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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1215181
審判番号 不服2008-30781  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-04 
確定日 2010-04-15 
事件の表示 特願2004-233784「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 51117〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第一、手続きの経緯
本願は、平成16年8月10日の出願であって、平成20年7月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年9月10日付けで手続補正がなされ、同年10月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月4日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年同月24日付け手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の一部が補正されたものである。
なお、当審において、平成21年10月2日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、同年11月24日に回答書が提出されている。

第二、平成20年12月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年12月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正前・後の本願発明
補正前(平成20年9月10日付け手続補正による補正)の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
略円形状に湾曲形成された案内レールを遊技盤に配設して、この案内レールにより略円形状の遊技領域を遊技盤に画成した遊技機において、
前記遊技領域の中央位置に配置され、前記遊技盤の遊技盤面から該遊技領域側に突出させて設けられるセンター役物と、
前記センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する円弧状に形成された上端部に、前記遊技盤面に臨むように設けられた収容部と、
前記収容部に、前記センター役物の上端部の円弧形状に倣うように配設され、前記遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する発光手段とを備える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記発光手段は、前記センター役物の上端部に上方に開口するよう開設された前記収容部の底部に配設された基板に配設された発光体と、この発光体の前側に配置されて該発光体の光を遊技盤面側へ反射する反射板と、前記収容部の上方開口を閉成して前記センター役物の上端部上面をなす透光性部材とを備え、前記発光体の点灯時に、遊技盤面とは異なる方向へ照射された光を前記反射板が遊技盤面側に反射し得るよう構成した請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記センター役物の上端部は、前記遊技領域の上部を画成する前記案内レールの円弧形状に倣って円弧形状に形成される請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記センター役物には、前方を照明する第2の発光手段が配設される請求項1?3の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技盤面を照明する前記発光手段は、前記遊技領域の上部を画成する前記案内レールと前記センター役物の上端部との間を照明するよう構成した請求項1?4の何れか一項に記載の遊技機。」

また、補正後(平成20年12月24日付け手続補正による補正)の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
略円形状に湾曲形成された案内レールを遊技盤に配設して、この案内レールにより略円形状の遊技領域を遊技盤に画成した遊技機において、
前記遊技領域の中央位置に位置して前記遊技盤の遊技盤面から該遊技領域側に突出させて設けられ、上端部が前記遊技領域の上部を画成する前記案内レールの円弧形状に倣って円弧形状に形成されたセンター役物と、
前記センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する円弧状に形成された上端部に上方に開口するよう凹状に形成され、上方開口が前記遊技盤面に臨むように設けられた収容部と、
前記センター役物の上端部の円弧形状に倣うように湾曲させた状態で前記収容部の底部に設けられたフレキシブル基板の上面に配設されて、前記遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する複数の発光体と、これらの発光体の前側に位置して該収容部における前側の壁面に配置されて該発光体の光を遊技盤面側へ反射する反射板とを有する発光手段とを備え、
前記各発光体は、前記収容部の上方開口を閉成して前記センター役物における円弧形状の上端部上面を構成してパチンコ球を案内する透光性部材からの距離が一定になるように配設され、
前記発光手段は、前記発光体の点灯時に、遊技盤面とは異なる方向へ照射された光を前記反射板が遊技盤面側に反射し得るよう構成した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記センター役物には、前方を照明する第2の発光手段が配設される請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技盤面を照明する前記発光手段は、前記遊技領域の上部を画成する前記案内レールと前記センター役物の上端部との間を照明するよう構成した請求項1または2記載の遊技機。」

上記補正は、
イ)補正前の特許請求の範囲の請求項2及び3を削除して、請求項4及び5を順次繰り上げ、
ロ)補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「遊技盤面に臨むように設けられた収容部」を「上方に開口するよう凹状に形成され、上方開口が(前記)遊技盤面に臨むように設けられた収容部」と限定し、
ハ)同「発光手段」について、「センター役物の上端部の円弧形状に倣うように湾曲させた状態で(前記)収容部の底部に設けられたフレキシブル基板の上面に配設されて、(前記)遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する複数の発光体と、これらの発光体の前側に位置して該収容部における前側の壁面に配置されて該発光体の光を遊技盤面側へ反射する反射板とを有する発光手段とを備え、
前記各発光体は、前記収容部の上方開口を閉成して前記センター役物における円弧形状の上端部上面を構成してパチンコ球を案内する透光性部材からの距離が一定になるように配設され、
前記発光手段は、前記発光体の点灯時に、遊技盤面とは異なる方向へ照射された光を前記反射板が遊技盤面側に反射し得るよう構成した」と限定するものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、及び同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(あ)刊行物に記載された発明
刊行物1;特開平10-216305号公報
刊行物ア;特開2001-259125号公報
(平成13年9月25日公開)
刊行物イ;実願平5-31264号(実開平6-83081号)の
CD-ROM

原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された、特開平10-216305号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には以下の記載がある。
(1-1)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、遊技盤面上の光装飾部分を限定することなく、且つ光装飾の効果を十分奏し得る弾球遊技機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明が採用した解決手段は、図3に示すように、遊技盤30を備えた弾球遊技機1において、遊技盤30の表面に横方向から光を照射する発光手段(装飾ランプ12・63)を備え、該装飾ランプ12・63からの発光を遊技者側に反射する光反射領域70を遊技盤30に設けたことを特徴とする。このように構成することにより、装飾ランプ12・63からの発光を光反射領域70を介して遊技者側に反射させることで、遊技盤30面上の光装飾効果を十分奏すことができる。・・・」、
(1-2)「【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、図1及び図3を参照して弾球遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、実施形態に係る弾球遊技機1の正面図であり、図3は、弾球遊技機1の横断面図である。・・・」、
(1-3)「【0016】次に、遊技盤30に設けられる各種構成部材について図2を参照して説明する。遊技盤30の表面には、発射された打玉を誘導するための誘導レール31がほぼ円状に植立され、該誘導レール31で区画された領域が遊技領域32を構成している。遊技領域32のほぼ中央には、後述する各特別図柄表示部54?56での識別情報(以下、特別図柄という)の可変表示(以下、変動ともいう)を可能にする特別可変表示装置50が配置されている。・・・
【0017】遊技領域32の下方部位には、取付基板36を介して遊技盤30に取り付けられた特別可変入賞球装置35が配置されている。・・・また、特別可変入賞球装置35の左右側方には、遊技盤30の表面に光を照射する発光装置42が設けられている。」、
(1-4)「【0019】遊技領域32の左右の側端部分には、発光装置42と同様に、遊技盤30の表面に光を照射する発光装置43が配置されている。・・・
【0020】次に、遊技領域32のほぼ中央に配置される特別可変表示装置50について説明する。特別可変表示装置50は、取付基板51を介して遊技盤30の表面に取り付けられている。・・・そして、外周に特別図柄が描かれた回転ドラムを左・中・右の各窓開口に対応して配置することで、左・中・右の各特別図柄表示部54?56が構成されている。・・・一方、特別図柄表示部54?56の上方には、入賞口58と飾りLED59とが設けられ、入賞口58の左右側方には、発光装置42・43と同様の発光装置60が設けられている。」、
(1-5)「【0022】次に、上記した発光装置43の構成について図3を参照して説明する。なお、発光装置42・60は、基本的に発光装置43と同一の構成であるため、その詳細な説明は省略する。発光装置43は、図3に示すように、遊技盤30の表面に取り付けられるランプ取付基体61と、該ランプ取付基体61に形成された取付ボス61aにビス止めされるランプ基板62と、を備えている。ランプ基板62には、植立するランプ取付ピン62aを介して装飾ランプ63が接続されており、これによって、装飾ランプ63は、ランプ基板62を介してランプ取付基体61の内部に取り付け収納されている。ランプ取付基体61は、遊技盤30の中心側と対向する部分に切欠開口61bが形成されており、ランプ取付基体61の内部には、その切欠開口61bを塞ぐように青色の透明レンズ体64が設けられている。また、このようなランプ取付基体61及び透明レンズ体64によって前面側が被覆された装飾ランプ63は、ランプ取付ピン62aが遊技盤30の中心側に若干折曲形成されることで切欠開口61bに向かって傾いた状態にある。これにより、装飾ランプ63からの発光は、透明レンズ体64を透過して遊技盤30の表面に青色照射されるようになっている。なお、発光装置43は、上記した切欠開口61b及び装飾ランプ63が上下2箇所に設けられることで、遊技盤30表面の上側部分と下側部分との2箇所に光照射を行うようになっている。発光装置42・60は、それぞれ装飾ランプ63を1個のみ備えることで、遊技盤30表面の1箇所に光照射を行う。
【0023】次に、遊技盤30の構成について図4(A)を参照して説明する。・・・光吸収印刷層74は、主に遊技領域32の全範囲に亘って設けられている。一方、光反射印刷層75は、発光装置42・43・60(装飾ランプ63)の光照射部分と対応する部位に円形状に設けられ、装飾ランプ63からの青色発光を遊技者側に装飾的に反射する光反射領域70として形成されている。なお、このような光反射領域70は、発光装置42・43・60の光照射部分と対応すべく、特別可変表示装置50の外周に沿った計8箇所に設けられている。・・・」、
(1-6)「【0031】・・・このように、大入賞口開放中及び特定入賞口入賞時には、装飾ランプ12・63が交互に点滅することで赤色と青色との光装飾が交互に行われる。一方、次回開放までの間及び確率変動中には、装飾ランプ12・63が同期的に点滅することで赤色と青色とが混ざり合った光装飾が行われる。
【0032】以上のように、本実施形態に係る弾球遊技機1は、遊技盤30の表面に横方向から光を照射する装飾ランプ12・63を備え、該装飾ランプ12・63からの発光を遊技者側に反射する光反射領域70を遊技盤30に設けた構成となっている。このため、装飾ランプ12・63からの発光(透明レンズ14及び透明レンズ体64を介した赤色及び青色の発光)を光反射領域70を介して遊技者側に反射させることができるので、遊技盤30面上の光装飾効果を十分奏すことができる。・・・
【0033】また、上記した装飾ランプ12・63及び光反射領域70による遊技盤30面上の光装飾は、リーチ1?3を含む各種遊技状態に応じて異なった態様で行われる。・・・具体的には、リーチ1・2の場合、装飾ランプ12の点滅によって赤色の光装飾が行われるが、これに対してスーパーリーチをなす(大当り信頼度が高い)リーチ3の場合、装飾ランプ63の点滅によって青色の光装飾が行われる。・・・
【0034】・・・また、発光手段(装飾ランプ12・63)及び光反射領域の配設箇所及び配設個数、又はその形状は、実施形態中に記載のものに限定しない。例えば、装飾ランプ12・63のいずれか一方のみを設けた構成としたり、遊技領域の全域を光反射領域として形成してもよい。・・・」。

(1-7)また、本発明の一実施形態における弾球遊技機を示す正面図である【図1】及び遊技盤を示す正面図である【図2】には、「上端部が上方に膨出する形状に形成される特別可変表示装置50」及び「2つの発光装置42及び2つの発光装置43並びに2つの発光装置60」並びに「特別可変表示装置50の上方、下方、左方及び右方位置の各々に2箇所ずつ設けられた、光反射領域70」が示されている。

したがって、これらの記載をまとめると、引用刊行物1には、
「遊技盤30の表面に横方向から光を照射する装飾ランプ63を備え、該装飾ランプ63からの発光を遊技盤30に設けた光反射領域70を介して遊技者側に反射させることで、遊技盤30面上の光装飾の効果を十分奏し得る弾球遊技機1において、
遊技盤30の表面には、発射された打玉を誘導するための誘導レール31がほぼ円状に植立され、該誘導レール31で区画された遊技領域32のほぼ中央には、各特別図柄表示部54?56での識別情報の可変表示を可能にする特別可変表示装置50が配置され、
前記遊技領域32の下方部位には、遊技盤30の表面に光を照射する発光装置42が左右側方に設けられている特別可変入賞球装置35が配置され、
前記遊技領域32の左右の側端部分には、遊技盤30の表面に光を照射する発光装置43が配置され、
前記特別可変表示装置50における、特別図柄表示部54?56の上方には、入賞口58が設けられ、該入賞口58の左右側方には発光装置60が設けられ、当該特別可変表示装置50は上端部が上方に膨出する形状に形成され、
発光装置42及び発光装置60は、基本的に発光装置43と同一の構成であり、
発光装置43は、遊技盤30の表面に取り付けられるランプ取付基体61とランプ基板62とを備え、装飾ランプ63は、ランプ基板62を介してランプ取付基体61の内部に取り付け収納され、遊技盤30の中心側と対向する部分に切欠開口61bが形成されているランプ取付基体61の内部には、その切欠開口61bを塞ぐように青色の透明レンズ体64が設けられ、ランプ取付基体61及び透明レンズ体64によって前面側が被覆された装飾ランプ63は、各種遊技状態に応じて点滅し、装飾ランプ63からの発光は、透明レンズ体64を透過して遊技盤30の表面に青色照射され、
前記発光装置43は、切欠開口61b及び装飾ランプ63が上下2箇所に設けられることで、遊技盤30表面の上側部分と下側部分との2箇所に光照射を行い、発光装置42及び発光装置60は、それぞれ装飾ランプ63を1個のみ備えることで、遊技盤30表面の1箇所に光照射を行い、
光反射領域70は、2つの発光装置42及び2つの発光装置43並びに2つの発光装置60の光照射部分と対応すべく、特別可変表示装置50の外周に沿った上方、下方、左方及び右方位置の各々に2箇所ずつ、計8箇所に設けられ、
装飾ランプ63及び光反射領域70の配設箇所及び配設個数は、当該記載のものに限定されない、弾球遊技機1。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

本願出願前に頒布された、特開2001-259125号公報(以下、「刊行物ア」という。)には、以下の記載がある。
(ア-1)「(57)【要約】
【課題】・・・
【解決手段】 曲面形状のレンズ部を有する装飾カバー体1と、多数の発光素子23が配置された光源回路基板20を設け、レンズ部6に光源回路基板の発光素子から発する光を照射するように構成された遊技機における電飾構造であって、その光源回路基板は、可撓性を有する薄い基板の表面にプリント配線処理が施されていると共に多数の発光素子が直接に配置されており、光源回路基板20を湾曲させてレンズ部6の曲面形状に沿ってほぼ一定の間隔を保持するように設け、光源回路基板20の発光素子23から発せられる光をレンズ部6に対して均一に照射するように構成した。」、
(ア-2)「【0002】
【従来の技術】・・・そして、レンズ部が曲面形状とされている場合には、その形状に発光ダイオード等を備えた回路基板をきちんと沿うように設置することができないため、電飾の明るさが部位により異なってレンズ部の全体を均一に明るく照射することは困難であった。そこで、発光ダイオード等を備えた回路基板を複数に分割し、これをレンズ部の曲面形状に合わせて配置するという構造が採られているものもあるが、複数の回路基板を使用しなければならないことから製造コストが高くならざるを得なかった。」、
(ア-3)「【0005】
【発明の作用及び効果】この発明に用いる光源回路基板は薄くて可撓性を有し適度に湾曲させることができ、装飾カバー体のレンズ部が曲面形状であってもその形状に沿ってほぼ一定の間隔を保持するように取り付けることができる。・・・」、
(ア-4)「【0008】図1において、1はパチンコ機の遊技盤の中央に配置されて様々な図柄や文字等の識別情報を表示する液晶表示ユニットの液晶部(図示せず)の周囲を飾るプラスチック製の装飾カバー体である。・・・
【0009】・・・この裏樋板10に上記装飾カバー体1を組み合わせた場合には、裏樋板10の円弧状壁片13の内面が前記レンズ部6の曲面形状に沿ってほぼ一定の間隔を保持されるように設ける。・・・
【0010】20は光源回路基板である。この光源回路基板20は、図4に示すように、薄くて可撓性を有する基板21の表面にプリント配線処理が施されていると共に、多数の発光素子23が2列に配置されていてその上から透光性樹脂によりモールド成形が施されている。・・・
【0011】上記光源回路基板20は、図2、図3に示すように、その突片22を前記裏樋板10の透孔12に挿入し、かつ、全体を湾曲させつつ前記円弧状壁片13の内面に密着させてその端部を前記係止突起14、14に当接させることにより、該円弧状壁片13にほぼ固定される。」、
(ア-5)「【0013】図2、図3に示すように、その裏樋枠30を上記裏樋板10に取り付けた状態においては、その顎状部31と前記円弧状壁片13とにより囲まれる空間s内に光源回路基板20が安定して収められるように設けられている。以上により、パチンコ機における電飾構造が構成される。
【0014】上述した遊技機たるパチンコ機における電飾構造によれば、光源回路基板20の多数の発光素子23は装飾カバー体1のレンズ部6に対して各々法線方向に配置されるので、それら発光素子23から発せられる光はレンズ部6を均一に照射することができる。その結果、液晶部の周囲が一様に明るくなって装飾効果が一層高められる。」。

本願出願前に頒布された、実願平5-31264号(実開平6-83081号)のCD-ROM(以下、「刊行物イ」という。)には、以下の記載がある。
(イ-1)「 【0009】
しかして、本考案では、基板部17の下部に横長箱状の照明カバー22を着脱自在に装着して表示ランプ16と一体に照明室23を形成し、該照明室23の内部に蛍光灯やネオン管等の照明灯24を設ける。」、
(イ-2)「【0011】
また、照明カバー22は透明な合成樹脂で形成し、その底面を除く内面に銀,アルミニウーム等を裏張りしたり、金属メッキにより光を良く反射する鏡面仕上げ34を施こす。
【0012】
なお、上記照明カバー22は、・・・図6に示すようにレンズ部材18a?18cの下部を延長して兼用させるようにしてもよく、この場合には底面を開口27させて照明灯24の光が下方へ直接に漏出するようにするか、或いは図示しないが開口27をレンズ部材で覆って光を効果的に拡散させるようにしてもよい。・・・
【0013】
従って、照明灯24の点灯に伴ないその光が表示ランプ16の下方から各パチンコ機13の前面に拡散して放たれて柔かく照明し、美しく斬新なムード照明が得られる。」。

(い)本願補正発明1と引用発明1との比較・検討
(い-1)引用発明1の「ほぼ円状に」は本願補正発明1の「略円形状に湾曲形成された」に相当し、以下同様に、「誘導レール31」は「案内レール」に、「遊技盤30」は「遊技盤」に、「植立され」は「配設して」に、「遊技領域32」は「略円形状の遊技領域」に、「区画」は「画成」に、「弾球遊技機1」は「遊技機」に、「特別可変表示装置50」は「センター役物」に、「ランプ取付基体61」は「(その)内部に装飾ランプ63は取り付け収納され」ているから「収容部」に、「ランプ基板62」は「基板」に、「特別可変表示装置50の外周に沿った上方位置」は「センター役物の上方位置」に、「遊技盤30表面」は「遊技盤面」に、「光照射を行い」は「照明する」に、「装飾ランプ63」は「発光体」に、「打玉」は「パチンコ球」に、「透明レンズ体64」は「透光性部材」に、それぞれ相当する。
(い-2)引用発明1の「特別可変表示装置50」は、「遊技領域32のほぼ中央に配置され」、「特別図柄表示部54?56の上方に、入賞口58が設けられ」るものであり、当該分野の技術常識である「遊技盤面を流下するパチンコ球が、遊技盤面から遊技領域側に突出させて設けられる役物に設けられた入賞口に入賞する」ことを考慮すれば、引用発明1は本願補正発明1の「遊技盤の遊技盤面から遊技領域側に突出させて設けられる、センター役物」に相当する事項を備えていることは明らかである。
(い-3)引用発明1の「遊技盤30の表面に取り付けられ、切欠開口61bが形成されているランプ取付基体61」について、「発光装置42及び発光装置60は、基本的に発光装置43と同一の構成で」あることに着目しつつ、検討する。
a)引用発明1においては、発光装置60に備えられる装飾ランプ63はランプ取付基体61の内部に取り付け収納され、ランプ取付基体61の切欠開口61bを塞ぐように青色の透明レンズ体64が設けられ、装飾ランプ63はランプ取付基体61及び透明レンズ体64によって前面側が被覆され、装飾ランプ63からの発光は透明レンズ体64を透過して遊技盤30の表面に青色照射されるものであるから、そうすると透明レンズ体64と遊技盤30の表面との間には装飾ランプ63からの発光を遮るものが存在しない、即ちランプ取付基体61及び透明レンズ体64は特別可変表示装置50の端部に形成されていると解することができる。したがって、引用発明1は、本願補正発明1の「センター役物において端部に開口するよう凹状に形成され、開口が遊技盤面に臨むように設けられた収容部」に相当する事項を備えているといえる。
b)引用発明1の「装飾ランプ63を1個のみ備えることで、遊技盤30表面の1箇所に光照射を行う、発光装置60」との事項及び「光反射領域70は、2つの発光装置42及び2つの発光装置43並びに2つの発光装置60の光照射部分と対応すべく、特別可変表示装置50の外周に沿った上方、下方、左方及び右方位置の各々に2箇所ずつ、計8箇所に設けられ」との事項について、各発光装置42,43,60と特別可変表示装置50との位置関係を考慮すれば、引用発明1では、「発光装置60に備えられる装飾ランプ63が、特別可変表示装置50の外周に沿った上方位置の2箇所に光照射を行う」ものであることは明らかである。
c)そうすると、上記a)及びb)に記載の事項並びに「特別可変表示装置50は上端部が上方に膨出する形状に形成され」との事項から、引用発明1は本願補正発明1の「センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する形状に形成された上端部に上方に開口するよう凹状に形成され、上方開口が遊技盤面に臨むように設けられた収容部」に相当する事項を備えているといえる。
(い-4)引用発明1の、「遊技盤30の表面に取り付けられるランプ取付基体61とランプ基板62とを備え、装飾ランプ63は、ランプ基板62を介してランプ取付基体61の内部に取り付け収納され」る、「発光装置43」及び「装飾ランプ63を1個のみ備えることで、遊技盤30表面の1箇所に光照射を行」なう「発光装置60」並びに入賞口58の側方に2つ設けられる「発光装置60」について、「発光装置60は、基本的に発光装置43と同一の構成で」あることに着目しつつ検討すると、引用発明1の「発光装置60に備えられる装飾ランプ63が、特別可変表示装置50の外周に沿った上方位置の2箇所に光照射を行う」ものであることは上記「(い-3) b)」に記載したとおり明らかであるから、引用発明1は本願補正発明1の「センター役物の上端部の円弧形状に倣うように湾曲させた状態で(前記)収容部の底部に設けられたフレキシブル基板の上面に配設されて、(前記)遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する複数の発光体と、これらの発光体の前側に位置して該収容部における前側の壁面に配置されて該発光体の光を遊技盤面側へ反射する反射板とを有する発光手段」との事項と比較して、「収容部に設けられた基板の上面に配設されて、(前記)遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する複数の発光体を有する発光手段」において一致する。
(い-5)上記「(い-3) c)」に記載したように、引用発明1は本願補正発明1の「センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する形状に形成された上端部に上方に開口するよう凹状に形成され、上方開口が遊技盤面に臨むように設けられた収容部」に相当する事項を備えているから、当該事項と引用発明1の「ランプ取付基体61の切欠開口61bを塞ぐように設けられる、青色の透明レンズ体64」との技術事項を併せれば、引用発明1は本願補正発明1の「収容部の上方開口を閉成して(前記)センター役物における上端部上面を構成する透光性部材」に相当する事項を備えているといえる。そこで、引用発明1と本願補正発明1の「(前記)各発光体は、(前記)収容部の上方開口を閉成して(前記)センター役物における円弧形状の上端部上面を構成してパチンコ球を案内する透光性部材からの距離が一定になるように配設され、」との事項とを比較すると、センター役物の上端部上面がパチンコ球を案内することは当該分野においては技術常識であるから、両者は「(前記)各発光体は、(前記)収容部の上方開口を閉成して(前記)センター役物における上端部上面を構成してパチンコ球を案内する透光性部材の近傍に配設され、」において一致する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
一致点
略円形状に湾曲形成された案内レールを遊技盤に配設して、この案内レールにより略円形状の遊技領域を遊技盤に画成した遊技機において、
前記遊技領域に位置して前記遊技盤の遊技盤面から該遊技領域側に突出させて設けられたセンター役物と、
前記センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する形状に形成された上端部に上方に開口するよう凹状に形成され、上方開口が前記遊技盤面に臨むように設けられた収容部と、
前記収容部に設けられた基板の上面に配設されて、前記遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する複数の発光体を有する発光手段とを備え、
前記各発光体は、前記収容部の上方開口を閉成して前記センター役物における上端部上面を構成してパチンコ球を案内する透光性部材の近傍に配設される、遊技機。

相違点1
センター役物が、本願補正発明1では遊技領域の中央位置に位置し、上端部が遊技領域の上部を画成する案内レールの円弧形状に倣って円弧形状に形成されるのに対し、引用発明1では遊技領域のほぼ中央に配置され、上方には入賞口が設けられ、上端部が上方に膨出する形状に形成される点。
相違点2
収容部に設けられた基板が、本願補正発明1では、センター役物の上端部の円弧形状に倣うように湾曲させた状態で前記収容部の底部に設けられたフレキシブル基板であるのに対し、引用発明1ではそのような構成を有するかどうか明らかでない点。
相違点3
発光手段は、本願補正発明1では、複数の発光体の前側に位置して収容部における前側の壁面に配置されて該発光体の光を遊技盤面側へ反射する反射板を有し、前記発光体の点灯時に、遊技盤面とは異なる方向へ照射された光を前記反射板が遊技盤面側に反射し得るよう構成したのに対し、引用発明1では、発光体の点灯時に遊技盤面を照明するものの反射板を有するかどうか不明である点。
相違点4
各発光体が、本願補正発明1では、円弧形状の透光性部材からの距離が一定になるように配設されるのに対し、引用発明1では透光性部材からの距離について記載されていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
センター役物の上端部の形状及び入賞口の有無、並びにセンター役物の遊技領域への取付け位置をどのようなものとするかは、遊技盤面の意匠的な審美観や遊技領域を流下するパチンコ球の誘導方向、入賞形態などを総合的に考慮して当業者が適宜採用し得る設計上の事項であるから、引用発明1の「遊技領域のほぼ中央に配置され、上方には入賞口が設けられ、上端部が上方に膨出する形状に形成されるセンター役物」に基づいて、当該相違点1に係る本願補正発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。
相違点2について
刊行物アには本願補正発明1における「センター役物(液晶表示ユニット)の略円弧形状に倣うように湾曲させた状態(円弧状壁片13の内面に密着させてほぼ固定される)で収容部(空間s)に設けられたフレキシブル基板(薄くて可撓性を有する基板21)」に対応する技術事項が記載されている。そして、フレキシブル基板を収容部のどこに設けるかは、組み立て時の作業性や点検・交換時の容易性などを考慮して当業者が適宜採用し得る設計上の事項であり、またセンター役物の上端部が円弧形状に形成されることは上記「相違点1について」において検討したように当業者が適宜採用し得る設計上の事項であるから、当該刊行物アに記載された技術事項を引用発明1の「基板」に適用して、当該相違点2に係る本願補正発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。
相違点3について
刊行物イには「発光体(照明灯24)の前側に位置して収容部(照明室23)における前側の壁面(底面を除く内面)に配置される反射板(鏡面仕上げ34された、上記内面)を有した、発光手段」が記載されている。ここで、当該反射板が「発光体の光を遊技盤面側(パチンコ機13の前面)へ反射する」こと、及び「発光体の点灯時に、遊技盤面とは異なる方向へ照射された光を前記反射板が遊技盤面側に反射し得るよう構成した」ことは技術常識から明らかである。そうすると、当該刊行物イに記載された技術事項と引用発明1の「発光手段」とは「遊技機における発光手段」において共通しているから、当該刊行物イに記載された技術事項を引用発明1の「発光手段」に適用して、当該相違点3に係る本願補正発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。
相違点4について
刊行物アにおいては、「多数の発光素子23が配置された光源回路基板20を設け」、「光源回路基板20を湾曲させてレンズ部6の曲面形状に沿ってほぼ一定の間隔を保持するように設け」、「円弧状壁片13の内面が前記レンズ部6の曲面形状に沿ってほぼ一定の間隔を保持されるように設け」られ、「光源回路基板20は、全体を湾曲させつつ前記円弧状壁片13の内面に密着させて、該円弧状壁片13にほぼ固定される」ものであり、上記「円弧状壁片13の内面が前記レンズ部6の曲面形状に沿ってほぼ一定の間隔を保持」との記載によれば「レンズ部6の曲面形状は円弧状」であるものと認められる。そうすると刊行物アには、「円弧形状の透光性部材からの距離がほぼ一定になるように配設される、複数の発光体」の技術事項が記載されているといえるから、当該刊行物アに記載された技術事項を引用発明1の「発光体」に適用して、当該相違点4に係る本願補正発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。

また、引用発明1は、「遊技盤面上の光装飾の効果を十分奏し得る」ものであるから、本願補正発明1が格別の効果を奏するものとは認められない。

したがって、本願補正発明1は、引用発明1、刊行物ア及びイに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(う)補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三、本願発明について
平成20年12月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1乃至5に係る発明は、上記平成20年9月10日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に記載された発明を再掲すると次のとおりのものである。
【請求項1】
略円形状に湾曲形成された案内レールを遊技盤に配設して、この案内レールにより略円形状の遊技領域を遊技盤に画成した遊技機において、
前記遊技領域の中央位置に配置され、前記遊技盤の遊技盤面から該遊技領域側に突出させて設けられるセンター役物と、
前記センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する円弧状に形成された上端部に、前記遊技盤面に臨むように設けられた収容部と、
前記収容部に、前記センター役物の上端部の円弧形状に倣うように配設され、前記遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する発光手段とを備える
ことを特徴とする遊技機。

(A)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由に引用された引用刊行物1(特開平10-216305号公報)に記載された事項は前記「第二、[理由](2)(あ)刊行物に記載された発明」に記載された事項と同様であるから、援用する。

(B)本願発明1と引用発明1との比較・検討
(B-1)引用発明1の「ほぼ円状に」は本願発明1の「略円形状に湾曲形成された」に相当し、以下同様に、「誘導レール31」は「案内レール」に、「遊技盤30」は「遊技盤」に、「植立され」は「配設して」に、「遊技領域32」は「略円形状の遊技領域」に、「区画」は「画成」に、「弾球遊技機1」は「遊技機」に、「特別可変表示装置50」は「センター役物」に、「ランプ取付基体61」は「(その)内部に装飾ランプ63は取り付け収納され」ているから「収容部」に、「特別可変表示装置50の外周に沿った上方位置」は「センター役物の上方位置」に、「遊技盤30表面」は「遊技盤面」に、「光照射を行い」は「照明する」に、それぞれ相当する。
(B-2)引用発明1の「特別可変表示装置50」は、「遊技領域32のほぼ中央に配置され」、「特別図柄表示部54?56の上方に、入賞口58が設けられ」るものであり、当該分野の技術常識である「遊技盤面を流下するパチンコ球が、遊技盤面から遊技領域側に突出させて設けられる役物に設けられた入賞口に入賞する」ことを考慮すれば、引用発明1は本願発明1の「遊技盤の遊技盤面から遊技領域側に突出させて設けられるセンター役物」に相当する事項を備えていることは明らかである。
(B-3)引用発明1の「遊技盤30の表面に取り付けられ、切欠開口61bが形成されているランプ取付基体61」について、「発光装置42及び発光装置60は、基本的に発光装置43と同一の構成で」あることに着目しつつ、検討する。
a)引用発明1においては、発光装置60に備えられる装飾ランプ63はランプ取付基体61の内部に取り付け収納され、ランプ取付基体61の切欠開口61bを塞ぐように青色の透明レンズ体64が設けられ、装飾ランプ63はランプ取付基体61及び透明レンズ体64によって前面側が被覆され、装飾ランプ63からの発光は透明レンズ体64を透過して遊技盤30の表面に青色照射されるものであるから、そうすると透明レンズ体64と遊技盤30の表面との間には装飾ランプ63からの発光を遮るものが存在しない、即ちランプ取付基体61及び透明レンズ体64は特別可変表示装置50の端部に形成されていると解することができる。したがって、引用発明1は、本願発明1の「センター役物において端部に、遊技盤面に臨むように設けられた収容部」に相当する事項を備えているといえる。
b)引用発明1の「装飾ランプ63を1個のみ備えることで、遊技盤30表面の1箇所に光照射を行う、発光装置60」との事項及び「光反射領域70は、2つの発光装置42及び2つの発光装置43並びに2つの発光装置60の光照射部分と対応すべく、特別可変表示装置50の外周に沿った上方、下方、左方及び右方位置の各々に2箇所ずつ、計8箇所に設けられ」との事項について、各発光装置42,43,60と特別可変表示装置50との位置関係を考慮すれば、引用発明1では、「発光装置60に備えられる装飾ランプ63が、特別可変表示装置50の外周に沿った上方位置の2箇所に光照射を行う」ものであることは明らかである。
c)そうすると、上記a)及びb)に記載の事項並びに「特別可変表示装置50は上端部が上方に膨出する形状に形成され」との事項から、引用発明1は本願発明1の「センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する形状に形成された上端部に、遊技盤面に臨むように設けられた収容部」に相当する事項を備えているといえる。
(B-4)引用発明1の、「遊技盤30の表面に取り付けられるランプ取付基体61とランプ基板62とを備え、装飾ランプ63は、ランプ基板62を介してランプ取付基体61の内部に取り付け収納され」る、「発光装置43」及び「装飾ランプ63を1個のみ備えることで、遊技盤30表面の1箇所に光照射を行」なう「発光装置60」並びに入賞口58の側方に2つ設けられる「発光装置60」について、「発光装置60は、基本的に発光装置43と同一の構成で」あることに着目しつつ検討すると、引用発明1の「発光装置60に備えられる装飾ランプ63が、特別可変表示装置50の外周に沿った上方位置の2箇所に光照射を行う」ものであることは上記「(B-3) b)」に記載したとおり明らかであるから、引用発明1は本願発明1の「(前記)収容部に、(前記)センター役物の上端部の円弧形状に倣うように配設され、(前記)遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する発光手段とを備える」との事項と比較して、「(前記)収容部に配設され、(前記)遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する発光手段とを備える」において一致する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
一致点
略円形状に湾曲形成された案内レールを遊技盤に配設して、この案内レールにより略円形状の遊技領域を遊技盤に画成した遊技機において、
前記遊技領域に配置され、前記遊技盤の遊技盤面から該遊技領域側に突出させて設けられるセンター役物と、
前記センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する形状に形成された上端部に、前記遊技盤面に臨むように設けられた収容部と、
前記収容部に配設され、前記遊技領域内の該センター役物の上方位置における遊技盤面を照明する発光手段とを備える、遊技機。

相違点a
センター役物が、本願発明1では遊技領域の中央位置に配置され、上端部が円弧形状に形成されるのに対し、引用発明1では遊技領域のほぼ中央に配置され、上方には入賞口が設けられ、上端部が上方に膨出する形状に形成される点。
相違点b
収容部に配設される発光手段が、本願発明1では、センター役物の上端部の円弧形状に倣うように配設されるのに対し、引用発明1ではそのような構成を有するかどうか明らかでない点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点aについて
センター役物の上端部の形状及び入賞口の有無、並びにセンター役物の遊技領域への取付け位置をどのようなものとするかは、遊技盤面の意匠的な審美観や遊技領域を流下するパチンコ球の誘導方向、入賞形態などを総合的に考慮して当業者が適宜採用し得る設計上の事項であるから、引用発明1の「遊技領域のほぼ中央に配置され、上方には入賞口が設けられ、上端部が上方に膨出する形状に形成されるセンター役物」に基づいて、当該相違点aに係る本願発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。

相違点bについて
上記「(B-3) c)」に記載のように、引用発明1は「センター役物において左右方向の中心位置が上方に膨出する形状に形成された上端部に設けられた収容部」を備えており、また上記「(B-4)」に記載のように、該「収容部」には「発光手段」が配設されているから、これらの事項と、上記「相違点1について」において検討した、「センター役物の上端部が円弧形状に形成されることは当業者が適宜採用し得る設計上の事項である」ことを併せ考えれば、センター役物の上端部の円弧形状に倣うように発光手段を配設すること、即ち当該相違点bに係る本願発明1を特定する事項とすることは、引用発明1に基づいて、当業者が容易になし得ることである。

また、引用発明1は、「遊技盤面上の光装飾の効果を十分奏し得る」ものであるから、本願発明1が格別の効果を奏するものとは認められない。

第四、むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2010-02-12 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-03 
出願番号 特願2004-233784(P2004-233784)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小河 俊弥  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 池谷 香次郎
川島 陵司
発明の名称 遊技機  
代理人 山田 健司  
代理人 山本 喜幾  
代理人 多賀 久直  

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