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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01G
管理番号 1216095
審判番号 不服2007-32817  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-12 
確定日 2010-05-06 
事件の表示 特願2006-527624「組み合わせ計量技術」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月12日国際公開、WO2006/003706〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、2004年7月2日(日本国)を国際出願日とする出願であって、平成19年10月9日付け(発送日同年10月12日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年11月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、当審において平成21年10月6日に拒絶の理由が通知され、平成21年12月24日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明について
本願の請求項1?6に係る発明は、平成21年12月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
組み合わせ計量の目標重量値に比べて、被計量物の投入重量のばらつきを含む最大投入重量の方が小さくなる量の被計量物が投入される1台または複数台の大投入用計量機と、
該大投入用計量機に投入される被計量物より小重量であるとともに、組み合わせ計量の目標重量値から大投入用計量機の1台分または複数台分の被計量物の重さを差し引いた値より小重量となる被計量物がそれぞれ投入される各々同一容量の複数台の小投入用計量機とに、それぞれ被計量物を供給する供給工程と、
各大投入用計量機および小投入用計量機を用いて、それぞれの機内に投入された被計量物を計量する計量工程と、
複数台の小投入用計量機および少なくとも1台の大投入用計量機にそれぞれ供給された被計量物の合計の重量が、目標重量値に最も近似した最適重量となる計量機の組み合わせを選択する選択工程と、
該選択された計量機内の各被計量物を集合させる集合工程とを含むことを特徴とする組み合わせ計量方法。」


3.引用例記載の発明
当審の拒絶の理由に引用された本願の国際出願日前である平成8年10月22日に頒布された特開平8-278189号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、

(1-1)「【0013】
【作用】本発明の定量充填装置では、大投入を行う大入貯槽と、この大投入を補うための加算投入を行う複数の加算貯槽とが設けられている。大投入貯槽の容量は、目標重量W_(0)より小さく且つこの目標重量W_(0)に近い重量の被計量物を貯溜し得るように設定されている。また加算貯槽は少なくとも2種類の異なる容量からなり、加算投入用の被計量物を複数の異なる容量に分割して貯溜するために設けられている。大投入貯槽及び各加算貯槽への被計量物の投入は、ほぼ同時に行うことができる。
【0014】大投入貯槽に投入された被計量物の重量は、第1の計量手段によって大投入重量W_(a)として計量される。また、加算貯槽のそれぞれには第2の計量手段が備えられており、この第2の計量手段によって各加算貯槽に貯溜されている加算投入用の被許量物のそれぞれの重量が計量される。第1の計量手段と第2の計量手段とによる被計量物の重量の計量は、ほぼ同時に行うことができる。
【0015】制御手段は、目標重量W_(0)から第一の計量手段によって計量された大投入重量W_(a)を差し引いたW_(0)-W_(a)を不足重量W_(b)として求める。大投入貯槽の容量は目標重量W_(0)より小さい重量の被計量物が貯溜されるように設定されているので、この不足重量W_(b)の値は常に正となる。次に制御手段は、第2の計量手段のそれぞれによって計量された各加算貯槽内の被計量物の重量に基づいて、不足重量W_(b)に最も近くなる加算貯槽の組み合わせを選択し、この選択された加算貯槽内の被計量物を大投入貯槽内の被計量物とともに排出するように制御を行う。」

(1-2)「【0021】図1は本発明の第一の実施例に係る定量充填装置の概略構成を示している。本実施例の定量充填装置は、目標重量W_(0)の被計量物を箱、袋等の所定の容器に充填するために使用されるものであり、被軽量物を貯溜する大投入貯槽1と、5つの加算貯槽4a、4b、4c、4d及び4eとを有している。大投入貯槽1と、5つの加算貯槽4a?4eには、投入装置11から被計量物が、例えばすり切りによりほぼ同時に投入される。大投入貯槽1にはロードセル7が設けられており、大投入貯槽1に投入される大投入用の被計量物の重量は、このロードセル7により計算される。5つの加算貯槽4a?4eにもそれぞれロードセル2a、2b、2c、2d及び2eが設けられており、加算投入用の被計量物のそれぞれの重量が計量される。ロードセル7及びロードセル2a?2eからの出力は、後述する図2に示す回路を有する制御装置に入力される。
【0022】大投人貯槽1の底部には被計量物を排出するためのゲート8が設けられており、また、加算貯槽4a?4eにもそれぞれ独立に開閉する5つのゲート6が設けられている。大投入貯槽1及び加算貯槽4a?4e内の被計量物は、シュート9を通じて箱、袋等の容器10に排出される。上述のゲート8及び5つのゲート6の開閉は、前述の制御装置の制御により行われる。
【0023】加算貯槽4a?4eの容量比は、s^(k-1)(sは正の実数、k≦m、m=加算貯槽の数)の式に於いて、s=2及びm=5とした比、即ち、1:2:4:8:16となっている。」

(1-3)「【0005】この問題点を解決するために、充填速度の向上を図った定量充填装置が例えば特開昭62-9226号公報等に開示されている。このタイプの定量充填装置では、目標重量より小さく且つ目標重量に近い重量の被計量物が大投入用の貯槽に貯溜されるとともに、目標重量に満たない不足分を補うための、同じ容量を有する複数の補助槽が設けられる。そして、この装置では、各補助槽に貯溜される被軽量物の重量にバラツキが生ずるのを利用して定量充填が行われる。即ち、この装置では、目標重量から大投入貯槽内の被計量物の重量を差し引いた不足重量が求められ、この不足重量に最も近い補助槽の組合せが選択される。このような同じ容量の複数の補助槽を設けることにより、目標重量に近い重量の被計量物の充填が可能となっている。また、この定量充填装置では投入しながらの計量が行われないため、充填速度を大きくすることが可能となっている。」

が記載されている。

したがって、これらの記載事項によると、引用例1には、次のとおりの発明、

「組み合わせ計量の目標重量値W_(0)(目標重量値に相当。)に比べて、被計量物(被計量物に相当。)の投入重量のばらつきを含む最大投入重量の方が小さくなる量の被計量物(被計量物に相当。)が投入される1台の大投入貯槽1及びロードセル7(1台または複数台の大投入用計量機に相当。)と、
該大投入貯槽1及びロードセル7(大投入用計量機に相当。)に投入される被計量物(被計量物に相当。)より小重量であるとともに、組み合わせ計量の目標重量値W_(0)(目標重量値に相当。)から大投入貯槽1及びロードセル7(大投入用計量機に相当。)の1台分(1台分または複数台分に相当。)の被計量物(被計量物に相当。)の大投入重量W_(a)(重さに相当。)を差し引いた不足重量W_(b)=W_(0)-W_(a)(値に相当。)より小重量となる被計量物(被計量物に相当。)がそれぞれ投入される異なる容量(各々同一容量に対応。)の5台(複数台に相当。)の加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e(小投入用計量機に相当。)とに、それぞれ被計量物(被計量物に相当。)を供給する供給工程と、
大投入貯槽1及びロードセル7(各大投入用計量機に対応。)および加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e(小投入用計量機に相当。)を用いて、それぞれの機内に投入された被計量物(被計量物に相当。)を計量する計量工程と、
5台(複数台に相当。)の加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e(小投入用計量機に相当。)および1台(少なくとも1台に相当。)の大投入貯槽1及びロードセル7(大投入用計量機に相当。)にそれぞれ供給された被計量物(被計量物に相当。)の合計の重量が、目標重量値W_(0)(目標重量値に相当。)に最も近くなる(最も近似したに相当。)最適重量となる加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e(計量機に相当。)の組み合わせ(組み合わせに相当。)を選択(選択に相当。)する選択工程と、
該選択(選択に相当。)された加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e(計量機に相当。)内の各被計量物(被計量物に相当。)を集合させる集合工程とを含むことを特徴とする組み合わせ計量方法(組み合わせ計量方法に相当。)。」(以下、これを「引用例1に記載の発明」という。)

が記載されていると認める。


4.対比・判断
本願発明と引用例1に記載の発明とを対比する。
引用例1に記載の発明における「目標重量値W_(0)」、「被計量物」、「1台の大投入貯槽1及びロードセル7」、「1台分」、「大投入重量W_(a)」、「不足重量W_(b)=W_(0)-W_(a)」、「5台」、「加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e」、「計量」、「1台」、「最も近くなる」、「加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e」、「組み合わせ」、「選択」、「組み合わせ計量方法」は、それぞれ、
本願発明における「目標重量値」、「被計量物」、「1台または複数台の大投入用計量機」、「1台分または複数台分」、「重さ」、「値」、「複数台」、「小投入用計量機」、「計量」、「少なくとも1台」、「最も近似した」、「計量機」、「組み合わせ」、「選択」、「組み合わせ計量方法」に相当する。

したがって、両者は、
【一致点】
「組み合わせ計量の目標重量値に比べて、被計量物の投入重量のばらつきを含む最大投入重量の方が小さくなる量の被計量物が投入される1台または複数台の大投入用計量機と、
該大投入用計量機に投入される被計量物より小重量であるとともに、組み合わせ計量の目標重量値から大投入用計量機の1台分または複数台分の被計量物の重さを差し引いた値より小重量となる被計量物がそれぞれ投入される、複数台の小投入用計量機とに、それぞれ被計量物を供給する供給工程と、
各大投入用計量機および小投入用計量機を用いて、それぞれの機内に投入された被計量物を計量する計量工程と、
複数台の小投入用計量機および少なくとも1台の大投入用計量機にそれぞれ供給された被計量物の合計の重量が、目標重量値に最も近似した最適重量となる計量機の組み合わせを選択する選択工程と、
該選択された計量機内の各被計量物を集合させる集合工程とを含むことを特徴とする組み合わせ計量方法。」

で一致し、

【相違点1】
「本願発明では、複数台の小投入用計量機が、各々同一容量であるのに対して、
引用例1に記載の発明では、5台の加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2e(複数台の小投入用計量機に相当。)が、異なる容量である点」、

で相違する。

そこで、上記【相違点1】について検討する。
「複数の補助槽を、同じ容量とする」ことは、周知であるから(上記(1-3)の記載参照。)、
引用例1に記載の発明において、その5台の加算貯槽4a?4e及びロードセル2a?2eを、同じ容量(各々同一容量に相当。)とすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、本願発明の効果は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が予測可能な範囲のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2?6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-26 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-01 
出願番号 特願2006-527624(P2006-527624)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森 雅之  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 濱本 禎広
山川 雅也
発明の名称 組み合わせ計量技術  

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