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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1216077
審判番号 不服2007-18097  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-28 
確定日 2010-05-06 
事件の表示 特願2002-370829「TV受信用増幅装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月15日出願公開、特開2004-201254〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年12月20日の出願であって、平成19年2月22日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月1日付けで手続補正がなされたが、同年5月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年7月27日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成19年7月27日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「アンテナからの信号を入力する入力端子と,当該入力端子からの信号を増幅する増幅回路と,当該増幅回路によって増幅された信号を出力する出力端子と,を備えたTV受信用増幅装置において,
前記増幅回路を構成する初段増幅器と終段増幅器との間の伝送路に,妨害波信号を除去するフィルタを設けることで,少なくとも終段増幅器には,前記フィルタを通過した信号が入力されるように構成され,
しかも,前記増幅回路はUHF帯用の増幅回路であり,前記フィルタは,470?770MHzを通過帯域とすると共に,810?885MHzを阻止帯域とし,阻止帯域減衰量を20dB以上とするよう構成されたことを特徴とするTV受信用増幅装置。」

3.引用例及び周知例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-204597号公報(以下、「引用例1」という。)、特開2002-325206号公報(以下、「引用例2」という。)、及び原査定の備考欄において周知例として引用された実願平1-8905号(実開平2-100354号)のマイクロフィルム(以下、「周知例」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例1)
A.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 アンテナ入力端子に入力側が接続されたRFブースタ部と、このRFブースタ部の出力側に接続されたテレビ出力端子と、前記RFブースタ部の出力側に接続されたRFモジュレータ部と、前記RFブースタ部の入力側に配置されて26?30MHzの信号成分を除去するトラップフィルタとを有することを特徴とするRFモジュレータ回路。」

B.「【0003】図4は、従来のRFブースタ付RFモジュレータ回路の一例を示しており、同図において、1はアンテナ入力端子、2は一端をアンテナ端子1に接続されたコンデンサ、3は一端をアンテナ端子1に接続されかつ他端を接地されてコンデンサ2と組み合わせられてフィルタを構成するコイルである。また、4はコンデンサ2の他端に接続されたアンプ、5はアンプ4の後段に接続されたアンプであり、これらのアンプ4、5はRFブースタ部6を構成している。
【0004】また、7はアンプ5の出力を受けるテレビ出力端子、8はアンプ4の出力側に接続されたビデオ出力端子、9はRFブースタ部6の出力側、すなわちアンプ5の出力側に接続されたRFモジュレータ部である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような構成では、アンテナから受信した信号成分中に26?30MHzの民生用無線送信機によって使用される信号成分を含んでおり、この民生用無線送信機の信号成分によって受信したRF信号が妨害を受けてしまい、1996年から施行されるセネレック規格に対応できない。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決するために、本発明では、RFブースタ部の入力側に26?30MHzの信号成分を除去するトラップフィルタを設けるようにした。
【0007】
【作用】このようにすれば、RF信号成分から民生用無線送信機の信号成分による妨害を軽減でき、セネレック規格に対応させることができる。」

C.「【0008】
【実施例】図1は、本発明によるRFモジュレータ回路の一実施例を示す回路図であり、図4と同じものは同符号を用いて示している。図1において、11はトラップフィルタであり、このトラップフィルタ11はRFブースタ部6の入力側と接地との間に直列接続されたコイル11aとコンデンサ11bとによって構成されている。このようにRFブースタ部6の入力側に、26?30MHzの信号成分を除去するトラップフィルタを設けると、図2に示されるように、RF信号成分から民生用無線送信機の信号成分による妨害を軽減でき、セネレック規格に対応させることができる。」

上記引用例1のものは、アンテナ入力端子1に入力されたテレビジョン信号をRFブースタ部6により増幅してテレビ出力端子7に出力する動作を行っており、「テレビジョン信号増幅装置」と呼び得るものである。
よって、上記A?Cの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「アンテナ入力端子1と,当該入力端子からの信号を増幅するアンプ4及びアンプ5を含むRFブースタ部6と,当該RFブースタ部6によって増幅された信号を出力するテレビ出力端子7と,を備えたテレビジョン信号増幅装置において,
前記RFブースタ部6の入力側に,妨害波信号を除去するトラップフィルタ11を設けるようにしたテレビジョン信号増幅装置。」

(引用例2)
D.「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、テレビジョン放送波を受信して映像及び音声を出力するテレビジョン受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン放送波の周波数帯域は各国毎で異なり、また、携帯電話に割り当てられている周波数帯域も各国で異なり、国によってはテレビジョン放送波の周波数帯域と携帯電話に割り当てられている周波数帯域とが極めて接近していることがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】テレビジョン放送波の周波数帯域と携帯電話に割り当てられている周波数帯域とが極めて接近してる場合、接近部分のチャンネル受信において携帯電話の電波が妨害電波となることがあり、何らかの対策が必要である。
【0004】この発明は、上記の事情に鑑み、電波妨害を防止できるテレビジョン受信装置を提供することを目的とする。」

E.「【0007】高周波入力段に900MHz帯トラップ回路を備えるのがよい。ここで、欧州においては、携帯電話で使用する周波数が895MHz?905MHzであり、上記900MHz帯トラップ回路を備えることで、上記携帯電話で使用する周波数895MHz?905MHzのテレビへの入力を減衰させることができる。」

F.「【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図1に基づいて説明する。図1はこの実施形態のテレビジョン受信装置の構成を示したブロック図である。
【0011】アンテナ1が接続される高周波回路2は、入力部と増幅部(RFAMP)とを備えている。入力部はアンテナ給電線と増幅部との入力インピーダンスを整合させる回路や妨害となる電波を排除する各種のトラップ回路を備える。増幅部は、入力部を経た信号を増幅する回路である。上記のごとく、入力部はテレビ電波以外の妨害となる電波を排除するトラップ回路を備え、希望信号のみを受信するような選択度特性を持たせているが、この実施形態においては、更に900MHzトラップ回路(図示せず)を備えている。」

G.「【0018】ここで、欧州におけるE69chは、fp=855.25MHz,fs=861.25MHzであり、携帯電話で使用する周波数は895MHz?905MHz帯である。そして、E69chについて上側ヘテロダイン検波方式を実行したとすると、図2(a)に示すように、局部発振周波数flocal =894.15MHz、中間周波数については、IFp=38.9MHz,IFs=32.9MHzとなる。この場合、局部発振周波数flocal =894.15MHzは携帯電話で使用する周波数895MHz?905MHz帯に近いため、これとの干渉による周波数妨害を受けやすくなる。」

H.「【0021】また、高周波回路2における入力部に900MHzトラップ回路(図示せず)を備えているため、妨害となる携帯電話周波数895MHz?905MHz帯を減衰させることができる。図3は従来との比較で900MHzトラップ回路を備えるこの実施形態の減衰度(dB)を示している。・・・(後略)・・・」

I.「【0023】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、電波妨害を防止できるという効果を奏する。特に欧州におけるE69chは、fp=855.25MHz,fs=861.25MHzであり、携帯電話で使用する周波数は895MHz?905MHz帯であり、このような状況において、本願のテレビジョン受信装置は、優れた電波妨害防止効果を得ることができる。」

上記Gで例示されている「欧州におけるE69ch」の周波数帯は、UHF帯(300MHz?3GHz)に含まれるものである。
よって、上記D?Iの記載及び関連する図面を参照すると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の発明」という。)
「UHF帯用のテレビジョン受信装置において、携帯電話で使用する周波数帯の信号を排除するトラップ回路を備えるようにすること。」

(周知例)
J.「[従来の技術]
従来の高周波受信機のIF妨害信号抑圧回路の一例を別紙添付図面の第5図に従って説明する。同図は衛星放送受信用のBSチューナの入力回路(1)を示す回路図である。同図に於て(2)は入力端子であり、パラボラアンテナ装置(図示せず)のBSコンバータによって1GHz帯に変換された受信電波が入力される。該受信電波はBPF(3)により不要帯域を減衰させてアンプ(4)で増幅された後に、直列共振トラップにて構成されたIF妨害信号抑圧回路(5)によつてIF妨害信号を除去する。そして、次段のアンプ(6)にて増幅し、トラッキングフィルタ(7)を経由してミキサー(8)によりオシレータ(9)の出力と混合され、IFアンプ(10)、BPF(11)を通り次段の復調回路(図示せず)に送出される。」

上記Jの記載及び第5図を参照すると、中間周波数に落とす前段階のアンプとして、「アンプ(4)」は「初段増幅器」、「アンプ(6)」は「終段増幅器」ということができるから、上記周知例には、次の技術が記載されているものと認められる。(以下、「周知技術」という。)
「初段増幅器と終段増幅器との間の伝送路に妨害信号抑圧回路を設けるようにすること。」

4.対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明における「アンテナ入力端子1」、「RFブースタ部6」、「アンプ4」、「アンプ5」、「テレビ出力端子7」、「テレビジョン信号増幅装置」、「妨害波信号を除去するトラップフィルタ11」は、それぞれ、本願発明における「アンテナからの信号を入力する入力端子」、「増幅回路」、「初段増幅器」、「終段増幅器」、「出力端子」、「TV受信用増幅装置」、「妨害波信号を除去するフィルタ」に相当する。
また、本願発明と引用例1記載の発明とは、入力端子から出力端子に至るまでの間の伝送路に「妨害波信号を除去するフィルタ(妨害波信号を除去するトラップフィルタ)」を設けた点において共通するものである。
よって、本願発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「アンテナからの信号を入力する入力端子と,当該入力端子からの信号を増幅する初段増幅器及び終段増幅器を含む増幅回路と,当該増幅回路によって増幅された信号を出力する出力端子と,を備えたTV受信用増幅装置において,
前記入力端子から前記出力端子に至るまでの間の伝送路に妨害波信号を除去するフィルタを設けるようにしたTV受信用増幅装置。」
である点。

(相違点)
相違点1:本願発明においては、「増幅回路を構成する初段増幅器と終段増幅器との間の伝送路に,妨害波信号を除去するフィルタを設けることで,少なくとも終段増幅器には,前記フィルタを通過した信号が入力されるように構成され」ているのに対し、引用例1記載の発明においては、「RFブースタ部6の入力側に,妨害波信号を除去するトラップフィルタ11を設けるように」している点。

相違点2:本願発明においては、「増幅回路はUHF帯用の増幅回路であり,フィルタは,470?770MHzを通過帯域とすると共に,810?885MHzを阻止帯域とし,阻止帯域減衰量を20dB以上とするよう構成され」ているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような特定はなされていない点。

5.当審の判断
そこで、上記相違点1,2について検討する。

(相違点1について)
上記周知例に見られるように、初段増幅器と終段増幅器との間の伝送路に妨害信号抑圧回路を設けるようにすることは、周知技術にすぎない。
そして、初段増幅器と終段増幅器との間の伝送路に妨害信号抑圧回路を設けるようにすれば、少なくとも終段増幅器には、妨害信号抑圧回路により抑圧された妨害信号以外の信号が妨害信号抑圧回路を通過して入力されるということは、当業者にとって自明である。
よって、引用例1記載の発明に対して上記周知技術を適用して、「増幅回路を構成する初段増幅器と終段増幅器との間の伝送路に,妨害波信号を除去するフィルタを設けることで,少なくとも終段増幅器には,前記フィルタを通過した信号が入力されるように構成」することは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点2について)
上記引用例2記載の発明によれば、UHF帯用のテレビジョン受信装置において、トラップ回路を用いて、携帯電話で使用する周波数帯の信号を排除するようにすることは、公知の技術にすぎない。
上記引用例2記載のものにおける具体的実施例では、「欧州におけるE69ch」を妨害する「携帯電話で使用する周波数895MHz?905MHz帯」の妨害電波を排除するように、「900MHz帯トラップ回路」を設けるようにしているが、上記引用例2記載のものは、そもそも、「テレビジョン放送波の周波数帯域は各国毎で異なり、また、携帯電話に割り当てられている周波数帯域も各国で異なり、国によってはテレビジョン放送波の周波数帯域と携帯電話に割り当てられている周波数帯域とが極めて接近していることがある」(段落【0002】)ことから、「テレビジョン放送波の周波数帯域と携帯電話に割り当てられている周波数帯域とが極めて接近してる場合、接近部分のチャンネル受信において携帯電話の電波が妨害電波となることがあり、何らかの対策が必要である」(段落【0003】)という課題認識の下に、「上記の事情に鑑み、電波妨害を防止できるテレビジョン受信装置を提供する」(段落【0004】)ようにしたものである。
してみれば、UHF帯のテレビジョン信号として「470?770MHz」の周波数帯が用いられ、携帯電話に「810?885MHz」の周波数帯が割り当てられている日本において、上記引用例2の記載を参酌し、「UHF帯用の増幅回路」に対する「妨害波信号」を除去する「フィルタ」として、「470?770MHzを通過帯域とすると共に,810?885MHzを阻止帯域と」するものを用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、「妨害波信号」は、理想的には“0”になるようにした方がよいことは、当業者にとって明らかであるものの、現実的には、完全に“0”にすることはできないので、コストや、妨害波信号がどの程度の値で存在する環境に適用するか等を考慮して、どの程度の値以下に減衰させるようにするかを当業者が回路設計することは、当然のことである。
よって、「阻止帯域減衰量を20dB以上とする」ことも、当業者が、コストや、妨害波信号がどの程度の値で存在する環境に適用する等を考慮した上で選択し得る数値範囲の一つにすぎない。
したがって、引用例1記載の発明に対して、上記引用例2記載の発明を参酌し、「増幅回路」を「UHF帯用の増幅回路」とし、「フィルタ」を「470?770MHzを通過帯域とすると共に,810?885MHzを阻止帯域とし,阻止帯域減衰量を20dB以上とするよう」に構成することは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎない。

(本願発明の作用効果について)
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載の発明、及び周知技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載の発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-02-10 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-19 
出願番号 特願2002-370829(P2002-370829)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 聖子稲葉 崇  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 池田 聡史
小曳 満昭
発明の名称 TV受信用増幅装置  
代理人 名古屋国際特許業務法人  
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