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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1215736
審判番号 不服2007-12244  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-26 
確定日 2010-04-30 
事件の表示 特願2001-303565「識別情報統括方法、ポータル情報提供装置及び識別情報統括プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月11日出願公開、特開2003-108748〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成13年 9月28日の特許出願であって、平成18年 2月20日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年 4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成19年 3月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年 4月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされると共に、同年 5月28日付けで手続補正書が提出されたが、平成21年11月 9日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成22年 1月12日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明について

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成22年 1月12日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】 ポータル情報提供装置が顧客の端末を識別するための統括識別情報を付与し、
付与された前記統括識別情報で識別される前記顧客の端末に関する顧客個人情報および顧客履歴情報を該統括識別情報に関係付けて記録し、
サービスを提供する複数の個別サーバが、予め登録された顧客の端末に対してそれぞれ独自に付与した個別識別情報を、前記統括識別情報に関係付けてデータベースに登録し、
予め顧客の端末を経由して前記データベースに登録された前記個別識別情報に基づいて、前記個別サーバから対応するサービス情報を取得し、
前記ポータル情報提供装置にアクセスしてきた顧客の端末の前記統括識別情報を抽出し、
前記統括識別情報に基づいて、前記顧客個人情報に基づく地域情報と共に、前記顧客履歴情報に基づく地域情報を抽出し、
取得した前記サービス情報を、前記顧客個人情報に基づく前記地域情報または前記顧客履歴情報に基づく地域情報に基づいて取捨選択し、
前記取捨選択されたサービス情報を前記顧客に配信する
識別情報統括方法。」

3.当審における拒絶の理由について

当審における平成21年11月 9日付けの拒絶理由通知の概要は以下のとおりである。

『(1)理由1)について

本願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1に記載の「前記顧客履歴情報顧客情報」は、「前記顧客履歴情報」の誤記であるものと認められる。

また、請求項4に記載の「前記顧客個人情報」は、「前記顧客履歴情報」の誤記であるものと認められる。

(2)理由2)について

本願の請求項1乃至7に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献等一覧

引用文献1:特開2000-207334号公報
引用文献2:特開2000-3334号公報
引用文献3:特開2000-76337号公報

・・・(以下、略)・・・



4.当審の判断

(1)引用文献の記載事項及び引用文献発明

(引用文献1の記載事項)

当審において通知した先の拒絶理由において提示した特開2000-207334号公報には、以下の事項が図面と共に記載されている。なお、下線は当審において付加した。

(1a)「【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態のアクセス指向分類装置およびアクセス実績フィードバックシステムのハード構成を示すブロック図であり、図14の従来の基本構成に対応する部分については同一の符号を付してその説明を省略している。図1において、アクセス実績フィードバックシステム1は、複数ユーザの各端末装置としてのパーソナルコンピュータPC(以下パソコンPCという)がインターネットを介してインフォメーションプロバイダIP側の情報管理装置としてのホストコンピュータHC(以下ホスコンHCという)に接続可能で、パソコンPCからの特定のアクセスによって、ホスコンHCとパソコンPC間で情報提供を行って、インターネットバンキングやインターネットショピングの他、インターネットで各店のホームページにアクセスして情報閲覧可能に構成されている。」

(1b)「【0019】ホスコンHCのDB18には、サイト側(情報管理側)のホームページ(以下サイトホームページという)の検索項目にリンクするように、銀行、旅行店、本屋および服屋などの各加盟店毎のホームページが、または下位のレイヤーとして登録されており、また、サイトホームページには後述するユーザ専用エリアの検索項目がユーザによって登録可能になっている。さらに、DB18には、サイトホームページおよび各加盟店毎のホームページまたは下位のレイヤーの画像となる画像データが登録されており、各加盟店毎のホームページまたは下位のレイヤーに関連付けて、複数の商店からなるモール商店街を構成している。この各加盟店毎のホームページまたは下位のレイヤーには、例えば検索用のメニュー画面の他、その商店で販売している各商品やその説明および、各サービスやその説明の一覧表が設けられている。
【0020】ここで、サイトホームページのメニュー画面について具体的にその一例を説明する。メニュー画面には、図2に示す表示画面の上からヘッダー、バナー広告の各エリアが設けられ、その下に、マイリンクエリアとメインリンク先エリアが並設され、マイリンクエリアの下にはマイリンクエリアのバナー広告および「お知らせ」のエリアが設けられ、最も下部にテロップ(バナー広告)のエリアが設けられている。バナー広告とは、マイリンクエリアまたはメインリンク先エリアから例えば旅行を検索すると、「只今、・・旅行がお安いですよ」などが表示されるものである。マイリンクエリアとはユーザ専用エリアであり、ユーザが気に入ったリンク先や使用頻度の高いリンク先、例えば旅行や車関係などのユーザ特有のリンク先を登録しておくエリアである。マイリンクエリア(マイページ)をホスコンHC側に登録することで、情報管理側は、ユーザの指向(ユーザが何を好んでいるのか)を入手できて所謂「潜在需要の推測」を行うことができ、かつユーザの利便性も向上できるようになっている。また、メインリンク先エリアとは、各加盟店のホームページや下位レイヤーに直にアクセスできるように、各店が出店したモール商店街の検索項目と共に本発明の「アニメワールド」の検索項目が掲載されたエリアである。」

(1c)『【0024】会員登録は、情報を管理する運営側で準備されたCD-ROM7をユーザのパソコンPCに組み込み、パソコンPCをインターネットを介してホスコンHCに接続した状態で行われ、会員登録手段31は、CD-ROM7の登録プログラムに基づいて、CPU3によって、表示部10の表示画面上に会員登録用画面を表示させ、各該当欄に対して入力部11から入力されたユーザ属性データを通信部9を介してホスコンHC側に送信する一方、通信部19で受信されたユーザ属性データをDB18に登録すると共に当該ユーザの会員番号を通信部19を介してパソコンPC側に送信してRAM4に格納させるようにしたものである。ユーザ属性とは、ユーザの氏名、性別、生年月日、住所、年齢、趣味、資格および仕事内容などである。
【0025】ホームページ検索制御手段32は、ユーザのパソコンPCをインターネットを介してホスコンHCにアクセスした後に、RAM4内の制御プログラムおよびサイトホームページの画像データに基づいて、CPU3によって、表示部10を制御して、図2のようなサイトホームページ(ホータルという玄関)を表示部10に表示させると共に、サイトホームページのマイリンクエリアやメインリンク先エリア内の、入力部11で選択された検索項目に対応する各商店のホームページを開くものであり、また、メインリンク先エリアの「アニメワールド」を入力部11で選択したときに、「アニメワールド」の表示画面を開くようにしたものである。
【0026】ユーザエリア登録手段33は、ユーザ毎の好みに応じた使用頻度の高い検索項目を、ユーザ専用エリアのマイリンクエリアに対してオリジナルに作成させるもので、作成された検索項目をホスコンHCのDB18に会員番号に関連させて登録させるものである。具体的には、ユーザのパソコンPCをインターネットを介してホスコンHCにアクセスした後に、RAM4内の制御プログラムのユーザエリア作成プログラムおよびユーザエリア画像データに基づいて、CPU3が表示部10を制御して、そのユーザエリア画像データを表示部10に表示させつつ、入力部11からの入力処理でユーザの好みに応じてオリジナルに検索項目をマイパレットとして初期設定するようになっている。さらに、CPU3が通信部9を制御してオリジナルな検索項目をホスコンHC側に送信し、これを受信部19で受信して、制御プログラムのユーザエリア作成プログラムに基づいてCPU13がDB18に会員番号に関連させて登録するようになっている。

・・・(中略)・・・

【0051】DB18には、パソコンPCからのホスコンHCに情報提供されたユーザ情報が記憶されている。ユーザ情報(マイニングデータ)とは、上記した登録時などのユーザ属性(氏名や住所、年齢など)の他、以上のようなユーザの商品購入暦やサービス利用暦、商品やサービスの情報閲覧暦、さらには各種アンケート(アンケートを選択した場合など)暦などのアクセス実績情報や、アンケートに対する回答情報など、ユーザの好みに応じたパソコンPCからの特定アクセス暦などであり、図12に示すようなHP情報、取引情報、ユーザの属性情報、環境情報、イベント情報などとしてDB18内に保持されている。
【0052】マイニング手段26は、DB18内のユーザ情報に基づいて、ユーザがバーチャルポイントを獲得した内容を見ていくと、そのユーザの行動パターンや嗜好などが判るため、所謂マイニング手法によるマイニングツール23を用いてマイニングしたユーザ情報を、ユーザの特定パラメータに関連性のある行動のプロファイルにグルーピィングしてプロファイル別にプロファイル手段24のボックスに格納するようになっている。
【0053】メール手段25は、プロファイルされたユーザは、次にプロファイルされる可能性が高く、次のプロファイルに関した情報を自動メール(電子メール)するようになっている。つまり、上記したボックス内にユーザ情報が飛び込むと、それに該当するアクションメールを送出するようになっている。また、このボックス内をさらに細分化しボックス毎にパターンメールを持つようになっている。このようにして送出されるメールは、ユーザ名、内容などをユーザ別にモディファィするようになっている。
【0054】また、メール手段25として、図13に示すように自動メイルボックスを用意しておき、例えばエアーライン27を用いて飛行機をよく利用したり、例えば旅行代理店28を用いてホテルによく泊まったりするユーザ情報がDB18に保存されており、DB18内のユーザ情報が、マイニング手段26で特定パラメータを飛行機およびホテルでグルーピィングされ、毎年、特定時期にそれが為されるのであれば、その特定時期の前に自動メイルボックスにそのユーザのプロファイル情報が飛び込むと、飛行機やホテルの案内をそのユーザに対して個別に自動メールとして送り、倍ポイントキャンペーンなどをして飛行機やホテルの利用サービスに引き入れるようにするようになっている。上記特定パラメータとして飛行機やホテルの他に、図13に示すように、自動車ディーラ、銀行(BANK)、ユーザの属性(生年月日および性別)からバースデーメールなどがある。』

(1d)「【0056】図10は本発明の会員登録処理を説明するためのフローチャートである。図10に示すように、まず、ユーザによる会員登録処理が行われる。ステップS1で情報管理側で準備されたCD-ROM7をユーザのパソコンPCに組み込んで、CD-ROM7からHD8に制御プログラムおよびその制御データをインストールした後に、ステップS2でパソコンPCをインターネットを介してホスコンHCに接続し、CPU3は、制御プログラムの会員登録プログラムに基づいて、ステップS3で表示部10に会員登録画面を表示させつつ、ステップS4で入力部11から会員登録画面の該当欄にユーザの属性をキー入力し、そのキー入力したユーザの属性を通信部9からホスコンHC側に送信するように制御が為される。ステップS5で加入審査結果が「OK」であれば、ホスコンHC側では、通信部19で受けたユーザの属性を、CPU13が、会員登録プログラムに基づいて、ステップS6でDB18に登録すると共に会員番号を付与してパソコンPC側に送信する。
【0057】次に、ユーザが会員になると、ユーザのホームページ開設処理を行う。ユーザのパソコンPCをインターネットを介してホスコンHCにアクセスした後に、RAM4内の制御プログラムのユーザエリア作成プログラムおよびサイトホームページの画像データに基づいて、図11のステップS11で、CPU3が表示部10を制御して、その画像データを表示部10に表示させつつ、入力部11からの入力処理でユーザの好みに応じてオリジナルに検索項目をマイパレットとして初期設定する。この設定された検索項目は、CPU3が通信部9を制御してホスコンHC側に送信し、ホスコンHC側で、これを受信部19で受信して、制御プログラムのユーザエリア作成プログラムに基づいてCPU13がDB18に会員番号に関連させて登録する。」

上記摘記事項(1a)、上記摘記事項(1b)、上記摘記事項(1c)及び上記摘記事項(1d)によれば、引用文献1の記載事項について、以下の(ア)乃至(ク)のことを認定できる。

(ア)上記摘記事項(1a)の「【0015】・・・(中略)・・・インフォメーションプロバイダIP側の情報管理装置としてのホストコンピュータHC(以下ホスコンHCという)・・・(中略)・・・」及び上記摘記事項(1d)の「【0056】・・・(中略)・・・ステップS5で加入審査結果が「OK」であれば、ホスコンHC側では、通信部19で受けたユーザの属性を、CPU13が、会員登録プログラムに基づいて、ステップS6でDB18に登録すると共に会員番号を付与してパソコンPC側に送信する。」によれば、当該「ホストコンピュータ」は、当該「ユーザ」を識別するための当該「会員番号」を「付与」するものと解することができる。

また、上記摘記事項(1c)の「【0025】ホームページ検索制御手段32は、ユーザのパソコンPCをインターネットを介してホスコンHCにアクセスした後に、RAM4内の制御プログラムおよびサイトホームページの画像データに基づいて、CPU3によって、表示部10を制御して、図2のようなサイトホームページ(ホータルという玄関)を表示部10に表示させると共に、サイトホームページのマイリンクエリアやメインリンク先エリア内の、入力部11で選択された検索項目に対応する各商店のホームページを開くものであり、また、メインリンク先エリアの「アニメワールド」を入力部11で選択したときに、「アニメワールド」の表示画面を開くようにしたものである。」によれば、上記「ホストコンピュータ」は、当該「アクセス」に呼応して、当該「ポータル」(「ホータル」は「ポータル」の誤記と認定した。)の情報を当該「ユーザのパソコン」に提供するものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1a)、上記摘記事項(1c)及び上記摘記事項(1d)によれば、引用文献1には、「ポータルの情報を提供するホストコンピュータがユーザを識別するための会員番号を付与する」ことが記載されているといえる。

(イ)上記摘記事項(1c)「【0024】会員登録は、情報を管理する運営側で準備されたCD-ROM7をユーザのパソコンPCに組み込み、パソコンPCをインターネットを介してホスコンHCに接続した状態で行われ、会員登録手段31は、CD-ROM7の登録プログラムに基づいて、CPU3によって、表示部10の表示画面上に会員登録用画面を表示させ、各該当欄に対して入力部11から入力されたユーザ属性データを通信部9を介してホスコンHC側に送信する一方、通信部19で受信されたユーザ属性データをDB18に登録すると共に当該ユーザの会員番号を通信部19を介してパソコンPC側に送信してRAM4に格納させるようにしたものである。ユーザ属性とは、ユーザの氏名、性別、生年月日、住所、年齢、趣味、資格および仕事内容などである。」によれば、上記「付与」された「会員番号」で識別される上記「ユーザ」の「住所」や「趣味」等に関する当該「ユーザ属性」は、当該「会員番号」を「格納」すると共に「登録」されるものと解することができる。

そして、上記摘記事項(1c)の「【0051】DB18には、パソコンPCからのホスコンHCに情報提供されたユーザ情報が記憶されている。ユーザ情報(マイニングデータ)とは、上記した登録時などのユーザ属性(氏名や住所、年齢など)の他、以上のようなユーザの商品購入暦やサービス利用暦、商品やサービスの情報閲覧暦、さらには各種アンケート(アンケートを選択した場合など)暦などのアクセス実績情報や、アンケートに対する回答情報など、ユーザの好みに応じたパソコンPCからの特定アクセス暦などであり、図12に示すようなHP情報、取引情報、ユーザの属性情報、環境情報、イベント情報などとしてDB18内に保持されている。」によれば、上記「登録」時に、上記「ユーザ属性」の他、当該「ユーザの商品購入暦やサービス利用暦」が登録されるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1c)によれば、引用文献1には、「付与された前記会員番号で識別される前記ユーザの住所や趣味等に関するユーザ属性およびユーザの商品購入暦やサービス利用暦を該会員番号を格納すると共に登録する」ことが記載されているといえる。

(ウ)上記摘記事項(1b)の「【0019】・・・(中略)・・・この各加盟店毎のホームページまたは下位のレイヤーには、例えば検索用のメニュー画面の他、その商店で販売している各商品やその説明および、各サービスやその説明の一覧表が設けられている。・・・(中略)・・・【0020】・・・(中略)・・・マイリンクエリアとはユーザ専用エリアであり、ユーザが気に入ったリンク先や使用頻度の高いリンク先、例えば旅行や車関係などのユーザ特有のリンク先を登録しておくエリアである。・・・(中略)・・・」によれば、当該「リンク」は、当該「ユーザ専用のエリア」に「登録」されるものと解することができる。

そして、上記「リンク」とは、上記「サービス」を提供する複数の「リンク先」が備えるものと解することができることから、当該「リンク」は、当該「リンク先」が上記「ユーザ」に提供したものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、「サービスを提供する複数のリンク先がユーザに対して提供したリンクを、ユーザ専用のエリアに登録する」ことが記載されているといえる。

(エ)上記摘記事項(1c)の「【0054】また、メール手段25として、図13に示すように自動メイルボックスを用意しておき、例えばエアーライン27を用いて飛行機をよく利用したり、例えば旅行代理店28を用いてホテルによく泊まったりするユーザ情報がDB18に保存されており、DB18内のユーザ情報が、マイニング手段26で特定パラメータを飛行機およびホテルでグルーピィングされ、毎年、特定時期にそれが為されるのであれば、その特定時期の前に自動メイルボックスにそのユーザのプロファイル情報が飛び込むと、飛行機やホテルの案内をそのユーザに対して個別に自動メールとして送り、倍ポイントキャンペーンなどをして飛行機やホテルの利用サービスに引き入れるようにするようになっている。」によれば、当該「エアーライン27を用いて飛行機をよく利用したり、例えば旅行代理店28を用いてホテルによく泊まったりするユーザ情報」は、上記(イ)の「ユーザの商品購入暦やサービス利用暦」と対応するものと解することができるから、当該「エアーライン」や「旅行代理店」は、上記(ウ)の「リンク先」に対応するものと解することができる。

そして、上記「自動メイルボックス」の中の「飛行機やホテルの案内」は、上記「エアーライン」や「旅行代理店」から取得されるものと解することができるから、当該「飛行機やホテルの案内」は、上記「リンク先」の「サービス」の情報として取得されるものと解することができる。

また、上記摘記事項(1b)の『【0019】ホスコンHCのDB18には、サイト側(情報管理側)のホームページ(以下サイトホームページという)の検索項目にリンクするように、銀行、旅行店、本屋および服屋などの各加盟店毎のホームページが、または下位のレイヤーとして登録されており、また、サイトホームページには後述するユーザ専用エリアの検索項目がユーザによって登録可能になっている。・・・(中略)・・・【0020】・・・(中略)・・・マイリンクエリアとはユーザ専用エリアであり、ユーザが気に入ったリンク先や使用頻度の高いリンク先、例えば旅行や車関係などのユーザ特有のリンク先を登録しておくエリアである。マイリンクエリア(マイページ)をホスコンHC側に登録することで、情報管理側は、ユーザの指向(ユーザが何を好んでいるのか)を入手できて所謂「潜在需要の推測」を行うことができ、かつユーザの利便性も向上できるようになっている。・・・(中略)・・・』及び上記摘記事項(1c)の「【0051】DB18には、パソコンPCからのホスコンHCに情報提供されたユーザ情報が記憶されている。ユーザ情報(マイニングデータ)とは、上記した登録時などのユーザ属性(氏名や住所、年齢など)の他、以上のようなユーザの商品購入暦やサービス利用暦、商品やサービスの情報閲覧暦、さらには各種アンケート(アンケートを選択した場合など)暦などのアクセス実績情報や、アンケートに対する回答情報など、ユーザの好みに応じたパソコンPCからの特定アクセス暦などであり、図12に示すようなHP情報、取引情報、ユーザの属性情報、環境情報、イベント情報などとしてDB18内に保持されている。」によれば、上記「リンク」は、予め当該「ユーザ」の「パソコン」から当該「DB」の当該「ユーザの専用エリア」に登録されたものと解することができる。

そして、上記「サービス」の情報のは、上記「リンク」に基づいて上記「リンク先」から取得されるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1b)及び上記摘記事項(1c)によれば、引用文献1には、「予めユーザのパソコンから前記ユーザの専用エリアに登録された前記リンクに基づいて、前記リンク先からサービスの情報を取得する」ことが記載されているといえる。

(オ)上記摘記事項(1c)の「【0054】また、メール手段25として、図13に示すように自動メイルボックスを用意しておき、例えばエアーライン27を用いて飛行機をよく利用したり、例えば旅行代理店28を用いてホテルによく泊まったりするユーザ情報がDB18に保存されており、DB18内のユーザ情報が、マイニング手段26で特定パラメータを飛行機およびホテルでグルーピィングされ、毎年、特定時期にそれが為されるのであれば、その特定時期の前に自動メイルボックスにそのユーザのプロファイル情報が飛び込むと、飛行機やホテルの案内をそのユーザに対して個別に自動メールとして送り、倍ポイントキャンペーンなどをして飛行機やホテルの利用サービスに引き入れるようにするようになっている。上記特定パラメータとして飛行機やホテルの他に、図13に示すように、自動車ディーラ、銀行(BANK)、ユーザの属性(生年月日および性別)からバースデーメールなどがある。」によれば、当該「マイニング手段」により、当該「ユーザ」について、当該「ユーザ属性」である当該「生年月日」に基づく特定時期を抽出するだけでなく、これと共に、当該「特定パラメータを飛行機およびホテルでグルーピィング」するに当たり、上記(イ)の「ユーザの商品購入暦やサービス利用暦」に基づく当該「特定時期」も抽出されるものと解することができる。

したがって、上記(イ)及び上記摘記事項(1c)によれば、引用文献1には、「前記会員番号に基づいて、ユーザ属性に基づく特定時期と共に、ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく特定時期を抽出する」ことが記載されているといえる。

(カ)上記摘記事項(1c)の「【0054】また、メール手段25として、図13に示すように自動メイルボックスを用意しておき、例えばエアーライン27を用いて飛行機をよく利用したり、例えば旅行代理店28を用いてホテルによく泊まったりするユーザ情報がDB18に保存されており、DB18内のユーザ情報が、マイニング手段26で特定パラメータを飛行機およびホテルでグルーピィングされ、毎年、特定時期にそれが為されるのであれば、その特定時期の前に自動メイルボックスにそのユーザのプロファイル情報が飛び込むと、飛行機やホテルの案内をそのユーザに対して個別に自動メールとして送り、倍ポイントキャンペーンなどをして飛行機やホテルの利用サービスに引き入れるようにするようになっている。上記特定パラメータとして飛行機やホテルの他に、図13に示すように、自動車ディーラ、銀行(BANK)、ユーザの属性(生年月日および性別)からバースデーメールなどがある。」によれば、当該「特定時期」及び当該「生年月日」に基づくことが必ずしも同時に生じるものではなく互いに独立するものであるから、当該「バースデーメール」又は上記(ウ)の「前記リンク先から取得したサービスの情報」である当該「倍ポイントキャンペーン」は、それぞれ、上記(オ)の「ユーザ属性に基づく特定時期」又は「ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく特定時期」に基づいて、独立して選ばれるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1a)によれば、引用文献1には、「バースデーメールをユーザ属性に基づく特定時期に基づいて選び、これとは独立して、前記リンク先から取得したサービスの情報を前記ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく前記特定時期に基づいて選ぶ」ことが記載されているといえる。

(キ)上記摘記事項(1c)の「【0054】また、メール手段25として、図13に示すように自動メイルボックスを用意しておき、例えばエアーライン27を用いて飛行機をよく利用したり、例えば旅行代理店28を用いてホテルによく泊まったりするユーザ情報がDB18に保存されており、DB18内のユーザ情報が、マイニング手段26で特定パラメータを飛行機およびホテルでグルーピィングされ、毎年、特定時期にそれが為されるのであれば、その特定時期の前に自動メイルボックスにそのユーザのプロファイル情報が飛び込むと、飛行機やホテルの案内をそのユーザに対して個別に自動メールとして送り、倍ポイントキャンペーンなどをして飛行機やホテルの利用サービスに引き入れるようにするようになっている。上記特定パラメータとして飛行機やホテルの他に、図13に示すように、自動車ディーラ、銀行(BANK)、ユーザの属性(生年月日および性別)からバースデーメールなどがある。」によれば、上記(カ)の「選」ばれた「バースデーメール」及び「サービスの情報」は、当該「ユーザ」にメール送信されるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1a)によれば、引用文献1には、「前記選ばれたバースデーメール及びサービスの情報を前記ユーザにメール送信する」ことが記載されているといえる。

(ク)上記摘記事項(1c)「【0024】会員登録は、情報を管理する運営側で準備されたCD-ROM7をユーザのパソコンPCに組み込み、パソコンPCをインターネットを介してホスコンHCに接続した状態で行われ、会員登録手段31は、CD-ROM7の登録プログラムに基づいて、CPU3によって、表示部10の表示画面上に会員登録用画面を表示させ、各該当欄に対して入力部11から入力されたユーザ属性データを通信部9を介してホスコンHC側に送信する一方、通信部19で受信されたユーザ属性データをDB18に登録すると共に当該ユーザの会員番号を通信部19を介してパソコンPC側に送信してRAM4に格納させるようにしたものである。ユーザ属性とは、ユーザの氏名、性別、生年月日、住所、年齢、趣味、資格および仕事内容などである。」によれば、上記(ア)?(キ)による処理は、当該「会員番号」による管理方法の下において実施されるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1a)によれば、引用文献1には、上記(ア)?(キ)による処理を実施する「会員番号による管理方法」が記載されているといえる。

(引用文献1発明)

よって、上記(ア)乃至(ク)を考慮して、上記摘記事項(1a)、上記摘記事項(1b)、上記摘記事項(1c)及び上記摘記事項(1d)の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されているといえる。

「 ポータルの情報を提供するホストコンピュータがユーザを識別するための会員番号を付与し、
付与された前記会員番号で識別される前記ユーザの住所や趣味等に関するユーザ属性およびユーザの商品購入暦やサービス利用暦を該会員番号を格納すると共に登録し、
サービスを提供する複数のリンク先が予めユーザに対して提供したリンクを、ユーザ専用のエリアに登録し、
予めユーザのパソコンから前記ユーザの専用エリアに登録された前記リンクに基づいて、前記リンク先からサービスの情報を取得し、
前記会員番号に基づいて、ユーザ属性に基づく特定時期と共に、ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく特定時期を抽出し、
バースデーメールをユーザ属性に基づく特定時期に基づいて選び、これとは独立して、前記リンク先から取得したサービスの情報を前記ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく前記特定時期に基づいて選び、
前記選ばれたバースデーメール及びサービスの情報を前記ユーザにメール送信する会員番号による管理方法。」

(2)本願発明1と引用文献1発明との対比

本願発明1と引用文献1発明を対比する。

引用文献1発明の「前記選ばれたバースデーメール及びサービスの情報を前記ユーザにメール送信する」は、当該「バースデーメール」が当該「ユーザ」の誕生日を祝うというサービスの情報であるから、本願発明1の「前記取捨選択されたサービス情報を前記顧客に配信する」に相当する。

そして、本願発明1の「ポータル情報提供装置が顧客の端末を識別するための統括識別情報を付与し」と引用文献1発明の「ポータルの情報を提供するホストコンピュータがユーザを識別するための会員番号を付与し」とは、後記の点で相違するものの、共に、「ポータル情報提供装置が顧客を識別するための顧客識別情報を付与し」という点で共通する。

また、本願発明1の「付与された前記統括識別情報で識別される前記顧客の端末に関する顧客個人情報および顧客履歴情報を該統括識別情報に関係付けて記録し」と引用文献1発明の「付与された前記会員番号で識別される前記ユーザの住所や趣味等に関するユーザ属性およびユーザの商品購入暦やサービス利用暦を該会員番号を格納すると共に登録し」とは、後記の点で相違するものの、共に、「付与された前記顧客識別情報で識別される前記顧客に関する顧客個人情報および顧客履歴情報を該識別情報に関係付けて記録し」という点で共通する。

また、本願発明1の「サービスを提供する複数の個別サーバが、予め登録された顧客の端末に対してそれぞれ独自に付与した個別識別情報を、前記統括識別情報に関係付けてデータベースに登録し」と引用文献1発明の「サービスを提供する複数のリンク先が予めユーザに対して提供したリンクを、ユーザ専用のエリアに登録し」とは、後記の点で相違するものの、当該「リンク先」は顧客に対して「サービス」を提供するサーバであって、当該サーバは当該「リンク」により識別されているから、共に、「サービスを提供する複数の個別サーバが予め顧客に対して付与した個別サーバの識別情報を、データベースに登録し」という点で共通する。

また、本願発明1の「予め顧客の端末を経由して前記データベースに登録された個別識別情報に基づいて、前記個別サーバから対応するサービス情報を取得し」と引用文献1発明の「予めユーザのパソコンから前記ユーザの専用エリアに登録された前記リンクに基づいて、前記リンク先から先からサービスの情報を取得し」とは、後記の点で相違するものの、共に、「予め顧客の端末を経由して前記データベースに登録された前記個別サーバの識別情報に基づいて、前記個別サーバから対応するサービス情報を取得し」という点で共通する。

また、本願発明1の「前記統括識別情報に基づいて、前記顧客個人情報に基づく地域情報と共に、前記顧客履歴情報に基づく地域情報を抽出し」と引用文献1発明の「前記会員番号に基づいて、ユーザ属性に基づく特定時期と共に、ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく特定時期を抽出し」とは、後記の点で相違するものの、共に、「前記顧客識別情報に基づいて、前記顧客個人情報に基づく顧客に固有の情報と共に、前記顧客履歴情報に基づく顧客に固有の情報を抽出し」という点で共通する。

また、本願発明1の「取得した前記サービス情報を、前記顧客個人情報に基づく前記地域情報または前記顧客履歴情報に基づく地域情報に基づいて取捨選択し」と引用文献1発明の「バースデーメールをユーザ属性に基づく特定時期に基づいて選び、これとは独立して、前記リンク先から取得したサービスの情報を前記ユーザの商品購入暦やサービス利用暦に基づく前記特定時期に基づいて選び」とは、後記の点で相違するものの、共に、「サービス情報を、前記顧客個人情報に基づく前記顧客に固有の情報に基づいて取捨選択するか、又は、前記個別事業体から取得したサービス情報を、前記顧客履歴情報に基づく前記顧客に固有の情報に基づいて取捨選択し、」という点で共通する。

また、本願発明1の「識別情報統括方法」と引用文献1発明の「会員番号による管理方法」とは、後記の点で相違するものの、共に、「顧客識別情報による管理方法」という点で共通する。

したがって、両者は、

(一致点)

「ポータル情報提供装置が顧客を識別するための顧客識別情報を付与し、
付与された前記識別情報で識別される前記顧客に関する顧客個人情報および顧客履歴情報を該識別情報に関係付けて記録し、
サービスを提供する複数の個別サーバが予め顧客に対して付与した個別サーバの識別情報を、データベースに登録し、
予め顧客の端末を経由して前記データベースに登録された前記個別サーバの識別情報に基づいて、前記個別サーバから対応するサービス情報を取得し、
前記顧客識別情報に基づいて、前記顧客個人情報に基づく顧客に固有の情報と共に、前記顧客履歴情報に基づく顧客に固有の情報を抽出し、
サービス情報を、前記顧客個人情報に基づく前記顧客に固有の情報に基づいて取捨選択するか、又は、前記個別事業体から取得したサービス情報を、前記顧客履歴情報に基づく前記顧客に固有の情報に基づいて取捨選択し、
前記取捨選択されたサービス情報を前記顧客に配信する顧客識別情報による管理方法。」

である点で一致し、以下の各点で相違する。

(相違点1)

本願発明1は、「統括識別情報」及び「個別識別情報」を備え、当該「個別識別情報」を「前記統括識別情報に関係付けて」データベースに登録し、当該「個別識別情報に基づいて」サービス情報を取得し、「ポータル情報提供装置にアクセスしてきた」顧客の「統括識別情報を抽出し」、当該「統括識別情報」に基づいて当該サービス情報を配信する「識別情報統括方法」であるために、

当該「個別識別情報」が「予め登録された顧客に対してそれぞれ独自に付与した」ものであり、
「前記統括識別情報に基づいて」顧客に固有の情報と共に、顧客個人情報または顧客履歴情報を抽出するのに対し、

引用文献1発明は、顧客識別情報及び個別サーバの識別情報を備え、当該個別サーバの識別情報を当該顧客識別情報に関連づけてデータベースに登録し、当該個別サーバの識別情報に基づいて、個別サーバからサービス情報を取得し、「ポータル情報提供装置にアクセスしてきた」顧客の顧客識別情報を抽出することなく、顧客識別情報に基づいて当該サービス情報を取捨選択して配信する顧客識別情報による管理方法であるために、

当該個別サーバの識別情報として、「予め登録された顧客に対してそれぞれ独自に付与した」ものではなく、顧客に対して付与したものを備え、
顧客識別情報に基づいて顧客に固有の情報と共に、顧客個人情報または顧客履歴情報を抽出する点。

(相違点2)

本願発明1は「顧客の端末」を識別するのに対し、

引用文献1発明は「顧客」を識別する点。

(相違点3)

本願発明1では、顧客個人情報に基づく「地域情報」または顧客履歴情報に基づく「地域情報」に基づいて取捨選択し、そのため、

前記顧客個人情報に基づく「地域情報」と共に、前記顧客履歴情報に基づく「地域情報」を抽出するのに対し、

引用文献1では、顧客個人情報に基づく「特定時期」または顧客履歴情報に基づく「特定時期」に基づいて取捨選択し、そのため、

前記顧客個人情報に基づく「特定時期」と共に、前記顧客履歴情報に基づく「特定時期」を抽出する点。

(相違点4)

顧客個人情報に基づく顧客に固有の情報に基づいて取捨選択する情報が

本願発明1では、取得したサービス情報であるのに対し、

引用文献1発明では、サービス情報である点。

(3)本願発明1と引用文献1発明との相違点についての判断

(相違点1について)

複数のサーバにアクセスする際にサーバ毎に顧客を管理することは周知技術であり、引用文献1発明は、ポータル情報提供装置を介して複数の個別サーバにアクセスするものであるから、引用文献1発明において、複数のサーバにアクセスする際にサーバ毎に顧客を管理する具体化手段として、上記引用文献2に記載の周知技術である「複数のサーバにて利用する識別情報と1つの識別情報を関連づけたデータベースから、当該1つの識別情報を抽出し、当該複数のサーバにて利用する識別情報に基づいて当該複数のサーバにて認証し、情報提供サービスを取得し、当該1つの識別情報に基づいて当該情報提供サービスを送信するゲートウェイ」を適用し、「統括識別情報」及び「個別識別情報」を備え、当該「個別識別情報」を「前記統括識別情報に関係付けて」データベースに登録し、当該「個別識別情報に基づいて」サービス情報を取得し、「ポータル情報提供装置にアクセスしてきた」顧客の「統括識別情報を抽出し」、当該「統括識別情報」に基づいて当該サービス情報を配信する「識別情報統括方法」とすることは、当業者であれば適宜になし得るものである。

また、例えば、当審において通知した先の拒絶理由において提示した特開2000-3334号公報にみられるように、複数のサーバにて利用する識別情報と1つの識別情報を関連づけたデータベースから、当該1つの識別情報を抽出し、当該複数のサーバにて利用する識別情報に基づいて当該複数のサーバにて認証し、情報提供サービスを取得し、当該1つの識別情報に基づいて当該情報提供サービスを送信するゲートウェイは、周知技術である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、「統括識別情報」及び「個別識別情報」を備え、当該「個別識別情報」を「前記統括識別情報に関係付けて」データベースに登録し、当該「個別識別情報に基づいて」サービス情報を取得し、「ポータル情報提供装置にアクセスしてきた」顧客の「統括識別情報を抽出し」、当該「統括識別情報」に基づいて当該サービス情報を配信する「識別情報統括方法」とするのであれば、そのために、当該「個別識別情報」が「予め登録された顧客に対してそれぞれ独自に付与した」ものであり、「前記統括識別情報に基づいて」顧客に固有の情報と共に、顧客個人情報または顧客履歴情報を抽出することは、当業者であれば当然なし得るものである。

したがって、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点2について)

引用文献1発明では顧客は端末を介してアクセスしていることから、当該顧客の端末はポータル情報提供装置に直接作用する装置であるものと認められるので、引用文献1発明において、顧客を識別するに当たり、顧客の端末を識別することは、当業者であれば適宜になし得る設計事項にすぎない。

したがって、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献1発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点3について)

例えば、当審において通知した先の拒絶理由において提示した特開2000-76337号公報及び国際公開第97/03404号にみられるように、顧客の個人情報に基づく地域情報又は顧客の履歴情報に基づく地域情報に基づいて顧客へ選択的に情報提供することは周知技術である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、顧客個人情報に基づく「特定時期」または顧客履歴情報に基づく「特定時期」に基づいて取捨選択することに代えて、顧客個人情報に基づく「地域情報」または顧客履歴情報に基づく「地域情報」に基づいて取捨選択することは、当業者であれば適宜になし得る設計事項にすぎないものである。

そして、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、顧客個人情報に基づく「特定時期」または顧客履歴情報に基づく「特定時期」に基づいて取捨選択することに代えて、顧客個人情報に基づく「地域情報」または顧客履歴情報に基づく「地域情報」に基づいて取捨選択するのであれば、そのため、前記顧客個人情報に基づく「特定時期」と共に、前記顧客履歴情報に基づく「特定時期」を抽出することに代えて、前記顧客個人情報に基づく「地域情報」と共に、前記顧客履歴情報に基づく「地域情報」を抽出することは、当業者であれば適宜になし得るものである。

したがって、相違点3に係る本願発明1の構成は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点4について)

例えば、国際公開第97/03404号にみられるように、顧客個人情報に基づく顧客に固有の情報に基づいて取捨選択する情報を、サービス提供者から取得した情報とすることは、周知技術である。

してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、顧客個人情報に基づく顧客に固有の情報に基づいて取捨選択する情報として、取得した前記サービス情報を採用することは、当業者であれば適宜になし得る設計事項にすぎないものである。

したがって、相違点4に係る本願発明1の構成は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明1の作用効果も、引用文献1発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)結論

よって、本願発明1は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

5.むすび

上記のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2010-02-10 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-15 
出願番号 特願2001-303565(P2001-303565)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 田代 吉成
山本 穂積
発明の名称 識別情報統括方法、ポータル情報提供装置及び識別情報統括プログラム  
代理人 角田 芳末  
代理人 伊藤 仁恭  

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