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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C08J
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C08J
管理番号 1216547
審判番号 訂正2010-390029  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-03-25 
確定日 2010-05-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3641877号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3641877号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1.手続の経緯
1.本件特許の手続の経緯
特許第3641877号の手続の経緯は、次のとおりである。
・特許出願 平成8年5月27日
・拒絶理由通知 平成16年9月28日(発送日)
・手続補正 平成16年11月29日(受付日)
・特許権の設定登録 平成17年2月4日(請求項数6)

2.本件審判の手続の経緯
本件審判事件の手続の経緯は、次のとおりである。
・審判請求 平成22年3月26日(受付日)


第2.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3641877号の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記[1]乃至[8]のとおり訂正することを求めるものである。

[1]訂正事項1
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1において、
「300≧(R)×(OD)≧63・・・・・式(1)」を、
「300≧(R)×(OD)≧100・・・・・式(1)」と訂正する。

[2]訂正事項2
特許明細書の段落【0009】において、
「300≧(R)×(OD)≧63・・・・・式(1)」を、
「300≧(R)×(OD)≧100・・・・・式(1)」と訂正する。

[3]訂正事項3
特許明細書の段落【0016】において、
「本発明においては、上記式(1)を満足する必要があるが、(R)×(OD)値のより好ましい範囲は100以上、更に好ましい範囲は110以上である。」を、
「本発明においては、上記式(1)を満足する必要があるが、(R)×(OD)値のより好ましい範囲は110以上である。」と訂正する。

[4]訂正事項4
特許明細書の段落【0081】において、
「実施例2」を、
「比較例3」と訂正する。

[5]訂正事項5
特許明細書の段落【0082】において、
「実施例2」を、
「比較例3」と訂正する。

[6]訂正事項6
特許明細書の段落【0084】において、
「実施例3」を、
「比較例4」と訂正する。

[7]訂正事項7
特許明細書の段落【0085】の表1において、
「実施例2」を、
「比較例3」と訂正する。

[8]訂正事項8
特許明細書の段落【0085】の表1において、
「実施例3」を、
「比較例4」と訂正する。


第3.当審の判断
1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存比
[1]訂正事項1
訂正事項1は、請求項1において、式(1)の上限値を代えずに下限値を大きくすることによって式(1)の数値範囲をより狭くするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正後の式(1)の下限値「100」は、特許明細書の段落【0016】の「本発明においては、上記式(1)を満足する必要があるが、(R)×(OD)値のより好ましい範囲は100以上、更に好ましい範囲は110以上である。」との記載に基づくものであるから、訂正事項1は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[2]訂正事項2
訂正事項2は、訂正事項1に伴い、特許明細書の段落【0009】の記載を、訂正事項1により訂正された請求項1の記載と整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[3]訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項1により請求項1が訂正されるのに伴い、特許明細書の段落【0016】の記載において、「(R)×(OD)値」の「より好ましい範囲」の下限値を、訂正後の請求項1における式(1)の下限値「100」より大きい「110」に訂正し、かつ、「更に好ましい範囲は110以上である。」との記載を削除して文脈を整えるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3は、特許明細書の段落【0016】の「本発明においては、上記式(1)を満足する必要があるが、(R)×(OD)値のより好ましい範囲は100以上、更に好ましい範囲は110以上である。」との記載に基づくものであるから、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[4]訂正事項4
訂正事項4は、訂正事項1により請求項1が訂正されるのに伴い、特許明細書の段落【0081】において、「実施例2」との例番号を「比較例3」と訂正して、該「比較例3」として開示される具体例の内容が訂正後の特許請求の範囲に含まれないことを明らかにするものである。
したがって、訂正事項4は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[5]訂正事項5
訂正事項5は、訂正事項4に伴い、特許明細書の段落【0082】の記載を、訂正事項4により訂正された特許明細書の段落【0081】の記載と整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5は、訂正事項4と同様に、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[6]訂正事項6
訂正事項6は、訂正事項1により請求項1が訂正されるのに伴い、特許明細書の段落【0084】において、「実施例3」との例番号を「比較例4」と訂正して、該「比較例4」として開示される具体例の内容が訂正後の特許請求の範囲に含まれないことを明らかにするものである。
したがって、訂正事項6は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[7]訂正事項7
訂正事項7は、訂正事項4に伴い、特許明細書の段落【0085】の表1の記載を、訂正事項4により訂正された特許明細書の段落【0081】の記載と整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項7は、訂正事項4と同様に、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

[8]訂正事項8
訂正事項8は、訂正事項6に伴い、特許明細書の段落【0085】の表1の記載を、訂正事項6により訂正された特許明細書の段落【0084】の記載と整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項8は、訂正事項6と同様に、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

2.独立特許要件
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1を訂正するものであるところ、訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。


第4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項乃至第5項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
白色フィルムおよびその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルおよび白色粒子からなる白色フィルムであって、少なくとも片面(A面)が次式(1)を満足する白色フィルム。
300≧(R)×(OD)≧100・・・・・式(1)
(但し、Rは白色フィルムを100μmに換算した場合の光波長領域500?600nmにおける平均反射率(%)、ODは白色フィルムを100μmに換算した場合の光学濃度。)
【請求項2】
前記白色粒子の光波長領域500?600nmにおける光平均反射率が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の白色フィルム。
【請求項3】
リン化合物を100ppm以上含有し、少なくとも一軸方向に延伸され、ボイドを含有することを特徴とする請求項1または2記載の白色フィルム。
【請求項4】
前記白色フィルムの溶融時の比抵抗が1×10^(7)?1.9×10^(12)Ω・cmであることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の白色フィルム。
【請求項5】
面光源用反射板基材に用いられる請求項1?4のいずれかに記載の白色フィルム。
【請求項6】
白色粒子を5?30体積%含有するポリエステル組成物からなる未延伸フィルムに、1kV/cm以上の直流電界強度の静電荷を印加させてから、少なくとも一軸方向に延伸することにより、該白色粒子界面で界面剥離を生起させボイドを形成させることを特徴とする請求項1記載の白色フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色フィルムおよびその製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、バーコードプリンタ用受容紙、マッチプリント用受容紙、ビデオプリンタ用受容紙などの受容紙および印字基材、包装用紙、複写用紙、ポスター、宅配伝票、カード、ラベル、印画紙、表示板、白板、磁気カード、感熱記録用受容シートおよびプリペイドカード、液晶ディスプレイ用の反射板用などの基材に使用される白色フィルム、特に面光源用反射板基材に好ましく使用される高輝度化白色フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶ディスプレイを照明する際に、ディスプレイの背面からライトをあてるバックライト方式が採用されていたが、近年、特開昭63-62104号公報に示されるようなサイドライト方式が、薄型で、均一に照明できる特長から広く用いられるようになってきた。
【0003】
サイドライト方式とは、図1に示したように、ある厚みを持ったアクリル板などの透明導光板(基材)4の片面に網点印刷3を施し、片面に反射板2、他面に拡散板5および画面1が設置されており、その透明導光板4などのエッジから冷陰極管6などの照明をあてる方式で、網点印刷3のために照明光が均一に分散され、均一な明るさを持った画面が得られることが特徴である。また、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型にできる利点もある。ただ、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面に反射板2を設置する必要があるが、この反射板2には薄さと、光の高反射性が要求されることから、酸化チタンなどの白色顔料を添加したフィルムが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように酸化チタンなどの添加により白色化されたフィルムは、あるレベルまで光の反射率を上げることはできるものの、反射率向上には限界があり、画面の明るさがなお十分でないという問題があった。
【0005】
本発明者らはかかる課題について鋭意検討した結果、酸化チタンなどは製造工程で特定の不純物の混入により特定の波長の光を吸収し、ある波長域では全体の反射率が低下して、十分に明るい画面が得られないという原因や、酸化チタンなどの粒子の粒度分布が適性でないことなどにより隠蔽性などが不十分であるという理由に起因することがわかった。市場の要求としては、より明るい画面を望む傾向にあり、広い波長域にわたってより高反射率の反射板が強く求められている。また、液晶表示板に組込む作業性および面光源用反射板基材として市場で使用される場合、表裏の反射率および隠蔽性を掛け合わせた値が一定以上であることが好ましいことが分かった。
【0006】
本発明の目的は、かかる問題点を解決し、より高反射率で、より明るい画面の得られる液晶ディスプレイ反射板用基材など面光源用反射板基材に用いて最適な白色フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、バーコードプリンタ用受容紙、マッチプリント用受容紙、ビデオプリンタ用受容紙などの受容紙および印字基材、包装用、複写用紙、ポスタ、宅配伝票、カード、ラベル、印画紙、表示板、白板、磁気カード、感熱記録用受容シートおよびプリペイドカードなどに好ましく使用される高輝度化白色フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の白色フィルムは、ポリエステルおよび白色粒子からなる白色フィルムであって、少なくとも片面(A面)が次式(1)を満足する白色フィルムをその骨子とするものである。
【0009】
300≧(R)×(OD)≧100・・・・・式(1)
(但し、Rは白色フィルムを100μmに換算した場合の光波長領域500?600nmにおける平均反射率(%)、ODは白色フィルムを100μmに換算した場合の光学濃度。)また、本発明は、次のa?dの好ましい実施態様を含むものである。
【0011】
a.前記白色粒子の光波長領域500?600nmにおける光平均反射率が80%以上であること。
【0012】
b.リン化合物を100ppm以上含有し、少なくとも一軸方向に延伸されボイドを含有すること。
【0013】
c.前記白色フィルムの溶融時の比抵抗が1×10^(7)?1.9×10^(12)Ω・cmであること。
【0014】
d.前記白色フィルムが面光源用反射板基材に用いられること。
【0015】
また、本発明の白色フィルムは、白色粒子を5?30体積%含有するポリエステル組成物からなる未延伸フィルムに、1kV/cm以上の直流電界強度の静電荷を印加させてから、少なくとも一軸方向に延伸することにより、かかる白色粒子界面で界面剥離を生起させボイドを形成させることによって好ましく製造できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、上記式(1)を満足する必要があるが、(R)×(OD)値のより好ましい範囲は110以上である。本発明では、この値が1000あるいは500などと大きいほど好ましいが、実際産業上の製造のし易さなどを考えると、約300程度までが実際的であり、効果も十分である。本発明の白色フィルムが液晶ディスプレイ反射板基材に用いられる場合、上記(R)×(OD)値が低すぎると、隠蔽性が不足し裏側が透け、また反射率が低いために十分に明るい画面が得られない。
【0017】
平均反射率(R)および光学濃度(OD)の測定方法については後述するが、本発明では500?600nmにおけるRの値が高いほど好ましい。この波長領域は黄色に相当し、人の目にとって一番感度がよい波長領域である。すなわち、本発明においては、白色フィルムは、上記式(1)を満足する隠ぺい性のある白色系のフィルムであればよいとの趣旨であり、若干着色していても構わない。このような着色を帯びる場合には、得に限定されないが、好ましい色としては色環でいえば青色?黄色を帯びた白色である。
【0018】
本発明の白色フィルムにおいて、必要により有機系および/または無機系蛍光剤を含む蛍光増白剤を添加して白色性を高め、高級感を与えることができる。特に、これらの好ましい白色性を得るためには、複合フィルムの場合には少なくとも最外層などの一部の層に蛍光増白剤を含有させればよいが、全ての層に蛍光増白剤を含有させてもよい。この場合、最外層中の蛍光増白剤の含有量が他の層中の含有量より多いことが望ましい。
【0019】
蛍光増白剤としては、フィルムに添加できるもの、または各種のバインダーを用いてフィルムに積層および/または塗布できるものであればいずれでもよいが、特にポリエステル用に開発されたものが耐久性が良い傾向があり最適である。商品名としては、例えば“Uvitex”OB,MD(チバガイギー社製)、“Mikawhite”(日本化薬-三菱化学社製)、“OB-1”(イーストマン・ケミカル・ジャパン社製)等が挙げられる。蛍光増白剤の添加量は、フィルム基材に対し100?10000ppmが好ましく、更に好ましくは200?5000ppmである。100ppm未満では粒子による黄色味が強く好ましくない場合があり、また、蛍光増白剤の添加量が多すぎると、逆に反射率が低下する場合がある。
【0020】
本発明の白色フィルムの素材は、好ましい寸法安定性および平面性を付与できる理由で、ポリエステルが特に好ましい。
【0021】
ここに、ポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などで代表されるものである。またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングルコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン-p-オキシベンゾエート、ポリ-1、4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCHDMT)、ポリエチレン-2、6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などを用いることができる。
【0022】
本発明のフィルムにおいてポリエステルとしては、特にPET、PENが好ましい。このポリエステルの中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤等が添加されてもよい。
【0023】
また、好ましいフィルムの白色性を得るために、特に押し出し中において着色物を生成させ難くするために、酸化防止剤、耐光安定剤および/または耐熱添加剤を加えることが好ましい。これらの添加剤の好ましい含有量はフィルム基材に対して10?20000ppmである。10ppm未満のものでは蛍光灯などの光で着色する場合があり好ましくなく、また20000ppmを超えるものであるとブリードアウトし表面を汚染する場合もあり好ましくない。これらの添加剤の中では特にリン化合物、ヒンダードアミン系またはフェノール系の酸化防止剤が好ましい。特に高分子型フェノール系のものがブリードしにくく、効果が安定しているので特に好ましい。
【0024】
リン化合物の含有量としてはリン元素として100ppm以上が好ましい。より好ましくは200?20000ppm、更に好ましくは300?10000ppmである。特に好ましくは400?8000ppmである。
【0025】
リン化合物の含有量が20000ppmを超えるものであると、ブリードアウトにより表面を汚染する場合が発生してくる。一方、フィルム中のリン元素含有量が100ppm未満のものである場合、白色無機粒子の分散性が劣ったり、樹脂組成物の高温滞留時に異物発生、発泡が生じ、好ましい白色性が得られない場合があるため、好ましくない場合がある。リン化合物の種類は特に限定されることはないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体またはリン酸金属塩類などを用いることができる。具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸モノまたはジメチルエステル、ジメチルホスフィン酸、フィニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステルなど、またリン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン等のリン酸金属塩類、さらにはリン酸アンモニウム等のリン化合物を用いることができる。
【0026】
得られるポリエステルおよび組成物中の無機粒子の分散性、ポリエステル組成物の品質安定性、ポリエステル組成物が高温下で滞留した場合のポリマの発泡性、無機粒子に起因する異物発生などの点から、上述のリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体またはリン酸金属塩類が好ましく、更に好ましくはリン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸またはそれらの炭素数3以下のアルキルエステル化合物である。また、これらのリン化合物は2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明の白色フィルムを製造するに際し、高分子型フェノール系の酸化防止剤を用いることが望ましく、特にFDA(FOOD AND DRUG AD- MINISTRATION)のポリエステルまたはオレフィンに添加されるポジティブリストに記載されたものを用いることが好ましい。特に、テトラキス-[メチレン-3-(3′、5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。酸化防止剤の添加量としてはフィルム基材に対して10ppm?20000ppmが好ましい。より好ましくは200ppm?20000ppm、更に好ましくは300ppm以上?10000ppmである。特に好ましくは400?8000ppmである。
【0028】
酸化防止剤の含有量が20000ppmを超えているものであると、ブリードアウトにより表面を汚染する場合がある。一方フィルム中のフェノール系の酸化防止剤の含有量が10ppm未満のものである場合、白色無機粒子の分散性が劣ったり、樹脂組成物の高温滞留時に異物発生、発泡が生じるため好ましくない場合がある。
【0029】
本発明の白色フィルムでは、ボイドおよび/または白色粒子を含有させることが好ましい。従来、フィルムを白色化させるため、粒径および光平均反射率(R)を特に検討せずに酸化チタン等の無機粒子を添加することもあったが、そのようなフィルムでは既述の如く反射率向上には限界があり、より明るい液晶画面を得ることは困難であった。
【0030】
本発明では白色粒子としては、光波長領域500?600nmにおける光平均反射率(R)が80%以上である白色粒子が好ましく使用される。この白色粒子の(R)は高いほどよいが、上限としては150%程度である。更に好ましい範囲は95?120%である。(R)が80%未満のものであると好ましい高反射率を有する白色フィルムが得られない場合がある。この高反射率を有する白色粒子は波長500?600nmにおける光吸収を有する着色化合物を取り除くことにより得ることができる。具体的には粒子を溶解させ、着色化合物を吸着させるカラムにより除去し、析出させながら粒子化させる方法がある。
【0031】
本発明でいう白色粒子とは、無機白色粒子および/または有機白色粒子である。無機白色粒子としては炭酸カルシウム、アルミナ、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ等がある。本発明の場合には特に炭酸カルシウムを用いることが好ましい。また炭酸カルシウムの結晶形態の50重量%以上がカルサイト型であれば、不純物を少なくでき、また不純物が少ないものが得られやすいので更に好ましい。
【0032】
また、有機白色粒子は、例えば平行光線透過率が80%以上である熱可塑性樹脂をポリエステルと溶融混合し分散粒子化することにより得られる。この場合、分散粒径を小さくするための相溶化剤も好ましく用いられる。相溶化剤とは、それを添加しない場合に比べて添加することにより非相溶樹脂の分散粒径を小さくするための効果のあるものである。
【0033】
また、本発明のフィルムを得るに際し、好ましくは後工程においてフィルムは少なくとも一軸方向に延伸される。この延伸工程で白色粒子界面での界面剥離によってボイド(気泡)を生成させ、かかるボイドで光を散乱させることにより反射率を向上させる効果をもつ。用いられる白色粒子の添加量はフィルム基材に対して5?30体積%が好ましく、更に好ましくは4?15体積%である。白色粒子の添加量が5体積%未満であると、本発明の白色フィルムの反射率および光学濃度が本発明範囲にすることが困難となる場合がある。また、逆に白色粒子の添加量が30体積%を越えると、本発明の白色フィルムの機械的性質が劣ったものになるばかりか、製膜時の破れが多発し、熱寸法安定性にも劣るなどの問題が生じる場合がある。
【0034】
本発明において、好ましく用いられる白色粒子の平均粒径としては0.01?20μmであり、更に好ましくは0.1?10μm、最も好ましくは0.4?5μmでである。ここで、平均粒径は測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。ここで、「等価球形直径」とは粒子と同じ容積を有する想像上の球を意味し、通常の沈降法による測定等から計算することができる。平均粒径が20μmより大きくなると一般に粗大粒子が多く、また光学濃度が低くなり好ましくない。また平均粒径が0.01μmより小さくなるとR×ODの値が本発明の範囲内にすることが難しくなる場合がある。
【0035】
フィルムに、白色粒子、酸化防止剤および各種の添加剤を含有させるには各種の方法を用いることができる。好ましく用いられるポリエステルの場合はその代表的な方法として、下記の▲1▼?▲3▼のような方法を用いることができる。
【0036】
▲1▼ポリエステル合成時のエステル交換もしくはエステル化反応の終了前に添加、もしくは重縮合反応の以前に添加する方法。
【0037】
▲2▼ポリエステルに添加し、溶融混練りする方法。
【0038】
▲3▼上記▲1▼、▲2▼の方法において、添加物を多量に添加してマスタバッチを製造、もしくは白色無機粒子、酸化防止剤および各種の添加剤をそれぞれ1種または2種多量添加したマスタバッチを製造し、粒子を含有しないポリエステルと混練りし、所定量の添加剤を含有させる方法。
【0039】
なお、酸化防止剤を添加させる方法としてはあらかじめ無機粒子に吸着させ、しかる後に無機粒子とともに添加する方法も好ましく用いられる。
【0040】
本発明の白色フィルムがポリエステルからなるものである場合、比重は好ましくは0.5以上1.3以下のものである。比重が1.3より大きいものであるとフィルムのソフト感、柔軟性が乏しくなりがちであり、また熱伝導率が十分に下がらず、感熱転写用受容紙として用いた場合高品位な印字ができない場合などがあるためである。一方、比重が0.5より低いものであるとフィルムとしての機械強度が概して低くなり、取扱が難しくなる場合がある。
【0041】
本発明の白色フィルムにおいて柔軟性に優れていることは、例えばビデオプリンタ用などの受容紙として用いるときの感熱記録ヘッドの押圧を低下させても鮮明に画像を転写させることができるために好ましい特性である。もちろん、手に触れたときの感触も重要な要素である。このためとり扱い時に皺の入りにくいことも重要である。
【0042】
本発明を限定をするものではないが、好適に作られた本発明の白色フィルムはクッション率において概して4%以上の値を示すものである。好ましくは10%?40%、更に好ましくは20%?40%である。クッション率が4%未満になると、例えば、ビデオプリンタ用などの受容紙として用いた場合に、感熱記録ヘッドの押圧を下げるとヘッドへの当たりが硬くドット抜けが起り、鮮明な画像を転写することができず、また手に触れたときの感触が悪くなる場合があり、好ましくない。
【0043】
本発明において、分散粒子の界面に予め静電荷を注入した後延伸することによりボイド(気泡)を効率的に生成させることも好ましい製造方法であるが、特に溶融時に静電気を注入することができるので静電印加キャスト方法を用いる製造方法が好ましい。この静電印加キャスト方法は表裏の冷却を急速にすることができ、その効果によりフィルム表裏の(R)×(OD)の差を小さくする効果もあるため好ましい手段である。また、フィルム表裏の(R)×(OD)の差は10以内とすることが好ましく、更に好ましくは5以内、最も好ましくは2以内である。
【0044】
本発明の白色フィルムの溶融時の比抵抗は、1×10^(6)?1.9×10^(12)Ω・cmであることが好ましい。更に好ましくは1×10^(7)?1.9×10^(10)Ω・cmである。1×10^(6)Ω・cm未満では溶融時の熱安定性が劣り好ましくない場合がある。1.9×10^(12)Ω・cmを越える場合はキャストドラムとも密着性が劣り好ましくない場合がある。
【0045】
更に、色差計で求めた色調b値は-20以上4以下が好ましい。b値が小さいほど見掛けのフィルムの白さが向上し、高級なイメージを与え、また液晶ディスプレイ用の反射板用にも好ましい。
【0046】
フィルム製造時の巻取性を良くするためおよび表面の光沢性を改良するため、さらに積層して使用されることもある。
【0047】
本発明における白色フィルムの好ましい表面粗さ(Ra)は1μm以下である。さらに好ましくは0.5μm以下、最も好ましくは0.2μm以下である。表面粗さがこの値より大きいと印字基材として使用した場合の印字適性が良好でない場合がある。また、磁気カード等では電磁変換特性が劣り、好ましくない場合がある。ただし、(Ra)が0.01μm未満等になるとフィルムの滑り性が悪化し取扱が困難となって、また、艶光が発生し安っぽく感じられ商品価値が低くなる場合があるので注意を要する。
【0048】
本発明においてフィルム中の白色粒子に起因するボイド形状は、形状係数が10以上100以下が望ましい。この範囲を外れると使用中に折れ皺が発生し易くなり、磁気カードなどでは使用が困難になる場合がある。
【0049】
次に、本発明の白色フィルムの製造方法について述べるが、本発明はかかる方法に限定されない。
【0050】
あらかじめ酸化防止剤を白色粒子にまぶし、これを樹脂に十分混ぜて樹脂組成物とし、それを樹脂の融点以上の温度に加熱された押出機に供給して口金から押出し、ドラム上でフィルムに成形する。ここで樹脂組成物はベント付き二軸押出機により押出し途中に水分を除去し押出すこともできる。このとき、好ましい表面特性のフィルムを得るためにフィルタを通過させることもできる。またこのとき、この口金から押し出されたフィルムをドラム上で静電気で密着冷却固化させることもできる。このドラムの表面は、金属メッキされた平滑な表面がよい。
【0051】
次に、このように冷却固化した未延伸フィルムを、樹脂の延伸温度で機械軸方向に縦延伸した後、この一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、樹脂の延伸温度で機械方向に垂直な方向に横延伸する。このとき延伸によりボイドを生成させ、望みの白色フィルムを得ることができる。
【0052】
更に好ましく実施されるポリエステルを用いた場合の白色フィルムの製造方法について、より具体的に述べる。
【0053】
白色粒子として炭酸ガス化合法により合成し十分不純物が除去されたされた炭酸カルシウムを、また酸化防止剤としてトリメチルリン酸を、それぞれポリエチレンテレフタレートに配合し、それを十分混合、乾燥させて、270?300℃の温度に加熱された押出機に供給し押出しする。ここでポリエステル組成物は、ベント付き2軸押出機により押出し途中に水分を除去し押出すこともできる。このとき好ましい表面特性のフィルムを得るために、粗大異物を除く目的でフィルム成形前に、少なくとも1回溶融状態でフィルタを通過させることが望ましい。用いられるフィルタの濾過精度は400μm以下である。好ましくは100μm以下で、更に好ましくは50μm以下である。
【0054】
このように溶融押出しされたシートを、次にドラム表面温度10?60℃に冷却されたドラム上で静電気で密着冷却固化させる。本発明では、分散粒子の界面に予め静電気を注入した後延伸させると界面剥離が効果的に起こるので、静電気を注入することは好ましい。静電気の注入は縦延伸前、横延伸前であればよいが、特に溶融時に静電荷を付加させる静電印加キャストが好ましい。負荷電解強度は1kV/cm以上、好ましくは1kV/cm以上の直流電解である。20kV/cm以上ではコロナ放電が起こり好ましくない場合がある。
【0055】
このドラムの表面は金属メッキされた平滑な表面が良い。ドラム表面粗さとして1S以下のものを用いるのがよい。より好ましくは0.5S以下、更に好ましくは0.3S以下のものを用いることである。ドラムの表面が荒れていると、ドラム表面粗さが転写されてフィルム表面が荒れるため好ましくない。
【0056】
次に、例えばこのように冷却固化した未延伸フィルムを75?120℃に加熱したロール群に導き、機械軸方向に2?5縦延伸し、20?50℃のロール群で冷却する。この際フィルム内部はボイドを含有した構造を持つ。目的の白色フィルムを得るためには、この工程でボイドを生成させることがよい。
【0057】
さらに、このとき得られた一軸延伸フィルムに、コロナ放電処理を施しコーティングすることも可能である。次に、この一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90?140℃に加熱された雰囲気中で機械方向に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は縦、横それぞれ2?5倍に延伸するが、その面積倍率は6?15倍であることが望ましい。面積倍率が6倍未満であると白色度が不足し、逆に15倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなり製膜性が不良となる傾向がある。
【0058】
このようにして二軸延伸されたフィルムはその平面性、寸法安定性付与のために、テンタ内で150?230℃の熱固定を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻取られる。この熱固定の際熱収縮率を小さくするため10%以下のリラックスを加えることも可能である。このようにして本発明の白色ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0059】
あるいはまた、上述のようにポリエステルからなる白色フィルムを上記条件にてまず製造し、その上に別途コーティング層を溶融押出し、またはコーティングにより積層することもできる。
【0060】
本発明のポリエステルからなる白色フィルムには、炭酸カルシウムや、非晶性ゼオライト粒子、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、クレー等の微粒子を併用してもよい。これらの添加量はポリエステル組成物100重量部に対して0.005?1重量部とするのが好ましい。またこのような微粒子以外にも、ポリエステルの重縮合反応系で触媒残渣とリン化合物との反応により析出した微細粒子を併用することもできる。析出粒子としては、例えば、カルシウム、リチウムおよびリン化合物よりなるもの、または、カルシウム、マグネシウムおよびリン化合物からなるもの等を用いることができ、これらの粒子のポリエステル中の含有量はポリエステル100重量部に対して0.05?1重量部であることが好ましい。
【0061】
本発明の白色フィルムは、バーコードプリンタ用受容紙、マッチプリント用受容紙、ビデオプリンタ用受容紙などの受容紙および印字基材、包装用紙、複写用紙、ポスター、宅配伝票、カード、ラベル、印画紙、表示板、白板、磁気カード、感熱記録用受容シートおよびプリペイドカード、液晶ディスプレイ用の反射板用などの基材など、特に面光源用反射板基材に好ましく使用される。
【0062】
なお、本発明において、物性の測定方法ならびに効果の評価方法は次のとおりである。
【0063】
1.比重
フィルムを100×100mm角に切り、ダイアルゲージ(三豊製作所製No.2109-10)に直径10mmの測定子(No.7002)を取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算する。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10^(4)gの単位まで読み取る。このとき、比重=w/d×100とする。
【0064】
2.光学濃度
フィルムを1枚あるいは数枚重ね、光学濃度計(TR927、マクベス社製)を用いて透過濃度を測定する。フィルムの厚みと光学濃度とをプロットし、100μmの厚みに相当する光学濃度を補間法または補外法にて求めた。
【0065】
3.クッション率(%)
三豊製作所(株)ダイヤルゲージNo.2109-10に標準測定子900030を用い、更にダイヤルゲージスタンドNo.7001DGS-Mを用いてダイヤルゲージ押さえ部分荷重50gと500gとをかけたときのそれぞれのフィルムの厚さd_(50)、d_(500)から次式により求めた。
【0066】
クッション率=100×(d_(50)-d_(500))/d_(50)
4.表面粗さRa、Rt
JIS B-0601に準じて、触針式表面粗さ計(小坂研究所製ET-10)にて測定した。
【0067】
5.無機粒子の平均粒径
無機粒子をエタノール中に分散させ,遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所CAPA500)を用いて測定し、体積平均径を算出し、平均粒径とした。
【0068】
6.光線透過率
押出機で融点以上に溶融させ押出し、Tダイにより試験片を1mm厚さに調整し、JIS-7105測定法Aに準じて測定を行なう。積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率、拡散透過率およびこれらの差として平行光線透過率を求めた。
【0069】
7.白色粒子の光平均反射率
(株)日立製作所製分光光度計U-3410形でMgO白色板を標準板として100%を調整後、光学用石英ガラス(セル光路長1cm)に白色粒子を入れ測定する。
【0070】
フィルム中の白色粒子の採取は、マトリックス樹脂を溶解させ白色粒子に影響を与えない溶媒でマトリックス樹脂を溶かし、遠心分離および洗浄によりマトリックス樹脂と白色粒子とを分離させ乾燥させることにより行なう。特にポリエチレンテレフタレートフィルムの場合は、溶媒としてオルトクロロフェノール/クロロホルム混合溶液が良い。
【0071】
8.フィルムの光平均反射率
(株)日立製作所製分光光度計U-3410形に積分球を取付け、MgO白色板を標準板として100%を調整後、500?600nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均反射率とする。フィルムの厚みと光平均反射率とをプロットし、100μmの厚みに相当する光平均反射率を補間法または補外法にて求めた。
【0072】
9.フィルムの溶融時の比抵抗の測定
BRITISH JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 第17巻、第1149?1154頁(1966年)に記載されている方法にしたがった。但し、この場合ポリマー組成物の溶融時の温度は300℃とし、直流3,000Vを印加した直後の値を溶融時の比抵抗とする。
【0073】
10.画面の明るさおよび色目
図1に示す装置において、3mm厚さのアクリル板に網点印刷を施し、反射板2としてフィルムをセットした上で、片側端面から6Wの蛍光灯により照明した。画面1上を照度計(日置電気製3421)にて照度を測定し、画面の明るさとする。照度の測定は受光子に20mm幅の黒画用紙を受光子の大きさに巻いて円筒としたものを取り付け、画面1と受光子の距離を20mmとして測定する。1000(Lx)以上のものを合格とした。
【0074】
また画面を視感で判断し、白色光のものを「白」、黄色味がかっているものを「黄」、赤色味がかっているものを「赤」、青色味がかっているものを「青」とした。
【0075】
11.画面の輝度
図1で、画面1上を輝度計(ミノルタ製LS-110)にて15点輝度を測定し、平均値をとり画面の輝度とした。200(cd/m^(2))以上のものを合格とした。
【0076】
12.印字品質
得れた白色フィルムに感熱転写受容層を塗布し4版に裁断した。このフィルムにシャープ社製CX-5000カラープリンターを用いて熱転写記録を行ない、得られたハードコピーについて目視で印字濃度、印字ムラおよびコントラストの程度を下記の5段階で評価し平均値を出した。4以上を合格とした。
【0077】
評価基準 5:(大変良い)
4:(良い)
3:(実用上支障はない)
2:(実用上問題あり)
1:(悪い)
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0079】
実施例1
平均粒径1.4μmの炭酸カルシウム20重量%、ポリエチレンテレフタレート(PET)80重量%およびリン酸トリメチル(TMPA)1000ppmを混合し、270?300℃に加熱された2軸ベント付き押出機からベント圧力が5(mmHg)となるように真空ポンプで脱気乾燥させながら押出を行ない、Tダイよりシート状に形成した。このとき静電印加キャスト法を用いた。電極として直径0.5mmのタングステンワイヤーに+電荷、キャスティングドラムをアース(0電位)とし7kVの直流電界をかけた。このとき溶融フィルムのキャスティングドラムとの接地点とタングステンワイヤーとの距離は1cmであった。なお炭酸カルシウムの500nm?600nmにおける平均反射率は90%であり、溶融時の比抵抗は1×10^(8)Ω・cmであった。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化させ、100℃に加熱されたロール群に導き、機械軸方向に3倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、この縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンタに導き、125℃に加熱された雰囲気中で機械軸方向に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンタ内で220℃の熱固定を行ない、均一に徐冷後室温まで冷却して巻取り厚み100μmのフィルムを得た。得られたフィルムのについては表1に示したように、印字品質が最高レベルにあり、輝度が大きく白色で明るい画面が得られた。
【0080】
比較例1
実施例1において使用したリン酸トリメチル(TMPA)を添加せず、炭酸カルシウム添加量を10wt%とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1のとおりであった。フィルムのR×ODの値が50を下回っており、画面の明るさが十分でなく印字品質も劣っていた。
【0081】
比較例3
平均粒径0.1μmの二酸化チタン20重量%、ポリエチレンテレフタレート(PET)80重量%およびリン酸トリメチル(TMPA)1000ppmを混合し、270?300℃に加熱された2軸ベント付き押出機よりベント圧力が10(mmHg)となるように真空ポンプで脱気乾燥させながら押出し、Tダイよりシート状に形成し、以降は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムについては表1に示したように、印字品質レベルが高く、輝度が大きく明るい画面が得られた。
【0082】
比較例2
TMPA無添加とした以外は比較例3と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1のとおりであった。
【0083】
TMPAが添加されていないために平均反射率の低いフィルムとなり、このフィルムを用いた画面は十分明るいものとはならなかった。また印字品質も若干低下していた。
【0084】
比較例4
平均粒径0.8μmの炭酸カルシウム10重量%、ポリエチレンテレフタレート(PET)90重量%を混合し、270?300℃に加熱された2軸ベント付き押出機Aよりベント圧力が5(mmHg)となるように真空ポンプで脱気乾燥させながら押出し、PET80重量%、平均粒径1.4μmの炭酸カルシウム20重量%およびリン酸トリメチル(TMPA)1000ppmを180℃で3時間真空乾燥し押出機Bより押出し、押出機Aが内層、押出機Bが外層の3層構成(B/A/B)となるように共押出を行ない、Tダイよりシート状に形成し、以降は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。なお用いた炭酸カルシウムの500nm?600nmにおける平均反射率は90%であった。得られたフィルムについては表1に示したように、印字品質レベルが高く、輝度が大きく明るい画面が得られた。
【0085】
【表1】

【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、平均反射率および隠蔽性を掛け合わせた値が大きい白色フィルムが得られる。かかる白色フィルムの使用により、液晶ディスプレイ反射板用基材など面光源用反射板基材に用いて、より高反射率で明るい画面が得られると同時に印字品質にも優れるという効果が得られる。また、受容紙または印字基材として使用した場合、印字のコントラストがよく高級感を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、反射板をサイドライト式面発光体に組み込んだ際の概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・画面
2・・・反射板
3・・・網点印刷
4・・・透明導光板
5・・・拡散板
6・・・冷陰極管(蛍光灯)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-05-06 
出願番号 特願平8-131880
審決分類 P 1 41・ 853- Y (C08J)
P 1 41・ 851- Y (C08J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 天野 宏樹  
特許庁審判長 小林 均
特許庁審判官 内田 靖恵
小野寺 務
登録日 2005-02-04 
登録番号 特許第3641877号(P3641877)
発明の名称 白色フィルムおよびその製造方法  

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