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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1217282
審判番号 不服2007-12309  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-27 
確定日 2010-05-27 
事件の表示 特願2003- 58513「放送受信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月30日出願公開、特開2004-274140〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成15年3月5日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成18年12月20日(起案日)
手続補正 :平成19年 3月 8日
拒絶査定 :平成19年 3月27日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成19年 4月27日
手続補正 :平成19年 5月23日
前置審査報告 :平成19年 9月25日
審尋 :平成21年 7月 8日(起案日)
回答書 :平成21年 9月14日
拒絶理由通知(当審) :平成21年12月 3日(起案日)
手続補正 :平成22年 2月 5日

[2]本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年2月5日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
【請求項1】
放送波を受信する放送受信部と、
前記放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する映像表示制御部と、
通信ネットワークを介して電子メールを受信する電子メール受信部と、メールアドレスを記憶するメモリと、
を備えており、
前記映像表示制御部は、前記放送受信映像を表示する際に、前記電子メール受信部により電子メールを受信した場合、前記メモリに記憶されたメールアドレスと前記受信した電子メールのメールアドレスとを対比し、
当該電子メールのアドレスが前記メモリに記憶されているときには、当該電子メールを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示し、
当該電子メールのアドレスが前記メモリに記憶されていないときには、当該電子メールを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御する
ことを特徴とする放送受信装置。

[3] 刊行物の記載
当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2002-112139号公報(平成14年4月12日出願公開。以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯電話の機能を有するテレビ(テレビジョン)受信機に関する。

【0003】
【従来の技術】携帯電話のショートメッセージ(プチメール)は、爆発的に普及しており、特に若い人の間では、通話よりメッセージ交換の方が多く利用されていると言えるほどである。
【0004】インターネットの電子メールも普及しているが、インターネットメールは、電話回線の引き回しやプロバイダ(インターネットサービスプロバイダ)との契約を必要とするのに対して、携帯電話のショートメッセージは、携帯電話事業者独自のサービスであって、手続が簡単であり、電話線の接続も必要としない。

【0007】
【課題を解決するための手段】この発明では、テレビ受信機を、テレビ放送信号を受信して、ディスプレイ上に画像を表示するテレビ受信機能部と、携帯電話の機能を有し、携帯電話のショートメッセージの受信機能を有する携帯電話機能部と、この携帯電話機能部でショートメッセージが受信されたとき、前記テレビ受信機能部の電源がオンのときには、そのメッセージを前記ディスプレイ上に表示し、前記テレビ受信機能部の電源がオフのときには、そのメッセージをメッセージメモリに記録する制御部と、を備えるものとして構成する。
【0008】上記のように構成した、この発明のテレビ受信機は、一台のテレビ受信機であると同時に、一台の携帯電話機でもあり、独立した携帯電話の機能を有し、かつ携帯電話のショートメッセージの受信機能を有する。しかも、テレビ受信機能部の電源がオンで、テレビ画面に画像が表示されているときに、携帯電話機能部でショートメッセージが受信されたときには、そのメッセージがテレビ画面に表示されるので、テレビ画面を見ているユーザは、テレビ画面を見ながら、メッセージを直ちに、しかも大画面で見やすく、見ることができる。しかも、そのため、家族に対してショートメッセージを送ることができ、個人と家族の間または家族と家族の間でのメッセージ交換を容易に実現することができる。

【0012】テレビ受信機能部10は、基本的には一般の家庭用のテレビ受信機と変わらない。すなわち、テレビ受信機能部10では、アンテナ11で受信されたテレビ放送信号が、チューナ部12で選局され、復調部13で復調されて、復調部13から映像信号および音声信号が得られる。
【0013】復調部13からの映像信号は、映像処理部14で処理され、表示処理部15で後述のようにメッセージやオンスクリーンキーボードなどを表示する処理がなされた後、CRT(陰極線管)ディスプレイやLCD(液晶ディスプレイ)などのディスプレイ16に供給され、ディスプレイ16の画面17上に画像が表示される。

【0016】携帯電話機能部30は、アンテナ31、送受信部32、変復調部33、着信検出部34、着信音メモリ35、番号検出部36、メッセージ処理部37、メッセージ作成部38、音声入出力部39、送話用マイクロホン41および受話用スピーカ42を備える。
【0017】着信検出部34は、携帯電話機能部30への着信を検出するものであり、着信音メモリ35は、メロディ音などの着信音のデータが記憶されたものであり、番号検出部36は、携帯電話機能部30に着信したショートメッセージや電話の発信者(相手先)の電話番号を検出するものである。
【0018】メッセージ処理部37は、携帯電話機能部30で受信されたショートメッセージのテキストデータを処理して、メッセージの表示データを生成するものであり、メッセージ作成部38は、携帯電話機能部30から発信されるショートメッセージのテキストデータを作成するものである。

【0020】制御部50は、CPU51を有し、そのバス52に、CPU51が実行すべき後述のメッセージ表示処理ルーチンやメッセージ記録処理ルーチンなどのプログラムや固定データなどが書き込まれたROM53、およびCPU51のワークエリアなどとして機能するRAM54が接続される。
【0021】さらに、バス52には、相手先メモリ55およびメッセージメモリ56が接続される。相手先メモリ55は、当該テレビ受信機のユーザの相手先の電話番号と名称(氏名、通称、愛称など)とを対応づけて登録するものであり、メッセージメモリ56は、テレビ受信機能部10の電源がオフのときに携帯電話機能部30でショートメッセージが受信されたとき、そのメッセージを、番号検出部36で検出された電話番号とともに記録するものである。ただし、相手先メモリ55およびメッセージメモリ56は、一つのメモリの別個の領域として設けてもよく、RAM54の一部の領域として設けてもよい。

【0027】ユーザは、このオンスクリーンキーボード23にタッチすることによって、相手先の電話番号と名称を入力し、登録操作をする。これによって、図3に示すように、相手先メモリ55に、相手先の電話番号と名称が、対応づけられて記録される。
【0028】(電源オン時のショートメッセージの表示)以上のテレビ受信機では、制御部50は、図4に示すようなメッセージ表示処理ルーチンによって、テレビ受信機の電源がオンのときに携帯電話機能部30でショートメッセージが受信されたとき、そのメッセージを画面17上に表示する。
【0029】すなわち、図4のメッセージ表示処理ルーチン70では、テレビ受信機の電源がオンの状態において、まずステップ71で、携帯電話機能部30でショートメッセージが受信されたか否かを判断し、受信されたときには、ステップ72に進んで、着信音メモリ35からショートメッセージ用の着信音のデータを読み出して、スピーカ19から着信音を出力させ、さらにステップ73に進んで、LED65を点滅させる。
【0030】これによって、画面17を見ているユーザは、画面17を見ながら、ショートメッセージの着信があったことを知ることができるとともに、耳の不自由なユーザも、ショートメッセージの着信があったことを知ることができる。
【0031】着信音を出力させ、LED65を点滅させた後、制御部50は、ステップ74に進んで、番号検出部36で検出された電話番号から、相手先メモリ55に相手先の名称が登録されているか否かを判断し、登録されているときには、ステップ74からステップ75に進んで、相手先メモリ55から相手先の名称を読み出して、画面17上に表示した上で、ステップ76に進んで、受信されたメッセージを画面17上に表示する。相手先メモリ55に相手先の名称が登録されていないときには、ステップ74から直接、ステップ76に進んで、受信されたメッセージを画面17上に表示する。このとき、検出された電話番号を同時に表示することができる。
【0032】相手先の名称は、例えば、図5(A)に示すように、『「○○○○」さんからのメッセージです。』というような定型文に相手先の名称が挿入される形式で、画面17の下部にスクロール表示される。メッセージ内容は、例えば、図5(B)に示すように、同様に画面17の下部にスクロール表示される。
【0033】したがって、画面17を見ているユーザは、画面17を見ながら、何ら特別の操作をすることなく、相手先が誰であるかを知ることができるとともに、メッセージ内容を大画面で見やすく見ることができる。

【0043】(ショートメッセージの作成と発信)上述した例のテレビ受信機では、ユーザはショートメッセージを作成して当該テレビ受信機から発信することもできる。
【0044】この場合、ユーザは、テレビ受信機の電源をオンにした状態で、上述した操作によって、図2に示したように画面17上にオンスクリーンキーボード23を表示させ、このオンスクリーンキーボード23にタッチすることによって、ショートメッセージを作成する。作成されたショートメッセージは、相手先の電話番号の入力を含むユーザの発信操作によって、携帯電話機能部30から送信される。

[4]刊行物に記載された発明
以上の記載によれば、刊行物1には、次の発明が記載されている。

a)テレビ受信機能部について
【0007】の記載によれば、テレビ受信機能部は、「テレビ放送信号を受信して、ディスプレイ上に画像を表示するテレビ受信機能部」であるから、テレビ放送信号を受信し、ディスプレイで表示するものである。
【0008】の記載によれば、「テレビ受信機能部の電源がオンで、テレビ画面に画像が表示されているときに、携帯電話機能部でショートメッセージが受信されたときには、そのメッセージがテレビ画面に表示される」ものであるから、テレビ受信機能部は、さらに、ショートメッセージも表示されるように制御されるものである。

b)携帯電話機能部について
【0016】ないし【0018】の記載によれば、携帯電話機能部は「アンテナ31、送受信部32、変復調部33、着信検出部34、着信音メモリ35、番号検出部36、メッセージ処理部37、メッセージ作成部38、音声入出力部39、送話用マイクロホン41および受話用スピーカ42を備え」、「着信検出部34は、携帯電話機能部30への着信を検出するものであり」、「番号検出部36は、携帯電話機能部30に着信したショートメッセージや電話の発信者(相手先)の電話番号を検出するもの」であり、「メッセージ処理部37は、携帯電話機能部30で受信されたショートメッセージのテキストデータを処理して、メッセージの表示データを生成するものであり、メッセージ作成部38は、携帯電話機能部30から発信されるショートメッセージのテキストデータを作成するもの」であり、また【0043】、【0044】の記載によれば「ショートメッセージを作成して当該テレビ受信機から発信する・・・場合、ユーザは、・・・ショートメッセージを作成」し、「作成されたショートメッセージは、相手先の電話番号の入力を含むユーザの発信操作によって、携帯電話機能部30から送信される。」ものであるから、ショートメッセージのテキストデータを、所望の電話番号の相手先との間で送受信するものである。

c)相手先メモリについて
【0021】の記載によれば、相手先メモリは「当該テレビ受信機のユーザの相手先の電話番号と名称(氏名、通称、愛称など)とを対応づけて登録するもの」であり、【0043】、【0044】の記載によれば、電話番号によりショートメッセージの送信先を指定しているから、(ショートメッセージのテキストデータの送信先にもなる)相手先の電話番号と名称とを記憶するメモリである。

d)制御部と制御部が行う表示について
【0020】の記載によれば、制御部は、「CPU51を有し、そのバス52に、CPU51が実行すべき後述のメッセージ表示処理ルーチンやメッセージ記録処理ルーチンなどのプログラムや固定データなどが書き込まれたROM53、およびCPU51のワークエリアなどとして機能するRAM54が接続される。」ものであり、【0029】ないし【0031】の記載によれば、メッセージ表示処理ルーチンは「携帯電話機能部30でショートメッセージが受信されたか否かを判断し、受信されたときには・・番号検出部36で検出された電話番号から、相手先メモリ55に相手先の名称が登録されているか否かを判断し、登録されているときには・・相手先メモリ55から相手先の名称を読み出して、画面17上に表示した上で、ステップ76に進んで、受信されたメッセージを画面17上に表示する。相手先メモリ55に相手先の名称が登録されていないときには、ステップ74から直接、ステップ76に進んで、受信されたメッセージを画面17上に表示する」ものである。
すなわち、「CPUが実行すべきメッセージ表示処理ルーチン」は、「受信されたメッセージを画面上に表示する」ことも含むものである。
上記メッセージ表示処理ルーチンの「メッセージを画面上に表示する」具体的な処理は、発明の詳細な説明【0013】によれば、「復調部13からの映像信号は、映像処理部14で処理され、表示処理部15で後述のようにメッセージやオンスクリーンキーボードなどを表示する処理がなされた後、・・・ディスプレイ16の画面17上に画像が表示される。」ようになされるものである。
加えて、図1を参酌すると、制御部からの制御信号は直接ディスプレイに入力されるのではなく、映像処理部・表示処理部を介してディスプレイに入力されている。
上記発明の詳細な説明(【0029】ないし【0031】、【0013】)及び図1の記載から見て、「CPUが実行すべきメッセージ表示処理ルーチンは、受信されたメッセージを画面に表示することを含む」ということは、CPUがメッセージ表示処理ルーチンを実行し、実行した処理ルーチンにより映像処理部・表示処理部に対して上記メッセージを画面に表示するための制御を行い、この制御に基づき映像処理部・表示処理部がメッセージを画面に表示していることであると認めることができる。
また、上記「制御部(CPU)」、「映像処理部・表示処理部」の処理により表示されるメッセージは、図5を参酌すれば、受信したテレビ放送信号(の映像)と共に表示されていると認めることができるから、テレビ放送信号の映像を表示する際、メッセージ表示処理ルーチンにより受信されたメッセージを画面に表示している。
そして、メッセージ表示処理ルーチンは、前記のとおり「番号検出部36で検出された電話番号から、相手先メモリ55に相手先の名称が登録されているか否かを判断」しているから、番号検出部で検出された電話番号と相手先メモリの登録内容とを対比している。
さらに、テレビ放送信号の映像は、【0013】の記載より、復調部13からの映像信号である。
これらの記載事項から見て、受信されたメッセージを画面上に表示するとき、制御部(CPU)は、映像処理部・表示処理部に対して上記メッセージを表示するための制御を行い、映像処理部・表示処理部は、復調部からの映像信号を画面上に表示すると共に、上記メッセージを表示するための制御に基づき上記メッセージを画面上に表示するものである。
それに加えて、制御部は、メッセージ表示処理ルーチンにおいて、「ショートメッセージを受信した場合、検出された電話番号と相手先メモリに登録された電話番号とを対比し、電話番号が相手先メモリに記憶されている時は、相手先の名称の表示後に当該ショートメッセージを表示し、電話番号が相手先メモリに記憶されていない時は、受信されたメッセージ(のみ)を表示する」こともおこなっている。
以上、刊行物1発明の制御部と制御部が行う表示についてまとめると、
制御部は、映像処理部・表示処理部に対して受信されたメッセージを表示するための制御を行い、映像処理部・表示処理部は、復調部からの映像信号を画面上に表示すると共に、上記メッセージを表示するための制御に基づき上記メッセージを画面上に表示するものであって、
制御部は、メッセージ表示処理ルーチンにおいて、「ショートメッセージを受信した場合、検出された電話番号と相手先メモリに登録された電話番号とを対比し、電話番号が相手先メモリに記憶されている時は、相手先の名称の表示後に当該ショートメッセージを表示し、電話番号が相手先メモリに記憶されていない時は、受信されたメッセージ(のみ)を表示」するものである。

e)テレビ受信機について
【0001】、【0007】の記載によれば、刊行物1に記載されたものはテレビ放送を受信して、(ディスプレイ上に画像を)表示するテレビ受信機である。

f)まとめ
以上まとめると、刊行物1に記載された発明(以下「刊行物1発明」という)として、以下のとおりのものを認定することができる。
「テレビ放送信号を受信し、ディスプレイで表示するテレビ受信機能部と、
ショートメッセージのテキストデータを、所望の電話番号の相手先との間で送受信する携帯電話機能部と
(ショートメッセージのテキストデータの送信先にもなる)相手先の電話番号と名称とを記憶する相手先メモリと
制御部は、映像処理部・表示処理部に対して受信されたメッセージを表示するための制御を行い、映像処理部・表示処理部は、復調部からの映像信号を画面上に表示すると共に、上記メッセージを表示するための制御に基づき上記メッセージを画面上に表示するものであって、
制御部は、メッセージ表示処理ルーチンにおいて、ショートメッセージを受信した場合、検出された電話番号と相手先メモリに登録された電話番号とを対比し、電話番号が相手先メモリに記憶されている時は、相手先の名称の表示後に当該ショートメッセージを表示し、電話番号が相手先メモリに記憶されていない時は、受信されたメッセージ(のみ)を表示するものである
テレビ放送を受信して表示するテレビ受信機」

[5]対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。

ア)「放送波を受信する放送受信部」について

刊行物1発明のテレビ受信機能部は、「テレビ放送信号を受信し、ディスプレイで表示する」ものであるから、本願発明でいう「放送波を受信する放送受信部」を備えている点で相違がない。

イ)「通信ネットワークを介して電子メールを受信する電子メール受信部」について

刊行物1発明の「ショートメッセージのテキストデータを、所望の電話番号の相手先との間で送受信する携帯電話機能部」が、送信者と受信者の間でショートメッセージを送受信するためには、電話番号を用いて所望の相手先と送受信していることから見て、携帯電話の回線を利用しているということができる。そして、上記携帯電話の回線は通信ネットワークである。
また、刊行物1発明のショートメッセージ(のテキストデータ)は、上記携帯電話の回線を利用して、送信者と受信者との間でやりとりされるメッセージを伝えるための電子データである。
一方、本願発明の電子メールは、送信者と受信者の間でやりとりされる電子データであり、当該電子データにより、互いに何らかのメッセージを伝えるものである。
してみると、刊行物1発明の「ショートメッセージ(のテキストデータ)」と、本願発明の「電子メール」とは、送信者と受信者の間でやりとりされる(メッセージを伝えるための)電子データである点で一致している。
そして、刊行物1発明は、上記電子メールに対応する電子データ(テキストデータ)の受信も行っている。
以上のことから見て、刊行物1発明は、「通信ネットワークを介して、メッセージを伝えるための電子データを受信する電子データ受信部」に相当する構成を備えている点で、本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明のメッセージを伝えるための電子データは、電子メールであるのに対し、刊行物1発明のメッセージを伝えるための電子データは、ショートメッセージのテキストデータである点で相違する、

ウ)「メールアドレスを記憶するメモリ」について

刊行物1発明において、ショートメッセージを送受信するときの相手先の特定は、電話番号にて行っており、この電話番号は携帯電話の回線(すなわち通信ネットワーク)に接続されている各携帯電話を特定するための識別情報である。したがって、刊行物1発明の、電話番号を記憶する「相手先メモリ」は、ショートメッセージの送受信の相手先を特定するための識別情報を記憶するメモリでもある。
一方、本願発明のメールアドレスは、電子メールの送受信の相手先を特定するための、通信ネットワークにおける識別情報であり、本願発明のメールアドレスを記憶するメモリは、電子メールの送受信の相手先を特定するための識別情報を記憶するメモリである。
したがって、刊行物1発明の「電話番号」と、本願発明の「メールアドレス」とは、「送受信の相手先を特定するための識別情報」である点で相違がないから、刊行物1発明の「相手先メモリ」と本願発明の「メールアドレスを記憶するメモリ」とは、「送受信の相手先を特定するための識別情報を記憶するメモリ」である点で相違がない。
もっとも、本願発明の「送受信の相手先を特定するための識別情報」はメールアドレスであるのに対し、刊行物1発明の「送受信の相手先を特定するための識別情報」は電話番号である点で相違する。

エ)「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する映像表示制御部」を備えており、「映像表示制御部は、前記放送受信映像を表示する際に、前記電子メール受信部により電子メールを受信した場合、前記メモリに記憶されたメールアドレスと前記受信した電子メールのメールアドレスとを対比」することについて

本願発明の「メモリに記憶されたメールアドレスと前記受信した電子メールのメールアドレスとを対比」について、発明の詳細な説明では、「CPU209は、前述したように、電子メールのヘッダー部分に記載されたメールタイトル、送信者情報(メールアドレス)、メール本文をなすキャラクタデータを所定メモリに記憶して管理するが、ユーザによって予め登録されているメールアドレスと、着信した電子メールのメールアドレス(着信者情報)とを対比して、着信した電子メールが予め登録されている者からのメールかどうかを判断することができる。」(【0026】の記載より。)と記載されているから、上記対比を行う手段は「CPU」である。
してみると、「映像表示制御部は・・・対比」の「映像表示制御部」は、少なくとも上記「CPU」を含むものである。
してみると、本願発明の「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する映像表示制御部」は「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する(CPUも含む)映像表示制御部」といえる。
そして、上記「CPU」の映像表示制御について、発明の詳細な説明に「グラフィックスコントローラ205は映像データ(例えば、R,G,Bデータ)に対して色調整等の処理を施す。また、グラフィックスコントローラ205はCPU209から出力指示された文字等(操作ボタン、メニュー画面、地上ディジタル放送から取得した番組情報によるEPG画面、電子メールの内容である文字等等)を液晶表示パネル202に表示するOSD(オンスクリーンディスプレイ)処理も行う。」(【0017】の記載より。)と説明されていることから見て、「CPU」がグラフィックコントローラに対して出力指示を行うことも、本願発明の「映像表示制御」に含まれる。
したがって、「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する(CPUを含む)映像表示制御部」は、「「CPU」がグラフィックスコントローラに出力指示することも含んで、グラフィックスコントローラが、受信した放送波に基づく放送受信映像とCPU209から出力指示された文字等とを表示するための制御を行う映像表示制御部」ということができる。
そして、上記イ、ウに記載したとおり、本願発明の「電子メール」、「メールアドレス」、「メールアドレスを記憶するメモリ」は、「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」、「送受信の相手先を特定するための識別情報を記憶するメモリ」であるから、本願発明の「放送受信映像を表示する際に、前記電子メール受信部により電子メールを受信した場合、前記メモリに記憶されたメールアドレスと前記受信した電子メールのメールアドレスとを対比」は、「放送受信映像を表示する際に、電子データ受信部によりメッセージを伝えるための電子データを受信した場合、メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と受信した送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比」ということができる。
以上、本願発明の「(CPUを含む)映像表示制御部」についてまとめると、
本願発明の「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する(CPUを含む)映像表示制御部」を備えており、「映像表示制御部は、前記放送受信映像を表示する際に、前記電子メール受信部により電子メールを受信した場合、前記メモリに記憶されたメールアドレスと前記受信した電子メールのメールアドレスとを対比」するものは
「「CPU」がグラフィックスコントローラに出力指示することも含んで、グラフィックスコントローラが、受信した放送波に基づく放送受信映像とCPU209から出力指示された文字等とを表示するための制御を行う映像表示制御部」を備えており、「映像表示制御部は、放送受信映像を表示する際に、電子データ受信部によりメッセージを伝えるための電子データを受信した場合、メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と受信した送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比」するものであるといえる。

一方、刊行物1発明の制御部は、「ショートメッセージのテキストデータを受信した場合、検出された電話番号と相手先メモリに登録された電話番号とを対比し、電話番号が相手先メモリに記憶されている時は、相手先の名称の表示後に当該ショートメッセージを表示し、電話番号が相手先メモリに記憶されていない時は、受信されたメッセージ(のみ)を受信画像と同時に表示するように制御」している。
そして、上記イ、ウに記載したとおり、刊行物1発明の「ショートメッセージのテキストデータ」、「電話番号」、「相手先メモリ」は、「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」、「送受信の相手先を特定するための識別情報を記憶するメモリ」であるから、刊行物1発明の「(制御部が)ショートメッセージのテキストデータを受信した場合、検出された電話番号と相手先メモリに登録された電話番号とを対比し、ショートメッセージを受信画像と同時に表示する」ことは、「(制御部が)放送受信映像を表示する際に、電子データ受信部によりメッセージを伝えるための電子データを受信した場合、メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と受信した送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比」といえる。

また、刊行物1発明の表示制御は、「(上記対比も行う)制御部は、映像処理部・表示処理部に対してメッセージを表示するための制御を行い、映像処理部・表示処理部は、復調部からの映像信号を画面上に表示すると共に、上記メッセージを表示するための制御に基づきメッセージを画面上に表示するもの」である。
してみると、刊行物1発明の「(上記対比も行う)制御部は、映像処理部・表示処理部に対してメッセージを表示するための制御を行い」、「映像処理部・表示処理部は、復調部からの映像信号を表示すると共に、上記メッセージを表示するための制御に基づきメッセージを表示する」ことは、
本願発明の「(CPUを含む)映像表示制御部」において検討した、「「CPU」がグラフィックスコントローラに出力指示する」、「グラフィックスコントローラが、受信した放送波に基づく放送受信映像とCPU209から出力指示された文字等とを表示するための制御を行う」ことと、それぞれ、一致する。
よって、刊行物1発明は、本願発明の「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する(上記対比も行う)映像表示制御部」を備えているといえる。
以上のことから見て、刊行物1発明は「放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する映像表示制御部」を備えており、「映像表示制御部は、前記放送受信映像を表示する際に、前記電子データ受信部によりメッセージを伝えるための電子データを受信した場合、前記メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と前記受信したメッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比」している点で本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明の「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」は、それぞれ「電子メール」、「メールアドレス」であるのに対し、刊行物1発明の「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」は、それぞれ、「ショートメッセージのテキストデータ」、「電話番号」である点で相違する。

オ)「当該電子メールのアドレスが前記メモリに記憶されているときには、当該電子メールを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示し、当該電子メールのアドレスが前記メモリに記憶されていないときには、当該電子メールを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御する」ことについて

本願発明の「電子メール」、「メールアドレス」は、刊行物1発明の「ショートメッセージのテキストデータ」、「電話番号」と、それぞれ、「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」である点で一致していることは前記したとおりである。
そして、刊行物1発明は、「電話番号が相手先メモリに記憶されている時は、相手先の名称の表示後に当該ショートメッセージを表示し、電話番号が相手先メモリに記憶されていない時は、受信されたメッセージ(のみ)を受信画像と同時に表示するように制御」しているから、「メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示」している点で本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明は、「当該電子メールのアドレスが前記メモリに記憶されているときには、当該電子メールを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示し、当該電子メールのアドレスが前記メモリに記憶されていないときには、当該電子メールを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御」しているのに対し、刊行物1発明は、前記のとおり、「ショートメッセージのテキストデータ」、「電話番号」の点で本願発明と相違しているのに加えて、「メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されているとき及び当該メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されていないときいずれの場合も、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示するよう制御し」ており、「メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されていないときには、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御」していない点で本願発明と相違する。

カ)「放送受信装置」について

刊行物1発明の「テレビ放送を受信して表示するテレビ受信機」は、本願発明と同様「放送受信装置」に係るものである。

[6]一致点、相違点
本願発明と刊行物1発明との上記対比によれば、本願発明と刊行物1発明とは、

《一致点》
「放送波を受信する放送受信部と、
前記放送受信部により受信した放送波に基づく放送受信映像をディスプレイに表示する映像表示制御部と、
通信ネットワークを介してメッセージを伝えるための電子データを受信する電子データ受信部と、
送受信の相手先を特定するための識別情報を記憶するメモリと、を備えており、
前記映像表示制御部は、
前記放送受信映像を表示する際に、
前記電子データ受信部によりメッセージを伝えるための電子データを受信した場合、前記メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と前記受信したメッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比し、
当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示する、
放送受信装置」
の点で一致し、以下の点で相違している。

《相違点》
1.本願発明は、コンピュータを利用した電子メールに関するものであるため、「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」が、それぞれ、「電子メール」、「メールアドレス」であるのに対し、刊行物1発明は、携帯電話の回線を利用したショートメッセージに関する技術であるため、「メッセージを伝えるための電子データ」、「送受信の相手先を特定するための識別情報」が、それぞれ、「ショートメッセージのテキストデータ」、「電話番号」である点。
2.本願発明は「メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と前記受信したメッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比」の結果「当該メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されているときには、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示し、当該メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されていないときには、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御する」のに対し、
刊行物1発明は、「メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されているとき及び当該メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されていないときいずれの場合も、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示するよう制御し」ており、「メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されていないときには、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御」していない点。

[7]判断
上記相違点について検討する。

相違点1について
本願発明と刊行物1発明とは、ともにメッセージを電子データで送受信するものである点で共通する。特に、刊行物1には
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の携帯電話機は、著しく小型で、携帯には便利であるものの、ディスプレイ画面も小さく、受信したショートメッセージの内容を見るとき、見ずらいという問題がある。また、そのため、メッセージ内容を家庭内で家族が同時に見るには適さない。
【0006】そこで、この発明は、携帯電話のショートメッセージの内容を大画面で見やすく見ることができるとともに、家族に対してショートメッセージを送ることができ、個人と家族の間または家族と家族の間でのメッセージ交換を容易に実現することができるようにしたものである。
・・・
【0008】上記のように構成した、この発明のテレビ受信機は、一台のテレビ受信機であると同時に、一台の携帯電話機でもあり、独立した携帯電話の機能を有し、かつ携帯電話のショートメッセージの受信機能を有する。しかも、テレビ受信機能部の電源がオンで、テレビ画面に画像が表示されているときに、携帯電話機能部でショートメッセージが受信されたときには、そのメッセージがテレビ画面に表示されるので、テレビ画面を見ているユーザは、テレビ画面を見ながら、メッセージを直ちに、しかも大画面で見やすく、見ることができる。しかも、そのため、家族に対してショートメッセージを送ることができ、個人と家族の間または家族と家族の間でのメッセージ交換を容易に実現することができる。」
と記載されているように、刊行物1発明は、携帯電話の小さい画面でショートメッセージの内容を見るとき見づらいといった問題を解決するために、大画面であるテレビ画面を利用して、テレビ画面を見ながらメッセージを見ることができるようにしたものであることが理解できる。
ところで、刊行物1発明は、携帯電話で送受信されるメッセージを伝えるための電子データとして、ショートメッセージのテキストデータを念頭に置いたものであるが、携帯電話を利用して電子データのメッセージを送受信する手段として、電子メールもあることは、本願出願前周知のことであり、電子データのメッセージ送受信手段として、ショートメッセージのテキストデータと電子メールとが適宜選択可能であったことも本願出願前周知のことである。
そして、電子メールを利用してメッセージを送受信するためには、その「送受信の相手を特定する相手先」として、メールアドレスを利用することが普通である。
よって、刊行物1発明において、携帯電話を利用して送受信するメッセージを伝えるための電子データとして、ショートメッセージのテキストデータではなく、本願出願前周知の電子メールを選択し、「送受信の相手先を特定するための識別情報」として、メールアドレスを利用することは当業者が容易になしえたことである。

相違点2について
当審における拒絶の理由の通知において引用された特開平4-280535号公報(平成4年10月6日出願公開。以下、「刊行物2」という。)、同特開2002-351799号公報(平成14年12月6日出願公開。以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

刊行物2(特開平4-280535号公報)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、計算機ネットワークシステム上に構築された電子メールシステムを利用し、計算機がある電子メール受信者宛の電子メールを受信したことを予め定められた方法でその電子メール受信者に通知する電子メール受信通知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ある電子メール受信者が使用する計算機が電子メールを受信したことをその電子メール受信者に通知する方式として、電子メール受信者が計算機を使用中であれば電子メール受信者の注意を促すベルを鳴らすとともに計算機のディスプレイ装置上に受信した電子メールの内容の一部を表示するというものがあった。このような方式を採用したものとして、UNIX上のコマンドであるbiffがある。このbiffによる従来の電子メール受信通知装置は、図18のように、電子メールを受信する電子メール受信部31と、電子メール受信の旨を予め定められた方法で通知する受信通知部32とにより構成されている。
【0003】また、電子メール受信者がビットマップディスプレイ装置を備えた計算機を使用している場合の方式としては、電子メールを受信した際に定められたアイコンを表示したりアイコンの色を変化させるというものがあった。このような方式を採用したものとして、Massachusetts Institute of Technology で開発されたXWindow System におけるクライアントプログラムであるxbiff がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の方式では、受信した電子メールの重要度にかかわらず電子メールを受信した旨が同一の方法で電子メール受信者に通知されるため、電子メール受信者は電子メール受信の通知を受けた際に重要な作業を行っていた場合には受信した電子メールが非常に重要である場合にも受信した電子メールの内容を確認しないことがあるという問題点を有していた。
【0005】さらに、電子メール受信の通知を受けた電子メール受信者は、受信した電子メールの内容を確認するためには電子メール受信の際に行っていた作業を中断しなければならず、受信した電子メールの重要度が高くない場合には電子メール受信の際に行っていた作業の効率の低下が生じるという問題点も有していた。本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、重要な電子メールを受信した際にその内容確認を怠ることを防止し、重要でない電子メールを受信した際にその内容確認のために生じる作業効率の低下を防止することを可能にする電子メール受信通知装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、電子メールを受信する電子メール受信部と、電子メールを受信したことを通知する受信通知部と、前記電子メール受信部が受信する電子メールの内容に関する条件とその条件が成立したときに前記受信通知部が行うべき処理を表す情報とからなるルールを1つ以上記憶するルール記憶部と、このルール記憶部の内容と前記電子メール受信部が受信した電子メールの内容とに応じて前記受信通知部に処理を促す受信メール解析部とを設け、前記受信メール解析部の指示に従った方法で前記受信通知部が電子メールを受信したことを通知する構成としたことを特徴としている。
【0007】
【作用】電子メール受信部がある電子メール受信者宛の電子メールを受信し、受信メール解析部が受信した電子メールの内容とルール記憶部に記憶されているルール群とに従って電子メール受信者への電子メール受信の旨の通知方法を受信通知部に指示し、受信通知部が受信メール解析部の指示に従って電子メール受信者に電子メール受信の旨を通知する。すなわち、電子メール受信者への電子メール受信の旨の通知方法を、受信した電子メールの差出人を表す識別子や表題といった内容と予め定められたルール群とによって決定することにより、電子メール受信者にとって重要と思われる電子メールを受信した場合には非常に注意を促す方法で電子メール受信の旨を通知し、電子メール受信者にとって重要でないと思われる電子メールを受信した場合にはそのような電子メールを定められた個数受信したときに初めて電子メール受信の旨を通知するといった柔軟な方法で電子メール受信の通知を行うことができる。

【0011】(ステップS4)受信通知部4に方法Wによって電子メールM受信の旨を通知するよう促し、終了する。次に本実施例の電子メール受信通知装置の具体的な動作を説明する。ここでは、ルール記憶部2に記憶されているルール群として図4に示すものが含まれており、電子メール受信部1が図5の内容を含む電子メールM1を受信するものとする。図4において、401はもし受信した電子メールの差出人が識別子”suzuki”で表される人である場合には音量1すなわち小さい音量でベルを鳴らすことを表すルールであり、402はもし受信した電子メールの差出人が識別子”tanaka”で表される人である場合には音量5すなわち大きい音量でベルを鳴らすことを表すルールであり、403はもし受信した電子メールの表題に文字列”patent”が含まれている場合には音量5すなわち大きい音量でベルを鳴らすことを表すルールであるものとする。また図5において、501は電子メールM1の差出人が識別子”tanaka”で表される人であることを示す行であり、502は電子メールM1の表題が”Gijiroku”であることを示す行であり、503は電子メールM1の本文の一部である。

刊行物3(特開2002-351799号公報)
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両内で携帯電話等によって受信された電子メールの中から必要なもののみを検索して表示するメール受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のメール受信装置として、例えば特開2000?275056公報に示されるような車両用のものがある。それは携帯電話によって電子メールを受信されると、その電子メールは携帯電話にコネクタを介して電気接続されたパーソナルコンピュータによって読み取られ、その読み取られた着信情報である電子メールを、運転者等が手動操作によってディスプレイに着信順に表示する。運転者等は、車両等が停止している間に操作釦等を操作して、その電子メールの相手通信端末のアドレス、発信者名、メール表題等を確認し、その後、必要に応じて、さらに詳細内容を確認し(内容閲覧)、その結果、不必要なものは破棄したり(メール破棄)していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の電子メールは全て同等に扱われるために、受信された電子メールの内容をその都度、確認しなくては、どの電子メールが重要、又は急ぎである等のことが判断が出来なかった。そのために、手を放すことの出来ない等、特に車両の運転中で精神的に余裕のない運転者にあっては、重要でもなく、又急ぎでもない電子メールの確認のためにその都度停止していたのでは、安全運転への注意力の集中が出来ない恐れがあるばかりか、狭い道路にあっては交通渋滞等の原因になる恐れがあった。
【0004】そこで、この発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電子メールの受信があったときには、受信者にとって本当に必要な電子メールのみを抽出して運転者に知らせるようにし、重要性が低かったり、また不必要と考えられるようなものは知らせないようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、メールを受信するメール受信手段と、該メール受信手段によって受信されたメールの種類に応じてアイテム別に分類を行うメール分類手段と、該メール分類手段によって分類されたメールの中から所望のメールを検索するための検索条件を設定する検索設定手段と、該検索設定手段によって設定された検索条件に従って前記メール分類手段によって分類されたメールの中から、該検索条件に合致したメールを検索するメール検索手段と、該メール検索手段で検索されたメールを出力する表示装置とを備えてなるメール受信装置で、走行中の運転者に必要な電子メールの受信のみを運転者に知らせるようなメール受信装置についてである。
【0006】第2の発明は、前記メール分類手段におけるアイテムが、メールのアドレス、メール表題、本文中に使用される用語、日時又は時間を示す用語のうちの何れか1つのアイテムであるメール受信装置についてであり、便利な装置が得られる。

【0014】メール処理回路15は、前記入力インタフェース回路13から供給される前記登録アドレス及びその登録アドレスの所有ユーザ名をメール処理回路15の内蔵メモリ15aに記憶せしめ、アドレス-名称テーブルを作成すると共に、前記入力インタフェース回路13から供給される前記電子メールのデータの中から前記ユーザ設定回路14によって設定された検索キーワード、検索項目に該当するものがあるか否かを検索する一方で、後述の車載時計装置19から供給される現在の月日を示す月日信号及び時刻信号に基づいて前記電子メール全文の中に現在の月日を示す月日信号及び現在時刻を基準として所定時間、例えば24時間以内の時刻を示す月日信号、時刻信号があるか否かを検索し、あった場合にはそれに該当する電子メールをメール表示制御・メール編集制御回路16に供給する。なお、この所定時間の設定は、後述の外部入力器20を用いて設定入力しても、他の如何なる手段を用いても良い。
【0015】メール表示制御・メール編集制御回路16は、前記電子メール処理回路15から、該電子メール処理回路15で検索された電子メール、すなわち重要度の高い、緊急度の高い等の特別の電子メールの供給を受けると、音声入出力回路17を介してそれをスピーカ21を介して音声で「着信がありました。」と運転者に知らせると共に、グラフィック回路18を介してモニタ表示器23にその電子メールの表題を表示する。またメール表示制御・メール編集制御回路16は、外部入力器20から検索キーワード、検索項目等が供給されると、それをグラフィック回路18を介してモニタ表示器23に表示する。
【0016】車載時計装置19は、現時点の月日信号及び時刻信号を前記メール処理回路15に供給し、20はテンキー等の透明タッチパネル式外部入力器で、モニタ表示器23の表示面に設けられており、前記ユーザ設定回路14及びメール表示制御・メール編集制御回路16に対して後述の検索用キーワード、検索項目等を登録設定するためのものである。
【0017】21はスピーカで、前記音声入出力回路17から供給される「着信がありました。」等の音声を出力し、また22はマイクロホンで、音声入出力回路17に対して前記スピーカ21から出力される音声を登録するための入力手段である。23は前記グラフィック回路18から出力される文字、記号等の画像データを表示するモニタ表示器である。
【0018】次に、上述したユーザ設定回路14について図2に基づいて以下に詳細説明を行う。すなわち、このユーザ設定回路14は、図示されない車速センサから車速パルスの供給を受けると、それに基づいて車両が走行中か停車中(低速度走行を含む)かを判断する走行・停車判断回路30と、前記走行・停車判断回路30で停車中であると判断されると、前記モニタ表示器23にメニューを表示するための表示データを前記モニタ表示器23に供給する分類設定メニュー表示回路31と、前記外部入力器20から供給されるアドレス及びそのアドレスの所有者氏名を対応させてテーブル化して(アドレス-名称テーブル)記憶するアドレス保存用メモリ32と、アドレス、表題、本文及び添付データからなる電子メールを受信時に仕分け、分類するために前記外部入力器20によって設定登録される大分類(アドレス、表題、本文、添付データの分類)の指定、及びその大分類の中を更に小分類(アドレス、表題、本文、添付データ)にして記憶するためのアドレス分類設定メモリ33、表題分類設定メモリ34、本文分類設定メモリ35及び添付データ分類設定メモリ36とからなる。

【0020】ステップS120?ステップS150までの間で、図4の左上に示されたアドレス分類設定エリアに形成されたスイッチ20Aがオン操作されたか、その右側に示された表題分類設定エリアに形成されたスイッチ20Bがオン操作されたか、さらにはその右側に示された本文分類設定エリアのスイッチ20Cがオン操作されたか、またさらにその右側に示された添付データ分類設定エリアに形成されたスイッチ20Dがオン操作されたか否かの判断が行われる。これらのスイッチ20B?20Dの何れかのスイッチがオンされるとステップS170、ステップS210、ステップS250、又はステップS290の何れかのステップに進み、スイッチ20Aがオン操作されるとアドレス分類設定エリアが着色されて図4に示される表示に切り替わる。また前記スイッチ20Bがオン操作されると表題分類設定エリアが着色されて図5に示される表示に切り替わる。さらに、前記スイッチ20Cがオン操作されると本文分類設定エリアが着色されて図6に示される表示に切り替わる。またさらに、前記スイッチ20Dがオン操作されると添付データ分類設定エリアが着色されて図7に示される表示に切り替わる。
【0021】次に、前記分類設定用のモニタ23の表示画面から各種設定の仕方について説明する。
(1)大分類として“アドレス”を設定するとき、
アドレス分類設定エリアのスイッチ20Aをオン操作すると(ステップS120)、図3に示すステップS120からステップS170に進み、モニタ23の画面表示は図4に示されるようにアドレス分類設定エリアが着色された状態で入力可能な状態になるので、キーボードエリア20Fに表示されるテンキー、ファンクションキーによるキーの操作によってアドレス入力エリア20Eにアドレスを入力する(ステップS180)と、電子メール処理回路15の内蔵メモリ15aに記憶されたアドレスー名称テーブルから、今回入力されたアドレスに対応する個人名、会社名等の名称を読み取って、前記アドレス入力エリア20Eの左隣の“呼び名”エリアに表示する(ステップS181)。その後、キー操作者は、今回の入力を確認した後に、設定メモリ番号1?4までのスイッチ20H?20Kの何れかを押す(ステップS190)ことによってアドレス登録が行われ(ステップS200)、次の“表題に関する設定”に進む(S130)。
【0022】これによって、受信され、電子メール処理回路15に入力された電子メールは、該電子メール処理回路15によってアドレス、表題、本文、添付データに分けられて、図2のアドレス分類設定メモリ33のアドレス分類用メモリ33a?添付データ用メモリ33dの各メモリに対応付けられて記憶される。
【0023】(2)大分類として“表題”を選択するとき、
表題分類設定エリアのスイッチ20Bをオン操作する(ステップS130)と、ステップS130?ステップS240までの各ステップに進み、モニタ表示器23の表示画面は図5に示されるように変化して表題分類設定エリアの部分が着色され、入力可能になる(ステップS210)。その後、キーボードエリア20Fに表示されるキーの操作によってキーワード入力エリア20L?20Oに検索用キーワードを入力し(ステップS220)、それが終了した後に、設定メモリ番号1?4までのスイッチ20H?20Kの何れかを押すことによって検索用キーワードの登録が行われる(ステップS230)。すなわち、小分類の設定が行われる(ステップS240)。
【0024】(3)大分類として“本文”を選択するとき
本文分類設定エリアのスイッチ20Cをオン操作する(ステップS140)と、ステップS140からステップS250に進み、モニタ表示器23の表示画面は図6に示されるように変化し、本文分類設定エリアの部分が着色され、入力可能な状態になる(ステップS250)。その後、キーボードエリア20Fに表示されるキー操作によって時刻エリア20Pに所望の検索時刻を入力すると共に、キーワード入力エリア20M?20Oに検索用キーワードを入力し(ステップS260)、それが終了した後に、設定メモリ番号1?4までのスイッチ20H?20Kの何れかを押す(ステップS270)ことによって検索用キーワードの登録が行われる。すなわち、小分類の設定が行われる(ステップS280)。
【0026】次に、上記のようにして設定登録された検索キーワード等を確認したい場合には、図4乃至図7に示されるモニタ表示器23の各表示画面において、設定メモリ確認エリアのスイッチ20Gをオン操作すると、表示画面が図8に示されるように切り替わる。
【0027】ここで、大分類が記憶されている分類設定メモリ33?36に対応して設けられているアドレス分類設定メモリエリアのスイッチ20Q1?添付データ設定メモリエリアのスイッチ20Q4のうち、例えば本文分類設定メモリエリアのスイッチ20Q3を選択してオン操作すると、本文分類設定メモリ35に記憶されている、例えば“時刻を表示する文字”、“?文字”、“キーワード3を表示する文字”が表示エリア20Vに表示される。この表示を確認した後に、“戻る”スイッチ20Wをオン操作すると、直前の表示画面に戻る。
【0028】次に、携帯電話1が電子メールを受信した場合に、その電子メールの、例えば“本文”に“設定キーワード”があるものを抽出するフローチャートを図9に基づいて説明する。すなわち、電子メール処理回路15は、電源が投入されると、ステップS400でメール処理回路15の内蔵メモリ15aに記憶された“設定キーワード”を読み込むと共に、携帯電話10に対してアクセスして新規に着信した電子メールの読取りを行い、次にステップS410に進み、ステップS410では、ステップS400で読み取られた新規電子メール毎に、その新規電子メールを形成する“本文”に相当する部分を抽出して読み込む。次にステップS420で、前記ステップS410で抽出した“本文”中に設定キーワードがあるか否かを判定し、設定キーワードがある場合には、ステップS430に進む。一方で、ステップS420において、新規着信メールに設定キーワードがないと判断した場合には、ステップS400に戻る。その結果、ステップS410で新規に読み取られたメールの中に設定キーワードを有する電子メールが受信されていると、その電子メールがモニタ表示器23に表示され、かつ、複数受信されていた場合には、モニタ表示器23には上から下に向けて順番に送信者の名称及びその電子メールの表題が表示される(図10参照)。その後、モニタ表示器20の“表題”部分をクリックすることによって図11の表示画面に変化して本文が読めるようになる。
【0029】また、表示の仕方については、図10に示したような送信者の名称及びその電子メールの表題のみを表示することによって、例えば本件装置が車両に装着されていた場合には、同乗者に対して本文の読取りの防止が図られて、プライバシーが保護されるが、このような表示モードを介さずに直接、図11に示した表示モードで表示しても良い。すなわち、各電子メールの受信時に、その電子メールの送信者のアドレス、送信者の名称、表題及び本文を1画面で表示し、それをスクロールスイッチ20Xで切り替えるようにしても良い。

上記記載から見て、刊行物3のものは「電子メールを受信するものにおいて、受信したメールを全て同じように扱い、受信の通知を行うと、他の作業(運転)を行っている場合、重要でない電子メールを確認するため上記他の作業を中断する必要がある(すなわち、他の作業が妨げられる。)ため、不都合が生じており、この課題を解決するため、必要(すなわち重要)なメールを選択して通知するようにした」ものであることが理解できる。
そして、刊行物3は上記重要なメールを選択的に通知するようにするための具体的な構成として、下記のような構成を採用している。
「【0028】次に、携帯電話1が電子メールを受信した場合に、その電子メールの、例えば“本文”に“設定キーワード”があるものを抽出するフローチャートを図9に基づいて説明する。すなわち、電子メール処理回路15は、電源が投入されると、ステップS400でメール処理回路15の内蔵メモリ15aに記憶された“設定キーワード”を読み込むと共に、携帯電話10に対してアクセスして新規に着信した電子メールの読取りを行い、次にステップS410に進み、ステップS410では、ステップS400で読み取られた新規電子メール毎に、その新規電子メールを形成する“本文”に相当する部分を抽出して読み込む。次にステップS420で、前記ステップS410で抽出した“本文”中に設定キーワードがあるか否かを判定し、設定キーワードがある場合には、ステップS430に進む。一方で、ステップS420において、新規着信メールに設定キーワードがないと判断した場合には、ステップS400に戻る。その結果、ステップS410で新規に読み取られたメールの中に設定キーワードを有する電子メールが受信されていると、その電子メールがモニタ表示器23に表示され、かつ、複数受信されていた場合には、モニタ表示器23には上から下に向けて順番に送信者の名称及びその電子メールの表題が表示される(図10参照)。その後、モニタ表示器20の“表題”部分をクリックすることによって図11の表示画面に変化して本文が読めるようになる。」
すなわち、電子メールを受信すると、“本文”に“設定キーワード”があるものを抽出する場合、読み取られた電子メール毎に、“本文”に相当する部分を抽出し、“本文”中に設定キーワードがあるか否か判定し、キーワードがある場合その電子メールを表示し、無い場合は、S400に戻る(すなわち、次のメールの処理に移行するから、表示されない。)。
刊行物3のものは“本文”に“設定キーワード”がある場合の他に、“アドレス”を登録することにより電子メールの分類を可能とすることも記載されている。(【0014】、【0015】)
そして、【0021】ないし【0024】及び図3の記載によれば、「アドレスを入力すると、電子メール処理回路15の内蔵メモリ15aに記憶されたアドレスー名称テーブルから、今回入力されたアドレスに対応する個人名、会社名等の名称を読み取って、前記アドレス入力エリア20Eの左隣の“呼び名”エリアに表示することにより、今回の入力を確認した後に、設定メモリ番号1?4までのスイッチを押すことによってアドレス登録が行われ、次の“表題に関する設定”に進み、“表題に関する設定”の次に“本文に関する設定”を行っている。そして、“本文に関する設定”では、キーワード入力エリア20M?20Oに検索用キーワードを入力し、それが終了した後に、設定メモリ番号1?4までのスイッチ20H?20Kの何れかを押すことによって検索用キーワードの登録が行われる。」の登録を行っており、このような登録を行うことにより“本文”の“設定キーワード”と“アドレス”の“登録されたアドレス”とがメール検索のためのキーワードとして同等に扱われている。
このことから見て、上記“登録されたアドレス”を検索用キーワードとして用いた場合は、「電子メールを受信すると、“本文”に“設定キーワード”があるものを抽出する場合、読み取られた電子メール毎に、“本文”に相当する部分を抽出し、“本文”中に“設定キーワード”があるか否か判定し、キーワードがある場合その電子メールを表示し、無い場合は、S400に戻る(すなわち、次のメールの処理に移行するから、表示されない。)」の“設定キーワード”は“登録されたアドレス”に置き換えて検索用キーワードの有無を判定しているものであると推定することができる。したがって、刊行物3のものは「電子メールを受信すると、“アドレス”に“登録されたアドレス”があるものを抽出する場合、読み取られた電子メール毎に、“アドレス”に相当する部分を抽出し、“アドレス”中に“登録されたアドレス”があるか否か判定し、“登録されたアドレス”がある場合その電子メールを表示し、無い場合は、S400に戻る(すなわち、次のメールの処理に移行するから、表示されない。)」ことも実質的に記載されているものである。
また、表示の態様としては【0029】に「各電子メールの受信時に、その電子メールの送信者のアドレス、送信者の名称、表題及び本文を1画面で表示し、それをスクロールスイッチ20Xで切り替える」とあるから、メール送信者や表題・本文の表示を行うことも記載されている。
以上のことから見て、刊行物3には、電子メールを受信するものにおいて、受信したメールを全て同じように扱い、受信の通知を行うと、他の作業(運転)を行っている場合、重要でない電子メールを確認するため上記他の作業を中断する必要がある(すなわち、他の作業が妨げられる。)ため、不都合が生じており、この課題を解決するため、重要なメールを選択して通知することが実現できるように、受信メールのアドレスに登録されたアドレスがあるときは電子メールを表示し、無い場合は電子メールを表示しない技術事項が記載されている。
そして、上記刊行物3に記載されているのと同様の課題及び解決手段が、例えば刊行物2にも、
「従来の方式では、受信した電子メールの重要度にかかわらず電子メールを受信した旨が同一の方法で電子メール受信者に通知されるため、電子メール受信者は電子メール受信の通知を受けた際に重要な作業を行っていた場合には受信した電子メールが非常に重要である場合にも受信した電子メールの内容を確認しないことがあるという問題点を有していた。さらに、電子メール受信の通知を受けた電子メール受信者は、受信した電子メールの内容を確認するためには電子メール受信の際に行っていた作業を中断しなければならず(すなわち、他の作業が妨げられる。)、受信した電子メールの重要度が高くない場合には電子メール受信の際に行っていた作業の効率の低下が生じるという問題点も有していた。・・すなわち、電子メール受信者への電子メール受信の旨の通知方法を、受信した電子メールの差出人を表す識別子や表題といった内容と予め定められたルール群とによって決定することにより、電子メール受信者にとって重要と思われる電子メールを受信した場合には非常に注意を促す方法で電子メール受信の旨を通知し、電子メール受信者にとって重要でないと思われる電子メールを受信した場合にはそのような電子メールを定められた個数受信したときに初めて電子メール受信の旨を通知するといった柔軟な方法で電子メール受信の通知を行うことができる。」(刊行物2【0004】、【0005】、【0007】)、
と記載されている。すなわち、電子メールの受信を行うものにおいて、「受信した電子メールの重要度にかかわらず電子メールを受信した旨が同一の方法で電子メール受信者に通知されるため」、「電子メール受信の通知を受けた電子メール受信者は、受信した電子メールの内容を確認するためには電子メール受信の際に行っていた作業を中断しなければなら」ない(すなわち、他の作業が妨げられる。)、という課題と、その解決手段として「電子メール受信者への電子メール受信の旨の通知方法を、受信した電子メールの差出人を表す識別子によって決定することにより、電子メール受信者にとって重要と思われる電子メールを受信した場合には、注意を促す方法で電子メール受信の旨を通知し、重要でないと思われる電子メールを受信した場合には、定められた個数受信したときに初めて電子メール受信の旨を通知する(すなわち、すぐには通知しない。)」構成を採用するという技術思想が記載されている。
上記、刊行物2及び3の記載を見れば、電子メールの受信を行うものにおいて、受信した電子メールの受信通知を、上記電子メールの重要度にかかわらず同じように行うと、重要でない電子メールを受信した場合にも他の作業を中断する必要が生じる(すなわち、他の作業が妨げられる。)という課題が普通に認識されており、その解決手段として、重要な電子メールをメールアドレスや差出人の識別子を利用して選択し、上記選択された重要なメールのみ受信通知を行う構成を採用することがよく知られていたといえる。
一方、引用発明は、「放送波を受信し、受信したメッセージを伝えるための電子データと放送受信映像とを同時に表示するもの」であるから、受信者は、メッセージを伝えるための電子データの受信及び受信した電子データの着信通知を視聴すると同時に、放送受信映像を視聴していることは明らかである。このような引用発明において、上記メッセージを伝えるための電子データを受信したとき、その重要度にかかわらず同じように受信通知を行った場合、メッセージを伝えるため電子データを確認するため、メッセージを伝えるための電子データの受信通知の視聴と同時に行っている放送受信映像の視聴が妨げられることは、当業者には当然予測し得たことである。
そして、上記テレビ視聴が妨げられる課題を解決するため、重要な電子メールをメールアドレスや差出人の識別子を利用して選択し、上記選択された重要なメールのみ受信通知を行う構成を採用しようとすることは当業者が容易に想起し得たことであり、具体的な構成としては、刊行物3に記載された構成を採用することは当業者が容易になしえたことである。
すなわち、刊行物1発明の、
「前記映像表示制御部は、
前記放送受信映像を表示する際に、
前記電子データ受信部によりメッセージを伝えるための電子データを受信した場合、前記メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と前記受信したメッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比し、
当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示する」ものにおいても、
「放送受信映像を視聴しているときに、重要でないメッセージを伝えるための電子データを確認することにより上記視聴が妨げられる」という課題は当業者が普通に認識できたことであり、
上記課題を解決するために、刊行物3に記載された「受信メールのアドレスに登録されたアドレスがあるときは電子メールを表示し、無い場合は電子メールを表示しない技術事項」を転用し、
「メモリに記憶された送受信の相手先を特定するための識別情報と前記受信したメッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報とを対比」の結果、「当該メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されているときには、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示し、当該メッセージを伝えるための電子データの送受信の相手先を特定するための識別情報が前記メモリに記憶されていないときには、当該メッセージを伝えるための電子データを開いて得られる内容と現在表示中の放送受信映像とを前記ディスプレイに同時に表示しないよう制御」することは当業者が容易に推考し得たことである。

以上のとおり、上記相違点1、相違点2に係る構成は、いずれも当業者が容易になしえたことである。
また、本願発明の作用効果は、刊行物1ないし3及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものであるとは認められない。

[8]まとめ
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2、刊行物3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願は請求項2ないし7に係る発明について特に検討するまでもなく拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-26 
結審通知日 2010-03-30 
審決日 2010-04-12 
出願番号 特願2003-58513(P2003-58513)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西谷 憲人  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 奥村 元宏
佐藤 直樹
発明の名称 放送受信装置  
代理人 神保 泰三  
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