂正の目的は上記II-2のとおりであって、また、その訂正は、上記II-3のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、本件訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に掲げる明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当し、同条第5項において準用する特許法第126条第3項ならびに第4項の規定する要件に適合する。
よって、本件訂正を認め、以下に、「特許を無効とする」との請求のなされている、本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)について検討する。
なお、以下では、本件訂正請求によって訂正された全文訂正明細書を「本件特許明細書」という。

III 本件特許発明
本件特許発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載されている以下のとおりのものである。
「長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、
該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、
収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、
該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、
該ケーシングの側面中央部に一端が支持され、巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有する可搬式スクリーン装置であって、
上記トップバーの中央部にハンドル部を備えた係合部を設ける一方、
ケーシングの前面中央部に保護部材を設けてケーシングの中央部を補強し、
収納時には、上記ケーシングの中央部に設けた被係合部と上記係合部とを係合させてなる可搬式スクリーン装置。」

本件特許発明は上記のとおりであるが、便宜上、その発明特定事項を以下のとおり分節し、以後、各特定事項を、(A)ないし(I)の記号で表記する。
「(A)長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、
(B)該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、
(C)収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、
(D)該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、
(E)該ケーシングの側面中央部に一端が支持され、巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、
(F)を有する可搬式スクリーン装置であって、
(G)上記トップバーの中央部にハンドル部を備えた係合部を設ける一方、
(H)ケーシングの前面中央部に保護部材を設けてケーシングの中央部を補強し、
(I)収納時には、上記ケーシングの中央部に設けた被係合部と上記係合部とを係合させてなる可搬式スクリーン装置。」

IV 請求人の主張する無効理由
本件特許について、請求人が主張する無効理由のうち、無効理由2は、「本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないので、特許法第36条第6項第1号の規定にする要件を満たさないものであるため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。」というものであって、概略、以下の主張をしている。
IV-1 「ケーシング」について
本件特許発明の(A)の「ケーシング」は、上面側を開口部として解放し、前面、底面、後面の3面が一連一体で、3面間で分離部のない一体物のケーシングも包含すると認められるものの、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、長手方向に延在する第1のケース部材と第2のケース部材とからなり、第1のケース部材と第2のケース部材の長手方向の一端同士を連結する一方、他端同士を離間させて長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングについては記載されているものの、前記のような一体物のケーシングについては、本件特許明細書の発明の詳細な説明には記載されていない。

IV-2 「保護部材」について
本件特許発明の(H)の「保護部材」の配設形態には、例えば、ケーシングが一体物のケーシングであって、ケーシングの前面中央部のみにパッチ状の保護部材を設けてケーシングの中央部を補強した形態や、ケーシングが第1のケース部材と第2のケース部材との連結分体型のケーシングであって、そのケーシングの第1のケース部材の前面中央部のみにパッチ状の保護部材を設けてケーシングの中央部を補強した形態も包含するものと認められるものの、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、段落【0025】に記載されるように、保護部材を、ケーシングの前面に、ケーシングに密着してケーシングの底面まで延在して取着ける形態については記載されているものの、保護部材を上記例示のような形態で設けることについては、本件特許明細書の発明の詳細な説明には記載されていない。

V 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。本件審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、請求人の主張する上記無効理由2に対し、平成21年6月30日付け答弁書、平成21年9月25日の口頭審理、及び、平成21年10月19日付け上申書において、本件特許発明は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるとして、概略、以下の主張をしている。
V-1 「ケーシング」について
本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、「家庭用の可搬式スクリーン装置には、女性や子供でも持ち運べるようにするため、より小型軽量であることが要求される。また、スクリーンの収納ケースへの収納及び取出しを容易に行うことのできる簡易な構成も必要とされている。」(段落【0005】)、「また、ケーシングの強度を保持するために厚くせざるを得ず、そのためケーシングの重量を軽減できないという問題もあった。」(段落【0006】後半)との課題(以下、「第1の課題」という。)、ならびに、「従来のケーシングは一体物であり、取付けに際してはケーシングの側面からスプリングロールを挿入して取り付ける必要がある。そのため、スプリングロールの正確な位置決めが困難で、また、挿入の際スプリングロールやケーシングを損傷させる場合もある。」(段落【0006】前半)との課題(以下、「第2の課題」という。)という2つの課題が把握でき、それら第1の課題と第2の課題とが別個独立の課題であることは明らかである。
そして、ケーシングに第1のケース部材と第2のケース部材とが連結された形態のケーシングを用いること、及び、ケーシングに密着してケーシングの底部まで延在する形態の保護部材を含むことは、第2の課題に対応する発明の形態であり、一方、第1の課題に対応する本件特許発明は、一体物のケーシングの形態に適用できることは自明であり、ケーシングとして一体物のケーシング又は分割可能な2個のケース部材から構成されたケーシングのいずれをも用い得ることは、当業者に自明である。

V-2 「保護部材」について
(1)図5に示した構成は、2つに分割したケーシングを用いた際の好ましい形態として示したものであって、上記V-1で主張のとおり、2つに分割したケーシングは本件特許発明の発明特定事項でなく、図5には、ケーシングの前面中央部に保護部材を設けてケーシングの中央部を補強すること、及び、収納時にはケーシングの前面中央部に設けた保護部材と一体の被係合部と係合部とを係合させることが記載されているから、保護部材はケーシングに被係合部を形成できるようにする機能を発揮すればよく、そのためには、保護部材の一端をケーシングの底部まで取り付ける必要はなく、パッチ状の保護部材でよいことは、本件特許明細書の段落【0081】ないし段落【0083】、及び、図25ないし図27に示された、保護部材の変形例として把握される固定部の記載を見れば、当業者に自明である。
(2)段落【0025】の「トップバーの荷重によりプロジェクタ側にさらに湾曲して変形する」との記載は、実施形態1の第1のケーシング部材1aがプロジェクタ側に膨らんだ形状であるため、ケーシング部材がトップバーの荷重によりプロジェクタ側に湾曲するとしたものであって、ケーシング中央部に設けた保護部材の技術的意義は、ケーシングが湾曲して変形するのを防止するための補強をするというもので、これにより、ケーシングを薄くして小型軽量化を実現した場合であっても、ケーシングの湾曲変形が防止できる結果、蓋体を兼ねるトップバーとケーシングの確実な係合が確保されて持ち運び時に外れることがなく、取り扱いが容易となる。
そして、保護部材をケーシング上部の一部のみに設けた場合であっても、保護部材を設けない場合に比較してケーシング前面全体の湾曲変形を小さくできることを示した簡易実験の結果である参考資料1(平成21年10月19日付け上申書に添付して提出)からして、ケーシングの前面1aの上部1a(h)のみに保護部材を設けた場合には、参考図1ないし3(平成21年10月19日付け上申書に添付して提出)に示すように、前記上部1a(h)の湾曲変形が防止されて、保護部材のない下部1a(l)のみの湾曲変形となり、保護部材を設けていない場合に比較して、ケーシングの開口部をトップバーで塞いだ時のケーシングの開口部の幅を大きく維持できる。その結果、開口部の幅が小さくなったときに外れやすくなるような係合構造を採用した場合であっても、ケーシングを薄くでき、小型軽量化が可能となるのであるから、保護部材をケーシング前面全体に取り付ける必要はなく、保護部材が前面全体を覆っていない保護部材でよいことは明らかである。
また、明細書の段落【0025】の「一方、ケーシング1の前面には、ケーシング1に密着してケーシング1の底部にまで延在する保護部材26が取着されている。」という記載は、ケーシング1を分割した2つのケーシングによって構成した場合には、保護部材26を底部まで延在させ、ケーシングの変形の原因となり得るヒンジ部も併せて補強した方が効果的であるという、好ましい形態について記載したものであり、一体型のケーシングを含む本件特許発明では必須の構成ではない。そして、一体型のケーシングを含む本件特許発明における保護部材の技術的意義は、明細書の段落【0025】において「なお、保護部材26は、第1のケース部材1aがトップバーの荷重によりプロジェクタ側にさらに湾曲して変形するのを防止する効果を有する。」と記載しているように、専ら、ケーシングの湾曲変形を防止することにあり、前記のとおり、保護部材がケーシング前面上部のみに設けられた場合であっても、湾曲変形防止効果が明確に認められ、この保護部材によって本件特許発明が目的とする可搬式スクリーン装置の小型軽量化が達成できる。

VI 当審の判断
無効理由2の論点は、専ら、本件特許発明の(A)の「ケーシング」、ならびに(H)の「保護部材」が、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によって裏付けられているか、すなわち、本件特許の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆる明細書のサポート要件に適合するか否かというものである。

ここで、特許法第36条第6項第1号に規定された、明細書のいわゆるサポート要件については、「特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきもの」(平成17年(行ケ)第10042号)であるので、この判断基準(優先権主張を伴う本件特許については、「出願時の技術常識」を「優先日当時の技術常識」と読み替える。)に照らし、両者について、以下、順次検討する。

VI-1 「ケーシング」について
(1)本件特許発明は、「ケーシング」の形態について特段の特定をする記載がないので、本件特許明細書の発明の詳細な説明に実施形態として記載されている、「ケーシングを分割した2つのケース部材によって構成した場合」以外の、例えば、上面側を開口部として解放し、前面、底面、後面の3面が一連一体で、3面間で分離部のない一体物のケーシングも含むものと認められる。
そこで、本件特許発明の「ケーシング」に含まれる一体物のケーシングが、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によって裏付けられているか否か、検討する。
(2)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、家庭用の可搬式スクリーン装置には、女性や子供でも持ち運べるようにするため、より小型軽量であることが要求される。また、スクリーンの収納ケースへの収納及び取出しを容易に行うことのできる簡易な構成も必要とされている。
【0006】
また、従来のケーシングは一体物であり、取付けに際してはケーシングの側面からスプリングロールを挿入して取り付ける必要がある。そのため、スプリングロールの正確な位置決めが困難で、また、挿入の際スプリングロールやケーシングを損傷させる場合もある。また、ケーシングの強度を保持するために厚くせざるを得ず、そのためケーシングの重量を軽減できないという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような要望及び問題に鑑みてなされたものであり、小型軽量、取り扱いが容易で、かつ簡易な構成の可搬式スクリーン装置を提供することを目的とした。」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、可搬式スクリーン装置の使用時の状態の一例を示している。……(途中省略)……
【0042】
本実施の形態によれば、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねるようにするとともに、ケーシングを片側ヒンジ機構により連結された第1のケース部材と第2のケース部材で構成するようにしてケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにしたので、スクリーン装置をより軽量化することができる。」

上記(ア)の記載から、本件特許発明が可搬式スクリーン装置について解決しようとする課題として、次の(a)ないし(d)の課題を把握することができ、下記(a)及び(d)の課題は、他の課題と解決するための技術的事項が異なる別個独立した課題として把握できるといえることは、上記II-2で述べたとおりである。
(a)小型軽量化。
(b)スクリーンの収納ケースへの収納及び取出しの容易化。
(c)スプリングロールをケーシングに挿入・取付けを行う際の正確な位置決めと損傷防止。
(d)ケーシングの重量軽減。
そして、上記(イ)の記載から、上記(a)及び(d)の課題を解決するための技術的事項として、「トップバーがケーシングの蓋体を兼ねる」、「ケーシングを片側ヒンジ機構により連結された第1のケース部材と第2のケース部材で構成するようにしてケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにした」という2つの技術的事項を把握することができる。
ここで、ケーシングを分割した2つのケース部材によって構成した場合、一体物のケーシングで構成した場合のいずれであっても、「ケース部材の厚さを薄くする」ことによって、ケーシングの重量軽減を図り得ることは、本件特許の優先日当時の技術常識に照らして当業者に明らかであるし、前記(ア)に記載されているように、ケーシングを一体物のケーシングとして形成することは、従来公知の事項である。
してみると、当業者は、本件特許の優先日当時の技術常識に照らして、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載により、上記(a)及び(d)という本件特許発明の課題は、「ケーシングを片側ヒンジ機構により連結された第1のケース部材と第2のケース部材で構成する」ことを伴わなくとも、すなわち、従来公知の「一体物のケーシング」であっても、「トップバーがケーシングの蓋体を兼ねる」、「ケース部材の厚さを薄くする」という、前記2つの技術的事項を採用することによって解決できることを認識することができるので、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記(a)及び(d)という本件特許発明の課題が、「ケーシング」を「分割した2つのケーシングによって構成した場合」のみならず、「一体型のケーシング」とした場合にも解決できることを、当業者が認識できる記載がなされているといえる。
したがって、本件特許発明の「ケーシング」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によって裏付けられているといえる。

VI-2 「保護部材」について
(1)本件特許発明には、「保護部材」について、「ケーシングの前面中央部に保護部材を設けてケーシングの中央部を補強し」と特定する以外に特段の特定をする記載がないので、本件特許発明の「ケーシングの前面中央部に」「設けてケーシングの中央部を補強」する「保護部材」には、本件特許明細書の発明の詳細な説明に実施の形態として記載されている、「ケーシングの前面中央部」にケーシングに密着してケーシングの底部にまで延在して「設けて」、「第1のケース部材1aがトップバーの荷重によりプロジェクタ側にさらに湾曲して変形するのを防止する」「保護部材」以外の、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」する「保護部材」も含まれると認められる。
そこで、本件特許発明の「保護部材」に含まれる、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」する「保護部材」が、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によって裏付けられているか否か、検討する。
なお、前記VI-1で検討したとおり、本件特許発明が解決しようとする課題は、前記(a)及び(d)の「小型軽量化」及び「ケーシングの重量軽減」であって、当該課題は「トップバーがケーシングの蓋体を兼ねる」、「ケース部材の厚さを薄くする」ことによって解決可能であって、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、前記課題は、「ケーシング」を「分割した2つのケーシングによって構成した場合」のみならず、「一体型のケーシング」とした場合にも解決できることを、本件優先日当時の技術常識に照らして当業者が認識できる記載がなされているといえるので、本件特許発明の「ケーシング」に、ケース部材の厚さを薄くした一体型のケーシングが含まれることを前提として、前記V-2に記載した被請求人の主張について検討する。
(2)本件特許明細書の発明の詳細な説明ならびに図面には、保護部材に関連して、以下の記載がある。
(ウ)「【0025】
ケーシング1の後面には、支柱6を軸支する支柱取付け部材25が取着されている。一方、ケーシング1の前面には、ケーシング1に密着してケーシング1の底部にまで延在する保護部材26が取着されている。ここで、保護部材26の一端は、ケーシング1の底部にリベット28,29により締着され、他端はリベット27により締着して固定されている。そして、支柱取り付け部材25と保護部材26とは、相互に嵌合されて固定されている。なお、保護部材26は、第1のケース部材1aがトップバーの荷重によりプロジェクタ側にさらに湾曲して変形するのを防止する効果を有する。なお、保護部材には、高弾性で軽量な樹脂製カバーを用いることが好ましい。」
(エ)「【0029】
なお、図5では、被係合部材15,16が、それぞれ支柱取り付け部材25と保護部材26と一体である場合を示しているが、被係合部材15,16をそれぞれ支柱取り付け部材25と保護部材26と別体とすることもできる。」
(オ)「【0042】
本実施の形態によれば、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねるようにするとともに、ケーシングを片側ヒンジ機構により連結された第1のケース部材と第2のケース部材で構成するようにしてケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにしたので、スクリーン装置をより軽量化することができる。」
(カ)「【図3】および【図5】」
【図3】は、図1の可搬式スクリーン装置の収納時の構造を示す模式斜視図、【図5】は、図3のV-V線に沿った模式縦断面図であって、【図3】には、保護部材26がケーシング1の中央部前面上部から下部にわたって延在していること、【図5】には、前記(ウ)の記載に即し、保護部材26がケーシング1に密着して、ケーシング1の前面からケーシング1の底部にまで延在して取り付けられていることが図示され、ケーシングの前面は、ケーシング開口部からケーシング底部に至ってプロジェクタ側に膨らんだ湾曲形状を有していることが見てとれる。

上記(ウ)の「保護部材26は、第1のケース部材1aがトップバーの荷重によりプロジェクタ側にさらに湾曲して変形するのを防止する効果を有する。」という記載、及び上記(オ)の「本実施の形態によれば、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねるようにするとともに、……ケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにしたので、スクリーン装置をより軽量化することができる。」という記載、ならびに、ケーシング強度が維持できる程度にケース部材の厚さが厚い場合には、トップバーの荷重によってケーシングが湾曲変形するとは考えられないことから、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された「保護部材」は、前記(a)及び(d)の「小型軽量化」、「ケーシングの重量軽減」という課題(前記VI-1参照)を解決するために、「トップバー」が「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果、「トップバーの荷重により(ケーシングが)プロジェクタ側にさらに湾曲して変形するのを防止する」ために必要となったものと解するのが相当である。そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明が解決すべき、「小型軽量化」、「ケーシングの重量軽減」という課題との関係において、「トップバー」が、「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果生じる、トップバーの荷重によるケーシングのさらなる湾曲変形という特定の問題を解消することができる「保護部材」が記載され、かかる「保護部材」の一態様として、「ケーシングの前面(中央部)」に、「ケーシングに密着してケーシングの底部にまで延在」して設けた態様の「保護部材」が記載されているということができる。
一方、被請求人が平成21年10月19日付け上申書で参考図1(B)、参考図2を図示しつつ述べるように、ケーシングの前面1aの上部1a(h)のみに保護部材を設けた場合には、前記上部1a(h)の湾曲変形が防止されるものの、保護部材のない下部1a(l)は湾曲変形する(上記V-2(2)参照)から、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」した「保護部材」では、「トップバー」が「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果生じる、トップバーの荷重によるケーシングのさらなる湾曲変形という特定の問題を解消することができない。
してみると、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によっては、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」する「保護部材」により、本件特許発明が解決すべき、「小型軽量化」、「ケーシングの重量軽減」という課題との関係において、「トップバー」が、「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果生じる、トップバーの荷重によるケーシングのさらなる湾曲変形という特定の問題を解消することができることを、当業者は認識することができない。

ここで、一般的に、薄肉化を図った部材を保護したり補強したりするため、保護や補強が必要となる部分に保護部材や補強部材を付加することは本件優先日当時の技術常識に属する事項である。しかしながら、特定の用途や機能を有する部分について、その用途や機能に応じた特定の保護機能や補強効果を奏せしめるために、どのように保護部材や補強部材を設けるかは、用途や機能と解決すべき課題との関係において、所定の態様とされる必要があることは明らかである。
これを本件特許発明についてみると、ケーシング開口部からケーシング底部に至ってプロジェクタ側に膨らんだ湾曲形状を有するケーシング(前記(カ)参照)について、「保護部材」をパッチ状に設ける場合、どのような位置、範囲に設ければ、本件特許発明が解決すべき、「小型軽量化」、「ケーシングの重量軽減」という課題との関係において、「トップバー」が、「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果生じる、トップバーの荷重によるケーシングのさらなる湾曲変形という特定の問題を解消することができるかは、具体的な記載や示唆なくしては、上記技術常識をもってしても、当業者は認識することができない。
してみると、本件優先日当時の技術常識に照らしても、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」した「保護部材」により、本件特許発明が解決すべき、「小型軽量化」、「ケーシング重量の軽減」という課題との関係において、「トップバー」が「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果生じる、トップバーの荷重によるケーシングのさらなる湾曲変形という特定の問題を解決することができることを、当業者は認識することができない。

また、前記V-2に記載したとおり、被請求人は、ケーシング中央部に保護部材を設けてケーシング中央部を補強する技術的意義について、「保護部材はケーシングに被係合部を形成できるようにする機能を発揮すればよく」、「ケーシングを薄くして小型軽量化を実現した場合」、「開口部の幅が小さくなったときに外れやすくなるような係合構造を採用した場合であっても、蓋体を兼ねるトップバーとケーシングの確実な係合が確保されて持ち運び時に外れることがなく、取り扱いが容易となる」旨、主張しているものの、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、ケーシング中央部に保護部材を設けてケーシング中央部を補強する技術的意義について、前記(ウ)ないし(カ)以外に、請求人の主張するような前記技術的意義については何ら記載されていない。
さらに、同じく前記V-2に記載したとおり、図5に、保護部材と一体化された被係合部材を、係合部と係合させている図が図示されているとしても、前記(エ)の記載に照らすと、保護部材と被係合部材とは別部材としても把握し得る部材であると認められることから、保護部材を、前記被請求人の主張のごとく、単なる被係合部の形成部材として認識することは、当業者といえども困難である。
加えて、前記V-2に記載したとおり、被請求人は、「保護部材」を「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」する態様に関する記載の根拠として、本件特許明細書の段落【0081】ないし段落【0083】、及び、【図25】ないし【図27】を指摘するが、それらの段落は「ロック機構」の変形例として記載されたものであり、また、それら図面においてケーシングの前面に設けられている部材85,88,89,92および93は、ロック機構の一部をなすベルト部材の固定部材であることから、本件特許発明の「被係合部材」に相当する部材であるということができる。そして、前述のとおり、(エ)の記載からして、保護部材と被係合部材とは別部材としても把握し得る部材であると認められるので、前記ケーシングの前面に設けられている部材85,88,89,92および93が、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」する「保護部材」に相当する部材であると認めることは、到底できない。

(3)以上から、被請求人の主張を採用することはできず、本件優先日当時の技術常識に照らしても、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によって、本件特許発明の「保護部材」に含まれる、「ケーシングの前面中央部」にパッチ状に「設けてケーシングの中央部を補強」する「保護部材」により、本件特許発明が解決すべき、「小型軽量化」、「ケーシング重量の軽減」という課題との関係において、「トップバー」が「開口部を上面に有するケーシング」の「上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねる」ようにするとともに、「ケーシング」の厚さを薄くした結果生じる、トップバーの荷重によるケーシングのさらなる湾曲変形という特定の問題を解決できることを、当業者は認識することはできない。
したがって、本件特許発明の「保護部材」が、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載によって裏付けられているということはできない。

VII むすび
以上のとおり、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえないので、特許法第36条第6項第1号の規定にする要件を満たさないものである。
よって、本件特許の請求項1に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるので、請求人の主張するその余の無効理由について検討するまでもなく、本件特許の請求項1に係る発明についての特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
可搬式スクリーン装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ等の投影装置による表示像を拡大投影するスクリーンに関し、持ち運びが容易で、床あるいはテーブル等任意の場所に設置することのできる可搬式スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタからの画像は、一般に反射型スクリーンに拡大投影されて表示される。このようなスクリーンのうち、天井あるいは壁面に取り付けて使用されるものは、一般に収納ケースに収容されたスクリーンを、必要に応じ、電動あるいは手動により引き下げて使用していた。また、掛図式スクリーン装置あるいは三脚スタンド式スクリーン装置は、所定の場所に吊り下げるか床置きにして使用していた。
【0003】
近年、会社あるいは事務所等における会議の増加に伴い、プロジェクタとともに容易に持ち運ぶことができ、会議室の床、会議用机或いはテーブル上に設置してプロジェクタからの画像を投影することのできる簡易な構成の可搬式スクリーン装置に対する要望が増加している。これに対し、スプリングロールに巻回されたスクリーンを収納ケースに収納した可搬式スクリーンも提案されている。この可搬式スクリーン装置としては、任意の場所に収納ケースを設置し、例えばパンタグラフによりスプリング等の弾性力を利用してスクリーンを引き上げたりするタイプや、収納ケースに取り付けた支柱にスクリーンを係止するタイプ(例えば、特許文献1)が提案されている。
【0004】
一方、家庭においても、テレビ画像投影用のプロジェクタの普及に伴い、家庭用の可搬式スクリーン装置に対する要望が増加している。
【特許文献1】実開平6-36048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、家庭用の可搬式スクリーン装置には、女性や子供でも持ち運べるようにするため、より小型軽量であることが要求される。また、スクリーンの収納ケースへの収納及び取出しを容易に行うことのできる簡易な構成も必要とされている。
【0006】
また、従来のケーシングは一体物であり、取付けに際してはケーシングの側面からスプリングロールを挿入して取り付ける必要がある。そのため、スプリングロールの正確な位置決めが困難で、また、挿入の際スプリングロールやケーシングを損傷させる場合もある。また、ケーシングの強度を保持するために厚くせざるを得ず、そのためケーシングの重量を軽減できないという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような要望及び問題に鑑みてなされたものであり、小型軽量、取り扱いが容易で、かつ簡易な構成の可搬式スクリーン装置を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の可搬式スクリーン装置は、長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、該ケーシングの側面中央部に一端が支持され、巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有する可搬式スクリーン装置であって、上記トップバーの中央部にハンドル部を備えた係合部を設ける一方、ケーシングの前面中央部に保護部材を設けてケーシングの中央部を補強し、収納時には、上記ケーシングの中央部に設けた被係合部と上記係合部とを係合させてなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、支柱は、ケーシングの側面中央部に一端が起伏可能に軸支されており、起立時には巻き出したスクリーンを展張状態に保持することができる。
【0010】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、長手方向に延在する第1のケース部材と第2のケース部材とで構成し、その第1及び第2のケース部材の幅方向の一端を互いに結合する一方、開口部を形成可能に幅方向の他端を互いに離間配置したケーシングを用いることができる。
【0011】
また、本発明の可搬式クリーン装置においては、トップバーの中央部にハンドル部を設ける一方、支柱の先端部にフック部を設け、そのフック部にハンドル部を掛止することができる。さらに、そのフック部を支柱の先端部に水平回動可能に取付け、支柱の倒伏時にはフック部を回動させてケーシングに密着させることもできる。
【0012】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、収納時にトップバーをケーシングに固定するロック機構を設けることもできる。そのロック機構は、トップバー上に配設された係合部と、ケーシングに配設されその係合部と係合する被係合部とで構成することができる。さらに、その係合部にトップバーの幅方向に対向配設された一対の係合部材を設け、被係合部にはケーシングの対向する開口縁部にそれぞれ配設され係合部材と係合する一対の被係合部材を設けることができる。さらに、各係合部材を係合部に回動可能に軸支させ、各係合部材を一端に上記被係合部と係合する係合端部と、他端に係合端部の係合・解放を操作する操作部とで構成し、対向配置した一対の操作部を接近方向に回動させて係合端部の被係合部との係合を解除する一方、その一対の操作部を離反方向に回動させて係合端部と被係合部とを係合させることもできる。さらに、係合部にバネ部材を設け、係合端部を被係合部に圧接するように付勢するようにすることもできる。
【0013】
また、上記ロック機構の係合部に、係合時において操作部の接近を防止する回動ロック機構を設けることもできる。回動ロック機構を、ロック位置と解放位置とを回動自在に係合部に嵌着されたロック部材で構成し、ロック位置ではロック部材頭部の両端部のそれぞれを各操作部に当接させて操作部の接近を防止し、解放位置では両端部と各操作部との当接を解除して操作部の接近を許すように動作させることができる。
【0014】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、入れ子状に構成され相互に摺動してスライド伸縮可能な複数の筒体から成り、下段の筒体が、スライド伸縮させた上段の筒体のスライドをロックし、支柱を所定高さに保持するスライドロック機構を有する支柱を用いることができる。
【0015】
スライドロック機構に、最下段の第1の筒体にその上段の第2の筒体を係止させる第1のスライドロック機構を設けることもできる。その第1のスライドロック機構には、係合部材とその係合部材を支持する基部とを有し、下段の筒体の先端部の外周面に取着された筒体係合部と、上段の筒体の長手方向に設けられた少なくとも1つの貫通孔から成り、伸長時に係合部材と係合して上段の筒体を係止する筒体被係合部とを有するものを用いることができる。さらに、その係合部材を、一端に貫通孔と係合する突起部と、他端に突起部と貫通孔との係合・解放を操作する操作部とで構成し、筒体の軸方向に回動可能に係合部材を基部に軸支して、操作部を筒体方向に押圧すると突起部と貫通孔の係合が解放され、操作部の押圧を解除すると突起部と貫通孔が係合するようにすることができる。さらに、第2の筒体よりも先端側の筒体のスライドをロックする第2のスライドロック機構を設けることもできる。第2のスライドロック機構は、上段の筒体の後端部の内周面に配設された筒体係合部と、下段の筒体の長手方向に形成された複数の貫通孔からなり、筒体係合部と係合する筒体係合受部とから構成することができる。また、筒体係合部に、係合時に突起部を貫通孔に圧接させるように付勢するバネ部材を設けることもできる。
【0016】
また、上記第1のスライドロック機構に、操作部の押圧状態を維持して、突起部と貫通孔の係合の解除状態を維持する操作部ロック機構を設けることもできる。また、その操作部ロック機構を、基部に配設された係合溝と、係合部材に配設された係合ピンとで構成し、操作部を筒体方向に押圧すると、係合溝に係合ピンが係合するようすることもできる。また、先端側の筒体の先端部に、解除状態の突起部と係合して突起部を貫通孔に係合させるように案内し、かつ突起部と貫通孔との係合状態を維持する突起部ロック機構を設けることもできる。また、スライドロック機構を支柱の最下段の筒体に配設することもできる。
【0017】
また、スライドロック機構を、先端側の上段の筒体の後端部の内周面に取着された摺動部材の凹部に配置された筒体係合部と、下段の筒体の長手方向に設けられた少なくとも1つの貫通孔から成り、伸長時に上記係合部と係合し上段の筒体を係止する筒体被係合部とからなり、さらに筒体係合部を、一端に貫通孔を係合する突起部を有する係合部材と、一端部を摺動部材の凹部に係着され他端部が係合部材の他端に係着されることにより係合部材の突起部を貫通孔側に向けて付勢するバネ部材とで構成することもできる。
【0018】
また、スライドロック機構を、先端側の上段の筒体の後端部の内周面に取着された摺動部材の凹部に配置された筒体係合部と、下段の筒体の内面の長手方向に設けられた連続する一本の周回溝からなる筒体被係合部とから構成し、ここで該周回溝は伸長時には筒体係合部と係合して上段の筒体の短縮方向への移動を規制する複数の係止部を有する往路溝と、短縮時には筒体係合部との係合を解除して上段の筒体の短縮方向への移動を許す復路溝とから構成されており、さらに筒体係合部を、一端部が摺動部材の凹部に遊嵌され、他端部には係止部と係合する突起部を有し、上記一端部を支点として揺動可能な係合部材と、一端部を摺動部材の凹部に係着され他端部が係合部材の上記一端部に係着されることにより係合部材の突起部を係止部に向けて付勢するバネ部材とで構成することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型軽量の可搬式スクリーン装置を提供することができる。
【0020】
また、支柱をケーシングと一体化するとともに支柱を起伏可能とすることもできる。これにより、収納時に支柱を倒伏することによりスクリーン装置をより小型化することができ、持運びが容易となる。また、使用時には支柱を起立させ、支柱を所望の高さに伸長させてスクリーンを展張すればよく、収納時には支柱を短縮して倒伏させる一方、スクリーンを巻戻してトップバーで開口部に蓋をすればよいので取り扱いが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、可搬式スクリーン装置の使用時の状態の一例を示している。可搬式スクリーン装置P1は、ケーシング1と、ケーシング内に取付けられたスプリングロール(不図示)と、開口部1cから巻き出されトップバー5とスプリングロールとの間に展張されたスクリーン4と、ケーシング1の概ね中央に立設されスクリーン4を所定高さに保持する支柱6と、を備えている。支柱6は、ケーシング1の概ね中央に取着された支柱取り付け部材25により支持されたスライド伸縮可能な2段の筒体6a,6bからなり、スライドロック機構30により所定高さに保持されている。また、支柱6はその先端に水平回動可能なフック部7Aを有しており、トップバー5の概ね中央に配設された、掛止部材を兼ねる持運び用のハンドル24をフック部7Aに掛止してスクリーン4を吊下げている。また、9はトップバー5をケーシング1に固定するロック機構を構成する係合部であり、収納時、ケーシング1に配設された被係合部(不図示)と係合する。また、スクリーン装置P1は、ケーシング1の底部から引出された一対の脚部3,3により直立するように支持されている。
【0022】
図2は、収納のため、スクリーン4を巻戻した状態の可搬式スクリーンP1の構造の一例を示している。フック部7Aとの掛止を解除されたスクリーン4は巻戻されてケーシング1に収容されている。トップバー5は、蓋体となりケーシング1の開口部を塞いでいる。図3は、収納時の可搬式スクリーンPの構造の一例を示している。支柱6を支柱取り付け部材25に軸支された下端を中心に回動させて倒伏する。これにより、支柱6は支柱全体をケーシング1に平行にした状態で収納されている。なお、26は後述するケーシング用の保護部材である。
【0023】
図4は、収納時におけるスクリーン装置P1の中央部の模式部分拡大図である。ロック機構は、トップバー5の上面に取着された係合部9と、ケーシング1側に配設され係合部9と係合する被係合部(不図示)とを有している。係合部9は、支持部14と、支持部14上にトップバー5の周方向に互いに接近・離間移動が可能に対向配置された一対の係合部材11,12と有し、その一対の係合部材の間に係合時に係合部材同士の接近を防止する操作部ロック機構13を設けている。
【0024】
図5は、図4のV-V線に沿った縦断面図である。図5に示すように、ケーシング1は、長手方向に延在する第1のケース部材1aと第2のケース部材1bで構成されている。その2つのケース部材の長手方向の一端は片側ヒンジ機構により開閉可能に連結され、他端は互いに離間しスクリーンを巻き出す空間部1cを形成している。ここで、プロジェクタ側の前面の第1のケース部材1aをプロジェクタ側に膨出する湾曲構造とする一方、後面の第2のケース部材1bは断面L字状に形成されている。これにより、ケーシング1の中にスクリーン4が巻回されたスプリングロール2を収容し、かつ開口部1cの幅を狭くしてケーシング1の小型化を図ることができる。なお、ケース部材にはアルミ押し出し材を用いることができる。
【0025】
ケーシング1の後面には、支柱6を軸支する支柱取付け部材25が取着されている。一方、ケーシング1の前面には、ケーシング1に密着してケーシング1の底部にまで延在する保護部材26が取着されている。ここで、保護部材26の一端は、ケーシング1の底部にリベット28,29により締着され、他端はリベット27により締着して固定されている。そして、支柱取り付け部材25と保護部材26とは、相互に嵌合されて固定されている。なお、保護部材26は、第1のケース部材1aがトップバーの荷重によりプロジェクタ側にさらに湾曲して変形するのを防止する効果を有する。なお、保護部材には、高弾性で軽量な樹脂製カバーを用いることが好ましい。
【0026】
ロック機構8は、係合部9と被係合部10とで構成されている。さらに、係合部9は、第1係合部11と第2係合部12の一対の係合部で構成されている。第1係合部11と第2係合部12を、それぞれ構成する第1係合部材11aと第2係合部材12aは、トップバー5の幅方向に対向配置され、かつトップバーの長手方向に対する垂直部内を回動可能に基部14に軸支されている。さらに、係合部材11a,12aは、それぞれその一端に被係合部10と係合する係合端部111a,121a、他端に係合端部111a,121aの係合・解放を操作する操作部112a,122aを有している。図5では、係合端部111a,121aに係合ツメ、そして操作部112a,122aに凸状取手部を用いた例を示している。
【0027】
一方、被係合部10は、一対の被係合部材15,16とから構成されている。被係合部材15,16は、それぞれケース部材1bとケース部材1aの開口縁部に配設され、上記係合ツメと係合する。
【0028】
また、第1係合部11と第2係合部12の各係合部は、一端を基部に係着され、他端を係合部材に係着された第1バネ部材11bと第2バネ部材12bを有している。このバネ部材は係合部材の一端の操作部112a,122aを互いに離反する方向に常時付勢し、他端の係合端部をトップバー方向に押圧している。
【0029】
なお、図5では、被係合部材15,16が、それぞれ支柱取り付け部材25と保護部材26と一体である場合を示しているが、被係合部材15,16をそれぞれ支柱取り付け部材25と保護部材26と別体とすることもできる。
【0030】
ロック機構の係合時には、図5に示すように、係合端部111a,121aは、それぞれ被係合部材15,16に係合している。係合端部と被係合部材との係合を解除するには、バネ部材の付勢力に抗して操作部112aと操作部122aとを互いに接近させる方向に押圧する。これにより、係合端部111a,121aが被係合部材15,16と離間する方向に係合部材11a,12aが回動し、係合端部と被係合部材との係合が解除される。一方、係合端部を被係合部材に係合させるには、トップバーでケーシングの開口部を塞ぐ際に、係合部を下方に押圧して、被係合部材と係合端部とを係合させる。バネ部材の付勢力により、係合端部は被係合部材に圧接された状態で係合される。
【0031】
また、基部14の上面には、操作部ロック機構を構成するロック部材13が配設されている。操作部ロック機構は、ロック機構の誤動作を防止する機構である。例えば、収納したスクリーン装置を移動させる場合、ハンドルを掴む際に、誤って操作部を互いに接近する方向に押圧してトップバーがケーシングから飛び出したりする場合がある。操作部ロック機構を設けることにより、ロック機構が係合状態にある場合、操作部が移動して係合状態が解除されるのを防止することができる。
【0032】
ロック部材13は、ロック位置と解放位置とを回動自在に基部14に嵌着され、ロック機構の係合時には図5に示すロック位置にある。このロック位置では、ロック部材13頭部の両端部をそれぞれ各操作部112a,122aに当接させて操作部の接近を防止している。一方、解放位置では、両端部と各操作部との当接を解除するようにロック部材を回動させて、操作部同士の接近を可能とする。これにより、解放位置では、ロック機構を解除してトップバーのケーシングに対する固定を解除してスクリーンを巻き出すことができる。
【0033】
図6は、図4のVI-VI線に沿った縦断面図であり、ロック機構の係合部と被係合部との位置合わせを正確に行うための位置決め機構17の構成を示している。位置決め機構17は、ケーシングの開口縁部に被係合部と一直線となるように形成されたガイド部18と、ロック機構の基部14に形成されガイド部18と相互に遊嵌可能な被ガイド部19とで構成されている。ガイド部18は、ケーシングの対向する開口縁部に配設された一対の突縁部20,21で構成されている。各突縁部は少なくとも1個の突出部から構成することができるが、2個以上の突出部を被係合部材の両側に配設することが好ましい。一方、被ガイド部19は、基部14の前面側と後面側に形成されたガイド溝22,23で構成されている。
【0034】
トップバーでケーシングの開口部を塞ぐ時、被ガイド部をガイド部に遊嵌してトップバーを開口部に位置決めして固定する。これにより、ロック機構の係合部と被係合部との係合位置がずれることがないので、容易にトップバーをロックすることができる。なお、本実施の形態では、被ガイド部にガイド溝を用い、ガイド部に突縁部を用いた例を示したが、被ガイド部に突縁部を用い、ガイド部にガイド溝を用いることもできる。
【0035】
図7に示すように、第1のスライドロック機構30は、下段の第1の筒体6aの先端部の外周面に取着され、筒体用係合部材32を有する筒体係合部31と、上段の第2の筒体6bの長手方向に設けられた少なくとも1つの貫通孔から成り、伸長時に筒体用係合部材32と係合し第2の筒体を係止する筒体被係合部61bとを有している。筒体係合部31は、第1の筒体6aの先端部の外周面に取着された基部33と、第1の筒体6aの外周面の垂直部内を回動可能に基部33に軸支され、貫通孔61bと係合可能な筒体用係合部材32と、その筒体用係合部材32を貫通孔に係合させるように付勢するバネ部材34を有している。また、先端側の第2の筒体6bの後端部の内周面には摺動部材35が取着されている。その摺動部材35の軸方向に対称に形成された一対の凹部35aには、一対の係止部材133と、その係止部材133を第1の筒体6aの内周面に当接するように常時付勢する一対のバネ部材132とからなる係止部131が配置されている。
【0036】
筒体用係合部材32は、その一端に貫通孔61bと係合する突起部32aと、他端に突起部32aと貫通孔61bとの係合・解放を操作する操作部32bとを有している。また、バネ部材34は、その一端が基部33に係着される一方、他端が操作部32bに係着されており、操作部32bを基部33から離間する方向に常時付勢し、突起部32aを筒体の外周面に押圧している。そのため、支柱を伸長するため第2の筒体6bを第1の筒体6aから引き出すと、筒体の外周面に押圧保持されている突起部32aは貫通孔61bに係合し、かつ突起部32aが貫通孔61bに圧接される。これにより、第2の筒体6bをロックして支柱6を所定高さに保持することができる。一方、支柱を短縮する場合には、操作部32bをバネ部材34の付勢力に抗して押圧すると、突起部32aが筒体の外周面から離間する方向に回動して貫通孔61bとの係合が解除される。突起部32aと通孔61bとの係合が解除されると、第2の筒体6bは自重により降下しようとするが、バネ部材132に付勢された一対の係止部材133が第1の筒体6aの内周面に当接してその降下を抑制あるいは停止させる。この状態で、第2の筒体6bを第1の筒体6aに押し込んで支柱を短縮する。これにより、スライドロック機構を解除しても、第2の筒体6bが急に降下することがないので安全に支柱を短縮することができる。なお、図7には、一対の係止部131を用いた例を示したが、係止部131を片側の凹部35aのみに設けても同様の効果を有する。
【0037】
図8は、フック部7Aの構成の一例を示す模式分解斜視図である。フック部7Aは、ハンドル部を掛止する掛止部71aを側部に有する中空のフック部材71と、そのフック部材71に同心的に嵌挿されフック部材を水平回動可能に支持する支持部72とを有している。支持部72は、フック部材71の天井部71eに当接する円形の支持台72eと、その支持台72eを支持する一対の支持脚72aを有しており、一方の支持脚には一対の係合突部72dを有している。第2の筒体6bの先端部には一対の係合孔611bが形成されており、支持部72を第2の筒体6bの先端部に外嵌して一対の係合突部72dを一対の係合孔611bに係合させる。これにより、支持部72が第2の筒体6bの先端部に固定される。また、支持部72は、支持台72e上に、その支持台の中心点に対して点対称となるように配置された一対の摺動突部72bを有している。また、フック部材71の天井部には、支持台72eの中心点と同心の中心点に対して点対称となるように一対の回転防止用の摺動溝71bが形成されている。各摺動溝71b内に摺動突部72bを収容するように位置合わせして、支持部72をフック部材71に嵌挿する。一対の摺動突部72bは、それぞれ摺動溝71b内に収容されて2対の回転防止部を構成する。すなわち、フック部材71を使用位置と収納位置との間で回動させると、摺動溝も同方向に回動するが、その端面に摺動突部72bが当接することにより、フック部材71のそれ以上の回動が阻止される。
【0038】
具体的には、フック部材71は、内周面に係合凹部71c,71dを有しており、使用位置と収納位置ではこの係合凹部が支持部72の係合突部72cと係合する。係合凹部71cと71dは、使用位置と収納位置のいずれにも使用することができる。例えば、係合凹部71cを使用位置とした場合、掛止部71aの向きはトップバーの長手方向に対して概ね垂直である。ここで、使用位置からフック部材71aをトップバーと平行になるように回動させると、係合凹部71cと係合突部72cと係合が解除され、摺動溝71bもフック部材71aと同方向に回動する。収納位置では、係合凹部71dと係合突部72cとが係合してフック部材71が支持部72に固定される一方、摺動溝71bの端面が摺動突部72bに当接してフック部材71のそれ以上の回動を抑制する。この状態で支柱を倒伏させ、支柱全体が概ねケーシングと平行になるように収納する。これにより、掛止部71aが周囲に突き出ることがないので、収納と持ち運びが容易である。また、回転防止部は、フック部材に過度の回動荷重がかかった場合、フック部材の過度の回動を抑制して、フック部材が使用位置又は収納位置から移動するのを防止する。したがって使用位置と収納位置との切り替えが容易である。特に、2対の回転防止部を設け、点対称の当接位置で摺動突部と摺動溝端面とが当接するようにしたので、フック部材の過度の回動をより確実に抑制することができる。
【0039】
以下に、本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置の動作を説明する。非使用時においては、図3に示すように、支柱は倒されてケーシングに概ね平行になるように収納されている。トップバーはケーシングの蓋体としてケーシングに固定されており、収納及び持運びが極めて容易である。また、支柱の先端のフック部は回動可能に支柱に支持されている。
【0040】
使用時には、図2に示すように支柱を起立させた後、第1のスライドロック機構を解除して支柱を伸長させる。次いで、第1のスライドロック機構を動作させて支柱を所定高さに保持する。次いで、ロック機構の操作部ロック機構を解除して操作部を互いに接近する方向に押圧することにより、トップバーのケージングに対する固定を解除する。次いで、トップバーを上方に引出すと、スプリングロールに取付けられたスプリングの弾性力と重力に抗してスクリーンがスプリングロールから巻出される。次いで、トップバーに配設されたハンドルを支柱のフック部に掛止することにより、スクリーンを展張状態に保持する。
【0041】
収納する場合には、ハンドルをフック部からはずし、ハンドルを持った状態でトップバーをそのまま開口部の上に下ろす。この時、位置決め機構のガイド部は最初に被ガイド部に接触して、そのままトップバーを下ろすと被ガイド部に遊嵌される。この状態でロック機構の係合部と被係合部との位置合わせがなされる。次いで、トップバーを下方に押圧すると、ロック機構が動作してトップバーがケーシングに固定される。さらに、支柱のスライドロック機構を解除して支柱を短縮し、次いでフック部が周囲に突き出さないようにフック部を回動させる。次いで、支柱を回動させて倒しケーシングに平行となるように収納する。
【0042】
本実施の形態によれば、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねるようにするとともに、ケーシングを片側ヒンジ機構により連結された第1のケース部材と第2のケース部材で構成するようにしてケーシングの強度を低下させることなくケース部材の厚さを薄くするようにしたので、スクリーン装置をより軽量化することができる。
【0043】
また、支柱をケーシングと一体化するとともに支柱を起伏可能としたので、収納時に支柱を倒伏することによりスクリーン装置をより小型化することができる。
【0044】
また、ロック機構の操作部を押圧するという単一操作により、トップバーをケーシングに簡単に固定することができる。
【0045】
また、スプリングロック機構の操作部を押圧して第2の筒体のロック状態を解除した状態で、支柱を押し下げることにより支柱を簡単に短縮することができる。
【0046】
実施の形態2.
本実施の形態に係るスクリーン装置は、実施の形態1の第1のスライドロック機構に用いたスライドロック機構に代えて別のスライドロック機構を用いた例を示している。
【0047】
図9は、スクリーンを巻戻した状態のスクリーン装置P6の構造を示す斜視図である。支柱6Aが、下段の第1の筒体6aと上段の第2の筒体6bで構成され、第1の筒体6aの先端部には第1のスライドロック機構を構成する筒体係合部101が配設され、さらに、フック部7Cの下部には、第1のスライドロック機構の解除状態を解除する突起部ロック機構110が配設されている以外は、実施の形態1と同様の方法により構成することができる。
【0048】
本実施の形態に用いる第1のスライドロック機構は、第1の筒体6aの先端部の外周面に配設された筒体係合部と、第2の筒体6bの長手方向に形成された複数の貫通孔からなり、筒体係合部と係合する筒体係合受部とから構成されている。
【0049】
図10A?10Bと図11A?11Cは、筒体係合部101を構成する係合部材102と、基部103の構造を示す模式図であり、図10Aと10Bは、係合部材102のそれぞれ側面図と正面図、そして図11A、11B、11Cは、基部103のそれぞれ上面図、正面図、側面図である。
【0050】
係合部材102は、その中央を基部103に軸支され、一端には筒体に設けた貫通孔と係合する突起部102a、他端には突起部102aと貫通孔の係合・解放を操作する操作部102bを有し、さらに操作部102bの両側面には、一対の係合ピン102c,102cが配設されている。
【0051】
一方、係合部材102を軸支する基部103は、その外周面の軸方向に延在し、係合部材102を収容する凹溝103aと、係合部材102を軸支する一対の軸孔103b,103bと、係合ピンと係合する一対の係合溝103c,103cを有している。係合溝103cは、外周面側から筒体側に形成されており、筒体側の先端部には突当り部1032cを有し、その突当り部1032cはくびれ部1033cを介して摺動溝部1031cと連続している。
【0052】
以下、このスライドロック機構の動作について図12から図16の模式縦断面図を用いて説明する。
図12は、支柱6Bの伸長開始時の状態を示している。第1のスライドロック機構100は、第1の筒体6aの先端部に取着された、貫通孔62bと係合部101とから構成されており、突起部102aは貫通孔62bと係合している。一方、フック部7Cの下部には、フック部7Cと係合突部からなる突起部ロック機構110が配設されている。本実施の形態では、フック部7Cと係合突部110を別体とし、フック部7Cを水平回動可能とする一方、係合突部110を軸方向に操作部102と一直線上に位置するように固着している。さらに、係合突部110と係合部材102は、スクリーンが掛止される支柱の前面側に配設されている。
【0053】
図13は、支柱を伸ばして最長にした状態を示している。図12の状態から支柱を伸ばす場合、操作部102bを押圧した状態でフック部7Cを引き上げる。この時、第1のスライドロック機構が解除されて第2の筒体6bが解除状態となり、第2の筒体6bを第1の筒体6aから容易に引き出すことができる。次いで、最長状態において、操作部102bの押圧を止めると、バネ部材104の付勢力により操作部102bは基部103から離間し、梃子動作により突起部102aは貫通孔62bと係合して係止され、筒体6bは筒体6aにロックされる。この状態で、フック部7Cにスクリーンを掛止して、スクリーン装置を使用する。
【0054】
図14は、収納のため、支柱の短縮を開始する時の状態を示している。まず、スクリーンをフック部7Cから取り外し、トップバーを下ろしてスクリーンを巻戻す。次いで、第1のスライドロック機構を操作する。すなわち、操作部102bを基部103の方向に強押圧すると、梃子動作により突起部102aと貫通孔62bの係合が解放される一方、係合ピン102cは、係合溝103cを基部103方向に摺動し、くびれ部1033cを通って突当り部1032cに至り係合して固定される。ここで、くびれ部1033cは、突当り部1032cに比べ幅狭であるため、係止ピン102cのくびれ部1033cへの移動は抑制され、係止ピン102cは突当り部1032cに固定される。これにより、操作部102bの押圧状態が維持され、支柱を押し下げることが可能となる。
【0055】
図15は、図14の状態から支柱を押し下げた状態を示している。第2のスライドロック機構は第2の筒体6bの押し下げにより容易に解除され、第2の筒体6bは押し下げられ、その先端部が第2のスライドロック機構に接近する。すなわち、係合突部110は、その先端部に、傾斜面からなり、突起部102aの基部を構成する角部102dと当接可能な当接部110aと、その傾斜面と連続する垂直面からなり、角部と係合可能な固定部110bを有しており、支柱を押し下げると、係合突部110の当接部110aは、角部102dに当接する。さらに、支柱を押し下げると、角部102dは筒体方向に押圧され、同時に梃子動作により係止ピン102cが突当り部1032cから摺動溝1031cに移動し、操作部102bのロックが解除される。さらに、支柱を押し下げて支柱を最短長とすると、図16に示すように、角部102dは当接部110aに案内されて固定部110bに至り、固定部110bと係合する。同時に、突起部の先端は貫通孔62bに係合される。この状態では、突起部102aは係合突部110により固定されてロック状態にある。続いて、収納時に周囲に突き出さないようにフック部7Cを回動させ、次いで、支柱を回動させて倒しケーシングに平行となるように収納する。
【0056】
本実施の形態によれば、実施の形態1で得られる効果に加え、さらに以下の効果が得られる。
フック部7Cの下部に設けた突起部ロック機構を第1のスライドロック機構の突起部に当接・係合させて、第1のスライドロック機構の解除状態をロック状態に切り替えるようにしたので、支柱を押し下げるという単一操作により、支柱の短縮及び筒体のスライドロックを一度に行うことができる。さらに、係合部材を支柱の前面に設けるようにしたので、スクリーン装置の前面において係合部材を操作して支柱を短縮することができる。そのため、支柱の裏面に係合部材を設けた場合に比べ、より容易に支柱を短縮することができる。
【0057】
実施の形態3.
本実施の形態に係るスクリーン装置は、実施の形態2において支柱に3段の筒体を用いた例を示している。図17は、スクリーンを巻戻した状態のスクリーン装置P5の構造を示す斜視図である。支柱が、下段の第1の筒体6a、中段の第2の筒体6b、そして上段の第3の筒体6kで構成されている以外は、実施の形態2と同様の方法により構成することができる。
【0058】
第2のスライドロック機構の構成を図18に示す。第3の筒体6kの後端部の内周面に摺動部材36が取着され、その摺動部材36の凹部36aには係合部材38と、一端を凹部36aに係着され他端を係合部材38に係着され、係合部材38を付勢するバネ部材39とからなる筒体係合部37が配置されている。これに対し、第2の筒体6bの先端部には、長手方向に複数の貫通孔が形成され、この複数の貫通孔は上記筒体係合部37と係合する筒体係合受部62bを構成している。係合部材38はその先端にボール状突部38aを有しており、バネ部材39により押圧されてボール状突部38aが貫通孔62bに係合して、第3の筒体6kが固定される。係合を解除するには、ボール状突部38aをバネ部材39の付勢力に抗して直接押圧する、あるいは第3の筒体6kを押し下げて間接的にボール状突部38aを凹部36aに押し込む方法を用いることができる。ここで、ボール状突部38aには金属性あるいは樹脂製のものを用いることができるが、樹脂製のものを用いることが好ましい。さらに、貫通孔の縁部に丸みを設け、あるいは第3の筒体6k側に拡がるテーパを設ける。これにより、貫通孔と係合部材との摩擦力を小さくすることができる。そのため、ボール状突部38aを直接押圧しなくても、第3の筒体6kを第2の筒体6bから引き出すあるいは押し込むことにより容易に係合を解除することができる。
【0059】
以下、このスライドロック機構の動作について説明する。なお、第1のスライドロック機構の動作については、図12から図16を用いて説明する。
支柱が最短長の状態で、操作部102bを押圧すると、第1のスライドロック機構は解除されて第2の筒体6bが解除状態となり、第2の筒体6bを第1の筒体6aから容易に引き出すことができる(図12)。また、第3の筒体6kを第2の筒体6bから強く引き出すことにより第2のスライドロック機構が動作することなく、すなわちボール状突部38aが貫通孔62bに係合することなく、第3の筒体6kを引き出すことができる。したがって、フック部7Cを引き上げるだけで、第2の筒体6bと第3の筒体6kを第1の筒体6aから引き出して支柱を最長状態にすることができる。
【0060】
次いで、最長状態において、操作部102bを軽く押圧するとバネ部材の付勢力により、操作部102bは基部103から離間し、梃子動作により突起部102aは貫通孔62bと係合して係止され、筒体6bは筒体6aにロックされる(図13)。この状態で、フック部7Cにスクリーンを掛止して、スクリーン装置を使用する。
【0061】
次いで、収納のため、支柱の短縮を開始する場合、まず、スクリーンをフック部7Cから取り外し、トップバーを下ろしてスクリーンを巻戻す。次いで、第1のスライドロック機構を操作する。すなわち、操作部102bを基部103の方向に強く押圧すると、梃子動作により突起部102aと貫通孔62bの係合が解放される一方、係合ピン102cは、係合溝103cを基部103方向に摺動し、くびれ部1033cを通って突当り部1032cに至り係合して固定される(図14)。ここで、くびれ部1033cは、突当り部1032cに比べ幅狭であるため、係止ピン102cのくびれ部1033cへの移動は抑制され、係止ピン102cは突当り部1032cに固定される。これにより、操作部102bの押圧状態が維持され、支柱を押し下げることが可能となる。
【0062】
次いで、支柱を押し下げると、第2のスライドロック機構は第3の筒体6kの押し下げにより容易に解除され、第2の筒体6bは押し下げられ、その先端部が第2のスライドロック機構に接近する。すなわち、支柱を押し下げると、係合突部110の当接部110aは、角部102dに当接する(図15)。さらに、支柱を押し下げると、角部102dは筒体方向に押圧され、同時に梃子動作により係止ピン102cが突当り部1032cから摺動溝1031cに移動し、操作部102bのロックが解除される。さらに、支柱を押し下げて支柱を最短長とすると、図16に示すように、角部102dは当接部110aに案内されて固定部110bに至り、固定部110bと係合する。同時に、突起部の先端は貫通孔62bに係合される。この状態では、突起部102aは係合突部110により固定されてロック状態にある。続いて、収納時に周囲に突き出さないようにフック部7Cを回動させ、次いで、支柱を回動させて倒しケーシングに平行となるように収納する。
【0063】
本実施の形態によれば、実施の形態2で得られる効果に加え、さらに以下の効果が得られる。
まず、支柱を3段の筒体で構成することにより、支柱の高さをより高くして、より大型のスクリーンを展張することができる。さらに、第3の筒体の引出しあるいは押し込みにより容易に係合解除可能な第2のスライドロック機構を設ける一方、第3の筒体の先端部に設けた突起部ロック機構を第1のスライドロック機構の突起部に当接・係合させて、第1のスライドロック機構の解除状態をロック状態に切り替えるようにしたので、支柱を押し下げるという単一操作により、支柱を最長状態から最短状態へ一度に押し下げることができ、支柱の短縮操作が極めて容易である。
【0064】
本発明のスクリーン装置には、実施の形態1から3に限定されず、以下に示す構成部材の種々の変形例を含むスクリーン装置も含まれる。
図19は、図8に示したフック部の変形例を示している。フック部7Bは、支持部74と、トップバーの長手方向に対する垂直平面内を回動可能に支持部74に軸支され、ハンドルを掛止する掛止部73aを有する回動部73とを有している。支持部74は支柱を構成する第2の筒体6bの先端部に、嵌合固定されている。使用時には、回動部73をトップバーの垂直方向に押し倒してハンドルを掛止する。これによりスクリーンを展張状態に保持することができる。一方、収納時には、回動部73を引き上げて支柱と概ね一直線となるように起立させた状態で支柱を倒し、支柱が概ねケーシングと平行になるように収納する。これにより、回動部73が周囲に突き出すことがないので、収納と持ち運びが容易である。
【0065】
図20は、実施の形態1で用いたスライドロック機構の変形例1を示している。
本変形例のスライドロック機構では、先端側の第2の筒体6dの後端部の内周面には摺動部材36が取着され、その摺動部材36の凹部には係合部材38と、その係合部材38を付勢するバネ部材39とからなる筒体係合部37が配置されている。これに対し、第1の筒体6cの先端部には、長手方向に複数の貫通孔が形成され、この複数の貫通孔は上記筒体係合部37と係合する筒体係合受部61cを構成している。第2の筒体6dを第1の筒体6cから引出し、複数の貫通孔の中の所望の位置の貫通孔に係合部材38の先端突部38bを係合させて第2の筒体6dを係止して、支柱を所望の高さに保持する。先端突部38bを押圧することにより、第2の筒体の6d係止を解除することができる。
本変形例によれば、簡易な構成で、スクリーンの高さを段階的に調整することができる。
【0066】
また、図21は、実施の形態1から3で用いたスライドロック機構の別の変形例2を示している。
本変形例のスライドロック機構は、第2の筒体6fの後端部の内周面に取着された摺動部材40と、その摺動部材40の凹部40aに配置された筒体係合部41と、第1の筒体6eの長手方向に設けられた少なくとも1つの貫通孔から成り、伸長時に上記係合部41と係合し第2の筒体6fを係止する筒体係合受部61fとを有している。さらに、筒体係合部41は、摺動部材40に枢支された係合部材42と、一端が係合部材42に係着される一方、他端が摺動部材40に係着され、係合部材42を付勢するバネ部材43を有している。さらに、係合部材42はその一端に貫通孔と係合する突部42aと、他端に突部42aを貫通孔に対して進退運動させる運動伝達部を連結する連結部42bを有している。運動伝達部は、第2の筒体6fの先端のフック部7Cに設けた係合解除部に支持された線材45と、その線材45により吊下げられた被昇降体44を有している。被昇降体44は連結部42bに係合しており、被昇降体44の昇降運動により係合部材42が支柱の軸方向に回動することにより、突部42aが貫通孔に対して進退運動する。
【0067】
係合解除部は、支柱の軸方向に回動可能にフック部7Cに軸支された操作部材46と、一端が操作部材46に係着され他端がフック部7Cに係着されたバネ部材47を有している。さらに、操作部材46は、線材45を支持する支持部46aと、操作部46bを有しており、バネ部材47は、操作部46bをフック部7Cから離間するように付勢している。
【0068】
操作部46bに外力を加えない状態では、バネ部材43の付勢力により係合部材42の突部42aは貫通孔に係合している。これに対し、操作部46bをバネ部材47の付勢力に抗して押圧すると被昇降体44が上昇し、係合部材42の突部42aがバネ部材43の付勢力に抗して貫通孔から離反する方向に後退し、貫通孔との係合を解除することができる。
【0069】
本変形例によれば、フック部にハンドルを掛止してスクリーンを引き出した状態で、支柱を容易に伸縮することができる。すなわち、支柱を伸縮する場合、支柱の先端に設けた係合解除部の操作部を押圧した状態で、上段の筒体を下段の筒体の中に押し込む、あるいは上段の筒体を下段の筒体から引き出せば良い。操作部を押圧している状態では、係合部材の突部が貫通孔に係合することがない。これにより1回の引き出しあるいは押し込み操作で支柱を伸縮することができる。また、フック部に係合解除部を設けているので、フック部を持ちながらの片手操作で支柱を伸縮することができる。
【0070】
また、図22は、実施の形態1から3で用いたスライドロック機構のさらに別の変形例3を示している。本変形例のスライドロック機構は、図21に示したスライドロック機構の筒体係合部と筒体係合受部に代えて、無段階の係合機構を用いた点が相違する。
【0071】
すなわち、本変形例のスライドロック機構は、第2の筒体6hの後端部の内周面に取着された摺動部材48と、摺動部材48の下端部50の外周面に形成された傾斜部50aに当接することにより第2の筒体6hを所定高さに保持するボール51と、そのボール51が傾斜部50aに当接するよう案内するボールガイド部49とを有している。さらに、ボール係合部49は、摺動部材48の下端部50に枢支されたガイド部材52と、摺動部材48の凹部48aに一端が係着され、他端が係合部材52の一端に係着されたバネ部材53を有している。ガイド部材52は、その一端にバネ部材53が係着された係着部52bと、他端には、そのボール51を押圧しボール51の傾斜部50aに対する当接を解除する解除部52aを有している。バネ部材53は、常時、係着部52bを介して、梃子動作により解除部52aがボール51から離反する方向に付勢している。
【0072】
また、運動伝達部は、第2の筒体6fの先端のフック部7Cに設けた係合解除部に支持された線材45と、その線材45により吊下げられた被昇降体44を有している。被昇降体44は連結部を兼ねる係着部52bに係合しており、被昇降体44の昇降運動により係合部材52が支柱の軸方向に回動し、解除部52aをボール51に押圧させ又は解除部52aをボール51から離反あるいは単なる接触状態に保持する。なお、線材45は、ボールガイド部49のバネ部材53の長手方向を貫通して係着部52bに係合されている。
【0073】
ここで、係合解除部は、支柱の軸方向に回動可能にフック部7Cに軸支された操作部材46と、一端が操作部材46に係着され他端がフック部7Cに係着されたバネ部材47を有している。さらに、操作部材46は、線材45を支持する支持部46aと、操作部46bを有しており、バネ部材47は、操作部46bをフック部7Cから離間するように付勢している。
【0074】
操作部46bに外力を加えない状態では、バネ部材53の付勢力により解除部52aはボール51から離反あるいは単なる接触状態にあるため、ボール51は傾斜部50aに当接しており、第2の筒体6hは固定されている。操作部46bに外力を加えて被昇降体44を上昇させると、バネ部材53の付勢力に抗して解除部52aがボール51を押圧して傾斜部50aとの当接を解除する。これにより、支柱を自由に伸縮させることができる。
本変形例によれば、スライドロック機構の変形例2の場合と同様に、フック部にハンドルを掛止してスクリーンを引き出した状態で、支柱を容易に伸縮することができ、また、フック部に係合解除部を設けているので、フック部を持ちながらの片手操作で支柱を伸縮することができる。
【0075】
また、ボールを傾斜部に当接させる係合機構を用いたので、支柱の高さを段階的に調整する必要がなく、任意の高さに調整することができる。
【0076】
さらに、支柱に係合用の貫通孔を開けるための穴加工が不要であり、より低コストのスクリーン装置を提供することができる。
【0077】
また、図23と24は、実施の形態1から3で用いたスライドロック機構のさらに別の変形例4を示している。
本変形例のスライドロック機構は、図23に示すように、先端側の第2の筒体6jの後端部の内周面に取着された摺動部材54の凹部54aに配置された筒体係合部55と、下段の第1の筒体6iの内面の長手方向に設けられた連続する一本の周回溝からなり、係止部61i,62i,63i,64iを有する筒体被係合部とから構成されている。筒体係合部55は、一端に摺動部材54の凹部54aに遊嵌された支持部56bと、他端に係止部と係合する突起部56aとを有し、支持部56bを支点として揺動可能な係合部材56と、一端を摺動部材54の凹部54aに係着され他端を係合部材56の支持部56bに係着され、係合部材56の突起部56aを係止部に圧接するように付勢するバネ部材57とで構成されている。
【0078】
図24は、筒体被係合部58の構造を示す展開図である。筒体被係合部58を構成する周回溝は、支柱の伸長時には突起部56aと係合して第2の筒体6jの短縮方向への移動を規制する凹部からなる複数の係止部を有する往路溝60と、短縮時には突起部56aとの係合を解除して第2の筒体6jの短縮方向への移動を許す復路溝59とから構成されている。係止部は、第1の筒体6iの後端から先端方向に始点係止部64i、中間係止部63i,62i、終点係止部61iを有している。始点係止部及び中間係止部は、第1の筒体6iの後端側には突起部56aを係止する垂直部641i,631i,621iを有する一方、先端側に傾斜し突起部56aの先端側への移動を許す傾斜部642i,632i,622iを有している。一方、最先端の終点係止部は、後端側に突起部56aを係止する垂直部611iを有し、先端側には垂直部612iからなる突き当り部を有し、垂直部611iと垂直部612iとは、垂直部612i側に傾斜する傾斜部613iで接続されている。
【0079】
非使用時には、突起部56aは始点係止部64iの垂直部641iに当接しており、第2の筒体6jは固定されている。この状態から、第2の筒体6jを第1の筒体6iから引き出すと、突起部56aは傾斜部642iを通って往路溝60を摺動しながら上昇する。任意の係止部に突起部56aが係合した状態で引き出しを停止すると、突起部56aが係止部、例えば中間係止部62iの垂直部621iに当接して、第2の筒体6jが固定される。一方、収納のため、支柱を短縮する場合には、第2の筒体6jを最長となるように引き出して突起部56aを終点係止部61iに移動させると、突起部56aは突き当り部612iに突き当たり、傾斜部613iを揺動して復路溝59に移動する。この状態で、第2の筒体6jを第1の筒体6iに押し込むと、突起部56aは復路溝59を自動降下して始点係止部64iに復帰する。これにより、支柱を短縮することができる。
【0080】
本変形例によれば、フック部にハンドルを掛止してスクリーンを引き出した状態で、支柱を容易に伸縮することができる。特に、支柱を最長状態に伸長すると、支柱が自動的に降下するので、支柱の短縮を容易に行うことができる。
【0081】
図25から27は、実施の形態1から3で用いたロック機構の変形例を示している。
図25は、ロック機構の変形例1の備えたスクリーン装置P2の模式斜視図である。本変形例では、一端がケーシングの一方の側面に固着され、トップバーを跨ぐようにして他端が着脱自在にケーシングの他方の側面に固定されたベルト部材を有している。図25に示すように、トップバー5の概ね中央にハンドルが固着されており、ベルト部材84の自由端はトップバーを跨いでケーシングの側面に固着された固定部材により着脱自在に固定されている。
本変形例によれば、ロック機構を簡単な構成とすることができるので、より低コストのスクリーン装置を提供することができる。
【0082】
図26は、実施の形態1から3で用いたロック機構の別の変形例2を示している。本変形例では、ロック機構に一対のベルト部材を用いた例を示している。本変形例は、一端がケーシング1の一方の側面に固着され、トップバー5を跨ぐようにして他端が着脱自在にケーシング1の他方の側面に固定された一対のベルト部材86,87を有している。ベルト部材86,87の自由端はケーシング1の他方の側面に固着された固定部材88,89に着脱自在に固定されている。ハンドル81はケーシング1の概ね中央であって、固定部材88,89の間に固着され、トップバー5の中央には掛止用の引掛け部材83が固着されている。
本変形例によれば、ロック機構を簡単な構成とするとともに、一対のベルト部材を用いることにより、より確実にトップバーをケーシングに固定することができる。
【0083】
図27は、実施の形態1から3で用いたロック機構の別の変形例3を示している。本変形例では、ロック機構にハンドルと一体化した一対のベルト部材を用いた例を示している。本変形例は、一端がケーシング1の一方の側面に固着され、トップバー5を跨ぐようにして他端が着脱自在にケーシング1の他方の側面に固定された一対のベルト部材90,91を有している。ベルト部材90,91の自由端はケーシング1の他方の側面に固着された固定部材92,93に着脱自在に固定されている。ハンドル82は一対のベルト部材90,91に両端が回動可能に軸支されている。また、トップバー5の中央には掛止用の引掛け部材83が固着されている。
本変形例によれば、ロック機構を簡単な構成とするとともに、一対のベルト部材を用いることにより、より確実にトップバーをケーシングに固定することができる。
【0084】
なお、実施の形態1から3では、2段と3段の筒体からなる支柱を用いた例を示したが、筒体の段数はそれに限定されるものではない。例えば、実施の形態1又は2のスクリーン装置において、3段以上の多段の筒体からなる支柱を構成する場合、2段よりも先端側の筒体に図18又は図20に示したスライドロック機構を第2のスライドロック機構として用いることができる。同様に、実施の形態3のスクリーン装置において、4段以上の多段の筒体からなる支柱を構成する場合、3段よりも先端側の筒体に図18又は図20に示したスライドロック機構を第2のスライドロック機構として用いることができる。また、すべてのスライドロック機構に図18又は図20に示したスライドロック機構を用いることにより、多段の筒体からなる支柱を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスクリーン装置の使用時の構造の一例を示す模式斜視図である。
【図2】図1の可搬式スクリーン装置において、スクリーンを巻き戻した状態の構造を示す模式斜視図である。
【図3】図1の可搬式スクリーン装置の収納時の構造を示す模式斜視図である。
【図4】図3におけるロック機構の拡大上面図である。
【図5】図3のV-V線に沿った模式縦断面図である。
【図6】図3のVI-VI線に沿った模式縦断面図である。
【図7】図1の可搬式スクリーン装置に用いたスライドロック機構の構造を示す模式縦断面図である。
【図8】図1の可搬式スクリーン装置に用いたフック部の構造を示す模式分解斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る可搬式スクリーン装置の、スクリーンを巻き戻した状態の構造を示す模式斜視図である。
【図10A】図9の可搬式スクリーン装置の第1のスライドロック機構に用いる係合部材の構造の一例を示す模式側面図である。
【図10B】図9の可搬式スクリーン装置の第1のスライドロック機構に用いる係合部材の構造の一例を示す模式正面図である。
【図11A】図9の可搬式スクリーン装置の第1のスライドロック機構に用いる基部の構造の一例を示す模式上面図である。
【図11B】図9の可搬式スクリーン装置の第1のスライドロック機構に用いる基部の構造の一例を示す模式正面図である。
【図11C】図9の可搬式スクリーン装置の第1のスライドロック機構に用いる基部の構造の一例を示す模式側面図である。
【図12】図9の可搬式スクリーン装置の支柱の伸縮動作を示す模式縦断面図(1)である。
【図13】図9の可搬式スクリーン装置の支柱の伸縮動作を示す模式縦断面図(2)である。
【図14】図9の可搬式スクリーン装置の支柱の伸縮動作を示す模式縦断面図(3)である。
【図15】図9の可搬式スクリーン装置の支柱の伸縮動作を示す模式縦断面図(4)である。
【図16】図9の可搬式スクリーン装置の支柱の伸縮動作を示す模式縦断面図(5)である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る可搬式スクリーン装置の、スクリーンを巻き戻した状態の構造を示す模式斜視図である。
【図18】図17の可搬式スクリーン装置に用いる第2のスライドロック機構の構造を示す模式縦断面図である。
【図19】図1の可搬式スクリーン装置に用いたフック部の一変形例の構造を示す模式分解斜視図である。
【図20】図7のスライドロック機構の変形例1の構造を示す模式縦断面図である。
【図21】図7のスライドロック機構の変形例2の構造を示す模式縦断面図である。
【図22】図7のスライドロック機構の変形例3の構造を示す模式縦断面図である。
【図23】図7のスライドロック機構の変形例4の構造を示す模式縦断面図である。
【図24】図23の変形例4に用いる周回溝の構造を示す模式展開図である。
【図25】図3のロック機構の変形例1を有する可搬式スクリーン装置の構造を示す模式斜視図である。
【図26】図3のロック機構の変形例2を有する可搬式スクリーン装置の構造を示す模式斜視図である。
【図27】図3のロック機構の変形例3を有する可搬式スクリーン装置の構造を示す模式斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1 ケーシング、1a 第1のケース部材、1b 第2のケース部材、2 スプリングロール、3 脚部、4 スクリーン、5 トップバー、5a 支持バー、5b 保護カバー、6 支柱、6a,6c,6e,6g,6i 第1の筒体、6b,6d,6f,6h,6j 第2の筒体、6k 第3の筒体、61b,61c,61d,61f,62b 貫通孔、61i,62i,63i,64i 係止部、612i,611i,621i,631i,641i 垂直部、613i,622i,632i,642i 傾斜部、611b 係合孔、7A,7B フック部、71 フック部材、71a,73a 掛止部、71b ガイド溝、71c,71d 係合凹部、72 支持部、72a 支持脚,72b 摺動突部、72c,72d 係合突部、72e 支持台、73 回動部、74 支持部、8 ロック機構、9 係合部、10 被係合部、11 第1係合部、12 第2係合部、11a 第1係合部材、11b 第1バネ部材、12a 第2係合部材、12b 第2バネ部材、111a 係合端部、112a 操作部、121a 操作部、122a 係合端部、13 ロック部材、14 基部、15,16 被係合部材、17 位置決め機構、18 ガイド部、19 被ガイド部、20,21 突縁部、22,23 ガイド溝、24 ハンドル、25 支柱取り付け部材、26 保護部材、27,28,29 リベット、30 第1のスライドロック機構、31 筒体係合部、32 筒体用係合部材、32a 突起部、32b 操作部、33 基部、34,39,43,47,53,57,104 バネ部材、35,36,40,48,54 摺動部材、35a,36a,40a,48a,54a 凹部、37,55 筒体係合部、38,52,56 係合部材、38a ボール状突部、38b 先端突部、52a 解除部、52b 係着部、56a 突起部、56b 支持部、41 筒体係合部、42 係合部材、42a 突部、42b 操作部、44 被昇降体、45 線材、46 操作部材、46a 支持部、46b 操作部、49 ボールガイド部、50 摺動体下端部、50a 傾斜部、51 ボール、58 周回溝、59復路溝、60 往路溝、80,81,82 ハンドル、84,86,87,90,91 ベルト部材、85,88,89,92,93 固定部、83 引掛け部、100 第1のスライドロック機構、101 筒体係合部、102 筒体用係合部材、102a 突起部、102b 操作部、102c 係合ピン、102d 角部、103 基部、103a 凹溝、103b 軸孔、103c 係合溝、1031c 摺動溝部、1032c 突当り部、1033c くびれ部、110 係合突部、110a 当接部、110b 固定部、120 第2のスライドロック機構、121 筒体係合部、131 係止部、132 バネ部材、133 係止部材、P1,P2,P3,P4,P5,P6 可搬式スクリーン装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-12-25 
結審通知日 2010-01-05 
審決日 2010-01-18 
出願番号 特願2007-314668(P2007-314668)
審決分類 P 1 123・ 537- ZA (G03B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 村田 尚英
特許庁審判官 小松 徹三
日夏 貴史
登録日 2008-07-18 
登録番号 特許第4157908号(P4157908)
発明の名称 可搬式スクリーン装置  
代理人 北原 康廣  
代理人 言上 恵一  
代理人 田村 恭生  
代理人 北原 康廣  
代理人 言上 恵一  
代理人 鮫島 睦  
代理人 高梨 幸雄  
代理人 田村 恭生  
代理人 鮫島 睦  

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