• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16G
管理番号 1215292
審判番号 不服2009-4876  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-05 
確定日 2010-04-22 
事件の表示 特願2007-205168「高負荷伝動用Vベルト」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 2月26日出願公開、特開2009- 41608〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
【1】手続の経緯

本願は、平成19年8月7日の特許出願であって、平成21年1月28日(起案日)付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成21年3月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成21年4月3日付けで明細書及び特許請求の範囲に対する手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
その後、当審において、平成21年8月3日(起案日)付けで審尋がなされ、平成21年10月5日に審尋に対する回答書が提出されたものである。

【2】補正の却下の決定

[結論]
本件補正を却下する。

[理由]

1.本件補正の内容

本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に対し、以下のような補正を含むものである。なお、下線は、審判請求人が付した補正箇所である。

(1)本件補正前の請求項1(平成20年10月22日付け手続補正)
「【請求項1】
エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯と、
上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで係止固定された複数のブロックとを備え、
上記複数のブロックが、補強部材と、該補強部材におけるベルト幅方向の両側に樹脂によりそれぞれ形成され、プーリに接する接触面を有する接触部とをそれぞれ備えた高負荷伝動用Vベルトであって、
上記接触部は、上記プーリとの接触時の衝撃による破損が抑制されるように、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。」

(2)本件補正後の請求項1(平成21年4月3日付け手続補正)
「【請求項1】
エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯と、
上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで、該張力帯の内外面を挟み込むように係止固定された複数のブロックとを備え、
上記複数のブロックが、補強部材と、該補強部材におけるベルト幅方向の両側に上記張力帯の内外方に位置するように樹脂によりそれぞれ形成され、且つ、プーリに接する接触面をそれぞれ有する接触部と、をそれぞれ備えた高負荷伝動用Vベルトであって、
上記接触部は、上記プーリとの接触時の衝撃による破損が抑制されるように、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。」

2.補正の適否

上記補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0032】、【0037】、【0039】、及び図1の記載に基づき、本件補正前の「係止固定された」を「該張力帯の内外面を挟み込むように係止固定された」に限定し、同「樹脂によりそれぞれ形成され」を「上記張力帯の内外方に位置するように樹脂によりそれぞれ形成され」に限定し、「プーリに接する接触面を有する接触部」を「且つ、プーリに接する接触面をそれぞれ有する接触部」に限定して特定するものである。
すなわち、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものとして認めることができ、かつ、補正前の各請求項に記載した発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更することのない範囲内において行われたものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものである。
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであり、かつ、特許法第17条の2第3項に規定された新規事項追加禁止に違反するものではない。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.本願補正発明について

3-1.本願補正発明

本願補正発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記「【2】1.本件補正の内容」に示した本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。

3-2.引用刊行物とその記載事項

刊行物1:特開2003-194167号公報

[刊行物1]
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物1には、「背面テンションプーリ用エラストマー組成物、背面テンションプーリ及びベルト伝動装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0002】
【従来の技術】従来より、この種のベルト伝動装置に用いられるVベルトとして、上下面に多数のコグを有する平ベルトからなる左右1対の張力帯と、左右側部に嵌合溝を有する多数のブロックとからなり、各ブロックの左右の嵌合溝にそれぞれ張力帯を圧入して、各ブロックを各張力帯に対しそのコグによる凹凸関係を利用して噛合状態により係合固定してなる高負荷伝動用Vベルトは知られている(例えば特開2001?3994号、特開2000?120796号、実開平5?3692号の各公報参照)。」

(イ)「【0031】上記各ブロック17は、フェノール樹脂等の硬質樹脂層22中にそれよりも高い弾性率材料である軽量アルミニウム合金等の補強材23をブロック17の略中央部に位置するように埋め込んでなり、この補強材23は、各ブロック17と同様に略H字状のものに形成されている。このことで、ブロック17は、嵌合溝18の周囲部分(張力帯11との噛合い面)及び接触部21,21(駆動及び従動プーリ3,4のベルト溝7側面との摺動接触部分)を形成する硬質樹脂層22と、残りの部分を形成する補強材23とで構成されている。補強材23は、嵌合溝18の周囲部分と左右側面の接触部21,21とにおいてブロック17表面に顕れないようにしておけばよく、その他の部分ではブロック17表面に露出していてもよい。」

そうすると、上記記載事項及び図面(特に、図5)の記載からみて、上記刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「上下面に多数のコグを有する平ベルトからなる左右1対の張力帯と、
各ブロック17の左右の嵌合溝にそれぞれ張力帯を圧入して、各ブロック17を各張力帯に対しそのコグによる凹凸関係を利用して噛合状態により係合固定してなる多数のブロック17とからなり、
上記各ブロック17は、補強材23と、補強材23をブロック17の略中央部に位置するように埋め込んだ硬質樹脂層22により形成され、硬質樹脂層22により形成されたプーリのベルト溝7側面との接触部21,21を有する、高負荷伝動用Vベルト。」

3-3.発明の対比

本願補正発明と刊行物1発明を対比する。
刊行物1発明の「上下面に多数のコグを有する平ベルトからなる左右1対の張力帯」は、その機能からみて、実質的に、本願補正発明の「エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯」に相当し、以下同様に、「各ブロック17の左右の嵌合溝にそれぞれ張力帯を圧入して、各ブロック17を各張力帯に対しそのコグによる凹凸関係を利用して噛合状態により係合固定してなる多数のブロック17」は「上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで、該張力帯の内外面を挟み込むように係止固定された複数のブロック」に相当し、「上記各ブロック17は、補強材23と、補強材23をブロック17の略中央部に位置するように埋め込んだ硬質樹脂層22により形成され」は「上記複数のブロックが、補強部材と、該補強部材におけるベルト幅方向の両側に上記張力帯の内外方に位置するように樹脂によりそれぞれ形成され」に相当し、「硬質樹脂層22により形成されたプーリのベルト溝7側面との接触部21,21」は「プーリに接する接触面をそれぞれ有する接触部」に相当し、「高負荷伝動用Vベルト」は「高負荷伝動用Vベルト」に相当するものである。
したがって、本願補正発明の用語にならってまとめると、両者は、
「エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯と、上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで、該張力帯の内外面を挟み込むように係止固定された複数のブロックとを備え、上記複数のブロックが、補強部材と、該補強部材におけるベルト幅方向の両側に上記張力帯の内外方に位置するように樹脂によりそれぞれ形成され、且つ、プーリに接する接触面をそれぞれ有する接触部と、をそれぞれ備えた高負荷伝動用Vベルト。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明が、「上記接触部は、上記プーリとの接触時の衝撃による破損が抑制されるように、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されている」のに対し、刊行物1発明は、上記接触部の上記接触面に垂直な方向の厚みが明らかではない点。

3-4.当審の判断

(1)相違点1について
高負荷伝動用Vベルトのブロックは、その接触部を介してプーリとの間で動力の伝達を行うものであることから、当該接触部には、曲げ疲労性、耐摩耗性、耐熱性、剛性、耐衝撃性等の特性が求められることは技術常識として当業者であれば直ちに理解できることであり、その具体的な運転条件などに応じて上記特性に重み付けをして設計することは設計的事項にすぎない。そして、上記特性のうち耐衝撃性についてみると、高負荷伝動用Vベルトのブロックは、ベルト走行中にプーリから繰り返し衝撃を受けることが明らかであり(例えば、特開2005-36976号公報(以下、「周知例」という。)の段落【0031】にもその点の記載がある。)、上記ブロックの接触部の厚みを考慮することも必要に応じて当業者が行っている周知事項(上記周知例の接触部は「例えば厚みが0.1?0.5mm程度」(段落【0029】)と例示されている。)である。そうすると、上記に例示した特性の中から上記ブロックがプーリとの接触するときの衝撃に着目して、当該衝撃による破損が抑制されるようにプーリとの接触部の厚みを考慮することは、当業者に特段の創作能力を要することではない。
次に、上記相違点1における「上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されている」点について検討するに、本願の明細書には上記厚みの技術的意義について、以下のような記載がある。
「【0019】
仮に、接触部の厚みが1.0mmよりも小さく形成されている場合には、接触部の厚みが比較的小さく接触部の緩衝性が低いため、ブロックの耐衝撃性が比較的低く、ベルト走行中にブロックがプーリに出入りするときに生じる衝撃によってブロックの接触部が欠けやすい。さらに、ベルトの走行に伴って接触面が摩耗することにより接触部の厚みが減少して0.4mmよりも小さくなりやすい。接触部の厚みが0.4mmよりも小さくなった場合には、接触部の厚みが0.4mm以上である場合に対して接触部の緩衝性が急激に低下する傾向がある。その結果、接触部の耐衝撃性が著しく低下し、ブロックが接触部においてさらに欠けやすくなる。
【0020】
一方、仮に、接触部の厚みが1.8mmよりも大きく形成されている場合には、接触部の厚みが比較的大きく、補強部材と接触部との界面においてベルト走行中に生じる剪断応力が大きくなって接触部の許容応力を上回るため、接触部全体が補強部材から剥離してブロックが破損しやすい。
【0021】
これに対して、本発明の高負荷伝動用Vベルトは、接触面に垂直な方向における接触部の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されているため、補強部材と接触部との界面に生じる剪断応力が抑制されると共に、接触部の緩衝性が向上することによって接触面に加わる衝撃力が接触部によって低減されて接触部の耐衝撃性が高められる。そのことに加えて、走行に伴う接触面の摩耗によって接触部の厚みが減少したとしても、接触部が長期に亘って0.4mm以上の比較的大きい厚みで残るため、ブロックの耐衝撃性が著しく低下することが抑制される。したがって、補強部材と接触部との界面における剪断応力が抑制されると共に接触部の耐衝撃性が向上する。その結果、接触部が補強部材から剥離することが抑制され、且つ接触部の樹脂特性が低下することなくブロックが接触部において欠けることが抑制される。」(段落【0041】?【0043】にも同様の記載がある。)
また、本願の図面の図8から、「摺動部厚み(mm)」が0.8より大きな範囲で「Log(重錘落下回数)」が概ね横ばいになっていることが看取されるものの、その値が急激に変化したり、極大化するといった変化は見あたらない(なお、摺動部厚みが0.6mmより小さい範囲では実線で表記されたグラフが急激に下降しているが▲で示されたデータはそのようになっていない。)。
これらの記載からみて、「上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されている」点は、その上限値と下限値を境にして特性が急激に変化したり極大化するといった臨界的意義があるものではなく、当業者が高負荷伝動用Vベルトの運転条件などに応じてブロックの接触面に垂直な方向の厚みについて一応の適切な値の範囲を見いだしたものといわざるを得ない。さらに、上記適切な値の範囲は、樹脂の材質や弾性率などの物性にも依存するものと認められるところ、これらの特定もなされていないことから、上記接触面に垂直な方向の厚みを1.0mm以上且つ1.8mm以下としたことによって特定の条件下の高負荷伝動用Vベルトにおいて一定の効果を奏するとしても普遍的なものではなく、かつ、当業者が予測できないような効果でもない。したがって、刊行物1発明に上記周知事項を適用して上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたことである。
よって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の平成21年4月3日付けの手続補正書において、本願補正発明と刊行物1発明とは、Vベルトのブロックの接触部の厚みに着目しているかどうかという点で大きく相違していること、刊行物1発明のVベルトは従来と同じ構成のものであって特にVベルト側に創意工夫を凝らしたものではないことなどを主張するとともに、上記周知例は、ブロックの接触部の厚みには着目しているものの、本願補正発明とはあえて異なる厚みを規定していることから、本願補正発明の構成を意識的に除外しており、接触部の厚みをわざわざ0.1?0.5mmの厚みに設定するということは、摩耗や耐衝撃性を考慮せずに、軽量化などの他の理由によって接触部の厚みを決定していること(審判請求書の手続補正書の【本願発明が特許されるべき理由】の(3)の項参照)、などを主張して、本願は特許されるべき旨主張している。
確かに、上記周知例は、本願補正発明における接触部の厚みとは異なる厚みを例示しているが、高負荷伝動用Vベルトのブロックは、その接触部を介してプーリとの間で動力の伝達を行うものであることから、当該接触部には、曲げ疲労性、耐摩耗性、耐熱性、剛性、耐衝撃性等の特性が求められることは技術常識として当業者であれば直ちに理解できることであり、その具体的な運転条件などに応じて上記特性に重み付けをして設計することは設計的事項にすぎないことに照らせば、上記厚みが異なることのみをもって当業者が具体的な運転条件などに応じて適切な厚みの範囲を特定することに困難を要するという理由にはならない。さらに、審判請求人は、平成22年2月9日の面接において、減速用歯車列を有する乾式CVTユニットに関する資料を提出し、本願補正発明が当該CVTユニットのような形式の高負荷伝動用Vベルトの動力の伝達経路を切り換える際の衝撃に配慮したものであることを前提として、刊行物1発明との相違を主張したが、本願の明細書には具体的に記載されていない事項を前提とするものであり、採用の限りでない。
また、仮に、上記周知例が本願補正発明が特定した数値範囲を意識的に除外しているとしても、上記運転条件などに応じて当該数値範囲を変更することを阻害するような事情はなく、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下としたことに臨界的意義がないことは上記に説示したとおりである。
よって、審判請求人の主張は採用できない。

4.むすび

以上のとおり、本願補正発明、すなわち本件補正後の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本願補正発明、すなわち本件補正後の請求項1に係る発明は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

【3】本願発明について

1.本願発明

平成21年4月3日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年10月22日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認められる(以下、「本願発明」という。)。

「【請求項1】
エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯と、
上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで係止固定された複数のブロックとを備え、
上記複数のブロックが、補強部材と、該補強部材におけるベルト幅方向の両側に樹脂によりそれぞれ形成され、プーリに接する接触面を有する接触部とをそれぞれ備えた高負荷伝動用Vベルトであって、
上記接触部は、上記プーリとの接触時の衝撃による破損が抑制されるように、上記接触面に垂直な方向の厚みが1.0mm以上且つ1.8mm以下に形成されていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。」

2.引用刊行物とその記載事項

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物は次のとおりであり、その記載事項は、上記【2】3-2.のとおりである。

刊行物1:特開2003-194167号公報

3.対比・判断

本願発明は、上記【2】で検討した本願補正発明における発明特定事項における「該張力帯の内外面を挟み込むように係止固定された」を「係止固定された」と拡張し、「上記張力帯の内外方に位置するように樹脂によりそれぞれ形成され」を「樹脂によりそれぞれ形成され」と拡張し、「且つ、プーリに接する接触面をそれぞれ有する接触部」を「プーリに接する接触面を有する接触部」と拡張したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、審判請求時の手続補正によってさらに構成を限定した本願補正発明が、上記「【2】3-4.当審の判断」に示したとおり、刊行物1に記載された発明及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記のとおり構成を拡張した本願発明も実質的に同様の理由により、刊行物1に記載された発明及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願発明、すなわち、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。



 
審理終結日 2010-02-16 
結審通知日 2010-02-23 
審決日 2010-03-08 
出願番号 特願2007-205168(P2007-205168)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F16G)
P 1 8・ 121- Z (F16G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 広瀬 功次  
特許庁審判長 川上 益喜
特許庁審判官 藤村 聖子
山岸 利治
発明の名称 高負荷伝動用Vベルト  
代理人 今江 克実  
代理人 関 啓  
代理人 嶋田 高久  
代理人 竹内 祐二  
代理人 藤田 篤史  
代理人 杉浦 靖也  
代理人 竹内 宏  
代理人 前田 弘  
代理人 井関 勝守  
代理人 二宮 克也  
代理人 原田 智雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ