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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 C09K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C09K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C09K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09K
管理番号 1216045
審判番号 不服2007-5655  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-22 
確定日 2010-05-06 
事件の表示 特願2001-216259「光源およびそれを用いた画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年1月29日出願公開、特開2003-27057〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成13年7月17日の出願であって、平成18年9月20日付けで拒絶理由が通知され、同年11月27日に意見書及び手続補正書が提出され、平成19年1月15日に拒絶査定がされ、これに対して、同年2月22日に審判が請求されるとともに、明細書についての手続補正書が提出された後、平成21年5月19日付けで審尋がされ、同年7月24日に回答書が提出されたものである。

第2 平成19年2月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成19年2月22日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成19年2月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成18年11月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1である、
「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部と、前記紫外可視励起光発生部から発生する紫外可視光を励起光として照射することにより第2の可視光を発生する蛍光膜を有する蛍光発光部とを備え、前記紫外可視励起光発生部からの第1の可視光と前記蛍光発光部からの第2の可視光とを混色させることにより白色光を得る光源であって、前記蛍光膜は、次の組成式で表わされる蛍光体を含み、かつ前記蛍光体は、CuのKα特性エックス線を用いたエックス線回折強度の測定によって、GdAlO_(3)の(211)方位の回折線が,上記組成蛍光体の(420)方位の回折線に対し1/5以下の強度をもつことを特徴とする光源。
蛍光体組成式 (L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12):M_(d) 但し、LはLa、Y、Lu及びScの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で、0≦a<1.0、0<b≦0.1、0≦c≦1.0の組成範囲にあり、Mは一族金属元素不純物であり、その含有量dが0<d≦1000重量ppmの範囲である。」
を、
「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部と、前記紫外可視励起光発生部から発生する紫外可視光を励起光として照射することにより第2の可視光を発生する蛍光膜を有する蛍光発光部とを備え、前記紫外可視励起光発生部からの第1の可視光と前記蛍光発光部からの第2の可視光とを混色させることにより白色光を得る光源であって、白色光のスペクトル成分が波長550nmを代表波長とする緑色強度と波長650nmを代表波長とする赤色強度の強度比が、赤色強度/緑色強度=0.5以上であり、前記蛍光膜は、次の組成式で表わされる蛍光体を含み、かつ前記蛍光体は、CuのKα特性エックス線を用いたエックス線回折強度の測定によって、GdAlO_(3)の(211)方位の回折線が,上記組成蛍光体の(420)方位の回折線に対し1/5以下の強度をもつことを特徴とする光源。
蛍光体組成式 (L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12):M_(d) 但し、LはLa、Y、Lu及びScの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で、0.5≦a≦0.99、0<b≦0.1、0≦c≦1.0の組成範囲にあり、Mは一族金属元素不純物であり、その含有量dが0<d≦1000重量ppmの範囲である。」
とする補正を含むものであって、上記請求項1についての補正は、「白色光のスペクトル成分が波長550nmを代表波長とする緑色強度と波長650nmを代表波長とする赤色強度の強度比が、赤色強度/緑色強度=0.5以上であ」るとの発明特定事項を追加する補正(以下、「補正A」という。)を含むものである。

2 補正の適否
(1)新規事項の追加の有無
願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、補正Aによって新たに追加された白色光の「赤色強度/緑色強度」の比について、明示の記載はない。
そして、当初明細書等の発明の詳細な説明の段落【0016】には、「赤色発光成分を増強し、白色光源の特性を改善するために、上記組成式の蛍光体にGdを導入する」、「従来品(従来技術を用いた試料)の母材Y_(3)(Al_(1-z)Ga_(z))_(5)O_(12)にCeを付活した蛍光体を使用した場合、発光スペクトルにおいて、緑色の発光が赤色発光に対し極端に強く、色温度を6000K付近に調整することができない。ところが、この母材にGdを加えることにより、赤色発光成分を増加させることができる。」の記載があり、「緑色の発光」と「赤色発光」とを光の強度において対比していることまでは認められるが、特定の「緑色」強度に対する特定の「赤色」強度の比の値について、まして、その強度の比の値の下限が「0.5」であることについては何ら示唆するところはない。
また、図6,7,10には、白色光源の発光スペクトルが図示されている。しかし、これらの発光スペクトル図が、特定の「緑色」強度に対する特定の「赤色」強度の比の値の下限が「0.5」であることまでを示唆するものではない。
他に、当初明細書等に白色光の「赤色強度/緑色強度」の比の値の下限が「0.5」であることを示唆するところはなく、白色光の「赤色強度/緑色強度」の比の値が「0.5以上」であることは、当初明細書等の記載から自明な事項であるとはいえない。
したがって、補正Aは、「当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないもの」であるとはいえないから、補正Aは願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項の要件を満たさないものである。

(2)目的要件の適否
補正Aにより新たに追加された技術的事項である、特定の「緑色」強度に対する特定の「赤色」の強度比は、補正前の発明に対応する概念の発明特定事項がないものであり、補正前の発明の発明特定事項の一つ以上を概念的により下位の発明特定事項とする補正とはいえない。
そして、この補正Aが、請求項の削除、明りょうでない記載の釈明ないし誤記の訂正に相当するものでないことも明らかである。
したがって、補正Aは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項各号に規定する要件のいずれにも該当しないものである。

(3)独立特許要件
以上のとおり、補正Aは、特許法第17条の2第3項の要件を満たすものではなく、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号を目的とするともいえないものであるが、たとえ、補正Aを含めた上記請求項1についての補正が、特許法第17条の2第3項の要件を満たすもので、かつ平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号を目的とするものといえるとしたとしても、以下の<理由>のとおり、補正後明細書(以下「本件補正明細書」という。)の特許請求の範囲における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、上記請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に適合しないものである。

<理由>
本件補正発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された、下記1の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

ア 刊行物及び刊行物の記載事項
(ア)刊行物
特開2000-265169号公報
特開平10-107325号公報
国際公開第99/33934号
(これらの刊行物は、審査における拒絶理由通知において引用された引用文献等の「2.」、「3.」、「4.」である。以下、それぞれ「刊行物1」、「刊行物2」、「刊行物3」という。)

(イ)刊行物1(特開2000-265169号公報)の記載事項
刊行物1には、以下の事項が記載されている。
1a「【請求項1】 作業波長を調整可能な黄色光蛍光粉末であって、作業波長が430nm?470nmの青色光照射後に黄色光を発生し、且つこの黄色光蛍光粉末の配分が(Y_(1-p-x) Ce_(p) Gd_(x ))_(3 )Al_(5 )O_(12)とされ、青色光の作業波長が変化する時に、ガドリニウム(Gd)のモル比率xを調整することで黄色光蛍光粉末が高効率の黄色光転換率を維持可能であることを特徴とする、黄色光蛍光粉末。
【請求項2】 0≦p≦0.05、0≦x≦1であることを特徴とする、請求項1に記載の黄色光蛍光粉末。

【請求項4】 以下のステップ、即ち、
1.Y_(2) O_(3) 、Ce(NO_(3 ))_(3) 、Gd_(2) O_(3) 及びAl(NO_(3 ))_(3) を使用してモル比がY:Ce:Gd:Al=2.949-3x:0.051:3x:T、なお0≦x≦1の混合物を形成し、研磨混合後に、1000℃の空気中で24時間鍛造するステップ
2.1のステップで得られた物をさらに研磨混合し、さらに1500℃の空気中で24時間焼結させるステップ
3.2のステップで得られた物をさらに研磨した後、シリコンと重量比0.24:1を以て混合し、さらに波長430?470nmの青色光光源上にコーティングするステップ以上を包括してなる白色光源の製造方法。」(特許請求の範囲)
1b「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一種の白色光源の製造方法に係り、特に、青色光ダイオード及び青色光にトリガされて黄色光を発するイツトリウムアルミニウムざくろ石材料を利用する白色光源の製造方法であって、このイツトリウムアルミニウムざくろ石材料を固定量のセリウムを添加してあり且つサマリウムを含まないものとし、そのうちのガドリニウムの含有量を調整することで簡単に波長430?470の青色光源を組み合わせて高純度の白色光を発生するようにした方法に関する。」
1c「【0002】
【従来の技術】…最近(1996年9月)日本の日亜化学会社(Nichia Chemical)が、黄色系光を発生するイツトリウムアルミニウムざくろ石(Y_(3 )Al_(5) O_(12 ) ,Yttrium Aluminum-Garnet(YAG))蛍光粉末配合青色光発光ダイオードを開発し、高効率の白色光源を製造可能とした。そのうちのイツトリウムアルミニウムざくろ石蛍光粉末は青色光発光ダイオードの青色光照射後に黄色光を発生する。この黄色光ともともとのダイオードの青色光が混合されることで白色光を発生する。…この白色発光ダイオードを利用した照明器具は消費電力量が少なく、エネルギー資源を節約し、且つ将来的に自動車のメーターボードの周辺装置、液晶のバックライト、室内照明、ノートパソコンのディスプレイ、スキャナ、ファクシミリ及び軍事照明等の用途に応用可能である。」
1d「【0008】本発明の製造方法の特徴について図を参照しながら以下に説明する。図1は本発明の配分の(Y_(0.983-x) Ce_(0.017) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)蛍光粉末(0≦x≦1)のX光回折パターンである。xの値が0?0.6の時には単相の化合物が形成され、xが0.8の時には少数の不純物相が存在し、x>0.8の時には形成される化合物は大量の不純物相を含有した。Ia-3dの空間群で、且つ格子常数が12オングストロームの立方体構造を以て、上述のYAG化合物は指標化され、ゆえに本発明の配分がサマリウム(Sm)元素の存在によらない内添加法であり、0≦x≦0.8の範囲内で単相或いは単相に接近する化合物を形成し、外添加法の不純物相の発生する欠点を改善していることが証明された。」
1e「【0009】図2は本発明の(Y_(0.983-x) Ce_(0.017) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)蛍光粉末(0≦x≦0.6)のトリガスペクトルである。異なる添加量のガドリニウム(Gd)により、黄色光蛍光粉末を青色光(波長457nm)でトリガした吸収スペクトル帯は長波長へと移動し、即ち赤色シフトを発生し、これは即ち異なる波長の青色光と適当に組み合わせれることで、純度の高い白色光を発生しうることを示す。」
1f「【0011】図4は波長が470nmの青色光でガドリニウム(Gd)含有量(x)がそれぞれ0.2及び0.8の(Y_(0.983-x) Ce_(0.017) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)蛍光粉末をトリガしたスペクトルである。そのうち曲線4、5中のxは0.2及び0.8とされる。この図よりわかるように、x=0.2の時、緑色光を含む白色光を発生し、即ち純度の低い白色光を発生する。またx=0.8の時、純度の高い白色光を発生する。このことから、青色光の波長が470nmの時に純度の高い白色光を発生するために組み合わされるのはxの値が0.8の(Y_(0.983-x) Ce_(0.017) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)蛍光粉末でなくてはならない。」
1g「


1h「



(ウ)刊行物2(特開平10-107325号公報)の記載事項
刊行物2には、以下の事項が記載されている。
2a「【請求項1】LEDチップと、該LEDチップからの発光の少なくとも一部を吸収し波長変換して発光する蛍光物質と、を有する発光装置であって、
前記LEDチップが前記蛍光物質を有するコーティング部で被覆され配置される収納部と、該収納部内の前記LEDチップ及び蛍光物質から放出された光を反射させる反射部と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】前記LEDチップの発光層が窒化ガリウム系化合物半導体であって主発光ピークが400nmから530nm内の発光波長を有すると共に、前記蛍光物質が(RE_(1-x)Sm_(x))_(3)(Al_(1-y)Ga_(y))_(5)O_(12):Ceである請求項1記載の発光装置。
0≦x<1、
0≦y≦1、
但し、REは、Y,Gd,Laから選択される少なくとも一種の元素である。」(特許請求の範囲)
2b「【0029】(RE_(1-x)Sm_(x))_(3)(Al_(1-y)Ga_(y))_(5)O_(12):Ce蛍光体は、ガーネット構造のため、熱、光及び水分に強く、励起スペクトルのピークが470nm付近などにさせることができる。また、発光ピークも530nm付近にあり720nmまで裾を引くブロードな発光スペクトルを持たせることができる。しかも、組成のAlの一部をGaで置換することで発光波長が短波長にシフトし、また組成のYの一部をGdで置換することで、発光波長が長波長へシフトする。このように組成を変化することで発光色を連続的に調節することが可能である。したがって、長波長側の強度がGdの組成比で連続的に変えられるなど窒化物半導体の青色系発光を利用して白色系発光に変換するための理想条件を備えている。」
2c「【0030】また、窒化ガリウム系半導体を用いたLEDチップと、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体(YAG)に希土類元素のサマリウム(Sm)を含有させた蛍光体と、を有する発光装置については、さらに光効率を向上させることもできる。」
2d「【0031】このような蛍光体は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La及びGaの原料として酸化物、又は高温で容易に酸化物になる化合物を使用し、それらを化学量論比で十分に混合して原料を得る。又は、Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈したものを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して混合原料を得る。これにフラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して坩堝に詰め、空気中1350?1450°Cの温度範囲で2?5時間焼成して焼成品を得、次に焼成品を水中でボールミルして、洗浄、分離、乾燥、最後に篩を通すことで得ることができる。」
2e「【0032】(Y_(1-p-q-r)Gd_(p)Ce_(q)Sm_(r))_(3)Al_(5)O_(12)蛍光体は、結晶中にGdを含有することにより、特に460nm以上の長波長域の励起発光効率を高くすることができる。ガドリニウムの含有量の増加により、発光ピーク波長が、530nmから570nmまで長波長に移動し、全体の発光波長も長波長側にシフトする。赤みの強い発光色が必要な場合、Gdの置換量を多くすることで達成できる。一方、Gdが増加すると共に、青色光によるの発光輝度は徐々に低下する。したがって、pは0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。さらに好ましくは0.6以下である。」

(エ)刊行物3(国際公開第99/33934号)の記載事項
刊行物3には、以下の事項が記載されている。
3a「発明の開示
上記目的を達成するために本発明者らは、Ce(セリウム)を発光成分とする希土類酸化物蛍光体について鋭意研究した結果、Gd_(3)Al_(5-y)Ga_(y)O_(12)を母材とし、Ceを活性剤(発光成分)とすることにより発光効率が高く、残光が極めて低い蛍光体が得られることを見出した。またこの蛍光体の製造方法について研究した結果、原料粉末をフラックス成分と共に焼成してシンチレータ粉末とする際に、フラックス成分としてカリウムを含む化合物を用いたときに特に高い発光効率の蛍光体が得られることを見出した。
即ち、本発明の蛍光体は一般式(Gd_(1-z-x)L_(z)Ce_(x))_(3)Al_(5-y)Ga_(y)O_(12)(式中、LはLa又はYを表す。またzは0≦z<0.2、xは0.0005≦x≦0.002、yは0<y<5の範囲の値である。)で表わされる蛍光体である。
また本発明の蛍光体は、上記一般式で表わされる蛍光体であって微量のカリウムを含有するものである。」(2頁14?26行)
3b「本発明の蛍光体において、Gd(ガドリニウム)は、その一部をLa(ランタン)或いはY(イットリウム)で置換することができ、その場合にも残光の極めて低い蛍光体を得ることができる。但し、La或いはYの含有量が増加するに従い発光効率及びX線阻止能が低下するので、その含有量(Gdを置換する割合z)は0.2未満、好適には0.1未満とする。La或いはYを含まない場合に発光効率及びX線阻止能を最も高くすることができる。」(3頁14?19行)
3c「蛍光体(シンチレータ粉末)は次のようにして作製することができる。例えば、原料粉末としてGd_(2)O_(3)、Ce_(2)(C_(2)O_(4))_(3)・9H_(2)O、Al_(2)O_(3)及びGa_(2)O_(3)を化学量論的比率で配合し、必要に応じてフラックス成分とともにアルミナルツボ中で1550℃?1700℃で数時間焼成する。
フラックス成分は、原料の溶融温度を下げ、結晶化を促進するために添加される。フラックス成分としては、YAG系の蛍光体を焼成するときに用いられるBaF_(2)や、カリウム塩などのカリウム化合物を単独或いは混合して用いることができる。このうちK_(2)SO_(4)、KNO_(3)、K_(2)CO_(3)、K_(3)PO_(4)などのカリウム化合物が特に好ましい。」(4頁27行?5頁6行)
3d「本発明者らは、本発明の蛍光体を製造する際に使用するフラックス成分について種々の検討を行った結果、フラックスとしてカリウム化合物を用いて原料を焼成した場合、極めて発光効率の高い蛍光体が得られることを見出した。これはカリウム化合物が焼成時にGd_(3)(Al,Ga)_(5)O_(12)相の結晶の結晶化をさらに促進するとともに微量のカリウムが結晶中に取込まれることにより、発光効率を高めるものと推定される。
フラックスとしてのカリウム化合物の使用量は、生成される蛍光体1モルに対し、カリウムとして0.2?1.8モル、好適には0.4?1.6モル、より好適には0.8?1.2モルである。分子中にカリウムを2原子含む化合物、例えば硫酸カリウムでは、その使用量は、生成される蛍光体1モルに対し、0.1?0.9モル、好適には0.2?0.8、より好適には0.4?0.6モルである。
フラックスの量が上述した範囲より少ない場合にも多い場合にも、本来生成されるべき結晶相(Gd_(3)(Al,Ga)_(5)O_(12)相)とは異なる結晶相(異相)、例えばGdAlO_(3)相の結晶の析出量が多くなる傾向が見られる。またフラックスとしてのカリウム化合物を上述の範囲とすることにより、最終的に得られる蛍光体中に微量(500wtppm以下)のカリウムが導入され、高い発光効率の蛍光体が得られる。」(5頁7?23行)
3e「



イ 刊行物1に記載された発明
刊行物1は、「一種の白色光源の製造方法に係り、特に、青色光ダイオード及び青色光にトリガされて黄色光を発するイツトリウムアルミニウムざくろ石材料を利用する白色光源の製造方法」(摘示1b)が記載され、その「ざくろ石材料を利用する白色光源」についても記載されている。
その「白色光源」に利用される「黄色光を発するイツトリウムアルミニウムざくろ石材料」は、「(Y_(1-p-x )Ce_(p) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)」、「0≦p≦0.05、0≦x≦1」の「黄色光蛍光粉末」(摘示1aの請求項1、2)であり、その具体例として、「(Y_(0.983-x) Ce_(0.017 )Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)蛍光粉末(0≦x≦1)」(摘示1d)が記載され、x=0.6、0.8等の蛍光粉末(摘示1gの図1、摘示1hの図2。x=0.6、0.8のときYの係数はそれぞれ0.383(=0.983-0.6)、0.183となる。)が記載されている。また、蛍光粉末は、「波長430?470nmの青色光光源上にコーティング」され、蛍光体膜として「白色光源」とされるものである(摘示1a請求項4)。
そうすると、刊行物1には、
「青色光ダイオードと、青色光にトリガされて黄色光を発するイツトリウムアルミニウムざくろ石材料蛍光体膜とを備えた白色光を得る光源であって、前記ざくろ石材料蛍光体は、次の組成式で表わされる蛍光体を含む白色光源。
蛍光体組成式(Y_(0.383?0.183 )Ce_(0.017 )Gd_(0.6 ?0.8))_(3) Al_(5) O_(12)」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。

ウ 本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「青色光ダイオード」は、「430nm?470nmの青色光」(摘示1a)を発生するものであるところ、これは、本件補正発明における「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部」として例示されている「発光ピークが350?460nm近傍にある窒化ガリウム(GaN)系青色LED」(本件補正明細書の段落【0013】)と同等のものであるから、引用発明の「青色光ダイオード」は、本件補正発明の「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部」に包含されるといえる。また、引用発明の「青色光にトリガされて黄色光を発するイツトリウムアルミニウムざくろ石材料蛍光体」は本件補正発明の「前記紫外可視励起光発生部から発生する紫外可視光を励起光として照射することにより第2の可視光を発生する蛍光膜を有する蛍光発光部」ということができる。そして、引用発明の「白色光源」は、「イツトリウムアルミニウムざくろ石蛍光粉末は青色光発光ダイオードの青色光照射後に黄色光を発生する。この黄色光ともともとのダイオードの青色光が混合されることで白色光を発生する」(摘示1c)ものであるから、本件補正発明の「前記紫外可視励起光発生部からの第1の可視光と前記蛍光発光部からの第2の可視光とを混色させることにより白色光を得る光源」ということができる。
また、引用発明の蛍光体「(Y_(0.383?0.183 )Ce_(0.017 )Gd_(0.6 ?0.8))_(3) Al_(5) O_(12)」は、本件補正発明の「(L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12) 但し、LはLa、Y、Lu及びScの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で、0.5≦a≦0.99、0<b≦0.1、0≦c≦1.0の組成範囲である。」に包含される。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、
「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部と、前記紫外可視励起光発生部から発生する紫外可視光を励起光として照射することにより第2の可視光を発生する蛍光膜を有する蛍光発光部とを備え、前記紫外可視励起光発生部からの第1の可視光と前記蛍光発光部からの第2の可視光とを混色させることにより白色光を得る光源であって、前記蛍光膜は、次の組成式で表わされる蛍光体を含む光源。
蛍光体組成式 (L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12) 但し、LはLa、Y、Lu及びScの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で、0.5≦a≦0.99、0<b≦0.1、0≦c≦1.0の組成範囲である。)」
において一致するが、以下の点において相違するといえる。
A 蛍光体が、本件補正発明は、「一族金属元素不純物」を量dが「0<d≦1000重量ppmの範囲」含み、「CuのKα特性エックス線を用いたエックス線回折強度の測定によって、GdAlO_(3)の(211)方位の回折線が,上記組成蛍光体の(420)方位の回折線に対し1/5以下の強度をもつ」ものであるのに対し、引用発明は、「一族金属元素不純物」を含むものであるのか、上記エックス線回折強度であるのか、は明らかではない点
B 本件補正発明は、「白色光のスペクトル成分が波長550nmを代表波長とする緑色強度と波長650nmを代表波長とする赤色強度の強度比が、赤色強度/緑色強度=0.5以上」であるのに対し、引用発明の白色光は、そのスペクトル成分の上記比の値は、明らかではない点

エ 判断
上記A,Bの点について併せて検討する。
(ア)刊行物1には、(Y_(0.983-x) Ce_(0.017) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)蛍光体について、「異なる添加量のガドリニウム(Gd)により、黄色光蛍光粉末を青色光(波長457nm)でトリガした吸収スペクトル帯は長波長へと移動し、即ち赤色シフトを発生」(摘示1e)することが記載され、摘示1h(図2)のトリガスペクトルによれば、ガドリニウム(Gd)の添加量(x)の値が、0から0.6へと大きくなるほどトリガスペクトル帯が長波長へと移動することが認められる。さらに、xの値が、「0?0.6の時には単相の化合物が形成され」、「0.8の時には少数の不純物相が存在し」、「>0.8の時には形成される化合物は大量の不純物相を含有した」、「0≦x≦0.8の範囲内で単相或いは単相に接近する化合物を形成」(摘示1d)と記載されている。
また、刊行物2には、「(Y_(1-p-q-r)Gd_(p)Ce_(q)Sm_(r))_(3)Al_(5)O_(12)蛍光体は、結晶中にGdを含有することにより、特に460nm以上の長波長域の励起発光効率を高くすることができる。ガドリニウムの含有量の増加により、発光ピーク波長が、530nmから570nmまで長波長に移動し、全体の発光波長も長波長側にシフトする。赤みの強い発光色が必要な場合、Gdの置換量を多くすることで達成できる。」(摘示2e)こと、「Gdが増加すると共に、青色光によるの発光輝度は徐々に低下する。したがって、pは0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。さらに好ましくは0.6以下である。」(摘示2e)ことが記載されている。
そうすると、引用発明の蛍光体においては、Gdの置換量をより多くすることで赤みの強い発光色が得られるが、Gdが増加すると共に、青色光による発光輝度は徐々に低下するという課題があることは出願時において知られていたといえる。
そして、その発光輝度低下の原因の少なくとも一部は、本来の(Y_(0.983-x) Ce_(0.017) Gd_(x) )_(3) Al_(5) O_(12)結晶(Ln_(3)Al_(5)O_(12)型結晶)単相以外の不純物結晶の生成に起因することが出願時において知られていたといえる。

(イ)他方、刊行物3には、YAG系の蛍光体を焼成するときのフラックスの使用について記載され、「フラックス成分は、原料の溶融温度を下げ、結晶化を促進するために添加される」ものであること(摘示3c)、「フラックス成分としては、YAG系の蛍光体を焼成するときに用いられるBaF_(2)や、カリウム塩などのカリウム化合物を単独或いは混合して用いることができる」こと(摘示3c)、「このうちK_(2)SO_(4)、KNO_(3)、K_(2)CO_(3)、K_(3)PO_(4)などのカリウム化合物が特に好ましい」こと(摘示3c)、「本発明の蛍光体(審決注:Gd_(3)Al_(5-y)Ga_(y)O_(12)を母材とし、Ceを活性剤(発光成分)とする蛍光体(摘示3a))を製造する際に使用するフラックス…としてカリウム化合物を用いて原料を焼成した場合、極めて発光効率の高い蛍光体が得られることを見出した」(摘示3d)ことが記載され、摘示3eの図には、フラックスなし、及び各種フラックスを用いた場合の「Gd_(0.998)Ce_(0.002))_(3)Al_(3)Ga_(2)O_(12)」蛍光体の光出力が示されている。そして、極めて発光効率の高い蛍光体が得られるのは「カリウム化合物が焼成時にGd_(3)(Al,Ga)_(5)O_(12)相の結晶の結晶化をさらに促進するとともに微量のカリウムが結晶中に取込まれること」によると推定され(摘示3d)、「微量」とは「500wtppm以下」のカリウム(摘示3d)であることが記載されている。
すなわち、刊行物3には、YAG系の蛍光体を焼成するときフラックス成分を使用すると蛍光体の結晶化が促進されること、特に、フラックス成分としてカリウム化合物を用いて原料を焼成した場合、カリウムが微量(500wtppm以下)結晶中に取込まれ、その結晶化促進等により極めて発光効率の高い蛍光体が得られること、が示されている。

(ウ)そうすると、引用発明の蛍光体において、上記(ア)のとおり、Gdの置換量を多くすると共に、青色光によるの発光輝度は徐々に低下するという課題を有すること、その発光輝度低下の原因の少なくとも一部は、本来のLn_(3)Al_(5)O_(12)型結晶単相以外の不純物結晶の生成に起因すること、が知られていたのであるから、引用発明においてその蛍光体の発光輝度の向上のために、原料粉末を「カリウム塩などのカリウム化合物を単独或いは混合」したフラックス成分と共に焼成し、500wtppm以下の微量のカリウムが結晶中に取込まれたもの、即ち「一族金属元素不純物」を「0<d≦1000重量ppmの範囲」含むもの、とし、かつ、本来生成されるべき結晶相(Ln_(3)Al_(5)O_(12)型結晶)単相又は単相に近い蛍光体とすることは当業者が容易に想到し得ることである。
そして、その結果得られる蛍光体は、不純物結晶相(「例えばGdAlO_(3)」(摘示3d))がわずかなものであるから、不純物結晶相に基づく回折線の強度もわずかであり、上記本来生成されるべき結晶相の(420)方位の回折線に対する強度比も小さいもの(比が1/5以下)を含むものとなることは明らかであり、さらに、引用発明の蛍光体は発光スペクトルは、xがより小さいものに比し、「赤みの強い発光色が得られる」もの、すなわち「波長650nmを代表波長とする赤色強度」がより大きいものであって、さらにこれにカリウムが微量導入され発光強度が全体に向上(ラインが上へ移動)しているから、「白色光のスペクトル成分の波長550nmを代表波長とする緑色強度と波長650nmを代表波長とする赤色強度の強度比」が0.5以上のものを含むものとなることも明らかである。
そして、本件補正発明の効果が、刊行物1ないし3に記載した事項及び技術常識から予測されるところを超える顕著なものと認めることはできない。

オ <理由>のまとめ
したがって、本件補正発明は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

4 補正の却下の決定のまとめ
以上のとおり、補正Aは、特許法第17条の2第3項の要件を満たすものではなく、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号を目的とするともいえないものであり、また、たとえ補正Aを含めた上記請求項1についての補正が、特許法第17条の2第3項の要件を満たすもので、かつ平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号を目的とするものとしても、補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、上記請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に適合しないものである。
したがって、補正A又は請求項1についての補正を含む本件補正は、その余を検討するまでもなく、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成19年2月22日付け手続補正(本件補正)は却下されたから、この出願の発明は、本件補正前の、平成18年11月27日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されているとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部と、前記紫外可視励起光発生部から発生する紫外可視光を励起光として照射することにより第2の可視光を発生する蛍光膜を有する蛍光発光部とを備え、前記紫外可視励起光発生部からの第1の可視光と前記蛍光発光部からの第2の可視光とを混色させることにより白色光を得る光源であって、前記蛍光膜は、次の組成式で表わされる蛍光体を含み、かつ前記蛍光体は、CuのKα特性エックス線を用いたエックス線回折強度の測定によって、GdAlO_(3)の(211)方位の回折線が,上記組成蛍光体の(420)方位の回折線に対し1/5以下の強度をもつことを特徴とする光源。
蛍光体組成式 (L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12):M_(d) 但し、LはLa、Y、Lu及びScの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で、0≦a<1.0、0<b≦0.1、0≦c≦1.0の組成範囲にあり、Mは一族金属元素不純物であり、その含有量dが0<d≦1000重量ppmの範囲である。」

第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、「この出願については、平成18年 9月20日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものである。」というものであり、上記の「理由」とは、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明…(略)…に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
請求項:1-5
引用文献等:1-6
…」
というものである。
その「引用文献等:1-6」は、
「1.特表平11-500584号公報
2.特開2000-265169号公報
3.特開平10-107325号公報
4.国際公開第99/33934号
5.特開昭49-106486号公報
6.特開昭62-195078号公報」
である。

第5 当審の判断
当審は、本願発明は、原査定のとおり、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、と判断する。

1 刊行物、刊行物の記載事項、刊行物1に記載された発明
(1)刊行物
1.特開2000-265169号公報
(引用文献等の「2.」。第2の2(3)<理由>アにおける「刊行物1」。同様に「刊行物1」という。)
2.特開平10-107325号公報
(引用文献等の「3.」。同<理由>アにおける「刊行物2」。同様に「刊行物2」という。)
3.国際公開第99/33934号
(引用文献等の「4.」。同<理由>アにおける「刊行物3」。同様に「刊行物3」という。)

(2)刊行物に記載された事項
刊行物1ないし3に記載された事項は、それぞれ、同<理由>アの(イ)、(ウ)、(エ)のとおりである。

(3)刊行物1に記載された発明
刊行物1には、同<理由>イのとおり、
「青色光ダイオードと、青色光にトリガされて黄色光を発するイツトリウムアルミニウムざくろ石材料蛍光体膜とを備えた白色光を得る光源であって、前記ざくろ石材料蛍光体は、次の組成式で表わされる蛍光体を含む白色光源。
蛍光体組成式(Y_(0.383?0.183 )Ce_(0.017 )Gd_(0.6 ?0.8))_(3) Al_(5) O_(12)」
の発明(以下、同様に「引用発明」という。)が記載されているということができる。

2 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「白色光のスペクトル成分が波長550nmを代表波長とする緑色強度と波長650nmを代表波長とする赤色強度の強度比が、赤色強度/緑色強度=0.5以上」の特定事項がなく、本件補正発明のaの範囲「0.5≦a≦0.99」が「0≦a<1.0」に広がるものであるから、引用発明の蛍光体は、本願発明の「(L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12)」に包含される。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比したときの一致点は、
「第1の可視光と紫外光とを発生する紫外可視励起光発生部と、前記紫外可視励起光発生部から発生する紫外可視光を励起光として照射することにより第2の可視光を発生する蛍光膜を有する蛍光発光部とを備え、前記紫外可視励起光発生部からの第1の可視光と前記蛍光発光部からの第2の可視光とを混色させることにより白色光を得る光源であって、前記蛍光膜は、次の組成式で表わされる蛍光体を含む光源。
蛍光体組成式 (L_(1-a-b)Gd_(a)Ce_(b))_(3)(Al_(1-c)Ga_(c))_(5)O_(12) 但し、LはLa、Y、Lu及びScの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で、0≦a<1.0、0<b≦0.1、0≦c≦1.0の組成範囲である。」
であり、相違点は、以下A’の点のとおりである。
A’ 蛍光体が、本願発明は「一族金属元素不純物」を量dが「0<d≦1000重量ppmの範囲」含み、「CuのKα特性エックス線を用いたエックス線回折強度の測定によって、GdAlO_(3)の(211)方位の回折線が,上記組成蛍光体の(420)方位の回折線に対し1/5以下の強度をもつ」ものであるのに対し、引用発明は、「一族金属元素不純物」を含むものであるのか、上記エックス線回折強度であるのか、は明らかではない点

このA’の点は同<理由>ウのAの点と同じであるから、同<理由>エにおいてAの点について述べたのと同じことが、A’の点についてもいうことができ、本願発明は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということができる。

3 まとめ
したがって、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の発明について検討するまでもなく、この出願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-05 
結審通知日 2010-03-09 
審決日 2010-03-23 
出願番号 特願2001-216259(P2001-216259)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (C09K)
P 1 8・ 121- Z (C09K)
P 1 8・ 575- Z (C09K)
P 1 8・ 572- Z (C09K)
P 1 8・ 121- Z (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 滝口 尚良  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 橋本 栄和
細井 龍史
発明の名称 光源およびそれを用いた画像表示装置  
代理人 ポレール特許業務法人  

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