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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B64D
管理番号 1215961
審判番号 不服2009-8483  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-20 
確定日 2010-05-06 
事件の表示 特願2007-250104「シートユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 4月 3日出願公開、特開2008- 74398〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年12月13日(パリ条約による優先権主張 1994年12月13日 (GB)グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国 1995年 6月 2日 (GB)グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)に出願した特願平7-324842号の一部を分割して平成19年9月26日に新たな特許出願としたものであって、その各請求項に係る発明は、平成20年8月14日付けの手続補正に係る明細書の特許請求の範囲の請求項1から32に記載された事項によって特定されるものであって、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。

「航空機のための乗客の収容ユニットであって、
第1のシートと、前記第1のシートの前方に配置され且つ一つの面を有する第2のユニットとを具備しており、
前記第1のシートが、
背もたれ部分と、
前記背もたれ部分を略直立位置と略水平位置との間で連続的に傾倒することができるように前記背もたれ部分を支持するサポートと、
座部分と、
前記座部分を支持するサポートであり、前記背もたれ部分が傾倒される場合には前記座部分を前方に移動させるように、且つ、前記背もたれ部分が前記略直立位置の方向に移動される場合には前記座部分を後方に移動させるように配置されているサポートと、
前記座部分と共に移動するように連結されたレッグサポートであり、引き込み位置と引伸し位置との間で位置決め可能であるレッグサポートと、
を備え、
前記略水平位置に前記背もたれ部分があり且つ前記引伸し位置に前記レッグサポートがある場合に、前記背もたれ部分、前記座部分、前記レッグサポート及び前記第2のユニットの面が協働して略平坦で連続的な寝台面を形成するように、前記第1のシート及び前記第2のユニットが互いに対して配置されている、収容ユニット。」(以下、「本願発明」という)

2.引用文献の記載事項
(1)原査定の平成20年3月11日付け拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である独国特許発明第714911号明細書(以下、「引用例1」という)には、次の事項が記載されている。

a:「Die Erfindung bezieht sich auf ein Fahr-zeug, insbesondere ein Schienenfahrzeug mit Sitzliegestuehlen. Waehrend fuer kurze Strekken in erster Linie das Fassungsvermoegen eines Fahrzeugs fuer seine Verkehrsleistung massgeblich ist, kommt bei der Ueberwindung laengerer Fahrstrecken, insbesondere fuer ganz- oder mehrtaegige Fahrten, die Befriedigung des Fahrgastes hinsichtlich der Bequemlichkeit hinzu. Insbesondere soll ihm Gelegenheit zur koerperlichen Entspannung gegeben sein. Die ueblichen Schlaf- und Liegewagen geben zwar fuer die Nachtfahrt eine etwas groessere Bequemlichkeit, sie haben aber ein nur geringes Fassungsvermoegen und bieten bei Tage hoechstens die Bequemlichkeit eines gepolsterten Sitzabteiles.
Durch die Erfindung wird der Vorteil erreicht, dass bei sparsamster Raumausnutzungeine groesstmoegliche Bequemlichkeit fuer jeden einzelnen Fahrgast gewonnen wird.」(1ページ左欄1?21行)
[翻訳]
「本発明は、リクライニングシートを有する車両、特に軌条車両、に関するものである。短距離の場合まずなによりも車両の収容能力が車両輸送能力にとって決定的であるのに対して、長距離を走行する場合には、特に終日又は数日間走行する場合、乗客の快適性に関する満足度が加わる。特に、身体をリラックスする機会が乗客に与えられていなければならない。通常の寝台車、簡易寝台車は、夜間走行の間多少大きな快適性を提供するのではあるが、しかし収容能力が小さく、日中はせいぜいクッション付シー卜部分の快適性を提供するだけである。
省スペースで空間を利用して個々の乗客に最大限の快適性が得られるという利点が本発明によって達成される。」

b:「Das Neue der Erfindung besteht in der Vereinigung folgender Merkmale:
1. fuer je einen Fahrgast bestimmte kojen oder kabinenartig abgegrenzte Fahrgastraeume von der Breite eines Sitzliegestuhles stossen mit einer Laengsseite aneinander,
2. der Zutritt zu den kojen- oder kabinen artigen Fahrgastraeumen erfolgt nur von einer Sclmalseite aus,
3. der Sitzliegestuhl des Fahrgastraumes hat eine bewegliche Rueckenlehne und einen beweglichen Fussteil, die miteinander verbunden sind und deren Bewegungen zwangslaeufig erfolgen, so dass bei sparsamer Raumausnutzung eine groesstmoegliche Bequemlichkeit jedes einzelnen Fahrgastes erzielt wird.
Bei Anwendung der Erfindung wird jedem Fahrgast ein Raum zur Verfuegung gestellt, in welchem er wahlweise sitzend oder liegend den Koerper entspannen kann.」(1ページ右欄32?51行)
[翻訳]
「本発明の新規な点は、
1.リクライニングシートの幅で各乗客用に指定されたブース状又はキャビネット状客室が長辺面を相隣接させており、
2.ブース状又はキャビネット状客室への出入りが短辺面側からのみ行われ、
3.客室のリクライニングシー卜が、互いに結合された可動背もたれと可動足部とを有し、両者の運動が強制的に行われ、省スペースで空間を利用して個々の乗客の最大限の快適性が達成される、
以上の特徴を統合したことにある。
本発明を適用すると、選択的に着座し又は横にして身体をリラックスさせることのできる空間が各乗客に用意される。」

c:「Nach Abb.1 ist der Wagenkasten 1 durch eine diagonal verlaufende Trennwand 2 in ein unteres Geschoss 3 und ein obenes Geschoss 4 unterteilt. An beiden Aussenseiten entsteht ein Gang 6 bzw. 8 normaler Hoehe mit Fenstern 5 und 7.
Fuer den einzelnen Fahrgast ist je ein Sitz 9 angeordnet, welcher durch Zuruecksenken der Rueckenlehne und zwangslaeufig gleichzeitiges Heben des Fussteiles aus der Sitzstellung ueber Zwischenstellungen in die Liegestellung gebracht werden kann. Hinter jedem Sitzliegestuhl ist ein Fenster 11 bzw. 12 vorgesehen.」(1ページ右欄56行?2ページ左欄10行)
[翻訳]
「図1によれば車体1が対角線状に延びる仕切壁2によって下側階層3と上側階層4とに仕切られている。窓5、7を有する通常の高さの通路6若しくは8が両方の外面に生じる。
個々の乗客のために各1つのシート9が配置されており、このシートは背もたれを後方に下げて同時に足部を強制的に持ち上げることによって着座位置から中間位置を介して寝伏位置へと移動させることができる。各リクライニングシートの背後に窓11若しくは12が設けられている。」

d:「Abb. 2 zeigt die verschiedenen Stellungen, welche die Fahrgaeste einnehmen koennen, ohne dass sie zwecks Aenderung der Einstellung des Sitzliegestuhles diesen verlassen muessen. Die Person 15 ist in der Abb. 2 in sitzender Stellung gezeichnet, waehrend sie auf einem Klapptisch 14 schreibt. Der Fahrgast 16 in halbzurueckgelehnter Stellung liest ein Buch, der Fahrgast 17 hat sich in die bequeme Liegestellung zurueckgelegt, in welcher der Koerper nicht vollkommen gestreckt ist, sondern die erfahrungsgemaess bequemste Lage in Zickzackform eingenommen hat, welche die groesste koerperliche Entspannung bietet. In der Abbildung ist nicht dargestellt, dass die einzelnen Fahrgastraeume 10 auch vorn durch eine Tuer oder einen Vorhang abgeschlossen sein koennen. Fuer die Unterbringung des Gepaecks18, 19 ist Raum sowohl unter wie auch hinter jedem Sitzliegestuhl vorhanden.」(2ページ左欄52行?右欄71行)
[翻訳]
「図2に示すさまざまな位置を乗客は、リクライニングシートの調整変更を目的にリクライニングシ一トから離れる必要もなしに、占めることができる。乗客15が図2では着座位置で示されており、折り畳式テーブル14上で筆記している。半分倒した位置の乗客16は読書しており、乗客17は快適な寝伏位置で横たわり、身体を完全に伸ばしているのではなく、最大の身体リラックスを提供するジグザグ形状の本発明により最も快適な姿勢を占めている。個々の客室10がドア又はカーテンによって前方も密閉可能であることは図示されていない。荷物18、19を収容するための空間が各リクライニングシー卜の下にも背後にも設けられている。」

e:「Die Anwendung der Erfindung ist nicht nur bei Eisenbahnfahrzeugen, sondern auch bei anderen Fahrzeugen, z.B. bei Ueberlandomnibussen, Verkehrsflugzeugen und Luftschiffen moeglich.」(2ページ右欄82行?86行)
[翻訳]
「鉄道車両だけでなく、他の車両、例えば長距離バス、旅客機、飛行船でも、本発明の適用は可能である。」

引用例1のリクライニングシートは鉄道車両だけではなく、旅客機、すなわち航空機にも適用可能なものであり(記載事項e)、リクライニングシートの可動背もたれ部分は、着座位置、半分倒した位置及び寝伏位置に傾倒することができるものであって、着座位置にあるときはほぼ直立しており、寝伏位置にあるときはほぼ水平位置にあるものである(記載事項c、d及び図1、2)。
また、可動足部は座部分とともに移動するように連結されていることも明らかである(記載事項c、d及び図1、2)。

上記の事項から、引用例1には以下の発明が記載されている。
航空機のための乗客のリクライニングシートであって、リクライニングシートが、可動背もたれ部分を備え、前記可動背もたれ部分は略直立位置と略水平位置との間で傾倒することができるようになっており、座部分と、前記座部分と共に移動するように連結された可動足部とを備えるリクライニングシート。 (以下「引用発明」という。)

(2)同じく原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平4-8284号(実開平6-13594号)のCD-ROM(以下、「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。

f:「【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】基台、床等の座部を前後に案内できる案内手段と、該案内手段上を移動できる座部の後部に軸支された背凭れと、該背凭れと前記案内手段との間に伸縮可能に設けられたシリンダ等の伸縮手段と、前記案内手段に一端が軸支され他端が背凭れに軸支され、かつ、前記伸縮手段の縮小の際に背凭れを前方に移動させながら上向きに傾倒させるリンクとを備えたことを特徴とするリクライニング装置付椅子。」

g:「【0001】【産業上の利用分野】本考案は、主として車両、船舶等の交通機関に搭載され、これに腰掛けて、背凭れを起立させた起立姿勢、或いは半ば上向きの仰臥姿勢としたリクライニング姿勢とに変更可能な、特に前記交通機関等の限定されたスペースに設置されるリクライニング装置付椅子に関する。」

h:「【0002】【従来の技術】主として車両、船舶等の交通機関に使用されているリクライニング装置付椅子においては、固定されている座部の後端付近を支点として、背凭れが後方に伏倒可能に取り付けられ、その伏倒の係止を解除することで任意の角度まで背凭れを伏倒できるようになっており、また、稀に背凭れの伏倒に際して座部が前方にスライドするものもある。」

i:「【0009】【作用】本考案のリクライニング装置付椅子は、伸縮手段の縮小の際に背凭れの頭部に近い部分はそのまま下降すると共に、案内手段に軸支されたリンクによって案内手段上を座部が前方に移動し、かつ、背凭れの中間部は前方に向かって押されて伏倒状態となりリクライニングが行われるものである。」

j:「【0010】【実施例】次に、本考案の実施の一例を図1?図3について以下に説明する。
1は車両等の床面、2は床面1に固定された内部に暖房装置等を内蔵したスライド台2にして、このスライド台2にはコ字状をした一対のガイド2aが固定されている。
【0011】3は座部、4は該座部3の前方下面に支柱5を介して取付けられた床面1上をスライドする車輪、6は座部3の左右側面に固定されたスライド板にして、後端に取付けられたローラ6aが前記ガイド内を移動するように構成されている。
【0012】7は座部3の左右側面後方に取付けられたステイ、8は背凭れ、9は該背凭れ8の左右側面下方に取付けられたアームにして、連結板10を介して前記ステイ7と回動可能に軸支されている。
【0013】11は下端が前記スライド台2の後方中央部に回動可能に取付けられ、上端が前記背凭れ8の背面中央部に回動可能に取付けられたエアーシリンダ等の伸縮手段、12はスライド台2に固定されたブラケット2bに下端が回動可能に取付けられ、上端が背凭れ8の側面中央部に回動可能に取付けられたリンクである。
【0014】13は背凭れ8の上端に取付けられ上下前後に動かすことが可能なヘッドレスト、14は座部3の下面に対して出入自在に取付けられた足載台にして、下面に床面1上を前後に移動可能な車輪14が支柱15を介して固定されている。そして、車輪14を床面1上をスライドさせることで、足載台14は座部3の下側に格納、前方への引出しが可能となるものである。
【0015】17は座部3の側面前方に取付けられたハンドルにして、下端に可撓性のワイヤー18の一端が連結されている。また、このワイヤー18の他端は前記伸縮手段の伸長、収縮をロックするためのロック手段11aに連結されている。
【0016】このリクライニング装置付椅子は、通常の状態では、図1の実線で示したように、背凭れ8が起立状態となっているが、これをリクライニングしようとする際には、ハンドル17を手前に引くと、ワイヤー18を介してロック手段11aが引かれて、伸縮手段11の伸長がフリーな状態となる。
【0017】そこで、座部3に腰掛けた状態のまま、これを前方にスライドさせるようにすれば、スライド板6のローラ6aがガイド2a内を移動する。この移動において背凭れ8はリンク12にも支持されているので、リンク12は下端を支点として回動される。従って、伸縮手段11が縮小状態となるように圧縮しながら、背凭れ8の伸縮手段11の取付け点が前下方向に移動する。
【0018】そのため、背凭れ8は、そのヘッドレスト13の位置を前後方向には殆ど移動させずに下降させるようにして上向き方向に傾倒すると共に、座部3の前方への移動が行われ、図1の2点鎖線で示したリクライニング状態となる。
【0019】このように、リクライニング状態にある時にハンドル17を引けば伸縮手段11はフリーな状態となるので、座部3を後方にスライドさせることにより前記した動作とは逆の動作となって、リンク12が起立して背凭れ8が起立状態になると共に座部3も後方に移動し、最初の背凭れ8の起立状態に戻るものである。
【0020】また、前述のようにハンドル17を引きながら座部3のスライド量を調節した後に、ハンドル17を戻してロック手段11aをロックすることにより、リクライニング角度の調節が行われるものである。なお、足載台16は、これを手動で引き出して2点鎖線で示す座部3の前方の位置とし、リクライニング時に足を載せて休むことができ、また、これを座部3の下側に格納して背凭れ8の起立時に邪魔にならないようにするものである。」

(3)同じく原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平1-62678号(実開平3-1837号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という)には、次の事項が記載されている。
k:「【実用新案登録請求の範囲】車室フロア上で相対向して配置させ得る前、後一対をなすシートを備えてなる自動車用座席装置において、前記一方のシートにおけるシートクッション体およびシートバック体を、それぞれメイン構成体とそのシート表面側に積層して配置されるサブ構成体から構成し、シートクッション体のサブ構成体を他方シート側に移動させるとともにシートバック体のサブ構成体を、シートクッション体のメイン構成体表面側に移動させるように構成し、かつ前記シートバック体のメイン構成体におけるシート表面部分に折畳み式テーブル、物品収納部を設けたことを特徴とする自動車用座席装置。」(1ページ4?17行)

l:「〔産業上の利用分野〕 本考案は、たとえばワンボックスタイプの自動車等において着座者の安楽姿勢等を確保するために相対向して配置されるフロント側またはリヤー側のシートにおけるシートクッション体およびシートバック体の一部を可動可能に構成することでリクライニングまたはフルフラットとしてシート機能を発揮させ得るとともに、シートバック体側にテーブルや物置きトレイ等としての機能を持たせてなる自動車用座席装置に関する。」(1ページ下から2行?2ページ8行)

m:「そして、このような構成によれば、ワンボックスタイプの自動車等において着座者の安楽姿勢等を確保するために相対向して配置される前、後一対のシート1,2のうち、フロント側の中間部シート2におけるシートクッショヨン体10およびシートバック体11を構成するサブ構成体14,15を、それぞれのメイン構成体12,13に対し、第2図に示すように相手側シート1側にスライド移動させ、シートクッション体10側のサブ構成体14先端部を、相手側シート1のシートクッション体1a側に適宜の掛止め手段(図示せず)により掛止め固定することで、このシート2のリクライニングシート化やフルフラットシート化を図れるものである。」(8ページ6?19行、第2図)

3.対比・判断
引用発明の「リクライニングシート」は、本願発明の「収容ユニット」に対応し、また、引用発明のリクライニングシートは、鉄道車両だけでなく航空機にも適用できるものである(記載事項e)。引用発明の「可動足部」は、本願発明の「レッグサポート」に対応する。引用発明の「シート」は、本願発明の「第1のシート」に対応する。
上記を考慮して、本願発明と引用発明とを対比すると両者の一致点及び相違点は次のとおりであると認められる。

一致点:航空機のための乗客の収容ユニットであって、シートが、背もたれ部分を備え、前記背もたれ部分は略直立位置と略水平位置との間で傾倒することができるようになっており、座部分と、座部分と共に移動するように連結されたレッグサポートとを備える収容ユニット。

相違点1:本願発明では、第1のシートと、前記第1のシートの前方に配置され且つ一つの面を有する第2のユニットとを具備しているものであるのに対して、引用発明では、第2のユニットに対応するものを有していない点。

相違点2:本願発明では、背もたれ部分を略直立位置と略水平位置との間で連続的に傾倒することができるように前記背もたれ部分を支持するサポートを有するものであるのに対して、引用発明では、背もたれ部分を略直立位置と略水平位置との間で傾倒することができるが、連続的ではなく着座位置、半分倒した位置及び寝伏位置の3つの位置に傾倒されるものであり、また、背もたれ部分を支持するサポートについては、特に記載がなされていない点。

相違点3:本願発明では、座部分を支持するサポートであり、背もたれ部分が傾倒される場合には前記座部分を前方に移動させるように、且つ、前記背もたれ部分が略直立位置の方向に移動される場合には前記座部分を後方に移動させるように配置されているサポートを有しているのに対して、引用発明では、そのようなサポートについては記載がない点。

相違点4:本願発明では、引き込み位置と引伸し位置との間で位置決め可能であるレッグサポートを有しているのに対して、引用発明では、移動可能なレッグサポートを有してはいるが、引き込み位置と引伸し位置との間で位置決め可能とはなっていない点。

相違点5:本願発明では、略水平位置に背もたれ部分があり且つ引伸し位置にレッグサポートがある場合に、背もたれ部分、座部分、レッグサポート及び第2のユニットの面が協働して略平坦で連続的な寝台面を形成するように、第1のシート及び第2のユニットが互いに対して配置されているものであるのに対して、引用発明では、そのような記載がない点。

上記の各相違点について検討する。
[相違点1について]
本願発明では、第1のシートと、前記第1のシートの前方に配置され且つ一つの面を有する第2のユニットとを具備しているが、引用例3には、自動車等において着座者の安楽姿勢等を確保するために前、後一対のシートを相対向して配置することが記載されており(記載事項m及び第2図)、引用発明においても、第1のシートの前方に配置され且つ一つの面を有する第2のユニットを設けることに何ら困難性は認められず、当業者が容易になし得ることにすぎない。

[相違点2について]
本願発明は、背もたれ部分を略直立位置と略水平位置との間で連続的に傾倒することができるように前記背もたれ部分を支持するサポートを有するものである。
引用例2には、車両、船舶等の交通機関に使用されているリクライニング装置付椅子においては、固定されている座部の後端付近を支点として、背凭れが後方に伏倒可能に取り付けられ、その伏倒の係止を解除することで任意の角度まで背凭れを伏倒できるようにすることが記載されており(記載事項h)、本願発明のように背もたれ部分を略直立位置と略水平位置との間で連続的に傾倒させることは当業者が容易になし得ることである。
また、背もたれ部分を傾倒させるためには何らかのサポートをする機能を有する部材が必要であることは当然のことであり、引用例2においてもそのような機能を持つ部材が設けられていることは明らかである(記載事項j)。
よって、引用発明において、背もたれ部分を略直立位置と略水平位置との間で連続的に傾倒することができるように前記背もたれ部分を支持するサポートを有するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

[相違点3について]
本願発明は、座部分を支持するサポートであり、背もたれ部分が傾倒される場合には前記座部分を前方に移動させるように、且つ、前記背もたれ部分が略直立位置の方向に移動される場合には前記座部分を後方に移動させるように配置されているサポートを有している。
しかし、リクライニングシートにおいて、座部分が背もたれ部分が傾倒される場合には前方に移動するようにし、背もたれ部分が略直立位置の方向に移動される場合には後方に移動するように配置することは、引用例2の記載事項j(特に段落【0018】、【0019】)に記載されているように公知の事項であって、引用発明においてもそのような構成とすることに何ら困難性は認められないし、そのような機能を持つ部材、すなわち本願発明でいうサポートが設けられることも当業者が容易になし得ることである。

[相違点4について]
本願発明では、引き込み位置と引伸し位置との間で位置決め可能であるレッグサポートを有しているが、レッグサポート(足載台)を座部の下側に格納、前方への引出しが可能とすることは、引用例2の記載事項j(特に、段落【0014】)に記載されているように公知の事項であって、引用発明においてもそのような構成とすることに何ら困難性は認められない。

[相違点5について]
本願発明では、略水平位置に背もたれ部分があり且つ引伸し位置にレッグサポートがある場合に、背もたれ部分、座部分、レッグサポート及び第2のユニットの面が協働して略平坦で連続的な寝台面を形成するものであるが、リクライニングシートを倒した時にフルフラット、すなわち平坦で連続的な寝台面とすることは引用例3に記載されており、レッグサポート及び第2のユニットの面も含めて平坦な面とすることについても当業者が容易になし得る程度のことにすぎない。

そして、本願発明が奏するという作用効果についても、格別のものとは認められない。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1から3に記載されている事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-11-18 
結審通知日 2009-11-24 
審決日 2009-12-09 
出願番号 特願2007-250104(P2007-250104)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B64D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 友也  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 藤井 昇
植前 津子
発明の名称 シートユニット  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 山田 行一  
代理人 城戸 博兒  
代理人 中山 浩光  
代理人 池田 成人  
代理人 池田 正人  
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