• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02M
管理番号 1215168
審判番号 不服2008-25052  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-30 
確定日 2010-04-16 
事件の表示 特願2003- 87746「エバポガスパージシステムのリーク診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月21日出願公開、特開2004-293438〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本件出願は、平成15年3月27日の出願であって、平成20年1月22日付けの拒絶理由通知に対して平成20年3月10日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成20年8月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年9月30日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年10月27日付け手続補正書によって明細書の一部を補正する手続補正がなされ、その後、平成21年9月15日付けで書面による審尋がなされ、これに対し平成21年11月12日付けで回答書が提出されたものである。

[2]平成20年10月27日付け手続補正書による明細書の補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成20年10月27日付け手続補正書による明細書の補正を却下する。

〔理由〕
1.本件補正の内容
平成20年10月27日付け手続補正書による手続補正(以下、単に「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成20年3月10日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の下記(a)に示す請求項1ないし6を、下記(b)に示す請求項1ないし5と補正するものである。

(a)本件補正前の特許請求の範囲、請求項1ないし6
「【請求項1】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関停止中のリーク診断の実行履歴に基づいて前記内燃機関運転中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項2】 前記リーク診断手段は、前記内燃機関停止中のリーク診断の前回実行時からの走行回数に基づいて前記内燃機関運転中のリーク診断の実行可否を判断することを特徴とする請求項1に記載のエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項3】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関運転中のリーク診断の実行履歴に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項4】 前記リーク診断手段は、前記内燃機関停止中のリーク診断の実行履歴に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項5】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関停止中のリーク診断の実行履歴に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項6】 前記圧力導入手段として、前記エバポ系内に負圧を導入する負圧ポンプを設け、
前記リーク診断手段は、前記内燃機関停止中のリーク診断を行う際に、前記負圧ポンプを作動させて前記エバポ系内に負圧を導入することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエバポガスパージシステムのリーク診断装置。」

(b)本件補正後の特許請求の範囲、請求項1ないし5(なお、下線部は補正個所を示す。)
「【請求項1】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関停止中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて前記内燃機関運転中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項2】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関運転中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項3】 前記リーク診断手段は、前記内燃機関停止中のリーク診断の実行履歴に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項4】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関停止中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。
【請求項5】 前記圧力導入手段として、前記エバポ系内に負圧を導入する負圧ポンプを設け、
前記リーク診断手段は、前記内燃機関停止中のリーク診断を行う際に、前記負圧ポンプを作動させて前記エバポ系内に負圧を導入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエバポガスパージシステムのリーク診断装置。」

2.本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲に関して、補正前の請求項2を削除して、補正前の請求項3ないし6をそれぞれ新たな請求項2ないし5として整理するとともに、本件補正により補正された請求項1に関しては、対応する本件補正前の請求項1における「‥‥停止中のリーク診断の実行履歴に基づいて‥‥‥‥」の記載を「‥‥停止中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて‥‥‥‥」と補正し、同じく本件補正により補正された請求項2に関しては、対応する本件補正前の請求項3における「‥‥運転中のリーク診断の実行履歴に基づいて‥‥‥‥」の記載を「‥‥運転中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて‥‥‥‥」と補正し、さらに、同じく本件補正により補正された請求項4に関しては、対応する本件補正前の請求項5における「‥‥停止中のリーク診断の実行履歴に基づいて‥‥‥‥」の記載を「‥‥停止中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて‥‥‥‥」と補正するものであり、これらの補正後の請求項1、2及び4に関する補正事項は、それぞれ、補正前の請求項1、3及び5に係る発明の発明特定事項である「リーク診断の実行履歴」について限定を付加するものであるから、補正後の請求項1、2及び4に関する本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.本件補正の適否についての判断
本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5は上記1.(b)に摘記したとおりのものであり、そのうち請求項2に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて、以下に検討する。

(1)刊行物に記載された発明
ア)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2002-349364号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次のことが記載されている(なお、下線は当審で付したものである。)。

a.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関の燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタと、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと機関吸気通路とを接続するパージ通路と、
前記キャニスタ内の蒸発燃料を機関吸気通路に圧送するパージポンプと、
前記パージポンプを用いて前記キャニスタと燃料タンクとベーパ通路とパージ通路及びパージポンプとを含むパージ系の内圧を大気圧との間に差圧を有する圧力に調整した後に前記パージ系を密閉する密閉手段と、
前記密閉後の前記パージ系内圧の変化に基づいて、パージシステムの異常の有無を判定する異常判定手段とを備え、
前記異常判定手段は、前記パージ系密閉後の、前記パージポンプが停止した状態におけるパージ系内圧変化に基づいてパージシステムの異常の有無を判定する、パージシステムの故障診断装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

b.「【0042】次に、本実施例におけるパージポンプ20の機能について説明する。機関停止中等のように吸気通路1にパージガスを供給できない状態では、パージ制御弁10(当審注:「10」は「15」の誤記と解される。)は閉弁され、キャニスタ10のCCV17は開弁状態に保持される。この状態で燃料の蒸発により燃料タンク11内圧が上昇してベントバルブ131の開弁圧力に到達するとベントバルブ131が開弁する。これにより、燃料タンク11の液面上部空間からブリーザ配管13を介して燃料蒸気と空気との混合気がキャニスタ10内に流入し、キャニスタ10内の吸着剤50を通過してCCV17から大気連通管18に流入する。吸着剤50を通過時に混合気中の蒸発燃料は吸着剤に吸着されるため、大気連通管18からはキャニスタ10内の吸着剤50により燃料蒸気を除去された後の空気のみが放出されるようになる。これにより、蒸発燃料の大気放出が防止される。
【0043】吸着剤50に吸着された蒸発燃料量が増大すると吸着剤50が蒸発燃料で飽和してしまい、それ以上蒸発を吸着できなくなるため、本実施形態では機関運転中にパージを行い吸着剤50から吸着した蒸発燃料を脱離(パージ)させる。通常の機関では、キャニスタ10のパージは、機関100の運転中にCCV17とパージ制御弁15との両方を開弁し、空気をキャニスタ10内に導入することにより行う。すなわち、通常の機関では機関運転中、吸気通路1のスロットル弁6下流側には負圧が発生しているため、機関運転中にパージ制御弁15を開弁すると、キャニスタ10内にはパージ配管14を介して吸気通路1の負圧が作用し、キャニスタ内圧は大気圧より低くなる。
【0044】このため、パージ制御弁15が開弁すると、CCV17を介して、大気連通管18からフィルタ19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ10内に流入する。この空気はキャニスタ10内のの吸着剤50を通過時に吸着した蒸発燃料を吸着剤から離脱させ、蒸発燃料と空気との混合ガス(パージガス)となってパージ配管14からパージ制御弁15を通って機関吸気通路1に流入する。これにより、パージガスは吸着剤50からパージされて機関燃焼室で燃焼し、吸着剤50が蒸発燃料で飽和することが防止される。
【0045】ところが、本実施形態では希薄空燃比燃焼を行う機関100が使用されているため、機関100の希薄空燃比燃焼運転中には吸気通路に負圧がほとんど発生しない。このため、吸気通路の負圧でパージガスを吸気通路内に吸入することが困難となる。このため、本実施形態ではキャニスタのパージを行うためにパージ配管14上にパージポンプ20を配置している。機関運転中、パージポンプ20は常に作動し、キャニスタ内のパージガスを吸入、昇圧して吸気通路1に圧送する。これにより、大気連通管18からCCV17を通ってキャニスタ10内に空気が吸入され、吸着剤50から蒸発燃料をパージする。これにより、吸気通路に負圧がほとんど発生しない希薄燃焼運転時にもキャニスタ10のパージが正常に行われ、吸着剤50が蒸発燃料で飽和することが防止される。」(段落【0042】ないし【0045】)

c.「【0047】そこで、本実施形態では以下に説明するパージシステムの故障診断を行い、早期にパージ系の洩れ、孔等の異常を検出するようにしている。以下、本実施形態のパージシステムの故障診断操作の実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態
本実施形態では、パージ系内圧を負圧にして大気圧と差圧を設けた状態で密閉し、この密閉状態における内圧上昇を燃料タンク11に設けた圧力センサ33で計測することによりパージ系の故障診断を行う。本実施形態では、パージ系の圧力を低下させるために吸気通路負圧を利用することはできないため、パージポンプ20を用いてパージ系内のガスを排気することによりパージ系内圧を低下させる。【0048】すなわち、故障診断時にはパージ制御弁15を開弁したままでキャニスタ10のCCV17を閉弁する。これにより、キャニスタ10に大気が導入されないままパージポンプ20によりキャニスタ10内が排気されるため、パージポンプ20からキャニスタ10、ブリーザ配管13を経て燃料タンク11内に至るパージ系の圧力が低下する。この状態でパージ制御弁15を閉弁することにより、パージ系は負圧密閉状態に保持される。
【0049】この状態では、パージ系に洩れ、孔等の故障がなければパージ系内の圧力上昇は燃料タンク11内の燃料の蒸発によるもののみになるため、圧力センサ33で検出した系内の圧力上昇速度は燃料の蒸発速度に応じた比較的小さなものになる。一方、パージ系に洩れ、孔等が存在する場合には、洩れ箇所を通って外気が負圧状態の系内に侵入するため系内の圧力上昇速度は比較的大きくなる。
【0050】このため、系内の圧力上昇速度が大きい場合にはパージ系に洩れ、孔等の異常が生じていると判断することができる。本実施形態では、比較的小さな洩れ、孔まで検出するために、負圧密閉状態での内圧が比較的小さな所定値以上(例えば数mmHg/5秒程度)以上である場合には、パージ系に洩れ、孔等の故障が生じていると判断するようにしている。」(段落【0047】ないし【0050】)

d.「【0051】実際には、燃料温度が高いような場合には燃料タンク内の燃料の蒸発速度が大きくなる場合があり、パージ系に故障が生じていなくても燃料の蒸発のみによって系内圧の上昇速度が上記所定値を越えてしまう場合がある。そこで、本実施形態では負圧密閉状態での内圧上昇速度計測(以下「洩れ検出操作」という)が終了した後に、燃料の蒸発速度計測を行う。
【0052】蒸発速度計測では、パージ制御弁15を閉じたままでCCV17を開弁して系内に空気を導入し、パージ系内圧が大気圧近傍になった状態で再度CCV17を閉弁し、大気圧状態でパージ系を再度密閉する。この状態では、パージ系と大気との間に差圧がほとんどないため洩れ、孔等があっても系内に外気が侵入しない。このため、大気圧密閉状態でのパージ系内圧上昇は洩れの有無にかかわらず燃料の蒸発によるもののみとなる。従って、この大気圧密閉状態で圧力センサ33を用いて計測したパージ系内圧上昇速度は燃料蒸発速度を表すことになる。
【0053】本実施形態では、洩れ検出操作において内圧上昇が上記所定値以上であり、かつその後に行った燃料蒸発速度計測での内圧上昇速度が所定の判定値(例えば洩れ検出操作における上記所定値と同程度の値)より小さい場合に限り、パージ系に洩れ、孔等の故障が生じたと判定するようにしている。」(段落【0051】ないし【0053】)

e.「【0056】図2、図3は、本実施形態のパージシステムの故障診断操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。図2の操作では、まずステップ201で現在機関100が運転中か否か、すなわち機関のイグニッションスイッチがオンにされているか否かが判定され、イグニッションスイッチがオンの場合には、今回の本操作の実行は終了する。すなわち、機関運転中はステップ203以下のパージシステムの故障診断操作は実行しない。
【0057】ステップ201でイグニッションスイッチがオフであった場合には、ステップ203に進み、洩れ検出のための圧力上昇速度ΔPLの計測が完了しているか否かを判断し、完了している場合には直接ステップ221の洩れ判定操作に進む。ステップ203でΔPLの計測が完了していない場合には、ステップ205に進み、CCV17を閉弁するとともに、ステップ207で現在機関が完全に停止しているか否か(すなわち機関回転数がゼロになったか否か)を判定する。機関が完全に停止していない場合には、現在、機関100はイグニッションスイッチオフ後の惰性回転状態にあり、機関の運転に連動しているパージポンプ20も作動していると考えられる。そこで、この場合にはステップ209に進みパージ制御弁15を開弁状態に保持する。
【0058】これにより、CCV17が閉弁され、パージ制御弁15が開弁された状態でパージポンプ20が作動することになるため、パージ系内のガスが吸気通路1に排気され、パージ系内の圧力は低下する。ステップ209実行後、ステップ211で後述のカウンタCTの値がクリアした後、今回の本操作の実行は終了する。これにより、機関が完全に停止するまでパージ制御弁15は開弁状態に保持される。
【0059】この状態で、機関100(及びパージポンプ20)が完全に停止すると、ステップ207の次にステップ213が実行され、パージ制御弁15が閉弁状態に保持される。これにより、パージ系内は負圧密閉される。ステップ215と217は、ステップ219の実行をパージポンプ20が停止してから所定の時間だけ遅延させるための操作である。カウンタCTは機関100が完全に停止するまではステップ211でクリアされており、機関停止後はステップ215で操作実行毎にΔTずつ増大される。ここで、ΔTはECU30による本操作のルーチン実行間隔である。このため、ステップ217におけるCTの値はパージポンプ20が完全に停止してからの経過時間を表すことになる。

‥ ‥ (中略) ‥ ‥

【0062】ステップ217で脈動減衰時間T_(0)が経過すると、ステップ219では、洩れ検出のための内圧上昇速度ΔPL計測が行われる。この操作では、ECU30は燃料タンク11に配置した圧力センサ33から検出した所定の時間内(例えば5秒程度)における系内圧力上昇幅ΔPLが算出する。ステップ219でΔPLの計測が完了すると、ステップ221では計測したΔPLの値が所定の判定値ΔPL_(0)以上であるか否かを判定する。本実施形態では、微少な洩れ、孔をも検出するためにΔPL_(0)は、例えば数mmHg/5秒程度の比較的小さい値に設定されている。ΔPLの値が判定値ΔPL_(0)より小さい場合には、パージシステムに洩れ、孔は生じていないと判断できるため、ステップ223ではパージシステムは正常であるとの判断がなされ、ステップ225ではCCV17が開弁される。これにより、パージ系内は大気圧に復帰するとともに、燃料タンク11内で蒸発した燃料はキャニスタ10内の吸着剤50に吸着されるようになる。
【0063】一方、ステップ221でΔPL≧ΔPL_(0)であった場合には、パージ系に洩れ、孔等の故障が発生している可能性がある。そこで、この場合には図3に進みステップ227から237を実行して、燃料蒸発速度を計測し洩れ検出時ΔPLが大きくなっていたのは燃料蒸発によるものか否かを判断する。前述のように、本実施形態では燃料蒸発速度をパージ系を大気圧で密閉した状態での内圧上昇速度ΔPVで表しており、図3ステップ227から235では、パージ系を大気圧で密閉した状態での内圧上昇速度の計測を行う。
【0064】すなわち、図3ステップ227では、既に大気圧密閉時の内圧上昇速度(燃料蒸発速度)ΔPVの計測が終了したか否かを判断し、既にΔPVの計測が完了している場合には、ステップ237に進む。ステップ227でΔPVの計測が完了していない場合には、まずステップ229でCCV17を開弁する。これにより、CCV17から負圧になっているパージ系内に空気が流入し、系内圧力は大気圧まで上昇する。ステップ231で圧力センサ33で計測した系内圧力Pが大気圧に到達(P≧0)したことが確認されるとステップ233ではCCV17が閉弁され、パージ系は大気圧で密閉される。ステップ235では、この大気圧密閉状態での所定時間(例えば5秒程度)内の系内の圧力上昇幅(ΔPV)を計測する。このΔPVの値は、純粋に燃料蒸発による系内の圧力上昇速度を表すことになる。
【0065】ステップ237では、上記により計測した燃料蒸発速度ΔPVの値が、所定値の判定値ΔPV_(0)以上か否かが判定される。ステップ237でΔPV≧ΔPV_(0)であった場合には、ステップ219で計測した内圧上昇速度ΔPLが大きな値になっていたのは燃料蒸発速度ΔPVが大きかったためである可能性がある。このため、この場合にはステップ241に進み、パージシステムに異常があるか否かの判断を保留する。すなわち、この場合には正常判定も異常判定も行われない。」(段落【0056】ないし【0065】)

f.「【0084】図7、図8は本実施形態のパージシステム故障診断操作を示すフローチャートであり、図7は機関運転中に実施する遮断弁61から燃料タンク11までのパージ系部分の故障検出操作(故障検出操作I)を、図8は機関停止時に実施する遮断弁61からパージ制御弁15までのパージ配管14部分の故障検出操作(故障検出操作II)を、それぞれ示している。図7、図8の操作は、それぞれ個別にECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
【0085】まず、図7の故障検出操作Iから説明する。図7の操作は、第1と第3の実施形態の図2、図5に相当する部分(洩れ検出操作)のみを示している。本実施形態においても蒸発燃料速度検出のための操作が行われるが、この操作は図3の操作と同一であるため説明は省略する。
【0086】図7において、ステップ701は故障診断操作の実行条件が成立しているか否かの判断を示す。ステップ701の診断実行条件は、図5ステップ501のものと同一である。ステップ701で診断実行条件が成立すると、本実施形態ではステップ703で圧力センサ33の三方弁63が燃料タンクとセンサ33とを接続する位置に切換え(既に切換えられている場合にはこの位置に保持)される。これにより、センサ33により燃料タンク11内の圧力が検出可能となる。
【0087】次いでステップ705では、洩れ検出用の内圧上昇速度ΔPLの検出が終了しているか否かが判定され、終了している場合にはステップ717に進み洩れの有無の判定を行う。ΔPLの計測が終了していない場合には、次にステップ717に進み、CCV17を閉弁する。本操作ではパージ制御弁15は常に開弁しており、パージポンプ20は常に作動しているため、これによりパージ系内の圧力は低下を開始する。
【0088】ステップ709では、センサ33で検出した系内圧力Pが所定の負圧P_(1)まで低下したか否かが判定される。負圧P_(1)は、図5の操作における負圧P_(1)と同様の値に設定されている。ステップ709で系内圧力が負圧P_(1)まで低下していない場合には、ステップ711に進み、遮断弁61を開弁(既に開弁している場合には開弁状態に保持)して、系内圧力が負圧P_(1)まで低下するのを待ち、ステップ709でP≦P_(1)となったときにステップ713で遮断弁61が閉弁される。
【0089】これにより、遮断弁61から燃料タンク11に至るパージ系部分は、パージポンプ20から隔離された状態で負圧密閉される。このため、本実施形態では遮断弁61閉弁後直ちにステップ715でΔPLの計測を行う。ステップ715のΔPL計測操作は、図5ステップ521と同一の操作である。また、ステップ715でΔPLの計測が終了すると次に、ステップ717では洩れの有無の判定が行われる。ステップ717は図5ステップ523と同一の操作であり、ステップ715でΔPL≧ΔPL_(0)であった場合には、図3ステップ227以下の操作が行われる点も同様である。
【0090】ステップ717でΔPL<ΔPL_(0)であった場合には、洩れ、孔は生じていないと判断され、ステップ719で遮断弁61から燃料タンク11に至るパージ系部分は正常であると判定される。また、本実施形態では判定(図7、ステップ719及び図3、ステップ239、241)が終了するとステップ721でCCV17が開弁されるとともに、ステップ723では遮断弁61が開弁される。これにより、キャニスタ10のパージが再開される。
【0091】上述のように、図7の操作によれば機関運転に連動して作動するパージポンプ20を使用しながら機関運転中に燃料タンクを含むパージ系部分の正確な故障診断を行うことが可能となる。
【0092】次に、図8のパージ制御弁15と遮断弁61との間のパージ配管14部分の故障診断(故障診断II)について説明する。本操作は、機関のイグニッションスイッチがオフになったときに行われる。すなわち、図8ステップ801でイグニッションスイッチがオフになると、ステップ803では圧力センサ33の三方弁63がセンサ33をパージ配管14のパージ制御弁15と遮断弁61の間の部分(以下、「パージ配管部分」という)を連通する位置に切換えられる(既に切換えられている場合にはこの位置に保持される)。これにより、圧力センサ33を用いてパージ配管部分の圧力を検出することが可能となる。そして、ステップ805では、パージ配管部分の洩れ検出用の内圧上昇速度ΔPL_(2)の計測が終了しているか否かが判定され、既に終了している場合にはステップ823の判定操作に進む。
【0093】ステップ805でΔPL_(2)の計測が終了していない場合には、ステップ807では遮断弁61が閉弁され、パージポンプ20の惰性回転によるパージ配管部分からの排気が行われる。この間、ステップ809で機関が完全に停止したと判断されるまでは、ステップ811でパージ制御弁15は開弁保持され、ステップ813でカウンタCTの値は本操作実行毎にクリアされる。また、ステップ809で機関が完全に停止したと判定されると、ステップ815でパージ制御弁15が閉弁される。これにより、上記パージ配管部分は負圧状態で密閉される。
【0094】そして、ステップ817、819では機関完全停止後、すなわちパージポンプ停止後、パージ配管部分の圧力脈動が充分に減衰する時間T_(0)が経過するのを待ち(ステップ817、819)、時間T_(0)経過後ステップ821でΔPL_(2)の計測を行う。ΔPL_(2)は、図2、図5、図7におけると同様、圧力センサ33で検出したパージ配管部分の所定時間(例えば5秒)内における圧力上昇幅である。
【0095】ステップ821でΔPL_(2)の計測が終了すると、ステップ823では計測したΔPL_(2)が所定値ΔPL_(20)以上になっているか否かに基づいて、上記パージ配管部分に洩れ、孔等の故障が生じているか否かが判定される。ΔPL_(2)がΔPL_(20)より小さい場合には、負圧密閉状態の系内の圧力上昇が小さく、洩れ、孔等からの外気の侵入がないと判断できるため、ステップ825に進み、正常判定がなされる。
【0096】また、パージ配管部分では燃料の蒸発による圧力上昇は生じないため、本実施形態では、ステップ823でΔPL_(2)≧ΔPL_(20)であった場合には、ステップ827で直ちに異常判定がなされる。正常判定、または異常判定がなされて、故障診断が終了するとステップ829で遮断弁829は開弁され、ステップ831で三方弁63は圧力センサ33を燃料タンク11に接続する位置に切換えられる。なお、本操作では、CCV17はイグニッションスイッチオフ後常に開弁保持されている。
【0097】上記のように、本実施形態では遮断弁61を設けたことにより機関運転に連動して作動するパージポンプを用いながら、遮断弁61から燃料タンクに至るパージ系では密閉時の負圧を大きくとって、しかもパージポンプの作動による圧力脈動を排除した極めて正確な故障診断を機関運転中に行うことができる。また、パージ制御弁15と遮断弁61との間のパージ配管部分については、機関停止後、パージポンプが停止した後に故障診断をおこなうことにより、パージポンプの作動による圧力脈動の影響を排除した正確な故障診断を行うことが可能となる。」(段落【0084】ないし【0097】)

g.上記a、b及び図1等の記載からみて、刊行物1には、燃料タンク内の燃料が蒸発して生じた蒸発燃料を内燃機関の吸気通路1にパージするパージシステムが記載されていることがわかる。

h.上記fからみて、刊行物1には、内燃機関の運転中にも停止中にも、パージシステムの故障を診断することが記載されていることがわかる。

i.また、上記cないしeからみて、パージシステムの故障診断は、燃料温度が高い場合のような燃料蒸発速度の大きいとき、すなわち、蒸発燃料の圧力の影響が大きいときには、当該故障診断を行わないようにしたことがわかる。

j.さらに、上記eからみて、内燃機関の停止時(イグニッションキーがオフ持)のパージシステムの故障診断においても、燃料タンク11を含むパージ系部分に、負圧を加え、圧力センサ33で検出した負圧の変化を検出して、燃料タンクを含むパージ系部分における漏れの故障診断を行うこと、及び、そのような内燃機関の停止時におけるパージシステムの故障診断において、図3に示されるような燃料蒸発速度の大きい場合については、故障診断を行わないようにしたことが、いずれも記載されていることがわかる。

k.以上のことからみて、刊行物1には、次の発明が記載されているといえる。
「燃料タンク11内の燃料が蒸発して生じた蒸発燃料を内燃機関の吸気通路1にパージするパージシステムにおいて、
内燃機関の停止中に燃料タンクを含むパージ系に所定の負圧を導入するパージポンプ20と、
前記パージ系部分内の圧力を検出する圧力センサ33と、
内燃機関の停止中に前記パージ系内に所定の負圧を導入して前記パージ系内の漏れを診断する内燃機関の停止中の故障診断操作とを備え、
前記内燃機関の停止中の故障診断操作は、内燃機関の停止中に、前記パージ系内のパージガスの圧力の影響が大きい場合に、前記内燃機関の停止中の故障診断操作を停止する、パージシステムの故障診断装置。」(以下、「刊行物1に記載された発明」という。)

イ)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-56417号公報(平成15年2月26日公開、以下「刊行物2」という。)には、次のことが記載されている(なお、下線は当審で付したものである。)。

a.「【請求項1】 燃料タンクと内燃機関の吸気管とを連通する連通管の途中にキャニスタを設け、前記燃料タンク内の燃料が蒸発して生じた燃料蒸発ガスを前記キャニスタ内に吸着し、内燃機関の運転状態に応じて前記キャニスタの下流側のパージ制御弁を開閉して前記キャニスタから前記吸気管への燃料蒸発ガスのパージ量を制御すると共に、前記キャニスタの大気連通管をキャニスタ閉塞弁で開閉するようにしたエバポガスパージシステムにおいて、
内燃機関の運転中に、前記エバポガスパージシステム系内の漏れを診断する走行時診断手段と、
内燃機関の停止中に、前記エバポガスパージシステム系内の漏れを診断する停止時診断手段とを備え、
前記停止時診断手段は、前記走行時診断手段によって前記エバポガスパージシステム系内の漏れが診断されたときに、前記エバポガスパージシステム系内の漏れを判定することを特徴とする内燃機関のエバポパージシステムの異常診断装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

b.「【請求項3】 内燃機関の運転中において、前記走行時診断手段を実行するための実行条件を判定する走行時実行条件判定手段と、
前記エバポガスパージシステム内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記パージ制御弁を開弁することにより前記エバポガスパージシステム内に負圧を導入する負圧導入手段と、
前記負圧導入手段により前記エバポガスパージシステム内に負圧が導入された後、前記キャニスタ閉塞弁と前記パージ制御弁とを閉弁して、前記エバポガスパージシステムを密閉する走行時密閉手段とを備え、
前記走行時診断手段は、前記走行時実行条件判定手段により実行条件が成立すると判定されると、前記負圧導入手段により前記エバポガスパージシステムに負圧を導入した後に、前記走行時密閉手段により前記キャニスタ閉塞弁と前記パージ制御弁とを閉弁して前記エバポガスパージシステムを密閉し、前記エバポガスパージシステム内が密閉されている期間内の圧力と走行時用判定値とに基づいて前記エバポガスパージシステム内の漏れを診断することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一方に記載の内燃機関のエバポガスパージシステムの異常診断装置。
【請求項4】 内燃機関の停止中において、前記停止時診断手段を実行するための実行条件を判定する停止時実行条件判定手段と、
前記エバポガスパージシステム内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記キャニスタ閉塞弁と前記パージ制御弁を閉弁して、前記エバポガスパージシステム内を密閉する停止時密閉手段とを備え、
前記停止時診断手段は、前記密閉手段により前記エバポガスパージシステム内が密閉されている期間の圧力と停止時用判定値とに基づいて前記エバポガスパージシステムの異常を診断することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のエバポガスパージシステムの異常診断装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項3】及び【請求項4】)

c.「【請求項7】 第1の所定期間をカウントする第1の診断許可タイマを備え、
前回の前記停止時診断手段、若しくは前回の前記走行時診断手段により燃料蒸発ガスの漏れが診断されてから、前記第1の診断許可タイマにより第1の所定期間がカウントされたときに実行されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の内燃機関のエバポガスパージシステムの異常診断装置。
【請求項8】 前回の前記停止時診断手段、若しくは前回の前記走行時診断手段により燃料蒸発ガスの漏れが診断されてから第2の所定期間をカウントする第2の診断許可タイマを備え、
前記停止時診断手段は、前回の前記停止時診断手段、若しくは前回の前記走行時診断手段により燃料蒸発ガスの漏れが診断されてからの期間に、一度も前記走行時診断手段、若しくは前記停止時診断手段による漏れの診断が行われず、前記診断許可タイマにより第2の所定期間がカウントされたときに前記停止時診断条件判定手段により判定される実行条件を緩和することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のエバポガスパージシステムの異常診断装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項7】および【請求項8】)

d.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガス(燃料蒸発ガス)を内燃機関の吸気管にパージ(放出)するエバポガスパージシステム系の異常として、特に小径の穴によるリークの有無を診断するエバポガスパージシステムの異常診断装置に関するものである。」(段落【0001】)

e.「【0022】
【実施の形態】<第1の実施の形態>以下に、本実施の形態に係るシステム全体の概略構成図を図1を用いて説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の上流側にはエアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13を通過した空気がスロットルバルブ14を通してサージタンク15に流入し、吸気マニホールド16からエンジン11の各気筒に吸入される。各気筒の吸気マニホールド16には、燃料噴射弁17が設けられている。各燃料噴射弁17には、燃料タンク18内の燃料が燃料ポンプ32により燃料配管33を介して送られてくる。このとき、図示しないデリバリパイプには、プレッシャレギュレータ(図示せず)が設けられており、このプレッシャレギュレータにより規定される圧力以上の燃料は、リターン配管34を介して燃料タンク18に戻される。
【0023】次に、エバポガスパージシステム20の構成を説明する。燃料タンク18には、エバポ通路21を介してキャニスタ22が接続されている。このキャニスタ22内には、エバポガス(蒸発燃料)を吸着する活性炭等の吸着体(図示せず)が収容されている。また、キャニスタ22の底面部の大気連通孔には、大気に連通する大気連通管23が設けられ、この大気連通管23にはキャニスタ閉塞弁24が取り付けられている。
【0024】このキャニスタ閉塞弁24は、電磁弁により構成され、通電がオフされている状態では、開弁状態に保持されて、キャニスタ22の大気連通管23が大気に開放された状態に保たれる。このキャニスタ閉塞弁24は、通電すると、閉弁し、大気連通管23が閉塞された状態になる。
【0025】一方、キャニスタ22とサージタンク15との間には、キャニスタ22内の吸着体に吸着されているエバポガスを吸気管12にパージ(放出)するためのパージ通路25が設けられ、このパージ通路25の途中に、パージ流量を調整するパージ制御弁26が設けられている。このパージ制御弁26は、電磁弁により構成され、デューティ制御されることで、キャニスタ22から吸気管12へのエバポガスのパージ流量が制御されるようになっている。
【0026】また、樹脂材料によって構成される燃料タンク18には、その内圧を検出するためのタンク内圧センサ27が設けられている。燃料タンク18内からパージ制御弁26までのエバポガスパージシステムが密閉されている時には、燃料タンク18の内圧とエバポガスパージシステムの他の部位の内圧が一致するため、タンク内圧センサ27により燃料タンク18の内圧を検出することで、エバポガスパージシステムの内圧を検出することができる。
【0027】このタンク内圧センサ27の出力信号は、エンジン制御回路28(以下、ECUと称する)に読み込まれる。このECU28は、マイクロコンピュータを主体として構成され、そのROM(図示せず)に記憶された燃料噴射制御プログラム、点火制御プログラム及びパージ制御プログラム等を実行することで、燃料噴射制御、点火制御及びパージ制御等を行う。更に、ECU28は、ROMに記憶された図3乃至図5に示すエバポガスパージシステム異常診断プログラムを実行することで、エバポガスパージシステムの漏れ(以下、リークと称する)の有無を診断すると共に、リークを検出した時には、警告ランプ29を点灯して運転者に警告する。なお、ECU28は後述するようにエンジン11の停止後にエバポガスパージシステムの異常診断プログラムを実施するため、ドライバによりキースイッチ35がオフされたときにECU28をバッテリ37と連通することで起動し続ける。そして、エバポガスパージシステムの異常診断プログラムが終了したときに、メインリレー36をバッテリ37と切り離すようにするセルフ電源カット機能38を備える。」(段落【0022】ないし【0027】)

f.「【0032】まず、図3と図4とのフローチャートを用いて、特にエンジン停止中(当審注:「停止中」は「運転中」の誤記と解される。)の負圧モニタプログラムの処理について説明する。ステップS101にて、エンジン回転速度Neが0rpm以上であるか否かが判定される。この判定は、図2のエンジン停止中判定機能部128に該当する。ここでは、エンジン回転速度Neを判定に用いたがキースイッチの状態を判定することによって、エンジンの停止中、若しくは運転中を判定しても良い。ここで、エンジンが停止中であると判定されると、Dに進み、図5にて後述するように、エンジン11が停止しているときにエバポガスパージシステム内の異常を検出する内圧モニタプログラムの処理へと進む。
【0033】一方、エンジンが運転中であると判定されると、ステップS102に進む。ステップS102では、負圧モニタプログラムによる異常診断が終了したことを示すフラグFLG1が0であるかを判定する。このフラグFLG1に1が設定されているときは、負圧モニタプログラムによる異常診断が終了していることを示し、このまま本ルーチンを終了する。また、フラグFLG1に0が設定されている場合には、ステップS103へ進み、診断実行条件が成立しているか否かを判定する。この診断実行条件はエンジン運転状態が安定しているときに成立し、例えば吸入空気量、吸気温、始動後の経過時間、空燃比フィードバック中であるか否か等によって判定する。もし、診断実行条件が成立していなければ、以降の異常診断処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
【0034】一方、診断実行条件が成立している場合は、ステップS104に進み、キャニスタ閉塞弁24を閉じた後、ステップS105,S106で、パージ制御弁26を徐々に開放して、パージ制御弁26を所定開度まで開き、エバポガスパージシステムに負圧を導入する。この際、パージ制御弁26を徐々に開放する理由は、ドライバビリティへの影響を少なくするためと、負圧導入時のエバポガスパージシステム内の空気の流れを緩やかにするためである。
【0035】パージ制御弁26を所定開度まで開いた状態で、タンク内圧センサ27で検出したエバポガスパージシステムの圧力が所定圧力以下になるまで待機し(ステップS107)、所定圧力以下になった時点で、パージ制御弁26を閉じ(ステップS108)、エバポガスパージシステムを密閉する。そして、次のステップS109で、現在のエバポガスパージシステム圧力P1aを読み込んでRAM(図示せず)に記憶し、次のステップS110で、このエバポガスパージシステム圧力P1aが許容下限圧力以下であるか否かを判定し、許容下限圧力以下の場合(導入負圧が大きすぎる場合)には、精度の良い異常診断を行えないため、以降の異常診断処理を行うことなく、図4のステップ132に進み、キャニスタ閉塞弁24を開弁して、エバポガスパージシステムの密閉状態を解除する。
【0036】エバポガスパージシステムの圧力P1aが許容下限圧力より高い場合は、図3のステップS111に進み、1回目の圧力変化判定期間開始後の経過時間をタイマAを用いてカウントする。以後、1回目の圧力変化判定期間として、予め設定された所定時間1が経過するまで、タイマAを一定時間毎にインクリメントする処理を繰り返し(ステップS111,S112)、このタイマAによる計時時間が所定時間1に達した時点で、ステップS113に進んで、1回目の圧力変化判定期間終了時のエバポガスパージシステムの圧力P1bと開始時のエバポガスパージシステムの圧力P1aとの差分DPT1、つまり1回目の圧力変化判定期間におけるエバポガスパージシステムの圧力変化量DPT1を算出してRAM(図示せず)に記憶する。
【0037】この後、ステップS114で、1回目の圧力変化判定期間におけるエバポガスパージシステムの圧力変化量DPT1を、予め設定された判定値Lと比較する。ここで、判定値Lは1回目の圧力変化判定期間中のエバポガスの発生による圧力変化量又はそれ以下の値に設定されている。従って、圧力変化量DPT1が判定値Lより小さい時は、エバポガスパージシステム内に漏れが無いと判断できるため、図4のステップS135に進み、正常と判定する。そして、図4のステップS136にて、正常判定カウンタをインクリメントし、図4のステップS137にて、この正常判定カウンタが所定値αを越えたかいなかを判定する。このとき、正常判定カウンタが所定値αを越えていれば、図4のステップS138にて警告ランプ27を消灯して図4のステップS138へ進む。一方、正常判定カウンタが所定値αを越えていない場合には、図4のステップS138をバイパスして、図4のステップS131へ進む。図4のステップS131では、診断終了を示すフラグFLG1に1を設定して、図4のステップS132にて、キャニスタ閉塞弁24を開弁して、通常のパージ制御に復帰する。
【0038】一方、図3のステップS114にて、圧力変化量DPT1が判定値L以上であると判定されると、エバポガスパージシステムの漏れが発生している可能性があるので、1回目の圧力変化判定期間終了後も、引き続きエバポガスパージシステムを密閉状態に維持し、1回目の圧力変化判定期間終了後の経過時間をタイマBでカウントし、所定の待機時間が経過するまで待機する(ステップS115,S116)。
【0039】その後、所定の待機時間が経過した時点で、2回目の圧力変化判定期間に移行し、図4のステップS117で、エバポガスパージシステム圧力の最小値Pminを記憶する。このエバポガスパージシステム圧力の最小値Pminは、2回目の圧力変化判定期間中に随時更新される。そして、次のステップS118で、エバポガスパージシステム圧力の最大値Pmaxを記憶する。このエバポガスパージシステム圧力の最大値Pmaxについても、2回目の圧力変化判定期間中に随時更新される。
【0040】
‥ ‥ (中略) ‥ ‥

【0050】以上説明したエバポガスパージシステム異常診断プログラムでは、1回目の圧力変化の判定から2回目の圧力変化の判定までエバポガスパージシステムを密閉状態に維持するため、2回の圧力変化の判定を同じエバポ条件で行うことができる。これにより、2回の圧力変化の判定結果から、エバポガスの発生による圧力変化の影響をキャンセルすることができ、エバポガスパージシステムの漏れを精度良く診断することができる。
」(段落【0032】ないし【0050】)

g.「【0055】つぎに、図5のフローチャートを用いて、内圧モニタプログラムによる異常診断について説明する。このプログラムは、図3のステップS101にて判定されたように、エンジン回転速度Neが0であった場合に実行される処理ルーチンであり、エンジン停止中のエバポガスパージシステム異常診断を実施する。まず、ステップS201では、キースイッチ35がオフであるか否かを判定する。ここで、キースイッチ35がオフでなければ、負圧モニタプログラムを実行せずにそのまま本ルーチンを終了する。一方、キースイッチ35がオフされていれば、ステップS202に進む。ステップS202では、負圧モニタプログラムにてφ0.5仮異常判定をしたか否かが判定される。そして、この仮異常判定が行われていない場合には、負圧モニタプログラムを実行せずに本ルーチンを終了することで、エンジン停止中にECU28により消費される電力を保護することができる。
【0056】一方、仮異常判定が行われていれば、ステップS203へ進む。パージ制御弁26を閉じ、ステップS204にてキャニスタ閉塞弁24を閉じることで、エバポガスパージシステムを密閉する。そして、ステップS205にて、タンク内温Taと燃料レベルLとを、燃温センサ30と燃料レベルセンサ31とにより検出し、図示しないRAMに記憶する。また、タイマTimer1をセットする。タイマTimer1は、内圧モニタプログラムが実施してからの時間をカウントするタイマである。ステップS206にて、タンク内圧センサ27にてエバポガスパージシステムの圧力Paを検出する。そして、ステップS207では、エバポガスパージシステムが密閉されてから発生した蒸発燃料量を演算する。蒸発燃料量は、タンク内圧Paの積算値Ptotalとして演算される。また、このとき、タイマTimer1をインクリメントする。ステップS208では、タイマTimer1が所定値γを越えたかを判定する。すなわち、この判定で、タイマTimer1が所定値γ経過していない場合には、ステップS206,ステップS207の処理を繰り返し実行する。そして、タイマTimer1が所定値γとして、例えば、5分を経過したらステップS209へ進む。
【0057】つぎに、ステップS209では、リークを判定するための判定値K3を読み込む。この判定値K3は、図6(a),(b)のマップにより補正係数Mft,Mflを乗じて算出される(詳細は、前述したので省略する)。そして、ステップS210にて、Ptotalが判定値K3を越えたか否かが判定される。ここで、判定値K3を越えていなければ、ステップS212にてφ0.5異常であると判定して、ステップS213にて、警告ランプ29を点灯させ、ステップS214へ進む。一方、Ptotalが判定値K3を越えていれば、ステップS211に進み、正常判定をしてステップS214へ進む。ステップS214では、φ0.5仮異常判定をクリアする。そして、ステップS215にて、キャニスタ閉塞弁24を開いて、セルフ電源カット機能38によりメインリレー36を切り換えてECU28とバッテリ37との接続をオフする。」(段落【0055】ないし【0057】)

h.「【0064】<第2の実施の形態>第1の実施の形態では、バッテリの消費電力を低減することを目的として、内燃機関の運転中に行われる負圧モニタプログラムによるエバポガスパージシステム系の異常診断により、φ0.5仮異常判定が行われたときにのみ、内圧モニタプログラムを実施して、φ0.5異常判定を行った。本実施の形態では、エンジン停止期間中にバッテリ37の電力が消費されることを考慮して、エンジン停止時異常診断プログラムの実施頻度を制御するものである。
【0065】図8は、本実施の形態に係るシステム全体の概略構成図である。図1の概略構成図と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態に係る図8の全体構成図では、エンジン停止時異常診断プログラムの実施状況を確認するための診断未経験タイマ40が追加されている。この診断未経験タイマ40は、ECU28のようにバッテリ37の電力を用いて駆動するものとは異なり、バッテリ37の電力以外の電力にて駆動される低消費電力タイマである。図9に示すフローチャートは、この診断未経験タイマ40のカウント処理が示してある。このフローチャートは、例えば、一分毎に起動されて、ステップS300の処理として、前回のタイマ値ENDTimerに1を加えた値を今回のタイマ値ENDTimerに設定し、このフローチャートの処理を終了する。
【0066】つぎに、この診断未経験タイマ40を用いて行われる走行時診断プログラムと停止時異常診断プログラムとを、図10乃至図12とに示すフローチャートを用いて、説明する。第1の実施の形態と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図10のフローチャートでは、まず、ステップS301にて、タイマ値ENDTimerが所定値T以上であるか否かが判定される。この所定値Tは、例えば、24時間でも良いし、1週間でも良く、目的に応じて設定すれば良い。タイマ値ENDTimerが所定値Tを越えていなければ、走行時診断プログラムとしての負圧モニタプログラムを実行せずに本ルーチンを終了する。一方、タイマ値ENDTimerが所定値Tを越えた場合には、ステップS101にて、エンジン回転速度Neが0rpm以上であるかを判定する。これにより、エンジン1が運転中であると判定されると、ステップS102以降に示す負圧モニタプログラムを実行する。
【0067】本実施の形態の負圧モニタプログラムは、第1の実施の形態と同様であるが、図11のステップS131にて、診断終了を示すフラグFLG1に1を設定し、ステップS132にて、キャニスタ閉塞弁24を開弁すると、ステップS302にて、タイマ値ENDTimerをリセットするために0を入力して、負圧モニタプログラムを終了する。
【0068】一方、エンジン回転速度Neが0rpmである、すなわち、エンジン1が停止中であると判定されると、図12に示すフローチャートの処理を実行する。このフローチャートの処理では、内圧モニタプログラムが示してある。このプログラムも第1の実施の形態と同様であるが、内圧モニタプログラムによりφ0.5異常診断を実施し、ステップS215にてキャニスタ閉塞弁24を開弁すると、ステップS303にてタイマ値ENDTimerをリセットするために0を入力して内圧モニタプログラムを終了する。【0069】以上のように、本実施の形態では、エンジン停止時にECU28を使用することによって消費される電力を低減するために、診断未経験タイマ40を用いて内圧モニタプログラムの実行頻度を規制した。これにより、エンジンが停止される毎に内圧モニタプログラムが起動されることを防止することができるので、エンジン停止時に消費する電力を低減することができる。」(段落【0064】ないし【0069】)

i.「【0078】<第4の実施の形態>第1,第2の実施の形態において、エバポガスパージシステム内の異常をエンジン11の停止時に検出する内圧モニタプログラムは、φ0.5仮異常判定が成立しない限り実行されない。このため、第2の実施の形態において、タイマENDTimerが所定値Tを越えても、負圧モニタプログラムによりφ0.5仮異常の判定がなされない限り、内圧モニタプログラムを実行しないために、φ0.5異常の判定を実施することができない可能性がある。そこで、本実施の形態では、この問題に着眼して、タイマENDTimerが第2の実施の形態で用いた所定値Tよりも大きな所定値T1を越えた場合に、実行条件を緩和して異常診断プログラムの実行し易くすることに特徴を有する。
【0079】以下に、図14乃至図16を用いて詳細に説明する。図14は、内圧モニタプログラムの実行条件を判定し、判定結果に基づいて内圧モニタプログラムを実行するか否かを示すフラグFLG2を設定するためのフローチャートである。まず、ステップS500乃至ステップS503にて、図示しない車速センサ等から検出される車両の速度が所定値A以上、エンジン回転速度Neが所定値B以上、冷却水温Thwが所定値C以上、タンク内温度が所定値D以上などの条件が全て満たされた場合に、ステップS504へ進む。
【0080】ステップS504では、ステップS500乃至ステップS503の運転条件が満たされた期間をカウントするための継続タイマTrunをインクリメントし、ステップS505へ進む。ステップS505では、継続タイマTrunが所定値α1を越えたか否かが判定されて、継続タイマTrunが所定値α1を越えた場合に、内圧モニタプログラムの実行を許可するための診断許可フラグFLG2に1をセットして、本ルーチンを終了する。一方、ステップS500乃至ステップS503の運転条件が満たされない場合、若しくはステップS505にて、継続タイマTrunが所定値α1を越えない場合には、ステップS507にて診断許可フラグFLG2に0をセットして本ルーチンを終了する。
【0081】以上のようにして、図14のフローチャートでは、エンジン11の走行時の履歴から、内圧モニタプログラムによる異常診断プログラムの実行条件を成立させる。
‥ ‥ (中略) ‥ ‥
【0084】ステップS513では、第2の実施の形態の図9により処理されるタイマENDTimerが所定値T1よりも大きいか否かが判定される。この所定値T1は、第2の実施の形態にて用いられる所定値Tよりも大きな値である。この所定値T1を越えたと判定すると、ステップS514へ進む。ステップS514では、図15のフローチャートにて設定されるタイマSTOPTimerが所定値T2以下であるか否かが判定される。所定値T2以下である場合は、ステップS203に進み、内圧モニタプログラムを実施して本ルーチンを終了する。一方、ステップS513,S514の条件を満たさない場合には、内圧モニタプログラムを実施せずに本ルーチンを終了する。
【0085】以上のようにして、エンジン11の走行時の運転履歴として、ステップS500乃至ステップS503の条件と、タイマ値ENDTimerが所定値T1以上である条件を満たすときは、走行時異常診断プログラムによってφ0.5仮異常の判定が実施されない場合でも、内圧モニタプログラムを実施する。これにより、所定期間(所定値T1)を経過してもエバポガスパージシステム内の異常診断が実施されていない場合に、強制的に内圧モニタプログラムを実施することができる。【0086】本実施の形態において、第2の診断許可タイマは、図14のフローチャートに相当し、機能する。」(段落【0078】ないし【0085】)

j.「【0088】これに対して、本実施例では、内圧モニタプログラムの別実施例として、エンジン11の停止後の温度と圧力とに基づいてエバポガスパージシステム系内のリークを判定する。以下に、図17に示すフローチャートを用いて、本実施例の内圧モニタプログラムについて説明する。まず、ステップS601では、内圧モニタプログラムの実行条件が成立するか否かを判定する。この実行条件としては、燃料温度が所定温度以上であることや外気温が所定温度以下であること等の条件でも良いし、走行履歴として、走行時間が所定時間以上であることやエンジン回転速度Neの積算値が所定値以上であること等の条件でも良い。このような内圧モニタプログラムを実行するための実行条件を満たさない場合には、そのまま本ルーチンを終了する。」 (段落【0088】)

k.上記a及びeからみて、刊行物2には、燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気管にパージするエバポパージシステムが記載されており、また、上記a及びdからみて、当該エバポパージシステムは、漏れ(リーク)の有無を診断する異常診断装置を備えるものであることもわかる。

l.上記fからみて、刊行物2には、内燃機関の運転中における漏れの有無を診断する異常診断に関して、エバポガスパージシステム内に負圧を導入し、密閉されたエバポガスパージシステム内の圧力に基づいて、エバポガスパージシステムの異常診断を行うものであることがわかり、また、上記gからみて、内燃機関の停止中においても漏れの有無という異常診断を行うものであること、及びa、b、hの記載からみて、内燃機関の運転中の異常診断と内燃機関の停止中の異常診断とを併用するものであることもわかる。

m.上記c、i及びjからみて、刊行物2に記載されたエバポガスパージシステムの異常診断装置は、「エンジン11の走行時の運転履歴として、ステップS500乃至ステップS503の条件と、タイマENDTimerが所定値T1以上である条件を満たすときは、走行時異常診断プログラムによってφ0.5仮異常の判定が実施されない場合でも、内圧モニタプログラムを実施する。」(段落【0085】)ものであり、当該「ENDTimer」は前回の内燃機関の運転時若しくは内燃機関の停止時に実行された異常診断の時点でリセットされる(S302)ものであるから、前回の異常診断からの内燃機関の運転継続時間である「タイマ値ENDTimer」という履歴に基づいて異常診断の実行可否を判断するものであることがわかる。また、図14及び上記iの段落【0080】の記載からみて、内燃機関の停止時に実行される異常診断(すなわち内圧モニタプログラムの実行)は、タイマENDTimerが所定値Tを超えたことを前提に、所定の運転状態での内燃機関の運転が継続したことを意味する「Trun」が所定期間(α1)を超えた場合、という内燃機関の走行履歴に基づいて、異常診断の実行可否を判断するものであることもわかる。
以上のことを考慮すると、刊行物2に記載されたエバポガスパージシステムの異常診断装置は、内燃機関の運転中の漏れを診断する異常診断の後の履歴である内燃機関の運転継続時間又は内燃機関の走行履歴に基づいて前記内燃機関の停止中のエバポパージシステムの異常診断の実行可否を判断する手段を有するものということができる。

n.以上のこと及び図面の記載から、刊行物2には次の発明が記載されているといえる。

「燃料タンク内の燃料が蒸発してエバポガスを内燃機関の吸気管にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンク18を含むエバポガスパージシステム内に所定の負圧を導入する負圧導入手段と、
前記エバポガスパージシステム内の圧力を検出するタンク内圧センサ27と、
内燃機関の運転中に前記エバポガスパージシステム内に所定の負圧を導入して、前記エバポガスパージシステム内を密閉した状態で前記エバポガスパージシステム内の圧力に基づいて前記エバポガスパージシステムの漏れを診断する走行時診断手段と、内燃機関の停止中に前記エバポガスパージシステム内を密閉した状態で前記エバポガスパージシステム内の圧力に基づいて前記エバポガスパージシステムの漏れを診断する停止時診断手段とを備え、
前記停止時異常診断手段は、内燃機関の運転中の漏れを診断する異常診断の後の履歴である内燃機関の運転継続時間又は内燃機関の走行履歴に基づいて前記内燃機関の停止中のエバポパージシステムの異常診断の実行可否を判断する手段を有するエバポパージシステムの異常診断装置。」(以下、「刊行物2に記載された発明」という。)

(2)本願補正発明と刊行物に記載された発明との対比
本願補正発明と刊行物2に記載された発明とを対比すると、刊行物2に記載された発明の備える「燃料タンク18」、「吸気管」、「エバポガスパージシステム」、「漏れを診断」及び「異常診断装置」は本願補正発明の備える「燃料タンク」、「吸気系」、「エバポ系」、「リークの有無を診断」及び「リーク診断装置」に相当し、また刊行物2に記載された発明の備える「エバポガスパージシステム」は本願補正発明の備える「エバポガスパージシステム」および「エバポ系」に、刊行物2に記載された発明の備える「走行時診断手段」及び「停止時診断手段」は本願補正発明の備える「リーク診断手段」に、各々相当するものであり、さらに、刊行物2に記載された発明の備える「内燃機関の運転中に前記エバポガスパージシステム内に所定の負圧を導入して」なることは、本願補正発明の備える「内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して」に包含される。
次に、刊行物2に記載された発明の備える「内燃機関の停止中に前記エバポガスパージシステム内を密閉した状態で前記エバポガスパージシステム内の圧力に基づいて前記エバポガスパージシステムの漏れの異常を診断する停止時診断手段」は、所定の圧力を導入するものであるかどうか明らかではないが、上記「内燃機関の停止中に前記エバポガスパージシステム内を密閉した状態で前記エバポガスパージシステム内の圧力に基づいて前記エバポガスパージシステムの漏れの異常を診断する」ものである限りにおいて本願補正発明の備える「内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する」「リーク判断手段」と共通し、また刊行物2に記載された発明の備える「停止時異常診断手段」が「内燃機関の運転中の漏れを診断する異常診断の後の履歴である内燃機関の走行履歴又は運転継続時間に基づいて前記内燃機関の停止中のエバポパージシステムの漏れの診断の実行可否を判断する手段を有する」なることは、「異常診断後」の「内燃機関の運転継続時間」が実質的に本願補正発明における「前回実行時からの ‥‥ 積算運転時間」に他ならないことに鑑みると、本願補正発明の備える「リーク診断手段」が「内燃機関運転中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段を有する」なることに包含される。

したがって、両者は次の一致点及び相違点を有するものである。

〈一致点〉
「燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、前記内燃機関運転中のリーク診断の実行履歴である、前回実行時からの積算運転時間に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。」

〈相違点〉
イ)本願補正発明における内燃機関の停止中のリーク判断が「内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する」ものであるのに対し、刊行物2に記載された発明における内燃機関の停止中の漏れの異常判断は「内燃機関の停止中に前記エバポガスパージシステム内を密閉した状態で前記エバポガスパージシステム内の圧力に基づいて前記エバポガスパージシステムの漏れの異常を診断する」ものであるが「所定の圧力を導入する」ものかどうか明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。

ロ)本願補正発明の備える「リーク診断手段」は「内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段」を有するものであるのに対し、刊行物2に記載された発明の備える停止時診断手段は、そのような手段を備えるものかどうか明らかではない点(以下、「相違点2」という。)。

ハ)本願補正発明において、内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断するのに使用される実行履歴は「前回実行時からの走行回数、積算走行距離又は積算運転時間」であるのに対し、刊行物2に記載された発明において内燃機関の停止中の異常診断の実行可否を判断するのに使用される実行履歴は「走行時診断手段若しくは停止時診断手段による漏れの異常診断実行後の履歴であるエンジンの走行履歴又は運転継続時間」である点(以下、「相違点3」という。)。

(3)当審の判断
イ)相違点1について
刊行物1に記載された発明の備える「内燃機関の停止中に前記パージ系内に所定の負圧を導入して前記パージ系内の漏れを診断する内燃機関の停止中の故障診断操作」なることは、本願補正発明の語を用いて記載すると「内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断」を行うことであり、内燃機関の運転中又は停止中にパージガス系の漏れ診断を実行するものである点、技術分野を同じくする上記刊行物1に記載された発明における内燃機関の停止中の漏れ診断手法を、上記刊行物2に記載された発明の同時期の漏れ診断手法として採用し、上記相違点1に係る本願補正発明のようにすることは、当業者にとり通常の創作力の範囲でなし得る程度のことにすぎない。

ロ)相違点2について
刊行物1に記載された発明は、蒸発燃料の圧力の影響が大きい状態、すなわち蒸発燃料の濃度が大きい場合に漏れ診断を行わないようにしたことを示すものであり、このことと、エバポガスパージシステムの異常診断技術において、蒸発燃料の多い時期には漏れ判定を行わないようにすること自体は、例えば原審において通知された拒絶理由において先行技術文献として提示した特開平11-336620号公報又は新たに提示する特開2000-186633号公報等に記載されているように本願の出願前に周知であったこと、及び、蒸発燃料が外部に漏れないようにすることはこの種のエバポパージガスシステムにおいて公害防止の観点からみて常識的な知見であること、を参酌すると、刊行物2に記載された発明の備える停止時診断手段について当該刊行物1に記載された発明の示すところに従い、上記相違点2に係る本願補正発明のようにすることは、当業者にとり、通常の創作力の範囲でなし得る程度のことにすぎない。

ハ)相違点3について
刊行物2に記載された発明は、「走行時診断手段若しくは停止時診断手段による異常診断実行後の履歴であるエンジンの走行履歴又は運転継続時間」に基づいて内燃機関の停止時の異常診断の実行可否を判定するようにしたことにより、「エンジン停止時にECU28を使用することによって消費される電力を低減するために、診断未経験タイマ40を用いて内圧モニタプログラムの実行頻度を規制した。これにより、エンジンが停止される毎に内圧モニタプログラムが起動されることを防止することができるので、エンジン停止時に消費する電力を低減することができる。」(刊行物2の段落【0069】)、及び「所定期間(所定値T1)を経過してもエバポガスパージシステム内の異常診断が実施されていない場合に、強制的に内圧モニタプログラムを実施することができる。」(同段落【0085】)、という、本願補正発明と同様の効果を奏するものであるから、刊行物2に記載された「エンジン履歴」又は「運転継続時間」について、内燃機関の稼動履歴を示すパラメータとして周知の「走行回数」又は「走行距離」等を適宜採用し、上記相違点3に係る本願補正発明のようにすることは、当業者にとり設計上適宜に決定する程度のことにすぎない(なお、車両の走行距離の積算値を考慮して,蒸発燃料処理系の異常判定の実行可否を判断することは、特開平10-37815号公報にも開示されている。)。

また、本願補正発明を全体としてみても、刊行物2に記載された発明及び刊行物1に記載された発明と比べ、顕著な効果が生じたものとも認められない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、刊行物2に記載された発明及び刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

[3]本願発明について

1.本願発明
平成20年10月27日付け手続補正書による明細書の補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし6に係る発明は、平成20年3月10日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、上記[2]〔理由〕1(a)に摘記したとおりの事項により特定されるものであり、そのうち請求項3に係る発明は以下のとおりである(以下、「本願発明」という。)。

「【請求項3】 燃料タンク内の燃料が蒸発して生じたエバポガスを内燃機関の吸気系にパージするエバポガスパージシステムにおいて、
前記燃料タンクを含むエバポ系内に所定の圧力を導入する圧力導入手段と、
前記エバポ系内の圧力を検出する圧力検出手段と、
内燃機関の運転中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関運転中のリーク診断と、内燃機関の停止中に前記エバポ系内に所定の圧力を導入して前記エバポ系を密閉した状態で前記エバポ系内の圧力に基づいて前記エバポ系のリークの有無を診断する内燃機関停止中のリーク診断とを行うリーク診断手段とを備え、
前記リーク診断手段は、内燃機関の停止中に前記エバポ系内のエバポガス濃度が高い場合に、前記内燃機関停止中のリーク診断を禁止する手段と、前記内燃機関運転中のリーク診断の実行履歴に基づいて前記内燃機関停止中のリーク診断の実行可否を判断する手段とを有することを特徴とするエバポガスパージシステムのリーク診断装置。」

2.刊行物に記載された発明
刊行物1及び刊行物2には、上記[2]〔理由〕3(1)ア)及びイ)のとおりの発明が記載されている。

3.対比、判断
本願補正発明は本願発明をさらに限定するものであって、本願発明は上記相違点3に相当する事項がないものに相当する。
そうすると、本願発明と刊行物2に記載された発明との相違は上記相違点1及び相違点2の2点のみであり、本願補正発明が上記のとおり刊行物2に記載された発明及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物2に記載された発明及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2010-02-15 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-01 
出願番号 特願2003-87746(P2003-87746)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02M)
P 1 8・ 575- Z (F02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 信平水野 治彦  
特許庁審判長 早野 公惠
特許庁審判官 加藤 友也
鈴木 貴雄
発明の名称 エバポガスパージシステムのリーク診断装置  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 加藤 大登  
代理人 永井 聡  
代理人 伊藤 高順  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ