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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1215291
審判番号 不服2009-4191  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-26 
確定日 2010-04-22 
事件の表示 特願2003-426018「コンベヤ設備」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月 7日出願公開、特開2005-179038〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成15年12月24日に出願されたものであって、平成20年9月2日付けの拒絶理由通知に対して同年11月10日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成21年1月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年2月26日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年3月26日付けの手続補正書によって審判請求書の請求の理由を補正するとともに同日付けの手続補正書によって明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされ、その後、当審における同年11月9日付けの書面による審尋に対して同年12月17日付けで回答書が提出されたものである。
そして、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成21年3月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「平面上に平行に対向して配置された一対の回転自在な回転部材と、これら回転部材間に張設された無端ベルトを備え、前記無端ベルトを駆動することによりこの無端ベルト上に配置された物品を搬送するコンベヤ設備であって、
前記物品の搬送方向を長手方向とする水平状の上部横板部と、前記上部横板部の短手方向における両端部からそれぞれ下方へ直角状に折曲された一対の縦板部と、前記各縦板部の下部から外方へそれぞれ直角状に折曲され、所定間隔おきに、挿通孔が形成されている一対の下部横板部とを有する本体フレームと、
前記本体フレームの一対の下部横板部に前記挿通孔を使用して連結され、前記無端ベルトを駆動する回転駆動用輪体が設けられた駆動部フレームと、
前記上部横板部の長手方向における両端部に設けられ、前記回転部材をそれぞれ回転自在に支持する一対のエンドユニットと
を備え、
前記物品の搬送方向へ移動する前記無端ベルトを前記上部横板部の上部に位置させ、前記物品の搬送方向と逆方向へ移動する前記無端ベルトを前記上部横板部の下方且つ前記一対の縦板部の内方に位置させるとともに、前記無端ベルトの短手方向の幅を、前記上部横板部の短手方向の幅より僅かに短く形成し、前記一対の縦板部により前記物品の搬送方向と逆方向へ移動する前記無端ベルトをガイドすること
を特徴とするコンベヤ設備。」

2.本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の(すなわち、平成20年11月10日付けで提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1、2及び4を削除するとともに本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項3を新たな請求項1としたものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除に該当するものと認められる。

3.原査定の拒絶の理由に引用された実願昭57-39826号(実開昭58-144524号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)
3-1.引用文献に記載された事項
引用文献には、次の事項が第1ないし5図とともに記載されている。
(ア)「〔考案の実施例〕
次に、本考案を図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
第1図及び第2図は小形のベルトコンベヤを示すもので、図において、(1)はフレーム、(2)はフレーム(1)の両端両側部に取付けられた軸支体、(3)はフレーム(1)の両端において両側の軸支体(2)間に回動自在に軸支されたエンドローラ、(4)はフレーム(1)の一端下部に支持されたベルト駆動機構、(5)は上記両端のエンドローラ(3)及び一端下部のベルト駆動機構(4)に巻回された無端状のベルト、(6)はフレーム(1)の略中央部に設けられた脚体である。
上記フレーム(1)は、アルミ材料を押出成形することによつて一体成形されており、第3図及び第4図に示すように、細長板状のベルト支持部(11)の巾方向両側下部にベルト支持部(11)の全長に渡つて取付部(12)を形成し、この取付部(12)の全長に渡つて下部を開口しかつ取付部(12)の長さ方向両端部に開口した溝部(13)を形成し、この溝部(13)の下部の開口の巾方向両側部に溝部(13)の全長に渡つて係止縁部(14)を形成した形状である。
上記軸支体(2)は、第4図に示すように、上記フレーム(1)の取付部(12)と略同じ巾に形成され、その上部の巾方向には軸支孔(21)が穿設されているとともに、その下部には突起部(22)が軸支孔(21)と交叉する方向に突設され、この突起部(22)には軸支孔(21)と交叉する方向に雌ねじ孔(23)が穿設されている。
そして、この軸支体(2)の軸支孔(21)で上記エンドローラ(3)の両端軸部が支持されており、また、この軸支体(2)は、第5図に示すように、突起部(22)を上記フレーム(1)の溝部(13)の端部に挿入嵌着するとともに、雄ねじ(24)を突起部(22)の雌ねじ孔(23)に螺合締着することにより、フレーム(1)に固定されている。
上記ベルト駆動機構(4)は、第5図にも示すように、両側1対の側枠(41)の下部間に、大径の駆動プーリ(42)を軸受(43)を介して回動自在に軸架するとともに、図示しない駆動モータを取付け、この駆動プーリ(42)の軸と駆動モータの軸を側枠(41)の外側において大小1対のスプロケツトホイル(44)(45)及び無端チエン(46)で連結し、さらに、駆動プーリ(42)の上方に位置して側枠(41)の上部間にテンシヨンプーリ(47)を回動自在にかつ第2図において左右方向に位置調節可能に軸架することにより構成されている。
そして、このベルト駆動機構(4)は、第4図及び第5図に示すように、その両側の側枠(41)の一端上部を、上記軸支体(2)を固定する際に、上記雄ねじ(24)によつて取付部(12)に取付けるとともに、他端上部を予めフレーム(1)の溝部(13)内に挿入しておいた雌ねじ体(48)に雄ねじ(49)で螺合締着してフレーム(1)に固定されている。」(明細書第5ページ下から3行目ないし同第9頁第3行)(なお、「第」の略字は、正字で置き換えている。)
(イ)「そのベルトコンベヤの使用にあたつては、脚体(6)の調節によりフレーム(1)を適宜の角度及び高さに設定し、制御スイツチ(50)を操作してベルト(5)を、その搬送部(5a)において、フレーム(1)の一端から他端にあるいは他端から一端に向かつて適宜の速度で回行し、ベルト(5)上に支持した被搬送物を搬送するものである。
このとき、ベルト(5)は、搬送部(5a)においてフレーム(1)のベルト支持部(11)に支持されているので、被搬送物の重量によりたわむことが全くなく、そして、復帰部(5b)においては、フレーム(1)の両取付部(12)の間を移動するので、ベルト(5)が保護されるとともに、作業者に対する危険も極めて少ない。」(明細書第10ページ下から2行目ないし同第11ページ第12行)

3-2.上記3-1.及び第1ないし5図から認定できること
(ウ)特に第3ないし5図から、「ベルト支持部11の短手方向における両端部からそれぞれ下方へ直角状に折曲された一対の縦板部」及び「前記各縦板部の下部に溝部13が形成され内方に突出した一対の取付部12」が認定できる。
(エ)特に第5図から、「ベルト5の短手方向の幅を、ベルト支持部11の短手方向の幅より短く形成した」ことが認定できる。
(オ)特に第5図から、「被搬送物の搬送方向と逆方向へ移動するベルト5をベルト支持部11の下方且つ一対の取付部12の内方に位置させる」ことが認定できる。
(カ)特に第5図から、「取付部12」の内側の「係止縁部14」と「ベルト5」の「復帰部5b」とはほぼ同じ高さとなっていることが認定できる。

3-3.引用発明
したがって、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「平面上に平行に対向して配置された一対の回転自在なエンドローラ3、3と、これらエンドローラ3、3間に張設されたベルト5を備え、前記ベルト5を駆動することによりこのベルト5上に配置された被搬送物を搬送するベルトコンベヤであって、
前記被搬送物の搬送方向を長手方向とする水平状のベルト支持部11と、前記ベルト支持部11の短手方向における両端部からそれぞれ下方へ直角状に折曲された一対の縦板部と、前記各縦板部の下部に溝部13が形成され内方に突出した一対の取付部12とを有するフレーム1と、
前記フレーム1の一対の取付部12に前記溝部13を使用して連結され、前記ベルト5を駆動する駆動プーリ42が設けられた側枠41と、
前記ベルト支持部11の長手方向における両端部に設けられ、前記エンドローラ3、3をそれぞれ回転自在に支持する一対の軸支体2、2と
を備え、
前記被搬送物の搬送方向へ移動する前記ベルト5を前記ベルト支持部11の上部に位置させ、前記被搬送物の搬送方向と逆方向へ移動する前記ベルト5を前記ベルト支持部11の下方且つ前記一対の取付部12の内方に位置させるとともに、前記ベルト5の短手方向の幅を、前記ベルト支持部11の短手方向の幅より短く形成した
ベルトコンベヤ。」

4.対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明における「エンドローラ3、3」は、その構造及び機能等からみて、本願発明における「回転部材」に相当し、以下、同様に「ベルト5」は「無端ベルト」に、「被搬送物」は「物品」に、「ベルトコンベヤ」は「コンベヤ設備」に、「ベルト支持部11」は「上部横板部」に、「フレーム1」は「本体フレーム」に、「駆動プーリ42」は「回転駆動用輪体」に、「側枠41」は「駆動部フレーム」に、「軸支体2、2」は「エンドユニット」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「前記各縦板部の下部に溝部13が形成され内方に突出した一対の取付部12」を有するは、「前記各縦板部の下部に取付部」を有するという限りにおいて、本願発明における「前記各縦板部の下部から外方へそれぞれ直角状に折曲され、所定間隔おきに、挿通孔が形成されている一対の下部横板部」を有するに相当し、引用発明における「前記ベルト5の短手方向の幅を、前記ベルト支持部11の短手方向の幅より短く形成した」は、「前記無端ベルトの短手方向の幅を、前記上部横板部の短手方向の幅より短く形成した」という限りにおいて、本願発明における「前記無端ベルトの短手方向の幅を、前記上部横板部の短手方向の幅より僅かに短く形成し、前記一対の縦板部により前記物品の搬送方向と逆方向へ移動する前記無端ベルトをガイドする」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明は、
「平面上に平行に対向して配置された一対の回転自在な回転部材と、これら回転部材間に張設された無端ベルトを備え、前記無端ベルトを駆動することによりこの無端ベルト上に配置された物品を搬送するコンベヤ設備であって、
前記物品の搬送方向を長手方向とする水平状の上部横板部と、前記上部横板部の短手方向における両端部からそれぞれ下方へ直角状に折曲された一対の縦板部と、前記各縦板部の下部に取付部を有する本体フレームと、
前記本体フレームに連結され、前記無端ベルトを駆動する回転駆動用輪体が設けられた駆動部フレームと、
前記上部横板部の長手方向における両端部に設けられ、前記回転部材をそれぞれ回転自在に支持する一対のエンドユニットと
を備え、
前記物品の搬送方向へ移動する前記無端ベルトを前記上部横板部の上部に位置させ、前記物品の搬送方向と逆方向へ移動する前記無端ベルトを前記上部横板部の下方且つ前記一対の縦板部の内方に位置させるとともに、前記無端ベルトの短手方向の幅を、前記上部横板部の短手方向の幅より短く形成した
コンベヤ設備。」
である点で一致し、次の(1)及び(2)の点で相違する。
(1)「前記各縦板部の下部に取付部を有する本体フレームと、前記本体フレームに連結され、前記無端ベルトを駆動する回転駆動用輪体が設けられた駆動部フレームと」が、本願発明においては、「前記各縦板部の下部から外方へそれぞれ直角状に折曲され、所定間隔おきに、挿通孔が形成されている一対の下部横板部とを有する本体フレームと、前記本体フレームの一対の下部横板部に前記挿通孔を使用して連結され、前記無端ベルトを駆動する回転駆動用輪体が設けられた駆動部フレームと」を備えているのに対して、引用発明においては、「前記各縦板部の下部に溝部13が形成され内方に突出した一対の取付部12とを有するフレーム1と、前記フレーム1の一対の取付部12に前記溝部13を使用して連結され、前記ベルト5を駆動する駆動プーリ42が設けられた側枠41と」を備えている点(以下、「相違点1」という。)。
(2)本願発明においては、「前記物品の搬送方向と逆方向へ移動する前記無端ベルトを前記上部横板部の下方且つ前記一対の縦板部の内方に位置させる」とともに「前記無端ベルトの短手方向の幅を、前記上部横板部の短手方向の幅より僅かに短く形成し、前記一対の縦板部により前記物品の搬送方向と逆方向へ移動する前記無端ベルトをガイドする」のに対して、引用発明においては、「前記被搬送物の搬送方向と逆方向へ移動する前記ベルト5を前記ベルト支持部11の下方且つ前記一対の取付部12の内方に位置させるとともに、前記ベルト5の短手方向の幅を、前記ベルト支持部11の短手方向の幅より短く形成し」てはいるものの、「前記ベルト5の短手方向の幅を、前記ベルト支持部11の短手方向の幅より僅かに短く形成した」か否かは不明である点(以下、「相違点2」という。)。

5.相違点1及び2についての判断
(1)相違点1について
引用発明においても本願発明と同様に、「フレーム1(本願発明における「本体フレーム2」)」に対する「側枠41(本願発明における「駆動部フレーム6」)」の固定位置の調整を行うようにしている点で、軌を一にしている。
しかも、本願発明における「本体フレーム2」に相当する「フレーム1」の所定部分に「所定間隔おきに、挿通孔が形成」され、「前記挿通孔を使用して」、本願発明における「駆動部フレーム6」に相当する「側枠41」を連結するようにすることは、周知の技術(以下、「周知技術1」という。必要であれば、1例として、特開2001-301943号公報を参照されたい。(なお、同公報の特に、図11の従来のコンベア及び図7(b)の「駆動機構207a」の設置のしかたを総合して参照されたい。))である。なお、「挿通孔」を形成する所定部分を本願発明における「本体フレーム2」に相当する「フレーム1」に対してどのように設けるかは、当業者が必要に応じて適宜選択可能な設計事項にすぎない。
してみれば、引用発明において、周知技術1を適用することにより、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到することができたことである。
(2)相違点2について
まず、無端ベルトの蛇行を抑制することは、コンベア設備に内在する課題である。そして、無端ベルトの蛇行を抑制すべく、適宜のガイドを適宜の位置に設けることは周知の技術(以下、「周知技術2」という。必要であれば、実願昭58-86498号(実開昭59-195116号)のマイクロフィルム、実願昭62-23775号(実開昭63-133513号)のマイクロフィルム、及び特開平4-272042号公報を参照されたい。)である。
そして、引用発明において、周知技術2を適用して、「一対の取付部12(の内側の「係止縁部14」)により被搬送物の搬送方向と逆方向へ移動するベルト5をガイドする」ようにし、それに伴い、「ベルト5の短手方向の幅を、ベルト支持部11の短手方向の幅より僅かに短く形成」することは、当業者が容易に想到することができたことである。
なお、「ベルト5」をガイドする部分を「一対の取付部12」とするか、「一対の縦板部」とするかは、設計事項にすぎない。

また、本願発明を全体としてみても、その有する作用効果は、引用発明並びに周知技術1及び2が有する作用効果を加え合わせた以上のものとはいえない。

6.まとめ
以上のように、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-02-22 
結審通知日 2010-02-23 
審決日 2010-03-08 
出願番号 特願2003-426018(P2003-426018)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 基樹  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 加藤 友也
志水 裕司
発明の名称 コンベヤ設備  
代理人 森本 義弘  
代理人 笹原 敏司  
代理人 原田 洋平  

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