• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1217051
審判番号 不服2009-3831  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-20 
確定日 2010-05-19 
事件の表示 特願2002-212709「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月19日出願公開、特開2004- 49625〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年7月22日の出願であって、平成21年1月26日付け(1月28日発送)で拒絶査定され、これに対し、同年2月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成21年2月20日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年2月20日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成21年2月20日付けの手続補正(以下「本願補正」という。)により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】
遊技盤と、前記遊技盤に配置され、大当りの成立によって遊技者に有利な開放状態になる第1と第2の可変入賞口と、前記各可変入賞口の前方に配置され、かつ通常状態は透明もしくは半透明であり、前記大当たりが成立したことに応じてその大当りの成立を報知する表示状態となる可変表示報知部とを有した遊技機であって、前記第1と第2の可変入賞口とは前記遊技盤上の左右方向に離れて配置され、前記大当り発生時に開放されたとき、操作ハンドルの操作によって打球方向が操作されて前記遊技盤上に発射させられた遊技球が最初に入賞したのが前記第1の可変入賞口のときと第2の可変入賞口のときとで、前記大当り時に開放する最大開放回数を異ならせて設定する遊技制御手段と、前記大当り発生時に前記第1と第2の可変入賞口のいずれに最初に遊技球を入れた方が前記最大開放回数が多くなるかを識別可能に前記可変表示報知部による表示態様を可変制御する可変表示報知部制御手段を備えたことを特徴とする遊技機。」
に補正された。

本願補正は、補正前(平成20年11月20日付け手続補正は、平成21年1月26日付けの補正の却下の決定により却下されたので、対象となる補正は平成20年9月2日付け手続補正である)の請求項1において、
(あ)第1と第2の可変入賞口に関して、「前記遊技盤上の左右方向に離れて配置され」という技術事項を付加する。
(い)最初に入賞した遊技球に関して、「操作ハンドルの操作によって打球方向が操作されて前記遊技盤上に発射させられた」という技術事項を付加する。
(う)「前記第1と第2の可変入賞口のうちいずれの可変入賞口かによって」という事項を「前記第1の可変入賞口のときと第2の可変入賞口のときとで」に変更し、また、「最大開放回数を異ならせる」という事項を「最大開放回数を異ならせて設定し」に変更する。
というものであり、上記(あ)、(い)の補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、そして上記(う)の補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当すると認められる。
また、本願補正により、補正前の請求項2ないし請求項4は削除された。
したがって、本願補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
そこで、以下、本願補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて検討する。

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成20年9月22日付けの最後の拒絶理由通知書)において引用文献2として引用された特開2000-317062号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾球遊技機における大当たり確定時に、大当たり状態の継続回数の決定方法に関するものである。」
(イ)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の弾球遊技機では、上述のように大当たりの権利の継続回数は、弾球遊技機側の制御のみで決定されるため、この決定には、遊技者が関与し得ないこととなっていた。したがって、この点で、遊技性が減殺されることともなっていた。
【0005】そこで、本発明は、遊技者が上記のような弾球遊技機において大当たりの権利を獲得したときに、その権利が継続する回数の決定に、遊技者の操作を介入させることで、遊技者に、遊技へより積極的に参加しているように感じさせ、遊技性を向上させることを目的とする。」
(ウ)「【0047】(請求項5)本発明のうち、請求項5記載の発明は、特定始動口11への入球により特別図柄表示装置12が作動し、同特別図柄表示装置12が特定の図柄を表示する場合に、大入賞口15が所定の回数開閉する弾球遊技機10において、特定始動口11への入球を検知するとともに、検知した際には第一入球信号を送信する第一入球検出手段21と、上記第一入球信号の受信により、当たり判定乱数を取得する第一乱数取得手段22と、上記当たり判定乱数を記憶する第一乱数記憶手段32と、第一乱数記憶手段32から当たり判定乱数を取得し、当該当たり判定乱数に対応する図柄を特別図柄表示装置12に表示させる図柄制御手段24と、少なくとも二の継続回数決定ゲート13と、前記第一入球信号の受信により、上記各継続回数決定ゲート13ごとに、継続回数乱数を取得する第二乱数取得手段23aと、上記各継続回数決定ゲート13ごとに継続回数乱数を記憶する第二乱数記憶手段33と、前記当たり判定乱数の判定により、大当たりとなった際に、上記各継続回数決定ゲート13を開放させ又は有効とし、かつ、開放させ又は有効とした各継続回数決定ゲート13のうちの一に入球した場合に、全ての継続回数決定ゲート13を閉鎖させ又は無効とするゲート制御手段25と、上記の開放し又は有効とされた各継続回数決定ゲート13への入球を検知するとともに、検知した際には第二入球信号を送信する第二入球検出手段26と、上記第二入球信号の受信により、第二乱数記憶手段33に記憶された当該継続回数決定ゲート13に係る継続回数乱数を取得する回数取得手段27と、上記取得された継続回数乱数を継続回数データとして記憶する回数記憶手段34と、上記回数記憶手段34から継続回数データを取得し、大入賞口15を当該継続回数開閉させる開閉手段28とを有することを特徴とする。
【0048】すなわち、本請求項記載の発明においては、継続回数は特定始動口11への入球の際に決定する点では請求項1記載の発明と共通するが、その継続回数は各継続回数決定ゲート13ごとに決定されており、最終的な継続回数はいずれかの継続回数決定ゲート13への入球で確定することとなっている点で相違することとなっている。
【0049】「特定始動口」、「特別図柄表示装置」、「大入賞口」、「第一入球検出手段」及び「第一乱数取得手段」については、前記請求項1に係る発明の説明における記述と同様である。「第二乱数取得手段」は、上記第一入球検出手段21からの第一入球信号を受信して、継続回数乱数を取得することとなっている。この第二乱数取得手段23aは、たとえば、主基板のROM40上に記憶された乱数テーブルから、所定の条件(たとえば、上記の第一入球検出手段21による入球の検出のタイミング)に従って一の乱数を取得するような、弾球遊技機10の制御プログラムの一部として実現される。
【0050】また、この継続回数乱数とは、前記特別図柄表示装置12が大当たり図柄(たとえば、「777」)を示す場合における、大入賞口15が開放する回数を示す乱数をいう。更に、この継続回数乱数は、後述の各継続回数決定ゲート13ごとに異なる数値が決定されることとなっている。「第一乱数記憶手段」とは、上記の当たり判定乱数を記憶する手段をいう。この第一乱数記憶手段32は、たとえば、主基板のメモリ30上に設けられるものである。
【0051】「第二乱数記憶手段」とは、上記の継続回数乱数を、後述の各継続回数決定ゲート13ごとに記憶する手段をいう。この第二乱数記憶手段33は、たとえば、主基板のメモリ30上に設けられるものである。「図柄制御手段」、「継続回数決定ゲート」及び「ゲート制御手段」については、前記請求項1に係る発明の説明における記述と同様である。
【0052】「第二入球検出手段」とは、上記継続回数決定ゲート13への入球を検出する手段をいう。この第二入球検出手段26は、たとえば、上記各継続回数決定ゲート13に設置された光センサーからの信号を認識するような、弾球遊技機10の制御プログラムの一部として実現される。そして、この第二入球検出手段26は、かかる入球を検出すると、下記の回数取得手段27へ、いずれの継続回数決定ゲート13へ入球したかに関する第二入球信号を送信することとなっている。
【0053】「回数取得手段」とは、上記第二入球検出手段26からの第二入球信号を受け、当該継続回数決定ゲート13に係る継続回数乱数を、前記第二乱数記憶手段33から取得する手段をいう。この回数取得手段27は、たとえば、弾球遊技機10の制御プログラムの一部として実現される。そして、この継続回数乱数を、下記の回数記憶手段34へ継続回数データとして記憶させることとなっている。
【0054】「回数記憶手段」及び「開閉手段」については、前記請求項1に係る発明の説明における記述と同様である。すなわち、本請求項に係る弾球遊技機10においては、大当たりとなった際に、各継続回数決定ゲート13が開放し又は有効とされ、このいずれかへの入球によって、大入賞口15の開放の回数(継続回数)が決定することとなっている。そして、当該回数は、実は、遊技球が特定始動口11へ入球した際に第二乱数取得手段23aにより、各継続回数決定ゲート13ごとに決定されている。よって、いずれの継続回数決定ゲート13へ入球させるかは遊技者の意思及び技量に左右されることとなっている。したがって、継続回数の決定に遊技者を関与させることが可能となっている。
【0055】本請求項に係る弾球遊技機10における遊技は、たとえば以下のようにして実施される。まず、弾球により盤面に発射された遊技球が、特定始動口11へ入球すると、この入球を第一入球検出手段21が検出する。そして、第一入球検出手段21は、第一入球信号を第一乱数取得手段22及び第二乱数取得手段23aへ送信する。
【0056】第一入球信号を受信した第一乱数取得手段22は、たとえば、主基板のROM40上に設けられた乱数テーブルから、第一入球検出手段21による入球の検出のタイミングに従って、当たり判定乱数を取得する。また、同じく第一入球信号を受信した第二乱数取得手段23aは、たとえば、主基板のROM40上に設けられた乱数テーブルから、第一入球検出手段21による入球の検出のタイミングに従って、継続回数乱数を取得する。すなわち、各継続回数決定ゲート13ごとの継続回数は、この段階で決定することとなっている。また、この継続回数は、所定種類の数値(たとえば、8及び16)を、いずれかの継続回数決定ゲート13へと振り当てることで決定するようにしてもよい。
【0057】そして、第一乱数記憶手段32は、上記の、第一乱数取得手段22が取得した当たり判定乱数を記憶する。一方、第二乱数記憶手段33は、上記の、第二乱数取得手段23aが取得した継続回数乱数を、各継続回数決定ゲート13ごとに記憶する。図柄制御手段24は、上記第一乱数記憶手段32から当たり判定乱数を取得し、これに従った図柄を、特別図柄表示装置12に表示させる。
【0058】そして、ゲート制御手段25も、上記第一乱数記憶手段32から当たり判定乱数を取得するが、この当たり判定乱数の判定により大当たりとなった場合に限り、各継続回数決定ゲート13を開放させ又は有効とすることとなっている。この開放し又は有効とされた各継続回数決定ゲート13のいずれかに遊技球が入球すると、この入球を第二入球検出手段26が検出する。そして、第二入球検出手段26は、第二入球信号を回数取得手段27へ送信する。
【0059】第二入球信号を受信した回数取得手段27は、その第二入球信号で表される継続回数決定ゲート13に係る継続回数乱数を、第二乱数記憶手段33から取得する。そして、回数取得手段27は、この継続回数乱数を、継続回数データとして、回数記憶手段34へ記憶させる。回数記憶手段34へ記憶された継続回数データは、開閉手段28により取得される。そして、開閉手段28は、この継続回数データで示される回数で、大入賞口15の開閉を行うこととなっている。
【0060】上記により、大当たり状態における大入賞口15の開放の回数の決定に、偶然性のみならず、遊技者の意思及び技量を介入させることが可能となる。なお、上述の説明では、当たり判定乱数の判定結果が大当たりである場合には、継続回数決定ゲート13への入球により継続回数が決定されることとなっているが、大当たり以外の通常の当たりの場合でも、同様に継続回数決定ゲート13への入球により継続回数が決定されることとしてもよい。このとき、通常の当たりの場合の継続回数は、大当たりの場合の継続回数より少なくすることが望ましい。」
(エ)「【0067】
(第一の実施の形態)図1は、第一の実施の形態における機能ブロック図である。 本実施の形態に係る弾球遊技機10は、構成要素として、特定始動口11、特別図柄表示装置12、継続回数決定ゲート13、継続回数表示装置14及び大入賞口15を含むこととなっている。
【0068】特定始動口11は、下記の特別図柄表示装置12を作動させることとなる遊技球の入球に係る入賞口である。特別図柄表示装置12は、液晶ディスプレイにより、3桁の数字、文字等から成る図柄を表示する装置である。この図柄が、当たり図柄である「111」等のゾロ目(「777」を除く。)である場合には、下記の大入賞口15が、所定時間の間、1回だけ開放することとなっている。ただし、この回数も、下記の大当たり図柄と同様に、下記の継続回数決定ゲート13への入球で決定されることとしてもよい。また、この図柄が、大当たり図柄である「777」である場合には、下記の継続回数決定ゲート13への入球を条件に、上記所定時間よりも長時間、かつ、複数回にわたって大入賞口15が開放することとなっている。この回数を、継続回数と称する。この点については、後述する。
【0069】継続回数決定ゲート13は、上記特別図柄表示装置12が「777」を表示した際に、開放することとなっている。そして、この継続回数決定ゲート13への入球により、上記継続回数が決定することとなっている。また、本実施の形態においては、この継続回数決定ゲート13は、2個設けられることとなっている。継続回数表示装置14は、上記継続回数決定ゲート13への入球によって決定した継続回数を、液晶ディスプレイにより表示する装置である。なお、この継続回数表示装置14は、上記特別図柄表示装置12と兼用することとしてもよい。
【0070】大入賞口15は、通常の入賞口より幅広の入賞口である。この開放した大入賞口15への入球は著しく容易となっている。また、本実施の形態に係る弾球遊技機10の主基板には、弾球遊技機10全体の制御を司るCPU20と、このCPU20が実行するプログラム及びそのためのデータが記録されたROM40と、プログラムの実行の過程で生ずるデータを一時的に記憶するメモリ30とが設けられている。」
(オ)「【0145】
(第三の実施の形態)図10は、第三の実施の形態における機能ブロック図である。 本実施の形態に係る弾球遊技機10は、構成要素として、特定始動口11、特別図柄表示装置12、継続回数決定ゲート13、継続回数表示装置14及び大入賞口15を含むこととなっている。
【0146】上記の各構成要素については、上記の第一の実施の形態と同様である。また、本実施の形態に係る弾球遊技機10の主基板には、弾球遊技機10全体の制御を司るCPU20と、このCPU20が実行するプログラム及びそのためのデータが記録されたROM40と、プログラムの実行の過程で生ずるデータを一時的に記憶するメモリ30とが設けられている。」

以上、(ア)ないし(オ)の記載、および図面を総合すると、引用例1には、
「1.構成要素として、特定始動口11、特別図柄表示装置12、継続回数決定ゲート13、継続回数表示装置14及び大入賞口15を含む弾球遊技機である。
2.特定始動口11は、特別図柄表示装置12を作動させることとなる遊技球の入球に係る入賞口である。
3.特別図柄表示装置12は、液晶ディスプレイにより、3桁の数字、文字等から成る図柄を表示する装置であり、この図柄が、大当たり図柄である「777」である場合には、下記の継続回数決定ゲート13への入球を条件に、複数回にわたって大入賞口15が開放する。この回数を、継続回数と称する。
4.継続回数決定ゲート13は、2個設けられ、上記特別図柄表示装置12が「777」を表示した際に、開放する。そして、この継続回数決定ゲート13への入球により、上記継続回数が決定する。
5.大入賞口15は、通常の入賞口より幅広の入賞口である。この開放した大入賞口15への入球は著しく容易となっている。
6.各継続回数決定ゲート13(2個)毎に異なる継続回数乱数が決定され、記憶手段に継続回数データとして記憶される。そして、大当たりとなった際に各継続回数決定ゲート13は開放又は有効にされ、いずれか(2個の内のどちらかのゲート)への入球によって、全ての継続回数決定ゲート13が閉鎖又は無効とされ、入球した継続回数決定ゲート13に対応した継続回数データが前記記憶手段から取得される。その後、取得された継続回数データで示される回数で、大入賞口15の開閉が行われる。この継続回数は、所定の数値(8及び16)を、いずれかの継続回数決定ゲート13へと割り当てることで決定するようにしてもよい。
7.いずれの継続回数決定ゲート13へ入球させるかは遊技者の意思及び技量に左右され、継続回数の決定に遊技者を関与させることが可能である。」
構成及び機能を有する発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されていると認めることができる。

また、前記拒絶理由に引用文献1として引用された特開平7-8602号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(カ)「【0031】また、図2に示すように、上記前面ガラス板8は、ガラス板8aと空間部8bを介して、遊技盤5と対向する全面には、ガラス板30aに挟持された分散型液晶30bにより構成された液晶表示部30が取り付けられている。この液晶表示部30は、図3に示すように、液晶駆動回路31から入力される表示制御信号により表示制御され、遊技手順や特定遊技に関する表示等を行う。」
(キ)「【0047】この特別遊技の権利が発生しているときに、遊技領域9に対して右打ちを行って第3種始動口22に遊技球を入賞させるとことにより、大入賞口19が開放されてより多くの遊技球を獲得することができる。本実施例では、大入賞口19に遊技球が1個入賞すると、15個の遊技球を獲得することができる。
【0048】このとき、本実施例では、遊技者に右打ちを指示する遊技手順表示を液晶表示部30に行うため、CPU41は、特別遊技の権利発生に関する表示を行った後、遊技領域9の第3種始動口22への遊技球の入賞を誘導するように、出力ポート56及びドライバ58からデータ信号線67とストローブ信号線68を介して、その遊技手順の表示に関するデータ信号及びストローブ信号を図3に示した液晶駆動回路31に出力する。
【0049】液晶駆動回路31では、この遊技手順表示に関するデータ信号及びストローブ信号を受けて表示制御信号を液晶表示部30に出力する。液晶表示部30では、例えば、図5に示すように、遊技領域9の第3種始動口22の上部に指示マーク81と第3種始動口22部分を白抜き表示して、第3種始動口22に対する遊技球の入賞が必要であることを明示する。
【0050】この液晶表示部30の遊技手順表示によって、遊技球の発射方向を第3種始動口22の方向に向ける必要があることを視覚的に明示して、遊技者に対して明確に認識させることができる。」
(ク)「【0053】この大入賞口19が開放状態にあるとき、本実施例では、遊技者に大入賞口19方向への遊技球の発射を指示する遊技手順表示を液晶表示部30に行うため、図4の制御システム40のCPU41は、大入賞口19の開放直後、遊技領域9の大入賞口19への遊技球の入賞を誘導するように、出力ポート56及びドライバ58からデータ信号線67とストローブ信号線68を介して、その遊技手順の表示に関するデータ信号及びストローブ信号を図3に示した液晶駆動回路31に出力する。
【0054】液晶駆動回路31では、この遊技手順表示に関するデータ信号及びストローブ信号を受けて表示制御信号を液晶表示部30に出力する。液晶表示部30では、例えば、図6に示すように、遊技領域9の大入賞口19の右側に指示マーク83と大入賞口19部分を白抜き表示して、大入賞口19に対する遊技球の入賞が必要であることを明示する。この表示状態は、大入賞口19が開放状態にある期間継続して表示される。
【0055】この液晶表示部30の遊技手順表示によって、遊技球の発射方向を大入賞口19の方向に向ける必要があることを視覚的に明示して、遊技者に対して明確に認識させることができる。
【0056】また、特別権利発生中、いわゆる大当り状態となったとき、本実施例では、遊技者に大当り状態であることを知らせるため、図4の制御システム40のCPU41では、出力ポート56及びドライバ58からデータ信号線67とストローブ信号線68を介して、その遊技状態の表示に関するデータ信号及びストローブ信号を図3に示した液晶駆動回路31に出力する。
【0057】液晶駆動回路31では、この遊技状態表示に関するデータ信号及びストローブ信号を受けて表示制御信号を液晶表示部30に出力する。液晶表示部30では、例えば、図7に示すように、遊技領域9に大当りマーク85を表示して視覚的に明示し、遊技者及び第三者に対して大当り状態であることを明確にしている。」
(ケ)「【0063】以上説明したように、本実施例では、ガラス板8aの遊技盤5と対向する全面に、ガラス板30aに挟持された分散型液晶30bにより構成された液晶表示部30を取り付け、遊技の進行状態に応じて遊技手順及び遊技状態を、その遊技の進行状態に関連する遊技領域9内の各部に表示するようにしたため、遊技者に視覚的に遊技手順及び遊技状態を明示することができる。
【0064】したがって、前面ガラス板8の全面に一体に液晶表示部30を設けたので、ガラス面全体を有効表示領域とすることができ、種々の遊技情報を制約なしに自由に表示することができる。また、遊技手順や遊技状態を表示するようにしたため、初心者にとっても安心して遊技を楽しむことができる環境を提供することができる。また、所定期間内に特別遊技が再び発生する(連チャン)時に連チャン状態を第三者に継続して表示することができ、遊技者の興趣及び満足度を高めることができる。」

以上、(カ)ないし(ケ)の記載、および図面を総合すると、引用例2には、
「1.遊技盤5と対向する全面に、ガラス板30aに挟持された分散型液晶30bにより構成された液晶表示部30が取り付けられ、この液晶表示部30は、図3に示すように、液晶駆動回路31から入力される表示制御信号により表示制御され、遊技手順や特定遊技に関する表示等を行う。したがって、ガラス面全体を有効表示領域とすることができ、種々の遊技情報を制約なしに自由に表示することができる。また、遊技手順や遊技状態を表示するようにしたため、初心者にとっても安心して遊技を楽しむことができる環境を提供することができる。
2.特別遊技の権利が発生しているときに、遊技領域9に対して右打ちを行って第3種始動口22に遊技球を入賞させるとことにより、大入賞口19が開放されてより多くの遊技球を獲得することができるものであって、特別遊技の権利発生に関する表示を行った後、遊技領域9の第3種始動口22への遊技球の入賞を誘導するように、液晶表示部30では、例えば、図5に示すように、遊技領域9の第3種始動口22の上部に指示マーク81と第3種始動口22部分を白抜き表示して、第3種始動口22に対する遊技球の入賞が必要であることを明示する。この液晶表示部30の遊技手順表示によって、遊技球の発射方向を第3種始動口22の方向に向ける必要があることを視覚的に明示して、遊技者に対して明確に認識させることができる。
3.大入賞口19が開放状態にあるとき、遊技者に大入賞口19方向への遊技球の発射を指示する遊技手順表示を液晶表示部30に行うため、例えば、図6に示すように、遊技領域9の大入賞口19の右側に指示マーク83と大入賞口19部分を白抜き表示して、大入賞口19に対する遊技球の入賞が必要であることを明示する。この液晶表示部30の遊技手順表示によって、遊技球の発射方向を大入賞口19の方向に向ける必要があることを視覚的に明示して、遊技者に対して明確に認識させることができる。
4.また、特別権利発生中、いわゆる大当り状態となったとき、遊技者に大当り状態であることを知らせるため、液晶表示部30では、例えば、図7に示すように、遊技領域9に大当りマーク85を表示して視覚的に明示し、遊技者及び第三者に対して大当り状態であることを明確にしている。
5.パチンコ遊技機。」
の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
引用発明1と本願補正発明とを対比する。
引用発明1の「弾球遊技機」は、本願補正発明の「遊技盤」を備えた「遊技機」に相当する。
引用発明1の「継続回数」は、大入賞口の開放回数であるから、本願補正発明の「最大開放回数」に相当し、また、引用発明1の「特別図柄表示装置12が「777」を表示した際」は、本願補正発明の「大当りの成立」ないし「大当りの発生時」に対応する。
引用発明1の「継続回数決定ゲート13」は、「大当りの成立によって遊技者に有利な開放状態となる」かは別にして、遊技盤に2つ配置された、つまりは第1と第2として区別できる「可変入賞口」であって、遊技者の意思及び技量(操作ハンドルの操作)によって最初に入球させる継続回数決定ゲートを決めることができるものであり、そして、「特別図柄表示装置12が「777」を表示した際」に両者共に開放され、最初に入球したのが第1の継続回数決定ゲートであるか第2の継続回数決定ゲートであるかで、「大当りの成立によって遊技者に有利な開放状態となる大入賞口15」を開放する継続回数を異ならせて設定する手段を有しているから、引用発明1は、本願補正発明の「前記遊技盤に配置され(た)、第1と第2の可変入賞口」と、「大当り発生時に開放されたとき、操作ハンドルの操作によって打球方向が操作されて前記遊技盤上に発射させられた遊技球が最初に入賞したのが前記第1の可変入賞口のときと第2の可変入賞口のときとで、前記大当り時に開放する最大開放回数を異ならせて設定する遊技制御手段」を備えているということができる。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「遊技盤と、前記遊技盤に配置され、第1と第2の可変入賞口と、を有した遊技機であって、前記大当り発生時に開放されたとき、操作ハンドルの操作によって打球方向が操作されて前記遊技盤上に発射させられた遊技球が最初に入賞したのが前記第1の可変入賞口のときと第2の可変入賞口のときとで、前記大当り時に開放する最大開放回数を異ならせて設定する遊技制御手段と、を備えた遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願補正発明は、第1と第2の可変入賞口が「大当りの成立によって遊技者に有利な開放状態になる」ものであるのに対し、
引用発明1は、2つの(つまりは第1と第2の)継続回数決定ゲート13が、大当りとなった際に開放されるものの、前記第1と第2のいずれかの継続回数決定ゲート13への入球によって継続回数決定ゲート13は両方とも閉鎖され、本願補正発明でいう「大当りの成立によって遊技者に有利な開放状態になる可変入賞口」に対応するものは、全ての継続回数決定ゲート13が閉鎖された後に開閉が行われる「大入賞口15」として別に設けられている点。
<相違点2>
本願補正発明は、大当り時に第1と第2の可変入賞口自体が開放され、遊技球が第1と第2の可変入賞口のいずれに入球したかで、入球した可変入賞口自体が開放される最大開放回数を異ならせて設定しているのに対し、
引用発明1は、大当り時に第1と第2の継続回数決定ゲート13が開放され、第1と第2の継続回数決定ゲート13のいずれに最初に入球(入賞)したかで、大当たり時に開放される「大入賞口15」の継続回数(最大開放回数)を異ならせて設定している点。
<相違点3>
本願補正発明は、最大開放回数を遊技球の入賞によって決定する機能を有する第1と第2の可変入賞口とが「遊技盤上の左右方向に離れて配置され」たものであるのに対し、
引用発明1は、継続回数(最大開放回数)を遊技球の入球(入賞)によって決定する機能を有する点で本願補正発明の可変入賞口と共通の機能を有する第1と第2の継続回数決定ゲートについて、その配置は不明である点。
<相違点4>
本願補正発明は、「各可変入賞口の前方に配置され、かつ通常状態は透明もしくは半透明であり、前記大当たりが成立したことに応じてその大当りの成立を報知する表示状態となる可変表示報知部」を備えたものであるのに対し、
引用発明1は、上記構成を備えていない点。
<相違点5>
本願補正発明は、「大当り発生時に前記第1と第2の可変入賞口のいずれに最初に遊技球を入れた方が前記最大開放回数が多くなるかを識別可能に前記可変表示報知部による表示態様を可変制御する可変表示報知部制御手段を備えた」ものであるのに対し、
引用発明1は、上記構成を備えていない点。

(4)判断
<相違点1>および<相違点2>について
相違点1と相違点2は、密接に関連しているので両者を合わせて判断する。
引用発明1の第1と第2の継続回数決定ゲート13は、継続回数を決定するためだけに開放されるものであり、大入賞口としての機能は有していない。
しかしながら、継続回数決定ゲート13は、大当り状態になったときに開放されて遊技球を受け入れる可変入賞口としての機能を有するものであり、また、弾球遊技機において大入賞口に大入賞口としての機能だけでなく他の機能を兼ねさせることや、特定の機能を有する入賞口に他の機能を兼ねさせるようなことは周知慣用な手段であるから、大入賞口に大当り状態継続決定機能を兼ねさせることは当業者が容易に想到し得ると認められる。
したがって、引用発明1における第1及び第2の継続回数決定ゲート13に大入賞口15の機能を兼ねさせ、継続回数決定機能を有する第1及び第2の大入賞口(本願補正発明の第1と第2の可変入賞口)という構成に変更することは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
そして、引用発明1の第1と第2の継続回数決定ゲート13について、大当り状態になったときに複数回開放される大入賞口15としての機能も兼ねさせることによって、入球した方の継続回数決定ゲート13で決定された継続回数だけ当該継続回数決定ゲート13を開放させるようにすることは、当業者が適宜なし得たと認められる。
したがって、相違点1および相違点2に係る事項は、上記周知慣用な手段から当業者が容易に想到し得たということができる。
<相違点3>について
引用発明1における第1と第2の継続回数決定ゲート13については、いずれの継続回数決定ゲート13に入球させるかを遊技者の意思及び技量によって決めることが可能なのであるから、第1と第2の継続回数決定ゲート13の配置は、遊技者の打球の操作で入球させたい方を選択できるようになっていることは明らかである。
しかして、複数の入賞口を備えた弾球遊技機において、複数の入賞口の中から入球させたい入賞口を遊技者が選択できるようにするために、当該複数の入賞口を左右に離して配置することは、審尋に記載した特開平5-84344号公報を示すまでもなく従来周知な技術(以下、「周知技術」という。)であるから、遊技者の打球の操作で入球させたい方のゲートを選択できるように、引用発明1における第1と第2の継続回数決定ゲート13を左右方向に離れて配置する程度のことは、周知技術から当業者が容易に想到できたと認められる。
<相違点4>について
引用発明2には、遊技盤5と対向するガラス面全体を有効表示領域とする液晶表示部30が取り付けられ、遊技手順や特定遊技に関する表示等を行うものが記載されており、このガラス面全体を有効表示領域とする液晶表示部30は、本願補正発明でいう「各可変入賞口の前方に配置され、かつ通常状態は透明もしくは半透明である可変表示報知部」に相当することは明らかである。
また、引用発明2には、大当り状態となったとき遊技領域9に大当りマーク85を表示して視覚的に明示し、遊技者及び第三者に対して大当り状態であることを明確にすることも記載されており、これは本願補正発明でいう「大当りが成立したことに応じてその大当りの成立を報知する表示状態となる」ことに相当する。
そして、引用発明1の弾球遊技機において、表示手段として引用発明2に記載されたような表示手段を用いることに阻害要因はないので、相違点4は引用発明2から当業者が容易に想到できたと認められる。
<相違点5>について
本願補正発明は、第1と第2の可変入賞口を開放した時点で、既に両可変入賞口それぞれの最大開放回数が決定されており、この決定された最大開放回数に基づいて第1と第2の可変入賞口のいずれの最大開放回数が多くなるかを判断し、多い方の可変入賞口を可変表示報知部で識別可能に表示するものである。
一方、引用発明1は、第1と第2の継続回数決定ゲート13を開放した時点で、両継続回数決定ゲート13それぞれの継続回数が決定されている点では本願補正発明と変わらないが、当該決定された継続回数に関して、遊技者に情報を提供するものではない。
しかしながら、弾球遊技機において、遊技の興趣を高めるために、抽選により大当りが発生したとか、現在の遊技状態が確変状態(当選確率が高い状態)であるといった遊技者にとって有用な情報を遊技者に報知することや、あるいは、引用発明2のように、多くの遊技球を獲得するために狙うべき入賞口がどれであるか等、遊技者に有用な情報を明示したりすることは周知な手段であるから、引用発明1において、遊技の興趣を高めるために、第1と第2の継続回数決定ゲート13に入球した場合のそれぞれの継続回数、あるいはどちらの継続回数が多いかなど、遊技者にとって有用な情報を遊技者に提供する程度のことは、当業者が容易に想到できたといわざるを得ない。
そして、当該第1と第2の継続回数決定ゲート13に入球した場合それぞれの継続回数、あるいはどちらに入球した方が継続回数が多いかなどの情報を遊技者に提供するにあたり、引用発明2のような表示手段を用いることは適宜なし得るものと認められる。
さらに、本願補正発明の作用効果等を総合的に勘案しても、本願補正発明に格別の点を認めることはできない。

以上のように、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(5)本願補正についてのまとめ
以上のとおり本願補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
平成21年2月20日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本出願に係る発明は、平成20年9月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲により特定されるとおりのものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、次のとおりである。

「遊技盤と、前記遊技盤に配置され、大当りの成立によって遊技者に有利な開放状態になる第1と第2の可変入賞口と、前記各可変入賞口の前方に配置され、かつ通常状態は透明もしくは半透明であり、前記大当たりが成立したことに応じてその大当りの成立を報知する表示状態となる可変表示報知部とを有した遊技機であって、前記大当り発生時に開放されたとき最初に遊技球が入賞したのが前記第1と第2の可変入賞口のうちいずれの可変入賞口かによって前記大当り時に開放する最大開放回数を異ならせる遊技制御手段と、前記大当り発生時に前記第1と第2の可変入賞口のいずれに最初に遊技球を入れた方が前記最大開放回数が多くなるかを識別可能に前記可変表示報知部による表示態様を可変制御する可変表示報知部制御手段を備えたことを特徴とする遊技機。」

(1)引用例に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-317062号公報(引用例1)、および特開平7-8602号公報(引用例2)に記載された事項は、前記「2.(2)」に摘記したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明(補正前の請求項1)は、前記2.で検討した本願補正発明(補正後の請求項1)から、「前記第1と第2の可変入賞口とは前記遊技盤上の左右方向に離れて配置され」および「操作ハンドルの操作によって打球方向が操作されて前記遊技盤上に発射させられた遊技球」という技術事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明1、引用発明2および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1、引用発明2および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-17 
結審通知日 2010-03-18 
審決日 2010-03-30 
出願番号 特願2002-212709(P2002-212709)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光池谷 香次郎  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 小原 博生
井上 昌宏
発明の名称 遊技機  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ