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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41F |
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管理番号 | 1215354 |
審判番号 | 不服2008-1355 |
総通号数 | 126 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-01-17 |
確定日 | 2010-04-22 |
事件の表示 | 特願2002-216329「スクリーン印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月26日出願公開、特開2004- 58299〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成14年7月25日の出願であって、平成19年9月7日付け拒絶理由通知に対して、同年11月6日付けで意見書と手続補正書が提出されたところ、同年12月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月17日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2 本願発明 本願の請求項1に記載された発明は、平成19年11月6日付け手続補正書にて補正された請求項1に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「パターン孔が設けられたマスクプレートを基板に当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、マスクプレートの上方に位置する吐出ノズルによって前記マスクプレートにペーストを供給するペースト供給手段と、前記吐出動作後に吐出ノズルの下端部に垂下状態で付着したペーストをエアの吹き出しによって吐出ノズルから分離させるペースト分離手段とを備え、 前記ペースト分離手段は、前記垂下状態で付着したペーストに対して異なる2方向からエアを集中して吹き付けることにより、このペーストにエアの流体力を集中して作用させてこのペーストを切断して吐出ノズルから分離させるエアノズルを備えたエア吹き付け機構であり、前記2方向からエアを集中して吹き付けるエアノズルのノズル孔吐出線方向は、前記吐出ノズルに対して同一の角度αで傾けた配置となっており、前記ノズル孔から吐出されるエアは前記吐出ノズルの先端部に集中し、垂下状態のペーストに対して両側から挟むように作用するものであり、このときの前記流体力の合力は吐出ノズルの吐出方向と略一致することを特徴とするスクリーン印刷装置。」 3 引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-227156号公報(以下「引用文献」という。)には、図示とともに以下の事項が記載されていると認められる。 (1)「【請求項1】 互いに一定の距離を隔てた一対の線材支持部を備えた切断具本体と、それら一対の線材支持部間に張り渡された線材の両端部を切断具本体に固定する固定装置とを含むクリーム半田切断具であって、 前記固定装置が、少なくとも一方がテーパ外周面を、他方がそのテーパ外周面に対向する対向面をそれぞれ有し、それらテーパ外周面と対向面との間に楔形の隙間を形成する少なくとも一対の挟み部材と、それら挟み部材のテーパ外周面と対向面とを互いに接近する向きに付勢する付勢手段とを含むことを特徴とするクリーム半田切断具。」 (2)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はクリーム半田切断具に関するものであり、特に、線材によりクリーム半田を切断する切断具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】クリーム半田切断具は、例えば、クリーム半田印刷機のクリーム半田供給装置に設けられる。クリーム半田印刷機は、例えば、プリント基板等の回路基材にクリーム半田を印刷するために使用される。この種のクリーム半田印刷機においては、スクリーン上に載せられたクリーム半田がスキージによって移動させられつつ、スクリーンの透孔を通って回路基材に印刷される。クリーム半田の補給が必要になれば、クリーム半田供給装置によりクリーム半田がスクリーン上に供給される。なお、スキージの上方に密閉式のクリーム半田収容部が形成される形式のクリーム半田印刷機もあり、その場合には、クリーム半田供給装置からクリーム半田収容部にクリーム半田が供給される。 【0003】クリーム半田供給装置は、例えば、クリーム半田が収容されるクリーム半田収容器と、そのクリーム半田収容器内に収容されたクリーム半田を押し出す押出装置と、それらクリーム半田収容器および押出装置をスクリーンやクリーム半田収容部に対して移動させる移動装置とを含むものとされる。クリーム半田の供給時には、クリーム半田収容器は移動装置によりスクリーン上へ移動させられ、押出装置によりクリーム半田がクリーム半田収容器から押し出され、吐出ノズル等の半田吐出口を経てスクリーンやクリーム半田収容部に供給される。この際、クリーム半田は、押出装置による押出しが終了しても半田吐出口とスクリーンやクリーム半田収容部との間でつながっていたり、切れても半田吐出口から垂れ下がっていることがあるため、クリーム半田切断具により切断することが必要になる。」 (3)「【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1において10はクリーム半田供給装置である。クリーム半田供給装置10は、クリーム半田収容器12,クリーム半田切断具14およびそれらクリーム半田収容器12およびクリーム半田切断具14を移動させる図示しない収容器等移動装置を備えている。収容器等移動装置は、スクリーン16の幅方向と平行な方向に移動する移動部材と、移動部材を移動させる移動部材駆動装置と、移動部材上に昇降可能に設けられた昇降部材と、昇降部材を昇降させる昇降部材駆動装置とを備えており、クリーム半田収容器12およびクリーム半田切断具14は昇降部材上に設けられていて、移動装置により一体的に移動,昇降させられる。これら移動部材,移動部材駆動装置,昇降部材および昇降部材駆動装置の図示は省略する。スクリーン16の幅方向は、スクリーン16上に載せられたクリーム半田を移動させつつ、スクリーン16に形成された複数の透孔を通って回路基材たるプリント基板にクリーム半田を印刷するスキージの移動方向と直角な方向である。クリーム半田供給装置10は、スクリーン16のスキージ移動方向における一方の端部と対応する位置に設けられている。スクリーン16は、その周縁にスクリーン枠(図示省略)が固定されており、図示しないスクリーン位置決め支持装置により水平に位置決めされ、支持されている。 【0008】クリーム半田収容器12は筒状を成し、上下方向、すなわち水平に設けられたスクリーン16に対して直角(垂直)に設けられ、下端部には半田吐出口たる吐出管20が下方へ突出する向きに着脱可能に取り付けられている。クリーム半田収容器12内にはピストン(図示省略)が移動可能に設けられており、クリーム半田収容器12内に設けられたエア室へのエアの供給によってピストンが押されることにより、クリーム半田収容器12内に収容されたクリーム半田が吐出管20から押し出され、吐出される。エア室を大気に開放することにより、ピストンの押しが止められてクリーム半田の吐出が止められ、エア室に負圧を供給することにより、ピストンが引き上げられるとともに、吐出管20から出ているクリーム半田が吐出管20内へ引き込まれる。クリーム半田の非供給時には、エア室は大気に開放され、エア室内の圧力が大気圧に戻されている。ピストンおよびエア室にエアを供給する図示しないエア供給装置がクリーム半田をクリーム半田収容器12から押し出す押出装置を構成している。」 (3)「【0019】クリーム半田収容器12内のクリーム半田は、前述のように、エア室へのエアの供給によりクリーム半田収容器12から押し出され、スクリーン16上に載せられる。クリーム半田が印刷に十分な量、供給されれば、エア室が大気に開放されてクリーム半田の吐出が止められ、この状態でクリーム半田の切断が行われる。クリーム半田の供給時には、クリーム半田切断具14は退避位置にあり、切断時に作用位置へ移動させられる。クリーム半田の吐出停止時には、クリーム半田は吐出管20とスクリーン16との間でつながっていることもあれば、切れて吐出管20の開口から垂れ下がっていることもある。クリーム半田切断具14が退避位置から作用位置へ移動させられれば、てぐす50の切断部86が水平に移動させられ、垂直に設けられたクリーム半田収容器12の吐出管20の開口から出ているクリーム半田を直角に横断し、吐出管20の開口より僅かに下側の位置で切断する。本実施形態において切断方向は水平であり、吐出管20側に殆どクリーム半田を残すことなく、切断する。吐出停止時にはまだ、クリーム半田収容器12およびクリーム半田切断具14はスクリーン16上にあり、切断されたクリーム半田はスクリーン16上へ落ちる。クリーム半田切断具14は、クリーム半田収容器12と共に昇降部材に設けられ、クリーム半田収容器12と共に移動させられるため、クリーム半田の供給終了(吐出停止)後、直ちにクリーム半田を切断することができる。吐出管20から出たクリーム半田を、固くなる前に、柔らかいうちに切断することができるのである。」 (4)引用文献の明細書ならびに図面全体を参酌しつつ、上記(1)ないし(3)を検討すると、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「クリーム半田印刷機であって、 スクリーン上に載せたクリーム半田をスキージによって移動させつつ、前記スクリーンの透孔を通すことにより回路基材に印刷するものであるとともに、 クリーム半田供給装置によりクリーム半田を前記スクリーン上に供給するものであり、 前記クリーム半田供給装置は、クリーム半田収容器及びクリーム半田切断具を備え、 前記クリーム半田収容器は筒状を成し、上下方向、すなわち水平に設けられたスクリーンに対して直角(垂直)に設けられ、下端部には半田吐出口たる吐出管が下方へ突出する向きに着脱可能に取り付けられているとともに、前記クリーム半田収容器内にはピストンが移動可能に設けられており、前記クリーム半田収容器内に設けられたエア室にエアを供給してピストンを押すことにより、前記クリーム半田収容器内に収容したクリーム半田を前記吐出管から押し出し、吐出するものであって、 前記クリーム半田切断具は、垂直に設けられた前記クリーム半田収容器の吐出管の開口から出ているクリーム半田を直角に横断し、前記吐出管の開口より僅かに下側の位置で切断することにより、切断方向が水平で、前記吐出管側に殆どクリーム半田を残すことなく切断し、切断したクリーム半田をスクリーン上へ落とす、クリーム半田印刷機。」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「クリーム半田印刷機」,「クリーム半田」,「スクリーン」,「透孔」,「回路基材」,「クリーム半田供給装置」,「クリーム半田切断具」及び「吐出管」は、それぞれ、本願発明の「スクリーン印刷装置」,「ペースト」,「マスクプレート」,「パターン孔」,「基板」,「ペースト供給手段」,「ペースト分離手段」及び「吐出ノズル」に相当する。 (2)引用発明の「ペースト供給手段(クリーム半田供給装置)」の「クリーム半田供給装置」及び「吐出管」は、「クリーム半田収容器は筒状を成し、上下方向、すなわち水平に設けられたマスクプレート(スクリーン)に対して直角(垂直)に設けられ、下端部には半田吐出口たる吐出ノズル(吐出管)が下方へ突出する向きに着脱可能に取り付けられている」ものであり、かつ、引用発明の「ペースト分離手段(クリーム半田切断具)」は、吐出ノズル(吐出管)から「切断されたクリーム半田をマスクプレート(スクリーン)上へ落とす」ものである。 したがって、引用発明の「吐出ノズル(吐出管)」と本願発明の「吐出ノズル」は、「マスクプレート(スクリーン)の上方に位置する」点で一致する。 (3)引用発明の「ペースト分離手段(クリーム半田切断具)」は、「クリーム半田」を「吐出」した後に、「垂直に設けられたクリーム半田収容器の吐出ノズル(吐出管)の開口から出ているクリーム半田を直角に横断し、吐出ノズル(吐出管)の開口より僅かに下側の位置で切断する」ものであるから、「吐出動作後に吐出ノズルの下端部に垂下状態で付着したペーストを吐出ノズルから分離させる」ものといえる。 よって、引用発明の「ペースト分離手段(クリーム半田切断具)」と本願発明の「ペースト分離手段」とは、「吐出動作後に吐出ノズルの下端部に垂下状態で付着したペーストを吐出ノズルから分離させる」ものである点で一致する。 (4)してみると、本願発明と引用発明とは以下の点で一致する。 ア 一致点 「マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、マスクプレートの上方に位置する吐出ノズルによって前記マスクプレートにペーストを供給するペースト供給手段と、前記吐出動作後に吐出ノズルの下端部に垂下状態で付着したペーストを吐出ノズルから分離させるペースト分離手段とを備えた、スクリーン印刷装置。」 (5)一方で、引用発明と本願発明とは、以下の点で相違する。 ア 相違点1 本願発明は、マスクプレートを基板に「当接」させる、との特定を有するのに対し、引用発明のマスクプレート(スクリーン)と回路基材(基板)は「当接」するか否か不明であり、上記特定を有さない点。 イ 相違点2 本願発明の「ペースト分離手段」は「エアの吹き出し」によってペーストを吐出ノズルから分離させるものであって、「垂下状態で付着したペーストに対して異なる2方向からエアを集中して吹き付けることにより、このペーストにエアの流体力を集中して作用させてこのペーストを切断して吐出ノズルから分離させるエアノズルを備えたエア吹き付け機構であり、前記2方向からエアを集中して吹き付けるエアノズルのノズル孔吐出線方向は、前記吐出ノズルに対して同一の角度αで傾けた配置となっており、前記ノズル孔から吐出されるエアは吐出ノズルの先端部に集中し、垂下状態のペーストに対して両側から挟むように作用するものであり、このときの前記流体力の合力は吐出ノズルの吐出方向と略一致する」との特定を有するものであるのに対し、引用発明の「ペースト分離手段(クリーム半田切断具)」はエアの吹き出しによるものではなく、上記特定を有さない点。 5 判断 上記各相違点について検討する。 (1)相違点1について スクリーン印刷により、基板上にペーストによる印刷を行う際には、通常、マスクプレートと基板とを「当接」させた状態でスキージを摺動させるものであるから、引用文献には明示はないものの、技術常識を考慮すれば、引用発明においても、マスクプレートと基板とを「当接」させた状態でスキージを摺動させて印刷を行うものであると認められる。 したがって、相違点1は形式的なものであり、実質的な相違点ではない。 (2)相違点2について ア 引用発明の「ペースト分離手段(クリーム半田切断具)」は、吐出動作後に吐出ノズル(吐出管)の下端部に垂下状態で付着したペーストを吐出ノズル(吐出管)から分離させるものである。 イ ここで、スクリーン印刷装置という技術分野において、ペーストがスクリーン印刷装置の周辺部材を汚染することによる不具合を防止するという課題は、特開2002-137360号公報(特に7ページ右欄9行?22行参照。),特開平11-198347号公報(特に段落【0013】?【0014】参照。),特開平10-157066号公報(特に段落【0018】参照。)等に記載されているように周知のものであるから、引用発明が、吐出ノズル(吐出管)の下端部に垂下状態で付着したペーストを吐出ノズル(吐出管)から分離させる際において、分離したペースト(クリーム半田)によるスクリーン印刷装置の周辺部材の汚染を防止する必要があるものであることは、当業者ならば当然理解していたものである。 ウ 一方、原査定の拒絶の理由で引用された特開平6-285412号公報(特に段落【0009】参照。)及び特開2002-16090号公報(特に段落【0008】及び【0010】参照。)にも記載されているように、粘性を有する液状物質を吐出ノズルから供給する装置という技術分野において、吐出ノズルから吐出された液状物質に対してエアノズルからエアを吹き付けるエア吹き付け機構を用いることにより、粘性を有する液状物質を吐出ノズルから分離して、液状物質による飛散や糸引きを防止する技術は、本願出願前に周知のもの(以下「周知技術1」という。)である。 エ また、エア吹き付け機構により部材の先端部に付着した粘性を有する液状物質を分離する技術において、液状物質に対して異なる方向からエアを集中して吹き付けることにより、前記液状物質にエアの流体力を集中して作用させて前記液状物質を前記部材から分離させるエアノズルを備え、前記エアノズルのノズル孔吐出線方向が前記液状物質を分離する方向に対して対称な一定の角度で傾いた配置となっており、前記ノズル孔から吐出されるエアを前記部材の前記液状物質が付着した箇所に集中させたエア吹き付け機構を用いることにより、部材の先端部に付着した液状物質を飛散させずに所定の方向に向かって分離する技術は、実願昭58-135466号(実開昭60-42461号)のマイクロフィルム(特に実用新案登録請求の範囲,3ページ1行?4ページ15行及び図面参照。),特開平10-128209号公報(特に特許請求の範囲,段落【0007】?【0012】及び図1ないし2参照。),特開平10-146554号公報(特に特許請求の範囲,段落【0028】?【0030】,【0036】,【0046】,図2及び図6参照。)等に記載されているように、本願出願前に周知のもの(以下「周知技術2」という。)である。 ここで、周知技術2の「エア吹き付け機構」において、エアノズルからのエアの流体力が液状物質に対して複数の方向からの合力として作用するものであり、前記流体力の合力の方向が前記液状物質を分離する方向に略一致するものとなることは、当業者にとって自明である。 オ したがって、引用発明において、吐出ノズル(吐出管)の下端部に垂下状態で付着したペースト(クリーム半田)を吐出ノズル(吐出管)から分離させる際に、分離したペースト(クリーム半田)の飛散や糸引きによるスクリーン印刷装置の周辺部材の汚染を防止するために、「ペースト分離手段」として、「エアノズルからエアを吹き付けるエア吹き付け機構」を採用することは、当業者が周知技術1に基づいて容易に想到することができたものであり、その際の具体的な「エア吹き付け機構」の構成として、「吐出ノズル(吐出管)に垂下状態で付着したペースト(クリーム半田)に対して異なる方向からエアを集中して吹き付けることにより、前記ペースト(クリーム半田)にエアの流体力を集中して作用させて前記ペースト(クリーム半田)を前記ノズル(吐出管)から分離させるエアノズルを備えたエア吹き付け機構であって、前記エアノズルのノズル孔吐出線方向は、前記ペースト(クリーム半田)を分離させる方向に対して対称な一定の角度で傾けた配置となっており、前記ノズル孔から吐出されるエアは前記吐出ノズル(吐出管)の前記ペースト(クリーム半田)が付着した下端部に集中し、垂下状態の前記ペースト(クリーム半田)に対して複数の方向からの合力として作用するものであり、このときのエアの流体力の合力の方向は前記ペースト(クリーム半田)を分離させる方向に略一致する」構成を用いることは、周知技術2に基づいて、当業者が適宜なし得た設計事項に過ぎない。 そして、このような「ペースト分離手段」を採用する際に、ペースト(クリーム半田)を分離する所定の方向として吐出ノズル(吐出管)のペースト(クリーム半田)吐出方向を採用してマスクプレート(スクリーン)上にペースト(クリーム半田)を分離させるように設計すること、及び、使用するエアノズルの数を適宜設計することは、いずれも当業者が適宜なし得た設計事項に過ぎないものである。 カ 上記のとおりであるから、引用発明に対し、「ペースト分離手段」として、「吐出ノズル(吐出管)に垂下状態で付着したペースト(クリーム半田)に対して異なる2方向からエアを集中して吹き付けることにより、前記ペースト(クリーム半田)にエアの流体力を集中して作用させて前記ペースト(クリーム半田)を前記ノズル(吐出管)から分離させるエアノズルを備えたエア吹き付け機構であって、前記エアノズルのノズル孔吐出線方向は、前記ペースト(クリーム半田)を分離させる方向に対して対称な一定の角度αで傾けた配置となっており、前記ノズル孔から吐出されるエアは前記吐出ノズル(吐出管)の前記ペースト(クリーム半田)が付着した下端部に集中し、垂下状態の前記ペースト(クリーム半田)に対して両側から挟むように作用するものであり、このときのエアの流体力の合力の方向は前記ペースト(クリーム半田)を分離させる方向に略一致する」構成を採用し、もって相違点2の構成とすることは、周知技術1及び周知技術2から、当業者が容易に想到することができたものである。 (5)小括 上記のとおりであるから、相違点1及び相違点2の構成は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び技術常識に基づいて当業者が容易に想到することができたものであり、それにより得られる効果も、引用発明、周知技術1及び周知技術2の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものに過ぎない。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明、周知技術1、周知技術2及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-02-19 |
結審通知日 | 2010-02-23 |
審決日 | 2010-03-08 |
出願番号 | 特願2002-216329(P2002-216329) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B41F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 東 裕子 |
特許庁審判長 |
江成 克己 |
特許庁審判官 |
上田 正樹 菅野 芳男 |
発明の名称 | スクリーン印刷装置 |
代理人 | 藤井 兼太郎 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 永野 大介 |