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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1215319
審判番号 不服2008-29438  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-19 
確定日 2010-04-23 
事件の表示 特願2003-405075「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月23日出願公開、特開2005-160811〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願は、平成15年12月3日の出願であって、平成20年4月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成20年6月20日付けで手続補正がされ、平成20年10月20日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成20年11月19日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がされたものである。

第2.平成20年11月19日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年11月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技球が通過可能な始動領域と、
図柄を表示可能な図柄表示装置と、
図柄表示装置上で図柄を変動させた後、確定停止させる図柄生成行程を行う図柄表示制御手段と、
前記始動領域を遊技球が通過する都度、前記図柄生成行程を直ちに開始させるか、開始が可能となるまで保留するかの判定を行う始動判定手段と、
前記始動判定手段が保留すると判定した場合には、当該判定の時系列順に保留記憶を1加える一方、前記図柄表示装置の図柄が変動開始されると、時系列順に先頭の保留記憶を1減じる保留記憶手段と、
保留記憶手段により保留された保留記憶の数を表示する保留記憶数表示装置と
を備えたパチンコ機であって、
保留表示体の表出により保留記憶の数を擬似表示する演出表示器からなる保留記憶数擬似表示装置と、
保留記憶手段で記憶された保留記憶数の増減に応じて保留記憶数擬似表示装置に表示される保留表示体の加減表示を行う第一の表示制御行程と、所定条件が成立すると、保留記憶数の増減とは独立して保留記憶数擬似表示装置に表示される保留表示体の加減表示を行う第二の表示制御行程とを実行する保留記憶数擬似表示制御手段と
を備えたことを特徴とするパチンコ機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

上記補正は、補正前の請求項1の「保留記憶の数を擬似表示する」に「保留表示体の表出により」との限定を付すものであり、同「保留記憶数擬似表示装置」に「演出表示器からなる」との限定を付すものであり、同「保留記憶数擬似表示装置の加減表示を行う」を「保留記憶数擬似表示装置に表示される保留表示体の加減表示を行う」と限定する(2箇所)ものであり、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献について
(1)引用文献記載の事項の認定
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-685号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・記載事項1
「手段1.遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、前記遊技状況検出手段による検出結果に基づく所定の契機の発生によって、識別情報の変動表示を開始させ、所定時間経過後に停止表示可能な可変表示装置と、前記識別情報が特定表示態様となって最終的に停止表示されることを必要条件に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機において、前記所定の契機の1回の発生によって、前記識別情報の変動停止表示を複数回行いうるようにしたことを特徴とする遊技機。」(段落【0009】)
・記載事項2
「手段3.手段1又は2において、前記識別情報の複数回の変動停止表示は、特別の条件が満たされたときに行われるものであることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、識別情報の複数回の変動停止表示に稀少価値が生じうる。」(段落【0013】)
・記載事項3
「手段30.手段25において、前記識別情報の複数回の変動停止表示を行うべき前記所定の契機の1回の発生があった場合、前記残り変動回数報知手段の報知態様を、前記複数回分増やすようにしたことを特徴とする遊技機。」(段落【0040】)
・記載事項4
「図1に示すように、パチンコ機1の遊技盤2には、作動口3及び大入賞口4が設けられている。作動口3は、遊技球5の通路を備えており、その通路入口には羽根6が開閉可能に支持されている。」(段落【0043】)
・記載事項5
「遊技盤2の中央部分には、可変表示装置としての特別図柄表示装置(以下、単に「表示装置」という)13が組込まれている。表示装置13は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部13aを備えており、ここに複数の図柄列が表示される。図2に示すように、本実施の形態では、これらの図柄列として左図柄列14、中図柄列15及び右図柄列16の3つの図柄列が表示されるが、それ以外の数の図柄列が表示されてもよい。」(段落【0045】)
・記載事項6
「図2に示すように、各図柄列14?16は、それぞれ複数個の図柄17A?17Hによって構成されている。各図柄17A?17Hは、それぞれ「1」?「8」の数字によって構成され、これらの数字は昇順に配列されている。なお、図柄17A?17Hの数は上記例に何ら限定されるものではなく、また、図柄の種類も数字図柄に限定されることなく、文字図柄や、絵図柄により構成されていてもよい。これらの図柄17A?17Hは、特別遊技図柄としての大当たり図柄、外れリーチ図柄及び外れ図柄のいずれかになり得る。もちろん、これらの間に外れ図柄にのみなりうる図柄を配置してもよい。」(段落【0046】)
・記載事項7
「図2(a)に示すように、特別図柄表示装置13の表示部13aでは、各図柄列14?16の図柄変動(回転変動)が、遊技球5の作動口3への入賞に基づいて開始させられる。また、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択され、これが停止図柄として設定される。停止図柄とは、各図柄列14?16が図柄変動を停止したときに有効枠に表示される図柄である。」(段落【0049】)
・記載事項8
「遊技球5の作動口3への入賞に基づいて各図柄列14?16の図柄変動が開始させられることはすでに説明したが、この変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、その分の変動表示は、原則として現在行われている変動表示の終了後に行われる。つまり、変動表示が待機(保留)される。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められている。本実施の形態では保留最大回数が4回に設定されているが、これに限られるものではない。」(段落【0054】)
・記載事項9
「図1に示すように、表示装置13において、表示部13aの上方には、遊技者に保留状態(記憶状態)を可視表示するための発光ダイオード(LED)からなる保留ランプ18a,18b,18c,18dが組み込まれている。保留ランプ18a?18dの数は、前述した保留最大回数と同じ(この場合4個)である。保留ランプ18a?18dは、原則として変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる。」(段落【0055】)
・記載事項10
「図3に示すように、図柄乱数バッファは、左・中・右の3つの外れ図柄乱数バッファ31,32,33と、左・中・右の3つの外れリーチ図柄乱数バッファ34,35,36とによって構成されている。図4に示すように、図柄乱数エリアは、5つの内部乱数エリア41(i)と、5つの外れリーチ乱数エリア42(i)と、5つの左外れ図柄乱数エリア43(i)と、5つの中外れ図柄乱数エリア44(i)と、5つの右外れ図柄乱数エリア45(i)とによって構成されている。iは、5つずつ存在する各図柄乱数エリアを区別するためのものであり、「0」、「1」、「2」、「3」、「4」の値をとる。iの各値は、保留されている変動表示の回数に対応している。また、図5に示すように、停止図柄エリアは、左・中・右の各停止図柄乱数エリア46,47,48によって構成されている。」(段落【0058】)
・記載事項11
「また、保留カウンタCHは変動表示の保留回数をカウントするためのものであり、「0」,「1」,「2」,「3」,「4」の値を順にとる。これらの値は、前述した図柄乱数エリア41(i)?45(i)の「(i)」に対応している。従って、CH=0は、保留されていない状態を意味する。」(段落【0060】)
・記載事項12
「加えて、本実施の形態では、ノーマル外れリーチ変動処理なるものが行われるようになっている。これは、作動口3に遊技球5が入賞しない場合であっても、特別の条件が満たされることにより、制御装置24が表示装置13での図柄17A?17Hの変動表示を行わせるものである。より詳しくは、制御装置24は、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTを獲得し、その獲得したノーマル外れリーチ変動回数RHCNTの分だけ、作動口3への遊技球5の入賞とは別に、いわば疑似的に表示装置13での図柄17A?17Hの変動表示を行うのである。図14(a)?(c)に示すように、ノーマル外れリーチ変動用乱数カウンタCHMZは、「00」?「99」までの値をとり、そのときどきのカウント値に基づいて、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTや、該リーチ変動処理に際しての停止図柄(RHZ1,RHZ2)が設定されるようになっている。なお、このノーマル外れリーチ変動に際しては、変動表示が所定の図柄の組み合わせ(「7」「8」「7」等の外れリーチ図柄)で停止されやすいように設定されている。」(段落【0065】)
・記載事項13
「当該「格納処理ルーチン」が開始されると、制御装置24は、ステップS10において、作動口用スイッチ21の検出結果に基づき、遊技球5が作動口3に入賞したか否かを判定する。そして、この判定条件が満たされていない場合には、その後の処理を一旦終了し、満たされている場合には、ステップS11において、保留カウンタCHの値が最大保留回数(この場合「4」)よりも小さいか否かを判定する。(段落【0073】)
・記載事項14
「保留カウンタCHの値が最大保留回数よりも小さい場合には、ステップS12において、保留カウンタCHに「1」を加算する。また、続くステップS13において、制御装置24は対応する保留ランプ(18aから18dのうちの1つ)を点灯させ、ステップS14へ移行する。一方、前記ステップS11の判定条件が満たされていない場合には、前述したステップS12以降の処理を行うことなくその後の処理を一旦終了する。従って、図柄変動表示は、4回までしか保留されず、それ以上の入賞があっても保留は記憶されない。」(段落【0074】)
・記載事項15
「このように、「格納処理ルーチン」においては、乱数カウンタCI,CO,CDL,CDC,CDRの値が各図柄乱数エリア41(i)?45(i)に格納される。なお、ステップS14?ステップS16では、例えばステップS12での更新後の保留カウンタCHの値が「3」であれば、内部乱数エリア41(i=3)、外れリーチ乱数エリア42(i=3)、左外れ図柄乱数エリア43(i=3)、中外れ図柄乱数エリア44(i=3)、右外れ図柄乱数エリア45(i=3)が、今回制御周期での格納場所となる。」(段落【0076】)
・記載事項16
「この「特別電動役物制御ルーチン」が開始されると、制御装置24はまずステップS20において、保留カウンタCHの値が「0」でないか否かを判定する。そして、否定判定された場合、つまり、保留カウンタCHの値が「0」の場合には、その後の処理を一旦終了する。これに対し、前記判定条件が満たされている(CH=1,2,3,4)場合には、ステップS30において、「i」を「0」に設定し、次のステップS40において保留カウンタCHが「i」と同一でないか否かを判定する。」(段落【0078】)
・記載事項17
「そして、この判定条件が満たされている場合(CH≠i)には、ステップS50において、内部乱数エリア41(i+1)、外れリーチ乱数エリア42(i+1)、外れ図柄乱数エリア43(i+1)?45(i+1)の各データを、1つ前のエリア41(i)?45(i)にそれぞれシフトする。次いで、ステップS60において、制御装置24は、「i」に「1」を加算し、ステップS40へ戻る。」(段落【0079】)
・記載事項18
「一方、ステップS40の判定条件が満たされない場合(CH=i)には、ステップS70へ移行し、保留ランプ18a?18dのうち前記保留カウンタCHに対応するものを消灯させる。また、次のステップS80において保留カウンタCHから「1」を減算する。」(段落【0080】)
・記載事項19
「次に、制御装置24は、ステップS90において、図柄の変動開始処理を実行する。詳しくは、図11の「変動開始処理ルーチン」に示すように、ステップS901において、内部乱数カウンタCIの値が大当たり値であるか否かを判定する。そして、内部乱数カウンタCIの値が大当たり値の場合には、ステップS902において、大当たり値に対応する大当たり図柄を停止図柄としてメモリに記憶し、ステップS905へ移行する。」(段落【0081】)
・記載事項20
「より詳しくは、図12の「ノーマル外れリーチ変動回数・停止図柄獲得処理ルーチン」に示すように、ステップS9081において、制御装置24は、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTを獲得する。この変動回数RHCNTの獲得に際しては、図14(a)に示すノーマル外れリーチ変動回数設定テーブルが参酌される。すなわち、今回が大当たり時であれば、現在のノーマル外れリーチ変動用乱数カウンタCRHZの値が「00」?「49」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「0」回が設定(獲得)される。この場合には、ノーマル外れリーチ変動は行われない。また、現在のノーマル外れリーチ変動用乱数カウンタCRHZの値が「50」?「59」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「1」回が設定される。この場合には、1回のノーマル外れリーチ変動が実行される。さらに、現在のノーマル外れリーチ変動用乱数カウンタCRHZの値が「60」?「99」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「2」回が設定される。この場合には、連続して2回のノーマル外れリーチ変動が実行される。」(段落【0086】)
・記載事項21
「また、今回が外れリーチ時であれば、現在のノーマル外れリーチ変動用乱数カウンタCRHZの値が「00」?「79」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「0」回が設定され、「80」?「94」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「1」回が設定され、「95」?「99」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「2」回が設定される。さらに、今回が外れ時であれば、現在のノーマル外れリーチ変動用乱数カウンタCRHZの値が「00」?「89」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「0」回が設定され、「90」?「96」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「1」回が設定され、「97」?「99」の範囲内にあるときには、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして「2」回が設定される。このように、大当たり時には、ノーマル外れリーチ変動が実行される可能性が高く、しかも2回のノーマル外れリーチ変動が実行される可能性が高くなる。」(段落【0087】)
・記載事項22
「上記のように、ステップS90(「変動開始処理ルーチン」)の処理を実行した後、制御装置24は、図9のステップS100において、ノーマル外れリーチ連続演出処理を実行する。詳しくは、図13の「ノーマル外れリーチ変動処理ルーチン」に示すように、ステップS1001において、制御装置24は、今回獲得したノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「0」回であるか否かを判定する。そして、肯定判定された場合には、何らの処理をも行うことなく、この「ノーマル外れリーチ変動処理ルーチン」を一旦終了する。また、ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「0」回でない場合には、実際にノーマル外れリーチ変動処理を行うべくステップS1002へ移行する。ステップS1002においては、今回獲得したノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「1」回であるか否かを判定する。そして、否定判定された場合には、今回獲得したノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「2」回であるものとして、ステップS1003において、外れリーチ第2停止図柄RHZ2(上記ステップS9083で獲得した図柄)で一旦図柄17A?17Hの変動を停止させる。なお、かかる図柄17A?17Hの変動開始から停止までの期間は、ノーマル外れリーチ変動を行わない通常のノーマルリーチ(外れリーチ時)の場合と同様(スーパーリーチ等の場合は除いてもよい)、例えば約8秒程度に設定される。そして、続くステップS1005において、現在のノーマル外れリーチ変動回数RHCNTから「1」を減算した値を、新たなノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして設定する。さらに続くステップS1006においては、図柄17A?17Hの再度の変動を開始させる。但し、このときには、対応する保留ランプ18a?18dの消灯は行われず、保留カウンタCHの減算も行われない。つまり、遊技球5の作動口3への入賞とは直接関係することなく、ステップS1006での変動が行われる。」(段落【0096】)
・記載事項23
「また、ステップS1002において、肯定判定された場合には、今回獲得したノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「1」回であるか、又は当初ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「2」回であった場合の2回目のノーマル外れリーチ変動処理を行う場合であるかのいずれかであるもの(つまり、あと1回のノーマル外れリーチ変動処理を行うもの)として、ステップS1004へ移行する。そして、ステップS1004において、制御装置24は、外れリーチ第1停止図柄RMZ1(上記ステップS9083又はステップS9085で獲得した図柄)で一旦図柄17A?17Hの変動を停止させる。なお、かかる図柄17A?17Hの変動開始から停止までの期間も、上記同様例えば約8秒程度に設定される。そして、続くステップS1005において、現在のノーマル外れリーチ変動回数RHCNTから「1」を減算した値を、新たなノーマル外れリーチ変動回数RHCNTとして設定する。従って、この場合には、新たなノーマル外れリーチ変動回数RHCNTは「0」となり、次回以降は、再度ノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「0」以外の回数が獲得されない限りステップS1001で肯定判定されることとなり、ノーマル外れリーチ変動処理は行われない。そして、続くステップS1006においては、図柄17A?17Hの再度の変動を開始させる。もちろん、このときにも、保留ランプ18a?18dの消灯、保留カウンタCHの減算は行われない。その後、ステップS1001で肯定判定されることにより、この「ノーマル外れリーチ変動処理ルーチン」を一旦終了する。」(段落【0097】)
・記載事項24
「さて、ノーマル外れリーチ変動処理を実行した後、制御装置24は、図9のステップS110において、左右両図柄列14,16(中図柄列15以外)における図柄17A?17Hを、停止図柄に差替える。この停止図柄というのは、前記ステップS902,S904,S906のいずれかの処理で記憶した図柄である。また、差替え後の図柄17A?17Hが左右両図柄列14,16にて表示されるよう図柄変動を停止させる。」(段落【0098】)
・記載事項25
「次に、ステップS120において、制御装置24は、リーチ動作処理を行う。」(段落【0099】)
・記載事項26
「上記のように、ステップS120(「リーチ動作処理ルーチン」)の処理を実行した後、制御装置24は、ステップS130において、中図柄列15での図柄変動を停止させる。」(段落【0100】)
・記載事項27
「さて、再変動処理を行った後、制御装置24は、次に、ステップS140において、図柄17A?17Hの組合せが大当たりの組合せであるか否かを判定する。・・・なお、このとき、制御装置24によって大当たり報知表示がなされる。」(段落【00102】)
・記載事項28
「以上詳述したように、本実施の形態によれば、獲得されたノーマル外れリーチ変動回数RHCNTが「1」回又は「2」回となることにより、その回数に応じた分だけ、遊技球5の作動口3への入賞とは別に表示装置13での図柄17A?17Hの変動表示が行われる。このため、作動口3に遊技球5が1つしか入賞しなかったとしても、2回以上変動表示が行われる場合も起こりうる。従って、遊技者は作動口3に遊技球5を入賞させることだけに集中する必要がなくなり、仮に作動口3に1つしか入賞しなかった場合であっても、2回目又は3回目の変動に際し大当たり状態の発生を期待しうる。そのため、遊技内容の面白味が一層増すこととなり、ひいては興趣の飛躍的な向上を図ることができる。」(段落【00107】)
・記載事項29
「加えて、本実施の形態では、ノーマル外れリーチ変動に際し、表示装置13での図柄17A?17Hの各変動表示時間は、通常のノーマルリーチ(外れリーチ時)の変動表示時間とほぼ同等に設定されている。従って、遊技者は、表示装置13を視認しているだけでは、当該変動表示が、通常の変動表示なのか、ノーマル外れリーチ変動表示なのを判別することが困難となる。このため、さらに面白味が増すとともに、場合によっては、保留状態とは別に変動表示が行われることにより、遊技者はその変動分だけ得をした気分になる。」(段落【0113】)
・記載事項30
「(j)上記実施の形態では、複数回の図柄の変動表示が行われている際には、一旦図柄が停止されても保留ランプ18a?18dの消灯を行わないこととしたが、図柄が一旦停止される毎に疑似的に保留ランプ18a?18d消灯させることとし、当該複数回の図柄の変動表示が終了した後に、現状に復帰させることとしてもよい。また、保留ランプ18a?18dの明度を徐変させることとしてもよい。さらに、複数回の図柄の変動表示が行われるべき入賞があった場合には、当該複数回分だけ、保留ランプ18a?18dを複数個点灯させることとしてもよい。」(段落【0126】)
・記載事項31
「(k)また、保留ランプ18a?18dを見せかけ用のランプとして、上記(j)のような点灯消灯を行うようにし、他方で、図16に示すように、記憶結果に応じて点灯消灯しうるランプ26a?26dを別途設けることとしてもよい。」(段落【0127】)

(2)引用文献記載の発明の認定
記載事項30の任意付加的(「してもよい」)構成である「複数回の図柄の変動表示が行われるべき入賞があった場合には、当該複数回分だけ、保留ランプ18a?18dを複数個点灯させる」及び記載事項31の任意付加的構成である「保留ランプ18a?18dを見せかけ用のランプとして、上記(j)のような点灯消灯を行うようにし、他方で、図16に示すように、記憶結果に応じて点灯消灯しうるランプ26a?26dを別途設ける」を採用した場合について、以下に引用文献記載の発明を認定する。
上記任意付加的構成を採用した場合、変動表示の保留毎に点灯され、変動表示の実行に伴い消灯させられるものは、「記憶結果に応じて点灯消灯しうるランプ26a?26d」であり、見せかけ用のランプとして、複数回の図柄の変動表示が行われるべき入賞があった場合に、当該複数回分だけ複数個点灯させるものは、「保留ランプ18a?18d」である。
そうすると、上記各記載事項を含む全記載及び図示によれば、引用文献には次の発明が記載されていると認められる。

「遊技球5の通路を備えた図柄変動を開始させる作動口3と、
図柄17A?17Hが表示される表示装置13と、
変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる保留ランプ26a?26dとを備え、
表示装置13の表示部13aでは、各図柄列14?16の図柄変動が、遊技球5の作動口3への入賞に基づいて開始させられ、各図柄列14?16が図柄変動を停止したときに図柄が有効枠に表示され、
遊技球5の作動口3への入賞に基づいて各図柄列14?16の図柄変動が開始させられるが、この変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、その分の変動表示は現在行われている変動表示の終了後に行われ、
遊技球5が作動口3に入賞したか否かの判定条件が満たされている場合に、保留カウンタCHに「1」を加算し、「特別電動役物制御ルーチン」が開始されると、保留カウンタCHから「1」を減算する、パチンコ機であって、
見せかけ用のランプとして、複数回の図柄の変動表示が行われるべき入賞があった場合に、当該複数回分だけ点灯を増やす保留ランプ18a?18dを備え、
複数回の図柄の変動表示は、特別の条件が満たされたときに行われるものである、パチンコ機。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「遊技球5の通路を備えた図柄変動を開始させる作動口3」は本願補正発明の「遊技球が通過可能な始動領域」に相当し、以下同様に「図柄17A?17Hが表示される表示装置13」は「図柄を表示可能な図柄表示装置」に、「変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる保留ランプ26a?26d」は「保留記憶手段により保留された保留記憶の数を表示する保留記憶数表示装置」に相当する。

そして、引用発明について、以下のことがいえる。
(1)「表示装置13の表示部13aでは、各図柄列14?16の図柄変動が、遊技球5の作動口3への入賞に基づいて開始させられ、各図柄列14?16が図柄変動を停止したときに図柄が有効枠に表示され、」について
「各図柄列14?16の図柄変動」が開始させられた後、図柄変動を停止したときに図柄が有効枠に表示されるということは、本願補正発明の「図柄表示装置上で図柄を変動させた後、確定停止させる図柄生成行程」に相当するものであり、このような行程の制御を行う図柄表示制御手段を図柄の変動表示を行う引用発明が有することは当然のことである。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「図柄表示装置上で図柄を変動させた後、確定停止させる図柄生成行程を行う図柄表示制御手段」に相当する構成を実質的に具備するものである。
(2)「遊技球5の作動口3への入賞に基づいて各図柄列14?16の図柄変動が開始させられるが、この変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、その分の変動表示は現在行われている変動表示の終了後に行われ、」について
引用発明は、作動口3へ遊技球5が入賞するとこれを契機に図柄変動を開始することを基本としているが、図柄の変動表示中に遊技球5が作動口3に入賞した場合には、既に変動表示が行われているため重複して変動表示を開始することは不可能であるため、現在行われている変動表示が終了するまで、また、既に保留がある場合にはその保留に対応した変動表示が終了するまで、変動表示の開始が保留されるものであることは自明である。これによれば、遊技球5の入賞の都度、図柄変動を直ちに開始させるか、開始が可能となるまで保留するかの判定を行っているということでき、引用発明はこの判定を行う手段を有することは明らかである。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「始動領域を遊技球が通過する都度、図柄生成行程を直ちに開始させるか、開始が可能となるまで保留するかの判定を行う始動判定手段」に相当する構成を実質的に具備するものである。
(3)「遊技球5が作動口3に入賞したか否かの判定条件が満たされている場合に、保留カウンタCHに「1」を加算し、「特別電動役物制御ルーチン」が開始されると、保留カウンタCHから「1」を減算する、」について
始動判定手段が保留すると判定した場合に保留が行われることは上記(2)で検討したとおりであり、その時には「保留カウンタCHに「1」を加算」(引用文献図8のS12)にあるように)するものである。そして、「特別電動役物制御ルーチン」が開始されると、変動表示を行う(引用文献図9のS90?S135)に先だって、保留カウンタCHから「1」を減算する(S80)ものである。
また、保留カウンタCHの増加に対応して、保留記憶に係る各種データが新たに保留データとして記憶される時には、それ以前に記憶されている保留データのエリアの後(iが大きい方)に追加するように記憶され、変動表示が開始される時には古い方の保留データ(i=0)に基づいて変動表示が行われると共に、順次、新しい記憶エリア(i=4)から古い記憶エリア(i=0)への方向でデータがシフトされるもの(引用文献図9のS50)であり、いわゆる先入れ先出し、FIFOと呼ばれる形式で保留データの記憶が行われることは、パチンコ機に関する技術常識及び上記記載事項10、11、15?18から明らかであって、これは「時系列順」に記憶するものということができる。
そうすると、引用発明は、そのような保留記憶を行うための手段を有することは当然であるから、本願補正発明の「始動判定手段が保留すると判定した場合には、当該判定の時系列順に保留記憶を1加える一方、図柄表示装置の図柄が変動開始されると、時系列順に先頭の保留記憶を1減じる保留記憶手段」に相当する構成を実質的に具備するものである。
(4)「見せかけ用のランプとして、複数回の図柄の変動表示が行われるべき入賞があった場合に、当該複数回分だけ点灯を増やす保留ランプ18a?18dを備え、複数回の図柄の変動表示は、特別の条件が満たされたときに行われるものである、」について
「保留ランプ18a?18d」は、本来は保留カウンタCHの値に応じて点灯されるもの(上記記載事項14参照)であって、任意付加的構成(上記記載事項30)として、特別の条件が満たされた場合に1回の入賞で複数回の図柄の変動表示を行うこととし、当該複数回分だけ点灯を増やして、「見せかけ用のランプ」として点灯消灯を行うようにしたものである。
そうすると、引用発明は、特別の条件が満たされない場合には、保留カウンタCHの増減に応じて保留ランプ18a?18dの点灯消灯を行って点灯しているランプの加減表示を行うものであり、そのような表示制御を行うものである。
ここで、本願補正発明の「独立して」は技術用語として必ずしも明確でなく、本願の発明の詳細な説明において「独立して」がどのような概念を意味するか定義はされていないが、広辞苑によれば、「独立」とは「単独で存在すること。他に束縛または支配されないこと。ひとりだち。」とされているから、「独立して」は「他に束縛または支配されずに」との意味に解すべきものと認められる。そうすると、引用発明は、特別の条件が成立した場合には1回の入賞で複数回(2回又は3回)の図柄の変動表示を行うものであり、すなわち、保留記憶カウンタCHの増加数が保留ランプ18a?18dの点灯数を決定するものではなく、保留記憶カウンタCHの増加数が保留ランプ18a?18dの点灯数を束縛するものでないということができるから、引用発明は、保留カウンタCHの増加とは独立して保留ランプ18a?18dの点灯を増加させるものということができ、当該ランプの点灯を増加する表示の制御を行うものである。
更に、「保留ランプ18a?18d」は、「見せかけ用のランプ」として保留記憶数を実際の保留記憶数である保留カウンタCHの値より多く見せかけるもので、本物とよく似た表示を行うものであるから、「保留記憶の数を疑似表示する演出表示体」ということができ、引用発明は、本願補正発明の「保留記憶の数を疑似表示する演出表示体からなる保留記憶数疑似表示装置」に相当する構成を実質的に具備するということができる。
そして、特別の条件が満たされない時の表示制御行程と満たされる時の表示制御工程を区別するため、それぞれを「第1の表示制御工程」及び「第2の表示制御工程」とすることは人為的決め事であり、引用発明は、両工程のような表示制御を行う以上、当該表示制御を行う手段を当然有するものであって、これを「保留記憶数疑似表示制御手段」ということができる。また、「特別の条件が満たされる場合」は「所定の条件が成立すると」といいかえることができ、「所定の条件が成立」した時に引用発明では「増加表示」するのに対し本願補正発明では「加減表示」する点で相違するが、少なくとも「増加表示」する点では共通している。そうすると、引用発明と本願補正発明は、「保留記憶手段で記憶された保留記憶数の増減に応じて保留記憶数擬似表示装置の加減表示を行う第一の表示制御行程と、所定条件が成立すると、保留記憶数の増加とは独立して保留記憶数擬似表示装置の増加表示を行う第二の表示制御行程とを実行する保留記憶数擬似表示制御手段」を有する点で共通している。

以上により、本願補正発明と引用発明は、
「遊技球が通過可能な始動領域と、
図柄を表示可能な図柄表示装置と、
図柄表示装置上で図柄を変動させた後、確定停止させる図柄生成行程を行う図柄表示制御手段と、
始動領域を遊技球が通過する都度、図柄生成行程を直ちに開始させるか、開始が可能となるまで保留するかの判定を行う始動判定手段と、
始動判定手段が保留すると判定した場合には、当該判定の時系列順に保留記憶を1加える一方、図柄表示装置の図柄が変動開始されると、時系列順に先頭の保留記憶を1減じる保留記憶手段と、
保留記憶手段により保留された保留記憶の数を表示する保留記憶数表示装置と
を有するパチンコ機であって、
保留記憶の数を疑似表示する演出表示体からなる保留記憶数疑似表示装置と、
保留記憶手段で記憶された保留記憶数の増減に応じて保留記憶数擬似表示装置の加減表示を行う第一の表示制御行程と、所定条件が成立すると、保留記憶数の増加とは独立して保留記憶数擬似表示装置の増加表示を行う第二の表示制御行程とを実行する保留記憶数擬似表示制御手段と
を備えたパチンコ機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
保留記憶の数を疑似表示するのが、本願補正発明では保留表示体の表出であるのに対し、引用発明では保留ランプ18a?18dの点灯である点、更に、第一の表示制御行程において加減表示を行う対象、第二の表示制御行程において増加表示を行う対象が、本願補正発明では保留表示体であるのに対し、引用発明では保留ランプ18a?18dである点。
<相違点2>
第二の表示制御工程において、本願補正発明では保留記憶の増減とは独立して加減表示を行うのに対し、引用発明では増加表示を行うものの、減少表示を行うか不明である点。

4.判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
従来、パチンコ機において、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等からなる図柄変動表示装置の表示画面内に保留記憶を報知する図柄(保留表示体に相当)を表示可能とし、保留記憶の数の増減に応じて、表示される上記図柄を増減させる保留記憶数表示装置は、従来周知である(周知例として一例を示せば、特開平8-168561公報参照)。
そうすると、引用発明において、保留記憶数疑似表示装置が保留記憶数表示装置の表示と似た表示を行う以上、保留記憶数疑似表示装置として保留ランプ18a?18dに代えて従来周知の表示装置を採用し、保留表示体の表示により保留記憶の疑似表示を行うことにより、更に、第一の表示制御行程において加減表示を行う対象及び第二の表示制御行程において増加表示を行う対象を保留表示体とすることにより、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。
(2)相違点2について
引用発明では、所定条件が成立すると、保留記憶数の増加とは独立して保留記憶数擬似表示装置の増加表示を行われるが、この時に増加する複数回に対応して、ノーマル外れリーチの変動Aが[複数回-1回]行われ、その後に引用文献の図9におけるS110?S135における変動Bが1回行われる。この各変動A,Bにおいて保留記憶数疑似表示装置の表示がどのようになるかは不明であるが、この点について検討する。
一般に、パチンコ機においては、保留記憶数(保留記憶表示数)と変動回数は同じであり、複数回の保留記憶数が表示されている場合に、変動が開始される毎に表示されている保留記憶数が1づつ減少されることが普通であって、遊技者にとってもこれは常識となっている。
そして、引用発明は、当該変動表示が、通常の変動表示なのか、ノーマル外れリーチ変動表示なのかを判別することが困難となると、さらに面白味が増す(上記記載事項29参照)というものであるから、引用発明において、保留記憶が1減少する際に行われる上記複数回の変動A,B毎に、複数回分点灯された保留ランプ18a?18dの点灯数を1減じるようにして、通常の変動表示なのかノーマル外れリーチ変動表示なのかを判別を困難とすることは、当業者であれば容易に想到したことと認められる。
また、引用発明は、所定の条件が成立すると、保留記憶が1増える際に保留ランプ18a?18dの点灯数は複数回分増えるものであるが、当該保留記憶が1減少する際に行われる上記変動A,B毎に保留ランプ18a?18dの点灯数を1減じるようにすれば、複数回分の変動A,Bが行われた後は保留記憶数と保留ランプ18a?18dの点灯数は一致するものとなり、通常の状態に復帰させることができることは容易に想定できる。なお、上記変動A,B毎に保留ランプの点灯数を1減ずることは、保留記憶数の減少と全て同時に行われるものではないから、「独立して」行われるものということができる。
以上により、引用発明において、第二の表示制御工程において、保留記憶の数の減少とは独立して表示ランプ18a?18dの点灯数を減少させ、相違点2に係る本願補正発明の「第二の表示制御工程において、保留記憶の増減とは独立して加減表示を行う」とすることは当業者であれば想到容易である。、
そして、本願補正発明の効果は、引用発明、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明の認定
平成20年11月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年6月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技球が通過可能な始動領域と、
図柄を表示可能な図柄表示装置と、
図柄表示装置上で図柄を変動させた後、確定停止させる図柄生成行程を行う図柄表示制御手段と、
前記始動領域を遊技球が通過する都度、前記図柄生成行程を直ちに開始させるか、開始が可能となるまで保留するかの判定を行う始動判定手段と、
前記始動判定手段が保留すると判定した場合には、当該判定の時系列順に保留記憶を1加える一方、前記図柄表示装置の図柄が変動開始されると、時系列順に先頭の保留記憶を1減じる保留記憶手段と、
保留記憶手段により保留された保留記憶の数を表示する保留記憶数表示装置と
を備えたパチンコ機であって、
保留記憶の数を擬似表示する保留記憶数擬似表示装置と、
保留記憶手段で記憶された保留記憶数の増減に応じて保留記憶数擬似表示装置の加減表示を行う第一の表示制御行程と、所定条件が成立すると、保留記憶数の増減とは独立して保留記憶数擬似表示装置の加減表示を行う第二の表示制御行程とを実行する保留記憶数擬似表示制御手段と
を備えたことを特徴とするパチンコ機。」

2.本願発明の進歩性の判断
(1)引用文献
拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の2.に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から付した限定を省き、また、限定した構成を戻したものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の4.に記載したとおり、引用発明、上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-02-12 
結審通知日 2010-02-23 
審決日 2010-03-08 
出願番号 特願2003-405075(P2003-405075)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順高橋 三成  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
井上 昌宏
発明の名称 パチンコ機  
代理人 松浦 喜多男  

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