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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20056282 審決 特許
不服200627219 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07K
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 C07K
管理番号 1214916
審判番号 不服2006-9889  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-15 
確定日 2010-04-13 
事件の表示 平成 8年特許願第508637号「シグナルタンパク質およびシグナルペプチドの段階的修飾、ならびにスーパーアゴニストおよびスーパーアンタゴニスト」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月 7日国際公開、WO96/06860、平成10年 7月14日国内公表、特表平10-507161〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年8月30日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1994年8月31日 オランダ、1995年5月10日 オランダ)とする出願であって、平成9年3月7日付で手続補正がなされたが、平成18年2月8日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成18年5月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。
2.平成18年5月15日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年5月15日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
上記補正により特許請求の範囲21?30が削除され、特許請求の範囲の請求項13は、補正前の
「【請求項13】修飾されたシグナル物質、好ましくは強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性のあるタンパク質ホルモン、ペプチドホルモン、増殖因子、造血増殖因子、インターフェロン、インターロイキンおよび/もしくはコロニー刺激因子であって、修飾が好ましくは当該触媒活性が変えられるように部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、前記修飾がさらに好ましくは金属結合中心の内部もしくは近傍にある物質。」から、上記補正により
「【請求項13】修飾されたインターロイキン1?8、インターロイキン10、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、TNF(腫瘍壊死因子)、エリスロポエチン、インスリン、プロラクチンもしくはγIFN(インターフェロン)から選択されるあるシグナル物質であって、修飾が部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にある化学的改変もしくは分子生物学的修飾であり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在する修飾されたシグナル物質。」と補正された。
上記補正は、補正前の請求項13に記載した発明を特定するために必要な事項である「修飾されたシグナル物質」について「修飾されたインターロイキン1?8、インターロイキン10、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、TNF(腫瘍壊死因子)、エリスロポエチン、インスリン、プロラクチンもしくはγIFN(インターフェロン)から選択されるあるシグナル物質」という限定を付加し、同じく「修飾」について「部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にある化学的改変もしくは分子生物学的修飾であり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在する」という限定を付加したものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、請求項13についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項13に係る発明(以下、「本願補正発明13」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。
(2-1)引用例
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願優先日前の1994年2月に頒布された刊行物であるElectrophoresis (1994 Feb.) Vol.15,No.2, p.251-254(以下、「引用例1」という。)は、本願の発明者が著者である学術文献であって、
(i)「インターロイキン-3(IL-3)は活性化されたTリンパ球によって放出されるポリペプチドである。骨髄細胞からの血液細胞の産生における中心的役割を果たす[1-5]。ヒトインターロイキン-3(hIL-3)は、クローニングされ細菌で発現後、精製された形態で得られた[1,6]。この単離物は15kDaの分子量を有し、133アミノ酸を含む。hIL-3の作用の実際の機構はほとんど知られていない。このポリペプチドの構造と活性の関係についてのいくつかの報告が発表されているが[6-9]、実際の作用の機構はまだ不明である。そこで、我々はhIL-3の構造と活性の関係をさらに調べることを目的とする。この状況のなかで、我々は機能的なアミノ酸残基を特定するために、化学修飾の研究を行なった。これらの研究は、反応の程度と特異性を観察するために、迅速で、便利で、感度の良い方法を必要とする。」(第251頁左欄第2行?第17行)、
(ii)「この論文は、hIL-3の化学修飾をモニターするために、改良されたPharmacia PhastSystemの非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)プロトコルの使用を述べる。」(第251頁左欄下から第3行?同頁右欄第1行)、
(iii)「BTH電気泳動は、従来の非変性電気泳動システムでは見られない修飾を検出する。修飾された基の平均の数とこの平均数に寄与するいくつか異なる形態の存在の決定を可能にする。」(第254頁左欄第15行?第20行)、と記載され、
第251頁右欄下から第9行?第252頁左欄第7行に記載された「2.2 Chemical modification of hIL-3」の項には、hIL-3の化学修飾は、2mg/mlのhIL-3に対して3mMの無水酢酸または無水コハク酸等を添加し、pHはそれぞれ5?9.5の間で0.5ずつ変えた条件で、30℃で一晩反応させたことが記載され、その後それぞれの修飾hIL-3を非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた結果が、第252頁の第1図と第253頁の第2図に示されている。
そして、hIL-3の133アミノ酸のうち、この化学修飾の標的は8つのアミノ基(N末端アミノ基と7つのLysの側鎖のアミノ基、括弧内の記載は当審による)であり、非修飾アミノ基の数を検定した結果とこれら電気泳動のバンドの位置を比較することにより、第1図及び第2図の電気泳動のバンドの位置が、それぞれの修飾hIL-3の修飾されたアミノ基の数に対応することを確認したことが記載(第253頁左欄第17行?第36行)されている。
また、上記引用例1記載事項(i)で参照されている参考文献6であり、本願優先日前の1991年に頒布された刊行物であるThe Journal of Biological Chemistry(1991)Vol.266,No.31,p.21310-21317(以下、「引用例2」という。)は、「変異解析によって特徴づけられたhIL-3のレセプター及び抗体との相互作用」という表題の学術文献であり、第21315頁の第5図に133アミノ酸からなる全配列が記載されたhIL-3のアミノ酸変異体を遺伝子工学的に実際に作成したことが記載され、
(iv)「hIL-3の変異体がオリゴヌクレオチド直接変異誘発により作成され、E.coliとBacillus licheniformisで発現された。精製された変異体は、IL-3依存性ヒト細胞におけるDNA合成誘導とIL-3レセプターとの結合について試験された。分子の1/4からなるN末端とC末端の残基を一緒に除去しても生物学的機能の損失はなかった。分子の中心部位内の6-15の残基の欠失は、大幅な減少(5logsまで)をもたらしたが、完全な活性の失活はなかった。」(第21310頁左欄第3行?第13行)、と記載され、第21314頁の表IIには、作成した38のIL-3変異体について、そのアミノ酸の変異の種類とそれぞれの生物学的活性の測定値が記載されている。
(2-2)対比・判断
(2-2-1)引用例1との同一性
そこでまず、本願補正発明13と引用例1に記載された事項を比較すると、引用例1に記載された、非変性電気泳動のバンドの位置によりアミノ基が数個化学修飾されたことが確認されたhIL-3は、本願補正発明13における「修飾されたインターロイキン3であるシグナル物質であって、修飾が化学的改変であるシグナル物質」に相当し、両者はその点で共通するが、前者では、修飾されたインターロイキン3の修飾部位が、部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在するものであるのに対して、後者では、修飾されたインターロイキン3の修飾されたアミノ基の数はわかるものの、その修飾部位については記載されてない点で相違する。
しかしながら、本願明細書の実施例6でその修飾の特徴づけ及び位置が推定された、たとえば、Lys^(28)、Lys^(66、)Lys^(100)、Lys^(116)が修飾されているhIL-3は、実施例1及び2の記載された化学修飾反応は、無水酢酸或いは無水コハク酸の濃度3mMで、pHはそれぞれ5、6、6.5、7、30℃で一晩という、引用例1に記載のhIL-3の化学修飾の反応条件と同じであるから、引用例1に記載のhIL-3も本願の実施例6のものと同じ部位に修飾を有するものであるといえる。
そして、本願明細書の実施例6によれば、Lys^(116) は生物学的活性について重要であり、原査定の拒絶の理由で引用文献12として引用されたInternational Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes (1993) Vol.126, p.179-185によれば、金属結合部位はアミノ酸番号で22-26及び95-98であるとされているから、引用例1に記載の修飾hIL-3の修飾部位は、部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍に存在するものである。
このように、引用例1に記載の修飾hIL-3については、その修飾部位の知見については記載されていないが、上記のとおりその化学修飾の反応条件からみて本願の実施例6に記載された修飾部位をもつものであり、その修飾部位は本願補正発明13のものに該当するのであるから、本願補正発明13に係る修飾インターロイキン3は、引用例1に記載されている修飾hIL-3と同一のものであると認められる。
したがって、本願補正発明13は、引用例1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2-2-2)引用例2との同一性
次に、本願補正発明13と引用例2に記載された事項を比較すると、引用例2に記載のオリゴヌクレオチド直接変異誘発により作成された38個のhIL-3のアミノ酸変異体は、本願補正発明13の、分子生物学的修飾により修飾されたインターロイキン3に相当し、両者は、修飾されたインターロイキン3であって、修飾が分子生物学的修飾であるシグナル物質である点で共通するが、前者では、修飾されたインターロイキン3の修飾部位が、部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在するものであるのに対して、後者では、その欠失あるいは置換したアミノ酸の部位が記載されているものの、その部位が部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、かつ、金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在することは記載されていない点で、一応相違する。
しかしながら、上記(2-2-1)でも記載したように、Lys^(116) が生物学的活性のために重要であり、また、金属結合部位はアミノ酸番号で22-26及び95-98であるとされているから、引用例2の表IIに記載された変異体のうちには、その部位が部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、かつ、金属結合中心の内部もしくは近傍に存在するものが複数存在していると認められるから、本願補正発明13に係る修飾インターロイキン3は、引用例2に記載されているものと同一である。
したがって、本願補正発明13は、引用例2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2-3)小括
以上のように、本願補正発明13は特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
(3)目的要件について
補正前の請求項13に記載された発明は、「好ましくは」以下の事項を除くと、単に「修飾されたシグナル物質。」に係る発明となるが、念のため、補正前の請求項13に記載された発明を、「好ましくは」以下の事項を含むものとして限定的に解釈した場合について、本件補正の是非について検討しておく。
この場合には、補正前の請求項13に記載した発明を特定するために必要な事項は「強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性のあるタンパク質ホルモン、ペプチドホルモン、増殖因子、造血増殖因子、インターフェロン、インターロイキンおよび/もしくはコロニー刺激因子である修飾されたシグナル物質」及び「修飾が当該触媒活性が変えられるように部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にある」となり、それぞれ補正により「修飾されたインターロイキン1?8、インターロイキン10、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、TNF(腫瘍壊死因子)、エリスロポエチン、インスリン、プロラクチンもしくはγIFN(インターフェロン)から選択されるあるシグナル物質」と「修飾が部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にある化学的改変もしくは分子生物学的修飾であり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在する」と補正されたことになる。
しかしながら、この補正により、補正前の請求項13の「強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性のあるタンパク質ホルモン、ペプチドホルモン、増殖因子、造血増殖因子、インターフェロン、インターロイキンおよび/もしくはコロニー刺激因子である修飾されたシグナル物質」における「強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性のある」という活性についての記載が削除されており、補正により、このような活性を有さない物質も包含されることになる。
また、補正後の請求項13に記載された「修飾が部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にある化学的改変もしくは分子生物学的修飾であり、かつ、当該修飾が金属結合中心の内部もしくは近傍および/もしくはリン酸結合中心の内部もしくは近傍に存在する」ものであれば、必ず「強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性」をもたらす「修飾」であるといえないことは技術常識から明らかである。
そうすると、上記補正により、修飾されたシグナル物質が、強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性を有さないものも、本願補正発明13に含まれるものとしているから、この補正は特許請求の範囲を拡張及び変更するものである。
そして、このような特許請求の範囲を拡張及び変更しようとする補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、また、請求項の削除、誤記の訂正、又は明りょうでない記載の釈明の何れかを目的とするものでもないので、よってこの補正は、同法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
さらに仮に、補正前の請求項13に記載した発明を特定するための事項を、「好ましくは」以下の事項を含むものとして限定して解釈した場合であっても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3.本願発明について
平成18年5月15日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、請求項13及び請求項30に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明13」、「本願発明30」という。)は、平成9年3月7日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、13及び30に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】強化された生物学的活性、強化された安定性、抑制された抗原性、獲得された拮抗的もしくは細胞阻害的活性、の性質のひとつもしくはそれ以上の導入のための、インターロイキン類、造血増殖因子類、ペプチドホルモン類もしくはタンパク質ホルモン類、シグナルペプチド類もしくはシグナルタンパク質類のようなヒトレセプター類から選択される生物学的に活性のタンパク質類もしくはペプチド類の定量的構造-機能分析調査方法であって、
a)当該タンパク質もしくは当該ペプチドの段階的化学修飾、その後、
b)非変性電気泳動および/もしくは電子スプレー質量分析法のような穏やかでかつ感度のよい方法での修飾反応のモニタリングであり、かつ前述のモニタリングが場合によっては、例えば円二色性スペクトル測定法の使用により全体的な構造の完全性を確認することをさらに含むものであり、
c)プロテアーゼ処理、
d)質量分析法、および
e)修飾された生成物の生物学的活性のアッセイ、および場合によっては修飾された生成物の安定性のアッセイであって、前述のタンパク質類もしくはペプチド類が好ましくはインターロイキン1?8、インターロイキン10、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、TNF(腫瘍壊死因子)、インスリン、プロラクチンおよびγIFN(インターフェロン)、より好ましくはサイトカインスーパーファミリーから選択されるGM-CSF、エリスロポエチンもしくはインターロイキン2?7から選択されるあるインターロイキンから選択されるもの、を使用する、選択されたアミノ酸の特異的化学修飾を応用する工程を含んでなる方法。」、
「【請求項13】修飾されたシグナル物質、好ましくは強化された生物学的活性、拮抗活性および/もしくは細胞阻害活性のあるタンパク質ホルモン、ペプチドホルモン、増殖因子、造血増殖因子、インターフェロン、インターロイキンおよび/もしくはコロニー刺激因子であって、修飾が好ましくは当該触媒活性が変えられるように部分的もしくは完全な触媒中心の内部もしくは近傍にあり、前記修飾がさらに好ましくは金属結合中心の内部もしくは近傍にある物質。」、
「【請求項30】請求の範囲13?22に記載の物質をコードする核酸構築物を治療されるべき患者への適用する工程を含んでなり、前記治療が、例えばHIV感染症に向けられる遺伝子治療法。」

(1)特許法第29条第1項第3号
本願発明13は上記本願補正発明13を包含するものであるから、本願発明13も本願補正発明13の上記2.(2-2-1)に記載した理由と同様の理由により、上記2.(2-1)に記載した引用例1に記載された発明であり、本願発明13は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)特許法第29条柱書
本願発明30は、人間を治療する方法を包含するものであり、特許法第29条柱書に規定されている産業上利用することができる発明に該当しないので、特許を受けることができない。

(3)特許法第29条第2項
(3-1)本願発明1
本願発明1は、強化された生物学的活性、強化された安定性、抑制された抗原性、獲得された拮抗的もしくは細胞阻害的活性、の性質のひとつもしくはそれ以上の導入のための、インターロイキン類、造血増殖因子類、ペプチドホルモン類もしくはタンパク質ホルモン類、シグナルペプチド類もしくはシグナルタンパク質類のようなヒトレセプター類から選択される生物学的に活性のタンパク質類もしくはペプチド類の定量的構造-機能分析調査方法であって、
a)当該タンパク質もしくは当該ペプチドの段階的化学修飾、その後、
b)非変性電気泳動および/もしくは電子スプレー質量分析法のような修飾反応のモニタリング、
c)プロテアーゼ処理、
d)質量分析法、および
e)修飾された生成物の生物学的活性のアッセイ、を使用する、選択されたアミノ酸の特異的化学修飾を応用する工程を含んでなる方法に係るものであり、以下、生物学的に活性のタンパク質類もしくはペプチド類として、インターロイキン類を選択した場合の本願発明1について検討する。
(3-2)引用例
原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された本願優先日前の1992年に頒布された刊行物であるProc.Natl.Acad.Sci.USA(1992) Vol.89, p.5630-5634(以下、「引用例5」という。)には、
(v)「Lys残基のアミノアセチル化と1,2-シクロヘキサンジオンによるArgのN^(7),N^(8)-(ジヒドロキシ-1,2-シクロヘキシリデン)Argへの修飾が、モデルタンパク質としてのニワトリ卵白リゾチームの表面形態を探索するために使用された。LysとArg修飾部位の分子特定は、^(252)Cfプラズマ脱離質量分析を使用して、修飾及び未修飾のトリプシン処理されたペプチド混合物(ペプチドマッピング)の分子量を決定することによりなされた。制限された化学修飾条件では、リゾチーム誘導体の質量分析ペプチドマッピング解析は、異なる反応時間及び試薬濃度での、Lys及びArg残基の相対的反応性の直接的割当を可能にした。」(第5630頁左欄第1行?第13行)と記載されている。
(3-3)対比・判断
そこでまず、本願発明1と上記2.(2-1)の引用例1に記載された事項を比較すると、上記2.(2-1)の引用例1記載事項(i)には、hIL-3の構造と活性の関係をさらに調べることを目的として、機能的なアミノ酸残基を特定するために、化学修飾の研究を行なったことが記載されており、修飾の目的がhIL-3の各種の性質の改善にあることは明らかであるから、このことは本願発明1の「強化された生物学的活性、強化された安定性、抑制された抗原性、獲得された拮抗的もしくは細胞阻害的活性、の性質のひとつもしくはそれ以上の導入のために、定量的構造-機能分析調査」するための1つの態様であり、両者は、a)インターロイキン類の段階的化学修飾、その後、b)非変性電気泳動および/もしくは電子スプレー質量分析法のような修飾反応のモニタリング、を使用する選択されたアミノ酸の特異的化学修飾を応用する工程を含んでなる、強化された生物学的活性、強化された安定性、抑制された抗原性、獲得された拮抗的もしくは細胞阻害的活性、の性質のひとつもしくはそれ以上の導入のため、インターロイキン類の定量的構造-機能分析調査をするものである点で共通する。
一方、前者では、さらに、c)プロテアーゼ処理、d)質量分析法、およびe)修飾されたインターロイキン類の生物学的活性のアッセイ、を使用するのに対して、後者ではこれらの工程を行うことは記載されていない点で相違する。
しかしながら、引用例1においても、IL-3の構造と活性の関係を調査することを目的としているのであるから、修飾後のIL-3の生物学的活性のアッセイを行うことは、当業者であれば当然行うことである。
また、IL-3の構造と活性の関係を調査するためには、その修飾アミノ基の数を特定するだけでなく、その修飾部位も特定することが望ましいことは明らかである。そうであれば、上記引用例5記載事項(v)に、^(252)Cfプラズマ脱離質量分析を使用して、修飾及び未修飾のトリプシン処理されたペプチド混合物(ペプチドマッピング)の分子量を決定することにより、Lysの修飾部位の特定ができることが記載されており、当業者であれば、さらにc)プロテアーゼ処理及びd)質量分析を使用することにより、修飾部位を特定することは、上記引用例5の記載から容易に想到し得ることである。
そして、本願発明1において、上記相違点に係る技術的事項により、引用例1及び5の記載から予測できない程の格別な効果が奏せられるものともいえない。
したがって、本願発明1は、引用例1及び5の記載から当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願請求項13に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。さらに、本願請求項30に係る発明は、特許法第29条柱書に規定されている要件を満たしておらず、いずれも特許を受けることができないので、その他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-23 
結審通知日 2009-11-10 
審決日 2009-11-24 
出願番号 特願平8-508637
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C07K)
P 1 8・ 113- Z (C07K)
P 1 8・ 113- Z (C07K)
P 1 8・ 14- Z (C07K)
P 1 8・ 575- Z (C07K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 俊生深草 亜子佐久 敬  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 上條 肇
鵜飼 健
発明の名称 シグナルタンパク質およびシグナルペプチドの段階的修飾、ならびにスーパーアゴニストおよびスーパーアンタゴニスト  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  
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